JP2001112200A - ブラシレスdcモータのロータ構造 - Google Patents
ブラシレスdcモータのロータ構造Info
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- JP2001112200A JP2001112200A JP32152099A JP32152099A JP2001112200A JP 2001112200 A JP2001112200 A JP 2001112200A JP 32152099 A JP32152099 A JP 32152099A JP 32152099 A JP32152099 A JP 32152099A JP 2001112200 A JP2001112200 A JP 2001112200A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 モータのトルク特性が任意に設定可能で、駆
動制御が容易なブラシレスDCモータを実現する。 【解決手段】 ロータコア内にスリットが施され、該ス
リットにマグネットを配して界磁極を形成するブラシレ
スモータにおいて、該ロータの同一界磁極を成すコア内
に第一スリットと第二スリットを設け、第一スリットは
ロータの外周より曲率が大きく、ロータの外周に沿って
円弧状に湾曲するものであり、第一スリットが界磁極の
一方の極間側でロータ外周寄りであって、界磁極の中心
線側でロータ内周寄りとなるようにし、また、第二スリ
ットはロータの外周とは逆に円弧状に湾曲させ、第二ス
リットが当該界磁極の中心線側でロータ内周寄りであっ
て、界磁極の他方の極間側でロータ外周寄りとなるよう
に施され、第一スリットと第二スリットが極間内にて合
流するようにされ、該スリット内にマグネットを配する
ようにした。
動制御が容易なブラシレスDCモータを実現する。 【解決手段】 ロータコア内にスリットが施され、該ス
リットにマグネットを配して界磁極を形成するブラシレ
スモータにおいて、該ロータの同一界磁極を成すコア内
に第一スリットと第二スリットを設け、第一スリットは
ロータの外周より曲率が大きく、ロータの外周に沿って
円弧状に湾曲するものであり、第一スリットが界磁極の
一方の極間側でロータ外周寄りであって、界磁極の中心
線側でロータ内周寄りとなるようにし、また、第二スリ
ットはロータの外周とは逆に円弧状に湾曲させ、第二ス
リットが当該界磁極の中心線側でロータ内周寄りであっ
て、界磁極の他方の極間側でロータ外周寄りとなるよう
に施され、第一スリットと第二スリットが極間内にて合
流するようにされ、該スリット内にマグネットを配する
ようにした。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はブラシレスDCモー
タのロータのコアにスリットを施し、該スリットにマグ
ネットを配して成るロータに関するもので、リラクタン
ストルクに関する磁気的な軸とマグネットトルクに関す
る磁気的な軸に任意の位相差を与えて、リラクタンスト
ルク成分とマグネットトルク成分を任意に設定出来る構
造に関するものである。
タのロータのコアにスリットを施し、該スリットにマグ
ネットを配して成るロータに関するもので、リラクタン
ストルクに関する磁気的な軸とマグネットトルクに関す
る磁気的な軸に任意の位相差を与えて、リラクタンスト
ルク成分とマグネットトルク成分を任意に設定出来る構
造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ロータ内にスリットを施し、これにマグ
ネットを配するものは通常マグネット埋め込み型ロータ
と呼ばれ広い分野で数多く使用されている。従来のブラ
シレスDCモータにおけるロータ構造の一例を図6及び
図7に示す。図6はロータの外周に対して逆円弧をなす
ように施されたスリットにマグネットが配されたもので
ある。図6において、スリット1、マグネット2、ロー
タコア3を示す。ロータの極毎において外周表面磁束は
ほぼ均一になっている。マグネット2は、ロータ径方向
に磁気的にラジアル配向のものが使用され界磁極の中心
線上に円弧中心点と配向焦点を有している。このタイプ
では、マグネット2とロータ表面間に介在するロータ径
方向に厚い磁性材であるロータコア3によって、通常の
マグネットトルク以外にリラクタンストルクを作用させ
てモータのトルクを向上させることが出来るようにされ
ている。
ネットを配するものは通常マグネット埋め込み型ロータ
と呼ばれ広い分野で数多く使用されている。従来のブラ
シレスDCモータにおけるロータ構造の一例を図6及び
図7に示す。図6はロータの外周に対して逆円弧をなす
ように施されたスリットにマグネットが配されたもので
ある。図6において、スリット1、マグネット2、ロー
タコア3を示す。ロータの極毎において外周表面磁束は
ほぼ均一になっている。マグネット2は、ロータ径方向
に磁気的にラジアル配向のものが使用され界磁極の中心
線上に円弧中心点と配向焦点を有している。このタイプ
では、マグネット2とロータ表面間に介在するロータ径
方向に厚い磁性材であるロータコア3によって、通常の
マグネットトルク以外にリラクタンストルクを作用させ
てモータのトルクを向上させることが出来るようにされ
ている。
【0003】このリラクタンストルクはマグネットトル
クに対して電気的に90°位相差が有り、且つ、マグネ
ットトルクの2倍の周期で変化する。マグネット2の配
される位置がロータの内径側になればなるほど、即ちモ
ータとしてリラクタンストルクをより有効的に利用しよ
うとすればするほどマグネット2とロータ表面間に介在
する磁性材であるコアの径方向が長くなるため、磁束の
分散は容易になり、ロータ表面でのマグネット磁束分布
は更に均一に成り易くなる。
クに対して電気的に90°位相差が有り、且つ、マグネ
ットトルクの2倍の周期で変化する。マグネット2の配
される位置がロータの内径側になればなるほど、即ちモ
ータとしてリラクタンストルクをより有効的に利用しよ
うとすればするほどマグネット2とロータ表面間に介在
する磁性材であるコアの径方向が長くなるため、磁束の
