JP2001264599A - 光ファイバーケーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物 - Google Patents
光ファイバーケーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物Info
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- JP2001264599A JP2001264599A JP2000076665A JP2000076665A JP2001264599A JP 2001264599 A JP2001264599 A JP 2001264599A JP 2000076665 A JP2000076665 A JP 2000076665A JP 2000076665 A JP2000076665 A JP 2000076665A JP 2001264599 A JP2001264599 A JP 2001264599A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 異形押出し成形による光ファイバーケーブル
用スペーサーの製造に好適で、成形品スペーサーの表面
平滑性の向上、変色の低減、目やに発生の抑制を可能に
するポリエチレン樹脂組成物の提供。 【解決手段】 ポリエチレン樹脂を主成分、フッ素樹脂
を添加剤成分として含み、当該ポリエチレン樹脂は、メ
ルトインデックス(MI)が0.01〜0.3g/10
分、密度が0.94〜0.96g/cm3 のものであ
り、当該フッ素樹脂は、融点が100〜300℃、フッ
素含有量が50wt%以上のものであり、且つ、当該フ
ッ素樹脂の含有量が当該ポリエチレン樹脂100質量部
に対し0.01〜2質量部である組成物とする。
用スペーサーの製造に好適で、成形品スペーサーの表面
平滑性の向上、変色の低減、目やに発生の抑制を可能に
するポリエチレン樹脂組成物の提供。 【解決手段】 ポリエチレン樹脂を主成分、フッ素樹脂
を添加剤成分として含み、当該ポリエチレン樹脂は、メ
ルトインデックス(MI)が0.01〜0.3g/10
分、密度が0.94〜0.96g/cm3 のものであ
り、当該フッ素樹脂は、融点が100〜300℃、フッ
素含有量が50wt%以上のものであり、且つ、当該フ
ッ素樹脂の含有量が当該ポリエチレン樹脂100質量部
に対し0.01〜2質量部である組成物とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバーケー
ブル用スペーサを製造するのに好適なポリエチレン樹脂
組成物に関する。
ブル用スペーサを製造するのに好適なポリエチレン樹脂
組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】現代生活においては、情報の交換が重要
な役割を演じており、様々な情報が様々な通信手段を介
して伝達されている。通信手段についてみれば、それは
電気信号を用いるものと光信号を用いるものの二つに大
別される。これらのうち、光信号を用いるいわゆる光通
信は、歴史的には電気信号を用いる電気通信より新しい
技術であるが、通信媒体としての光ファイバーの進歩に
伴い、急速に普及しているものである。
な役割を演じており、様々な情報が様々な通信手段を介
して伝達されている。通信手段についてみれば、それは
電気信号を用いるものと光信号を用いるものの二つに大
別される。これらのうち、光信号を用いるいわゆる光通
信は、歴史的には電気信号を用いる電気通信より新しい
技術であるが、通信媒体としての光ファイバーの進歩に
伴い、急速に普及しているものである。
【0003】光通信に用いられる光ファイバーは一般
に、ガラスや透明樹脂から製作される繊維状の伝送媒体
であり、屈折率の大きなコア(心線)を屈折率の小さな
クラッドが覆った構造を持ち、そして単一の素線とし
て、あるいは複数を集合したケーブルとして用いられて
いる。また、光ファイバーには、軽量である、低損失性
であるため長い中継区間を採用できる、広帯域性である
ため高速伝送が可能である、無誘導性のため外部電磁界
の影響を受けず安定した通信が可能である、非金属材料
から製作されるため高絶縁性で地電位差などを無視でき
る、等の優れた特性がある。
に、ガラスや透明樹脂から製作される繊維状の伝送媒体
であり、屈折率の大きなコア(心線)を屈折率の小さな
クラッドが覆った構造を持ち、そして単一の素線とし
て、あるいは複数を集合したケーブルとして用いられて
いる。また、光ファイバーには、軽量である、低損失性
であるため長い中継区間を採用できる、広帯域性である
ため高速伝送が可能である、無誘導性のため外部電磁界
の影響を受けず安定した通信が可能である、非金属材料
から製作されるため高絶縁性で地電位差などを無視でき
る、等の優れた特性がある。
【0004】複数の光ファイバーを集合した光ファイバ
ーケーブル(あるいは単に光ケーブル)は、基本構造の
面から、層撚り型ケーブル、ユニット型ケーブル、テー
プ型ケーブル、スペーサー型ケーブルの四つに大別され
る。これらのうちのスペーサー型ケーブルでは、ファイ
バー素線あるいは心線を外力から保護するために各種の
スペーサーが用いられる。一例として、らせん溝付きス
ペーサーを図1(A)及び(B)に示す。このスペーサ
ー11は、光ファイバーを格納するための溝13を表面
にらせん状に形成したものであり、ポリエチレン等の高
分子材料を異形押出し成形して製作される。なお、図中
の15は抗張力体と称される部材であり、溝13に格納
される光ファイバー(図示せず)がケーブル布設時の張
力に耐えられるようにする役目を持ち、一般に鋼線が使
用される。図1(A)と(B)に示した光ケーブル用ス
ペーサーには1本のらせん溝が設けられているだけであ
るが、一つのスペーサーに2本以上のらせん溝が設けら
れることもある。
ーケーブル(あるいは単に光ケーブル)は、基本構造の
面から、層撚り型ケーブル、ユニット型ケーブル、テー
プ型ケーブル、スペーサー型ケーブルの四つに大別され
