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JP2001032023A - 表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼の製造方法 - Google Patents

表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼の製造方法

Info

Publication number
JP2001032023A
JP2001032023A JP11209986A JP20998699A JP2001032023A JP 2001032023 A JP2001032023 A JP 2001032023A JP 11209986 A JP11209986 A JP 11209986A JP 20998699 A JP20998699 A JP 20998699A JP 2001032023 A JP2001032023 A JP 2001032023A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
less
annealing
steel
hot
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP11209986A
Other languages
English (en)
Inventor
Masamitsu Tsuchinaga
雅光 槌永
Akihiko Takahashi
明彦 高橋
Masayuki Abe
阿部  雅之
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP11209986A priority Critical patent/JP2001032023A/ja
Publication of JP2001032023A publication Critical patent/JP2001032023A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Heat Treatment Of Sheet Steel (AREA)
  • Heat Treatment Of Strip Materials And Filament Materials (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱延鋼帯の再結晶を促進させる熱処理を行
い、この熱処理中に生じるリンの粒界偏析を解消し、続
く硫酸酸洗工程後に粒界腐食溝を発生しないフェライト
系ステンレス鋼帯を製造する。 【解決手段】 C:0.12%以下、Si:1.00%
以下、P:0.100%以下、S:0.030%以下、
Cr:10〜20%、Ni:0.75%以下およびA
l:0.001〜0.5%、さらにCu:0.005〜
0.20%を合有したり、Mn:1.00%以下に限定
して、残部がFeおよび不可避的不純物からなるフェラ
イト系ステンレス鋼の熱延後の巻取り温度を700℃以
上で保定し、もしくは熱延後に焼鈍温度700〜880
℃でボックス焼鈍する。巻取り温度保定時、焼鈍温度保
定時あるいは巻きほどき時にAlとの関係で決まる昇熱
温度以上にした後急冷する。その後メカニカルデスケー
リングし、硫酸酸洗あるいは塩酸酸洗し、冷延、焼鈍す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フェライト系ステ
ンレス鋼を熱間圧延あるいはさらに焼鈍し、デスケール
酸洗し、冷延焼鈍して、冷延鋼帯を製造する際に、製品
の耐リジング性とr値を向上すると共に製品表面性状の
良好な鋼板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にフェライト系ステンレス鋼には、
熱間圧延ままあるいは熱延板焼鈍を行った後、メカニカ
ルデスケーリングと硫酸酸洗を組み合わせた脱スケール
が行われている。この熱延後の熱履歴については、引き
続き行われる冷延・焼鈍後の製品板のリジングや成形時
の異方性を少なくするために、熱延後にコイルに巻いた
状態で加熱保特することによる焼鈍や、コイルを巻戻し
て加熱する連続焼鈍や、さらには熱延後に高温でコイル
を巻き取りコイル自体の含有熱を利用した焼鈍が行われ
ている。
【0003】しかしながら、熱間圧延を終えた高温度の
フェライト系ステンレス鋼板を700℃以上でコイル状
に巻き取ってから冷却した場合、または熱間圧延を終え
たコイルを800℃程度でボックス焼鈍した場合、続く
デスケール工程の硫酸中で結晶粒界が特に溶解され粒界
腐食溝を発生し、引き続き冷延、焼鈍した後の最終製品
表面でキラキラ疵(ゴールドダスト)を生じ、表面品質
を著しく損なう問題があった。
【0004】このような問題は、熱間圧延後の冷却途
