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JP2001226108A - 炭素系ガス貯蔵材料の製造方法 - Google Patents

炭素系ガス貯蔵材料の製造方法

Info

Publication number
JP2001226108A
JP2001226108A JP2000039789A JP2000039789A JP2001226108A JP 2001226108 A JP2001226108 A JP 2001226108A JP 2000039789 A JP2000039789 A JP 2000039789A JP 2000039789 A JP2000039789 A JP 2000039789A JP 2001226108 A JP2001226108 A JP 2001226108A
Authority
JP
Japan
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carbon
carbon material
storage material
heat treatment
gas storage
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000039789A
Other languages
English (en)
Inventor
Itsukazu Yamaguchi
五和 山口
Hisazumi Oshima
大島  久純
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Denso Corp filed Critical Denso Corp
Priority to JP2000039789A priority Critical patent/JP2001226108A/ja
Publication of JP2001226108A publication Critical patent/JP2001226108A/ja
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
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    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
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    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P70/00Climate change mitigation technologies in the production process for final industrial or consumer products
    • Y02P70/50Manufacturing or production processes characterised by the final manufactured product

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  • Hydrogen, Water And Hydrids (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 元素を添加した炭素系ガス貯蔵材料を作製す
る際の製造工程を簡易化した製造方法を提供する。 【解決手段】 まず、材料準備工程において、カーボン
ナノチューブを含む炭素材料と炭酸リチウム粉末とを用
意し、混合工程において、無水エタノールを加えて湿式
混合する。次に、加熱処理工程において、混合した試料
を乾燥させて粉末状にし、ルツボに入れて電気炉にセッ
トする。電気炉内の雰囲気を大気雰囲気にし、温度を6
30℃で1時間保持して試料の加熱処理を行い、炭素材
料の精製と炭素材料へのリチウムの添加を行う。その
後、試料を電気炉から取り出し、大気中で急冷すること
により炭素系ガス貯蔵材料が完成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【請求項10】 前記炭素材料の酸化は、該炭素材料中
の少なくとも非晶質炭素を酸化する一部酸化を含むこと
を特徴とする請求項1ないし9のいずれか1つに記載の
炭素系ガス貯蔵材料の製造方法。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガスを貯蔵するこ
とができる炭素系ガス貯蔵材料の製造方法に関し、本発
明により製造された炭素系ガス貯蔵材料は、特に水素ガ
スを貯蔵対象とし、燃料電池の水素供給用材料として用
いると好適である。
【0003】
【従来の技術】現在、各研究機関等でカーボンナノチュ
ーブやグラファイトナノファイバー等の炭素材料のガス
貯蔵材料としての可能性が様々に研究されている。ま
た、カーボンナノチューブやグラファイトナノファイバ
ー等の炭素材料単体のガス貯蔵能力だけでなく、他の元
素を加えた場合のガス貯蔵能力も研究されている。この
炭素材料への他元素添加としては、従来からグラファイ
トへの元素添加が盛んに試みられており、元素を添加し
たグラファイトはグラファイト層間化合物という名称で
広く知られている。
【0004】ここで、炭素材料の一種であるカーボンナ
ノチューブは、現在アーク放電法やレーザー蒸発法等に
より作製されており、グラファイトナノファイバーは、
触媒を使用した熱ガス分解法等により作製されている。
