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JP2001079480A - 光輝性塗膜の形成方法および自動車用ホイール - Google Patents

光輝性塗膜の形成方法および自動車用ホイール

Info

Publication number
JP2001079480A
JP2001079480A JP25713399A JP25713399A JP2001079480A JP 2001079480 A JP2001079480 A JP 2001079480A JP 25713399 A JP25713399 A JP 25713399A JP 25713399 A JP25713399 A JP 25713399A JP 2001079480 A JP2001079480 A JP 2001079480A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating
coating film
chipping
layer
coating layer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP25713399A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Ishida
茂 石田
Hiroyuki Nakasuji
博行 中筋
Tsunehisa Matsushita
恒久 松下
Mikiya Yamagishi
幹也 山岸
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Paint Co Ltd
Central Motor Wheel Co Ltd
Original Assignee
Nippon Paint Co Ltd
Central Motor Wheel Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Paint Co Ltd, Central Motor Wheel Co Ltd filed Critical Nippon Paint Co Ltd
Priority to JP25713399A priority Critical patent/JP2001079480A/ja
Publication of JP2001079480A publication Critical patent/JP2001079480A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定ガラスビーズを含む塗膜層を有する光輝
性塗膜の耐チッピング性を向上し、かつ工業的に安定に
供給できる光輝性塗膜の形成方法を提供すること。 【解決手段】 粉体塗料により形成されたベース塗膜層
を有するロードホイール基材上に、蒸着金属膜を粉砕し
て金属砕片とした光輝性顔料を含むメタリック塗膜層
と、ガラスビーズを含む塗膜層と、トップクリヤー塗膜
層とを順次形成する光輝性塗膜の形成方法において、前
記メタリック塗膜層を形成する前及び/又は後に、耐チ
ッピング性機能を有する塗膜層を形成することを特徴と
する光輝性塗膜の形成方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用部品等の
塗装に用いられる光輝性塗膜の形成方法であって、特
に、被塗物表面に、ガラスビーズを含む塗膜層を含む光
輝性塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車が高速走行すると、自動車車体あ
るいは部品等の塗装面に小石等が衝突することは避けら
れない。このような衝突により、塗装面上では、塗膜に
亀裂が生じたり塗膜が被塗物(すなわち、自動車車体あ
るいは部品等)から剥離する、いわゆるチッピングとい
う現象が起きる場合がある。塗膜にこのチッピングが生
じると、この部分から水等が進入し、被塗物の素地面に
錆が生じる。
【0003】錆が発生し易い自動車用ロードホイールの
耐チッピング性の向上は、例えば、特開平6−5717
8号公報に示されるように、塗料面からの改良が行われ
ている。特に、冬季に融雪のために多量の岩塩及び砂を
路面に散布するような地域では、自動車用のロードホイ
ール等の部品において耐チッピング性は重要であり、小
石が衝突しても塗膜が破損(剥離)せず、素地が錆びな
いような塗膜が望まれている。
【0004】一方、特願平10−254874号には、
見る方向によって異なる色彩が発現される、いわゆる
「玉虫色」のような光輝性塗膜の形成方法として、光輝
性顔料含有塗膜上にガラスまたは樹脂ビーズ含有塗膜を
設け、それらの反射干渉作用による独特の色調あるいは
輝度を呈する積層塗膜を得ることが提案されている。し
かし、このようなガラスビーズを含む塗膜層を有する光
輝性塗膜は、耐チッピング性が十分得られない場合があ
る。
【0005】ガラスビーズ自身には耐チッピング性機能
は見出せないが、膨張機能を有するポリマービーズを活
用して自動車あるいは自動車部品等の耐チッピング性を
付与する方法が、特開平6−184465号公報に開示
されている。しかしながら、ガラスビーズを含む塗膜層
については、何も検討されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、ガラスビー
ズを含む塗膜層を有する光輝性塗膜を、自動車用のロー
ドホイールで使用すること、およびそのような光輝性塗
膜への耐チッピング性付与についての検討が未だ成され
ていなかった。従って、本発明は、いわゆる玉虫色と言
われるガラスビーズを含む塗膜層を有する光輝性塗膜の
耐チッピング性を向上させることを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、粉体塗料によ
り形成されたベース塗膜層を有するロードホイール基材
上に、蒸着金属膜を粉砕して金属砕片とした光輝性顔料
を含むメタリック塗膜層と、ガラスビーズを含む塗膜層
と、トップクリヤー塗膜層とを順次形成する光輝性塗膜
の形成方法において、前記メタリック塗膜層を形成する
前及び/又は後に、耐チッピング性機能を有する塗膜層
を形成することを特徴とする光輝性塗膜の形成方法を提
供するものである。
【0008】本発明は、形成された光輝性塗膜を有する
自動車用ホイールをも提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてさらに詳細
に説明する。メタリック塗膜層 本発明の光輝性塗膜の形成方法においてメタリック塗膜
層を形成するために用いられるメタリック塗料は、蒸着
金属膜を粉砕して金属砕片とした光輝性顔料、溶剤、塗
膜形成性樹脂および硬化剤を含有する。
【0010】前記光輝性顔料は、例えば、基材フィルム
上に金属を常法により蒸着した後、基材フィルムを剥離
し、残った蒸着金属膜を粉砕して金属片とすることによ
り得られる。