中、あるいはボックス焼鈍時とその冷却過程において、
鋼中の不純物元素であるリンが粒界に偏析し、粒界近傍
のリン濃度に対応して硫酸中での溶解が進行するため、
粒界腐食溝が生じてしまうことを原因とする。このよう
な問題を回避するため、硫酸に代えてコスト、設備費共
に高価な硝弗酸酸洗が用いざるを得ない場合があった。
【0005】これに対して、例えば特開昭61−199
036号公報では、熱間圧延後あるいは熱間圧延−焼鈍
後の冷却を830℃から400℃まで30分以内で行う
ことが開示されている。また特開昭62−174349
号公報では、鋼中でリンと相互作用の強いZr,Ti,
Nb,Mo,Y,La,Ce等の元素少量を添加するこ
と、また特開平1−165745号公報では、鋼中のC
u,Mnの含有量を規制すること、さらに特開平2−1
90450号公報では、Ca,Mgを少量添加すること
など様々な防止策が開示されているが、十分満足の行く
ものとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フェライト
系ステンレス鋼を熱間圧延した後のコイル冷却条件、あ
るいは一旦冷却後のコイル焼鈍条件をコントロールして
熱延鋼帯の再結晶を促進すると共に、これらの熱処理中
に生じるリンの粒界偏析が、続く硫酸酸洗工程後に粒界
腐食溝を発生しない、新しい鋼成分組成のフェライト系
ステンレス鋼の製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明は以下の要旨からなる。 (1)重量%で、 C :0.12%以下、 Si:1.00%以下、 P :0.100%以下、 S :0.030%以下、 Cr:10〜20%、 Ni:0.75%以下、 Al:0.001〜0.5%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
し、熱延終了後の鋼帯巻取り温度を700℃以上とし
て、巻取り温度に保定し、保定後のコイルを巻きほどき
急冷するにあたり、この巻取り温度保定時あるいは巻き
ほどき時に、Al量との関係で決まる式〈1〉あるいは
式〈2〉の必要昇熱温度以上にした後、必要昇熱温度か
ら400℃までの温度域を0.2degC/sec以上の冷却速
度で冷却し、このように製造した鋼帯をメカニカルデス
ケーリング後に硫酸酸洗もしくは塩酸酸洗し、酸洗鋼帯
を得ることを特徴とする表面性状と加工性の良好なフェ
ライト系ステンレス鋼の製造方法。 式〈1〉必要昇熱温度(℃)≧1250×Al(%)+
650…Al(%)≦0.16の場合 式〈2〉必要昇熱温度(℃)≧850…Al(%)>
0.16の場合
【0008】 (2)重量%で、 C :0.12%以下、 Si:1.00%以下、 P :0.100%以下、 S :0.030%以下、 Cr:10〜20%、 Ni:0.75%以下、 Al:0.001〜0.5%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
し、熱延後のコイルを冷却した後に焼鈍温度700〜8
80℃の範囲で焼鈍し、焼鈍温度に保定し、焼鈍後のコ
イルを高温の状態から巻きほどき急冷するにあたり、こ
の焼鈍温度保定時あるいは巻きほどき時に、Al量との
関係で決まる上記式〈1〉あるいは式〈2〉の必要昇熱
温度以上にした後、必要昇熱温度から400℃までの温
度域を0.2degC/sec以上の冷却速度で冷却し、このよ
うに製造した鋼帯をメカニカルデスケーリング後に硫酸
酸洗もしくは塩酸酸洗し、酸洗鋼帯を得ることを特徴と
する表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス
鋼の製造方法。
【0009】(3)上記(1)もしくは(2)記載の成
分の鋼に、さらに重量%で、 Cu:0.005〜0.20% を含むことを特徴とする上記(1)もしくは(2)記載
の表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼
の製造方法。
【0010】(4)上記(1),(2)もしくは(3)
記載の成分の鋼に、さらに重量%で、 Mn:1.00%以下 に限定することを特徴とする上記(1),(2)もしく
は(3)記載の表面性状と加工性の良好なフェライト系
ステンレス鋼の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明者らは、製品板でリジング
や成形時の異方性が少ないフェライト系ステンレス鋼の
製造条件を見出すため、熱延鋼帯の巻取り条件や加熱条
件に着目して検討した。以下実験に基づき詳細に説明す
る。この検討のための供試鋼の化学成分(重量%、以下
%と略す)として、C:0.02%、Si:0.50
%、Mn:0.50%、P:0.030%、S:0.0
15%、Cr:16%、Ni:0.35%、Cu:0.