る。これらのうちのスペーサー型ケーブルでは、ファイ
バー素線あるいは心線を外力から保護するために各種の
スペーサーが用いられる。一例として、らせん溝付きス
ペーサーを図1(A)及び(B)に示す。このスペーサ
ー11は、光ファイバーを格納するための溝13を表面
にらせん状に形成したものであり、ポリエチレン等の高
分子材料を異形押出し成形して製作される。なお、図中
の15は抗張力体と称される部材であり、溝13に格納
される光ファイバー(図示せず)がケーブル布設時の張
力に耐えられるようにする役目を持ち、一般に鋼線が使
用される。図1(A)と(B)に示した光ケーブル用ス
ペーサーには1本のらせん溝が設けられているだけであ
るが、一つのスペーサーに2本以上のらせん溝が設けら
れることもある。
【0005】このような複雑な構造のスペーサー11を
異形押出し成形により製作するには、一般に、成形品の
寸法安定性に有利な溶融粘度が高い高分子材料が用いら
れる。高分子材料の溶融粘度の尺度としてを用いるもの
に、メルトインデックス(MI)があり、MIが低い材
料ほど、溶融時の粘度が高い(流動性が低い)。図1の
スペーサー11の押出し成形には、従来より0.2g/
10分以下のポリエチレンが用いられている。
異形押出し成形により製作するには、一般に、成形品の
寸法安定性に有利な溶融粘度が高い高分子材料が用いら
れる。高分子材料の溶融粘度の尺度としてを用いるもの
に、メルトインデックス(MI)があり、MIが低い材
料ほど、溶融時の粘度が高い(流動性が低い)。図1の
スペーサー11の押出し成形には、従来より0.2g/
10分以下のポリエチレンが用いられている。
【0006】ところが、このような低MIのポリエチレ
ンを異形押出し成形用に使用する場合、押出し加工速度
(一般に「線速」とも呼ばれる)を遅くしないと、以下
のような問題が発生する。 (1)成形時の粘度が高いため、背圧が上がりすぎる。 (2)メルトフラクチャー(押出し成形機のダイオリフ
ィスに流入する速度が大きすぎることからダイランドで
平行な流線が形成されず、そのために起きる成形品表面
肌が荒れる現象)が発生する。
ンを異形押出し成形用に使用する場合、押出し加工速度
(一般に「線速」とも呼ばれる)を遅くしないと、以下
のような問題が発生する。 (1)成形時の粘度が高いため、背圧が上がりすぎる。 (2)メルトフラクチャー(押出し成形機のダイオリフ
ィスに流入する速度が大きすぎることからダイランドで
平行な流線が形成されず、そのために起きる成形品表面
肌が荒れる現象)が発生する。
【0007】これらのうち、押出し成形品である光ケー
ブル用スペーサーにとって致命的な問題は、メルトフラ
クチャーの発生である。メルトフラクチャーの発生は、
光ファイバーケーブルを格納するスペーサーの溝を形成
する壁の平滑性の低下を意味し、そのためメルトフラク
チャーの発生したスペーサーの溝に光ファイバーを格納
すると伝送特性上の問題が発生する。と言うのは、スペ
ーサーの溝に格納されている光ファイパー心線とスペー
サーの溝の壁とは直接接しており、スペーサーの表面平
滑性が低下すると、マイクロベンディングと呼ばれる光
ファイバーのファイバー素線の微少曲げが発生し、伝送
損失を生じさせるからである。
ブル用スペーサーにとって致命的な問題は、メルトフラ
クチャーの発生である。メルトフラクチャーの発生は、
光ファイバーケーブルを格納するスペーサーの溝を形成
する壁の平滑性の低下を意味し、そのためメルトフラク
チャーの発生したスペーサーの溝に光ファイバーを格納
すると伝送特性上の問題が発生する。と言うのは、スペ
ーサーの溝に格納されている光ファイパー心線とスペー
サーの溝の壁とは直接接しており、スペーサーの表面平
滑性が低下すると、マイクロベンディングと呼ばれる光
ファイバーのファイバー素線の微少曲げが発生し、伝送
損失を生じさせるからである。
【0008】従来、こうした問題を解決するために、フ
ッ素ゴム系の添加剤を光ケーブル用スペーサー材料のポ
リエチレン樹脂に添加することが行われていた(特開平
9−40816号公報)。この添加剤の使用により、低
MIのポリエチレン樹脂材料を使用しても、その溶融粘
度を低下させることができ、メルトフラクチャーの発生
を抑制して、スペーサーの表面平滑性を向上させること
ができた。
ッ素ゴム系の添加剤を光ケーブル用スペーサー材料のポ
リエチレン樹脂に添加することが行われていた(特開平
9−40816号公報)。この添加剤の使用により、低
MIのポリエチレン樹脂材料を使用しても、その溶融粘
度を低下させることができ、メルトフラクチャーの発生
を抑制して、スペーサーの表面平滑性を向上させること
ができた。
【0009】しかし、このフッ素ゴム系添加剤を使用し
てポリエチレン樹脂材料を押出し成形加工した場合、加
工温度や樹脂温度が上昇すると、フッ素ゴム添加剤の耐
熱性が低いことにより、成形品の変色を起こしたりする
ことがある。また、一般的にポリエチレン樹脂は脂肪酸
塩系の滑剤(例としては、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げら
れ、特にステアリン酸カルシウムが多く使われている)
を使用する場合が非常に多く、このような滑剤とフッ素
ゴム系添加剤を併用すると、それらの相互作用(反応)
が原因で押出し成形品の変色が著しく増し、更には押出
機のスクリュー中に滞留している樹脂材料が黒色の異物
に変わることがある。このような異物は、「目やに」と
呼ばれる汚染物がダイスのリップ部に発生する原因にな
ったり、あるいは押出機に過大な負荷をかけて押出し成
形を妨げる原因になったりすることがある。
てポリエチレン樹脂材料を押出し成形加工した場合、加
工温度や樹脂温度が上昇すると、フッ素ゴム添加剤の耐
熱性が低いことにより、成形品の変色を起こしたりする
ことがある。また、一般的にポリエチレン樹脂は脂肪酸
塩系の滑剤(例としては、ステアリン酸カルシウム、ス
テアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛等が挙げら
