JP2001106025A - シートベルトリトラクタ - Google Patents
シートベルトリトラクタInfo
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Abstract
定できるようにして、乗員の運動エネルギを可能な限り
より効果的にかつより適切に吸収する。 【解決手段】緊急時ロッキングベース14のベルト引出
方向CWの回転が阻止されると、スプール4がロッキン
グベース14に対して同方向CWに相対回転し、2本の
シェアピン20,21にせん断荷重が加えられるととも
に、トーションバー7がねじり変形する。シートベルト
3からスプール4に加えられる荷重の増大でせん断荷重
が所定値以上に増大すると、シェアピン20,21がせ
ん断破壊する。これにより、シートベルト3にかかる荷
重が制限されてトーションバー7のねじり変形による一
定荷重まで低下する。このように、EA機構の制限荷重
特性はシェアピン20,21により最初大きく上昇し、
その後トーションバー7により一定荷重まで低下する特
性となる。
Description
取引出し可能に巻き取るシートベルトリトラクタの技術
分野に属し、特に、シートベルト装着状態で衝突時等の
車両に大きな車両減速度が作用した場合のような緊急時
にシートベルトの引出しを阻止する際、トーションバー
がねじれ変形してこのシートベルトにかかる荷重を制限
するシートベルト荷重制限機構(以下、EA機構ともい
う)を備えているシートベルトリトラクタの技術分野に
属するものである。
るシートベルト装置は、前述の緊急時に、シートベルト
で乗員を拘束することにより乗員のシートからの飛び出
しを阻止し、乗員を保護している。このようなシートベ
ルト装置においては、シートベルトを巻き取るシートベ
ルトリトラクタを備えている。このシートベルトリトラ
クタは、シートベルトは非装着時にはスプールに巻き取
られているが、装着時には引き出されて乗員に装着され
る。そして、シートベルトリトラクタは、前述のような
緊急時にロック機構が作動してスプールの引出し方向の
回転を阻止することにより、シートベルトの引出しが阻
止される。これにより、緊急時にシートベルトは乗員を
確実に拘束し、保護するようになる。
シートベルトリトラクタにおいては、車両衝突等の緊急
時にシートベルトが乗員を拘束保護するとき、大きな車
両減速度が生じるため、乗員が大きな慣性により前方へ
移動しようとする。このため、シートベルトには大きな
荷重が加えられるとともに、乗員はこのシートベルトか
ら大きな衝撃力を受けるようになる。乗員に対してこの
衝撃力は特に問題ではないが、できれば制限される方が
望ましい。
は、従来、トーションバーを設けて、シートベルト装着
状態での緊急時に、このシートベルトにかかる荷重を制
限するようにしたものが開発されている。図8は、この
ようなトーションバーを備えたシートベルトリトラクタ
の一例を示す縦断面図である。図中、1はシートベルト
リトラクタ、2はコ字状のフレーム、3はシートベル
ト、4はコ字状のフレーム2の両側壁間に回転可能に支
持され、シートベルト3を巻き取るスプール、5は前述
の緊急時に発生する大きな車両減速度を感知して作動す
る減速度感知手段、6は減速度感知手段5によって作動
して少なくともスプール4のベルト引出方向の回転を阻
止するロック機構、7はこのスプール4の中心に軸方向
に遊嵌、貫通され、かつスプール4とロック機構6とを
回転的に連結するトーションバー(本発明のシートベル
ト荷重制限機構に相当する)、8はスパイラルスプリン
グ9のばね力によりブッシュ10を介してスプール4を
常時ベルト巻取方向に付勢するスプリング手段、11は
前述の緊急時に作動してベルト巻取トルクを発生するプ
リテンショナー、12はプリテンショナー11のシート
ベルト巻取トルクをスプール4に伝達するブッシュであ
る。
する第1トルク伝達軸17に一体回転可能でありかつパ
ウル13を揺動可能に保持するロッキングベース(本発
明のロッキング部材に相当)14を備えているととも
に、トーションバー7に通常時はこのトーションバー7
と一体回転し緊急時に減速度感知手段5の作動で停止し
てトーションバー7との間に相対回転差を発生させてパ
ウル13をフレーム2の側壁の内歯19に係合させてロ
ッキングベース14つまりはスプール4のシートベルト
引出方向の回転を阻止するロックギヤ6aを備えてい
る。また、トーションバー7には、ロッキングベース1
4と相対回転不能に係合する第1トルク伝達部17が形
成されているとともに、スプール4と相対回転不能に係
合する第2トルク伝達部18が形成されている。
り、スプール4はブッシュ10、トーションバー7、ト
ーションバー7の第2トルク伝達部18およびブッシュ
12を介して常時シートベルト巻取方向に付勢されてい
る。また、プリテンショナー11の作動時、プリテンシ
ョナー11で発生したベルト巻取トルクがブッシュ12
を介してスプール4に伝達され、これによりスプール4
はシートベルト3を所定量巻き取るようになっている。
リトラクタ1においては、シートベルト非装着時には、
スプリング手段8の付勢力で、シートベルト3が完全に
巻き取られている。そして、装着のためシートベルト3
を通常の速度で引き出すと、スプール4がシートベルト
引出方向に回転し、シートベルト3はスムーズに引き出
される。シートベルト3に摺動自在に設けられた図示し
ないタングを車体に固定されたバックルに挿入係止した
後、余分に引き出されたシートベルト3がスプリング手
段8の付勢力でスプール4に巻き取られ、シートベルト
3は乗員に圧迫感を与えない程度にフィットされる。
発生したシートベルト巻取トルクはスプール4に伝達さ
れ、スプール4はシートベルト3を所定量巻き取り、乗
員を堅固に拘束する。一方、緊急時に発生する大きな車
両減速度で減速度感知手段5が作動してロック機構6が
作動する。すなわち、減速度感知手段5の作動により、
ロックギヤ6aのシートベルト引出方向の回転が阻止さ
れ、ロック機構6のパウル13が回動して、フレーム2
の側壁の内歯19に係合する。すると、ロッキングベー
ス14のシートベルト引出方向の回転が阻止されるの
で、トーションバー7がねじられ、スプール4のみがシ
ートベルト引出方向にロッキングベース14に対して相
対回転する。これ以後、スプール4がトーションバー7
をねじりつつシートベルト引出方向に回転することにな
り、このトーションバー7のねじりトルクによってシー
