JP2001019405A - 塩素の製造方法 - Google Patents
塩素の製造方法Info
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Abstract
料として、触媒の存在下に該原料中の塩化水素を酸素で
酸化する塩素の製造方法であって、触媒層内の温度分布
を平滑化させることによって、触媒層を有効に活用で
き、かつ触媒の安定した活性を維持することによって、
触媒コスト、運転の安定性及び容易性の観点から特に優
れた塩素の製造方法を提供する。 【解決手段】 塩化水素、酸素及び水分を含有するガス
を原料として、触媒の存在下に該原料中の塩化水素を酸
素で酸化する塩素の製造方法。
Description
関するものである。更に詳しくは、本発明は、塩化水
素、酸素及び水分を含有するガスを原料として、触媒の
存在下に該原料中の塩化水素を酸素で酸化する塩素の製
造方法であって、触媒層内の温度分布を平滑化させるこ
とによって、触媒層を有効に活用でき、かつ触媒の安定
した活性を維持することができる塩素の製造方法であ
り、触媒コスト、運転の安定性及び容易性の観点から特
に優れた塩素の製造方法に関するものである。
ンなどの原料として有用であり、塩化水素の酸化によっ
て得られることもよく知られている。たとえば、塩化水
素を触媒を用いて分子状酸素で接触酸化し、塩素を製造
する方法としては、従来からDeacon触媒と呼ばれ
る銅系の触媒が従来優れた活性を有するとされ、塩化銅
と塩化カリウムに第三成分として種々の化合物を添加し
た触媒が多数提案されている。また、Deacon触媒
以外にも、酸化クロム又はこの化合物を触媒として用い
る方法、酸化ルテニウム又はこの化合物を触媒として用
いる方法も提案されている。しかしながら、塩化水素の
酸化反応は14kcal/mol−塩素の発熱反応であ
るために、触媒層での急激な発熱を抑えることが重要で
ある。たとえば、雑誌「触媒」(Vol.33 No.
1(1991))には、酸化クロムを触媒とした純塩化
水素と純酸素の反応では、固定床反応形式ではホットス
ポットの除去が困難であり、実装置では流動床反応器の
採用が必要であることが記載されている。
本発明が解決しようとする課題は、塩化水素、酸素及び
水分を含有するガスを原料として、触媒の存在下に該原
料中の塩化水素を酸素で酸化する塩素の製造方法であっ
て、触媒層内の温度分布を平滑化させることによって、
触媒層を有効に活用でき、かつ触媒の安定した活性を維
持することができるために、触媒コスト、運転の安定性
及び容易性の観点から特に優れた塩素の製造方法を提供
する点に存するものである。
化水素、酸素及び水分を含有するガスを原料として、触
媒の存在下に該原料中の塩化水素を酸素で酸化する塩素
の製造方法に係るものである。
素及び水分を含有するガスを原料として用いる必要があ
る。このことにより、触媒層内の温度分布を平滑化させ
ることによって、触媒層を有効に活用でき、かつ触媒の
安定した活性を維持することができるために、触媒コス
トを低く抑制し、運転の安定性及び容易性を確保しう
る。該原料中の塩化水素、酸素及び水分の3成分の合計
の濃度は、通常80体積%以上、好ましくは90体積%
以上のものが用いられる。該濃度が低すぎると生成した
塩素の分離及び/又は未反応酸素のリサイクルが煩雑に
なることがある。
得る方法としては、塩化水素及び水分を含有するガスと
酸素を含有するガスを混合する方法、塩化水素を含有す
るガスと酸素及び水分を含有するガスを混合する方法、
塩化水素を含有するガスと酸素を含有するガスと水を気
化させて得た水蒸気を含有するガスを混合する方法、塩
化水素を含有するガスと酸素を含有するガスと塩酸の一
部又は全量を気化させて得た水蒸気と塩化水素を含有す
るガスを混合する方法などをあげることができる。
化水素を含むガスとしては、塩素化合物の熱分解反応や
燃焼反応、有機化合物のホスゲン化反応又は塩素化反
応、焼却炉の燃焼等において発生した塩化水素を含むい
かなるものを使用することができる。
するガスとしては、酸素又は空気を使用することができ
る。また、塩化水素を酸素で酸化することによって生成
した塩素と分離された未反応酸素を含むガスは、酸素を
含むガス、又は酸素及び水分を含有するガスの一部とし
て使用することができる。
は0.25モルであるが、理論モル量以上供給すること
が好ましく、塩化水素1モルに対し酸素0.25〜2モ
ルが更に好ましい。酸素の量が過小であると、塩化水素
の転化率が低くなる場合があり、一方、酸素の量が過多
であると、生成した塩素と未反応酸素の分離が困難にな
る場合がある。
の塩化水素に対するモル比が0.001〜1.0である
