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JP2001194502A - 光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品 - Google Patents

光学物品に防曇性能を付与する方法及び防曇性光学物品

Info

Publication number
JP2001194502A
JP2001194502A JP2000000924A JP2000000924A JP2001194502A JP 2001194502 A JP2001194502 A JP 2001194502A JP 2000000924 A JP2000000924 A JP 2000000924A JP 2000000924 A JP2000000924 A JP 2000000924A JP 2001194502 A JP2001194502 A JP 2001194502A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical article
fogging
performance
oxide
thiol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000000924A
Other languages
English (en)
Inventor
Akiko Kawase
明子 川瀬
Mikito Nakajima
幹人 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2000000924A priority Critical patent/JP2001194502A/ja
Publication of JP2001194502A publication Critical patent/JP2001194502A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
  • Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
  • Materials Applied To Surfaces To Minimize Adherence Of Mist Or Water (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼鏡レンズ・窓ガラスなどの光学物品に対
し、その表面硬度、反射防止などの光学特性を損なうこ
となく、耐擦傷性、耐久性に優れた防曇効果をもたせ
る。 【解決手段】 酸化物を主として含む光学物品の表面を
不飽和二重結合基を含むシランカップリング剤で処理し
た後、光グラフト重合法、放射線グラフト重合法、水溶
液中でのグラフト重合法等により、側鎖または疎水性基
中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間
相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオール
を、エン・チオール反応により表面に固定し、分子間結
合させることによって耐久性に優れた防曇性能を光学物
品に付与する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、防曇性能を有する
メガネ・カメラ等のレンズ、または窓ガラス、車のフロ
ントガラス、ヘルメットのシールド、水中メガネ等の光
学物品、または浴室内で使用する鏡等に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】光学物品に防曇性能を付与する方法とし
て、従来から次に述べる様な種々の方法がとられてい
る。もっとも簡便な手段として、界面活性剤を表面に塗
布することで基材表面を親水性とし、曇りを防ぐ方法が
ある。しかし、この方法では一時的に防曇性の付与は可
能だが、水の付着等により界面活性剤が流れ落ちてしま
い、連続的な効果は期待できず、都度塗布しなければな
らないなどの手間がかかる。そこで、連続的な効果を期
待するために、合成樹脂基材自体に界面活性剤を練り込
んだり、親水性、吸水性の単量体を共重合して合成樹脂
基材を形成して防曇性能を付与する方法がある。これに
ついては、特開平10−114035,特開平10−1
30511,特開平10−158453、特開平10−
182912、特開平10−202798などに開示さ
れている。
【0003】また、樹脂光学物品の表面に防曇性能を有
するコーティングを施す方法も良く知られ、特開平8−
17646,特開平8−27291、特開平9−136
374,特開平9−151368,特開平9−1552
82などに開示されている。