また、炭素材料に元素を添加するための材料としては、
添加元素を含む無機化合物等の化学物質や添加元素単体
そのものが使用されている。
【0005】しかし、この炭素材料に関しては作製時に
その目的炭素材料以外の不純物が同時に生成することが
問題となっている。例えば、カーボンナノチューブを作
製する場合には、ナノサイズの非晶質炭素等の不純物が
同時に多量に生成し、カーボンナノチューブと混合した
状態の試料となってしまう。また、グラファイトナノフ
ァイバーの場合にも、グラファイトナノファイバーの表
面を非晶質炭素が被覆した状態の試料となってしまう。
そして、この表面に付着した非晶質炭素が添加元素のカ
ーボンナノチューブやグラファイトナノファイバー内へ
の拡散を妨げる原因になると考えられる。
【0006】そのため、従来はカーボンナノチューブや
グラファイトナノファイバー等の炭素材料に元素を添加
した材料を作製するために、第1段階としてこのような
炭素材料を精製し純度を高めることを行い、第2段階と
して精製した炭素材料に対して元素の添加を行うとい
う、大別して2段階の工程が必要であった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この第
1段階の炭素材料の精製は、かなり手間と時間のかかる
作業である。例えば、カーボンナノチューブの場合には
水中での煮沸処理後に、大気中で加熱して非晶質炭素を
酸化除去し、その後、酸化処理を行ったりフィルターを
利用して分離したりといった工程が行われている。グラ
ファイトナノファイバーの場合にも酸化処理等が行われ
る。
【0008】その上、現状では、この様な複雑な精製を
行っても純度100%の炭素材料を得ることはできてい
ない。以上のように、元素を添加したカーボンナノチュ
ーブやグラファイトナノファイバーを作製するために
は、炭素材料の精製だけでも多数の工程が必要であり、
さらに元素を添加する工程が加わることになる。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑み、元素を添加
した炭素系ガス貯蔵材料を作製する際の製造工程を簡易
化した製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明では炭素材料に対して元素を添加する工程に
おいて、炭素材料を酸化する工程を含めることに着眼し
て製造工程を簡易化するものである。
【0011】請求項1に記載の発明では、炭素材料と、
炭素材料に対して元素を添加するための添加物質とを用
意する材料準備工程と、炭素材料と添加物質とを混合す
る混合工程と、混合した炭素材料と添加物質とを加熱処
理することにより、炭素材料の酸化と炭素材料に対する
添加物質中の元素の添加処理とを含む加熱処理工程とを
有することを特徴としている。
【0012】本発明では、炭素材料の酸化と炭素材料に
対する添加物質の添加処理とを同一の工程で行っている
ため、元素を添加した炭素系ガス貯蔵材料を作製する際
の製造工程を簡易化した製造方法を提供することができ
る。
【0013】この場合、添加物質としては、アルカリ金
属元素の単体、アルカリ金属元素を含む無機化合物、お
よび、アルカリ金属元素を含む有機金属化合物のうちの
少なくとも1つを含むものを用いることができる。
【0014】また、添加物質として、パラジウム、白
金、ニッケル、パラジウムの化合物、白金の化合物およ
びニッケルの化合物のうちの少なくとも1つを含むもの
を用いても良い。
【0015】請求項4に記載の発明では、請求項1ない
し3に記載の発明において、添加物質として融点を有す
るものを用い、加熱処理工程における加熱処理温度が、
添加物質の融点以上であることを特徴としている。本実
施形態によれば、添加物質が液相化し反応面積が増大す
るため、炭素材料に対する元素の添加が容易になる。
【0016】請求項5に記載の発明では、請求項1ない
し4に記載の発明において、加熱処理工程における雰囲
気を、炭素材料を酸化させた後に不活性雰囲気または真
空雰囲気にすることを特徴としている。これにより、炭
素材料の過剰な酸化によって炭素材料が大きく減量する
ことを防ぐことができる。炭素材料の酸化とは、請求項
10にあるように、少なくとも非晶質炭素を酸化する一
部酸化が好ましい。これにより、炭素材料の更なる過剰
な減量を防ぐことができる。
【0017】請求項6に記載の発明では、請求項1ない
し4に記載の発明において、加熱処理工程における雰囲
気が、二酸化炭素、もしくは二酸化炭素と不活性ガスと
の混合ガスであることを特徴としている。
【0018】高温においては、二酸化炭素が炭素と反応
して一酸化炭素になるため酸化作用が発現する。また、
不活性ガスを混合することにより酸化力を調節すること
ができる。
【0019】請求項7に記載の発明のように、添加物質
としては、粉末状、添加物質を溶解させた溶液、および
添加物質を微粒子状にして浮遊させたもののうちの少な
くとも1つの形態のものを用いることができる。
【0020】なお、これは、材料準備工程での形態に限
定するものではなく、混合工程または加熱処理工程にお
いてこの様な形態となっても良い。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明により作製する炭素系ガス
貯蔵材料は、水素ガスを貯蔵対象とし、燃料電池の水素
供給用材料として用いると好適である。
【0022】(第1実施形態)図1は本発明の製造工程
を示す工程図である。図1に示すように、初めに、材料
準備工程として、精製していないカーボンナノチューブ
を含む炭素材料1.0gと、添加物質としてのアルカリ
金属元素を含む無機化合物である炭酸リチウム粉末0.
