JP2001081184A - ポリエポキシコハク酸誘導体又はその水溶性塩及び水系におけるスケール防止剤 - Google Patents
ポリエポキシコハク酸誘導体又はその水溶性塩及び水系におけるスケール防止剤Info
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Abstract
系におけるスケール防止材として有用な新規な化合物を
提供する。 【解決手段】 下記構造式(式中、nは繰り返し構造で
あることを示す。)で表された、重量平均分子量が50
0〜3000であるポリエポキシコハク酸誘導体又はそ
の水溶性塩ならびに、それを水系におけるスケール防止
剤の有効成分とする。 【化1】
Description
新規なポリエポキシコハク酸誘導体又はその水溶性塩
(以下、併せて「ポリエポキシコハク酸類」と記
す。)、およびそれを用いたスケール防止剤に関するも
のである。
な関心事であり、その削減に多大の努力が払われてい
る。この対策は、化学物質を環境に排出しないことが理
想的であるが、それが満たされない場合には環境中で容
易に分解する化学物質を使用することである。循環冷却
水系など工業水系においては、水の循環再使用を強化し
て外部に排出される水を可能な限り少なくする一方、生
分解性の処理剤の使用が進められている。
工場、原子力ならびに火力発電所、空調設備等のボイラ
や循環冷却水系などでは、スケールの付着により、伝熱
効率の低下、管の閉塞、腐食等、運転上様々な障害が生
じることがある。
ウム、鉄、リン、あるいはシリカ等に起因する不純物が
高温条件で濃縮され、炭酸カルシウム、ヒドロキシアパ
タイト、酸化鉄、ケイ酸マグネシウム等が析出すること
によるものであり、高温にある伝熱面では特に析出傾向
が大きく、また問題となる。
ッケージ化や高性能化により、単位伝熱面蒸発率が、従
来型に比べ極めて高くなっており、このような伝熱面に
おける熱負荷の増大によって水中の不純物がより高濃縮
化され、従来よりもスケールが生成し易くなってきてお
り、さらに、僅かな量のスケールが付着しても電力量の
アップや冷凍効率の低下を招くため、スケール障害は益
々重要な問題となってきている。
ン酸系化合物、ポリアクリル酸・ポリマレイン酸等の合
成カルボン酸系化合物などのスケール抑制剤が使用され
てきた。しかし、これらの化合物は循環冷却水系の運転
においてブローダウン水として系外へ排出されたとき、
リン酸系化合物は湖沼や内湾に流入し、富栄養化による
赤潮等の問題を起こす原因となり、合成カルボン酸系化
合物は環境中での自然分解が遅く、環境内で蓄積されて
いく不安があった。
ール防止剤として、リンを含まず、かつ生分解性の優れ
たポリ酒石酸(特開平6−240477号公報)やポリ
エポキシコハク酸(特開平4−166298、米国特許
公報第5256332号( 1993年))が提案された
が、スケール防止効果は十分大きくなく、より効果の高
いものが望まれている。
解性であり、かつ、開放循環系等の循環水系におけるス
ケール防止剤として有用な化合物を提供することにあ
る。
クエン酸を結合した特定分子量のポリエポキシコハク酸
誘導体は生分解性がよく、かつ、水系におけるスケール
の生成を顕著に抑制することを見出し、本発明をなすに
至った。
は、下記構造式(式中、nは繰り返し構造であることを
示す。)で表され重量平均分子量が500〜3000で
あるポリエポキシコハク酸誘導体又はその水溶性塩であ
る。
求項1に記載のポリエポキシコハク酸誘導体又はその水
溶性塩を有効成分とすることを特徴とする水系における
スケール防止剤である。
する。本発明のポリエポキシコハク酸類は、クエン酸の
存在下にエポキシコハク酸を重合させることによって得
ることができる。
化学雑誌(The Journal of OrganicChemistry )、第2
4巻、54頁(1959年)等に示されている公知の方
法により製造できる。この方法は、タングステン酸塩等
を触媒として無水マレイン酸ないしマレイン酸に過酸化
水素を反応させることによりシスエポキシコハク酸とす
る、あるいはフマル酸に過酸化水素を反応させることに
よりトランスエポキシコハク酸とするものである。本発
明においては、シスエポキシコハク酸でも、トランスエ
ポキシコハク酸でもよく、また、両者の混合物であって
もよい。
在下にエポキシコハク酸を重合させるもので、その重合
反応は、アルカリ性水溶液中、アルカリ金属ないしアル
カリ土類金属水酸化物、酸化物ないし各種塩類、好まし
くはカルシウムイオン供与化合物を触媒として行われ
る。
ン酸とエポキシコハク酸の反応を円滑に行わせるもので
あり、アルカリ金属ないしアルカリ土類金属の水酸化
物、酸化物ないし各種塩類、好ましくはカルシウムの水
酸化物、酸化物ないし各種塩類のようにアルカリ水溶液
中でカルシウムイオンを供与するカルシウム化合物が用
いられる。使用する触媒の量は、通常はエポキシコハク
酸の1モルに対して0. 01〜1モル、好ましくは0.