トベルト3に加えられる荷重が制限されて、乗員に加え
られる衝撃が吸収緩和される。そして、このトーション
バー7によってEA機構が構成されており、このときの
EA機構の制限荷重(以下、EA荷重ともいう)の特性
は、トーションバー7により制限された荷重が図2
(a)に点線で示すようにスプール4のロッキングベー
ス14に対する相対回転のストロークが大きくなるにし
たがって徐々に大きくなり、その後一定値F1となる特
性である。
1は、シートベルトの急激な引出時にも、ロック機構6
のロッキングベース14がロックギヤ6aに対してシー
トベルト引出方向に相対回転するようになっており、こ
れにより前述と同様にロック機構6のパウル13がフレ
ーム2の側壁の内歯19に係合して、ロッキングベース
14の回転が阻止されるため、トーションバー7を介し
てスプール4の引出方向の回転が阻止され、シートベル
トの引出が阻止される。
従来のシートベルトリトラクタ1においては、トーショ
ンバー7のみにより1つのEA荷重が設定されており、
この1つのEA荷重のみによって乗員の運動エネルギが
吸収されるようになっている。このEA荷重は乗員への
衝撃負荷をなるべく小さくなるようにするため、乗員の
運動エネルギを吸収できる最小かつ一定のEA荷重F1
に選定されている。このようなトーションバー7のみか
らなる従来のEA機構でも、緊急時の乗員の運動エネル
ギを吸収できるが、この乗員の運動エネルギは可能な限
りより効果的にかつより適切に吸収できるようにするこ
とが望ましい。
たものであって、その目的は、シートベルトにかかる制
限荷重を柔軟に種々設定できるようにして、乗員の運動
エネルギを可能な限りより効果的にかつより適切に吸収
することができるシートベルトリトラクタを提供するこ
とである。
めに、請求項1の発明は、シートベルトを巻き取るスプ
ールと、緊急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止
されるロッキング部材を有するロック機構と、前記スプ
ールと前記ロッキング部材との間を回転的に連結すると
ともにねじれ変形可能なトーションバーを備え、前記ロ
ッキング部材のシートベルト引出し方向の回転が阻止さ
れて前記スプールが前記ロッキング部材に対してシート
ベルト引出方向に相対回転するとき、前記トーションバ
ーがねじれ変形することで前記シートベルトにかかる荷
重を制限するシートベルト荷重制限機構とを少なくとも
備えているシートベルトリトラクタにおいて、前記シー
トベルト荷重制限機構の制限荷重特性が、前記トーショ
ンバーのねじれ変形のみによる比較的小さい制限荷重
と、前記トーションバーのねじれ変形による制限荷重お
よび他の部材による制限荷重からなる比較的大きい制限
荷重とからなるとともに、前記比較的大きい制限荷重が
複数段に変化する特性に設定されていることを特徴とし
ている。
ト荷重制限機構が、更に、前記スプールと前記ロッキン
グ部材との間に設けられ、前記スプールの前記相対回転
時にせん断荷重が加えられるようになっている所定数の
シェアピンを備え、前記制限荷重が前記シェアピンのせ
ん断荷重により最初大きく上昇し、前記シェアピンのせ
ん断破壊後、前記トーションバーのねじり荷重により前
記一定の荷重に設定されることを特徴としている。更
に、請求項3の発明は、前記シェアピンにくぼみが形成
されており、このくぼみで前記シェアピンがせん断破壊
する、前記スプールの前記相対回転位置が設定されてい
ることを特徴としている。更に、請求項4の発明は、前
記シェアピンが複数本設けられており、これらのシェア
ピンがせん断破壊する、前記スプールの前記相対回転位
置が、それぞれ異なるように設定されていることを特徴
としている。
ト荷重制限機構が、更に、前記スプールおよび前記ロッ
キング部材のいずれか一方に設けられた被切削部と、前
記スプールおよび前記ロッキング部材のいずれか他方に
設けられ、前記スプールの相対回転時にこの被切削部を
切削する切削刃とを備え、前記制限荷重が前記切削刃に
よる前記被切削部の切削時の切削抵抗により最初大きく
上昇し、前記被切削部の切削終了後、前記トーションバ
ーのねじれ変形により前記一定の荷重に設定されること
を特徴としている。
複数箇所設けられているとともに、これらの被切削部に
それぞれ対応して前記切削刃が設けられ、これらの被切
削部が対応する切削刃で切削される、前記スプールの前
記相対回転位置が、それぞれ異なるように設定されてい
ることを特徴としている。
ルトリトラクタは、シートベルト荷重制限機構の制限荷
重特性により、緊急時にシートベルトにかかる制限荷重
が、トーションバーのねじれ変形のみによる比較的小さ
い制限荷重と、トーションバーのねじれ変形による制限
荷重および他の部材による制限荷重からなる比較的大き
い制限荷重とからなるとともに、比較的大きい制限荷重
が複数段に変化するように制御される。そして、この制
限荷重特性を有効に利用することにより、制限荷重を柔
軟に種々調整することが可能となる。したがって、乗員
の運動エネルギはより効果的にかつより適切に吸収され
るようになる。
施の形態を説明する。図1は、本発明にかかるシートベ
ルトリトラクタの実施の形態の第1例におけるスプー
ル、ロッキングベースおよびシェアピンをそれぞれ示
し、(a)はそれらの分解斜視図、(b)はそれらの組
立状態の断面図である。なお、図1(a)に示すスプー
ルとロッキングベースは前述の図8に示す従来のシート
ベルトリトラクタ1の左右と逆になっているが、これは
単に左右逆に示されているだけであって、スプールとロ
ッキングベースとの配置関係は図8に示すものと実質的
に同じである。また、本発明の実施の形態の各例の説明
において、従来のシートベルトリトラクタ1の構成要素
と同じ構成要素には同じ符号を付すことで、その詳細な
説明は省略するとともに、各図はシートベルトリトラク
タの一部の構成要素を省略して記載している。
の第1例のシートベルトリトラクタ1におけるEA機構
はトーションバー7に加えて、軸方向に延びる2本の同
じ大きさの円柱状のシェアピン20,21を備えてい
る。これらのシェアピン20,21はスプール4とロッ
キングベース14との間にかつ周方向に所定間隔を置い
て配設されている。図示例では2本のシェアピン20,
21が設けられているが、シェアピンは1本以上の所定
数だけ設けることができる。その場合、複数本のシェア
ピンが設けられる場合はそれらのシェアピンは周方向に