【0011】従来のメタリック塗料に用いられている鱗
片状アルミニウム顔料等のフレーク状光輝材は、金属粉
や金属箔をボールミル等で粉砕して得られるものである
が、これらは比較的厚く、また表面に凹凸を有している
ので、面状に配向した場合に表面がフラットにならず、
金属面光沢を有する反射層として用いることはできなか
った。しかしながら、本発明で使用する、上記手順で得
られる光輝性顔料は、非常に薄い金属片であることか
ら、面状に配向し易く、表面がフラットなメッキまたは
金属表面のような金属面光沢を有するメタリック塗膜層
を形成することができ、反射層として用いることができ
る。
【0012】前記蒸着金属膜の厚み、すなわち粉砕して
得られる金属片の厚みは、一般に100〜1000オン
グストローム程度が好ましい。また、前記粉砕工程は、
得られる金属片の平均粒径が約5μm〜約100μm程
度となるまで行なわれることが好ましい。
【0013】上記金属としては、例えば、アルミニウ
ム、金、銀、銅、チタン、クロム、ニッケル、ステンレ
ス等を用いることができる。これらは、所望の意匠によ
り選択することができるが、入手容易性の点から、アル
ミニウムが好ましい。
【0014】蒸着アルミニウム膜を粉砕して金属砕片と
した光輝性顔料の具体例としては、CARL SCHL
ENK社製の「DECOMET1001/10(商品
名)」、ECKART−WERKE社製の「METAL
URE55350(商品名)」等が挙げられる。これら
は固形分10%の金属粉ペーストの形で供給されてい
る。
【0015】本発明の光輝性塗膜の形成方法において、
メタリック塗膜層を形成するのに用いられるメタリック
塗料は、光輝性顔料の重量濃度(PWC)が高いことが
望ましく、好ましくは15%以上、更に好ましくは20
%以上、特に好ましくは25%以上である。このメタリ
ック塗料におけるPWCを高くすることにより、光輝性
顔料の面状の配向を促進することができ、光輝性顔料の
鱗片状のキラキラした光沢を無くし、より良好な金属様
の面光沢を付与することが容易になる。
【0016】本発明で使用するメタリック塗料に含まれ
る溶剤は、特に限定されないが、例えば、トルエン、キ
シレン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、酢酸イソブチル、メタノール、エタノー
ル、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコー
ル、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、メ
トキシプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、
メチルイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメ
チルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、プロピレングリコールモノモノエチルエーテルアセ
テート、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチ
レングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、ソルベッ
ソ100およびソルベッソ150(商品名;いずれもエ
ッソ社製の芳香族系炭化水素溶剤)等の炭化水素系溶剤
を挙げることができる。
【0017】本発明で使用されるメタリック塗料に含ま
れる溶剤は、光輝性顔料製造の際に用いた剥離剤やメタ
リック塗料塗装の下地の種類などを考慮して、上記溶剤
から選択される。
【0018】前記メタリック塗料は、上述のごとく光輝
性顔料が金属粉ペーストのような市販品として入手され
る場合には、この金属粉ペーストに含有されている溶剤
を含有していてよい。
【0019】本発明で使用されるメタリック塗料に含ま
れる塗膜形成性樹脂としては、一般に塗料用に用いられ
る樹脂を使用することができ、例えば、アクリル樹脂、
ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エ
ポキシ樹脂等が挙げられる。
【0020】前記メタリック塗料に含まれる硬化剤とし
ては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等に代表さ
れるアミノ樹脂、あるいはイソホロンジイソシアネート
(以下、IPDIと呼ぶ。)、ヘキサメチレンジイソシ
アネート(以下、HMDIと呼ぶ。)等に代表されるイ
ソシアネートあるいはそのイソシアヌレート体およびこ
れらのブロック体等が挙げられる。
【0021】本発明で使用されるメタリック塗料は、更
に、添加剤として、シランカップリング剤、ポリエチレ
ンワックス等のワックス類、可塑剤、分散剤、増粘剤等
を含んでいてもよい。
【0022】耐チッピング性機能を有する塗膜層 本発明の光輝性塗膜の形成方法において形成される耐チ
ッピング性機能を有する塗膜層は、耐チッピング性塗料
組成物を用いて塗装され得る。上記耐チッピング性塗料
組成物により得られる塗膜は、例えば、−20℃の低温
での塗膜伸び率に優れ、具体的には引っ張り速度が、試
料長さの20%速度(20%モジュール)、例えば試料
長5cmの場合は1cm/分の引っ張り速度で、3〜4
00%の伸び率を有するものである。すなわち、この塗
膜は、小石等の衝突による衝撃エネルギーを吸収するの
に十分な柔軟性に富むとともに、引き裂き等の力に対し
て強い抵抗力を示す、いわゆる耐チッピング性に優れた
塗膜であるということを示している。
【0023】このような耐チッピング性塗料組成物とし
て好ましい態様として、第一に挙げられるのは、例え
ば、変性ポリオレフィン系樹脂、プロピレン−エチレン
共重合体、塩素化ポリプロピレン、EPDM(エチレン
−プロピレン−ジエン共重合体)、ポリブタジエン樹
脂、スチレン−ブタジエン共重合体、アクリロニトリル
−ブタジエン共重合体等のオレフィン系樹脂を含有する
耐チッピング性塗料組成物である。
【0024】なかでも特に、上記オレフィン系樹脂とし
て、プロピレン−エチレン共重合体に塩素化ポリオレフ
ィンを配合してなる塗料組成物や、プロピレン−エチレ
ン共重合体にマレイン酸、無水マレイン酸、アクリル
酸、メタクリル酸などの酸基含有重合性不飽和単量体と
を重合させてなる酸基含有重合体等のオレフィン系樹脂
を含むものが好ましいものとして挙げられる。
【0025】そのような耐チッピング性塗料組成物の具
体例としては、特公平6−19060号公報に示される
ような、分子中のエチレン/プロピレンがモル比で8/
2〜7/3であるエチレン−プロピレン共重合体に、無
水マレイン酸および/またはマレイン酸がグラフト重合
されてなるグラフト共重合体であって、この共重合体に
おけるグラフト鎖中の酸無水物基および/またはカルボ
キシル基のうちの60〜100%がモノアルコールによ
りハーフエステル化されているか、および/またはアル