06%で、Al合有量を特に0.010〜0.5%の範
囲で変化させ、残部Feである鋼を用意した。
【0012】この鋼塊を熱延し、700℃以上の温度で
巻取って30分間以上保定した後、常温まで冷却して熱
延鋼帯とした。この熱延鋼帯に、ショットブラストによ
るメカニカルデスケーリングした後に、300g/L
(リットル)硫酸90℃,60sec で硫酸酸洗したとこ
ろ、Al合有量にかかわらず全ての供試鋼で酸洗鋼帯表
面に粒界腐食溝が発生した。
【0013】一方、上記の熱延鋼帯と同様に熱延し、7
00℃以上の温度で巻取って30分間以上保定した後、
巻取り温度から巻きほどき高速冷却するか、巻きほどき
ながら保定時間を10sec として650〜1100℃に
昇熱した後高速冷却する熱処理を加えた後、ショットブ
ラストによるメカニカルデスケーリングと硫酸酸洗を施
し、このようにしてできた鋼の粒界腐変溝を調査した。
結果を図1(a)に示す。
【0014】図1(a)に示すように、Al含有量に応
じた巻取り温度または巻取り温度から昇熱した後の昇熱
温度にすることで、粒界腐食をなくすことが可能である
ことが判明した。Al合有量0.16%以下ではAlの
含有量の増加にともない必要な加熱温度は高温化する
が、0.16%を超えると必要加熱温度は飽和して85
0℃で充分となった。
【0015】また、700℃以上の温度で巻取って30
分間以上保定した後、常温まで冷却した熱延鋼帯につい
て、保定時間を10secとして650〜1100℃に昇
熱した後高速冷却する熱処理を加えた場合(図1
(b))に比べ、同一Al量に対して必要昇熱温度が低
減できた。
【0016】さらに、Al含有量を0.08%に固定し
て、巻取り温度または巻取り温度から昇熱した後の昇熱
温度から400℃までの温度域での冷却速度を変更させ
た鋼帯について、ショットブラストによるメカニカルデ
スケーリングした後に硫酸酸洗し、粒界腐食溝を調査し
た結果を図2に示す。図2に示すように、冷却速度を
0.2degC/sec以上にすると粒界腐食溝のない酸洗鋼帯
を得ることができる。
【0017】これら粒界腐食溝のない酸洗鋼帯を引き続
き冷延し、焼鈍した後の製品板には、粒界腐食溝を原因
として生じる微細な被さり疵はなく、製品の発銹テスト
も良好であり、表面に保護テープを貼り深絞り加工した
後のテープを剥ぎ取る評価でも、キラキラ疵やゴールド
ダストと呼ばれる疵の発生はなかった。
【0018】これら熱延後の巻取り保定時に得られた知
見は、ボックス焼鈍時の保定時に適用しても同様の効果
があることが判明した。
【0019】次に、これら熱処理に先立つ熱延終了後の
鋼帯巻取り温度や保定時間、ボックス焼鈍の温度や保特
時間を変更して処理したものについて、それぞれリジン
グや異方性を調査した。熱延終了後の鋼帯巻取り温度保
定については、巻取り後のコイルに蓋を被せて加熱する
ことで、巻取り温度で1〜5時間保定した。一方、巻取
りままの熱履歴は、通常の1m巾で10〜20tonコイ
ルの場合、30分間程度巻取り温度にあった後に冷却し
た。
【0020】その結果、図3および図4に示すように、
巻取り温度を700℃以上に高温化して、なおかつ1時
間以上保定することで、リジング高さを小さくでき、r
値も向上して、両者を共通して良好化できることが判明
した。
【0021】また、熱延後に一度冷却したコイルをコイ
ルに巻いたままボックス焼鈍した場合の、温度と時間の
関係についても検討した。この結果、図5および図6に
示すようにコイル加熱温度を700℃以上に高温化する
ことで、コイル巻取り温度と同様にリジングとr値を向
上させることができ、さらに長時間化すると一層向上す
ることが判明した。
【0022】熱延終了後の鋼帯の巻取り保定温度を70
0℃以上とした場合や、ボックス焼鈍の焼鈍温度を70
0℃以上とした場合に、デスケール時の硫酸との組合わ
せで粒界腐食溝が生じる理由は、これらの温度で保定さ
れている間や冷却中にPが粒界に偏析し、硫酸の液自体
の性質がPの濃化部をより多く溶解させるため、粒界腐
食溝を生じることによる。この鋼帯をAl量との関係で
決まる温度以上に昇温し、急冷することで、粒界腐食の
生成を防止できるようになる。
【0023】Al量との関係で必要な加熱温度が高温化
するのは、Al量増でPの固溶化温度が高温化するため
であり、この温度以上で一端固溶させた後に急冷するこ
とで高温の固溶したPの粒界偏析のない状態を凍結させ
ることができるためである。また、一旦常温まで冷却