等間隔をおいて配設するのが望ましい。各シェアピン2
0,21は、それぞれ、ロッキングベース14に設けら
れてこれを軸方向に貫通するロッキングベース側組付穴
22,23とスプール4にロッキングベース側組付穴2
2,23と整合するように設けられたスプール側組付孔
24,25とに嵌合されている。
予め設定された設定せん断破壊荷重以上のせん断荷重が
加えられると破壊するようになっており、このせん断破
壊により制限された荷重がトーションバー7のねじれ変
形による制限荷重に加えて設定されることで、EA機構
のEA荷重が増大するようになっている。この設定せん
断破壊荷重は、EA機構によるEA荷重が前述の従来の
EA機構における一定の荷重F1より大きな荷重F2と
なるように設定されている。また、この第1例のトーシ
ョンバー7のねじれ変形により制限されるEA機構の一
定荷重は、前述の従来のEA機構の一定荷重F1より小
さな荷重F3となるように設定されている。
ートベルトリトラクタ1においては、前述の従来のリト
ラクタ1と同様に緊急時に乗員の慣性移動により引き出
されようとするシートベルト3からの荷重でスプール4
およびロッキングベース14がともにベルト引出方向に
回転を始めるが、この緊急時にはロック手段6が作動す
ることにより、すぐにロッキングベース14がベルト引
出方向の回転が阻止されたロック状態になるので、スプ
ール4も一旦止まった状態となる。しかし、スプール4
には引き続きシートベルト3からベルト引出方向の荷重
が加えられるので、スプール4がロッキングベース14
に対して相対回転しようとする。すると、スプール4と
ロッキングベース14との間のシェアピン20,21に
はせん断荷重が加えられ、このせん断荷重はロッキング
ベース14に対するスプール4の相対回転のストローク
が大きくなるにしたがって徐々に増大する。
るせん断荷重が、EA機構のEA荷重が前述の設定せん
断破壊荷重F2を超える大きさになると、これらのシェ
アピン20,21はともにせん断破壊する。これ以後の
スプール4の相対回転のストロークにおいては、EA機
構によるEA荷重はトーションバー7のねじり荷重のみ
による荷重F3となる。したがって、この第1例のシー
トベルトリトラクタ1におけるEA機構における荷重特
性は、図2(a)に実線で示すようにスプール4のスト
ロークの増大に対してEA機構の荷重が荷重F1より大
きい荷重F2まで徐々に増大(上昇)するとともにシェ
アピン20,21のせん断破壊後に、EA機構の作動途
中で、この荷重F2をピークに従来の荷重F1より小さ
い一定の荷重F3まで減少(低下)する二段階特性とな
っている。
は、シェアピン20,21の材質および形状によって種
々の特性に設定できる。シェアピン20,21の材質と
しては、アルミニウム、鉄、鋼、種々の合金等の各種金
属、樹脂、合成樹脂(FRP、カーボンファイバー等)
等の種々の材質を用いることができる。
は、図3(a)に示す円柱部材の端面の周縁にR(丸
み)を付した形状、同図(b)に示す円柱部材の端面を
球面にした形状、同図(c)に示す円柱部材の端面の周
縁を面取りした形状、同図(d)に示す円柱部材の外周
面を湾曲状に凹ませた形状、同図(e)に示す断面半月
状の形状、同図(f)に示す断面三角形の形状(その
他、断面多角形の形状でもよい)、同図(g)に示す円
柱部材の外周面にねじが切られた形状、同図(h)に示
す円柱状部材の両端の径が異なるテーパを有する形状、
同図(i)に示す円柱部材の外周面にその全周にわたっ
て溝状のくぼみ26が形成された形状等の種々の形状が
ある。また、くぼみ26の形状としては、同図(j)に
示す断面三角形の形状(断面四角形の形状でもよい)、
同図(k)に示す断面円弧状の形状、同図(m)に示す
断面截頭円錐台形状の形状等がある。更に、くぼみ26
の大小やくぼみ26の深さによってもEA機構の種々の
荷重特性を設定することができる。なお、くぼみ26は
必ずしも円柱部材の外周面の全周に設ける必要はなく、
一部に設けることもできるし、円柱部材の軸方向に複数
設けることもできる。
種々の形状を適宜用いることにより、EA機構の種々の
荷重の特性が簡単に設定することができるようになる。
すなわち、例えば図2(b)に示すようにトーションバ
ー7のねじり荷重のみによる制限荷重F3より大きい、
シェアピン20,21による制限荷重F4,F5が設定可
能となるとともに、これらのシェアピン20,21によ
る制限荷重がF4およびF5の2段階で変化する特性、
つまりEA機構の荷重特性を3段階特性にしているの
で、シートベルト3の荷重をきめ細かく制限することが
可能となる。
よれば、EA機構の荷重特性を3段階の制限荷重特性を
有効に利用することにより、制限荷重を柔軟に種々調整
することができる。したがって、乗員の運動エネルギを
より効果的にかつより適切に吸収できるようになる。第
1例のシートベルトリトラクタ1の他の構成、他の作動
および他の作用効果は、前述の従来のシートベルトリト
ラクタ1と実質的に同じである。
し、(a)は図1(a)と同様の分解斜視図、(b)は
シェアピンの組付途中の状態を示す部分断面図、(c)
はシェアピンの組付状態を示す部分断面図、(d)はこ
の第2例の変形例を示す(c)と同様の部分断面図であ
る。図4(a)に示すように、この第2例のシートベル
トリトラクタ1は、各シェアピン20,21をそれぞれ
付勢するスプリング27,28を備えている。これらの
スプリング27,28は、それぞれ各シェアピン20,2
1がスプール4とロッキングベース14との間の所定位
置にセットされた状態では伸びきった自由長となる、す
なわち各シェアピン20,21を付勢する付勢力が0と
なるように設定されている。
0,21をスプール4とロッキングベース14との間に
セットするにあたっては、まず図4(b)に示すように
スプール4の各スプール側組付孔24,25にそれぞれ
各スプリング27,28を挿入した後、各シェアピン2
0,21を挿入する。この状態では、各シェアピン20,
21はスプリング27,28のばね力でスプール4の端
面からほぼ半分程度飛び出している。次に、同図(b)
に示すようにロッキングベース14の左側軸部分をスプ
ール4に相対回転可能に嵌合する。このとき、ロッキン
グベース14のロッキングベース側組付穴22,23を
スプール4の各スプール側組付孔24,25に位置合わ
せずにロッキングベース14をスプール4に嵌合させ
