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JP2001354745A5 - - Google Patents

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JP2001354745A5
JP2001354745A5 JP2000174678A JP2000174678A JP2001354745A5 JP 2001354745 A5 JP2001354745 A5 JP 2001354745A5 JP 2000174678 A JP2000174678 A JP 2000174678A JP 2000174678 A JP2000174678 A JP 2000174678A JP 2001354745 A5 JP2001354745 A5 JP 2001354745A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 感圧性接着剤用アクリル系共重合体およびその用途
【特許請求の範囲】
【請求項1】アセトン中で、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体80〜99重量%、および(B)カルボキシル基含有α、β−エチレン性不飽和単量体1〜20重量%を重合してなる、ガラス転移温度が−50℃〜10℃であり、重量平均分子量150万以上、かつ重量平均分子量/数平均分子量が4.0以下である感圧性接着剤用アクリル系共重合体であって、前記感圧性接着剤用アクリル系共重合体100部に対してトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト2部添加した感圧性接着剤組成物から形成される乾燥重量が20g/m2 の粘着層を介して、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、ポリカーボネート板とを貼り合わせ、100℃のオーブン中で30日間放置したとき、ブリスターを発生しないことを特徴とする感圧性接着剤用アクリル系共重合体
【請求項2】 請求項1記載の感圧性接着剤用アクリル系共重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を一分子中に2個以上有する多官能化合物とを含有することを特徴とする感圧性接着剤
【請求項3】基材シート上に、請求項2記載の感圧性接着剤から形成される粘着層が積層されてなる感圧性接着シート。
【請求項4】 請求項2記載の感圧性接着剤から形成される粘着層を介して、基材シートとプラスチック成型品、プラスチック成型品とプラスチック成型品、またはプラスチック成型品とガラスとが積層されてなる積層体。
【請求項】アセトン中で、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体80〜99重量%、および(B)カルボキシル基含有α、β−エチレン性不飽和単量体1〜20重量%を重合することを特徴とする、ガラス転移温度が−50℃〜10℃、重量平均分子量150万以上、かつ重量平均分子量/数平均分子量が4.0以下である感圧性接着剤用アクリル系共重合体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合、ふくれやめくれなどのブリスターの発生を防止しうる感圧接着剤シート、及び該感圧接着剤シートを提供し得る感圧性接着剤、並びに該感圧性接着剤用アクリル系共重合体、そしてその製造方法に関する。さらに、本発明は前記感圧性接着剤から形成される粘着層を利用してなる種々の積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、プラスチックに対する粘着シートは、耐光性、価格、透明性、粘着物性のコントロールの点から、アクリル重合体を主成分とした感圧性接着剤が使用されている。しかし、ガスバリア性の高いポリエステルなどを基材に用いた場合、被着体プラスチックからのアウトガスによる発泡(ブリスター)が、外観を悪化するため問題となっている。この現象は、基材のプラスチックフィルムが被着体からのアウトガスのバリアとなるため、逃げ場のなくなったガスの圧力によりブリスターが発生するものと思われる。
【0003】特開平2-51577号公報には、粘着層に充填剤を添加し、アウトガスの逃げ道形成と、吸着を行わせることでこの問題を解決している。しかし、このような充填剤によるガスの逃げ道形成法は、フィルムの透明性を犠牲にするため、透明ラベルとして使用できないなどの問題が生じた。
【0004】特公平7-98923号公報ではアクリル系単量体と、片末端に共重合可能な不飽和二重結合を有するマクロモノマーを共重合せしめた重量平均分子量(Mw)15万〜200万のグラフトポリマーを粘着成分とすることで、このブリスターが減少できると記載されている。しかし、この方法では、マクロモノマーの共重合性が悪いため、一部未反応のマクロモノマーが残り、物性に悪影響を与えることや、アクリル系単量体とマクロモノマーの相溶性の点で、そのアクリル系単量体種やマクロモノマー種、及びその共重合部数に限界があり、粘着層に濁りを生ずる場合があった。