分散は容易になり、ロータ表面でのマグネット磁束分布
は更に均一に成り易くなる。
【0004】図7には、マグネット2の発する磁束が分
散する様子とリラクタンストルクが発生する磁束の流れ
を例で示す。図7の記号で図6と同一記号は同じ物を示
し、Φmはマグネット磁束、Φrはリラクタンストルク
を得る場合に外部励磁が行われたときの磁束の流れを示
している。界磁極中心がマグネット磁束の中心となり、
通常これをd軸とし、界磁極間の位置がd軸に対して電
気的に90°の位相差でありこれをq軸としている。同
図では界磁の開角はθ1であるにも係わらずスリット1
の配置からくる構成の関係で、界磁極間においてスリッ
ト1の幅に相当する角度分の有効な界磁領域が減少し有
効界磁開角はθ2となる。
散する様子とリラクタンストルクが発生する磁束の流れ
を例で示す。図7の記号で図6と同一記号は同じ物を示
し、Φmはマグネット磁束、Φrはリラクタンストルク
を得る場合に外部励磁が行われたときの磁束の流れを示
している。界磁極中心がマグネット磁束の中心となり、
通常これをd軸とし、界磁極間の位置がd軸に対して電
気的に90°の位相差でありこれをq軸としている。同
図では界磁の開角はθ1であるにも係わらずスリット1
の配置からくる構成の関係で、界磁極間においてスリッ
ト1の幅に相当する角度分の有効な界磁領域が減少し有
効界磁開角はθ2となる。
【0005】即ち、該スリット1に配されるマグネット
2の配向はスリット1の円弧中心方向側になる為、マグ
ネット2からの磁束は界磁極間部においてはロータ外周
との接線方向となり、回転子の界磁極として有効な径方
向には向かないことになる。従って、スリット1の両端
部は界磁極として有効な領域ではなくなる。図7からも
判るように界磁極の磁気的な中心は構造の幾何学上での
中心位置と一致する。即ち、当該界磁極中心位置に対し
てスリット1の形状及び配置は左右対称とされており、
該スリット1に均一なマグネット2が配されているの
で、該界磁極のロータ外周部での磁束分布は構造と同様
に左右対称となる。又、リラクタンストルクの作用する
領域の中心も界磁極の中心位置と一致している。ここ
で、この様なロータと組み合わされて構成される3相モ
ータのステータとロータの対向部分について図8に示
す。
2の配向はスリット1の円弧中心方向側になる為、マグ
ネット2からの磁束は界磁極間部においてはロータ外周
との接線方向となり、回転子の界磁極として有効な径方
向には向かないことになる。従って、スリット1の両端
部は界磁極として有効な領域ではなくなる。図7からも
判るように界磁極の磁気的な中心は構造の幾何学上での
中心位置と一致する。即ち、当該界磁極中心位置に対し
てスリット1の形状及び配置は左右対称とされており、
該スリット1に均一なマグネット2が配されているの
で、該界磁極のロータ外周部での磁束分布は構造と同様
に左右対称となる。又、リラクタンストルクの作用する
領域の中心も界磁極の中心位置と一致している。ここ
で、この様なロータと組み合わされて構成される3相モ
ータのステータとロータの対向部分について図8に示
す。
【0006】この図は、ステータがロータと対向する面
で円周方向に展開して図示したものである。図8におい
て図6と同一記号は同じ物を示しており、θdは図7に
示した界磁極間に存在する界磁極の無効領域角度を示す
ものであり図8との関係は下記式(1)のように表すこ
とが出来る。 θd=θ1−θ2 (1) ステータ4は、通常良く使用される12スロットのもの
を示す。S1〜S12はステータ4のスロット番号を示
しており、本例では12スロットであるのでS12まで
順に並びS1に戻る。該スロットにはU・V・Wの相巻
線が省略巻で4極構成となるよう施されている。
で円周方向に展開して図示したものである。図8におい
て図6と同一記号は同じ物を示しており、θdは図7に
示した界磁極間に存在する界磁極の無効領域角度を示す
ものであり図8との関係は下記式(1)のように表すこ
とが出来る。 θd=θ1−θ2 (1) ステータ4は、通常良く使用される12スロットのもの
を示す。S1〜S12はステータ4のスロット番号を示
しており、本例では12スロットであるのでS12まで
順に並びS1に戻る。該スロットにはU・V・Wの相巻
線が省略巻で4極構成となるよう施されている。
【0007】図8において、ロータが右回転で回転する
ものとすると、ロータ3からステータ4へと流れるマグ
ネット2の磁束は左から右へと移動する。この時の任意
の相巻線に鎖交する磁束量Φと当該相巻線に発生する誘
起電圧Eとモータとして動作させるために必要な相巻線
への通電電流Isのタイミングを図9に示す。今、ロー
タが一定速で回転している状態では、それぞれの相巻線
に鎖交する磁束量Φの変化は図示の状態を時間起点(t
0)とすると、例えばU相巻線についてみてみれば図9
の上段に示すような波形となり、この時の該U相巻線に
鎖交する磁束の変化により発生する誘起電圧Eは図9の
中段に示す波形となる。中段の誘起電圧Eにおいて電気
角θsは図8における界磁極の無効領域角度θdに相当
する部分であり、該無効領域部分が当該相巻線に対向を
開始して全てが対向を終えるまで、または、逆に当該相
巻線の対向から抜け出し始めてから抜け終わるまでの低
いレベルの誘起電圧となっている電気角である。
ものとすると、ロータ3からステータ4へと流れるマグ
ネット2の磁束は左から右へと移動する。この時の任意
の相巻線に鎖交する磁束量Φと当該相巻線に発生する誘
起電圧Eとモータとして動作させるために必要な相巻線
への通電電流Isのタイミングを図9に示す。今、ロー
タが一定速で回転している状態では、それぞれの相巻線
に鎖交する磁束量Φの変化は図示の状態を時間起点(t
0)とすると、例えばU相巻線についてみてみれば図9
の上段に示すような波形となり、この時の該U相巻線に
鎖交する磁束の変化により発生する誘起電圧Eは図9の
中段に示す波形となる。中段の誘起電圧Eにおいて電気
角θsは図8における界磁極の無効領域角度θdに相当
する部分であり、該無効領域部分が当該相巻線に対向を
開始して全てが対向を終えるまで、または、逆に当該相