る。すると、同図(b)に示すように各シェアピン2
0,21がそれぞれロッキングベース14によってスプ
ール4の各スプール側組付孔24,25内に押し込まれ
て各スプリング27,28がそれぞれ圧縮された状態と
なる。この状態では、各シェアピン20,21はそれぞ
れ各スプリング27,28のばね力で各スプール側組付
孔24,25から押し出される方向に付勢されている。
をスプール4に対し回転させ、ロッキングベース14の
ロッキングベース側組付穴22,23がスプール4の各
スプール側組付孔24,25に整合したとき、各シェア
ピン20,21がそれぞれ各スプリング27,28のばね
力で各スプール側組付孔24,25から押し出され、ロ
ッキングベース14のロッキングベース側組付穴22,
23内に進入する。そして、同図(c)に示すように各
シェアピン20,21がそれぞれスプール4とロッキン
グベース14との間に跨る所定位置になると、各スプリ
ング27,28は伸びきって自由長となるので、各シェ
アピン20,21は各スプリング27,28によって付勢
されなくなり、それらのセットが完了する。
タ1によれば、ロッキングベース14および各シェアピ
ン20,21をスプール4に組み付けるにあたり、ロッ
キングベース14をスプール4に組み付ける際に各ロッ
キングベース側組付穴22,23をそれぞれ各スプール
側組付孔24,25に対し位置合わせを一々しなくて
も、ロッキングベース14をスプール4に嵌合させた後
単に回転させることにより、ロッキングベース14およ
び各シェアピン20,21をスプール4に簡単に組み付
けることができるようになる。第2例のシートベルトリ
トラクタ1の他の構成、他の作動および他の作用効果
は、前述の第1例のシートベルトリトラクタ1と実質的
に同じである。
キングベース側組付穴22,23が貫通孔として形成さ
れているが、これらのロッキングベース側組付穴22,
23は、それぞれ、同図(d)に示すように貫通孔では
なく、壁29,30からなる有底状の穴として形成する
こともできる。このように壁29,30を形成すること
で、各ロッキングベース側組付穴22,23対する各シ
ェアピン20,21の抜け止めをすることができる。そ
の場合、第2例では各シェアピン20,21が各スプリ
ング27,28によって付勢されることから、各シェア
ピン20,21の抜け止めをより効果的に行うことがで
きる。
し、(a)は1本のシェアピンがせん断破壊する前の状
態をロッキングベース側から見て模式的に示す図、
(b)は1本のシェアピンがせん断破壊した後、2本の
シェアピンがせん断破壊する前の状態を示す(a)と同
様の図である。
21がともに同じ大きさに形成されかつ同時にせん断破
壊するようになっているが、この第3例のシートベルト
リトラクタ1では、各シェアピン20,21が異なる大
きさに形成されかつ異なるタイミングでせん断破壊する
ようになっている。
シェアピン20,21のうち、一方のシェアピン20が
太く、他方のシェアピン21が一方のシェアピン20よ
り細く形成されている。また、他方のシェアピン21が
組み付けられるロッキングベース側組付穴23がスプー
ル4およびロッキングベース14の回転軸と中心とした
円の円弧状の長穴に形成されている。その場合、この長
穴のロッキングベース側組付穴23は、スプール4に組
み付けられた他方のシェアピン21に対して、ロッキン
グベース14が回転角αだけ自由に相対回転可能となる
ように設定されている。
重は、EA機構のEA荷重が前述の従来のEA機構にお
ける一定荷重F1より大きな荷重F4となるように設定
されている。また、他方のシェアピン21の設定せん断
破壊荷重は、EA機構のEA荷重が荷重F4より小さな
荷重F5となるように設定されている。更に、この第3
例のトーションバー7のねじれ変形により制限されるE
A機構の一定のEA荷重は、前述の従来のEA機構の一
定荷重F1より小さな荷重F6となるように設定されて
いる。
トリトラクタ1においては、前述と同様に緊急時にロッ
ク手段6の作動によりロッキングベース14の回転がロ
ックされると、前述のようにシートベルト3からスプー
ル4に加えられる荷重でまず一方のシェアピン20がせ
ん断荷重を受ける。このとき、他方のシェアピン21
は、長穴のロッキングベース側組付穴23の一端側にあ
ることによりロッキングベース14に対して自由となっ
ているため、せん断荷重を受けない。
断荷重が、EA機構のEA荷重が前述の設定せん断破壊
荷重F4を超える大きさになると、このシェアピン20
はせん断破壊するとともに、その後スプール4がトッキ
ングベース14に対してベルト引出方向に相対回転す
る。スプール4が回転角αだけ相対回転すると、他方の
シェアピン21がロッキングベース側組付穴23の他端
に当接し、シェアピン21がせん断荷重を受けるように
なる。シェアピン21に加えられるせん断荷重が、EA
機構のEA荷重が前述の設定せん断破壊荷重F5を超え
る大きさになると、このシェアピン21はせん断破壊す
るとともに、その後スプール4が再びロッキングベース
14に対してベルト引出方向に相対回転する。
ストロークにおいては、EA機構のEA荷重はトーショ
ンバー7のねじり荷重のみによる荷重F6となる。した
がって、この第3例のシートベルトリトラクタ1におけ
るEA機構における荷重の特性は、図2(b)に実線で
示すようにスプール4の前述のストロークの増大に対し
てEA機構の荷重が荷重F4まで徐々に増大するととも
に一方のシェアピン20のせん断破壊後に他方のシェア
ピン21にせん断荷重が加えられるまで減少し、更に他
方のシェアピン21にせん断荷重が加えられた後、他方
のシェアピン21のせん断荷重とトーションバー7のね
じり荷重とによる荷重F5になって他方のシェアピン2
1がせん断破壊した後に一番小さい一定の荷重F6まで
減少する3段階特性となっている。
ラクタ1によれば、トーションバー7のねじり荷重のみ
による制限荷重F3より大きい、シェアピン20,21
による制限荷重が設定されるとともに、これらのシェア
ピン20,21による制限荷重が2段階で変化する特
性、つまりEA機構の荷重特性を3段階特性にしている
ので、シートベルト3の荷重をきめ細かく制限すること
が可能となる。
に、各シェアピンの大きさを適宜設定して設定せん断破
壊荷重を種々変えるとともに、各シェアピン毎にせん断
荷重が加えられるタイミングを種々変える(つまり、前
述の回転角αを各シェアピン毎に種々変える)ことによ