ことが好ましく、更に好ましくは0.005〜1.0、
最も好ましくは0.01〜1.0のものが用いられる。
水分の塩化水素に対するモル比が過小な場合には、触媒
層内の温度分布を平滑化することが困難になることがあ
り、該モル比が過大な場合には、塩化水素の転化率が低
くなることがある。
含む触媒が好ましく、更に好ましくは酸化ルテニウム及
び酸化チタンを含む触媒が用いられる。酸化ルテニウム
を含む触媒は、たとえば、特開平10−182104号
公報、特開平10−338502号公報に記載されてい
る。酸化ルテニウム及び酸化チタンを含む触媒は、たと
えば、特開平10−194705号公報に記載されてい
る。
1〜20重量%が好ましい。酸化ルテニウムの量が過小
であると触媒活性が低く塩化水素の転化率が低くなる場
合があり、一方酸化ルテニウムの量が過多であると触媒
価格が高くなる場合がある。
状、押出形状、リング形状、ハニカム状あるいは成型後
に粉砕分級した適度の大きさの顆粒状等で用いられる。
この際、触媒直径としては5mm以下が好ましい。触媒
直径が5mmを越えると、活性が低下する場合がある。
触媒直径の下限は特に制限はないが、過度に小さくなる
と、触媒充填層での圧力損失が大きくなるため、通常は
0.5mm以上のものが用いられる。なお、ここでいう
触媒直径とは、球形粒状では球の直径、円柱形ペレット
状では断面の直径、その他の形状では断面の最大直径を
意味する。
通方式又は流動層気相流通方式等があげられるが、固定
床気相流通方式が好ましい。流動層気相流通方式は、触
媒がガスに同伴されて飛散する場合がある。
の塩化水素の供給速度との比GHSVで表すと、通常1
0〜20000h-1で行われる。原料を触媒充填層に流
す方向は、上向きでも下向きでもよい。反応圧力は、通
常0.1〜5MPa、好ましくは0.1〜1MPa、更
に好ましくは0.1〜0.8MPaで行われる。反応温
度は、通常200〜500℃、好ましくは200〜38
0℃で行われる。反応温度が低すぎる場合は、塩化水素
の転化率が低くなる場合があり、一方、反応温度が高す
ぎる場合は、触媒成分が揮発する場合がある。
た複数の固定床反応管で、反応管の外側にジャケット部
を有したものがあげられる。反応管内の温度は、ジャケ
ット部の熱媒体によって制御される。反応で生成した反
応熱は、熱媒体を通じて、スチ−ムを発生させて回収す
ることができる。熱媒体としては、溶融塩、有機熱媒体
及び溶融金属等をあげることができるが、熱安定性や取
り扱いの容易さ等の点から溶融塩が好ましい。溶融塩の
組成としては、硝酸カリウム50重量%と亜硝酸ナトリ
ウム50重量%の混合物、硝酸カリウム53重量%と亜
硝酸ナトリウム40重量%と硝酸ナトリウム7重量%の
混合物などをあげることができる。反応管に使用される
材質としては、金属、ガラス、セラミック等があげられ
る。金属材料としては、Ni、SUS316L、SUS
310、SUS304、ハステロイB、ハステロイC及
びインコネル等があげられるが、中でもNiが好まし
い。
ニウム触媒(N.E.ケムキャット社製)に塩化カリウ
ム水溶液を触媒の表面に水が浮き出るまで含浸させた
後、空気中60℃で乾燥した。塩化カリウムの添加量の
計算値は、触媒中のRu原子とのモル比が1:1になる
ようにした。次に、この触媒を空気中60℃で4時間乾
燥し、さらに、空気中で室温から350℃まで約1時間
で昇温し、同温度で3時間焼成して球形の固体を得た。
得られた固体に純水を加え、触媒を濾過した。ろ液に
0.2mol/lの硝酸銀水溶液を加えても、白濁しな
くなるまで、合計5時間かけて、この操作を5回繰り返
した。次に得られた固体を空気中60℃で4時間乾燥
し、酸化チタン担持6.6重量%酸化ルテニウム触媒を
得た。同様な調製方法で得られた酸化チタン担持6.6
重量%酸化ルテニウム触媒を溶融塩浴(硝酸カリウム:
亜硝酸ナトリウム=1:1重量比)を備えた内径18m
mのニッケル製反応管(外径6mmの温度測定用鞘管)
に121.98g(120ml)充填した。塩化水素
4.8Nl/min及び酸素2.4Nl/minを電気
炉で380℃に加熱した内径30mmのニッケル製予熱
管(外径6mmの温度測定用鞘管)に供給して予熱し、
水3.47g/min(塩化水素に対する水分のモル比
は0.9)を電気炉で380℃に加熱した内径2mmの
ステンレス製予熱管に供給して水蒸気に気化させた。続
いて、予熱された塩化水素と酸素の混合ガスを水蒸気と
混合した後、塩浴温度を314.3℃に加熱した反応管
に供給して反応を開始した。さらに塩浴温度を上げ31
9.9℃になったところで触媒層内の温度分布を測定す
ると、反応熱のために触媒層内最高温度(以下、H.