巻線の対向から抜け出し始めてから抜け終わるまでの低
いレベルの誘起電圧となっている電気角である。
【0008】この区間では当該相巻線に対向する界磁極
の無効領域が通過を開始して終えるまではほぼ零磁束領
域が移動しているだけであるので鎖交する磁束量の変化
は極端に少なく、従って、誘起電圧の発生は極端に少な
い。無効領域角度θdと低誘起電圧電気角θsとの関係
はロータの界磁極の極数をPとすれば下記式(2)のよ
うになる。 θs=P×θd÷2 (2) 図7においてロータの界磁極が界磁極中心線を基準にし
て磁気的にも幾何学的にも左右対称であるので、ロータ
が左回転で磁束が右から左に移動しても図9中段の誘起
電圧Eは変わらない。
の無効領域が通過を開始して終えるまではほぼ零磁束領
域が移動しているだけであるので鎖交する磁束量の変化
は極端に少なく、従って、誘起電圧の発生は極端に少な
い。無効領域角度θdと低誘起電圧電気角θsとの関係
はロータの界磁極の極数をPとすれば下記式(2)のよ
うになる。 θs=P×θd÷2 (2) 図7においてロータの界磁極が界磁極中心線を基準にし
て磁気的にも幾何学的にも左右対称であるので、ロータ
が左回転で磁束が右から左に移動しても図9中段の誘起
電圧Eは変わらない。
【0009】通常、この様な誘起電圧波形のタイミング
に合わせて電気角にて120°の駆動電流Isを図9下
段の如く流してやると当該モータを運転することが出来
る。無論、同じ位相関係で電気角180°の通電でも運
転することもできるが、本説明では120°通電の場合
について図示した。さて、図8に示したようにステータ
と組み合わせてモータを構成したとき、固定座標での3
相機を図7に示したロータの回転と同期して回転移動す
る回転座標で表現する3相機と等価な2相機とし、図7
中のd軸及びq軸を基準の座標軸とすると、該モータの
トルクの式は T=Pn×{φa×Ia×cosβ+(Lq−Ld)×Ia2×sin2β} (3) と示めされることはよく知られるところである。
に合わせて電気角にて120°の駆動電流Isを図9下
段の如く流してやると当該モータを運転することが出来
る。無論、同じ位相関係で電気角180°の通電でも運
転することもできるが、本説明では120°通電の場合
について図示した。さて、図8に示したようにステータ
と組み合わせてモータを構成したとき、固定座標での3
相機を図7に示したロータの回転と同期して回転移動す
る回転座標で表現する3相機と等価な2相機とし、図7
中のd軸及びq軸を基準の座標軸とすると、該モータの
トルクの式は T=Pn×{φa×Ia×cosβ+(Lq−Ld)×Ia2×sin2β} (3) と示めされることはよく知られるところである。
【0010】ここで、Tは総合トルク、Pnは極対数で
極数Pの2分の1、φaはマグネットによる2相機とし
ての励磁巻線への鎖交磁束の実効値、LdとLqはそれ
ぞれ三相機を等価な2相機に置き換えたときのd軸とq
軸でのステータ巻線の等価インダクタンス、Iaは前述
等価な2相機での励磁電流ベクトルの大きさ、βは該励
磁電流ベクトルのq軸からの位相を表す。上記(3)式
の第1項はマグネットと励磁電流Iaとによるいわゆる
マグネットトルクを表現しており、第2項はリラクタン
ストルクを表現している。式より明らかなように、励磁
電流ベクトル位相βに対応してマグネットトルクの変化
周期も呼応するのに対しリラクタンストルクは2倍の変
化周期を有している。
極数Pの2分の1、φaはマグネットによる2相機とし
ての励磁巻線への鎖交磁束の実効値、LdとLqはそれ
ぞれ三相機を等価な2相機に置き換えたときのd軸とq
軸でのステータ巻線の等価インダクタンス、Iaは前述
等価な2相機での励磁電流ベクトルの大きさ、βは該励
磁電流ベクトルのq軸からの位相を表す。上記(3)式
の第1項はマグネットと励磁電流Iaとによるいわゆる
マグネットトルクを表現しており、第2項はリラクタン
ストルクを表現している。式より明らかなように、励磁
電流ベクトル位相βに対応してマグネットトルクの変化
周期も呼応するのに対しリラクタンストルクは2倍の変
化周期を有している。
【0011】また、同式のそれぞれの項はマグネットト
ルクの項にコサイン、リラクタンストルクの項にサイン
が付されており互いに電気角90°位相が異なることを
示している。従って、マグネットトルクとリラクタンス
トルクが同一方向で合成される励磁電流ベクトルの位相
差βは電気角で0°<β<90°の進み角度において実
現され、この範囲を逸脱すると互いのトルクが打ち消し
合う方向に作用することになる。(3)式を図で表現す
ると図10のようになる。図中Tmはマグネットトル
ク、Trはリラクタンストルク、Tはマグネットトルク
TmとリラクタンストルクTrを合成した(3)式表現
される総合トルクを表している。
ルクの項にコサイン、リラクタンストルクの項にサイン
が付されており互いに電気角90°位相が異なることを
示している。従って、マグネットトルクとリラクタンス
トルクが同一方向で合成される励磁電流ベクトルの位相
差βは電気角で0°<β<90°の進み角度において実
現され、この範囲を逸脱すると互いのトルクが打ち消し
合う方向に作用することになる。(3)式を図で表現す
ると図10のようになる。図中Tmはマグネットトル
ク、Trはリラクタンストルク、Tはマグネットトルク
TmとリラクタンストルクTrを合成した(3)式表現
される総合トルクを表している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従来この種のモータに
おいては、モータとしてのトルク定数を向上させること
でモータ性能を高めようと努力されていた。例えば、図
6のようにロータコア3に外周と逆の円弧スリット1を
施して該スリット1にマグネット2を配し、対向するス
テータの巻線への通電で生ずる磁束がロータ外周とマグ
ネット間に介在する磁性材内を通過しようとしてもたら
されるリラクタンストルクを有効に利用とする工夫もそ
のひとつであり、従来例として記述した総合トルクTの
ようにそれなりに効果を上げている。
おいては、モータとしてのトルク定数を向上させること