り、複数段階でかつピーク値の種々異なるEA機構の荷
重特性を得ることができる。また、ロッキングバース側
組付穴23を円弧状の長穴にすることに代えて、図5
(c)および(d)に示すように、スプール側組付穴2
5を円弧状の長穴にすることもできる。
し、(a)はスプールの被切削部を示す縦断面図、
(b)は(a)のVIB−VIB線に沿う断面図、(c)はロ
ッキングベースと切削刃とを示す分解斜視図、(d)は
この第4例の切削刃によるスプールの切削の説明を模式
的に示す、(b)のVIDから見て模式的に示す図であ
る。を説明する図である。
シェアピンのせん断荷重によりEA機構の荷重をトーシ
ョンバー7のねじり荷重による荷重F3,F6より大き
くなるように設定しているが、この第4例のシートベル
トリトラクタ1ではこのシェアピンを用いていなく、代
わりに切削刃によってスプール4のロッキングベース1
4側の端面4aを切削するときの切削抵抗によりEA機
構の荷重をトーションバー7のねじり荷重による荷重F
3,F6より大きくなるように設定している。
ように、この第4例ではスプール4のロッキングベース
14側の端面4aに,3箇所の被切削部31,32,33
が設定されている。これらの被切削部31,32,33は
ともにスプール4の回転軸を中心とする円の同一円周上
にかつ周方向に等間隔を置いて設けられているととも
に、周方向に同一の所定長さに設定されている。また、
各被切削部31,32,33の間には、これらの被切削部
31,32,33が設けられる同一円周上に、後述する切
削刃の刃先が進入可能な3個の円弧状の凹部34,35,
36がそれぞれ形成されている。
グベース14には、このロッキングベース14がスプー
ル4に組み付けられたときスプール4のこれらの凹部3
4,35,36にそれぞれ対向する位置に3個の切削刃支
持穴37,38,39が穿設されている。そして、これら
の切削刃支持穴37,38,39にそれぞれ切削刃40,
41,42が嵌合支持されている。そして、同図(d)
に示すように切削刃40の刃先40aは、ロッキングベ
ース14がスプール4に組み付けられた状態では凹部3
4内に進入するとともに、ロッキングベース14に対す
るスプール4のベルト引出方向の相対回転に対向する方
向に向けられ、しかも被切削部31の周方向と直交する
側壁面に当接した状態となっている。また、ロッキング
ベース14の切削刃40の支持部には、切削刃40によ
る切削かすが逃げることができる逃げ部43が設けられ
ている。他の切削刃41,42、それらの刃先41a,4
2aおよび切削刃41,42による切削かすの逃げ部に
ついてもそれぞれ同様である。
トリトラクタ1においては、前述と同様に緊急時にロッ
ク手段6の作動によりロッキングベース14の回転がロ
ックされると、前述のようにシートベルト3からスプー
ル4に加えられる荷重でスプール4がロッキングベース
14に対して相対回転する。すると、図6(d)に一例
として切削刃40について示すように、ロッキングベー
ス14に支持されている各切削刃40,41,42がそれ
ぞれスプール4の端面4aにおける被切削部31,32,
33を切削するようになる。各切削刃40,41,42に
よって切削された被切削部31,32,33の切削かす
は、それぞれロッキングベース14の対応する逃げ部
(例えば、切削刃40に対応する逃げ部43)内に逃
げ、切削がスムーズに行われるようになる。
ッキングベース14に対して相対的にストローク(回
転)するが、このとき、スプール4は切削による切削抵
抗を受けながらストロークするようになる。この切削抵
抗による荷重がトーションバー7のねじれ変形による荷
重に加えられることにより、EA機構のEA荷重がトー
ションバー7のねじり荷重のみによる一定のEA荷重よ
り増大する。各被切削部31,32,33の切削が終了す
ると、切削抵抗による荷重がなくなるので、EA荷重が
そのピーク荷重F7から減少する。そして、これ以後の
スプール4のストロークにおいては、EA機構のEA荷
重はトーションバー7のねじり荷重のみによる一定の荷
重F8となる。したがって、この第4例のシートベルト
リトラクタ1におけるEA機構における荷重の特性は、
図7に示すようにスプール4のストロークの増大に対し
てEA荷重が荷重F7まで徐々に増大し、各被切削部3
1,32,33の切削終了後に一定の荷重F8まで減少す
る2段階特性となっている。この第4例のシートベルト
リトラクタ1の他の構成、他の作動、および他の作用効
果は前述の第1ないし第3例と実質的に同じである。
けるスプールとロッキングベースを示す、図1(a)と
同様の分解斜視図である。図8に示すように、この第5
例のシートベルトリトラクタ1では、スプール4のロッ
キングベース14に対向する側面4aに、3個の円弧状
の被切削部31,32,33がロッキングベース14の方
へ突設されている。図9(a)に示すように、これらの
被切削部31,32,33はともに同じ円弧長、同じ幅
(径方向長さ)、同じ高さ(軸方向突出量)に形成され
ているとともに、周方向に等間隔をおいて配置されてい
る。
グベース14に設けられた3個の切削刃40,41,42
はいずれもスプール4の被切削部31,32,33に対応
してこれらと同じ回転半径上に配置されているととも
に、通常状態ではそれらの刃先40a,41a,42aが
それぞれ対応する被切削部31,32,33の周方向の一
端に当接されている。そして、トーションバー7、被切
削部31,32,33および切削刃40,41,42によ
り、この第5例のEA機構が構成されている。
第4例と同様に、スプール4がロッキングベース14に
対してシートベルト引出方向CWに相対回転すると、こ
れらの切削刃40,41,42がそれぞれ対応する被切削
部31,32,33を切削するようになっているととも
に、このときの切削による切削抵抗により、スプール4
にそのシートベルト引出方向CWの相対回転に対して負
荷が加えられるようになっている。
重の特性は、図10(a)に示すようにその作動開始か
らスプール4がロッキングベース14に対して所定回転
量だけ相対回転(相対回転ストローク)する間は、トー
ションバー7の設定荷重より大きなEA荷重に設定され
るとともに、その後、切削刃40,41,42による被切
削部31,32,33の切削が終了すると、一定のトーシ
ョンバー7の設定荷重に設定されるようになる。したが
って、前述の図7に示す第4例のEA荷重の特性と同じ
になる。この第5例のシートベルトリトラクタ1の他の
