JP2001255826A - 紙片付き印刷物及びその製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 材料コストを低く抑えることができ、しかも
貼着用紙片のサイズや用紙が限定されず、したがって利
用形態の多様化が図れるようにする。 【解決手段】 印刷物における露出した所定領域にワニ
ス層１１又は離型紙を介して粘着剤層２１が形成される
ことで、貼着用紙片２０の剥離が容易にできるととも
に、貼着用紙片２０に転移する粘着剤層２１によって任
意の場所に再貼着が可能であるように構成する。メーカ
ーから直に購入した原反を加工して貼着用紙片を作製す
る従来のものに比べ、材料コストを低く抑えることがで
き、しかも貼着用紙片のサイズや用紙が限定されない。
貼着用紙片２０の用紙が限定されないので、普通の印刷
用紙を用いて４色以上の絵柄を形成でき、また印刷物と
同じ印刷機により絵柄を形成でき、絵柄も印刷物とマッ
チしたものとなり、従来のような単色の絵柄しかできな
いものに比べると使用形態の多様化を図ることができ
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、貼り付けられてい
る貼着用紙片を剥離して好みの場所に再貼着できる利便
性のある紙片付き印刷物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、再貼着が可能な貼着用紙片は、単
体で使用されるケースもあるが、印刷物と組み合わせて
利用されるケースも多い。具体的な一例を挙げれば、雑
誌、カタログ、パンフレット等における任意の頁の所定
箇所に、各種のクーポン券類として貼り付けられた形態
で利用されている。

【０００３】このような機能を持つ紙片として住友３Ｍ
社のポストイット（登録商標）があるが、これに絵柄の
付いたものを製造する場合、現状では、帯状に粘着剤の
付いた原反の巻取をメーカーから直に購入し、それに印
刷、スリット等の加工を施している。その具体的な製造
プロセスは次のようである。

【０００４】まず、図１（Ａ）に示す如き粘着剤Ｆの付
いた原反の巻取Ｒを購入する。ちなみにポストイットの
原反は幅１２インチ（約３６ｃｍ）、長さ約６０００ｍ
で、裏面には２本の粘着剤Ｆが塗布されている。次に、
この原反の巻取Ｒを印刷機にかけて所望の絵柄を印刷し
た後、スリッターにかけて図１（Ｂ）に示す如く４本の
ロールＲ₁ 〜Ｒ₄ を形成する。次いで、このうち２本の
ロールＲ₂ ，Ｒ₄ は巻きがａとは異なって逆のｂとなっ
ているので、巻返しを行って図１（Ｃ）に示すように粘
着剤Ｆの勝手違いを統一する。そして、このようにして
製造されたロールを専用の貼込装置にかけて折丁の所定
頁に貼り付け、その折丁を丁合して雑誌やカタログなど
を製本するのである。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】絵柄付きの貼着用紙片
を貼り合わせた印刷物を製造しようとすると、上記した
ように、貼着用紙片はメーカーから原反の巻取を購入し
てそれを加工するため、コストが高くなり、しかも貼着
用紙片の用紙サイズが限定されるという問題が生じる。
また、メーカーから購入する用紙には色（例えば黄色）
が付いているため、単色での絵柄は可能ではあるが、通
常の４色を使った絵柄が難しいという問題点もある。ま
た、雑誌を印刷する印刷機では、メーカーから購入する
用紙に印刷することができないので、ビジネスフォーム
等の印刷機で印刷することになるが、そうすると、貼り
合わせた状態で、雑誌などの本文と貼着用紙片の印刷品
質に見た目にミスマッチが生じてしまうことになる。

【０００６】本発明は、このような問題点に鑑みてなさ
れたものであり、その目的とするところは、材料コスト
を低く抑えることができ、しかも貼着用紙片のサイズや
用紙が限定されず、したがって利用形態の多様化が図れ
る紙片付き印刷物を提供し、併せてその製造方法を提供
することにある。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る第１のタイプの紙片付き印刷物は、印
刷物における露出した所定領域にワニス層が形成され、
そのワニス層の上に粘着剤層を介して貼着用紙片が貼り
合わされてなることを特徴とする。

【０００８】また、同様の目的を達成するため、本発明
に係る第２のタイプの紙片付き印刷物は、印刷物におけ
る露出した所定領域に接着剤層を介して離型紙が貼り合
わされ、その離型紙の上に粘着剤層を介して貼着用紙片
が貼り合わされてなることを特徴とする。