179gとを用意する。
【0023】次に、混合工程として、乳鉢に炭素材料と
炭酸リチウム粉末とを入れ、無水エタノールを適量(例
えば、2〜5ml)加え、湿式混合を行う。そして、混
合しながら無水エタノールを蒸発させ半乾燥させた後、
再び無水エタノールを適量加え湿式混合する。この様な
湿式混合を例えば3回行い、十分に炭素材料と炭酸リチ
ウム粉末とを混合する。その後、120℃の温度で12
時間以上乾燥させる。
【0024】続いて、加熱処理工程として、乾燥させた
試料をアルミナ製のルツボに入れ、電気炉を用いて大気
雰囲気下で加熱処理する。このとき、炭素材料の一部酸
化と、炭素材料への炭酸リチウム中のリチウムの拡散が
行われる。つまり、炭素材料中のカーボンナノチューブ
の表面に付着した非晶質炭素の酸化除去等(一部酸化)
が行われ、炭素材料が精製される。また、精製された炭
素材料に対してリチウムが拡散する。なお、炭素材料が
酸化される以前でも、カーボンナノチューブの表面に非
晶質炭素がついていない部分等からは、所定の温度に達
すればリチウムの拡散が行われる。加熱処理の条件は、
温度が630℃で保持時間は1時間である。
【0025】そして、加熱後に試料を電気炉から取り出
し、大気中で急冷して炭素系ガス貯蔵材料(以下、単に
ガス貯蔵材料という)が完成する。その後は、デシケー
タ内で保管する。
【0026】ところで、本実施形態によれば、酸素を含
む雰囲気における加熱処理という1段階の工程で、炭素
材料の酸化と炭素材料に対するリチウムの拡散とを行っ
ている。その結果、元素を添加したガス貯蔵材料を作製
する際の製造工程を簡易化した製造方法を提供すること
ができる。また、この加熱処理工程において、酸化によ
って炭素材料が精製されるため、原料として精製状態の
悪い炭素材料も使用でき、原料コストの低減が可能とな
る。
【0027】また、本実施形態のように、炭素材料の酸
化と同時並行的に炭素材料中に元素を拡散添加させる場
合には、炭酸リチウムの融点である618℃よりも高い
温度(本例では630℃)で加熱処理を行うと好まし
い。これは、炭酸リチウムが液相化し反応面積が増大す
るため、炭素材料に対する元素の拡散(添加)が容易に
なるためである。
【0028】また、カーボンナノチューブは酸化処理に
よりその構造の一部が破壊され、ガスの移動経路やガス
吸着面積が増加すると推定される。また、酸化処理によ
り反応面積が増加したり、新規の活性な面が現れたりす
る効果も期待され、元素との反応効率の向上も期待され
る。
【0029】以下に、本実施形態により作製したガス貯
蔵材料に対する水素吸蔵(貯蔵)量を、JISH−72
01の方法により測定した結果を示す。測定温度は30
℃であり、最高圧力は10MPaである。また、比較試
料としては、炭酸リチウム未添加のカーボンナノチュー
ブを含む炭素材料を用いた。
【0030】図2はこの結果を示すグラフであり、縦軸
は水素の圧力を示し、横軸は水素吸蔵量を示す。この水
素吸蔵量は質量百分率で示してあり、吸蔵された水素の
質量をガス貯蔵材料または比較試料の質量で割り100
を掛けた値である。また、白丸マークがプロットされた
曲線が本実施形態により作製したガス貯蔵材料について
の結果であり、白三角マークがプロットされた曲線が比
較試料についての結果である。
【0031】図2に示すように、水素圧力10MPaに
おける水素吸蔵量は、比較試料では0.2%であるのに
対し、ガス貯蔵材料では1.0%となっており、本実施
形態のように炭素材料にリチウムを添加することによ
り、水素吸蔵量を5倍にすることができた。なお、この
ガス貯蔵材料の水素吸蔵量は、従来の方法により、炭素
材料を酸化した後アルカリ金属元素を添加した試料に対
する水素吸蔵量と同程度である。
【0032】なお、混合工程で用いる液体は無水エタノ
ールに限定するものではなく、添加物質を溶解しない液
体を適宜用いることができる。また、添加物質の粒子は
微細であるほど望ましく、平均粒子径が1μm以下であ