構成および他の作動は、図6に示す第4例および図11
に示す従来例と同じである。
トラクタ1によれば、EA荷重が作動開始からスプール
4の所定の相対回転ストロークまでの間では大きな値に
設定され、その後のスプール4の相対回転ストロークで
はこれより小さい一定値に調整されるようになる。この
第5例のシートベルトリトラクタ1の他の作用効果は、
図6に示す第4例および図11に示す従来例と同じであ
る。
例を示す図9(a)と同様の図である。前述の第5例で
は、3個の被切削部31,32,33とこれらの被切削部
31,32,33に対応して3個の切削刃40,41,42
がそれぞれ設けられているが、この第6例のシートベル
トリトラクタ1では、図9(b)に示すように5個の被
切削部31,32,33,44,45と、これらの被切削部
31,32,33,44,45に対応して5個の切削刃4
0,41,42,46,47がそれぞれ図9(a)と同様に
設けられている。
よれば、第5例の場合と同様に、EA荷重が作動開始か
らスプール4の所定の相対回転ストロークまでの間では
大きな値に設定され、その後のスプール4の相対回転ス
トロークではこれより小さいトーションバーの設定荷重
である一定値に調整されるようになるが、このとき、こ
の第6例のEA荷重の特性では作動開始からスプール4
の所定の相対回転ストロークまでの間に設定される大き
な値(つまり、最大EA荷重)は第5例の場合より大き
くなる。この第6例のシートベルトリトラクタ1の他の
構成、他の作動および他の作用効果は、第5例のシート
ベルトリトラクタ1と同じである。
例を示す図9(a)と同様の図である。この第7例のシ
ートベルトリトラクタでは、前述の第5例と同様に3個
の被切削部31,32,33とこれらの被切削部31,3
2,33に対応して3個の切削刃40,41,42がそれ
ぞれ設けられているが、その場合、この第7例のシート
ベルトリトラクタ1では、図9(c)に示すように3個
の被切削部31,32,33の円弧状長さが、第5例の場
合より長く設定されている。
よれば、第5例の場合と同様に、EA荷重が作動開始か
らスプール4の所定の相対回転ストロークまでの間では
大きな値に設定され、その後のスプール4の相対回転ス
トロークではこれより小さいトーションバーの設定荷重
である小さい一定値に調整されるようになるが、このと
き、この第7例のEA荷重では作動開始から設定される
大きな値の領域が長くなる。換言すると、この第7例の
EA荷重の特性は、図9(a)に点線で示すようにトー
ションバーの設定荷重である小さい一定値になるときま
でのスプール4の所定の相対回転ストロークが第6例の
場合より長くなる。この第7例のシートベルトリトラク
タ1の他の構成、他の作動および他の作用効果は、第5
例のシートベルトリトラクタ1と同じである。
例を示す図9(a)と同様の図である。前述の第5例の
シートベルトリトラクタ1では、通常時には各切削刃4
0,41,42の刃先40a,41a,42aがいずれも対
応する被切削部31,32,33の周方向の一端に当接し
ているが、この第8例のシートベルトリトラクタ1で
は、通常時に1つの切削刃40の刃先40aが対応する
被切削部31の周方向の一端に当接するように設定さ
れ、また他の1つの切削刃41の刃先41aが対応する
被切削部32の周方向の一端から回転方向に所定間隔α
だけ離間するように設定され、更に残りの切削刃42の
刃先42aが対応する被切削部33の周方向の一端から
回転方向に、間隔αより大きい所定間隔βだけ離間する
ように設定されている。
ル4がロッキングベース14に対してシートベルト引出
方向CWに相対回転すると、まず最初に切削刃40が対
応する被切削部31を切削し、この切削がほぼ終了しス
プール4のロッキングベース14に対する相対回転スト
ロークが所定間隔αになると、次に切削刃41が対応す
る被切削部32の周方向の一端に当接し、スプール4が
ロッキングベース14に対して更に相対回転することで
切削刃41が被切削部32を切削し、この切削がほぼ終
了しスプール4のロッキングベース14に対する相対回
転ストロークが所定間隔βになると、次に切削刃42が
対応する被切削部33の周方向の一端に当接し、スプー
ル4がロッキングベース14に対して更に相対回転する
ことで切削刃42が被切削部33を切削するようになっ
ている。そして、最後のこの被切削部33の切削が終了
すると、切削刃40,41,42による被切削部31,3
2,33の切削がすべて終了し、EA荷重は一定のトー
ションバー7の設定荷重に設定されるようになってい
る。
の被切削部31,32,33が順に切削されるので、図1
0(b)に示すようにそのEA荷重の特性はトーション
バーの設定荷重である小さい一定値になるときまでのス
プール4の所定の相対回転ストロークが第5例の場合よ
りほぼ3倍弱長くなる。
他の構成、他の作動および他の作用効果は、第5例のシ
ートベルトリトラクタ1と同じである。なお、この第8
例に基づく発明は、被切削部31,32,33を3個に限
定されることなく4個以上任意の数だけ設けることがで
きるとともに、各切削刃の刃先と各被切削部の周方向の
一端との間の所定間隔を順に大きくなるように設定する
ことができる。
9例におけるEA機構のEA荷重特性を示す、図10
(a)および(b)と同様の図である。前述の第8例で
は、同じ大きさの3個の被切削部31,32,33の周方
向の一端と対応する切削刃40,41,42の刃先40
a,41a,42aと間の所定間隔α,βを順に大きくな
るように設定しているが、この第9例では、これらの所
定間隔α,βを互いに等しく(α=β)なるように設定
している。
ル4がロッキングベース14に対してシートベルト引出
方向CWに相対回転すると、まず最初に切削刃40が対
応する被切削部31を切削し、この切削がほぼ終了しス
プール4のロッキングベース14に対する相対回転スト
ロークが所定間隔α(=β)になると、2個の切削刃4
1,42がそれぞれ対応する被切削部32,33の周方向
の一端に当接し、スプール4がロッキングベース14に
対して更に相対回転することで各切削刃41,42が各
被切削部32,33を切削するようになっている。そし
て、これらの被切削部32,33の切削が終了すると、
切削刃40,41,42による被切削部31,32,33の
切削がすべて終了し、EA荷重は一定のトーションバー
7の設定荷重に設定されるようになっている。