05〜0. 7モルである。
ために9以上であることが好ましく、より好ましくは1
0〜14の範囲である。反応温度は通常温度50〜15
0℃が好ましい。
は、500〜3000、好ましくは700〜2500、
さらに好ましくは900〜1500である。重量平均分
子量が500未満、あるいは3000より大きいものは
スケール抑制に顕著な効果が認められない。
ク酸とのモル比は、好ましくは1:2〜1:30であ
る。このクエン酸とエポキシコハク酸のモルは得られる
重合体の分子量と密接な関係を有するので、目標とする
分子量を考慮して決められるべきである。
は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)によりポリアクリル酸ナトリウムを標準物質として
測定することができる。
は、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属塩、カル
シウム、マグネシウムなどのアルカリ土類金属塩やアン
モニウム塩や有機アミン塩などが挙げられる。本発明に
とり好ましいものはナトリム、カルシウム塩、より好ま
しいものはナトリウム塩である。
におけるスケール防止剤、洗浄剤、洗剤用ビルダー、イ
オン封鎖剤、分散剤、キレート剤、ボイラ清缶剤などに
使用することができる。
に限定されるものではないが、上記方法によって得られ
たポリエポキシコハク酸類を、水あるいは適当な有機溶
媒に溶解して使用目的に見合った濃度の溶液にしてから
使用に供されるのが便利である。
加量は、ポリエポキシコハク酸として0. 1〜5000
mg/Lである。しかし、この適性添加量の範囲は、適
用される水系の運転条件や水質によって変わることはい
うまでもない。
シコハク酸類は、スケール防止の機能が損なわれない範
囲において、エポキシコハク酸以外の他のエポキシ化合
物や他のビニル系化合物を共重合したり、あるいは、他
の種類のスケール防止剤を併用することを妨げるもので
はない。しかし、生分解性を考慮すれば、他のビニル系
化合物との共重合、あるいは他の種類のスケール防止剤
との混合使用には限界があるのはいうまでもなく、生分
解性の特徴が損なわれない範囲で用いることが望まし
い。
剤を同時に用いることがあるが、本発明はこれらの使用
を制限するものではない。
体的に説明する。エポキシコハク酸の製造 エポキシコハク酸2ナトリウムの合成 1Lフラスコに脱イオン水300mlを入れ、無水マレ
イン酸89. 2g(0. 91mol)を加えて攪拌溶解
した。冷却しながら48%NaOH 114g(1.3
7mol)を徐々に滴下したところ、発熱して温度が7
5℃まで上昇した。温度65℃に冷却後、30%過酸化
水素120g(1.06mol)とタングステン酸ナト
リウム6. 0g を加え、攪拌溶解した。過酸化水素添加
後、約8分後に急激な発熱が認められたため、直ちに冷
却を開始したが86℃まで温度が上昇した。温度60〜
65℃に冷却後、48%NaOHを31. 8g(0.3
8mol)添加してp Hを5. 3に調整(NaOH添加
前のpHは3. 4)し、温度70℃で1時間維持した。
48%NaOHの合計添加量が150. 8g(1.82
mol)になるように残りの48%NaOH(5.9
g)を添加して、温度70℃で10分間維持した。その
間、未反応の過酸化水素の分解による発泡が認められ
た。室温に冷却して、562. 8gのエポキシコハク酸
二ナトリウム水溶液を得た(固形分30. 8%、pH1
3. 1)。
カリウム水溶液40.5g(0.09mol)、50%
クエン酸(扶桑化学製)3. 84g(0. 01mo
l)、脱イオン水10gを入れ、48%水酸化ナトリウ
ムを2. 99g添加してp Hを11. 0に調整した。こ
こに、水酸化カルシウム0. 74g(0. 01mol)
を添加し、攪拌しながら窒素ガス通気下温度80℃で4
時間加熱した。反応生成物を冷却、ろ過した後、陽イオ
ン交換樹脂に通して、金属カチオンを除いた。その後、
メタノールで分別操作を行い、目的のポリマー成分を得
た。ポリマーは再び水酸化ナトリウムで中和した。反応
生成物の数平均分子量(Mn)は1187、重量平均分