れ、特にステアリン酸カルシウムが多く使われている)
を使用する場合が非常に多く、このような滑剤とフッ素
ゴム系添加剤を併用すると、それらの相互作用(反応)
が原因で押出し成形品の変色が著しく増し、更には押出
機のスクリュー中に滞留している樹脂材料が黒色の異物
に変わることがある。このような異物は、「目やに」と
呼ばれる汚染物がダイスのリップ部に発生する原因にな
ったり、あるいは押出機に過大な負荷をかけて押出し成
形を妨げる原因になったりすることがある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、異
形押出し成形による光ファイバーケーブル用スペーサー
の製造時に、押出し加工速度(線速)を上げて成形して
も成形品のスペーサーの表面平滑性を向上させることが
可能で、成形品の変色を低減でき、且つ、滑剤と併用し
ても目やにの発生を抑制して押出し成形するのを可能に
する、光ファイバーケーブル用スペーサーの製造に有用
なポリエチレン樹脂組成物の提供を目的とするものであ
る。
形押出し成形による光ファイバーケーブル用スペーサー
の製造時に、押出し加工速度(線速)を上げて成形して
も成形品のスペーサーの表面平滑性を向上させることが
可能で、成形品の変色を低減でき、且つ、滑剤と併用し
ても目やにの発生を抑制して押出し成形するのを可能に
する、光ファイバーケーブル用スペーサーの製造に有用
なポリエチレン樹脂組成物の提供を目的とするものであ
る。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明が提供するポリエ
チレン樹脂組成物は、光ファイバーケーブル用スペーサ
ーの製造に用いられる組成物であって、ポリエチレン樹
脂を主成分、そしてフッ素樹脂を添加剤成分として含
み、当該ポリエチレン樹脂は、メルトインデックス(M
I)が0.01〜0.3g/10分、密度が0.94〜
0.96g/cm 3 のものであり、当該フッ素樹脂は、
融点が100〜300℃、フッ素含有量が50wt%以
上のものであり、且つ、当該フッ素樹脂の含有量が当該
ポリエチレン樹脂100質量部に対し0.01〜2質量
部であるポリエチレン樹脂組成物である。
チレン樹脂組成物は、光ファイバーケーブル用スペーサ
ーの製造に用いられる組成物であって、ポリエチレン樹
脂を主成分、そしてフッ素樹脂を添加剤成分として含
み、当該ポリエチレン樹脂は、メルトインデックス(M
I)が0.01〜0.3g/10分、密度が0.94〜
0.96g/cm 3 のものであり、当該フッ素樹脂は、
融点が100〜300℃、フッ素含有量が50wt%以
上のものであり、且つ、当該フッ素樹脂の含有量が当該
ポリエチレン樹脂100質量部に対し0.01〜2質量
部であるポリエチレン樹脂組成物である。
【0012】好ましくは、フッ素樹脂としては融点が1
10〜230℃のものを使用する。やはり好ましくは、
フッ素樹脂としてはフッ素含有量が66wt%以上のも
のを使用する。
10〜230℃のものを使用する。やはり好ましくは、
フッ素樹脂としてはフッ素含有量が66wt%以上のも
のを使用する。
【0013】より好ましくは、フッ素樹脂としてはテト
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニ
リデンフルオライド共重合体を使用する。
ラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニ
リデンフルオライド共重合体を使用する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明の組成物における主成分は
ポリエチレン樹脂であり、これは0.01〜0.3g/
10分のMIと、0.94〜0.96g/cm3 の密度
を有する。ポリエチレン樹脂のMIが0.01g/10
分に満たない場合、異形押出し成形で製造した光ケーブ
ル用スペーサーは表面平滑性が十分でなくなり、0.3
g/10分を超えると、成形時の組成物の流動性が高く
なって成形したスペーサーの寸法安定性が十分でなくな
る。また、ポリエチレン樹脂の密度が0.94g/cm
3 に満たなければ、成形したスペーサーの剛性が不足
し、密度が0.96g/cm3 を超えると、スペーサー
の表面平滑性が低下してしまう。
ポリエチレン樹脂であり、これは0.01〜0.3g/
10分のMIと、0.94〜0.96g/cm3 の密度
を有する。ポリエチレン樹脂のMIが0.01g/10
分に満たない場合、異形押出し成形で製造した光ケーブ
ル用スペーサーは表面平滑性が十分でなくなり、0.3
g/10分を超えると、成形時の組成物の流動性が高く
なって成形したスペーサーの寸法安定性が十分でなくな
る。また、ポリエチレン樹脂の密度が0.94g/cm
3 に満たなければ、成形したスペーサーの剛性が不足
し、密度が0.96g/cm3 を超えると、スペーサー
の表面平滑性が低下してしまう。
【0015】本発明の組成物において添加剤成分として
用いられるフッ素樹脂は、光ケーブル用スペーサーの製
造原料のポリエチレン樹脂組成物のための添加剤成分と
して従来用いられていたフッ素ゴムに比べて耐熱性に優
れ、しかもポリエチレン樹脂組成物において広く用いら
れる滑剤との相互作用が少ないことが見いだされた。フ
ッ素樹脂及びフッ素ゴムは、どちらも分子中にフッ素原
子を含む高分子であるが、両者には次に説明するように
相違点がある。
用いられるフッ素樹脂は、光ケーブル用スペーサーの製
造原料のポリエチレン樹脂組成物のための添加剤成分と
して従来用いられていたフッ素ゴムに比べて耐熱性に優
れ、しかもポリエチレン樹脂組成物において広く用いら
れる滑剤との相互作用が少ないことが見いだされた。フ
ッ素樹脂及びフッ素ゴムは、どちらも分子中にフッ素原
子を含む高分子であるが、両者には次に説明するように
相違点がある。
【0016】一般に、「ゴム」(あるいは「エラストマ
ー」)と呼ばれる物質は、ゴム状態においてエントロピ
ー弾性(ゴム弾性)を示す高分子である。ゴム状態と
は、物質がとりうる状態のうち、アモルファス(非結
