JP2001224397A - 低密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法 - Google Patents
低密度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法Info
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Abstract
ロールを消去し、第2工程でLDLコレステロールを定
量する測定方法において試料中の高TGの影響を回避す
る方法を提供すること。 【解決手段】 被検試料中の低密度リポ蛋白以外のリポ
蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次い
で、被検試料中の残存コレステロールを定量する第2工
程とから成る、被検試料中の低密度リポ蛋白中のコレス
テロールの定量方法において、前記第1工程をアルブミ
ンの存在下で行う。
Description
度リポ蛋白中のコレステロールの定量方法に関する。
下、「LDLコレステロール」という)は血液中におけ
るコレステロール運搬の主役であり、特に粥状動脈硬化
において血管壁に沈着したコレステロールは主にLDL
に由来している。LDLの増加は動脈硬化性疾患の主要
な危険因子の1つであり、分別定量することは臨床上有
用である。
法は、分画とコレステロール定量の2つの操作から求め
る方法と総コレステロール、HDLコレステロール、ト
リグリセリド値より求めるFriedewald式によ
る演算方法がある。
法等があるが、試料を遠心処理またはフィルター処理に
よる操作が必要となり、臨床検査の場において簡便性や
経済性において普及しにくい状況にあった。また、Fr
iedewald式による演算方法もその使用に制限が
あり、かつ個体差を加味していないため正確性に問題が
あった。
ないLDLコレステロール定量方法(公開番号 特開平1
1−318496)が報告され、現在、臨床検査用試薬として
検査の場で適用されつつある。この方法は、第1工程で
試料中のLDL以外のリポ蛋白中コレステロールを選択
的に消去(消去とはエステル型コレステロールと遊離型
コレステロールを分解し、その分解物が第2工程で検出
されないようにすることを意味する)し、第2工程でL
DLコレステロールを定量するものである。
グリセリド(TG)値が異常高値を示すものについて負
の測定誤差を生じるという問題点があった。それ故に、
この問題点を回避することが測定法としての有用性を高
めることとなり、その方法が望まれている状況にあっ
た。
工程でLDL以外のリポ蛋白中コレステロールを消去
し、第2工程でLDLコレステロールを定量する測定方
法において試料中の高TGの影響を回避する方法を提供
することである。
誤差の原因について調査した結果、第1工程の消去時に
おいて試料中に高濃度のTGが存在すると、本来消去さ
れてはいけないLDL中コレステロールが消去され始め
ることを突き止めた。さらに高濃度TGの存在はTGを
多く含むカイロミクロン(CM)、超低密度リポ蛋白
(VLDL)等のリポ蛋白が多く存在することを意味
し、これらが、LDLコレステロールの消去を誘発して
いることがわかった(LDLを含むこれらリポ蛋白は、
コレステロールやTG、リン脂質、蛋白の集合体として
粒子系を形成しており、それぞれのリポ蛋白によって蛋
白の種類やコレステロール、TG量の違いがある)。
在すると第1工程においてCM、VLDL中のコレステ
ロールは分解し消去されるが、他の蛋白、リン脂質等の
残骸物は残る。そのため試料中のCM、VLDL濃度が
高くなるにつれて、これら残骸物濃度も高くなり、一部
の残骸物のLDLへの吸着も起こり始める。そして、吸
着したLDLが、LDL以外のリポ蛋白と認識され消去
が起こり始めることが明らかとなってきた。
方法について検討した結果、第1工程中にアルブミンを
添加することにより、残骸物がアルブミンに吸着され、
LDLへの影響を回避する事ができた。
リポ蛋白以外のリポ蛋白中のコレステロールを消去する
第1工程と、次いで、被検試料中の残存コレステロール
を定量する第2工程とから成る、被検試料中の低密度リ
ポ蛋白中のコレステロールの定量方法において、前記第
1工程をアルブミンの存在下で行うことを特徴とする方
法を提供する。
ールとしては、エステル型コレステロール(コレステロ
ールエステル)及び遊離型コレステロールがある。本明
細書において、単に「コレステロール」という場合に
は、これらの両者を包含する。
は、HDL、LDL、VLDL及びCM等のリポ蛋白を
含むかもしれない試料であればいずれのものでもよく、
例えば、血液、血清、血漿等の体液やその希釈物を挙げ
ることができるがこれらに限定されるものではない。
ら成り、第1工程では被検試料中のHDL、VLDL及
びCM中のコレステロールを消去し、続く第2工程で