切削部31が最初に切削され、続いて2個の被切削部3
2,33が同時に切削されるので、図10(c)に示す
ようにそのEA荷重の特性はトーションバーの設定荷重
である小さい一定値になるときまでのスプール4の所定
の相対回転ストロークが第8例の場合よりほぼ2/3倍
弱となるが、最大EA荷重が第8例の場合より大きくな
る。この第9例のシートベルトリトラクタ1の他の構
成、他の作動および他の作用効果は、第8例のシートベ
ルトリトラクタ1と同じである。
部31,32,33を3個に限定されることなく4個以上
任意の数だけ設けることができるとともに、各切削刃の
刃先と各被切削部の周方向の一端との間の所定間隔の一
部を等しく、所定間隔の他の一部を所定間隔の前述の一
部より大きくかつ互いに等しくなるように設定すること
ができる。
および切削深さと切削抵抗とは比例関係にある。すなわ
ち、図9(e)に示す被切削部の幅γ、切削刃の幅δ、
図9(f)に示す被切削部の厚みε、および切削深さζ
と切削抵抗とは図10(d)に示す比例関係にあり、こ
れらの値γ,δ,ε,ζが大きくなると、切削抵抗も直線
的に大きくなる。したがって、これらの値γ,δ,ε,ζ
が適宜設定されることにより、切削抵抗つまりはEA荷
重が種々の値に調整して設定できるようになる。そし
て、前述の図10(a)ないし(c)に示すEA荷重の
特性および図(d)に示す切削抵抗の特性を適宜組み合
わせることにより、種々のEA荷重特性が設定可能とな
る。
10例におけるEA機構のEA荷重特性を示す、図10
(a)ないし(c)と同様の図である。この第10例
は、図9(d)に示すEA機構を一部変更したEA機構
であり、図9(d)において所定間隔αを0に設定する
(つまり、通常時で切削刃41の刃先41aを被切削部
32の周方向一端に当接させる)。また、被切削部31
の周方向長さを被切削部32の周方向長さより、図9
(c)に示す周方向長さが長い被切削部のように長くす
る。その場合、被切削部31の周方向長さは、最後の被
切削部33の切削が終了した後も、スプール4の所定相
対回転ストロークだけこの被切削部31の切削が行われ
るような大きさに設定されている。更に、被切削部33
および切削刃42における図9(e)および(f)に示
す各値γ,δ,ε,ζをそれぞれ適宜設定することによ
り、最大EA荷重を被切削部32による最大EA荷重よ
り大きくなるように設定する。
ール4がロッキングベース14に対してシートベルト引
出方向CWに相対回転すると、まず最初に切削刃40,
24が対応する被切削部31,32を切削し、被切削部
32の切削がほぼ終了しスプール4のロッキングベース
14に対する相対回転ストロークが所定間隔βになる
と、残りの切削刃42が対応する被切削部33の周方向
の一端に当接し、スプール4がロッキングベース14に
対して更に相対回転することで切削刃42が被切削部3
3を切削するようになっている。その場合、被切削部3
2の切削は終了するが、被切削部31の切削は継続して
行われている。また、このときの被切削部33による最
大EA荷重が被切削部32による最大EA荷重より大き
くなる。
部31の切削は依然として継続して行われている。そし
て、この被切削部31の切削が終了すると、切削刃4
0,41,42による被切削部31,32,33の切削がす
べて終了し、EA荷重は一定のトーションバー7の設定
荷重に設定されるようになっている。
最初に2個の被切削部31,32が同時切削されるとと
もに、被切削部32の切削のほぼ終了に続いて2個の被
切削部31,33が同時に切削され、更に被切削部33
の切削が終了しても被切削部31の切削が継続して行わ
れるので、図10(e)に示すようにそのEA荷重の特
性は、トーションバーの設定荷重である小さい一定値よ
り大きなEA荷重の3個の互いに異なるピーク値を有す
るようになる。この第10例のシートベルトリトラクタ
1の他の構成、他の作動および他の作用効果は、第9例
のシートベルトリトラクタ1と同じである。そして、前
述の各例によるシートベルトリトラクタ1をエアバッグ
装置等の他の乗員拘束保護装置とともに用いて乗員を拘
束することが考えられるが、このような場合、シートベ
ルト3にかかる制限荷重を、他の乗員拘束保護装置によ
る乗員拘束保護機能が有効に発揮される前(例えば、エ
アバッグ装置では乗員がエアバッグに当接する前)では
シートベルト3による乗員の初期拘束を高くし、他の乗
員拘束保護装置による乗員拘束保護機能が発揮された後
(例えば、エアバッグ装置では乗員が膨張したエアバッ
グに当接した後)ではシートベルト3による乗員の拘束
を低くして他の乗員拘束保護装置の乗員拘束保護機能を
有効に活かすように、他の乗員拘束保護装置の作動に対
応してより適切に調整することができる。
(e)に示すEA荷重の特性に限定されることなく、種
々のEA荷重の特性を設定可能であることは言うまでも
ない。また、前述の第1ないし第10例では、いずれも
被切削部をスプール4に設けるとともに切削刃をロッキ
ングベース14に設けるものとしているが、逆に、切削
刃をスプール4に設けるとともに被切削部をロッキング
ベース14に設けるようにすることもできる。
けることができるとともに、これに対応して切削刃も同
数だけ設けることができる。このように複数の被切削部
を設けた場合は、各被切削部の周方向長さを互いに異な
るように設定することもできるし、また各被切削部と対
応する切削刃の刃先との間隔を互いに異ならせて切削開
始のタイミングを種々設定することもできる。更に、被
切削部の材質および形状、また切削刃の形状(刃先の形
状)、更には切削刃による被切削部の切削量(切削深さ
や切削幅等)をそれぞれ種々設定することもできる。
削開始のタイミング、被切削部の材質および形状、切削
刃の形状(刃先の形状)、および切削量を適宜組み合わ
せて選定することにより、最大EA荷重が種々設定可能
となるとともに、種々の制限荷重特性が得られる。更
に、被切削部をロッキングベース14側に設けるととも
に、切削刃をスプール4側に設けることもできる。
1の発明のシートベルトリトラクタによれば、シートベ
ルト荷重制限機構の制限荷重特性を、緊急時にシートベ
ルトにかかる制限荷重が、トーションバーのねじれ変形
のみによる比較的小さい制限荷重と、トーションバーの
ねじれ変形による制限荷重および他の部材による制限荷
重からなる比較的大きい制限荷重とからなるとともに、
比較的大きい制限荷重が複数段に変化する特性にしてい