晶、無定形)な高分子液体の状態であると定義される。
特定の物質のゴム状態は、その物質のガラス転移温度
(Tg)より高温側にあり、エントロピー弾性(ゴム弾
性)とは、変形されてエントロピーが小さくなった系が
エントロピーが大きい未変形の状態に自発的に戻ろうと
することに基づく弾性である。エントロピー弾性は、通
常数100%に及ぶ伸びと、106 N/m2 程度の小さ
な弾性率を特徴としている。物理的な高分子の絡み合い
によって恒久的な弾性を示す物質は少なく、多くは架橋
という方法で弾性化している。ASTMの定義で言う
と、エントロピー弾性とは、物質を無希釈状態で室温
(18〜29℃)において長さを2倍に伸ばし、且つ緩
める前に1分間そのまま保持しても、1分後には元の長
さの1.5倍未満に収縮するということになっている。
ー」)と呼ばれる物質は、ゴム状態においてエントロピ
ー弾性(ゴム弾性)を示す高分子である。ゴム状態と
は、物質がとりうる状態のうち、アモルファス(非結
晶、無定形)な高分子液体の状態であると定義される。
特定の物質のゴム状態は、その物質のガラス転移温度
(Tg)より高温側にあり、エントロピー弾性(ゴム弾
性)とは、変形されてエントロピーが小さくなった系が
エントロピーが大きい未変形の状態に自発的に戻ろうと
することに基づく弾性である。エントロピー弾性は、通
常数100%に及ぶ伸びと、106 N/m2 程度の小さ
な弾性率を特徴としている。物理的な高分子の絡み合い
によって恒久的な弾性を示す物質は少なく、多くは架橋
という方法で弾性化している。ASTMの定義で言う
と、エントロピー弾性とは、物質を無希釈状態で室温
(18〜29℃)において長さを2倍に伸ばし、且つ緩
める前に1分間そのまま保持しても、1分後には元の長
さの1.5倍未満に収縮するということになっている。
【0017】それに対して、「樹脂」は無定形な高分子
ではなく、結晶性を持ち、そして室温において弾性を示
さない高分子である。簡単に言うと、高分子物質のう
ち、ゴムでないものは全て樹脂と考えて差し支えない。
ではなく、結晶性を持ち、そして室温において弾性を示
さない高分子である。簡単に言うと、高分子物質のう
ち、ゴムでないものは全て樹脂と考えて差し支えない。
【0018】もう少し詳しく言うと、無定形高分子(ゴ
ム)の場合、ガラス転移点(Tg)を示すが融点を示さ
ず、樹脂は融点を示すがガラス転移点が分かりにくくな
ってきて、理論的には結晶性樹脂になるとTgを示さな
くなる。一般に、Tg以下のの温度の高分子はガラスの
ような性質を持ち、硬くて壊れやすくなる。
ム)の場合、ガラス転移点(Tg)を示すが融点を示さ
ず、樹脂は融点を示すがガラス転移点が分かりにくくな
ってきて、理論的には結晶性樹脂になるとTgを示さな
くなる。一般に、Tg以下のの温度の高分子はガラスの
ような性質を持ち、硬くて壊れやすくなる。
【0019】現在工業的に利用されているフッ素ゴムは
限られており、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロ
ピレン共重合体及びテトラフルオロエチレン−ビニリデ
ンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が
主である。これらは、Tgが−35℃から−5℃ぐらい
であって、常温ではゴム弾性領域にあり、そして高温に
しても融点を示さない。
限られており、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロ
ピレン共重合体及びテトラフルオロエチレン−ビニリデ
ンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体が
主である。これらは、Tgが−35℃から−5℃ぐらい
であって、常温ではゴム弾性領域にあり、そして高温に
しても融点を示さない。
【0020】既に示したように、本発明では、フッ素ゴ
ムと違って融点を示すフッ素樹脂を使用する。そのよう
なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(EPA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共
重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン
(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F)、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体
(TFE/P)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(T
HV)等が挙げられる。本発明のポリエチレン樹脂組成
物において添加剤として用いられるフッ素樹脂は、フッ
素ゴムに比べて耐熱性がよく、しかも、ステアリン酸塩
系の滑剤と併用された場合にその滑剤との相互作用(反
応)を低減することができる。
ムと違って融点を示すフッ素樹脂を使用する。そのよう
なフッ素樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロ
アルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体
(FEP)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重
合体(EPA)、テトラフルオロエチレン−エチレン共
重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン
(PCTFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVD
F)、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体
(TFE/P)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(T