【0005】特開平11-12553号公報では、特定のスチレン系もしくはα−メチルスチレン系の粘着付与剤を、Mwが80万以上のアクリル系共重合体に添加することで、透明性に問題のなく、また上記ブリスターの問題をクリアした透明粘着フィルムを記載している。しかし、この粘着付与剤は、耐光性、耐熱性が悪く、紫外線下や高温の環境下で長期間放置すると、褐色に着色し、非常に外観が悪くなるという問題があった。
【0006】特開平6-49425号公報や特開平8-3521号公報では、特定のモノマー組成を有するアクリル重合体に、それぞれ金属キレート系、アジリジン系架橋剤を配合することにより、耐ブリスター性が発現できると記載されている。しかし、一般に用いられるイソシアネート系架橋剤を用いた場合と比べ、これら架橋剤を用いた場合は比較的架橋速度が高いため、基材に対する投錨性が低いこと、また形成された粘着層が応力緩和能に乏しいため、長期間の使用に際しては、浮きやはがれが生ずる問題があり、適用範囲が限定された。
【0007】以上のような感圧性接着剤の耐ブリスター性、耐めくれ性などは、その含有する高分子量体の分子量を大きく作製する必要があるという課題がある。
【0008】アクリル系単量体のラジカル重合反応を乳化重合、懸濁重合、塊状重合、溶液重合などの方法を用いて製造されるが、乳化重合や懸濁重合では、重合媒体の水や、界面活性剤が含まれるため沈殿分別や濾過分別程、洗浄工程、乾燥工程などが必要となり生産性が悪いうえ、重合中に三次元網目架橋したゲル分が生成し、流動性が悪くなる。また、重合前の乳化や懸濁を行う際、界面活性剤とモノマー種に制限があるという欠点を有する。
【0009】塊状重合では、スチレンやメタクリル酸メチルなどある種のモノマーは、重合をコントロールできることが知られているが、メタクリル酸メチルよりも重合反応が激しいアクリル酸エステル系単量体を主成分としたラジカル重合では温度制御が困難であり爆発の危険性を伴うため一般にはほとんど実用されていない。特公昭62-41523号公報や特公平2-55448号公報ではスクリュー押し出し機を用い、アクリル酸エステル系単量体を塊状重合する方法が提案されている。この方法によれば反応液の温度が重合率の上昇に伴い徐々にあがるため、暴走反応を起こすことなく塊状重合可能である。しかし、得られたアクリル重合体は、低分子量成分を多く含み分子量分布Mw/Mnの値が8〜13程度と広く、耐熱性が悪かった。
【0010】溶液重合では、大量の有機溶剤を使用するため低分子物が多く生成し、アクリル重合体の分子量分布が大きくなる傾向があり、上記同様耐熱性が悪くなるといわれている。特開平3-12471号公報および特開平7-82542号公報には溶液重合で製造されたアクリル重合体の感圧接着剤が利用されているが、低分子量成分を除去するため、メタノールやヘキサン、ヘプタンなどの貧溶媒を用いて再沈精製を行っている。しかし、この方法では生産性が著しく悪くなった。
【0011】以上のように、一段階の溶液重合で重量平均分子量150万以上、かつ重量平均分子量/数平均分子量が4.0以下の感圧性接着剤用アクリル系共重合体を製造することは難しく、また、これまでその製造方法について詳しく言及されることはなかった。
【0012】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、ブリスターを生じることなく、透明で、安定して長時間使用可能な感圧性接着剤用アクリル系共重合体、またその製造方法及びそれらを用いた感圧接着性シート、積層体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、研究を重ねた結果、アセトン中で重合したカルボキシル基を含有する、分子量150万以上、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量)が4.0以下の感圧性接着剤用アクリル系共重合体を含む感圧性接着剤が、耐ブリスター性を有することを見いだし、本発明を完成させた。
【0014】すなわち、本発明はアセトン中で、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体80〜99重量%、および(B)カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体1〜20重量%を重合してなる、ガラス転移温度が−50℃〜10℃であり、重量平均分子量150万以上、かつ重量平均分子量/数平均分子量が4.0以下である感圧性接着剤用アクリル系共重合体であって、前記感圧性接着剤用アクリル系共重合体100部に対してトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト2部添加した感圧性接着剤組成物から形成される乾燥重量が20g/m2 の粘着層を介して、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、ポリカーボネート板とを貼り合わせ、100℃のオーブン中で30日間放置したとき、ブリスターを発生しないことを特徴とする感圧性接着剤用アクリル系共重合体に関する。