【0004】以上に示した方法は、樹脂基材自体、ある
いは厚いコーティング層に、親水性と吸水性を付与して
防曇性能を達成しようとするものである。
【0005】これに対し、吸水性の悪いガラスなどの無
機質に、直接防曇性能を付与する方法として、最表面を
処理して親水性または疎水性を持たせる方法や、無機質
を多孔性にして吸水性を持たせる方法、光触媒性金属酸
化物被膜を形成し、超親水性を発現させる方法が知られ
ている。
【0006】表面改質の方法としてのグラフト重合は、
特開平5−202216,特開平5−295139、特
開平8−176328、特開平9−301742、特開
平10−90503等に開示されている。その他表面改
質方法としては特開平10−114543、特開平10
−167768があげられる。
【0007】さらに、無機物質の細孔・凹凸と親水性物
質を組み合わせた特許及び表面の凹凸を利用した特許と
して、特開平9−202651、特開平9−29583
5、特開平11−77876が挙げられる。
【0008】光触媒性金属酸化物を用いた超親水性機能
発現の方法については、現在様々な特許が出願され、特
開平9−77535、特開平10−68091、特開平
10−85100、特開平10−167727、特開平
10−297940がある。
【0009】以上に示した方法も含め、光学物品に防曇
性能を付与するには、1)基材に吸水性を持たせる。
2)基材表面を親水性にする。3)基材表面を疎水性に
する。4)光学物品の表面温度を高くし、空気中の水分
が表面で凝結しない様にする。の4点の方法が過去から
提案され、色々な試みがなされている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
方法では次に述べる様な問題点を有していた。基材表面
に防曇性能を付与する方法として、一般に用いられてい
る界面活性剤を表面に塗布する方法は、水によって界面
活性剤が容易に脱落してしまい、持続性に問題がある。
【0011】樹脂基材自体やコーティング層に防曇性能
を付与する方法は、防曇性能としては十分な性能が得ら
れるが、親水性・吸水性を持つ樹脂は有機物が故に柔ら
かく、非常に傷がつき易いものであった。特に吸水性樹
脂は吸水した場合、非常に柔らかくなってしまい、さら
に傷の付きやすいものであった。これらを眼鏡レンズな
ど耐擦傷性が要求される部分に使用した場合、傷によっ
て光学特性が劣化し、実用は不可能である。さらに、空
気中の汚れ、例えばタバコの煙なども吸着し易く、光学
物品が着色してしまうなどの欠点もあった。
【0012】さらに、これらの方法の最大の欠点は、反
射防止層などの光学的特性を向上する為の表面処理を施
すことができないことである。現在広く使用されいて、
性能の良い反射防止膜は、無機物からなる反射防止膜で
あり、酸化ケイ素などの無機物に防曇性能を持たせなけ
ればならない。
【0013】ガラス基材や無機物基材の最表面に処理を
施し、親水性、疎水性を持たせることにより防曇性能を
達成する方法であるが、これは最表面に親水性、疎水性
の薄膜を成膜するものである。従来技術に従うとそれら
の物質と表面との結合が弱く、簡単にそれらの物質が脱
落して長期間防曇性能が維持できない。さらに、従来の
様に水酸基を露出させることによって親水性を付与した
場合、耐水ヤケ性との両立が難しい。疎水性を付与する
場合、従来示されている技術では、表面の水に対する接
触角が160゜前後であるが、眼鏡が曇るときのような
微小な水滴の場合、自重での降下はおこらず、十分な防
曇性能が得られているとは言い難い。
【0014】無機質を多孔性にして吸水性を持たせる方
法については、多孔質にすること自体で表面はもろくな
り、破損しやすくなってしまう。また、光触媒性金属酸
化物被膜を形成し、超親水性を発現させる方法では、そ
の成膜工程に高温焼成が必要であり、眼鏡レンズ樹脂基
材に用いることは不可能である。また、光触媒性金属酸
化物被膜は概して高屈折率であり、超親水性機能を効率
よく利用するためには最表面に用いなければならない。
その結果、反射率が大きくなり、眼鏡レンズには不適切
である。
【0015】以上に述べた課題を解決する為に、表面を
シランカップリング剤で処理した後、反応性界面活性剤
を反応させる方法も提案されているが、基材と反応性界
面活性剤の充分な反応が起こらず、反応性界面活性剤の
構造によっては十分な防曇効果が得られず、水ヤケ防止
との両立が難しかった。また、薄膜であるが故に耐擦傷
性、耐久性に問題があった。
【0016】そこで、本発明は以上の様な問題点を解決
し、光学物品の光学特性を低下させることなく、耐久
性、耐擦傷性、持続性、防汚染性、耐水ヤケ性に優れた
防曇性能を有する光学物品を得ることを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明の防曇性能を有す