キルアミンによりハーフアミド化されているグラフト共
重合体を塗膜形成成分とし、かつ塗膜状態での顔料体積
含有率が30〜50%となるように顔料が添加されてい
ることを特徴とする塗料組成物が挙げられる。
【0026】このような好ましい第一態様の耐チッピン
グ性塗料組成物から得られる塗膜は、−20℃の低温で
の塗膜伸び率に優れており、具体的には引っ張り速度
が、試料長の20%速度(20%モジュール)、例え
ば、試料長5cmの場合は1cm/分の引っ張り速度
で、150〜400%の伸び率を有する。こうして得ら
れる塗膜は、小石などの衝突による衝撃エネルギーを吸
収するのに十分な柔軟性に富み、引き裂き等の力に対し
て強い抵抗力を示す。
【0027】あるいは、本発明において使用される耐チ
ッピング性塗料組成物は、第二態様として、特開平6−
41494号公報に示されるような、(a)ポリカプロ
ラクトンが結合しているとともに、活性イソシアネート
基がブロックされたポリイソシアネート化合物と、
(b)1分子中に2個以上の水酸基を含有する水酸基含
有樹脂とを主成分とすることを特徴とする耐チッピング
性塗料組成物であってもよい。
【0028】このような好ましい第二態様の耐チッピン
グ性塗料組成物において、ポリイソシアネート化合物
(a)は、脂肪族系、又は脂環族系のポリイソシアネー
トに、ポリカプロラクトンジオールが結合し、かつ過剰
のイソシアネート基が後述するブロック剤によりブロッ
クされているものであって、より好ましくは、脂肪族系
のポリイソシアネートを用いて生成される。上記脂肪族
系、又は脂環族系のポリイソシアネートの例としては、
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、リジン
ジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシ
アネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等
が挙げられる。さらに、脂肪族系のポリイソシアネート
としては、多価アルコール等の付加物型(アダクツ
型)、ビュレット型、ヌレート型のいずれの型であって
もよいが、特に、ビュレット型、ヌレート型のものが好
ましい。最も好ましくはビュレット型の脂肪族系のポリ
イソシアネートを用いる。ビュレット型のポリイソシア
ネートを用いることで、ソフトで耐チッピング性の良好
な塗膜を得ることができる。
【0029】上記ポリイソシアネート化合物(a)は、
上記脂肪族系のポリイソシアネートをポリカプロラクト
ンジオールにより変成することにより得られる。すなわ
ち、上述の脂肪族系ポリイソシアネートの骨格中にポリ
カプロラクトン骨格を導入することで、ポリイソシアネ
ート化合物の分子鎖内にソフトな部分が形成される。特
に、ビュレット型の脂肪族系ポリイソシアネートを用い
る場合、ポリイソシアネート自体に環構造がなく、かつ
これに付加する物質(ポリカプロラクトン部)が基本的
に直鎖構造を有することになるため、可撓性のより大き
な成分(a)が得られる。ポリイソシアネート化合物
(a)におけるポリイソシアネート由来の部分(たとえ
ばHMDI部分)と、ポリカプロラクトン部分との比率
は、重量比で1/1〜1/4とするのが好ましい。
【0030】他方、上記ポリイソシアネートの活性イソ
シアネート基をブロックするためのブロック剤として
は、オキシム、ε−カプロラクタム等のラクタム、フェ
ノールや、キシレノール等のフェノール類、アルコール
等が挙げられるが、特にオキシムをブロック剤として用
いるのが好ましい。ブロック剤として用いるオキシムと
しては、メチルエチルケトオキシム、アセトアルドキシ
ム等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物(a)中
のブロックされたイソシアネート基の数はポリイソシア
ネート化合物1分子中2〜5であるのが好ましい。
【0031】本発明において、水酸基含有樹脂成分
(b)を架橋硬化させるために使用されるポリイソシア
ネート化合物(a)の数平均分子量は1000〜500
0程度であるのが好ましい。より好ましくは数平均分子
量1000〜3000のポリイソシアネート化合物
(a)を使用する。
【0032】本発明では、上記ポリイソシアネート化合
物(a)を用いて、後述する水酸基含有樹脂成分(b)
を架橋硬化させることにより、良好な耐チッピング性機
能を有する塗膜を得る。ここで使用される分子中に2個
以上の水酸基を有する水酸基含有樹脂(b)としては、
水酸基含有アクリル樹脂、 水酸基含有ポリエステル樹
脂、炭素数が2〜8の鎖式炭化水素のジオール類、水酸
基含有エポキシ樹脂等が挙げられる。例えば、水酸基含
有樹脂(b)が水酸基含有アクリル樹脂である場合、ガ
ラス転移温度(Tg)が−50〜0℃のものを用いるの
が好ましい。すなわち、得られるアクリル樹脂のガラス
転移温度(Tg)が0〜−50℃となるように、モノマ
ーの構成成分及びその量を選択するのが好ましい。さら
に好ましくは、得られる塗膜のTgが−15〜−40℃
となるようにモノマーを選択する。
【0033】具体的には、アクリルモノマーのうち、ホ
モポリマーとした場合に、低ガラス転移温度(すなわ
ち、Tgが−10℃以下)の塗膜を形成するアクリルモ
ノマー(以下、単に「低Tgのアクリルモノマー」とい
う。)と、高ガラス転移温度の塗膜を形成するアクリル
モノマー(すなわち、Tgが−10℃を超えるもの;以
下、単に「高Tgのアクリルモノマー」という。)とを
分別し、これを考慮に入れてその配合割合を調整する。
前記低Tgのアクリルモノマーとしては、アクリル酸エ
チル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘ
キシル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸4−ヒドロ
キシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル等が挙げ
られる。一方、高Tgのアクリルモノマーとしては、例
えば、アクリル酸、メタクリル酸や、アクリル酸メチ
ル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸ヒドロキシプ
ロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メ
タクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メ
タクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−ヒドロキシ
エチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル等の (メタ)
アクリル酸のアルキルエステル、及びスチレン、アクリ
ロニトリル等が挙げられる。
【0034】上記低Tgのアクリルモノマーを必須成分