【0015】また、本発明は上記発明に記載の感圧性接着剤用アクリル系共重合体と、カルボキシル基と反応し得る官能基を一分子中に2個以上有する多官能化合物とを含有することを特徴とする感圧性接着剤に関する。
【0016】また本発明は、基材シート上に、上記発明に記載の感圧性接着剤から形成される粘着層が積層されてなる感圧性接着シートに関する。
【0017】また、本発明は上記発明に記載の感圧性接着剤から形成される粘着層を介して、基材シートとプラスチック成型品、プラスチック成型品とプラスチック成型品、またはプラスチック成型品とガラスとが積層されてなる積層体に関する。
【0018】また、本発明はアセトン中で、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体80〜99重量%、および(B)カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体1〜20重量%を重合することを特徴とする、ガラス転移温度が−50℃〜10℃、重量平均分子量150万以上、かつ重量平均分子量/数平均分子量が4.0以下である感圧性接着剤用アクリル系共重合体の製造方法に関する。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の感圧性接着剤用アクリル系共重合体は、(A)(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体80〜99重量%、(B)カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体1〜20重量%を、アセトン中で溶液重合することにより得られるものである。更に好ましくは(A)を90〜98重量%、(B)カルボキシル基含有α,β−エチレン性不飽和単量体2〜10重量%使用した場合である。(A)の単量体が99重量%を越えると、粘着層の凝集力が不足する場合があり好ましくない。また(A)の単量体が80重量%未満であると、重合時に溶剤であるアセトンに溶解せずに析出するものが現れ、粘着層としたとき濁りを生ずる場合や、タックが著しく低下する場合があり好ましくない。また、ブリスター抑制能も低下する場合がある。
【0020】具体的に(A)の単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ターシャリーブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどが挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。また、複数用いてもかまわない。
【0021】(B)の単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート、β−カルボキシエチルメタクリレート等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではなく、カルボキシル基を有し、かつα,β−エチレン性不飽和基を有するものならば構わない。また、複数用いてもかまわない。
【0022】以上のうち、好ましくはアクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシルから選択して(A)の単量体として使用し、アクリル酸、メタクリル酸、β−カルボキシエチルアクリレート、β−カルボキシエチルメタクリレートから選択して(B)の単量体として使用する場合である。更に好ましくは、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸の組み合わせでアクリル系共重合体を製造した場合である。
【0023】これらは、上記(A)、(B)の共重合割合をふまえた上で、共重合体のガラス転移温度が−50℃〜10℃、好ましくは−40℃〜0℃となるように、共重合せしめられることが必要である。
【0024】ここで言うガラス転移温度は、次の式により計算される。
1/Tg=Σ(Wi/Tgi)
Tg:共重合体のガラス転移温度(K)
Tgi:単量体iの単独重合体のガラス転移温度(K)
Wi:共重合体中の単量体iの重量分率
共重合体のガラス転移温度が−50℃未満であると、接着力が十分でないし、10℃を越えるとタックが不足する傾向が生ずる。