は、被検試料中の残存コレステロールを定量する。第1
工程でHDL、VLDL及びCM中のコレステロールが
消去されているので、第2工程で定量されるコレステロ
ールは、主として被検試料中のLDL中のコレステロー
ルである。
ロールを分解し、かつ、その分解産物が次の第2工程で
検出されないようにすることを意味する。LDL以外の
リポ蛋白、すなわち、HDL、VLDL、CM等に含ま
れるコレステロールを選択的に消去する方法としては以
下の方法を挙げることができる。
に作用する界面活性剤の存在下において、コレステロー
ルエステラーゼ及びコレステロールオキシダーゼを作用
させ、生じた過酸化水素を消去する。
ラーゼを作用させて水と酸素に分解する方法、及びペル
オキシダーゼを用いてフェノール系又はアニリン系水素
供与体化合物と過酸化水素を反応させて無色キノンに転
化する方法を挙げることができるが、これらに限定され
るものではない。
テラーゼ濃度は0.2〜1.0U/mL程度が好まし
く、由来としてはシュードモナス属細菌から生成される
ものが効果的である。また、コレステロールオキシダー
ゼの濃度は0.1〜 0.7U/mL程度が好ましく、
細菌や酵母由来のものを用いることが好ましい。さら
に、カタラーゼの濃度は40〜100U/mL程度が好
ましい。また、過酸化水素を無色キノンへ転化する場合
のペルオキシダーゼの濃度は0.4〜1.0U/mLが
好ましく、フェノール系又はアニリン系水素供与体化合
物の濃度としては0.4〜0.8mmol/Lが好まし
い。
蛋白に作用する界面活性剤の好ましい例として、HLB
値が13以上15以下、好ましくは13以上14以下で
あるポリアルキレンオキサイド誘導体を挙げることがで
きる。誘導体の例としては高級アルコール縮合物、高級
脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミド縮合物、高級アルキル
アミン縮合物、高級アルキルメルカプタン縮合物、アル
キルフェノール縮合物を挙げることができる。なお、界
面活性剤のHLB算出方法は周知であり、例えば「新界
面活性剤」、堀内博著、昭和61年、三共出版に記載さ
れている。
レンオキサイド誘導体の好ましい具体例としては、ポリ
オキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレン
セチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテ
ル、ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリ
オキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシ
エチレンノニルフェニルエーテル等でHLB値が13以
上15以下の化合物を挙げることができるがこれらに限
定されるものではない。
度は、0.1〜10g/l程度が好ましく、さらに好ま
しくは0.5〜5.0g/l程度である。
ことが好ましく、緩衝液としてはトリス、トリエタノー
ルアミン、グットの緩衝液等のアミンを含む緩衝液が好
ましい。特にグット緩衝液であるBis−Tris、P
IPES、MOPSO、BES、HEPES及びPOP
SOが好ましく、緩衝液の濃度は10〜500mM程度
が好ましい。
リポ蛋白の消去をさらに高めるために、反応液中に2価
の金属イオンを含ませてもよい。2価の金属イオンとし
ては銅イオン、鉄イオン及びマグネシウムイオンを使用
することができるが、特にマグネシウムイオンが好まし
い。2価の金属イオンの濃度は5〜200mM程度が好
ましい。
に、リポ蛋白分解酵素を加えることもできる。この酵素
を加えることにより、特にVLDL中のコレステロール
が反応しやすくなるので好ましい。この酵素の反応液中
濃度は、5.0〜10.0U/mL程度が好ましい。
適当であり、37℃が最も好ましい。また、反応時間は
2〜10分間程度でよい。
の存在下で行う。アルブミンは、アルブミンであれば何
ら限定されるものではなく、血清アルブミン等の市販の
アルブミンを好適に用いることができる。アルブミンの
起源は何ら限定されるものではなく、ヒト、ウシ、ブ
タ、ウマ等いずれの動物であってもよく、特に、広く用
いられているウシ血清アルブミンを好適に用いることが
できる。第1工程の反応溶液中の前記アルブミンの濃度
は0.1〜5.0 g/dLが好ましく、0.3〜3.0 g/dLがさらに好
ましい。
ステロールを定量する。これは、例えば、少なくともL
DLに作用する界面活性剤を加え、第1工程で加えたコ
レステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダ
ーゼの作用により生じた過酸化水素を定量することによ
り行なうことができる。ここで、少なくともLDLに作
用する界面活性剤は、LDLのみに選択的に作用する界
面活性剤でもよいし、全てのリポ蛋白に作用する界面活
性剤であってもよい。