S.と略す)と塩浴温度の差(以下、ΔTと略す)は2
4.9℃(H.S.の位置は触媒層入口より20cm)
となった。またこの時、反応管入口部の圧力は0.85
kgf/cm2(ゲージ圧)(0.18MPa相当)で
あった。出口のガスを7.5重量%よう化カリウム水溶
液にサンプリングして、生成した塩素と未反応の塩化水
素と生成水と供給水を吸収させ、よう素滴定法及び中和
滴定法によってそれぞれ塩素の生成量及び未反応塩化水
素量を測定した。塩化水素の塩素への転化率は33.7
%であった。
と、塩浴温度を286.0℃に加熱したこと、及び水を
0.40g/min(塩化水素に対する水分のモル比は
0.1)で供給したこと以外は、実施例1と同様にして
反応を開始した。さらに塩浴温度を上げ296.0℃に
なったところで触媒層内の温度分布を測定すると、ΔT
は25.4℃(H.S.の位置は触媒層入口より20c
m)となった。またこの時、反応管入口部の圧力は0.
80kgf/cm2(ゲージ圧)(0.18MPa相
当)であった。出口のガスを分析すると、塩化水素の塩
素への転化率は30.3%であった。
4g/min(塩化水素に対する水分のモル比は0.0
1)で供給したこと以外は、実施例2と同様にして反応
を開始した。さらに塩浴温度を上げ287.4℃になっ
たところで触媒層内の温度分布を測定すると、ΔTは2
4.7℃(H.S.の位置は触媒層入口より15cm)
となった。またこの時、反応管入口部の圧力は0.70
kgf/cm2(ゲージ圧)(0.17MPa相当)で
あった。出口のガスを分析すると、塩化水素の塩素への
転化率は30.7%であった。
行わなかったこと以外は、実施例2と同様にして反応を
開始した。さらに塩浴温度を上げ281.4℃になった
ところで触媒層内の温度分布を測定すると、ΔTは2
4.5℃(H.S.の位置は触媒層入口より15cm)
となった。またこの時、反応管入口部の圧力は0.70
kgf/cm2(ゲージ圧)(0.17MPa相当)で
あった。出口のガスを分析すると、塩化水素の塩素への
転化率は27.7%であった。
48Nl/minで供給したこと以外は実施例2と同様
にして反応を開始した。さらに塩浴温度を上げ306.
2℃になったところで触媒層内の温度分布を測定する
と、ΔTは25.3℃(H.S.の位置は触媒層入口よ
り30cm)となった。またこの時、反応管入口部の圧
力は0.90kgf/cm2(ゲージ圧)(0.19M
Pa相当)であった。出口のガスを分析すると、塩化水
素の塩素への転化率は33.5%であった。
化水素、酸素及び水分を含有するガスを原料として、触
媒の存在下に該原料中の塩化水素を酸素で酸化する塩素
の製造方法であって、触媒層内の温度分布を平滑化させ
ることによって、触媒層を有効に活用でき、かつ触媒の
安定した活性を維持することによって、触媒コスト、運
転の安定性及び容易性の観点から特に優れた塩素の製造
方法を提供することができた。
Claims (5)
- 【請求項1】 塩化水素、酸素及び水分を含有するガス
を原料として、触媒の存在下に該原料中の塩化水素を酸
素で酸化する塩素の製造方法。 - 【請求項2】 原料中における水分の塩化水素に対する
モル比が0.001〜1.0である請求項1記載の塩素
の製造方法。 - 【請求項3】 酸化ルテニウムを含む触媒を用いる請求
項1記載の塩素の製造方法。 - 【請求項4】 酸化ルテニウム及び酸化チタンを含む触
媒を用いる請求項1記載の塩素の製造方法。 - 【請求項5】 固定床気相流通方式で、反応温度200
〜500℃、反応圧力0.1〜5MPaで塩化水素の酸
化を行う請求項1記載の塩素の製造方法。
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