でモータ性能を高めようと努力されていた。例えば、図
6のようにロータコア3に外周と逆の円弧スリット1を
施して該スリット1にマグネット2を配し、対向するス
テータの巻線への通電で生ずる磁束がロータ外周とマグ
ネット間に介在する磁性材内を通過しようとしてもたら
されるリラクタンストルクを有効に利用とする工夫もそ
のひとつであり、従来例として記述した総合トルクTの
ようにそれなりに効果を上げている。
【0013】しかしながら、マグネットトルクとリラク
タンストルクは(3)式や図10に示したように、ロー
タの位置に対する励磁電流の通電位相によっては其々の
トルクを合成すると互いを強める領域と弱める領域とが
存在しており、q軸からの電流位相が0°〜90°の進
みの場合でマグネットトルクとリラクタンストルクは互
いに強め合い、0°〜−90°である遅れ位相の場合で
マグネットトルクとリラクタンストルクは互いに弱め合
う。この事は言い換えるならば、通常のモータ運転にお
いて、ある任意の相巻線への電流通電が行われロータが
回転していく過程で、該ロータのq軸上からみた励磁電
流位相は進みから遅れの方向に移動していることに他な
らない。
タンストルクは(3)式や図10に示したように、ロー
タの位置に対する励磁電流の通電位相によっては其々の
トルクを合成すると互いを強める領域と弱める領域とが
存在しており、q軸からの電流位相が0°〜90°の進
みの場合でマグネットトルクとリラクタンストルクは互
いに強め合い、0°〜−90°である遅れ位相の場合で
マグネットトルクとリラクタンストルクは互いに弱め合
う。この事は言い換えるならば、通常のモータ運転にお
いて、ある任意の相巻線への電流通電が行われロータが
回転していく過程で、該ロータのq軸上からみた励磁電
流位相は進みから遅れの方向に移動していることに他な
らない。
【0014】例えば、仮にq軸に対して励磁電流位相を
進み90°で通電を開始したとしてもロータの回転移動
により次第に遅れ位相の方に向かい図10の総合トルク
Tの如くモータトルクが変化する。通電が180°に渡
って行われれば遅れ位相の領域に入ってから急速にトル
クが減少する。また、この種のモータでよく用いられる
120°通電でも前記と同様に励磁電流位相を進み90
°で通電を開始したとしても、遅れ位相領域0°〜30
°までが存在することになり、総合トルクの大幅な減少
領域は残ってしまう。即ち、ロータの回転位置によって
大きなトルクの脈動が避けられない。また、図6至及図
9に示し説明を加えたように、ロータの外周に対して逆
方向に円弧のスリットを施し該スリットにマグネット配
した構造では、有効な界磁極領域が少なくなり結果とし
てθsなる誘起電圧の発生が極めて少ない領域を生じさ
せてしまう。従ってマグネットトルクに関して、この領
域で相巻線に電流の通電を行ってもトルクの発生を期待
することが出来ない。図9ではθs領域での通電を回避
できる120°通電の場合を示したが、180°通電で
は1周期の中にθs分の無駄な電流を流すことになり効
率の悪化が避けられず、120°通電においても通電の
タイミングの僅かなずれで通電領域がモータの誘起電圧
の少ない領域に及んでしまい、モータトルクの発生が大
きく変化することになる。以上の如く、従来のロータ構
造ではトルクの部分的な引き上げに付いては効果が認め
られるが、トルク脈動やそれに伴う音や振動について考
慮されていなかった。
進み90°で通電を開始したとしてもロータの回転移動
により次第に遅れ位相の方に向かい図10の総合トルク
Tの如くモータトルクが変化する。通電が180°に渡
って行われれば遅れ位相の領域に入ってから急速にトル
クが減少する。また、この種のモータでよく用いられる
120°通電でも前記と同様に励磁電流位相を進み90
°で通電を開始したとしても、遅れ位相領域0°〜30
°までが存在することになり、総合トルクの大幅な減少
領域は残ってしまう。即ち、ロータの回転位置によって
大きなトルクの脈動が避けられない。また、図6至及図
9に示し説明を加えたように、ロータの外周に対して逆
方向に円弧のスリットを施し該スリットにマグネット配
した構造では、有効な界磁極領域が少なくなり結果とし
てθsなる誘起電圧の発生が極めて少ない領域を生じさ
せてしまう。従ってマグネットトルクに関して、この領
域で相巻線に電流の通電を行ってもトルクの発生を期待
することが出来ない。図9ではθs領域での通電を回避
できる120°通電の場合を示したが、180°通電で
は1周期の中にθs分の無駄な電流を流すことになり効
率の悪化が避けられず、120°通電においても通電の
タイミングの僅かなずれで通電領域がモータの誘起電圧
の少ない領域に及んでしまい、モータトルクの発生が大
きく変化することになる。以上の如く、従来のロータ構
造ではトルクの部分的な引き上げに付いては効果が認め
られるが、トルク脈動やそれに伴う音や振動について考
慮されていなかった。
【0015】
【課題を解決するための手段】ロータの同一界磁極を成
すコア内に、第一スリットがロータの外周より曲率が大
きく円弧状にロータの外周に沿って湾曲するものであっ
て、且つ、配置がロータの一方の界磁極間側でロータ外
周寄りであって界磁極中心側でロータ内周寄りとなるよ
う施され、第二スリットがロータ外周と逆の円弧状に湾
曲して施され、且つ、第二スリットが当該界磁極の中心
線側でロータ内周寄りであって、当該界磁極の他方の極
間側でロータ外周寄りとなるように施され、第一スリッ
トと第二スリットが当該極間内にて合流するようにさ
れ、該スリットにマグネットを配するようにした。
すコア内に、第一スリットがロータの外周より曲率が大
きく円弧状にロータの外周に沿って湾曲するものであっ
て、且つ、配置がロータの一方の界磁極間側でロータ外
周寄りであって界磁極中心側でロータ内周寄りとなるよ
う施され、第二スリットがロータ外周と逆の円弧状に湾
曲して施され、且つ、第二スリットが当該界磁極の中心
線側でロータ内周寄りであって、当該界磁極の他方の極
間側でロータ外周寄りとなるように施され、第一スリッ
トと第二スリットが当該極間内にて合流するようにさ
