JP2001006676A - リチウム二次電池用正極材料及び正極、並びにリチウム二次電池 - Google Patents
リチウム二次電池用正極材料及び正極、並びにリチウム二次電池Info
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Abstract
池用の材料及びリチウム二次電池を提供する。 【解決手段】 リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面
を、電気伝導性及びリチウム伝導性を有する金属酸化物
及び金属硫化物からなる群から選ばれる少なくとも一種
で被覆する。
Description
改良、特に正極活物質に関し、さらには電池の充放電容
量及び熱安定性が向上したリチウム二次電池用正極材料
に関する。
に伴い、その電源として高出力、高エネルギー密度であ
る二次電池が求められている。特にリチウム二次電池は
上記の要件を満たすため、さかんに開発が行われてい
る。リチウム二次電池の正極活物質としては、LiCo
O2 、LiNiO2 、LiMn2 O4 等のリチウム複合
酸化物が提案され、研究が盛んに行われている。その中
でもリチウムとマンガンとを主成分とする複合酸化物
(以下、「リチウムマンガン複合酸化物」と表記するこ
とがある)は、MnがCoやNiと比較して埋蔵量が多
く安価であることから注目を集めている。リチウムマン
ガン複合酸化物を用いた活物質の改良として各種の検討
が行われている。
電解液中の有機溶媒の正極での分解を抑制するために、
リチウムマンガン複合酸化物の表面に金属フッ化物の被
膜を設けることが記載されている。また、特開平10−
116615号公報には、サイクル特性等の向上のた
め、リチウムマンガン複合酸化物の表面にニッケル等を
沈析させることが記載されている。
は、正極活物質の充填密度を高めるらめに、リチウムマ
ンガン複合酸化物に酸化チタンを配合し焼結させること
が記載されている。またさらに、特開平10−1442
92号公報には、正極活物質粒子をリチウムイオン伝導
性非晶質化合物により接合させ、活物質粒子間のリチウ
ム移動を促進させることが記載されている。しかしなが
ら、上記のいずれの方法も未だに満足のいくものではな
かった。例えば、特開平8−264183号公報に記載
の方法の場合、金属フッ化物被膜は電気伝導性が低く内
部抵抗の上昇をもたらすだけでなく、さらにに作成過程
でフッ素ガス、フッ化窒素ガスを用いる必要があるため
経済的でないという問題点がある。
マンガン複合酸化物を正極活物質として用いた場合に
は、高温条件下での充放電サイクル及び保存に伴う容量
低下が大きいという問題があるため、特に高温環境下に
おいて使用される用途で問題がある。高温での性能低下
の原因の1つとして、リチウムマンガン複合酸化物から
のMnの溶出が考えられている。本発明の目的は、リチ
ウムマンガン酸化物を用いた際に特有の問題であるMn
の溶出を抑制し、しいては高温下での電池特性の優れた
リチウム二次電池用の材料及びリチウム二次電池を提供
することにある。また、本発明の他の目的は、上記のよ
うな材料を提供できるその製造方法を提供することにあ
る。
マンガン複合酸化物の表面をリチウム伝導性及び電子伝
導性を有する金属酸化物又は金属硫化物で被覆すること
によって、上記目的が達成されることを見出し本発明を
完成した。即ち、本発明の要旨は、リチウムマンガン複
合酸化物の粒子表面を、電気伝導性及びリチウム伝導性