HV)等が挙げられる。本発明のポリエチレン樹脂組成
物において添加剤として用いられるフッ素樹脂は、フッ
素ゴムに比べて耐熱性がよく、しかも、ステアリン酸塩
系の滑剤と併用された場合にその滑剤との相互作用(反
応)を低減することができる。
【0021】本発明において使用するフッ素樹脂は、1
00〜300℃の範囲内の融点を示すことが重要であ
る。フッ素樹脂の融点が100℃未満では、使用してい
るフッ素樹脂の分散性が低くなりすぎ、好ましくない。
すなわち、添加剤の効果を得るには、フッ素樹脂がポリ
エチレン中に均一に分散し、且つ分散粒径が細かいもの
であることを要する。このような分散性を得るには、フ
ッ素樹脂がポリエチレン加工成形時に溶融していること
を要し、そのためには、融点が100℃以上であること
が好ましい。300℃を超えると、その成形温度は30
0℃以上となり、そのためポリエチレン自体が分解を起
こしやすくなり加工成形が急激にできにくくなる。フッ
素樹脂の融点のより好ましい範囲は、110〜230℃
である。先に例として挙げたフッ素樹脂のうちで、融点
が100〜300℃のものは、FEP、PCTFE、E
TFE、PVDF、TFE/P、THV等である。更に
これらの中で、融点が110〜230℃であるものは、
PVDF、TFE/P、THV等である。ポリエチレン
樹脂組成物中でのフッ素樹脂とステアリン酸塩系滑剤と
の反応性と、フッ素樹脂自体の安定性を検討すると、中
でもTHVが最適である。
00〜300℃の範囲内の融点を示すことが重要であ
る。フッ素樹脂の融点が100℃未満では、使用してい
るフッ素樹脂の分散性が低くなりすぎ、好ましくない。
すなわち、添加剤の効果を得るには、フッ素樹脂がポリ
エチレン中に均一に分散し、且つ分散粒径が細かいもの
であることを要する。このような分散性を得るには、フ
ッ素樹脂がポリエチレン加工成形時に溶融していること
を要し、そのためには、融点が100℃以上であること
が好ましい。300℃を超えると、その成形温度は30
0℃以上となり、そのためポリエチレン自体が分解を起
こしやすくなり加工成形が急激にできにくくなる。フッ
素樹脂の融点のより好ましい範囲は、110〜230℃
である。先に例として挙げたフッ素樹脂のうちで、融点
が100〜300℃のものは、FEP、PCTFE、E
TFE、PVDF、TFE/P、THV等である。更に
これらの中で、融点が110〜230℃であるものは、
PVDF、TFE/P、THV等である。ポリエチレン
樹脂組成物中でのフッ素樹脂とステアリン酸塩系滑剤と
の反応性と、フッ素樹脂自体の安定性を検討すると、中
でもTHVが最適である。
【0022】テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロ
プロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体は、先に
説明した特開平9−40816号公報に記載されたポリ
エチレン樹脂組成物でも使用されているが、この公報記
載のものは「フッ素系エラストマー」である。「エラス
トマー」とは、常温付近でゴム弾性を示す物質の総称で
あり、既に明らかにしたとおり、フッ素系エラストマー
はTgが−35℃〜−5℃程度で常温ではゴム弾性領域
にあり、高温にしても融点を示さないことから、本発明
で用いられる「フッ素樹脂」とは明確に区別される。
プロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体は、先に
説明した特開平9−40816号公報に記載されたポリ
エチレン樹脂組成物でも使用されているが、この公報記
載のものは「フッ素系エラストマー」である。「エラス
トマー」とは、常温付近でゴム弾性を示す物質の総称で
あり、既に明らかにしたとおり、フッ素系エラストマー
はTgが−35℃〜−5℃程度で常温ではゴム弾性領域
にあり、高温にしても融点を示さないことから、本発明
で用いられる「フッ素樹脂」とは明確に区別される。
【0023】フッ素樹脂を添加した本発明のポリエチレ
ン樹脂組成物から異形押出し成形によって表面特性の向
上した光ケーブル用スペーサーを得るためには、フッ素
樹脂のフッ素含有量が50wt%以上であるのが好まし
い。フッ素含有量が50wt%未満では、フッ素樹脂が
持っている耐熱性が得にくくなるだけでなく、ポリエチ
レンとの相溶性が発現されてくるので、本発明の効果を
十分得られなくなる。より好ましくは、フッ素樹脂は6
6wt%以上のフッ素を含有する。
ン樹脂組成物から異形押出し成形によって表面特性の向
上した光ケーブル用スペーサーを得るためには、フッ素
樹脂のフッ素含有量が50wt%以上であるのが好まし
い。フッ素含有量が50wt%未満では、フッ素樹脂が
持っている耐熱性が得にくくなるだけでなく、ポリエチ
レンとの相溶性が発現されてくるので、本発明の効果を
十分得られなくなる。より好ましくは、フッ素樹脂は6
6wt%以上のフッ素を含有する。
【0024】本発明のポリエチレン樹脂組成物におい
て、フッ素樹脂は主成分のポリエチレン樹脂100質量
部当たりに0.01〜2質量部の割合で使用される。フ
ッ素樹脂量が0.01質量部未満であると、添加の効果
が得られず、2質量部を超えると、ポリエチレン樹脂組
成物とスクリュー間ですべりやすくなり、均一の押し出
しをすることができにくくなる。
て、フッ素樹脂は主成分のポリエチレン樹脂100質量
部当たりに0.01〜2質量部の割合で使用される。フ
ッ素樹脂量が0.01質量部未満であると、添加の効果
が得られず、2質量部を超えると、ポリエチレン樹脂組
成物とスクリュー間ですべりやすくなり、均一の押し出
しをすることができにくくなる。
【0025】既に触れたように、本発明のポリエチレン
樹脂組成物では、脂肪酸塩系の滑剤を使用しても差し支
えない。脂肪酸塩系滑剤の代表例を挙げると、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸亜鉛等である。
樹脂組成物では、脂肪酸塩系の滑剤を使用しても差し支
えない。脂肪酸塩系滑剤の代表例を挙げると、ステアリ