【０００９】そして、上記のいずれの紙片付き印刷物に
おいても、貼着用紙片に普通の用紙を用いることによ
り、印刷物と貼着用紙片の双方に、１７５線以上且つ４
色以上のオフセット印刷にて絵柄を形成することができ
る。

【００１０】また、雑誌を製本する場合には、印刷物が
４頁以上の折丁であって、この折丁の表表紙又は裏表紙
の所定位置に貼着用紙片を貼り合わせたものを、他の折
丁とともに丁合して三方断裁することになる。

【００１１】上記した第１のタイプの紙片付き印刷物
は、印刷物における露出した所定領域にワニス層により
離型処理が施されており、この印刷物を一部ずつ供給し
つつ貼着用紙片を一枚ずつ供給し、前記印刷物のワニス
層の上に粘着剤を介して貼着用紙片を貼り合わせること
により製造することができる。無論、ロット数が少ない
ときは、貼着用紙片の貼り合わせを手貼で行うこともあ
る。

【００１２】上記した第２のタイプの紙片付き印刷物
は、印刷物を一部ずつ供給しつつ離型紙を一枚ずつ供給
し、前記印刷物における露出した所定領域に接着剤を介
して離型紙を貼り付け、その離型紙を貼り合わせてなる
印刷物を一部ずつ搬送しつつ貼着用紙片を一枚ずつ供給
し、離型紙の上から貼着用紙片を粘着剤を介して貼り合
わせることにより製造することができる。無論、ロット
数が少ないときは、離型紙の貼り合わせと貼着用紙片の
貼り合わせを手貼で行うこともある。

【００１３】

【発明の実施の形態】図２は本発明に係る第１のタイプ
の紙片付き印刷物を説明するための模式断面図である。
この図２において１０は印刷物の一部である印刷基材を
表しており、その印刷基材１０の露出した所定領域にワ
ニス層１１が形成され、そのワニス層１１の上に粘着剤
層２１を介して貼着用紙片２０が貼り合わせられてい
る。なお、図示はしないが、この貼着用紙片２０の表面
には予めオフセット印刷により絵柄が施されている。

【００１４】この紙片付き印刷物は、図３に示すよう
に、印刷基材１０から貼着用紙片２０を剥がそうとする
と、ワニス層１１と粘着剤層２１との間で剥離させるこ
とができる。このように貼着用紙片２０を剥離すると、
粘着剤層２１が貼着用紙片２０側に転移するので、貼着
用紙片２０は優れた粘着性を有したものとなり、任意の
場所に再貼着が可能となる。また、それを剥離して再々
貼着も可能である。

【００１５】図４は本発明に係る第２のタイプの紙片付
き印刷物を説明するための模式断面図である。この図４
において１０は印刷物の一部である印刷基材を表してお
り、その印刷基材１０の露出した所定領域に接着剤層１
２を介して離型紙１３が貼り合わされ、その離型紙１３
の上に粘着剤層２１を介して貼着用紙片２０が貼り合わ
されている。なお、図示はしないが、この貼着用紙片２
０の表面には予めオフセット印刷により絵柄が施されて
いる。

【００１６】この紙片付き印刷物は、図５に示すよう
に、印刷基材１０から貼着用紙片２０を剥がそうとする
と、離型紙１３と粘着剤層２１との間で剥離させること
ができる。このように貼着用紙片２０を剥離すると、粘
着剤層２１が貼着用紙片２０側に転移するので、貼着用
紙片２０は優れた粘着性を有したものとなり、任意の場
所に再貼着が可能となる。また、それを剥離して再々貼
着も可能である。

【００１７】印刷物基材１０は、紙、プラスチック、金
属等であって、平面でも曲面でも印刷適性がありさえす
ればその種類は問わないが、一般的には、印刷物として
雑誌、カタログ、パンフレット等を挙げることができ、
このような印刷物の場合、印刷基材は普通の印刷用紙と
なる。

【００１８】貼着用紙片２０は、その紙質に限定はな
い。したがって、普通の用紙を用いることができ、その
場合、印刷物の印刷基材面と同様に１７５線以上且つ４
色以上のオフセット印刷にて絵柄を形成することができ
る。

【００１９】粘着剤層２１を形成する粘着剤は、室温で
弱粘着性を保有し、再剥離可能なものであって、例えば
水性エマルジョン型感圧接着剤が好適に使用される。こ
の感圧接着剤は、紙、プラスチックシート等による印刷
基材に対して、例えば凸版印刷方式によって所定の場所
にコートすることができる。また、使用する粘着剤は、
弱粘着性を長期間にわたって保有できるものであること
が必要である。