し、昇温した場合に比べ、巻取り温度または巻取り温度
から昇熱した後の必要昇熱温度、ならびに、ボックス焼
鈍温度またはボックス焼鈍温度から昇熱した後の必要昇
熱温度が低いのは、P偏析の程度が小さく、解消させる
ために大きな駆動力を必要としないためである。
【0024】熱延終了後の鋼帯の巻取り保定温度を70
0℃以上としたり、熱延後に一度冷却したコイルをコイ
ル巻取りままで焼鈍温度を了00℃以上としてボックス
焼鈍した熱延鋼帯を用いて、デスケールの後、冷延焼鈍
した製品板でリジングや成形時の異方性が少なくなる理
由は、これらデスケール前材の組織観察から、700℃
以上の保定によって熱延鋼帯の再結晶が進行し、結晶方
位がランダム化できたためである。
【0025】次に成分の限定理由について説明する。C
は、耐孔食性や耐食性の点から低い方がよいが、製造性
を考慮して上限を0.12%とした。
【0026】Siは、脱酸作用を特った有用な成分であ
るが、1.00%を超えて合有させると熱間加工性が劣
化して、熱間圧延時の表面疵を多発するようになること
から1.00%以下とした。
【0027】Pは、熱延終了後の鋼帯の巻取り温度を7
00℃以上に保定する場合や、熱延後に一度冷却し、コ
イル巻きのままで焼鈍温度を700℃以上としてボック
ス焼鈍し、保定した場合や、その後の冷却中に、P固溶
度の低下に件い粒界に濃化し、粒界偏析を生じ、硫酸と
の組合わせで粒界腐食溝を生じる有害元素であり、低い
ほど望ましいが、製鋼時の経済性を考えて0.100%
以下とする。
【0028】Sは、耐食性向上のためできるだけ低い方
が望ましく、0.030%以下とする。
【0029】Crは、耐食性および耐酸化性を向上させ
るステンレス鋼としての重要な元素であるが、そのため
には少なくとも10%が必要であり、一方、20%を超
えると靭性の劣化を招くので、10〜20%の範囲に限
定した。
【0030】Niは、優れた耐食性、耐酸性を付与する
作用があり、耐孔食性ならびに耐隙間腐食性を向上させ
る作用もある。ただし、0.75%を超えて添加するこ
とは経済性を損なうので、0.75%以下とした。
【0031】Alは、再結晶を促進させるのに有用な元
素である。0.001%未満では所望の効果が得られ
ず、一方、0.5%を超えて添加すると熱間加工性低下
の点で好ましくないので、0.001〜0.5%の範囲
に限定した。
【0032】Cuは、耐食性向上および機械的強度向上
のために有用であり、必要に応じて添加する。0.00
5%未満では所望の効果が得られず、一方、0.20%
を超えるとPの粒界偏析を助長すると共に、熱間加工性
低下の点で好ましくないので、0.005〜0.20%
の範囲に限定した。
【0033】Mnは、機械的強度維特および脱酸に有効
に寄与するが、1.00%を超えるとPの粒界偏析を助
長すると共に、靭性劣化の不利を招き、熱間圧延での表
面疵を多発するようになるので、添加する場合は1.0
0%以下とする必要がある。
【0034】次に、本発明ステンレス鋼の製造方法につ
いて述べる。上記のような成分組成のフェライト系ステ
ンレス鋼は、転炉、電気炉、VOD、AODなどの溶製
炉で溶製されたのち造塊・分塊あるいは連続鋳造を経
て、熱間圧延される。
【0035】この熱延終了後の鋼帯の巻取り保定温度は
700℃以上とすることで、冷延焼鈍後の製品のリジン
グやr値を著しく向上させ、この温度での長時間保定は
一層の向上が認められるため、700℃以上とした。
【0036】熱延後一度コイルを冷却した後、ボックス
焼鈍した場合の焼鈍温度は、700℃以上で冷延焼鈍後
の製品のリジングやr値を巻取り温度の場合と同様に著
しく向上させ、この温度に長時間保定することで一層の
向上が認められるため、700℃以上とした。この温度
については高温にするほど効果があるが、880℃を超
えてγ相が出るようになると冷延時に耳割れが生じたり
圧延荷重が大きくなるので、880℃以下とした。
【0037】これら巻取り後の保定やボックス焼鈍は、
組定の温度に30分間以上保特することが必要である。
これ未満では効果が認められない。上限は特に規定しな
いが、必要以上に長くしても効果は飽和してコスト高に
なるので適宜制限される。
【0038】熱延終了後の鋼帯巻取り温度を700℃以
上として保定した後の必要昇熱条件については、硫酸酸
洗時の粒界腐食を生じないように設定する必要がある。
必要昇熱温度については、図1(a)に示すように、A
l(%)≦0.16では、必要昇熱温度(℃)≧125