【0025】本発明の、感圧性接着剤用アクリル系共重合体はアセトン中で上記単量体の混合物をラジカル開始剤を用い、溶液重合することにより得られる。このとき、ラジカル開始剤量、重合温度、重合濃度を調節し重量平均分子量150万以上、分子量分布Mw/Mnが4.0以下の感圧性接着剤用アクリル系共重合体が一段階で製造できる。
【0026】その他一般に用いられる溶剤、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のアセトン以外のケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類等は、前記重量平均分子量、分子量分布の範囲に一段階で製造することは難しい。
【0027】特に汎用的に用いられる、酢酸エチルの場合でも、特別な攪拌装置や冷却装置、また再沈精製などの程なしに前記重量平均分子量、分子量分布の範囲に製造することは難しい。
【0028】アセトンを用いると、特別な冷却装置を必要とせずとも重合温度を60〜70℃に抑えることができ、さらに暴走反応を起こすことなく安全に製造できるという優れた特徴を併せもつ。
【0029】アセトンで重合し重量平均分子量150万以上、分子量分布Mw/Mnが4.0以下の場合が、ブリスターの発生を抑える能力に秀で、また接着力や保持力などの粘着物性を満足する。さらに、好ましくは重量平均分子量170万以上300万以下、分子量分布Mw/Mnが3.6以下の場合である。
【0030】重量平均分子量150万未満、もしくは分子量分布Mw/Mnが4.0を越えた場合、ブリスター抑制能が低い場合があり好ましくない。
【0031】ここで、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、分子量分布は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準試料として求められるものである。
【0032】 感圧性接着剤用アクリル系共重合体製造の重合開始剤としては、通常の過酸化物またはアゾ化合物が用いられる。このうち、特に10時間半減期温度が50〜70℃のアゾ化合物が好適で、更に好ましくはアゾビスイソブチロニトリルを用いた場合である。重合開始剤の使用量は、単量体100重量部に対して0.02〜2.0重量部添加するのが望ましい。更に好ましくは0.03〜1.5重量部である。0.02重量部未満であると、重合転化率が上昇せず、また逆に重量平均分子量を150万よりも下げる場合があり、2.0重量部を越えると重量平均分子量が150万以下となる場合がある。
【0033】重合温度は、使用する重合開始剤の10時間半減期温度の±10℃の範囲で行うのが望ましい。
【0034】 このようにして得られた本発明の感圧性接着剤用アクリル系共重合体は、下記試験方法でブリスターを発生しない感圧性接着剤用アクリル系共重合体である。
【0035】すなわち、前記共重合体のアセトン溶液を、トルエンまたは酢酸エチルで希釈し、約5000mPsの粘度としたものに、前記共重合体100部に対してトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト2部を必要量加え、良く混合した後、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート離型フィルム表面に、ドクターブレードで乾燥重量が20g/m2となるように塗工し、その直後、100℃のオーブンで2分間乾燥し、粘着面に38μmポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、粘着シートを作製する。これを室温で一週間熟成させたものから離型フィルムを剥がし、リップロールで、厚さ2mmの透明ポリカーボネート板にり付け、積層体を作製する。これを100℃のオーブンに放置したとき、1時間後、及び30日後にブリスターの有無を判定する。
【0036】ここで「ブリスターを発生しない」とは、積層体作製時に混入した気泡以外の新たな気泡が目視で観察されないことと定義する。
【0037】以上の感圧性接着剤用アクリル系共重合体を用いることにより、ガス放散性プラスチックに対し、好適に用いることのできる感圧性接着シートを得ることができる。このような感圧性接着シートは、上記の感圧性接着剤用アクリル系共重合体を含有する感圧性接着剤から形成されるものである。
【0038】本発明の感圧性接着剤は、感圧性接着剤用アクリル系共重合体に多官能化合物を配合して架橋させて用いるのが望ましい。当該多官能化合物は、感圧性接着剤用アクリル系共重合体に存在するカルボキシル基と反応するものであり、一分子中に官能基を少なくとも2個、好ましくは2〜4個有している。
【0039】このような多官能化合物の例としては、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、金属キレート化合物、およびアジリジン化合物などを挙げることができる。