とし、上記高Tgのアクリルモノマーを適宜加えて、所
望の水酸基含有樹脂(b)としての水酸基を有するアク
リル樹脂を合成するのが好ましい。低Tgのアクリルモ
ノマーの含有量は、得られるアクリル樹脂全体の50〜
95重量%とするのが好ましい。低Tgのアクリルモノ
マーの含有量が50重量%未満の場合は、得られる塗膜
に高い伸び率が付与されず、また含有量が95重量%を
超えると必要な抗張力が得られない。低Tgのアクリル
モノマーの含有量は、より好ましくは60〜90重量%
である。
【0035】また、上記高Tgのアクリルモノマーの含
有量は、得られるアクリル樹脂全体の40重量%以下が
好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。含有
量が40重量%を超えると、得られる塗膜の伸び率が不
十分となる。
【0036】水酸基含有樹脂(b)としての上記水酸基
含有アクリル樹脂の数平均分子量は、好ましくは200
0〜8000、より好ましくは2500〜6000であ
り、さらに好ましくは3000〜4000である。数平
均分子量が2000未満であると、得られる塗膜中の架
橋が十分に形成されず、良好な塗膜とならない。一方、
数平均分子量が8000を超すとチッピング性の優れた
塗膜が得られず、ハイソリッド化するのが難しくなる。
【0037】また、アクリル樹脂の水酸基価は50〜2
00mgKOH/gであるのが好ましい。水酸基価が5
0mgKOH/g未満であると、チッピング性が低下す
る。一方、水酸基価が200mgKOH/gを超える
と、塗膜の柔軟性が十分でなくなり、チッピング性が低
下する。より好ましいアクリル樹脂の水酸基価は140
〜180mgKOH/gである。
【0038】更に、アクリル樹脂の酸価は1〜10mg
KOH/gであるのが好ましい。酸価が1mgKOH/
g未満であると、得られる耐チッピング性機能を有する
塗膜と、それに隣接するメタリック塗膜との密着性が不
良となる。10mgKOH/gを超える酸価では、耐チ
ッピング性塗料組成物としての貯蔵安定性が不良とな
る。
【0039】次に、上記水酸基含有樹脂(b)として上
記ポリエステル樹脂を使用する場合、1分子中に2個以
上の水酸基を有するもの、すなわち、一般に、ポリエス
テルポリオールと呼ばれているものを用いることができ
る。上記ポリエステル樹脂は、通常、多価アルコールと
多塩基酸又はその無水物とを重縮合して(エステル反応
して)得られる。このような水酸基含有ポリエステル樹
脂の数平均分子量は、500〜10000、水酸基価は
40〜200mgKOH/g、および酸価は2〜40m
gKOH/gであるのが好ましい。水酸基含有ポリエス
テル樹脂としては、上記以外に、ラクトン、油脂又は脂
肪酸、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等に
より変性したものを用いることができる。
【0040】ポリイソシアネート化合物(a)と水酸基
含有樹脂(b)とを主成分とする耐チッピング塗料組成
物において、前記成分(a)と成分(b)との配合量
は、固形分換算で、前記成分(a)が20〜80重量
部、前記成分(b)が80〜20重量部とするのが好ま
しい。前記耐チッピング塗料組成物中のポリイソシアネ
ート化合物(a)の配合量が20重量部未満であるかま
たは80重量部を超えると、得られる塗膜の耐チッピン
グ性が不良となる。さらに好ましくは、(a)が30〜
70重量部、(b)が70〜30重量部である。
【0041】なお、上述した混合量とし、成分(a) 中の
イソシアネート基(−NCO)と、成分(b)中の水酸
基(−OH)とのモル比(−NCO/−OH)が2/3
〜3/2の範囲内に入るよう調整することにより、良好
な硬化膜が得られる。上記耐チッピング性塗料組成物
は、上述の成分(a)および(b)の他に、架橋重合体
微粒子、顔料、各種添加剤等を含有していてよい。
【0042】この好ましい第二態様の耐チッピング塗料
組成物より得られる塗膜も、−20℃の低温における塗
膜伸び率、具体的には引っ張り速度が、試料長さの20
%速度(20%モジュール)、例えば試料長5cmの場
合は1cm/分の引っ張り速度での伸び率が30〜10
0%の柔軟性を有するものであり、耐チッピング性に優
れている。
【0043】好ましい耐チッピング性塗料組成物の第三
の態様としては、特開平6−9925号公報に示される
ような、(i)エチレンと、カルボキシル基を有するエ
チレン性不飽和単量体とを主成分とする水性のエチレン
共重合樹脂と、(ii)水性ポリウレタン樹脂とを主成
分とする耐チッピング性塗料組成物である。
【0044】上記エチレン共重合樹脂(i)に含まれる
カルボキシル基の少なくとも一部は、エチレン共重合樹
脂の主鎖に結合していなければならない。このような構
造のエチレン共重合樹脂は、エチレンと、カルボキシル
基を有するエチレン性不飽和単量体とを用いて高圧重合
反応によって製造することができる少なくとも一部のカ
ルボキシル基が主鎖に直接結合しているエチレン共重合
樹脂(i)を用いることにより、本発明の目的とする、
柔軟性に富み、かつ引き裂き等の力に対して強い抵抗力
を示す塗膜である耐チッピング性を有する塗膜を形成す
ることができる。
【0045】エチレン共重合樹脂(i)の主成分の一つ
である、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量
体としては、いわゆるα−又はβ−エチレン性不飽和カ
ルボン酸が挙げられ、具体的には、アクリル酸、メタク
リル酸、及び無水マレイン酸等が使用できる。これらの
中では、特にアクリル酸を用いるのが好ましい。
【0046】上記エチレン共重合樹脂(i)の合成にお
いては、エチレンとアクリル酸等のカルボキシル基を有
するエチレン性不飽和単量体との他に、必要に応じてア
クリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン、
塩化ビニル、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びメタ
クリロニトリル等の重合性単量体を用いることができ
る。
【0047】エチレン共重合樹脂(i)中のカルボキシ
ル基含有量は、成分(i)の重量を基準として、10重
量%以上である必要がある。カルボキシル基含有量が1
0重量%未満であると、目的とする耐チッピング性機能
を有する塗膜の引張強度が低下する。好ましいカルボキ
シル基含有量は、エチレン共重合樹脂(i)に対し、1
5〜25重量%とする。
【0048】上記エチレン共重合樹脂(i)は、溶液、
分散液、または粉末の形態で使用することができるが、
上記組成物を調製する場合、水分散液の状態で用いるの
が好ましい。エチレン共重合樹脂(i)の水分散液は、
上述の如く合成されるエチレン共重合樹脂(i)に、水
と、水中油型エマルジョンを形成するのに十分な量の塩
基、例えばアンモニア、モルホリン、アルカノールアミ
ン、苛性ソーダ、苛性カリなどを加え、撹拌しながら9