子量(Mw)は1361であった。本ポリマー水溶液を
イオン交換により脱塩し、メタノール中で再沈・洗浄し
て不純物を除去した。さらに、中和し、同様の操作を行
って得られたポリマーを減圧乾燥し、 1HNMRで測定
した結果を図1に、IRを測定した結果を図2に示す。
8%水酸化ナトリウムを2. 61g添加して調整した以
外は実施例1と同様にしてポリマーを得た。反応生成物
のMnは2018、Mwは2119であった。
%水酸化ナトリウムを3.24g添加して調整した以外
は実施例1と同様にしてポリマーを得た。反応生成物の
Mnは742、Mwは864であった。
トリウム水溶液100g(0. 178mol)を入れ、
水酸化カルシウム1. 39g(0. 0188mol)を
添加し、攪拌しながら窒素ガス通気下温度80℃で4時
間加熱した。反応生成物を冷却、ろ過した後、陽イオン
交換樹脂に通して、金属カチオンを除いた。その後、メ
タノールで分別操作を行い、ポリマーを得た。ポリマー
は再び水酸化ナトリウムで中和した。ポリマーのMnは
900、Mwは1063であった。
14日間、市販の標準活性汚泥を培養させた。このとき
の培養液中の酸素要求量と、理論的酸素要求量の比較か
ら生分解率を求めた。 1)実施例1記載のポリエポキシコハク酸Na塩 2)比較例1記載のポリエポキシコハク酸Na塩 および 3)分子量6, 000のポリアクリル酸酸Na塩 の測定結果を表1に示す。 〔以下余白〕
ク酸類は、生分解性が大きいことがわかる。
mlおよび、実施例または比較例のポリマーの0. 02
%水溶液2ml(得られる過飽和水溶液に対して、2p
pmの濃度)を混合し、さらに、3%炭酸水素ナトリウ
ム水溶液10mlを加え全量を200mlとした。この
ようにして得た炭酸カルシウ530ppmの過飽和水溶
液(pH8. 5)をガラスビンに密栓をして温度70℃
で3時問保った。冷却した後、0.1μmのメンブラン
フィルターで沈殿物を濾別し、その濾液のカルシウム濃
度をJISK0101に従って求めた。炭酸カルシウム
のスケール抑制率(%)を下式により求めた。なお、比
較例として分子量6000のポリアクリル酸Na塩を用
いた場合も併記した。この結果を表2にまとめた。
B)×100 A:試験前の液中に溶解したカルシウム濃度(%) B:スケール防止剤無添加のろ液中でのカルシウム濃度 C:スケール防止剤添加のろ液中でのカルシウム濃度
(%)
ク酸類は、炭酸カルシウムスケール防止効果が大きいこ
とがわかる。
は、自然界に存在する微生物などの作用により分解を受
け易く、また、生物体内への蓄積等による環境汚染の問
題がない。
し優れたスケール抑制能を持ち、また、リンを合まない
ため、湖沼や内湾へ流入した場合にも富栄養化による赤
潮の原因とならない。したがって、石油精製工場・化学
工場・製鉄所等の各種工場、原子力ならびに火力発電
所、空調設備等の各種プロセスや各種機器類の冷却や加
熱に使用される水系において、周囲の環境を破壊するこ
となくスケールの生成を抑制する環境調和型のスケール
防止剤となり得るものである。
ハク酸Na塩の 1HNMR測定チャートである。
ハク酸Na塩のIR測定チャートである。
Claims (2)
- 【請求項1】 下記構造式(式中、nは繰り返し構造で
あることを示す。)で表され、重量平均分子量が500
〜3000であることを特徴とするポリエポキシコハク
酸誘導体又はその水溶性塩。 【化1】 - 【請求項2】 請求項1記載のポリエポキシコハク酸誘
導体又はその水溶性塩を有効成分とすることを特徴とす
る水系におけるスケール防止剤。
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JP26153999A JP4140673B2 (ja) | 1999-09-16 | 1999-09-16 | ポリエポキシコハク酸誘導体又はその水溶性塩及び水系におけるスケール防止剤 |
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-
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