【００２０】図６は本発明による紙片付き印刷物の利用
形態の説明図である。

【００２１】本発明による紙片付き印刷物Ｍの愛読者、
受取人等の最終ユーザーは、図６に示すように、印刷物
Ｍの所定場所に貼り付いている貼着用紙片２０を剥離
し、これを自分の好きな場所に貼り替えて利用すること
ができる。例えば、雑誌広告として新車の印刷してある
貼着用紙片２０が付着されている場合、購読者は、自分
の好きな場所に貼り替えて楽しむことができ、新車の広
告効果は一層高まる。車以外にもアイドル等のトレーデ
ィングカードであれば、手帳、ラジカセ、パソコン或い
は机等に貼り替えてそれを常時楽しむことができる。ま
た、クーポン券であれば、手帳などに貼り付けておいて
後で店にて使用することができる。また、貼着用紙片２
０がレシピの書かれた料理カードであれば、冷蔵庫のド
ア、キッチンの壁等に貼り付けて便利よく使用すること
ができる。なお、貼着用紙片２０が有する情報によって
は、これら以外にも様々な利用の仕方がある。

【００２２】図７は本発明による紙片付き印刷物に使用
される貼着用紙片とその貼り合わせ面の説明図である。

【００２３】本発明による紙片付き印刷物に使用される
貼着用紙片２０は、図７（Ａ）や図７（Ｂ）に示すよう
な一枚構成のシートであっても、図７（Ｃ）に示すよう
な複数枚の頁からなる小冊子状のものであっても、図７
（Ｄ）に示すような観音折り等で折り畳まれたパンフレ
ット形態であってもよい。また、その形状も四角形に限
るものではなく、どのような形状を採っても構わない。
また、貼着用紙片の上に、例えば、小さな耐圧性のある
プラスチック製の小袋入りの化粧品等の試供品サンプル
が強接着されたものであってもよい。そして、それらの
貼着用紙片２０が、印刷基材の所定領域に貼り付けられ
る場合の貼着剤層２１の部分は、貼着用紙片２０の一部
分であっても全面であってもよいものである。

【００２４】本発明による紙片付き印刷物を製造するに
は、これまでに使用されてきている自動貼込機（アタッ
チャー）がそのまま利用できる。

【００２５】第１のタイプの紙片付き印刷物の製造方法
を印刷物が例えば雑誌を構成する折丁の場合について説
明すると次のようである。

【００２６】このタイプの紙片付き印刷物を製造する場
合、露出面の所定領域にワニス層により離型処理を施し
た折丁を準備する。この離型処理は、印刷用紙に対する
オフセット印刷時に同時にワニスをパターン塗布するこ
とで施すことができる。なお、一般に折丁は４頁以上で
あり、この折丁の表表紙又は裏表紙の所定位置に貼着用
紙片を貼り合わせることになる。そして、自動貼込機に
おいて、まずこの折丁をワニス層のある面を上にして第
１フィーダから一部ずつ搬送ベルト上に供給し、移動さ
せつつそのワニス層の上に粘着剤をゴム凸版方式等によ
ってスポットコートし、その直後、第２フィーダから一
枚ずつ供給される貼着用紙片を貼着位置に案内して貼り
合わせ、その直後、貼着用紙片の上から押圧ローラで押
圧した後、キッカでさしみ状に積層する。このようにし
て製造された紙片付きの折丁は、製本工程に送られる。
そして、この紙片付きの折丁を他の折丁及び表紙ととも
に丁合し、綴じ合わせた後で三方断裁することで、貼着
用紙片を所定頁に貼着した雑誌ができ上がる。

【００２７】第２のタイプの紙片付き印刷物の製造方法
を印刷物が例えば雑誌を構成する折丁の場合について説
明すると次のようである。

【００２８】まず、折丁を貼着用紙片が貼り合わせられ
る面を上にして第１フィーダから一部ずつ搬送ベルト上
に供給し、移動させつつその所定領域に接着剤をゴム凸
版方式等によってスポットコートし、その直後、第２フ
ィーダから一枚ずつ供給される離型紙を貼着位置に案内
して貼り合わせ、その直後、離型紙の上から押さえロー
ラで押圧し、移動させつつその離型紙の上に粘着剤をゴ
ム凸版方式等によってスポットコートし、その直後、第
３フィーダから一枚ずつ供給される貼着用紙片を貼着位
置に案内して貼り合わせ、その直後、貼着用紙片の上か
ら押さえローラで押圧した後、キッカでさしみ状に積層
する。このようにして製造された紙片付きの折丁は、製
本工程に送られる。そして、この紙片付きの折丁を他の
折丁及び表紙とともに丁合し、綴じ合わせた後で三方断
裁することで、貼着用紙片を所定頁に貼着した雑誌がで
き上がる。