れ、該スリットにマグネットを配するようにした。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に本発明の好適な実施例を示
し説明する。図1は界磁極が4極である場合のロータを
示しており、一対の界磁極について図示してある。図1
において付された記号は、第一スリット1a、第二スリ
ット1b、マグネット2、ロータコア3を示しそれぞれ
の第一スリット1a、第二スリット1bにはマグネット
2が配されている。第一スリット1aはロータの外周と
同一方向に湾曲し、且つロータの外周より曲率が大きく
設定されている。第一スリット1aの一方端は界磁極間
の側に在って、且つロータの外周に接近させてあり、他
端は当該界磁極の中心側に位置する。該スリットはロー
タの外周より曲率が大きいので、必然的に他端は一方端
よりロータの内周に位置する事となる。第二スロット1
bは当該界磁極領域の第一スリット1aの施された界磁
極間側と反対側の界磁極間側にその一方端を配し、ロー
タの外周と逆方向に湾曲するようにされ、該スリットの
他端は第一スリット1aの他端と合流するように施され
ている。従って、結果として第一スリット1aと第二ス
ロット1bは同一界磁極内で波のようにうねるひとつの
スリットとなる。
し説明する。図1は界磁極が4極である場合のロータを
示しており、一対の界磁極について図示してある。図1
において付された記号は、第一スリット1a、第二スリ
ット1b、マグネット2、ロータコア3を示しそれぞれ
の第一スリット1a、第二スリット1bにはマグネット
2が配されている。第一スリット1aはロータの外周と
同一方向に湾曲し、且つロータの外周より曲率が大きく
設定されている。第一スリット1aの一方端は界磁極間
の側に在って、且つロータの外周に接近させてあり、他
端は当該界磁極の中心側に位置する。該スリットはロー
タの外周より曲率が大きいので、必然的に他端は一方端
よりロータの内周に位置する事となる。第二スロット1
bは当該界磁極領域の第一スリット1aの施された界磁
極間側と反対側の界磁極間側にその一方端を配し、ロー
タの外周と逆方向に湾曲するようにされ、該スリットの
他端は第一スリット1aの他端と合流するように施され
ている。従って、結果として第一スリット1aと第二ス
ロット1bは同一界磁極内で波のようにうねるひとつの
スリットとなる。
【0017】次に、磁気的軸の中心について図2を使っ
て説明をする。図2は4つの界磁極のひとつを図示した
もので、本図の例の構造的な界磁極中心軸J1は、当該
界磁極の一方の極間軸Xからθ3の角度で示され、この
段階においては機械角は45°である。また、ロータの
ひとつの有効界磁極領域は図2に示すθkの区間であ
る。即ち、界磁極間の第一スリット1a端面が極間軸に
面しているので、有効界磁極はほぼ界磁極間まで在り、
第二スリット1bの界磁極間ではスリット端面がロータ
の外周側に面するので、スリットの厚みに相当する角度
分のみ有効界磁極が少なくなり、結果、当該界磁極では
有効界磁極角度はθkで示される角度となる。
て説明をする。図2は4つの界磁極のひとつを図示した
もので、本図の例の構造的な界磁極中心軸J1は、当該
界磁極の一方の極間軸Xからθ3の角度で示され、この
段階においては機械角は45°である。また、ロータの
ひとつの有効界磁極領域は図2に示すθkの区間であ
る。即ち、界磁極間の第一スリット1a端面が極間軸に
面しているので、有効界磁極はほぼ界磁極間まで在り、
第二スリット1bの界磁極間ではスリット端面がロータ
の外周側に面するので、スリットの厚みに相当する角度
分のみ有効界磁極が少なくなり、結果、当該界磁極では
有効界磁極角度はθkで示される角度となる。
【0018】界磁極としての磁気的な中心軸について
は、特にスリットに配されるマグネット2の配向がラジ
アルである場合は、第二スリット1bのマグネット2の
配向焦点は、マグネット2を基準とした場合ロータ外周
側になるのでこの部位での磁束が多くなる。従って、図
2の界磁磁気中心軸J2に示される様に、第二スリット
1bのマグネット2は、X軸側に寄りX軸からの角度は
θ4となる。このことはマグネット2による磁束に関し
ての磁気中心がロータ外周とスリット間で相対的に磁性
材が多い側にその軸が移動することを意味する。
は、特にスリットに配されるマグネット2の配向がラジ
アルである場合は、第二スリット1bのマグネット2の
配向焦点は、マグネット2を基準とした場合ロータ外周
側になるのでこの部位での磁束が多くなる。従って、図
2の界磁磁気中心軸J2に示される様に、第二スリット
1bのマグネット2は、X軸側に寄りX軸からの角度は
θ4となる。このことはマグネット2による磁束に関し
ての磁気中心がロータ外周とスリット間で相対的に磁性
材が多い側にその軸が移動することを意味する。
【0019】更に、ロータのスリットと外周間に介在す
る磁性材を磁気通路とするリラクタンストルクを発生さ
せる領域のリラクタンス中心軸は、リラクタンストルク
が有効に作用する領域は、ロータでの磁気的通路断面が
大きくなるロータ外周の円弧に対して逆の円弧となるよ
うに施された第二スリット1bとの間にほぼ相当する領
域に制限されるので、構造上必然的にマグネット2の有
効界磁磁極領域θkは狭くなり、結果として、界磁磁気
中心軸J2の角度θ4より更にX軸寄りとなり図2に示
すリラクタンス中心軸J3の如くX軸からの角度θ5の
位置となる。
る磁性材を磁気通路とするリラクタンストルクを発生さ
せる領域のリラクタンス中心軸は、リラクタンストルク
が有効に作用する領域は、ロータでの磁気的通路断面が
大きくなるロータ外周の円弧に対して逆の円弧となるよ
うに施された第二スリット1bとの間にほぼ相当する領
域に制限されるので、構造上必然的にマグネット2の有
効界磁磁極領域θkは狭くなり、結果として、界磁磁気
中心軸J2の角度θ4より更にX軸寄りとなり図2に示
すリラクタンス中心軸J3の如くX軸からの角度θ5の
位置となる。
【0020】従って、円弧曲率と円弧長比率を第一スリ
ット1aと第二スリット1bにおいて適宜設定すること
でリラクタンス中心軸と界磁磁極中心軸に所望の差を持
たせることができる。また、一方においては、該第一ス