0〜200℃に加熱することにより調製することができ
る。さらに詳しくは、前記エチレン共重合樹脂(i)を
基準として、水5〜25重量%と、カルボキシル基を含
有するエチレン性不飽和単量体当量の2〜3倍程度の塩
基を加え、好ましくは、加圧反応釜に入れて90〜10
0℃で1〜2時間撹拌して十分に混合し、共重合樹脂、
水、及び塩基による油中水型エマルジョンを作製し、更
に撹拌しながら水を加えることにより、エチレン共重合
樹脂(i)含有量が50重量%又はそれ以下の水中油型
エマルジョンを得ることができる。
【0049】他方、前記水性ポリウレタン樹脂(ii)
としては、イソシアネート化合物とポリエーテル又はポ
リエステルを反応させたものが使用できる。上記イソシ
アネート化合物としては、トリレンジイソシアネート、
4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジ
ンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、メタキシレンジイソシアネート及びそれらの誘導体
等を挙げることができる。上記ポリエーテルは、少なく
とも2個の活性水素を含有するものであって、その代表
例としては、ポリオキシプロピレングリコール類、ポリ
オキシプロピレンとグリセリンとの付加物、ポリオキシ
プロピレンとトリメチロールプロパンとの付加物、ポリ
オキシプロピレンと1,2,6-ヘキサントリオールとの
付加物、ポリオキシプロピレンとペンタエリスリットと
の付加物、ポリオキシプロピレンとソルビットとの付加
物、メチレン−ビス−フェニルジイソシアネート、ヒド
ラジンで鎖伸長したポリテトラフランポリエーテル及び
それらの誘導体等が挙げられる。さらに、上記ポリエス
テルとしては、少なくとも2個の活性水素を含有するも
のを用いる。その代表例としては、アジピン酸あるいは
無水フタル酸と、エチレングリコール、プロピレングリ
コール、1,3-ブチレングリコール、1,4-ブチレング
リコール、ジエチレングリコール、1,2,6-ヘキサン
トリオール、トリメチロールプロパンあるいは1,1,1
-トリメチロールエタンとの反応生成物が挙げられる。
【0050】上記ポリウレタン樹脂(ii)も、溶液、
分散液、または粉末の形態で使用可能であるが、上記組
成物では、水分散液の状態で使用するのが好ましい。水
分散液の状態で使用する場合、水分散液中の樹脂濃度は
10〜80重量%とするのが好ましく、さらに好ましく
は20〜60重量%とする。この水分散液は、上述した
ようなポリエーテル又はポリエステルと、過剰のイソシ
アネート化合物との反応生成物を、カチオン系、ノニオ
ン系、又はアニオン系の界面活性剤を用いて水に分散さ
せ、第一級ジアミン、例えばエチレンジアミン、m−ト
リレンジアミンなど、あるいは1,2-ビス(2-シアノ
エチルアミノ)エタン等で鎖伸長することによって得る
ことができる。
【0051】上記水性のエチレン共重合樹脂(i)と水
性ポリウレタン樹脂(ii)との配合比は、重量比で1
5/85〜50/50の範囲であることが好ましく、よ
り好ましくは20/80〜35/65とする。この配合
比が15/85未満である(すなわち、成分(i)が少
ない)と、膜凝集力(引張強度)が低下し、耐チッピン
グ性不良となる。逆に、配合比が50/50を超えると
膜凝集力が高くなりすぎ、塗膜の外観不良あるいは塗膜
が硬くなりすぎて塗膜性能が不良となる。
【0052】本発明においては、上述のごとく、上記水
性のエチレン共重合樹脂(i)と水性ポリウレタン樹脂
(ii)をいずれも水分散液とした後、これらを混合す
るのが好ましい。この場合、上記成分(i)と(ii)
との混合水分散液における樹脂濃度は、10〜60重量
%とするのが好ましい。さらに好ましくは20〜50重
量%とする。
【0053】このような好ましい第三態様の耐チッピン
グ性塗料組成物から得られる塗膜は、−20℃の低温で
の塗膜伸び率に優れており、具体的には引っ張り速度
が、試料長の20%速度(20%モジュール)、例え
ば、試料長5cmの場合は1cm/分の引っ張り速度
で、3〜25%の伸び率を有するものである。こうして
得られる塗膜は、塗膜柔軟性よりも、隣接するメタリッ
ク塗膜層との接着性の向上に重点を置くタイプであると
言える。
【0054】本発明において、耐チッピング性機能を有
する塗膜層を形成する塗料組成物は、上記第一ないし第
三態様の耐チッピング性塗料組成物に限定されるもので
はない。
【0055】上記耐チッピング性塗料組成物は、クリヤ
ー塗料であっても着色されたものであってもよい。すな
わち、本発明において使用される耐チッピング塗料組成
物には、顔料、例えば、カーボンブラック、二酸化チタ
ン、酸化鉄等の無機顔料及び有機顔料や、硫酸バリウ
ム、タルク等の体質顔料を更に添加することもできる。
また、上記耐チッピング塗料組成物には、はじきやへこ
みの防止を目的として、ポリシロキサン等の表面調整剤
を添加することもできる。
【0056】ガラスビーズを含む塗膜層 本発明の方法において形成されるガラスビーズを含む塗
膜層は、ガラスビーズとガラスビーズを固定するために
用いられるバインダー層とから構成される。
【0057】ガラスビーズ ガラスビーズは、一般的には無色透明なものが用いられ
るが、必要に応じて着色したビーズであっても良い。
【0058】ガラスビーズは、光の干渉作用を高め、反
射光に干渉光を発現できるように、高い屈折率を有する
ことが好ましい。具体的には、1.8以上の屈折率を有
するものが好ましく、更に好ましくは2.0以上で、特
に好ましくは2.1〜2.3の屈折率を有するものであ
る。
【0059】本発明では、屈折率が1.8以上2.1未
満のガラスビーズと、2.1以上2.3以下のガラスビ
ーズとを1/4〜4/1程度の重量比で組み合わせるこ
とにより、ブルー味を帯びた反射干渉光を発現させるこ
ともできる。
【0060】例えば、上記ガラスビーズとしては、Ba
O−ZnO−TiO2系ガラス、BaO−SiO2−Ti
2系ガラス、Na2O−CaO−SiO2系ガラス等の
成分であることが好ましく、特に、BaO−ZnO−T
iO2系ガラス、BaO−SiO2−TiO2系ガラスが
より高い屈折率を有することから好ましい。高い屈折率
のガラスビーズを用いることにより、光の干渉作用を高
め、反射光に干渉光が生じ易くなり、意匠性を高めるこ
とができる。
【0061】上記ガラスビーズの平均粒径(以下、D50
という。)は、約5〜100μmの範囲内であることが
好ましく、更に好ましくは10〜60μmの範囲内であ
り、特に好ましくは30〜50μmの範囲内である。本
発明で形成されるガラスビーズを含む塗膜層において、
反射光における干渉作用をより良好に生じさせるために
は、ガラスビーズの粒度分布はできるだけ狭くかつシャ
ープなものが好ましく、特に、前記塗膜層中に、粒径が
30〜60μmのガラスビーズが80重量%以上含まれ
ることが好ましい。
【0062】上記ガラスビーズの比重は、0.8〜6.