ると特に好適である。
【0033】以下に、第1実施形態の第1変形例につい
て示すが、概要は上述の内容と同様であるため、主とし
て異なる部分について述べる。なお、本変形例は、添加
物質として、アルカリ金属元素を含む有機金属化合物を
用いるものである。
【0034】まず、図1の材料準備工程において、添加
物質としてのクエン酸リチウム四水和物とグラファイト
ナノファイバーを含む炭素材料とを用意する。次に、混
合工程において、モル比でリチウム1に対して炭素6と
なるように、炭素材料とクエン酸リチウム四水和物とを
無水エタノールを用いて湿式混合する。
【0035】その後、加熱処理工程において、混合した
試料をルツボに2g入れて電気炉中にセットし、毎分1
0℃の昇温速度で350℃にし、その温度に30分間保
持した後、平均冷却速度毎分50℃で室温まで冷却す
る。この場合の電気炉内の雰囲気は、空気を毎分50m
l流したものである。このようにしてガス貯蔵材料が完
成する。
【0036】次に、第1実施形態の第2変形例を述べ
る。本変形例は、添加物質としてアルカリ金属元素を含
む無機化合物の一例として、水酸化物を用いるものであ
り、主として特徴部分について述べる。
【0037】まず、図1の材料準備工程において、添加
物質としての水酸化カリウムペレットとグラファイトナ
ノファイバーを含む炭素材料とを用意する。次に、混合
工程において、モル比でカリウム1に対して炭素6とな
るように、炭素材料と水酸化カリウムペレットとを無水
エタノールを用いて湿式混合する。
【0038】その後、加熱処理工程において、混合した
試料をルツボに2g入れ電気炉内にセットし、毎分10
℃の昇温速度で360℃にし、30分間保持した後、毎
分50℃の平均冷却速度で室温まで冷却する。加熱中は
炉内に毎分50mlの空気を流す。このようにしてガス
貯蔵材料が完成する。
【0039】(第2実施形態)本実施形態は、加熱処理
工程における雰囲気に主な特徴がある。まず、図1の材
料準備工程において、添加物質としての例えば粒径が5
0〜200μmであるリチウム粉末と、カーボンナノチ
ューブを含む炭素材料とを用意する。次に、混合工程に
おいて、モル比でリチウム1に対し炭素6となるよう
に、リチウム粉末と炭素材料とを配合し、キシレンを適
量加えてペースト状にする。
【0040】その後、加熱処理工程において、乾燥させ
て粉末状にした試料をルツボに2g入れて電気炉中にセ
ットし、毎分10℃の昇温速度で350℃にし、その温
度に10分間保持した後、試料を電気炉から取り出し急
冷する。このときの電気炉内の雰囲気は、酸素濃度5v
ol%、窒素濃度95vol%の混合ガスを、毎分10
0ml流したものである。このようにしてガス貯蔵材料
が完成する。
【0041】本実施形態のように、加熱処理工程におけ
る雰囲気は、空気雰囲気にしなくても酸素濃度が低くて
も良い。このように酸素濃度を調節することにより、炭
素材料の酸加速度を制御することができる。
【0042】なお、上記ペースト状とは、粒子が沈降せ
ず適度の流動性を持つ状態を最適とする。また、混合工
程ではキシレンを用いたが、他にもリチウムと爆発的に
反応しない疎水性の液体であれば使用することができ
る。また、混合工程は、水分の少ない雰囲気で行うこと
が望ましく、例えば、露点を低下させたドライエアー中
で行うと好適である。
【0043】また、混合は、混練り器、乳鉢、ボールミ
ル、および遊星式ボールミル等の市販されている混合装
置を使用すれば良い。また、各試料をペースト状で混合
するのは、試料粉末の混合時の凝集・固着を防止するた
めであるが、凝集体を粉砕するような強力な混合装置を
使用する場合は、混合の際に液体を使用しなくても良
い。
【0044】次に、第2実施形態の第1変形例について
述べる。炭素材料は酸化により減量するため、必要以上
の酸化処理を避けることが望ましい。しかし、炭素材料
中に添加元素を拡散させるための温度が高温である場合
は、炭素材料の酸化が必要以上に進行してしまう。本変