リット1aの曲率が大きくなればスリットとロータ外周
間に介在する磁性材のロータ径方向厚みが広い領域が円
周方向に広がりリラクタンストルクの発生する領域が広
がることは明らかで、リラクタンストルクの有効に作用
する領域の大きさがスリットの曲率でも調整できる。こ
の様な時のモータとしてのトルクは前述の式(3)に、
界磁極中心軸からのそれぞれの軸の差として界磁極中心
軸とリラクタンス中心軸との差(θ3−θ5)と界磁極
中心軸と界磁磁気中心軸との差(θ3−θ4)を当ては
めて考えると、界磁極の極対数Pnとした場合(4)式
のようになる。 T1=Pn×[φa×Ia×cos{β+Pn×(θ3−θ4)}+(Lq−L d)×Ia2×sin{2β+Pn×(θ3−θ5)}] (4) ここで(θ3−θ4)<(θ3−θ5)である。これ
は、(3)式と(4)式の比較において、(4)式での
[]内に記述されるマグネットトルクに関する第1項の
位相の移動量に対して、リラクタンストルクに関する第
2項の位相の移動量が大きくなることを示している。従
って、第1項は余弦関数であり第2項は正弦関数である
ので同一電流位相に対する第1項と第2項は本来90°
の位相差を有しており、その上第2項が第1項より位相
差が大きくなる方向へずれるのであるからマグネットト
ルクとリラクタンストルクの位相差は広がることとな
る。
ット1aと第二スリット1bにおいて適宜設定すること
でリラクタンス中心軸と界磁磁極中心軸に所望の差を持
たせることができる。また、一方においては、該第一ス
リット1aの曲率が大きくなればスリットとロータ外周
間に介在する磁性材のロータ径方向厚みが広い領域が円
周方向に広がりリラクタンストルクの発生する領域が広
がることは明らかで、リラクタンストルクの有効に作用
する領域の大きさがスリットの曲率でも調整できる。こ
の様な時のモータとしてのトルクは前述の式(3)に、
界磁極中心軸からのそれぞれの軸の差として界磁極中心
軸とリラクタンス中心軸との差(θ3−θ5)と界磁極
中心軸と界磁磁気中心軸との差(θ3−θ4)を当ては
めて考えると、界磁極の極対数Pnとした場合(4)式
のようになる。 T1=Pn×[φa×Ia×cos{β+Pn×(θ3−θ4)}+(Lq−L d)×Ia2×sin{2β+Pn×(θ3−θ5)}] (4) ここで(θ3−θ4)<(θ3−θ5)である。これ
は、(3)式と(4)式の比較において、(4)式での
[]内に記述されるマグネットトルクに関する第1項の
位相の移動量に対して、リラクタンストルクに関する第
2項の位相の移動量が大きくなることを示している。従
って、第1項は余弦関数であり第2項は正弦関数である
ので同一電流位相に対する第1項と第2項は本来90°
の位相差を有しており、その上第2項が第1項より位相
差が大きくなる方向へずれるのであるからマグネットト
ルクとリラクタンストルクの位相差は広がることとな
る。
【0021】本発明においてはリラクタンストルクが有
効に作用する領域がロータでの磁気的通路断面の大きく
なる第二スリット1bの区間にほぼ相当する領域に制限
されるので、(4)式を含めこれを図で表現すると図5
のようになる。(3)式及び図10と比較して明らかな
ように(4)式及び図5に示すように本発明のロータ構
造によるモータにおいては、マグネットトルクのピーク
がPn×(θ3−θ4)の値で表される電気角度分進み
方向に移動し、リラクタンストルクのピークは更に進み
角度となるPn×(θ3−θ5)の電気角度の位置に移
動する。両者を合成した総合トルクは同図5のTのよう
になり図10の総合トルクTと比較してピークトルク付
近の領域の幅が広く変化が穏やかである。例えば、12
0°通電の駆動方式であればひとつの通電パターンであ
る60°区間で高トルク状態を安定的に維持できればト
ルク脈動の少ないモータとすることが出来る。従って、
図5の場合の総合トルクTは極めて脈動の少ないモータ
になることを示している。
効に作用する領域がロータでの磁気的通路断面の大きく
なる第二スリット1bの区間にほぼ相当する領域に制限
されるので、(4)式を含めこれを図で表現すると図5
のようになる。(3)式及び図10と比較して明らかな
ように(4)式及び図5に示すように本発明のロータ構
造によるモータにおいては、マグネットトルクのピーク
がPn×(θ3−θ4)の値で表される電気角度分進み
方向に移動し、リラクタンストルクのピークは更に進み
角度となるPn×(θ3−θ5)の電気角度の位置に移
動する。両者を合成した総合トルクは同図5のTのよう
になり図10の総合トルクTと比較してピークトルク付
近の領域の幅が広く変化が穏やかである。例えば、12
0°通電の駆動方式であればひとつの通電パターンであ
る60°区間で高トルク状態を安定的に維持できればト
ルク脈動の少ないモータとすることが出来る。従って、
図5の場合の総合トルクTは極めて脈動の少ないモータ
になることを示している。
【0022】次に、図1のロータを円周方向に展開して
対向するステータとの関係を図3に示す。ステータの部
位は図8と同じである。図2で説明した界磁極の有効界
磁極角度θkは前述図7でのθ2に比べマグネット2の
厚みに相当する角度分広くなっている。従って、無効な
界磁磁極角度θmは θm≒θd/2 (5) の様に従来の無効部分が半分になる。この事により、図
9で示した鎖交磁束量、誘起電圧、通電すべき相電流の
関係は図4の様になり、相巻線に鎖交する磁束量は変化
の区間が広がり低いレベルの誘起電圧が現れる電気角区
間はθtで示される幅にまで縮小する。
対向するステータとの関係を図3に示す。ステータの部
位は図8と同じである。図2で説明した界磁極の有効界
磁極角度θkは前述図7でのθ2に比べマグネット2の
厚みに相当する角度分広くなっている。従って、無効な
界磁磁極角度θmは θm≒θd/2 (5) の様に従来の無効部分が半分になる。この事により、図
9で示した鎖交磁束量、誘起電圧、通電すべき相電流の
関係は図4の様になり、相巻線に鎖交する磁束量は変化
の区間が広がり低いレベルの誘起電圧が現れる電気角区
間はθtで示される幅にまで縮小する。
【0023】