る光学物品は、酸化物を主として表面に含む光学物品に
おいて、該光学物品の表面を、不飽和二重結合を有する
シランカップリング剤で処理した後、側鎖または疎水性
基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子
間相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオー
ルを、エン・チオール反応により表面に固定し、分子間
結合させることによって光学物品に防曇性能を付与する
ことを特徴とする。
【0018】酸化ケイ素を主成分とするガラスの光学物
品の場合、耐擦傷性に大きな問題はないが、合成樹脂か
らなる光学物品は傷がつき易く、耐擦傷性を向上させな
ければならない。合成樹脂の耐擦傷性を向上させる為に
は、ハードコート処理がよく行われる。特に、コロイダ
ルシリカを含むハードコートが有効で広く用いられてい
る。眼鏡レンズなどの場合、その光学特性を向上させる
ために無機物質から構成される反射防止膜が表面に形成
される。反射防止膜の最上層には、低屈折率層が形成さ
れるが、耐久性、取扱い易さの点で二酸化ケイ素が広く
用いられている。 この様に、耐擦傷性の向上や反射防
止膜には、酸化ケイ素が多く用いられており、無機ガラ
スに限らず合成樹脂製の光学物品についても酸化ケイ素
が表面に存在している場合が多い。反射防止膜として有
機物からなる膜を利用する場合でも最上層にコロイダル
シリカが含まれれば、表面に酸化ケイ素が存在すること
になる。
【0019】本発明は、酸化物を主成分とするガラスの
光学物品、コロイダルシリカを含むハードコートを表面
に塗布した合成樹脂製光学物品、最上層に酸化物を用い
た反射防止膜を有する光学物品、いずれの場合でも表面
に酸化物が存在する物品に対して適用できる。
【0020】本発明では、不飽和二重結合を有するシラ
ンカップリング剤で酸化物を主として表面に含む光学物
品の表面を処理する。このような不飽和二重結合として
は、ビニル基、アクリル基、メタクリル基、アリル基な
どを選択することができる。最表層に存在する酸化ケイ
素との反応は、クロルシランやアルコキシシラン、シラ
ザンの様なシラノールと反応する基を持つシランカップ
リング剤を用いることにより表面の酸化ケイ素の持つシ
ラノールとの反応が実現できる。これは一般的に用いら
れている方法である。
【0021】不飽和二重結合を有するシランカップリン
グ剤として、ビニルトリクロロシラン、ジビニルジクロ
ロシラン、トリビニルクロロシラン、ビニルジメチルク
ロロシラン、ジビニルメチルクロロシラン、ビニルメチ
ルジクロロシラン、ビニルジエチルクロロシラン、ジビ
ニルエチルクロロシラン、ビニルエチルジクロロシラ
ン、ビニルジエチクロロルシラン、ジビニルエチルクロ
ロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、3−メタクリ
ロシキプロピルジメチルクロロシラン、3−メタクリロ
シキプロピルメチルジクロロシラン、3−アクリロシキ
プロピルジメチルクロロシラン、3−アクリロシキプロ
ピルメチルジクロロシラン、アリルトリクロロシラン、
アリルメチルジクロロシラン、アリルジメチルクロロシ
ラン、ジアリルジクロロシラン、フェニルビニルジクロ
ロシラン、ジフェニルビニルクロロシラン、フェニルビ
ニルメチルクロロシラン、フェニルアリルジクロロシラ
ン、ジフェニルアリルクロロシラン、フェニルアリルメ
チルクロロシラン、3−アリルアミノプロピルトリエト
キシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ジビニルジメ
トキシシラン、トリビニルメトキシシラン、ビニルジメ
チルメトキシシラン、ジビニルメチルメトキシシラン、
ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジエチルメトキ
シシラン、ジビニルエチルメトキシシラン、ビニルエチ
ルジメトキシシラン、ビニルジエチメトキシルシラン、
ジビニルエチルメトキシシラン、ビニルメチルジメトキ
シシラン、3−メタクリロシキプロピルジメチルメトキ
シシラン、3−メタクリロシキプロピルメチルジメトキ
シシラン、3−アクリロシキプロピルジメチルメトキシ
シラン、3−アクリロシキプロピルメチルジメトキシシ
ラン、アリルトリメトキシシラン、アリルメチルジメト
キシシラン、アリルジメチルメトキシシラン、ジアリル
ジメトキシシラン、フェニルビニルジメトキシシラン、
ジフェニルビニルメトキシシラン、フェニルビニルメチ
ルメトキシシラン、フェニルアリルジメトキシシラン、
ジフェニルアリルメトキシシラン、フェニルアリルメチ
ルメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニ
ルジエトキシシラン、トリビニルエトキシシラン、ビニ
ルジメチルエトキシシラン、ジビニルメチルエトキシシ
ラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルジエチル
エトキシシラン、ジビニルエチルエトキシシラン、ビニ
ルエチルジエトキシシラン、ビニルジエチエトキシルシ
ラン、ジビニルエチルエトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルジメチル
エトキシシラン、3−メタクリロシキプロピルメチルジ
エトキシシラン、3−アクリロシキプロピルジメチルエ
トキシシラン、3−アクリロシキプロピルメチルジエト
キシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチル
ジエトキシシラン、アリルジメチルエトキシシラン、ジ
アリルジエトキシシラン、フェニルビニルジエトキシシ
ラン、ジフェニルビニルエトキシシラン、フェニルビニ
ルメチルエトキシシラン、フェニルアリルジエトキシシ
ラン、ジフェニルアリルエトキシシラン、フェニルアリ
ルメチルエトキシシランなどがあげられる。
【0022】この様にシランカップリング剤で酸化物を
含む表面を処理した場合、不飽和二重結合が表面に存在
することになる。
【0023】シランカップリング剤と酸化物の反応性を
高める為に、プラズマ処理、アルカリ処理を、予め表面
に存在する酸化ケイ素に施すと効果があり、防曇効果も
向上する。
【0024】次に本発明では上記のように処理した表面
の不飽和二重結合に、側鎖または疎水性基中間部に親水
性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生
じる構造を形成する構造を有するチオールを反応させ、
必要に応じて紫外線などの高エネルギー線照射や、加熱
などにより架橋反応を起こす。親水性基としてはスルホ
ン酸基、水酸基、アミン基、カルボキシル基、硫酸エス
テル、及びその塩、エーテル結合、酸アミド基、カルボ
ン酸エステル基、ハロゲン等が挙げられる。
【0025】側鎖または疎水性基中間部に親水性基を持
ち、かつ疎水性基中間部に分子間相互作用を生じる構造
を形成する構造を有するチオールとして、下記(化
1)、(化2)に示すものがあげられるが、この限りで
はない。
【0026】
【化1】
【化2】 (R1は炭素数1ないし5の直鎖状アルキル基又は炭素
数3ないし9の分岐状アルキル基、Aはアミド基等の水
素結合にて分子間相互作用を生じる構造を形成するも
の、又は炭素数5ないし10の直鎖状アルキル基等の分
子間力(ファンデアワールス力)にて分子間相互作用を
生じる構造を形成するもの、R2は炭素数1ないし5の
直鎖状アルキル基、Yは一個以上の親水性基を有する置
換基) チオールをシランカップリング剤の不飽和二重結合と反
応させるには、光グラフト重合法、レドックス重合法、
熱重合法、放射線グラフト重合法などを用いることがで
きる。形成された処理層は、反射防止層の反射率特性に
悪影響を与えない程度の薄膜であることが大切で、30
0Å以下が望ましいが、薄膜の屈折率を考慮して膜厚を
決め、反射防止として薄膜を組み込むことも可能であ
る。反応後、水洗、あるいは有機溶剤で洗浄することに
より、光学物品表面と結合していない余分な物質を除去
する。
【0027】以上の操作により酸化ケイ素が表面に存在
する光学物品の最表面には、側鎖及び疎水性基中間部に
親水性基を持つチオールがシランカップリング剤を介し
て表面と結合して存在する状態になる。防曇性能を得る
為には、水に対する静止接触角が10゜以下であること
が望ましいが、十分な性能を得るためには5゜以下が必
要となる。これは表面の活性点を増やし、該チオールの
グラフト率を高めることで達成できる。また、用いるチ
オールの構造によって親水性基の充填率を上げるなどの
方法も可能である。
【0028】本発明によって得られる防曇性能を有する
光学物品は、耐擦傷性に優れ、反射防止などの光学特性
にも優れており、眼鏡レンズ、カメラレンズ、浴室内の
鏡、水中眼鏡、窓ガラス、電子レンジの窓、車の窓ガラ
ス、望遠鏡のレンズ、スキーのゴーグル、湿気の多い所
で使用する光学機器のレンズ、ミラーなどに適用するこ
とが可能である。
【0029】以下、本発明を実施例に基づき詳細に説明
するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではな
い。
【0030】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕 1.基材の準備:予め水酸化ナトリウム溶液(0.1
N) に浸漬し、よく水洗、乾燥したプラスチックレン
ズ(セイコーエプソン(株)製、セイコースーパーソブリ
ン用レンズ生地、屈折率1.67)に以下に示すコーテ