を有する金属酸化物及び金属硫化物からなる群から選ば
れる少なくとも一種で被覆してなるリチウム二次電池用
正極材料、並びにこれを用いたリチウム二次電池用正極
及びリチウム二次電池に存する。
ガン複合酸化物と金属を含有する被覆層原料とを含有し
たスラリーを噴霧乾燥後、焼成することを特徴とするリ
チウム二次電池用正極材料の製造法に存する。なお、上
記公知文献の中で、特開平10−116615号公報に
おいては、形成する層の材料が異なる点で本願発明とは
異なる。また、特開平4−14757号公報及び特開平
10−144292号公報においては、前者が、通常の
リチウムマンガン複合酸化物の粒径に比べて粒径が大き
い粒径の酸化チタンを使用して、これをリチウムマンガ
ン複合酸化物中に配合させてから焼結させることから考
えて、リチウムマンガン複合酸化物の表面が被覆されて
いない点で本願発明と異なる。また同様に、後者の場合
も、リチウムイオン伝導性非晶質化合物をリチウムマン
ガン複合酸化物に混合して加熱・混合して表面に形成し
ていることから考えて、リチウムマンガン複合酸化物の
表面が被覆されていない点で本願発明と異なる。
る。本発明の特徴の1つは、リチウム二次電池の電極に
使用するリチウムマンガン複合酸化物に電気伝導性とリ
チウム伝導性を持つ金属酸化物や金属硫化物を担持させ
たことにある。即ち、リチウムマンガン酸化物表面を上
記金属酸化物や金属硫化物で被覆することによって、リ
チウムマンガン複合酸化物からのマンガンの溶出を抑え
ることができ、高温でのサイクル特性等の電池性能を向
上させることができる。被覆の容易さや工業的な生産の
面から、好ましくは金属酸化物にて被覆する。表面を被
覆する被覆層の材料としては、リチウムを負極とした場
合に正極として作用することができ、その電位が4V未
満であり、リチウムマンガン複合酸化物を正極活物質と
した場合に起きる活物質表面上での副反応を抑制するこ
とのできる物質が、容量の低下抑制や高温でのサイクル
特性の面から好ましい。具体的には、Ti、Sn、V、
Nb、Mo及びW等の遷移金属の酸化物又は硫化物が挙
げられる。特に、TiOa (ただし、1 ≦a≦2 )、S
nOb (ただし、1 ≦b≦2 )、VOc (ただし1 ≦c
≦2 .5 )、NbOd (ただし1 ≦d≦2.5 )、WO
e (ただし2 ≦e≦3 )、MoOf (ただし2 ≦f≦3
)のような、TiO2 、SnO2 、V2 O5 、Nb2
O5 、WO3 、MoO3 、及び、これらの化合物に少量
の酸素欠陥が生じた不定比化合物は好ましく用いられ
る。好ましくは、Ti及び/又はSnの酸化物・硫化物
である。上記の材料を複数使用することもでき、また固
溶体を使用することもできる。
ウム伝導性を高めるため、上記金属元素とは価数の異な
る価数の金属元素を存在させてもよい。例えば、TiO
2 を含有する被覆層に少量のTa5+を存在させたり、S
nO2 を有する被覆層にSb 2 O3 を存在させることに
より電気伝導度を向上させることができる。なお、この
ような金属元素は、被覆層の主成分の金属元素の種類と
異なるのが通常であるが、同じ種類の異なる価数の金属
元素でもよい。
ウムマンガン複合酸化物の表面積と被覆層の密度、添加
量より計算される平均厚みは、通常3Å以上、好ましく
は10Å以上であり、また通常10000Å以下であ
る。平均厚みが小さすぎると被覆層としての役割を十分
果たすことができないことがあり、あまりに大きいと電