形例は、炭素材料の必要以上の酸化を防止するものであ
る。
【0045】まず、図1の材料準備工程において、添加
物質としての炭酸リチウム粉末とグラファイトナノファ
イバーを含む炭素材料とを用意する。次に、混合工程に
おいて、モル比でリチウム1に対して炭素8となるよう
に、リチウム粉末と炭素材料とを無水エタノールを適量
加えて湿式混合する。
【0046】その後、加熱処理工程を行う。まず、乾燥
させて粉末状にした混合試料をルツボに2g入れて電気
炉中にセットし、毎分10℃の昇温速度で350℃に
し、この温度に10分間保持する。この際は、加熱雰囲
気を大気雰囲気とするために毎分50mlの空気を流
す。その後、空気に換わって不活性ガスとしてのアルゴ
ンガスを、毎分50ml電気炉内に流して不活性雰囲気
にした後、毎分10℃の昇温速度で650℃にして、3
0分間保持する。その後、不活性雰囲気の状態で、毎分
40℃の平均冷却速度で室温まで冷却して、ガス貯蔵材
料が完成する。
【0047】ところで、本変形例によれば、炭素材料中
のグラファイトナノファイバーの表面に付着した非晶質
炭素が酸化除去される等、炭素材料が精製された後に不
活性雰囲気に切り換えているため、必要以上の酸化によ
る炭素材料の減量を防ぐことができる。
【0048】なお、不活性ガスとしてはアルゴン以外
に、ヘリウム等の希ガスや窒素等の炭素を酸化させる可
能性の無い気体を用いることができる。また、二酸化炭
素も分解して酸素を発生しない温度であれば用いること
ができる。また、雰囲気の切り換えは温度を低下させず
に行うことが望ましい。また、大気雰囲気での加熱処理
の後、真空雰囲気にしても良い。
【0049】次に、第2実施形態の第2変形例を示す。
本変形例では、加熱処理雰囲気に二酸化炭素を用いるこ
とを特徴とする。まず、図1の材料準備工程において、
添加物質としての炭酸カリウム粉末とグラファイトナノ
ファイバーを含む炭素材料とを用意する。次に、混合工
程において、モル比でカリウム1に対して炭素10とな
るように炭酸カリウム粉末と炭素材料とを配合し、無水
エタノールを加えて湿式混合する。
【0050】次に、加熱処理工程において、乾燥して粉
末状にした混合試料をルツボに2g入れて電気炉中にセ
ットし、毎分10℃の昇温速度で900℃にして、この
温度に1時間保持した後、毎分40℃の平均冷却速度で
冷却する。この場合の雰囲気は、二酸化炭素50vol
%、不活性ガスとしてのアルゴン50vol%の混合ガ
スを毎分20ml流したものである。このようにしてガ
ス貯蔵材料が完成する。
【0051】高温においては、二酸化炭素は炭素と反応
して一酸化炭素になり、酸化作用が発現するため、炭素
材料を酸化するための雰囲気として選択することができ
る。そして、不活性ガスを混合することにより分圧を調
節して酸化力を調節することができる。
【0052】なお、二酸化炭素の比率は、この値に限定
されるものではなく、1体積%から100体積%まで変
化させた条件で加熱することも可能である。また、加熱
の際の保持温度は、700℃〜1200℃の範囲内から
選定することが可能である。また、不活性ガスとして
は、窒素やヘリウムを用いても良い。
【0053】(第3実施形態)本実施形態は、添加物質
の形態に主な特徴がある。以下、主として第1実施形態
と異なる部分について述べる。
【0054】まず、図1の材料準備工程において、添加
物質としての硝酸リチウム粉末とグラファイトナノファ
イバーを含む炭素材料とを用意する。次に、混合工程に
おいて、モル比でリチウム1に対して炭素6となるよう
に硝酸リチウム粉末と炭素材料とを乳鉢に入れ、無水エ
タノールを適量加えてリチウムを溶解させた状態で混合
する。ここで、混合した試料はペースト状である。
【0055】その後、加熱処理工程において、乾燥させ
て粉末状にした混合試料をルツボに2g入れ電気炉内に
セットし、毎分10℃の昇温速度で300℃にし、この
温度に10分間保持した後、電気炉から取り出して大気