ン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリ
ン酸亜鉛等である。
【0026】滑剤以外にも、本発明の組成物には必要に
応じ種々の添加剤を配合することができる。そのような
添加剤の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防か
び剤、着色剤(顔料、染料類)、ブロッキング防止剤、
帯電防止剤、発錆防止剤等が挙げられる。また更に、充
填剤(例えば、炭酸カルシウム、シリカ等)を使用する
こともできる。
応じ種々の添加剤を配合することができる。そのような
添加剤の例としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、防か
び剤、着色剤(顔料、染料類)、ブロッキング防止剤、
帯電防止剤、発錆防止剤等が挙げられる。また更に、充
填剤(例えば、炭酸カルシウム、シリカ等)を使用する
こともできる。
【0027】本発明の組成物を調製するためには、主成
分樹脂に種々の添加剤を加えて組成物とする一般に知ら
れたいずれの方法を採用してもよい。各成分の均一混合
のために、通常はミキサー(例として、リボンブレンダ
ー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、2本ロール機等)が使用され、また押出機への供給
原料とするために、通常は造粒が行われる。
分樹脂に種々の添加剤を加えて組成物とする一般に知ら
れたいずれの方法を採用してもよい。各成分の均一混合
のために、通常はミキサー(例として、リボンブレンダ
ー、ヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、ニーダ
ー、2本ロール機等)が使用され、また押出機への供給
原料とするために、通常は造粒が行われる。
【0028】
【実施例】次に、実施例により本発明を更に説明する
が、言うまでもなく本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
が、言うまでもなく本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。
【0029】(実施例1)融点が165℃、フッ素含有
量が73wt%のテトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(T
HV)(パウダー(粉)状)の熱重量分析(TGA)
を、理学電機社製Thermo PlusTG8120
を使って行った。得られたTGAチャートを図2に示
す。なお、THVの融点はASTM D 4591に準
拠した測定方法で測定し、フッ素含有量はFT−IRを
用いた定量法で測定した。
量が73wt%のテトラフルオロエチレン−ヘキサフル
オロプロピレン−ビニリデンフルオライド共重合体(T
HV)(パウダー(粉)状)の熱重量分析(TGA)
を、理学電機社製Thermo PlusTG8120
を使って行った。得られたTGAチャートを図2に示
す。なお、THVの融点はASTM D 4591に準
拠した測定方法で測定し、フッ素含有量はFT−IRを
用いた定量法で測定した。
【0030】(比較例1)従来使用されていた代表的な
フッ素ゴム系添加剤のダイナマーFX−9613(ダイ
ニオン社製、粒状、10%程度の無機系充填剤を含む)
の熱重量分析を、実施例1で使用したのと同じ測定器を
使って行った。得られたTGAチャートを図3に示す。
フッ素ゴム系添加剤のダイナマーFX−9613(ダイ
ニオン社製、粒状、10%程度の無機系充填剤を含む)
の熱重量分析を、実施例1で使用したのと同じ測定器を
使って行った。得られたTGAチャートを図3に示す。
【0031】図2と3のTGAチャートの比較から、本
発明のTHV樹脂添加剤の方が、比較例のフッ素ゴム系
添加剤より熱分解をし始める温度が高く、熱的に安定で
あることが分かる。実施例1の添加剤がパウダー状であ
るのに対し、比較例1の添加剤が粒状であること、そし
て、前者が充填剤を含まないのに対し、後者が充填剤を
含むことに注目することも重要である。これは、実施例
1のものがフッ素「樹脂」、比較例1のものがフッ素
「ゴム」であるという相違点があり、そのため後者は常
温で粘着性があるため塊を形成しやすく、これを防止す
るため無機系充填剤を粘着防止剤として含む一方で、前
者はそのような充填剤を必要としない、という事実を反
映するものである。
発明のTHV樹脂添加剤の方が、比較例のフッ素ゴム系
添加剤より熱分解をし始める温度が高く、熱的に安定で
あることが分かる。実施例1の添加剤がパウダー状であ
るのに対し、比較例1の添加剤が粒状であること、そし
て、前者が充填剤を含まないのに対し、後者が充填剤を
含むことに注目することも重要である。これは、実施例
1のものがフッ素「樹脂」、比較例1のものがフッ素
「ゴム」であるという相違点があり、そのため後者は常
温で粘着性があるため塊を形成しやすく、これを防止す
るため無機系充填剤を粘着防止剤として含む一方で、前
者はそのような充填剤を必要としない、という事実を反
映するものである。
【0032】(実施例2及び比較例2)これらの例で
は、加熱によるフッ素系添加剤自体の変色について調べ
る。融点が120℃、フッ素含有量が69%のTHV添
加剤(ダイニオン社製ダイナマーFX−5911X)を
5gシャーレに取り、220℃のオーブンに入れ、30
分後に添加剤の変色度合いを観察した(実施例2)。更
に、フッ素ゴム系添加剤(ダイニオン社製ダイナマーF
X−9613)について、同条件にて比較を行った(比
較例2)。結果を表1に示す。
は、加熱によるフッ素系添加剤自体の変色について調べ
る。融点が120℃、フッ素含有量が69%のTHV添
加剤(ダイニオン社製ダイナマーFX−5911X)を
5gシャーレに取り、220℃のオーブンに入れ、30
分後に添加剤の変色度合いを観察した(実施例2)。更
に、フッ素ゴム系添加剤(ダイニオン社製ダイナマーF
X−9613)について、同条件にて比較を行った(比