池容量が低下するばかりではなく、リチウムが通過しに
くくなる傾向にある。また、被覆層の材料の使用量は、
通常被覆されるリチウムマンガン複合酸化物に対して、
通常0.1mol%以上、好ましくは0.2mol%以
上であり、また通常10mol%以下、好ましくは5m
ol%以下である。使用量が少なすぎると、十分な被覆
が困難になることがあり、多すぎると電池容量が低下す
るばかりではなく、リチウムが通過しにくくなる傾向に
ある。
は、通常50%以上、好ましくは80%以上、さらに好
ましくは90%以上、最も好ましくは95%以上であ
る。被覆率が小さすぎると、本発明の効果が不十分とな
る。被覆層の形成方法には特に制限はないが、予め作成
したリチウムマンガン複合酸化物に被覆層となる材料の
原料を気相あるいは液相で供給し、被覆層を沈積させる
のが好ましい。特に、工業的な生産性の点から好ましい
のは後者の方法である。被覆層原料を気相で供給する場
合、CVDなどの方法を採用することができる。具体的
には、被覆すべき金属酸化物や金属硫化物を構成する金
属を含む有機金属化合物を用いてCVDによって被覆層
を形成する。また、プラズマCVDによって被覆層を形
成してもよい。
ン複合酸化物と被覆層原料を含むスラリーを調製し、こ
れを乾燥後、焼成する方法を採用することができる。こ
の場合、使用する被覆層原料としては、用いられるスラ
リー溶媒に溶解あるいは懸濁するものが好ましく、被覆
層を構成する金属元素の水溶性塩、酸化物ゾル等が挙げ
られる。スラリー溶媒としては、通常水が使用される
が、その他各種の無機溶媒や有機溶媒が使用できる。乾
燥方法に特に制限はないが、均一な被覆層を作ることが
容易である点で噴霧乾燥法が好ましい。乾燥時の乾燥温
度は通常20℃以上、好ましくは40℃以上であり、ま
た通常300℃以下、好ましくは200℃以下である。
乾燥温度があまりに低すぎると乾燥時間に時間がかかり
すぎ、あまりに高すぎるとリチウムマンガン複合酸化物
の形状を保つのが困難になる。乾燥後の焼成の際の焼成
温度は、被覆層物質が十分に形成され、かつリチウムマ
ンガン酸複合酸化物中に固溶しない温度が望ましく、通
常200℃以上、好ましくは400℃以上であり、また
通常1000℃以下、好ましくは600℃以下である。
焼成温度が低すぎると金属酸化物や金属硫化物の層が形
成しにくくなり、高すぎるとリチウムマンガン複合酸化
物が分解しやすくなる。焼成は、通常空気雰囲気などの
酸素存在下で行う。
ガン複合酸化物には特に制限はなく、常法に従って作製
された各種のものを使用することができる。代表的に
は、LiMn2 O4 なる組成で示されるスピネル型のリ
チウムマンガン複合酸化物が挙げられるが、マンガンサ
イトの一部がAl、Ti、V、Cr、Fe、Co、N
i、Cu、Zn、Mg等の他の金属で置換されていた
り、酸素サイトの一部が硫黄やハロゲン元素で置換され
ていてもよい。また、酸素量に多少の不定比性があって
もよい。具体的には、例えば、
2.5、0<z<1、MはAl、Ti、V、Cr、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Mgから選ばれる1種以
上の元素)で表されるリチウム含有複合酸化物が挙げら
れる。被覆されるべきリチウムマンガン複合酸化物の形
状に特に制限はないが、通常一次粒子の粒径が5μm以
下であり、好ましくは2μm以下である。また、一次粒
子の粒径は通常0.1μm以上であり、好ましくは0.