0のものが好ましく、更に好ましくは1.0〜5.5で
ある。下限を越えると、ガラスビーズが層状に配列しに
くく、上限を越えると、塗装時にムラが生じ易い。本発
明において、特に好ましくは、比重が2.0〜5.0の
ガラスビーズを使用する。
【0063】本発明の方法において、ガラスビーズは、
図1に示すように、上述のごとく蒸着金属膜を粉砕して
金属砕片とした光輝性顔料を含有するメタリック塗膜層
と接するような状態でバインダー層によって固定される
ことが、反射干渉光が発生し易いため、好ましい。
【0064】バインダー層 本発明の光輝性塗膜の形成方法において、前記ガラスビ
ーズを付着、固定するために用いられるバインダー層
は、一般に塗膜形成性樹脂として用いられる樹脂および
硬化剤を含有するバインダー塗料により形成することが
できる。
【0065】上記バインダー塗料中に含まれる塗膜形成
性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリアミド樹
脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等
が挙げられる。
【0066】また、上記バインダー塗料中に含まれる硬
化剤としては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等
に代表されるアミノ樹脂、あるいはイソホロンジイソシ
アネート(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト(HMDI)等に代表されるイソシアネートあるいは
そのイソシアヌレート体およびこれらのブロック体等が
挙げられる。
【0067】本発明で使用されるバインダー塗料には、
着色顔料が含有されていてもよい。使用可能な着色顔料
としては、例えば有機系のアゾキレート系顔料、不溶性
アゾ系顔料、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、
インジゴ顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、ジオ
キサン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン
系顔料、金属錯体顔料等が挙げられ、無機系では黄鉛、
黄色酸化鉄、ベンガラ、カーボンブラック、二酸化チタ
ン等が挙げられる。
【0068】上記着色顔料を含有する場合、前記バイン
ダー塗料中の顔料濃度(PWC)は、0.01〜20
%、好ましくは、0.05%〜15%、より好ましく
は、0.1%〜10%である。バインダー塗料中のPW
Cが20%を越えると、ガラスビーズは、重なり合って
固定されて、単一層に配列しにくくなる。
【0069】本発明において、前記バインダー塗料は更
に、添加剤として、ポリエチレンワックス等のワックス
類、可塑剤、分散剤、増粘剤等を含んでいてもよい。
【0070】あるいは、本発明では、バインダー塗料と
して、上述の耐チッピング性塗料を利用することも可能
である。バインダー塗料として、耐チッピング塗料組成
物を用いることにより、形成される塗膜層が、バインダ
ー層として必要とされる、ガラスビーズを保持するため
の塗膜粘性を有するとともに、耐チッピング機能をも発
揮することができる。本発明では、このように耐チッピ
ング塗料組成物を用いて形成された塗膜上に、更に上記
バインダー塗料を用いてバインダー塗膜を形成すること
も可能である。
【0071】ベース塗膜層 本発明の光輝性塗膜の形成方法において、ロードホイー
ル基材上に最初に形成されるベース塗膜層としては、ク
リヤー塗膜または着色塗膜が用いられる。本発明の方法
では、ベース塗膜層の色彩を変えることにより、その上
に形成するメタリック塗膜層の色彩を更に調整すること
ができる。例えば、ベース塗膜層として、ブラック系塗
膜を用いることにより、金色系の色彩を付与することが
でき、あるいはシルバーメタリック塗膜あるいはクリヤ
ー系塗膜を用いることにより、銀色系の色彩を付与する
ことが出来る。
【0072】前記ベース塗膜層は、基材の粗面を平滑に
保つ必要性から、粉体塗料で形成される。粉体塗料を用
いることにより、塗装膜厚を厚くすることができ、それ
により、基材表面がショットブラストを打った粗面であ
っても、一層で平滑にすることができる。
【0073】トップクリヤー塗膜層 本発明におけるトップクリヤー塗膜層は、透明クリヤー
塗料または濁りクリヤー塗料を用いて形成することがで
きる。これらクリヤー塗料は、基本的に、塗膜形成性樹
脂と硬化剤を含有するが、更に、下層(すなわち、メタ
リック塗膜層またはガラスビーズを含む塗膜層)の意匠
性が損なわない程度の量のアルミニウム顔料およびマイ
カ顔料等の光輝性顔料1種又は2種を含有していてもよ
い。
【0074】上記クリヤー塗料に用いる塗膜形成性樹脂
としては、一般に塗料用に用いられる樹脂および硬化剤
を含有することができ、例えば塗膜形成性樹脂として、
アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ウレタン樹脂、ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂等の塗膜形成性樹脂が挙げら
れる。
【0075】上記クリヤー塗料に使用される硬化剤とし
ては、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂等に代表さ
れるアミノ樹脂、あるいはイソホロンジイソシアネート
(IPDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HM
DI)等に代表されるイソシアネートあるいはそのイソ
シアヌレート体およびこれらのブロック体等が挙げられ
る。これら硬化剤は、1種に限らず2種以上を組み合わ
せて使用することもできる。
【0076】前記クリヤー塗料は更に、形成されるトッ
プクリヤー塗膜層の透明性およびそれによって被覆され
る下層の光輝感を損なわない範囲で、着色顔料やその他
の添加剤を含有していてよい。その他の添加剤として
は、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、表面調整
剤、タレ止め剤、増粘剤、沈降防止剤、架橋性重合体粒
子(ミクロゲル)などが適宜使用され得る。本発明で使
用するクリヤー塗料において、着色顔料およびその他の
添加剤は、通常、前記塗膜形成用樹脂100重量部に対
し5重量部以下の配合量で含有されて、クリヤー塗料お
よびそれによって形成されるトップクリヤー塗膜層の性