【0040】イソシアネート化合物の例としては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、およびこれらのトリメチロールプロパンなどのポリオールのアダクト体が挙げられる。
【0041】また、エポキシ化合物の例としてはビスフェノールA、エピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリコールグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、および1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサンなどを挙げることができる。
【0042】さらに、金属キレート化合物の例としては、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、錫、チタン、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロム、およびジルコニウムなどの多価金属がアセチルアセトンやアセト酢酸エチルに配位した化合物などを挙げることができる。
【0043】またさらに、アジリジン系化合物の例としては、N,N'−ジフェニルメタン−4,4'−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、N,N'−トルエン−2,4−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル−1−(2−メチルアジリジン)、トリ−1−アジリジニルホスフィンオキサイド、N,N'−ヘキサメチレン−1,6−ビス(1−アジリジンカルボキサミド)、トリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートなどを挙げることができる。
【0044】以上の、多官能化合物のうち、イソシアネート化合物、アルミニウムキレート、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサントリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネートを用いた場合、フィルムの透明性、反応速度、ブリスター抑制の点で望ましい。
【0045】さらにこのうちイソシアネート化合物が好ましく、その上にトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体が汎用性、応力緩和能の点で最も好ましい。
【0046】このような多官能化合物は、上記感圧性接着剤用アクリル系共重合体100重量部に対して、0.005〜5重量部、好ましくは0.01〜3重量部の範囲で使用される。このような範囲で多官能化合物を使用することにより、上記感圧性接着剤用アクリル系共重合体を三次元網目架橋させられる。なお、上記多官能化合物は組み合わせて複数使用することもできる。
【0047】本発明の感圧性接着剤には、用途に応じて、粘着物性、透明性、耐候性を害さない程度にさらに公知の粘着付与剤、光安定剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤を配合することができる。
【0048】本発明の感圧性接着シートは、前記の感圧性接着剤を、従来より慣用されている塗工方法によって、基材表面に塗工することにより製造することができる。
【0049】本発明に用いられる基材シートとしては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンなどのプラスチックシートやフィルム、合成紙、あるいはセルロース系シートやフィルム、さらには不織布などが挙げられる。このうち、透明なシートまたはフィルムに使用されるのが好ましい。これら基材となるシートには、用途により適当な図柄、文字などの印刷を施しておいてもかまわない。
【0050】 本発明の感圧性接着シートは、ガス放散性プラスチックに対して用いてもブリスターの発生を抑制できる。
【0051】本発明の積層体は、上記記載の感圧性接着剤から形成される粘着層を介して、基材シートとプラスチック成型品、プラスチック成型品とプラスチック成型品、またはプラスチック成型品とガラスを積層したものである。積層の方法に特に制限はなく、公知の方法を使用することができる。
【0052】本発明に用いられるプラスチック成型品としては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系ポリマー、及びこれらの複合体などのプラスチックより成型加工により製造されたフィルム、シート、成型品などを挙げることができる。
【0053】使用するプラスチック成型品にも特に制限はない。長期間の間にアウトガスを発生して積層シートとの間にブリスターを形成しやすいガス放散性プラスチックより成型された成型品の表面には、本発明の感圧性接着剤から形成される粘着層が好適に用いられる。