【発明の効果】本発明に拠れば、マグネットの配される
スリットに関し、第一スリットをロータの外周と同方向
の円弧とし、界磁極中心線を起点として第二スリットを
逆方向円弧にして両方が連続する様に構成して、該スリ
ットにマグネットを配するようにした事により、マグネ
ットによる界磁磁極中心とリラクタンス中心軸に差を設
けることが出来る。従って、モータとしてのマグネット
トルクの位相とリラクタンストルクの位相や上記スリッ
トの曲率やスリットの円弧長比率を適宜行うことにより
任意の状態にして、目的とする総合トルクを得ることが
出来る。このことにより、トルクに関して大きさを重視
したモータ、脈動を重視したモータというように使い分
けることが可能である。
スリットに関し、第一スリットをロータの外周と同方向
の円弧とし、界磁極中心線を起点として第二スリットを
逆方向円弧にして両方が連続する様に構成して、該スリ
ットにマグネットを配するようにした事により、マグネ
ットによる界磁磁極中心とリラクタンス中心軸に差を設
けることが出来る。従って、モータとしてのマグネット
トルクの位相とリラクタンストルクの位相や上記スリッ
トの曲率やスリットの円弧長比率を適宜行うことにより
任意の状態にして、目的とする総合トルクを得ることが
出来る。このことにより、トルクに関して大きさを重視
したモータ、脈動を重視したモータというように使い分
けることが可能である。
【0024】また、第一スリットと第二スリットが同一
の形状である場合は、該スリットに配されるマグネット
が同一のもので構成することが出来る。このことは、本
発明のロータが従来のロータと同様に単一のマグネット
で構成されることを意味しており、構成部品の種類を増
やさずして実現可能であることを表している。また、マ
グネットを第一スリットと第二スリットとして分割せず
一体物で構成することにより同様の効果も得ることがで
きる。一方においては、本発明のスリット構成及びマグ
ネットの配置は界磁極の無効領域が従来構成に比べほぼ
半減するので、モータを構成したとき、前述低いレベル
の誘起電圧が現れる電機角区間が小さくなり、これによ
って該モータをモータの巻線に発生する誘起電圧を利用
して駆動しようとする制御装置のロータ位置検出精度が
良くなる。従って、モータを高効率で運転させることが
可能であると同時に、ロータの位置に対する通電のタイ
ミングが変動しても安定して駆動を続けるといった大き
な効果を得ることが出来る。
の形状である場合は、該スリットに配されるマグネット
が同一のもので構成することが出来る。このことは、本
発明のロータが従来のロータと同様に単一のマグネット
で構成されることを意味しており、構成部品の種類を増
やさずして実現可能であることを表している。また、マ
グネットを第一スリットと第二スリットとして分割せず
一体物で構成することにより同様の効果も得ることがで
きる。一方においては、本発明のスリット構成及びマグ
ネットの配置は界磁極の無効領域が従来構成に比べほぼ
半減するので、モータを構成したとき、前述低いレベル
の誘起電圧が現れる電機角区間が小さくなり、これによ
って該モータをモータの巻線に発生する誘起電圧を利用
して駆動しようとする制御装置のロータ位置検出精度が
良くなる。従って、モータを高効率で運転させることが
可能であると同時に、ロータの位置に対する通電のタイ
ミングが変動しても安定して駆動を続けるといった大き
な効果を得ることが出来る。
【図1】本発明の一実施例を示すロータの横断面図であ
る。
る。
【図2】図1における任意の有効界磁極角を示す図であ
る。
る。
【図3】図1のロータを用いたブラシレスDCモータの
構成を示す展開説明図である。
構成を示す展開説明図である。
【図4】図1のロータを用いたブラシレスDCモータの
任意相における鎖交磁束の変化と当該相に発生する誘起
電圧及び、通電電流のタイミングを示すものである。
任意相における鎖交磁束の変化と当該相に発生する誘起
電圧及び、通電電流のタイミングを示すものである。
【図5】本発明のロータを用いたトルク特性の一例を示
す図である。
す図である。
【図6】従来例を示すロータの横断面図である。
【図7】図6の従来例のロータを用いた磁気的事項を説
明する横断面図である。
明する横断面図である。
【図8】図6の従来例のロータを用いたブラシレスDC
モータの構成を示す展開説明図である。
モータの構成を示す展開説明図である。
【図9】図6の従来例のロータを用いたブラシレスDC
モータの任意相における鎖交磁束の変化と当該相に発生
する誘起電圧及び、通電電流のタイミングを示すもので
ある。
モータの任意相における鎖交磁束の変化と当該相に発生
する誘起電圧及び、通電電流のタイミングを示すもので
ある。
【図10】図6の従来例のロータを用いたトルク特性で
ある。
ある。
1…スリット、1a…第一スリット、1b…第二スリッ
ト、2…マグネット、3…ロータコア、4…ステータ、
U・V・W…ステータの相巻線、J1…界磁極中心軸、
J2…界磁磁気中心軸、J3…リラクタンス中心軸、θ
1・θ3・θ4・θ5…角度、θ2・θk…有効界磁極
角度、S1〜S12…ステータのスロット、θd・θm
…無効領域角度、θs・θt…電気角度、Φ…鎖交磁
束、E…誘起電圧、Is…通電電流、t…時間、T…総
合トルク、Tm…マグネットトルク、Tr…リラクタン
ストルク、β…励磁電流位相、Φm…マグネット磁束、
Φr…リラクタンス磁束。
ト、2…マグネット、3…ロータコア、4…ステータ、
U・V・W…ステータの相巻線、J1…界磁極中心軸、
J2…界磁磁気中心軸、J3…リラクタンス中心軸、θ
1・θ3・θ4・θ5…角度、θ2・θk…有効界磁極
角度、S1〜S12…ステータのスロット、θd・θm
…無効領域角度、θs・θt…電気角度、Φ…鎖交磁
束、E…誘起電圧、Is…通電電流、t…時間、T…総
合トルク、Tm…マグネットトルク、Tr…リラクタン
ストルク、β…励磁電流位相、Φm…マグネット磁束、
Φr…リラクタンス磁束。
Claims (3)
- 【請求項1】 ロータコア内にスリットが施され、該ス
リットにマグネットを配して界磁極を形成するブラシレ