能を改善することができる。
【0077】上記クリヤー塗料は、有機溶媒型が一般的
であるが、これに限られるものではなく非水分散液型、
水溶液型、水分散型など各種の形態として塗料を構成す
ることができる。溶剤型塗料としては、一液型塗料であ
ってもよいし、二液型ウレタン樹脂塗料等のような二液
型樹脂であってもよい。本発明では、膜厚を高めるため
に、粉体型塗料を用いることが好ましい。
【0078】本発明では、例えば、耐酸性雨対策という
観点から、特公平8−19315号公報に記載されたカ
ルボシキル基含有アクリルポリマーとエポキシ基含有ア
クリルポリマーとを含有するクリヤー塗料を用いてもよ
い。
【0079】基材 本発明の光輝性塗膜の形成方法が適用される基材は、例
えば鉄、銅、アルミニウム、スズ、亜鉛等およびこれら
の金属を含む合金を成分とする金属、鋳造物、鍛造物か
らなるロードホイールであるが、特に、乗用車、トラッ
ク、オートバイ、バス等の鉄製あるいはアルミダイキャ
スト製のものが挙げられる。本発明の方法は、これらの
部品の内でも、曲面を有する部品に適用すると、特に反
射干渉作用が際立ち、意匠性において優れた効果が得ら
れる。
【0080】本発明において、適用される基材は、予
め、リン酸塩、クロム酸塩等で化成処理されていること
が防錆上の観点から特に好ましい。
【0081】光輝性塗膜の形成方法 本発明の光輝性塗膜の形成方法においては、ロードホイ
ール基材上に、先ずクリヤーまたは着色された粉体塗料
によりベース塗膜を形成し、次いで、蒸着金属膜を粉砕
して金属砕片とした光輝性顔料を含むメタリック塗料を
塗布し、メッキ様の金属面光沢を有するメタリック塗膜
層を形成するのであるが、前記メタリック塗膜層を形成
する前及び/又は後に、耐チッピング塗料組成物を用い
て、耐チッピング性機能を有する塗膜層を形成する。
【0082】ここで、図1〜図3に、本発明の方法によ
り形成される光輝性塗膜の好ましい実施態様の模式断面
図を示し、これらを参照することにより、以下、本発明
をより詳細に説明する。
【0083】本発明の光輝性塗膜の形成方法の好ましい
第一の実施態様は、図1を参照すると、基材7上に、先
ずベース塗料によりベース塗膜層6を形成した後に、耐
チッピング塗料組成物をスプレー塗装し、耐チッピング
性機能を有する塗膜層5を形成する。その上に、蒸着金
属膜を粉砕して金属砕片とした光輝性顔料を含有するメ
タリック塗料をスプレー塗装し、メタリック塗膜層4を
形成する。更にこのメタリック塗膜層4上に、ガラスビ
ーズを均一に固定するため、バインダー塗料をスプレー
塗装し、膜厚が2〜30μm、粘度が2×104〜3×
106ポイズのバインダー層3を形成する。その上に、
ガラスビーズ2をスプレー塗装し、ガラスビーズを含む
塗膜層20を形成する。これを焼き付けた後、クリヤー
塗料を塗装し、焼き付けてトップクリヤー塗膜層1を形
成することにより、所望の光輝性塗膜を得る。
【0084】本実施態様によれば、前記耐チッピング性
機能を有する塗膜層5上に光輝性顔料を含有するメタリ
ック塗膜層4を形成することで、ベース塗膜層による平
滑性を更に向上させつつ、本発明の目的とする光輝性塗
膜への耐チッピング性付与も可能となる。
【0085】本発明の好ましい第二の実施態様を、図2
を参照しながら説明すると、先ず、上述の第一の態様と
同様にして、基材7上に、ベース塗膜層6、耐チッピン
グ性機能を有する塗膜層5およびメタリック塗膜層4を
形成する。次に、ガラスビーズを付着、固定するための
バインダー層として、上記耐チッピング塗料組成物を用
い、塗装して、塗膜層13を形成する。次いで、前記塗
膜層13上に、ガラスビーズを塗装してガラスビーズを
含む塗膜層21を形成した後、更にその上にトップクリ
ヤー塗膜1を形成する。
【0086】本実施態様によれば、バインダー層とし
て、耐チッピング塗料組成物を用いて成る塗膜層13を
適用することにより、バインダー層に必要な塗膜粘性に
加え、更に耐チッピング性機能を付与することができ
る。更に本実施態様において示すように、所望により、
この耐チッピング塗料組成物の塗装後のバインダー塗料
の塗布を省略することも可能である。この際、使用され
る耐チッピング塗料組成物はクリヤーであっても着色さ
れていてもよいが、形成される塗膜の着色の程度が下地
を隠蔽してしまうほどであると、本発明の光輝性塗膜の
意匠性を成立させることはできないため、好ましくな
い。
【0087】本発明の方法の好ましい第三の実施態様
は、図3に示すように、予めベース塗膜層6を形成した
基材7上に、耐チッピング性機能を有する塗膜層を形成
せずにメタリック塗膜層4を形成する。その上に、バイ
ンダー層として、上述の耐チッピング性機能を有する塗
膜層13を形成することを特徴とする。次いで、前記塗
膜層13上に、ガラスビーズを塗装してガラスビーズを
含む塗膜層21を形成した後、更にその上にトップクリ
ヤー塗膜1を形成する。本実施態様においても、上述の
第二の実施態様と同様に、耐チッピング塗料組成物の塗
装後のバインダー塗料の塗布を省略することができる。
【0088】本実施態様では、上述の第二の実施態様と
同様に、耐チッピング性機能を有する塗膜層13を、耐
チッピング性の付与のためだけでなく、バインダー層と
して要求される塗膜粘性をも発揮するものとして形成し
ている。
【0089】以下、本発明の方法の各工程を前述の実施
態様を参照しながら、更に詳細に説明する。本発明の方
法では、先ず最初に、基材上にベース塗膜層を形成す
る。このベース塗膜層は、例えば、上記第三の実施態様
において説明したように、続いてメタリック塗料を塗装
する場合、その塗装前に、メタリック塗料中の光輝性顔
料がベース塗膜層の表面に沿って配向できる程度に硬化
させておくことが好ましい。
【0090】あるいは、本発明の方法によれば、第一ま
たは第二の実施態様について説明したように、耐チッピ
ング性塗料をベース塗膜層上に塗装して耐チッピング性
機能を有する塗膜層を形成した後、その上にメタリック
塗膜層を形成する。ここにおいて、メタリック塗料を塗
布した場合に、その中の光輝性顔料がベース塗膜層の表
面に沿って配向できる程度に耐チッピング性機能を有す
る塗膜層を硬化あるいは乾燥させておくことが好まし
い。
【0091】耐チッピング性機能を有する塗膜層は、耐
チッピング性塗料を塗装した後、約50〜160℃の温
度で加熱硬化あるいは乾燥させることができるが、この
硬化あるいは乾燥過程は、好ましくは約60〜150℃
の温度で行う。
【0092】本発明において、形成される耐チッピング
性機能を有する塗膜層の厚みは、2〜25μmであり、