【0054】本発明の感圧性接着剤、感圧性接着シートは、具体的には以下の用途に使用することができる。
【0055】例えば、建築物の窓、自動車、電車、航空機の窓などの日照調節フィルム、飛散防止フィルム、表面保護フィルムや、プラスチック成型品や金属などの表面保護フィルム、およびその積層体、また自動車、看板などに貼られるマーキングシートなどに用いることができる。
【0056】また、シートに光学フィルムを用いることで光学フィルム粘着シートとすることができ、液晶表示装置の偏光板、反射型偏光板、楕円偏光板、位相差板などに使用することができる。
【0057】また、防曇フィルム、ハードコートプラスチック、撥水シート、親水シートなどを用いることによりそれら特徴をもつ粘着シート、および積層体を形成することができ、具体的にはスキーや水泳などのゴーグル、オートバイや自動車レースに使用されるヘルメットのシールド、自動車や建築物に使用される鏡、窓などに使用できる。
【0058】また、コンパクトディスク、DVD、フロッピー(登録商標)ディスク、カセットテープ、ビデオテープなどのプラスチック成型品使用メディアやそのケースに使用されるラベルに使用することができる。
【0059】
【実施例】次に、製造例、実施例、比較例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下実施例等に何ら制約されるものではない。なお、部は、重量部を表す。
【0060】「製造例1」攪拌機、コンデンサー、温度計、及び窒素導入管を取り付けた2リットルの反応装置に、アクリル酸ブチル222部、アクリル酸メチル62部、アクリル酸25部、アセトン34部、アゾビスイソブチロニトリル0.084部を仕込み、窒素置換を30分以上行った。別に滴下ロートに、アクリル酸ブチル222部、アクリル酸メチル62部、アクリル酸25部、アセトン348部、アゾビスイソブチロニトリル0.084部を用意した。その後反応装置を昇温し、60℃になった時点で、滴下ロートの内容物を滴下し始め反応を開始した。1時間で滴下を終了し、反応開始2時間後、及び3時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.168部を追加し、さらに5時間攪拌を続け感圧性接着剤用アクリル系共重合体を得た。重合は反応装置外壁を60℃に保ちながら行った。得られた高分子量体の重量平均分子量は176万、分子量分布Mw/Mnは3.6であった。
【0061】「製造例2」製造例1と同様の装置に、アクリル酸ブチル166部、アクリル酸メチル46部、アクリル酸18部、アセトン281部、アゾビスイソブチロニトリル0.062部を仕込み、窒素置換を30分以上行った。別に滴下ロートに、アクリル酸ブチル166部、アクリル酸メチル46部、アクリル酸18部、アセトン259部、アゾビスイソブチロニトリル0.062部を用意した。その後反応装置を昇温し、60℃になった時点で、滴下ロートの内容物を滴下し始め反応を開始した。1時間で滴下を終了し、反応開始2時間後、及び3時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.124部を追加し、さらに5時間攪拌を続け感圧性接着剤用アクリル系共重合体を得た。重合は反応装置外壁を60℃に保ちながら行った。得られた高分子量体の重量平均分子量は154万、分子量分布Mw/Mnは3.7であった。
【0062】「製造例3」製造例1のアセトンを酢酸エチルに変えた以外はすべて同様の装置、同様の操作で製造した。得られた高分子量体の重量平均分子量は138万、分子量分布Mw/Mnは4.3であった。
【0063】「製造例4」製造例1と同様の装置に、アクリル酸ブチル222部、アクリル酸メチル62部、アクリル酸25部、アセトン34部、アゾビスイソブチロニトリル0.084部を仕込み、窒素置換を30分以上行った。別に滴下ロートに、アクリル酸ブチル222部、アクリル酸メチル62部、アクリル酸25部、アセトン348部、アゾビスイソブチロニトリル0.084部を用意した。その後反応装置を昇温し、60℃になった時点で、滴下ロートの内容物を滴下し始め反応を開始した。1時間で滴下を終了し、反応開始2時間後、及び3時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル1.68部を追加し、さらに5時間攪拌を続け感圧性接着剤用アクリル系共重合体を得た。重合は反応装置外壁を60℃に保ちながら行った。得られた高分子量体の重量平均分子量は160万、分子量分布Mw/Mnは4.8であった。