0×Al(%)+650、Al(%)>0.16では、 必要昇熱温度(℃)≧850 が必要である。700〜880℃の焼鈍温度または焼鈍
温度から昇熱した場合も同様である。
【0039】冷却速度については図2に示すように、巻
取り温度または巻取り温度から昇熱した後の昇熱温度か
ら400℃までの温度域を0.2degC/sec以上の冷却速
度で冷却する必要がある。700〜880℃の焼鈍温度
または焼鈍温度から昇熱した場合も同様である。昇温の
保定時間については温度に到達していれば良く0sec以
上で有効に作用する。
【0040】これら熱処理後の鋼板は、ショットブラス
トによるメカニカルデスケーリングの後に硫酸による酸
洗にてデスケールし、冷間圧延して焼鈍し、フェライト
系ステンレス鋼として製造される。また、硫酸の代わり
に塩酸を用いて酸洗して同様に製造することが可能であ
る。塩酸は、100g/L(リットル)以上の塩酸なら
びに0〜300g/Lの硝酸を含有した塩酸系溶液を用
いることで達成できる。
【0041】
【実施例】表1に示す成分からなるフェライト系ステン
レス鋼について、厚さ4mmに熱延し、700〜850℃
で巻取り保定時間を変えたコイル、あるいは700〜8
80℃で保定時間を変えボックス焼鈍したコイルを巻き
ほどきAl量に応じて昇温、高速冷却を行うか、巻取り
保定あるいは700〜880℃保定終了時にAl量に応
じて昇温し、高速冷却を行った。この酸化スケール付き
のコイルをショットブラストでメカニカルデスケーリン
グした後、90℃,30%硫酸溶液中100sec浸漬に
おける粒界腐食溝を評価し、引き続き0.5mmまで冷延
し、焼鈍して製品にした場合の被さり疵、リジング、r
値を評価した結果を表2および表3に示す。
【0042】熱延終了後の鋼帯巻取り温度を700℃以
上として保定したり、焼鈍温度700〜880℃でボッ
クス焼鈍した鋼帯でも、Al量との関係で決まる温度以
上に必要に応じて昇温した後、高速な冷却速度で冷却し
た本発明鋼帯は、比較鋼帯に比べ硫酸酸洗後の粒界腐食
溝を示さない。さらに本発明鋼帯は、引き続き冷間圧延
し、光輝焼鈍を行った表面に被さり疵は無く、保護テー
プを貼り深絞り加工した後にテープを剥ぎ取る製品評価
でも、キラキラ疵やゴールドダストと呼ばれる疵の発生
はなく、良好な製品表面が得られた。また、リジングと
r値についても比較鋼帯よりかなり良好な特性が得られ
た。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】
【表3】
【0046】
【発明の効果】本発明によって、リジングとr値を向上
させる熱延鋼帯の巻取り保定温度やボックス焼鈍温度を
硫保し、これらの適程や冷却途中に生じるリンの粒界偏
析と硫酸デスケール酸洗との組合わせにより生じる粒界
腐食溝の発生を防止して、その後の冷間圧延表面の優れ
た最終製品の製造を可能としたものであり、熱延後の保
定時の熱や焼鈍後の保定時の熱を活用したものでエネル
ギー的にも有利であり、その工業的意義は極めて大き
い。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、熱延巻取り温度または巻取り温度か
ら昇熱した後の昇熱温度と、鋼帯のAl合有量との関係
について、これら温度から高速冷却処理した後に硫酸酸
洗した時の粒界腐食の生成との関係を示す図であり、
(b)は、熱延の巻取り後に常温まで冷却し、その後に
昇熱した場合の昇熱温度と、鋼帯のAl含有量との関係
について、この昇熱温度から高速冷却処理した後に硫酸
酸洗した時の粒界腐食の生成との関係を示す図である。
【図2】熱延巻取り温度または巻取り温度から昇熱した
後の昇熱温度と、その後の高速冷却時の冷却速度との関
係について、これら熱処理の後に硫酸酸洗した時の粒界
腐食の生成との関係を示す図である。
【図3】熱延鋼帯の巻き取り保定温度、保定時間と、冷
延焼鈍した後のリジング高さとの関係を示す図である。
【図4】熱延鋼帯の巻き取り保定温度、保定時間と、冷
延焼鈍した後のr値との関係を示す図である。
【図5】ボックス焼鈍の保定温度、時間を変更し、冷延
焼鈍した場合のリジング高さとの関係を示す図である。
【図6】ボックス焼鈍の保定温度、時間を変更し、冷延
焼鈍した場合のr値との関係を示す図である。