中で急冷する。この場合の電気炉内の雰囲気は大気雰囲
気とし、空気を毎分50ml電気炉内に流す。このよう
にしてガス貯蔵材料が完成する。
【0056】ところで、本実施形態では、添加物質が硝
酸リチウムをエタノールに溶解させた溶液であるため、
試料が粉末の場合よりも均一に混合させることが可能で
ある。また、ペーストの状態は粘度が低すぎると乾燥中
に硝酸リチウムの偏析が起こるため、固めの状態とする
ことが望ましい。また、この偏析を避けるために、スプ
レードライヤー等の短時間で乾燥させることができる乾
燥機を使用することがさらに望ましい。
【0057】(第4実施形態)本実施形態は、添加物質
の形態に主な特徴がある。まず、部分的に加熱可能もし
くは分割加熱可能で、かつ真空引き可能な電気炉を用意
する。次に、図1の材料準備工程において、グラファイ
トナノファイバーを含む炭素材料と添加物質としてのカ
リウム(金属カリウム)とを用意する。そして、アルミ
ナ製の板状試料台に炭素材料を1mm未満になるように
薄く敷き詰め、電気炉内にセットする。次に、カリウム
を部分的に加熱可能な位置に所定量セットする。
【0058】次に、混合工程において、真空ポンプを用
いて電気炉内を真空(1.3×10 -4Paレベル)にし
た後、カリウムをセットした部分を250℃にしてカリ
ウムを気化(微粒子状で浮遊した状態)させる。気化し
たカリウムは炉内に拡散し炭素材料上に析出する。
【0059】また、この時点で一部のカリウムは炭素材
料内へ拡散する場合もある。また、このときに炭素材料
をセットした部分を加熱(200〜600℃程度が望ま
しい)しておくと、炭素材料内へのカリウムの拡散が起
こりやすくなる。ただし、炭素材料において、グラファ
イトナノファイバーの表面が非晶質炭素に被覆されてい
る場合は、グラファイトナノファイバー内へのカリウム
の拡散は困難である。
【0060】そして、十分にカリウムを気化拡散させた
(セットしたカリウムが全て気化した状態が望ましい)
後、加熱処理工程として、電気炉内の温度を400℃に
上昇させて1時間保持する。ただし、上記カリウムの気
化の際に温度を上昇させた場合は必要ない。次に、電気
炉内に微量の空気もしくは酸素を含むガスを導入して、
炭素材料を酸化させる。これにより、グラファイトナノ
ファイバー表面の非晶質炭素が除去される等、炭素材料
が精製されて、カリウムが確実に炭素材料に添加され
る。
【0061】続いて、平均冷却速度毎分40℃で電気炉
内の温度を低下させ、室温まで低下した後大気開放して
試料を取り出し、ガス貯蔵材料が完成する。
【0062】なお、加熱処理工程における雰囲気は、大
気圧と同程度に戻す必要は無く、10-2Pa程度であっ
ても良い。また、電気炉の冷却時の雰囲気は酸化雰囲気
で良い。また、上記例の他に、添加物質を微粒子のエア
ロゾル状態にして炭素材料と反応させるようにしても良
い。
【0063】(第5実施形態)上記各実施形態では、ア
ルカリ金属を炭素材料に添加していたが、本実施形態で
は、触媒の働きをする元素を添加する例について示す。
本実施形態は、ガス貯蔵材料に水素を貯蔵させる場合に
用いて好適である。
【0064】まず、図1の材料準備工程において、添加
物質としての酸化白金粉末とグラファイトナノファイバ
ーを含む炭素材料とを用意する。次に、混合工程におい
て、モル比で白金1に対して炭素12となるように酸化
白金粉末と炭素材料とを配合し、ジルコニアセラミック
製の遊星ボールミル用の容器内に、ジルコニアセラミッ
ク製のボールとともに配合した試料を入れ、内部を窒素
雰囲気にしてふたをする。そして、上記容器を遊星ボー
ルミル装置にセットして粉砕混合を行う。
【0065】その後、加熱処理工程において、混合した
試料をルツボに2g入れて電気炉にセットし、電気炉を
毎分5℃の昇温速度で500℃にし、10分間保持した
後、電気炉から試料を取り出して急冷する。加熱中は電
気炉内に空気を毎分50ml流す。このようにしてガス
貯蔵材料が完成する。