5μm以上である。粒径が大きすぎるとリチウムの通過
に時間がかかりすぎる傾向にあり、粒径が小さすぎると
比表面積が大きくなり、被覆が困難になる傾向にある。
また、リチウムマンガン複合酸化物の比表面積として
は、あまりに大きすぎると被覆が困難になるので通常5
0m2 /g以下、好ましくは10m2 /g以下である
が、あまりに小さいとリチウムの通過が困難になるので
一般的には0.1m2 /g以上である。
物は、従来公知の各種の方法にて製造することができ、
例えば、リチウム、マンガン及び必要に応じてその他の
材料を含有する出発原料を混合後、酸素存在下で焼成・
冷却することによって製造することができる。出発原料
として用いられるリチウム化合物としては、Li2 CO
3 、LiNO 3 、LiOH、LiOH・H2 O、LiC
l、CH3 COOLi、Li2 O、ジカルボン酸Li、
脂肪酸Li等が挙げられる。出発原料として用いられる
マンガン化合物としては、Mn2 O3 ,MnO2 等のマ
ンガン酸化物、MnCO3 、Mn(NO3 )2 、ジカル
ボン酸マンガン、脂肪酸マンガン等のマンガン塩等が挙
げられるが、中でもMn2 O3 を用いることが好まし
く、この場合のMn2 O3 はMnCO3 やMnO2 など
の化合物を熱処理して作製したものを用いてもよい。
ムマンガン酸化物を製造する場合、出発原料として用い
られる他金属元素の化合物としては、酸化物、水酸化
物、硝酸塩、炭酸塩、ジカルボン酸塩、脂肪酸塩、アン
モニウム塩等が挙げられる。これらの出発原料は、通常
湿式混合、乾式混合、ボールミル粉砕、共沈等の方法に
よって混合される。混合の前後、および混合中において
粉砕の工程を加えてもよい。
後600〜850℃程度の温度で酸素雰囲気下で本焼を
行い、次いで500℃以下程度まで10℃/min以下
の速度で徐冷する方法や、仮焼後600〜850℃程度
の温度で空気又は酸素雰囲気下で本焼し、次いで400
℃程度の温度で酸素雰囲気下アニールする方法を挙げる
ことができる。焼成・冷却の条件については、特開平9
−306490号公報、特開平9−306493号公
報、特開平9−259880号公報等に詳しく記載され
ている。
活物質としてリチウム二次電池の正極に用いられるが、
このような正極は、通常上記活物質、結着剤及び導電剤
を含有する正極合剤として用いられる。結着剤( バイン
ダー) としては、例えばポリフッ化ビニリデン、ポリテ
トラフルオロエチレン、EPDM( エチレン−プロピレ
ン−ジエン三元共重合体) 、SBR( スチレン−ブタジ
エンゴム) 、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴ
ム) 、フッ素ゴム等が挙げられる。また、導電剤として
は、黒鉛の微粒子、アセチレンブラック等のカーボンブ
ラック、ニードルコークス等の無定形炭素の微粒子等が
挙げられる。正極中における、活物質、結着剤及び導電
剤の含有量は、それぞれ通常20〜90重量%、10〜
50重量%、及び1〜20重量%程度である。正極は、
上記の材料を含むスラリーを塗布、乾燥することによっ
て得ることができる。
リチウム二次電池とされる。負極に使用される活物質と
しては、通常、この種のリチウム二次電池に用いられる
材料がいずれも使用可能である。例えば、リチウムやリ
チウム合金であってもよいが、より安全性の高いリチウ
ムを挿入・放出できる炭素材料が好ましい。この炭素材
料は特に限定されないが、黒鉛及び、石炭系コークス、
石油系コークス、石炭系ピッチの炭化物、石油系ピッチ
の炭化物、ニードルコークス、ピッチコークス、フェノ
ール樹脂、結晶セルロース等の炭化物等及びこれらを一
部黒鉛化した炭素材、ファーネスブラック、アセチレン
ブラック、ピッチ系炭素繊維等が挙げられる。
ダー) と含有する。結着剤としては、正極と同様の材料
を使用することができる。また、その製造も正極と同様
の方法を採用することができる。電解質層は、通常電解
質からなるイオン伝導体とセパレータとから構成され
る。セパレーターを使用する場合は、通常微多孔性の高
分子フィルムが用いられ、ナイロン、セルロースアセテ
ート、ニトロセルロース、ポリスルホン、ポリアクリロ
ニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポ
リエチレン、ポリブテン等のポリオレフィン高分子より
なるものが用いられる。セパレータの化学的及び電気化
学的安定性は重要な因子である。この点からポリオレフ
ィン系高分子が好ましく、電池セパレータの目的の一つ
である自己閉塞温度の点からポリエチレン製であること
が望ましい。
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、さら
に好ましくは100万、最も好ましくは150万であ
る。他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好