フロントページの続き (72)発明者 阿部 雅之 福岡県北九州市戸畑区飛幡町1番1号 新 日本製鐵株式会社八幡製鐵所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA05 EA06 EA12 EA13 EA15 EA20 EA23 EA25 EA27 FE03 FF03 HA05 4K043 AA01 AB01 AB03 AB04 AB12 AB13 AB15 AB22 AB25 AB26 AB27 BA05 BA06 DA05 FA01 FA13 HA02

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.12%以下、 Si:1.00%以下、 P :0.100%以下、 S :0.030%以下、 Cr:10〜20%、 Ni:0.75%以下、 Al:0.001〜0.5%、 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
    し、熱延終了後の鋼帯巻取り温度を700℃以上とし
    て、巻取り温度に保定し、保定後のコイルを巻きほどき
    急冷するにあたり、この巻取り温度保定時あるいは巻き
    ほどき時に、Al量との関係で決まる式〈1〉あるいは
    式〈2〉の必要昇熱温度以上にした後、必要昇熱温度か
    ら400℃までの温度域を0.2degC/sec以上の冷却速
    度で冷却し、このように製造した鋼帯をメカニカルデス
    ケーリング後に硫酸酸洗もしくは塩酸酸洗し、酸洗鋼帯
    を得ることを特徴とする表面性状と加工性の良好なフェ
    ライト系ステンレス鋼の製造方法。 式〈1〉必要昇熱温度(℃)≧1250×Al(%)+
    650…Al(%)≦0.16の場合 式〈2〉必要昇熱温度(℃)≧850…Al(%)>
    0.16の場合
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.12%以下、 Si:1.00%以下、 P :0.100%以下、 S :0.030%以下、 Cr:10〜20%、 Ni:0.75%以下、 Al:0.001〜0.5% 残部がFeおよび不可避的不純物からなる鋼を熱間圧延
    し、熱延後のコイルを冷却した後に焼鈍温度700〜8
    80℃の範囲で焼鈍し、焼鈍温度に保定し、焼鈍後のコ
    イルを高温の状態から巻きほどき急冷するにあたり、こ
    の焼鈍温度保定時あるいは巻きほどき時に、Al量との
    関係で決まる式〈1〉あるいは式〈2〉の必要昇熱温度
    以上にした後、必要昇熱温度から400℃までの温度域
    を0.2degC/sec以上の冷却速度で冷却し、このように
    製造した鋼帯をメカニカルデスケーリング後に硫酸酸洗
    もしくは塩酸酸洗し、酸洗鋼帯を得ることを特徴とする
    表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼の
    製造方法。 式〈1〉必要昇熱温度(℃)≧1250×Al(%)+
    650…Al(%)≦0.16の場合 式〈2〉必要昇熱温度(℃)≧850…Al(%)>
    0.16の場合
  3. 【請求項3】 請求項1もしくは2記載の成分の鋼に、
    さらに重量%で、 Cu:0.005〜0.20% を含むことを特徴とする請求項1もしくは2記載の表面
    性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス鋼の製造
    方法。
  4. 【請求項4】 請求項1,2もしくは3記載の成分の鋼
    に、さらに重量%で、 Mn:1.00%以下 に限定することを特徴とする請求項1,2もしくは3記
    載の表面性状と加工性の良好なフェライト系ステンレス
    鋼の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2002092867A1 (fr) * 2001-05-10 2002-11-21 Nisshin Steel Co., Ltd. Bande d'acier ferritique excellente pour la fixation de forme par usinage
JP2008190009A (ja) * 2007-02-06 2008-08-21 Nippon Steel Corp 硫酸酸洗性の良好なフェライト系ステンレス熱延鋼帯の製造方法

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