【0066】ところで、炭素材料に白金を添加すること
により、炭素材料に水素を貯蔵させる場合に、水素が白
金の触媒作用により解離され水素イオンとなりガス貯蔵
材料である炭素材料に拡散される。従って、水素の貯蔵
能力を高めることができる。その他、この様な触媒作用
を有する金属として、パラジウムやニッケル等がある。
本実施形態では、添加物質として酸化白金を用いたが、
白金、パラジウム、ニッケル、およびこの各々の化合物
を用いても良い。また、これらを2種類以上組み合わせ
ることもできる。
【0067】次に第5実施形態の変形例について述べ
る。この変形例は、第5実施形態において、さらにアル
カリ金属を添加するものであり、主として異なる部分に
ついて述べる。まず、図1の材料準備工程として、酸化
白金粉末、リチウム粉末およびグラファイトナノファイ
バーを含む炭素材料を、モル比で、白金1に対してリチ
ウム2、炭素12となるように用意する。そして、上述
のように混合工程および加熱処理工程を行い、ガス貯蔵
材料が完成する。ただし、加熱処理温度は350℃とす
る。
【0068】(他の実施形態)上記第1〜第5実施形態
では、添加物質としてリチウムやカリウム、またはその
無機化合物や有機化合物を用いる例について示したが、
その他アルカリ金属である、ナトリウム、ルビジウム、
セシウム、およびその無機化合物や有機化合物を用いて
も良い。例えば、アルカリ金属の酢酸塩を用いたり、カ
リウムエトキシドの様なアルコキシドを用いても良い。
また、これらを1種類のみ用いるのではなく、2種類以
上組み合わせて用いることもできる。
【0069】また、炭素材料としては、カーボンナノチ
ューブやグラファイトナノファイバーの他に、グラファ
イトやカーボンファイバーを含むものも用いることがで
きる。また、これらを単独ではなく、2種類以上混合し
た状態で使用することも可能である。ただし、例えば、
異種の材料が融着した状態等の、ガスの貯蔵を妨げるよ
うな状態で使用することは望ましくない。
【0070】また、添加物質の形態は、粉末状のものと
溶媒に溶解させた溶液のものとを併用するなど、異なる
形態の添加物質を併用しても良い。また、上記第1〜第
3および第5実施形態における添加物質と炭素材料との
混合比率は、上述の数値に限定するものではなく、この
混合比率を変えることにより、炭素材料に対する添加元
素の添加量を変えることも可能である。
【0071】上記、各実施形態に示したように、本発明
では、加熱処理温度や加熱処理時間等は様々な組み合わ
せが存在し、上記各実施形態の数値に限定されるもので
はない。ここで、加熱処理温度としては炭素が酸化し始
める200℃から燃焼状態になる1000℃の範囲内か
ら選択することができる。ただし、酸素濃度や除去対象
の炭素材料の種類や状態を考慮する必要がある。加熱処
理時間は、加熱処理温度に到達直後に降温する場合を最
短とでき、試料の作成時間の短縮化を考慮すると最長2
時間程度にすることが望ましい。ただし、加熱処理温度
や酸素濃度等に依存する。
【0072】従って、加熱処理時間、加熱処理温度、酸
素濃度、試料の状態等を相互に考慮して、加熱処理条件
等を決定する必要がある。例えば、低温で酸素濃度を低
下させた条件下で、酸加速度を遅くして長時間加熱処理
を行うことも可能である。また、加熱処理温度が高く酸
化が急激に起こる場合は、酸素濃度を低下させて酸化速
度を低下させることが有効である。
【0073】なお、第1〜第4実施形態、および他の実
施形態により作製したガス貯蔵材料は、水素の他にメタ
ン等も貯蔵させることができる。また、上記第2〜第5
実施形態、および他の実施形態では、第1実施形態と同
様の効果を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造工程を示す工程図である。
【図2】ガス貯蔵材料に対する水素吸蔵量を測定した結