較例2)。結果を表1に示す。
【0033】
【表1】
【0034】この結果より、実施例2のTHV樹脂添加
剤の方が熱をかけても変色を起こしておらず、比較例2
のフッ素ゴム系添加剤と比較して熱的に問題が起こりに
くい添加剤であることが確認できた。
剤の方が熱をかけても変色を起こしておらず、比較例2
のフッ素ゴム系添加剤と比較して熱的に問題が起こりに
くい添加剤であることが確認できた。
【0035】(実施例3及び比較例3A、3B)これら
の例では、加熱によるフッ素系添加剤と滑剤との相互作
用による変色について調べる。融点が120℃、フッ素
含有量が69%のTHV樹脂(ダイナマーFX−591
1X)と、滑剤として用いられるステアリン酸カルシウ
ム(CaSt)との相互作用を、加熱後の変色度合いに
よって検証した。THVとステアリン酸カルシウムを各
5gずつシャーレに取り、よく攪拌を行った。次に、シ
ャーレを220℃のオーブンに入れ、30分後の変色度
合いを観察した(実施例3)。比較として、フッ素ゴム
系添加剤(ダイナマーFX−9613)及びステアリン
酸カルシウムを各5gずつシャーレに取ったもの(比較
例3A)と、ステアリン酸カルシウムだけを5gシャー
レにとったもの(比較例3B)について、同様の実験を
行った。得られた結果を表2に示す。
の例では、加熱によるフッ素系添加剤と滑剤との相互作
用による変色について調べる。融点が120℃、フッ素
含有量が69%のTHV樹脂(ダイナマーFX−591
1X)と、滑剤として用いられるステアリン酸カルシウ
ム(CaSt)との相互作用を、加熱後の変色度合いに
よって検証した。THVとステアリン酸カルシウムを各
5gずつシャーレに取り、よく攪拌を行った。次に、シ
ャーレを220℃のオーブンに入れ、30分後の変色度
合いを観察した(実施例3)。比較として、フッ素ゴム
系添加剤(ダイナマーFX−9613)及びステアリン
酸カルシウムを各5gずつシャーレに取ったもの(比較
例3A)と、ステアリン酸カルシウムだけを5gシャー
レにとったもの(比較例3B)について、同様の実験を
行った。得られた結果を表2に示す。
【0036】
【表2】
【0037】比較例3Aは、従来技術のフッ素ゴム系添
加剤と滑剤のステアリン酸カルシウムとの相互作用を本
発明のものと比較するための例である。一方、比較例3
Bは、ステアリン酸カルシウムだけで行ったものであ
り、この場合、加熱前の白色パウダーは加熱によって褐
色に変色しているが、これはフッ素系添加剤との相互作
用によるものではなくステアリン酸カルシウム自体が被
る変色であって、ポリエチレン樹脂にフッ素系添加剤を
伴わずに滑剤として単独に配合された場合に示す現象に
対応している。すなわち、この比較例は、ポリエチレン
樹脂にフッ素系添加剤(樹脂(実施例3)又はゴム(比
較例3A))を加えずに滑剤だけを添加した場合を擬制
するものであり、実施例3と比較例3Aに対する基準と
なる例である。
加剤と滑剤のステアリン酸カルシウムとの相互作用を本
発明のものと比較するための例である。一方、比較例3
Bは、ステアリン酸カルシウムだけで行ったものであ
り、この場合、加熱前の白色パウダーは加熱によって褐
色に変色しているが、これはフッ素系添加剤との相互作
用によるものではなくステアリン酸カルシウム自体が被
る変色であって、ポリエチレン樹脂にフッ素系添加剤を
伴わずに滑剤として単独に配合された場合に示す現象に
対応している。すなわち、この比較例は、ポリエチレン
樹脂にフッ素系添加剤(樹脂(実施例3)又はゴム(比
較例3A))を加えずに滑剤だけを添加した場合を擬制
するものであり、実施例3と比較例3Aに対する基準と
なる例である。
【0038】表2の結果より、ステアリン酸カルシウム
を添加した状況では、THV樹脂添加剤の場合(実施例
3)、熱をかけてもステアリン酸カルシウム単独の場合
(比較例3B)と同等の色を呈しており、従ってそれら
を添加した樹脂組成物における変色割合に差異のないこ
とが分かる。一方、フッ素ゴム系添加剤の場合(比較例
3A)は、加熱後の色が黒色となって、フッ素ゴム系添
加剤とステアリン酸カルシウムとの相互作用がポリエチ
レン樹脂組成物の著しい変色の原因となることが窺え
る。このことはまた、本発明のフッ素樹脂添加剤を含む
組成物を用いれば、滑剤の併用による成形品の変色に伴
う目やにの発生の抑制が可能であることも示している。
このように、本発明で使用するフッ素樹脂添加剤である
THVは従来技術のフッ素ゴム系添加剤と比較して、熱
的に問題が起こりにくい添加剤であることが確認でき
た。
を添加した状況では、THV樹脂添加剤の場合(実施例
3)、熱をかけてもステアリン酸カルシウム単独の場合
(比較例3B)と同等の色を呈しており、従ってそれら
を添加した樹脂組成物における変色割合に差異のないこ
とが分かる。一方、フッ素ゴム系添加剤の場合(比較例
3A)は、加熱後の色が黒色となって、フッ素ゴム系添
加剤とステアリン酸カルシウムとの相互作用がポリエチ
レン樹脂組成物の著しい変色の原因となることが窺え
る。このことはまた、本発明のフッ素樹脂添加剤を含む
組成物を用いれば、滑剤の併用による成形品の変色に伴
う目やにの発生の抑制が可能であることも示している。
このように、本発明で使用するフッ素樹脂添加剤である
THVは従来技術のフッ素ゴム系添加剤と比較して、熱
的に問題が起こりにくい添加剤であることが確認でき
た。
【0039】(実施例4及び比較例4)ポリエチレン樹
脂(メルトインデックス0.06g/10分、密度0.
954g/cm3 )中に融点が120℃、フッ素含有量
が69%のTHV樹脂(ダイナマーFX−5911X)
を0.1wt%添加した組成物を調製した。この組成物
について、せん断速度を変えて樹脂組成物の見かけ粘度
を温度220℃においてキャピラリーレオメーターにて
測り(JIS K 7199に準拠)、更に出てきたキ
ャピラリーの表面状態を観察した(実施例4)。比較の
ために、THV樹脂を添加していないポリエチレン樹脂
について同様の実験を行った(比較例4)。結果を図
4、5と表3に示す。
脂(メルトインデックス0.06g/10分、密度0.