ィング液をディッピング法で、膜厚が2.5μm になる
様塗布し、135℃で2.5時間加熱硬化した。このよ
うにして得られたレンズの表面に、プラズマ処理(アル
ゴンプラズマ400W×60秒)を行った後、無機物質の
酸化ケイ素、酸化ジルコニウムからなる反射防止膜を真
空蒸着法で多層被覆し、ハードコート、反射防止付プラ
スチックレンズ、基材Aを作成した。この基材Aの水に
対する静的接触角は20°であった。
【0031】(コーティング液の調整)撹拌装置を備え
た、反応容器中に、イソプロピルアルコール118.8
g,蒸留水300.0g、γ−グリシドキシプロピルト
リエトキシシラン139.4g、0.05規定塩酸水溶
液38.2gを投入し、60分攪拌した。次に酸化チタ
ン・酸化ジルコニウム・酸化珪素の複合ゾル(触媒化成
工業(株)製“オプトレイク1120Z(U25A
8)”)403.3gシリコーン系界面活性剤(日本ユ
ニカー(株)製“L−7604”)0.3g 添加し、
十分攪拌した後コーティング液とした。
【0032】2.シラン処理:次にこの基材Aをメタノ
ールで洗浄し、十分乾燥させた後、ビニルトリクロロシ
ラン液中に浸漬し、相対湿度50%、温度30℃雰囲気
中に取り出し、5分間放置した。その後、アセトンによ
り洗浄した。
【0033】洗浄前にはレンズに白化現象が見られた
が、アセトン洗浄により透明に戻り、レンズの外観・反
射防止の特性に大きな変化は見られなかった。また、こ
の時の水に対する接触角は83°であり、ビニルシラン
が表面に固定化されている事が確認された。
【0034】3.チオール処理:次に洗浄後のレンズに
高圧水銀灯(3.2kW)により、光源直下15cmで
両面に2秒紫外線を照射した。その後、以下に示す側鎖
または疎水性基中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基
中間部に分子間相互作用を生じる構造を形成する構造を
有するチオールに浸漬した状態で紫外線照射し、反応を
行った。
【0035】(チオールの調整)イソプロピルアルコー
ル(以下IPAと称す)250gに側鎖または疎水性基
中間部に親水性基を持ち、かつ疎水性基中間部に分子間
相互作用を生じる構造を形成する構造を有するチオール
としてメチルエトキシエタノール125gに1−メルカ
プト−5−オキソ−13−ヒドロキシ−8,11−オキ
サ−4−アザトリデカン25gを溶解し、光開始剤とし
て、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパ
ン−1−オン(メルク社製“ダロキュアー1173”)
を0.8g添加し、光を遮断した状態で、30分間撹拌
した。
【0036】反応後のレンズを高圧水銀灯装置より取り
出し、純水によって洗浄を行った。洗浄後のレンズの外
観、反射防止の特性に大きな変化は見られなかった。ま
た、水に対する静的接触角は11°であり、基材表面へ
の親水性の付与が確認された。
【0037】得られた光学物品の防曇性評価方法は“J
IS−S4030 眼鏡用くもり止め剤試験方法”の低
温部くもり止め性に従って1〜4級で評価した。(1級
が一番防曇性能が良く、4級が一番悪い。)また、耐擦
傷性についてはボンスター#0000スチールウール
(日本スチールウール(株)製)で1kg荷重、10往
復表面を摩擦したときの傷の付き方によって評価した。
(A:1cm*3cmの範囲内に全く傷が付かない。
B:上記範囲内に1〜10本傷が付く。C:上記範囲内
に11〜100本傷が付く。 D:上記範囲内に無数の
傷が付く。)評価結果は表1にまとめて示した。
【0038】〔実施例2〕 1.基材の準備:実施例−1で用意した基材Aを用い
た。
【0039】2.シラン処理:基材Aをメタノールで洗
浄し、十分乾燥させた後、3−メタクリロキシプロピル
メチルジクロロシラン液中に浸漬し、相対湿度50%、
温度30℃雰囲気中に取り出し、5分間放置した。その
後、アセトンにより洗浄した。洗浄前、洗浄後のレンズ
の外観、反射特性に大きな変化は見られなかった。ま
た、水に対する静的接触角は78°で、3−メタクリロ
キシプロピルメチルジクロロシランの表面への固定化が
確認された。
【0040】3.チオール処理:シラン処理後のレンズ
に、コロナ放電を10秒行い、表面を活性化した。この
レンズを以下に示すチオール処理液に浸漬して、30分
間脱泡を行い、溶存酸素量を少なくし、窒素パージを行
って35℃90分間放置した。その後、レンズを取り出
して水洗を行い、乾燥させて処理レンズとした。水洗後
のレンズの外観・反射防止の特性に大きな変化は見られ
なかった。また、この時の水に対する静的接触角は10
°であり、12−メルカプトドデカノールの表面への固
定化が確認された。
【0041】(チオールの調整)イソプロピレングリコ
ール125gに12−メルカプトドデカノールを12.