スモータにおいて、該ロータの同一界磁極を成すコア内
に第一スリットと第二スリットを有し、第一スリットは
ロータの外周より曲率が大きく、ロータの外周に沿って
円弧状に湾曲させて成り、且つ、前記第一スリットが界
磁極の一方の極間側でロータ外周寄りであって、界磁極
の中心線側でロータ内周寄りとなるように施され、ま
た、第二スリットはロータの外周とは逆に円弧状に湾曲
させて成り、且つ、前記第二スリットが当該界磁極の中
心線側でロータ内周寄りであって、当該界磁極の他方の
極間側でロータ外周寄りとなるように施され、前記第一
スリットと第二スリットが当該極間内にて合流するよう
にされ、該スリット内にマグネットを配するようにした
ことを特徴とするブラシレスDCモータのロータ構造。 - 【請求項2】 前記第一スリットと第二のスリットが同
一曲率であることを特徴とする第1項記載のブラシレス
DCモータのロータ構造。 - 【請求項3】 モータとしてのマグネットトルクに対す
るリラクタンストルクの割合を大きくする場合には、第
一スリットの曲率を大きくし、第二スリットの曲率を小
さく、逆に、前記マグネットトルクに対するリラクタン
ストルクの割合を小さくする場合、第一スリットの曲率
を小さくし第二スリットの曲率を大きくしたことを特徴
とする第1項記載のブラシレスDCモータのロータ構
造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32152099A JP2001112200A (ja) | 1999-10-06 | 1999-10-06 | ブラシレスdcモータのロータ構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP32152099A JP2001112200A (ja) | 1999-10-06 | 1999-10-06 | ブラシレスdcモータのロータ構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001112200A true JP2001112200A (ja) | 2001-04-20 |
Family
ID=18133498
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP32152099A Pending JP2001112200A (ja) | 1999-10-06 | 1999-10-06 | ブラシレスdcモータのロータ構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001112200A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006054676A1 (ja) * | 2004-11-17 | 2006-05-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 車両駆動システムおよびそれを備える車両 |
JP2009153352A (ja) * | 2007-12-21 | 2009-07-09 | Aichi Elec Co | 永久磁石回転機 |
US8072110B2 (en) | 2005-12-21 | 2011-12-06 | Daikin Industries, Ltd. | Motor and compressor |
CN114204714A (zh) * | 2020-08-28 | 2022-03-18 | 上海海立电器有限公司 | 转子冲片、转子、永磁电机及压缩机 |
DE102013206416B4 (de) | 2012-04-17 | 2024-12-19 | GM Global Technology Operations, LLC (n.d. Ges. d. Staates Delaware) | Maschine mit innenliegenden Permanentmagneten mit bogenförmigen Nuten |
-
1999
- 1999-10-06 JP JP32152099A patent/JP2001112200A/ja active Pending
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006054676A1 (ja) * | 2004-11-17 | 2006-05-26 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | 車両駆動システムおよびそれを備える車両 |
US7560843B2 (en) | 2004-11-17 | 2009-07-14 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Vehicle drive system including a rotating electric machine and vehicle incorporating the same |
US8072110B2 (en) | 2005-12-21 | 2011-12-06 | Daikin Industries, Ltd. | Motor and compressor |
JP2009153352A (ja) * | 2007-12-21 | 2009-07-09 | Aichi Elec Co | 永久磁石回転機 |
DE102013206416B4 (de) | 2012-04-17 | 2024-12-19 | GM Global Technology Operations, LLC (n.d. Ges. d. Staates Delaware) | Maschine mit innenliegenden Permanentmagneten mit bogenförmigen Nuten |
CN114204714A (zh) * | 2020-08-28 | 2022-03-18 | 上海海立电器有限公司 | 转子冲片、转子、永磁电机及压缩机 |
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