果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G040 AA42 AA44 4G046 CB08 CC02 CC05 4L031 AA27 BA14 CA02 CA08 DA00 5H027 BA13 BA16

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素材料と、前記炭素材料に対して元素
    を添加するための添加物質とを用意する材料準備工程
    と、 前記炭素材料と前記添加物質とを混合する混合工程と、 前記混合された炭素材料と添加物質とを加熱処理するこ
    とにより、前記炭素材料の酸化と前記炭素材料に対する
    前記添加物質中の元素の添加処理とを含む加熱処理工程
    とを有することを特徴とする炭素系ガス貯蔵材料の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 前記添加物質が、アルカリ金属元素の単
    体、アルカリ金属元素を含む無機化合物、および、アル
    カリ金属元素を含む有機金属化合物のうちの少なくとも
    1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の炭素系ガ
    ス貯蔵材料の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記添加物質が、パラジウム、白金、ニ
    ッケル、パラジウムの化合物、白金の化合物およびニッ
    ケルの化合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴
    とする請求項1または2に記載の炭素系ガス貯蔵材料の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記添加物質として融点を有するものを
    用い、前記加熱処理工程における加熱処理温度が、前記
    添加物質の融点以上であることを特徴とする請求項1な
    いし3のいずれか1つに記載の炭素系ガス貯蔵材料の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 前記加熱処理工程における雰囲気を、前
    記炭素材料を酸化させた後に不活性雰囲気または真空雰
    囲気にすることを特徴とする請求項1ないし4のいずれ
    か1つに記載の炭素系ガス貯蔵材料の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱処理工程における雰囲気が、二
    酸化炭素、もしくは二酸化炭素と不活性ガスとの混合ガ
    スであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか
    1つに記載の炭素系ガス貯蔵材料の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記添加物質の形態が、粉末状、前記添
    加物質を溶解させた溶液、および前記添加物質を微粒子
    状にして浮遊させたもののうちの少なくとも1つである
    ことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記
    載の炭素系ガス貯蔵材料の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記炭素材料が、カーボンナノチュー
    ブ、グラファイトナノファイバー、グラファイトおよび
    カーボンファイバーのうちの少なくとも1つを含むこと
    を特徴とする請求項1ないし7のいずれか1つに記載の
    炭素系ガス貯蔵材料の製造方法。
  9. 【請求項9】 貯蔵するガスが水素であることを特徴と
    する請求項1ないし8のいずれか1つに記載の炭素系ガ
    ス貯蔵材料の製造方法。
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