ましくは400万、最も好ましくは300万である。分
子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱された時セ
パレーターの孔が閉塞しない場合があるからである。
イオン伝導体には、例えば公知の有機電解液、高分子固
体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質等を用いるこ
とができるが、中でも有機電解液が好ましい。有機電解
液は、有機溶媒と溶質から構成される。有機溶媒として
は特に限定されるものではないが、例えばカーボネート
類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系化合物、ラク
トン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、エーテル類、
アミン類、エステル類、アミド類、リン酸エステル化合
物等を使用することができる。これらの代表的なものを
列挙すると、プロピレンカーボネート、エチレンカーボ
ネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラン、
2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、
4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシエタ
ン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、
1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソ
ラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラ
ン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリ
ル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジクロ
ロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の単独もし
くは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
限定されるものではないが、従来公知のいずれもが使用
でき、LiClO4 、LiAsF6 、LiPF6 、Li
BF 4 、LiB(C6 H5 )4 、LiCl、LiBr、
CH3 SO3 Li、CF3 SO3 Li等のリチウム塩が
挙げられ、これらのうち少なくとも1種以上のものを用
いることができる。
の高分子に公知のものを用いることができ、特にリチウ
ムイオンに対するイオン導電性の高い高分子を使用する
ことが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポ
リプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等が好ま
しく使用され、またこの高分子に対して上記の溶質と共
に、上記の溶媒を加えてゲル状電解質として使用するこ
とも可能である。無機固体電解質を使用する場合にも、
この無機物に公知の結晶質、非晶質固体電解質を用いる
ことができる。結晶質の固体電解質としては例えば、L
iI、Li3 N、Li1+x Mx Ti2-x (PO4 )
3 (ただしM=Al、Sc、Y及びLaからなる群から
選ばれる少なくとも一種)、Li0.5-3xRE0.5+x Ti
O3 (ただしRE=La、Pr、Nd及びSmからなる
群から選ばれる少なくとも一種)等が挙げられ、非晶質
の固体電解質としては例えば、4.9 LiI−34.1Li2
O−61B2O5,33.3Li2O−66.7SiO2等の酸
化物ガラスや0.45LiI−0.37Li2S−0.26B2S
3,0.30LiI−0.42Li2S−0.28SiS2等の硫化
物ガラス等が挙げられる。これらのうち少なくとも1種
以上のものを用いることができる。
体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限され
るものではない。
水和物(LiOH・H2 O)、三酸化二マンガン(Mn
2 O 3 )、ベーマイト(AlOOH)をモル比が1.0
3:1.85:0.12となるような量で秤量し、良く
混合し、850℃で24時間加熱してリチウムマンガン
複合酸化物(比表面積1.7m2 /g、平均1次粒径
0.5μm)を得た。この様にして得られたリチウムマ
ンガン複合酸化物を、以下、「核剤」と表記する。水6
0gに核剤8.42g、シュウ酸チタンアンモニウム
0.36gを加え、良く攪拌してスラリーとした後、噴
霧乾燥、解砕し、500℃で2hr加熱し、リチウムマ
ンガン複合酸化物の1次粒子の表面が酸化チタンで被覆