【0064】「製造例5」製造例1と同様の装置に、アクリル酸ブチル134部、アクリル酸メチル37部、アクリル酸29部、アセトン361部、アゾビスイソブチロニトリル0.050部を仕込み、窒素置換を30分以上行った。別に滴下ロートに、アクリル酸ブチル134部、アクリル酸メチル37部、アクリル酸29部、アセトン267部、アゾビスイソブチロニトリル0.050部を用意した。その後反応装置を昇温し、60℃になった時点で、滴下ロートの内容物を滴下し始め反応を開始した。1時間で滴下を終了し、反応開始2時間後、及び3時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.10部を追加し、さらに5時間攪拌を続け感圧性接着剤用アクリル系共重合体を得た。重合は反応装置外壁を60℃に保ちながら行った。得られた高分子量体の重量平均分子量は117万、分子量分布Mw/Mnは3.5であった。
【0065】「製造例6」製造例1と同様の装置に、アクリル酸ブチル167部、アクリル酸メチル25部、アクリル酸54部、アセトン339部、アゾビスイソブチロニトリル0.066部を仕込み、窒素置換を30分以上行った。別に滴下ロートに、アクリル酸ブチル167部、アクリル酸メチル25部、アクリル酸54部、アセトン170部、アゾビスイソブチロニトリル0.066部を用意した。その後反応装置を昇温し、60℃になった時点で、滴下ロートの内容物を滴下し始め反応を開始した。1時間で滴下を終了し、反応開始2時間後、及び3時間後にそれぞれアゾビスイソブチロニトリル0.132部を追加し、さらに5時間攪拌を続け感圧性接着剤用アクリル系共重合体を得た。重合は反応装置外壁を60℃に保ちながら行った。得られた高分子量体の重量平均分子量は110万、分子量分布Mw/Mnは6.6であった。また、共重合体溶液は白濁していた。
【0066】「実施例1,2、比較例1〜4」製造例1〜6で製造された共重合体溶液をトルエンで希釈し、約5000mPsの粘度に調整した。これに、コロネートL(トリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体:日ポリウレタン社製)を感圧性接着剤用アクリル系共重合体100部に対して2部添加し、十分に混合した。これを厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート離型フィルム表面に、ドクターブレードを用いて乾燥重量で20g/m2となるように塗工し、その直後、100℃のオーブンで2分間乾燥し、粘着面に38μmポリエチレンテレフタレートフィルムを積層し、粘着シートを作製した。これを25℃で一週間熟成させたものを、幅25mmの短冊状に切り、試験片とした。
【0067】以上の結果とフィルムの外観を表1に示す。
【0068】
【表1】
Figure 2001354745
【0069】各試験は以下のように行った。
(1)接着力 #280耐水研磨紙で研磨したステンレス板に、2kgのゴムローラーを用い、300mm/分の速度で一往復荷重をかけ離型フィルムを取り除いた試験片をり付け、その20分後180度引き剥がし接着力を測定し、25mm幅あたりのグラム数で表した。
(2)保持力 #280耐水研磨紙で研磨したステンレス板を用い、2kgのゴムローラーを300mm/分の速度で一往復させ、離型フィルムを取り除いた試験片の一端を25mm×25mmの範囲でり付けた。40℃、湿度40%の雰囲気に20分放置後、同環境下で試験片のもう一端に1kgの荷重をかけ20時間放置し剪断剥離するまでの時間を測定した。20時間保持したものは接着面のズレを測定した。
(3)ブリスター抑制試験 試験片をリップロールで厚さ2mmの透明ポリカーボネート板(日本テストパネル社製)にり付け、積層体を作製した。この積層体形成時に混入した気泡にはマジックインキ(登録商標)で目印を付けた。り付け1日後、100℃のオーブンに入れ、1時間後および30日後の様子を目視で観察した。
○・・・り付け時に観察された以上の気泡が観察されない。
△・・・部分的に新たな気泡、フクレがある。
×・・・全体に新たな気泡、フクレがある。
【0070】結果を表2に示す。
【0071】
【表2】
Figure 2001354745
【0072】以上のように、比較例1は、酢酸エチルを媒体として製造された感圧性接着剤用アクリル系共重合体を使用しており、特別な反応装置や、再沈精製などの煩雑な程なしに、本発明の重量平均分子量、分子量分布の範囲に製造できず、ブリスター抑制能が低い。比較例2は分子量分布が4.0以上となっているのでブリスター抑制能が低い。比較例3は重量平均分子量が150万未満なのでブリスター抑制能が低い。比較例4は、カルボキシル基含有単量体の量が多すぎて、シートが白濁している上に、重量平均分子量、分子量分布ともに本発明の範囲に入らず、ブリスター抑制能が低い。
【0073】
【発明の効果】以上のように、本発明の感圧性接着剤用アクリル系共重合体、感圧性接着剤、感圧性接着シート、積層体は、各種プラスチック成形品の表面に貼付した場合のふくれやめくれなどのブリスターの抑制が必要な用途に適する。
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