るので、この制限荷重特性を有効に利用することによ
り、制限荷重を柔軟に種々調整することができる。した
がって、乗員の運動エネルギをより効果的にかつより適
切に吸収できるようになる。これにより、エアバッグ装
置等の他の乗員拘束保護装置と協働して乗員を拘束する
ような場合に、シートベルトにかかる制限荷重を、他の
乗員拘束保護装置による乗員拘束保護機能が有効に発揮
される前ではシートベルトによる乗員の初期拘束を高く
し、他の乗員拘束保護装置による乗員拘束保護機能が発
揮された後ではシートベルトによる乗員の拘束を低くし
て他の乗員拘束保護装置の乗員拘束保護機能を有効に活
かすように、他の乗員拘束保護装置の作動に対応してよ
り適切に調整可能となる。
施の形態の第1例におけるスプール、ロッキングベース
およびシェアピンをそれぞれ示し、(a)はそれらの分
解斜視図、(b)はそれらの組立状態の断面図である。
荷重特性をそれぞれ示し、(a)は図1に示す第1例の
EA機構における荷重特性および図8に示す従来のEA
機構における荷重特性をそれぞれ示す図、(b)は図5
に示す第3のEA機構における荷重特性を示す図であ
る。
種々の形状を示す図である。
は図1(a)と同様の分解斜視図、(b)はシェアピン
の組付途中の状態を示す部分断面図、(c)はシェアピ
ンの組付状態を示す部分断面図、(d)はこの第2例の
変形例を示す(c)と同様の部分断面図である。
は1本のシェアピンがせん断破壊する前の状態をロッキ
ングベース側から見て模式的に示す図、(b)は1本の
シェアピンがせん断破壊した後、2本のシェアピンがせ
ん断破壊する前の状態を示す(a)と同様の図である。
はスプールの被切削部を示す縦断面図、(b)は(a)
のVIB−VIB線に沿う断面図、(c)はロッキングベース
と切削刃とを示す分解斜視図、(d)はこの第4例の切
削刃によるスプールの切削の説明を模式的に示す、
(b)のVID−VID線に沿う断面図である。を説明する図
である。
重の特性を示す図である。
ルとロッキングベースとを示す分解斜視図である。
し、(a)は第5例の被切削部の配設位置と、各被切削
部に対する切削刃の位置関係を模式的に示す図、(b)
は本発明の実施の形態の第6例を示す、(a)と同様の
図、(c)は本発明の実施の形態の第7例を示す、
(a)と同様の図、(d)は本発明の実施の形態の第8
例を示す、(a)と同様の図、(e)は被切削部および
切削刃の各寸法を示す図、(f)は同じく被切削部およ
び切削刃の他の部分の各寸法を示す図である。
5例のEA荷重の特性を実線で示しかつ第7例のEA荷
重の特性を点線で示す図、(b)は第8例のEA荷重の
特性を示す図、(c)は本発明の実施の形態の第9例の
EA荷重の特性を示す図、(d)は被切削部および切削
刃の各寸法と切削抵抗との関係を示す図、(e)は本発
明の実施の形態の第10例のEA荷重の特性を示す図で
ある。
トリトラクタの一例を示す縦断面図である。
トベルト、4…スプール、5…減速度感知機構、6…ロ
ック機構、7…トーションバー、8…スプリング手段、
14…ロッキングベース、20,21…シェアピン、2
2,23…ロッキングベース側組付穴、24,25…スプ
ール側組付穴、26…くぼみ、27,28…スプリング
手段、29,30…壁、31,32,33,44,45…被
切削部、40,41,42,46,47…切削刃、40a,
41a,42a…刃先
Claims (6)
- 【請求項1】 シートベルトを巻き取るスプールと、緊
急時にシートベルト引出し方向の回転が阻止されるロッ
キング部材を有するロック機構と、前記スプールと前記
ロッキング部材との間を回転的に連結するとともにねじ
れ変形可能なトーションバーを備え、前記ロッキング部
材のシートベルト引出し方向の回転が阻止されて前記ス
プールが前記ロッキング部材に対してシートベルト引出
方向に相対回転するとき、前記トーションバーがねじれ
変形することで前記シートベルトにかかる荷重を制限す
るシートベルト荷重制限機構とを少なくとも備えている
シートベルトリトラクタにおいて、 前記シートベルト荷重制限機構の制限荷重特性は、前記
トーションバーのねじれ変形のみによる比較的小さい制
限荷重と、前記トーションバーのねじれ変形による制限
荷重および他の部材による制限荷重からなる比較的大き
い制限荷重とからなるとともに、前記比較的大きい制限
荷重が複数段に変化する特性に設定されていることを特
徴とするシートベルトリトラクタ。 - 【請求項2】 前記シートベルト荷重制限機構は、更
に、前記スプールと前記ロッキング部材との間に設けら
れ、前記スプールの前記相対回転時にせん断荷重が加え
られるようになっている所定数のシェアピンを備え、前
記制限荷重が前記シェアピンのせん断荷重により最初大
きく上昇し、前記シェアピンのせん断破壊後、前記トー
ションバーのねじり荷重により前記一定の荷重に設定さ
れることを特徴とする請求項1記載のシートベルトリト
ラクタ。 - 【請求項3】 前記シェアピンにくぼみが形成されてお
り、このくぼみで前記シェアピンがせん断破壊する、前
記スプールの前記相対回転位置が設定されていることを
特徴とする請求項2記載のシートベルトリトラクタ。 - 【請求項4】 前記シェアピンは複数本設けられてお
り、これらのシェアピンがせん断破壊する、前記スプー
ルの前記相対回転位置が、それぞれ異なるように設定さ
れていることを特徴とする請求項2または3記載のシー
トベルトリトラクタ。 - 【請求項5】 前記シートベルト荷重制限機構は、更
に、前記スプールおよび前記ロッキング部材のいずれか
一方に設けられた被切削部と、前記スプールおよび前記
ロッキング部材のいずれか他方に設けられ、前記スプー
ルの相対回転時にこの被切削部を切削する切削刃とを備
え、前記制限荷重が前記切削刃による前記被切削部の切
削時の切削抵抗により最初大きく上昇し、前記被切削部
の切削終了後、前記トーションバーのねじれ変形により
前記一定の荷重に設定されることを特徴とする請求項1
記載のシートベルトリトラクタ。 - 【請求項6】 前記被切削部は複数箇所設けられている
とともに、これらの被切削部にそれぞれ対応して前記切
削刃が設けられ、これらの被切削部が対応する切削刃で
切削される、前記スプールの前記相対回転位置が、それ
ぞれ異なるように設定されていることを特徴とする請求
項5記載のシートベルトリトラクタ。
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