された正極活物質を得た。正極活物質中のMnに対する
Tiのモル比は0.012であるが、X線光電子分光で
のMn2pとTi2pの強度より求めた表面におけるM
nに対するTiのモル比は0.16であった。
アセチレンブラック及び結着剤としてのポリ4フッ化エ
チレン樹脂を重量比で75:20:5の割合で混合して
作成した。次いで、正極合剤をシート状に成型して正極
とした。塗布負極は、黒鉛と結着剤としてのポリフッ化
ビニリデン(PVdF)を重量比で90:10の割合で
使用し、N−メチルピロリドンを溶媒として20μmの
厚さの銅箔の片面に塗布し、乾燥して溶媒を蒸発させ、
圧力0.5t/cm2 でプレス処理をすることにより作
成した。得られた塗布負極を12mmφに打ち抜き、負
極として用いた。
た。即ち正極の上にセパレーターとして多孔性ポリプロ
ピレンフィルムを置き、その上に負極を、ポリプロピレ
ン製ガスケットを付けた封口缶に圧着した。非水電解液
として1 モル/lのLiPF 6 を溶解したエチレンカー
ボネートとジエチルカーボネートとの混合溶液(50v
ol%:50vol%)を用い、これをセパレーター及
び負極上に加えた。この後、電池を封口してリチウム二
次電池とした。
ル、及び実施例1で使用したのと同様の核剤10.14
gを水に加え全容積を60mlとした。この液を良く攪
拌してスラリーとした後、噴霧乾燥、解砕し、500℃
で2hr加熱し、正極活物質を得た。正極活物質中のM
nに対するSnのモル比は0.014であるが、X線光
電子分光でのMn2pとSn3d5の強度より求めた表
面におけるMnに対するSnのモル比は0.83であっ
た。また、SEMによって、リチウムマンガン複合酸化
物の1次粒子の表面が被覆層によって被覆されているの
を確認した。以下、実施例1と同様にしてリチウム二次
電池を作成した。
したのと同様の核剤8.56gを加え全容積を60ml
とした。この液を良く攪拌してスラリーとした後、噴霧
乾燥、解砕し、500℃で2hr加熱し、正極活物質を
得た。SEMによって、リチウムマンガン複合酸化物の
1次粒子の表面が被覆層によって被覆されているのを確
認した。この様にして作成した正極活物質を用いること
以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を作成し
た。
ること以外は実施例1と同様にしてリチウム二次電池を
作成した。これらの電池の50℃での高温サイクル特性
の比較を行った。なお、高温サイクル特性は、充放電電
流密度1mA/cm2 、電圧範囲が4.2Vから3.0
Vの間で定電流充放電する充放電サイクル試験によって
評価した。放電容量・サイクル特性を表−1に示す。な
お、表−1では正極活物質1g当たりに換算した放電容
量を用いている。本発明にかなう実施例では、高温サイ
クル特性が改良されていることが分かる。
レート特性等の電池性能に優れ、特に、高温でのサイク
ル特性、高温安定に優れたリチウム二次電池用の材料を
提供することができる。その結果、安価で資源の豊富な
材料であるマンガンを使用したリチウムマンガン酸化物
が正極材料として実用上問題なく使用可能となり、高性
能で安全で安価なリチウム二次電池が広い用途に供給で
きるようになる。
Claims (7)
- 【請求項1】 リチウムマンガン複合酸化物の粒子表面
を、電気伝導性及びリチウム伝導性を有する金属酸化物
及び金属硫化物からなる群から選ばれる少なくとも一種
で被覆してなるリチウム二次電池用正極材料。 - 【請求項2】 請求項1において、金属酸化物又は金属
硫化物がTi、Sn、V、Nb、Mo及びWからなる群
から選ばれる少なくとも一種の金属を含有するリチウム
二次電池用正極材料。 - 【請求項3】 請求項1において、金属酸化物又は金属
硫化物がTi及びSnからなる群から選ばれる少なくと
も一種の金属を含有するリチウム二次電池用正極材料。 - 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかにおいて、リ
チウムマンガン複合酸化物の粒子表面に、さらに、金属
酸化物及び/又は金属硫化物中の金属元素と異なる価数
の金属元素を存在させるリチウム二次電池用正極材料。 - 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれかに記載の正極
材料、結着剤及び導電材を含有するリチウム二次電池用
正極。 - 【請求項6】 請求項1乃至4のいずれかに記載の正極
材料を用いたリチウム二次電池。 - 【請求項7】 リチウムマンガン複合酸化物と金属を含
有する被覆層原料とを含有したスラリーを噴霧乾燥後、
焼成することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1
つに記載のリチウム二次電池用正極材料の製造法。
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