ましい例として、HLB値が11以上13未満、好まし
くは12以上13未満であるポリアルキレンオキサイド
誘導体を挙げることができる。誘導体の例としては高級
アルコール縮合物、高級脂肪酸縮合物、高級脂肪酸アミ
ド縮合物、高級アルキルアミン縮合物、高級アルキルメ
ルカプタン縮合物、アルキルフェノール縮合物を挙げる
ことができる。
レンオキサイド誘導体の好ましい具体例として、ポリオ
キシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセ
チルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、
ポリオキシエチレン高級アルコールエーテル、ポリオキ
シエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レンノニルフェニルエーテル等でHLB値が11以上1
3未満の化合物を挙げることができるがこれらに限定さ
れるものではない。
活性剤として、陰イオン界面活性剤を挙げることができ
る。ここで用いられる陰イオン界面活性剤としては、特
に限定されないが、芳香環に炭素数4〜18の直鎖状又
は分枝状アルキル基が結合したものを有するものが好ま
しい。ここで、芳香環は、ベンゼン、ナフタレン、ジフ
ェニール等のように炭素と水素のみから成るものが好ま
しい。さらに、上記芳香環にスルホン酸塩のような親水
基が結合したものが好ましい。このような好ましい陰イ
オン界面活性剤の例を下記式(I)ないし(V)に示す。
数4〜18の直鎖状又は分枝状アルキル基を示す。ま
た、第2工程で用いられる好ましい陰イオン界面活性剤
として、高級アルコール硫酸ナトリウム等を挙げること
ができる。第2工程で用いられる界面活性剤の濃度は、
0.1〜100g/l程度が好ましく、さらに好ましく
は1〜50g/l程度である。
第1工程における好ましい反応条件と同様である。
明する。もっとも本発明は下記実施例に限定されるもの
ではない。
ロール定量試薬を調製した。さらに第1試薬にウシ血清
由来のアルブミンを1.0g/dL添加した試薬も調製
し、2種類の試薬で効果の確認を行った(第2試薬は共
通に使用)。
ぞれ6種類の試料は全てLDLコレステロール濃度を同
じとし、CM濃度だけを変えたものとした(CMの濃度
差はTG値として示した)。VLDL試料もCM試料と
同様に6種類調製した。
7℃に加温した第1試薬300μLを混和し、37℃で
5分間反応させた後に、第2試薬100μLを加え5分
間反応させ600nmにおける吸光度を測定した。測定
された吸光度から事前に測定していた既知濃度試料の吸
光度と比較を行い、LDLコレステロール濃度を算出し
た。
した試薬はCMの濃度が上昇しても測定値の低下とはな
らず、影響を回避していることがわかる。
ルブミンの効果が十分に確認できる。
加することにより、他のリポ蛋白の影響を回避でき、従
来方法に比べより高精度にLDL中のコレステロールを
定量することができるという効果が奏される。
Claims (8)
- 【請求項1】 被検試料中の低密度リポ蛋白以外のリポ
蛋白中のコレステロールを消去する第1工程と、次い
で、被検試料中の残存コレステロールを定量する第2工
程とから成る、被検試料中の低密度リポ蛋白中のコレス
テロールの定量方法において、前記第1工程をアルブミ
ンの存在下で行うことを特徴とする方法。 - 【請求項2】 前記第1工程の反応溶液中の前記アルブ
ミンの濃度は0.1〜5.0 g/dLである請求項1記載の方
法。 - 【請求項3】 前記第1工程の反応は、pH5〜9、温
度30〜40℃で行う請求項1又は2記載の方法。 - 【請求項4】 前記第1工程は、低密度リポ蛋白以外の
リポ蛋白に作用する界面活性剤の存在下において、コレ
ステロールエステラーゼ及びコレステロールオキシダー
ゼを作用させ、生じた過酸化水素を消去することから成
る、請求項1記載の方法。 - 【請求項5】 前記第2工程は、前記第1工程の産物
に、少なくとも低密度リポ蛋白に作用する界面活性剤を
加え、前記コレステロールエステラーゼ及びコレステロ
ールオキシダーゼの作用により生じた過酸化水素を定量
することから成る、請求項4記載の方法。 - 【請求項6】 前記少なくとも低密度リポ蛋白と作用す
る界面活性剤は、全てのリポ蛋白に作用するものである
請求項5記載の方法。 - 【請求項7】 前記第1工程で用いられる、低密度リポ
蛋白以外のリポ蛋白に作用する界面活性剤は、HLB値
が13以上15以下であるポリアルキレンオキサイド誘
導体である請求項1ないし6のいずれか1項に記載の方
法。 - 【請求項8】 前記第2工程で用いられる、全てのリポ
蛋白に作用する界面活性剤は、HLB値が11以上13
未満であるポリアルキレンオキサイド誘導体である請求
項5記載の方法。
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