954g/cm3 )中に融点が120℃、フッ素含有量
が69%のTHV樹脂(ダイナマーFX−5911X)
を0.1wt%添加した組成物を調製した。この組成物
について、せん断速度を変えて樹脂組成物の見かけ粘度
を温度220℃においてキャピラリーレオメーターにて
測り(JIS K 7199に準拠)、更に出てきたキ
ャピラリーの表面状態を観察した(実施例4)。比較の
ために、THV樹脂を添加していないポリエチレン樹脂
について同様の実験を行った(比較例4)。結果を図
4、5と表3に示す。
【0040】
【表3】
【0041】図3に見られるように、ポリエチレン樹脂
だけの場合(実線のデータ)と比べて、本発明のフッ素
樹脂(THV)添加剤を含む組成物(波線のデータ)
は、同じせん断速度でかなり低い見かけ粘度を示し、押
出し成形性が向上していることが分かる。
だけの場合(実線のデータ)と比べて、本発明のフッ素
樹脂(THV)添加剤を含む組成物(波線のデータ)
は、同じせん断速度でかなり低い見かけ粘度を示し、押
出し成形性が向上していることが分かる。
【0042】表4は、押出し成形品のキャピラリーの各
せん断速度における表面状態をまとめたものであり、そ
れらの実際の表面状態を図5A(本発明)及び図5B
(比較例)に示す。
せん断速度における表面状態をまとめたものであり、そ
れらの実際の表面状態を図5A(本発明)及び図5B
(比較例)に示す。
【0043】これらの結果から、ポリエチレン樹脂にフ
ッ素樹脂(THV)添加剤を添加すると押出し成形時の
せん断速度を上昇させることができ、更に表面状態の改
良(平滑性の向上)もできることが確認できた。
ッ素樹脂(THV)添加剤を添加すると押出し成形時の
せん断速度を上昇させることができ、更に表面状態の改
良(平滑性の向上)もできることが確認できた。
【0044】
【発明の効果】以上説明したように、フッ素樹脂添加剤
を添加した本発明のポリエチレン樹脂組成物を使用すれ
ば、異形押出し成形により成形したスペーサーの表面平
滑性を向上させることができ、成形品の変色を低減で
き、しかもこの添加剤とともに滑剤を併用しても目やに
の発生を抑制して押出し成形することが可能となる。
を添加した本発明のポリエチレン樹脂組成物を使用すれ
ば、異形押出し成形により成形したスペーサーの表面平
滑性を向上させることができ、成形品の変色を低減で
き、しかもこの添加剤とともに滑剤を併用しても目やに
の発生を抑制して押出し成形することが可能となる。
【図1】光ファイバーケーブル用のらせん溝付きスペー
サーを説明する図であって、(A)はその部分破断上面
図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
サーを説明する図であって、(A)はその部分破断上面
図、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図2】本発明で使用するフッ素樹脂添加剤のTGAチ
ャートである。
ャートである。
【図3】従来技術のフッ素ゴム系添加剤のTGAチャー
トである。
トである。
【図4】実施例4と比較例4の結果を示すグラフであ
る。
る。
【図5】実施例5と比較例5で得られた押出し成形品の
表面状態を示す写真であって、(A)は実施例5のも
の、(B)は比較例5のものである。
表面状態を示す写真であって、(A)は実施例5のも
の、(B)は比較例5のものである。
11…らせん溝付きスペーサー 13…らせん溝 15…抗張力体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 27/20 C08L 27/20
Claims (4)
- 【請求項1】 ポリエチレン樹脂を主成分、そしてフッ
素樹脂を添加剤成分として含み、当該ポリエチレン樹脂
は、メルトインデックス(MI)が0.01〜0.3g
/10分、密度が0.94〜0.96g/cm3 のもの
であり、当該フッ素樹脂は、融点が100〜300℃、
フッ素含有量が50wt%以上のものであり、且つ、当
該フッ素樹脂の含有量が当該ポリエチレン樹脂100質
量部に対し0.01〜2質量部である、光ファイバーケ
ーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物。 - 【請求項2】 前記フッ素樹脂の融点が110〜230
℃である、請求項1記載のポリエチレン樹脂組成物。 - 【請求項3】 前記フッ素樹脂のフッ素含有量が66w
t%以上である、請求項1又は2記載のポリエチレン樹
脂組成物。 - 【請求項4】 前記フッ素樹脂がテトラフルオロエチレ
ン−ヘキサフルオロプロピレン−ビニリデンフルオライ
ド共重合体である、請求項1から3までのいずれか一つ
に記載のポリエチレン樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000076665A JP2001264599A (ja) | 2000-03-17 | 2000-03-17 | 光ファイバーケーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000076665A JP2001264599A (ja) | 2000-03-17 | 2000-03-17 | 光ファイバーケーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001264599A true JP2001264599A (ja) | 2001-09-26 |
Family
ID=18594371
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000076665A Pending JP2001264599A (ja) | 2000-03-17 | 2000-03-17 | 光ファイバーケーブルのスペーサー製造用ポリエチレン樹脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001264599A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008056576A1 (fr) * | 2006-11-08 | 2008-05-15 | Mitsui Chemicals, Inc. | Procédé de production d'un espaceur pour câble à fibre optique |
-
2000
- 2000-03-17 JP JP2000076665A patent/JP2001264599A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008056576A1 (fr) * | 2006-11-08 | 2008-05-15 | Mitsui Chemicals, Inc. | Procédé de production d'un espaceur pour câble à fibre optique |
KR101104610B1 (ko) | 2006-11-08 | 2012-01-12 | 미쓰이 가가쿠 가부시키가이샤 | 광섬유 케이블용 스페이서의 제조 방법 |
JP5100660B2 (ja) * | 2006-11-08 | 2012-12-19 | 三井化学株式会社 | 光ファイバケーブル用スペーサの製造方法 |
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