5g溶解し処理液とした。
【0042】〔比較例1〕実施例1で用いた1−メルカ
プト−5−オキソ−13−ヒドロキシ−8,11−オキ
サ−4−アザトリデカンを1−メルカプト−11−ヒド
ロキシ−6,11−オキサウンデカンに変更し、その他
の条件は同様に処理したレンズを比較例1とした。この
レンズの水に対する静的接触角は15°で、1−メルカ
プト−11−ヒドロキシ−6,11−オキサウンデカン
のレンズ表面への固定化が確認された。
【0043】〔比較例2〕実施例2で使用した12−メ
ルカプトドデカノールのかわりに3−メルカプトプロパ
ノールを用いた以外は、実施例2と同様にレンズを処理
し、これを比較例2とした。処理後の水に対する静的接
触角は10°であり、3−メルカプトプロパノールのレ
ンズ表面への固定化が確認された。
【0044】〔比較例3〕実施例2で使用した12−メ
ルカプトドデカノールのかわりに1−メルカプトドデカ
ンを用いた以外は、実施例2と同様にレンズを処理し、
これを比較例2とした。処理後の水に対する静的接触角
は68°であり、接触角の低下は見られなかった
【0045】
【表1】
【発明の効果】本発明によれば、酸化物が存在する硬度
の十分ある表面に界面活性剤を反応・固定させ、耐擦傷
性をもたせることが可能となり、かつ防曇処理層が薄い
為、表面硬度、防曇の耐久性にも優れ、表面の反射防止
膜に光学的影響を与えない防曇性能を有する光学物品が
製造可能となった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2K009 AA03 AA15 BB11 CC03 CC42 DD02 DD03 DD04 DD05 DD06 EE02 4F006 AA42 AB32 AB66 BA10 CA05 DA00 EA01 EA03 4H020 AA03 AB02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】酸化物を主として表面に含む光学物品にお
    いて、該光学物品の表面を、不飽和二重結合を有するシ
    ランカップリング剤で処理した後、分子内に親水性基お
    よび分子間相互作用を生じる構造を有するチオールを、
    エン・チオール反応により表面に固定し、分子間結合さ
    せることを特徴とする光学物品に防曇性能を付与する方
    法。
  2. 【請求項2】前記分子間相互作用を生じる構造が、アミ
    ド基などによる水素結合で形成される構造を持つことを
    特徴とする請求項1記載の光学物品に防曇性能を付与す
    る方法。
  3. 【請求項3】前記分子間相互作用を生じる構造が炭素数
    8〜20の直鎖状脂肪酸による分子間力で形成されるこ
    とを特徴とする請求項1記載の光学物品に防曇性能を付
    与する方法。
  4. 【請求項4】前記酸化物を主として表面に含む光学物品
    が、反射防止無機コート膜を有する合成樹脂レンズ、ま
    たはハードコート層及び反射防止無機コート膜を有する
    合成樹脂レンズであることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれか1項に記載の防曇性能を付与する方法。
  5. 【請求項5】前記酸化物を主として表面に含む光学物品
    がガラスであることを特徴とする請求項1ないし3のい
    ずれか1項に記載の防曇性能を付与する方法。
  6. 【請求項6】請求項1ないし5のいずれか1項に記載の
    光学物品に防曇性能を付与する方法によって得られる防
    曇性光学物品。
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