【００２９】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の紙片付き
印刷物は、印刷物における露出した所定領域にワニス層
又は離型紙を介して粘着剤層が形成されることで、貼着
用紙片の剥離が容易にできるとともに、貼着用紙片に転
移する粘着剤層によって任意の場所に再貼着が可能であ
るように構成したことにより、メーカーから直に購入し
た原反を加工して貼着用紙片を作製する従来のものに比
べ、材料コストを低く抑えることができ、しかも貼着用
紙片のサイズや用紙が限定されないという効果を奏す
る。

【００３０】そして、貼着用紙片の用紙が限定されない
ことから、普通の印刷用紙を用いて４色以上の絵柄を形
成することが可能となり、しかも印刷物と同じ印刷機に
より絵柄を形成することができ、絵柄も印刷物とマッチ
したものとなり、従来のような単色の絵柄しかできない
ものに比べると使用形態の多様化を図ることができる。

【００３１】また、本発明の紙片付き印刷物を製造する
場合、貼着用紙片の印刷物への貼り合わせに際し、雑誌
や週刊誌でこれまでに使用されてきた自動貼込機をその
まま利用することができ、新たな装置を導入する必要が
ない。

【図面の簡単な説明】

【図１】従来の貼着用紙片の製造プロセスを示す説明図
である。

【図２】本発明に係る第１のタイプの紙片付き印刷物を
説明するための模式断面図である。

【図３】図２の紙片付き印刷物から貼着用紙片を剥がす
様子を示す断面図である。

【図４】本発明に係る第２のタイプの紙片付き印刷物を
説明するための模式断面図である。

【図５】図４の紙片付き印刷物から貼着用紙片を剥がす
様子を示す断面図である。

【図６】本発明による紙片付き印刷物の利用形態の説明
図である。

【図７】本発明による紙片付き印刷物に使用される貼着
用紙片とその貼り合わせ面の説明図である。

【符号の説明】

１０ 印刷基材 １１ ワニス層 １２ 接着剤層 １３ 離型紙 ２０ 貼着用紙片 ２１ 粘着剤層

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 印刷物における露出した所定領域にワニ
   ス層が形成され、そのワニス層の上に粘着剤層を介して
   貼着用紙片が貼り合わされてなることを特徴とする紙片
   付き印刷物。
2. 【請求項２】 印刷物における露出した所定領域に接着
   剤層を介して離型紙が貼り合わされ、その離型紙の上に
   粘着剤層を介して貼着用紙片が貼り合わされてなること
   を特徴とする紙片付き印刷物。
3. 【請求項３】 印刷物と貼着用紙片の双方に、１７５線
   以上且つ４色以上のオフセット印刷にて絵柄が形成され
   ていることを特徴とする請求項１又は２に記載の紙片付
   き印刷物。
4. 【請求項４】 印刷物が４頁以上の折丁であって、この
   折丁の表表紙又は裏表紙の所定位置に貼着用紙片を貼り
   合わせてなることを特徴とする請求項１〜３のいずれか
   に記載の紙片付き印刷物。
5. 【請求項５】 印刷物における露出した所定領域にワニ
   ス層により離型処理が施されており、この印刷物を一部
   ずつ供給しつつ貼着用紙片を一枚ずつ供給し、前記印刷
   物のワニス層の上に粘着剤を介して貼着用紙片を貼り付
   けることを特徴とする紙片付き印刷物の製造方法。
6. 【請求項６】 印刷物を一部ずつ供給しつつ離型紙を一
   枚ずつ供給し、前記印刷物における露出した所定領域に
   接着剤を介して離型紙を貼り付け、その離型紙を貼り合
   わせてなる印刷物を一部ずつ搬送しつつ貼着用紙片を一
   枚ずつ供給し、離型紙の上から貼着用紙片を粘着剤を介
   して貼り合わせることを特徴とする紙片付き印刷物の製
   造方法。