好ましくは3〜20μm、更に好ましくは5〜15μm
である。膜厚が薄すぎると、チッピング機能を発揮でき
ない場合がある。また、膜厚が厚すぎると、塗膜外観が
低下し、その後、メタリック塗料を塗装した場合に、メ
タリック塗膜層中の光輝性顔料が面状に配向しにくくな
る。
【0093】また、本発明において、上記メタリック塗
膜層は、蒸着金属膜を粉砕して金属砕片とした光輝性顔
料を、面状に配向させ、表面がフラットなメッキまたは
金属表面のような金属面光沢を発現させるために、塗膜
層内に含まれる溶剤分を揮発させ、高度に膜厚収縮させ
る必要が有る。そのため、上記メタリック塗膜層は、約
60〜180℃の温度で加熱硬化されるが、好ましくは
約80〜160℃の温度で加熱硬化を行う。
【0094】上記条件で硬化されたメタリック塗膜層の
厚みは、5μm以下であることが好ましく、更に好まし
くは2μm以下である。このメタリック塗膜は、メッキ
または金属表面のような金属面光沢を有する塗膜とな
る。
【0095】さらに、上記メタリック塗膜層上に形成さ
れるバインダー層としては、ガラスビーズを単層膜とし
て固定できるもの、すなわち、複数個積み重ねられるの
ではなく、図1に示すように、ガラスビーズが単一の層
としてバインダーに付着しているようにできることが好
ましく、また、できるだけ隙間のないように細密充填に
近い状態で配列して均一に固定される状態にすることが
できるものが好ましい。そのため、バインダー層に必要
な第一の要件として、バインダー層の膜厚は、2〜30
μmであり、好ましくは5〜20μm、更に好ましくは
5〜10μmである。膜厚が薄すぎると、ガラスビーズ
を所望の配列状態で固定することができない場合があ
る。また、膜厚が厚すぎると、ガラスビーズが重なり合
って固定されてしまい、単一層に配列しにくくなる。
【0096】第二要件として、バインダー層を形成する
ためのバインダー塗料が塗布され、ガラスビーズを塗装
する時点でのバインダー層の粘度が、2×104〜3×
106ポイズの範囲であることが好ましく、更に好まし
くは1×105〜2×106ポイズであり、特に好ましく
は2×105〜1×106ポイズである。バインダー層の
塗装後の粘度が低すぎると、ガラスビーズが重なり合っ
て固定され、単一層に配列しにくくなる。また、バイン
ダー層の塗装後の粘度が高すぎると、塗装が困難になる
場合がある。バインダー層の粘度は、例えば、円錐円板
型粘度計を用い、定常流測定方法で測定することができ
る。上記バインダー層の粘度は、塗装した被塗物を加温
することによってバインダー層に含まれる揮発分の含有
量を調整したり、逆に熱時溶融によって確保することも
できる。すなわち、ガラスビーズを塗装、付着させる時
点でバインダー層の粘度を上記範囲に設定することが重
要である。
【0097】本発明の光輝性塗膜の形成方法では、上記
ガラスビーズを塗装するために、一般的な粉体塗料用塗
装機および塗装ガンを用いることができる。但し、粉体
塗装用に限らず、ガラスビーズを安定供給できる装置
と、ガラスビーズを微粒化できる装置とが備わっていれ
ばエアースプレー用の塗装機および塗装ガンであっても
使用することができる。
【0098】上記バインダー層は約100〜180℃の
温度で加熱硬化させることができるが、本発明では、ガ
ラスビーズと組合わせてガラスビーズを含む塗膜層を形
成し、同時に加熱硬化することで、ガラスビーズを細密
充填に近い単一層状態で配列でき、且つメタリック層の
近傍に配置でき、反射干渉光を有する優れた意匠を示す
ことができる。
【0099】更に、前記ガラスビーズを含む塗膜層上
に、クリヤー塗料を塗装しトップクリヤー塗膜層を形成
する。一般に、ガラスビーズを含む塗膜層の上面は、ガ
ラスビーズが露出した状態であり。大きな凹凸を有して
いるので、このような凹凸を埋め込み、塗膜の表面をこ
のクリヤー塗膜層の形成により平滑化し、ガラスビーズ
の脱落を防ぐものである。本発明では、上記トップクリ
ヤー塗膜層が大きな膜厚を保持する為には、粉体型クリ
ヤー塗料を用いることが好ましい。
【0100】上記トップクリヤー塗膜層は、約60〜1
80℃の温度で加熱硬化させることができるが、好まし
くは約80〜160℃の温度で加熱硬化させる。上記ク
リヤー塗料は、静電塗装、エアースプレー等の方法で塗
装することが好ましく、形成される塗膜の乾燥膜厚は、
一般に30〜150μm程度であり、より好ましくは5
0〜100μm程度である。上限を越えると、塗装時に
ワキあるいはタレ等の不具合が起こることもあり、下限
を下回ると、下地の凹凸が隠蔽できない。
【0101】本発明の方法で形成される光輝性塗膜の総
膜厚としては、50μm〜400μmであり、好ましく
は70μm〜300μmである。光輝性塗膜の総膜厚が
400μmを越えると、冷熱サイクル等の膜物性が低下
し、50μmを下回ると膜自体の強度が低下する。
【0102】本発明の形成方法について挙げた第一〜第
三の実施態様のうち、第一及び第二の方法が、より効果
的に耐チッピング性を発揮できることから、特に好まし
い。
【0103】
【実施例】以下、具体的な実施例を挙げて本発明を詳細
に説明するが、本発明は以下の実施例により限定される
ものではない。尚、以下に於いて「部」とあるのは「重
量部」を意味する。実施例1 光輝性塗膜の形成に先立ち、以下のメタリック塗料およ
びバインダー塗料を調製した。メタリック塗料の調製 メタリック塗膜層の形成に用いる塗料として下記に示す
配合(塗料中のアルミニウム顔料濃度:PWC=40
%)で、メタリック塗料を調製した。 組 成 (重量部) DECOMET1001/10 5.00部 (CARL SCHLENK社製蒸着アルミニウム粉砕顔料、 固形分10%) 熱硬化性アクリル樹脂I 1.05部 (日本ペイント社製、水酸基価45、酸価15、 数平均分子量21000、重量平均分子量61000、 ガラス転移温度29℃、固形分50%) ユーバン20N60 0.38部 (三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)酢酸ブチル 93.57部 合計 100.00部
【0104】バインダー塗料の調製 ガラスビーズを固定するためのバインダー層形成用のバ
インダー塗料として下記に示す配合で、バインダー塗料
を調製した。 組 成 (重量部) 熱硬化性アクリル樹脂II 12.00部 (日本ペイント社製、水酸基価45、酸価15、 数平均分子量20000、重量平均分子量60000、 ガラス転移温度29℃、固形分50%) 熱硬化性アクリル樹脂III 2.00部 (日本ペイント社製、水酸基価95、酸価22、 数平均分子量4000、重量平均分子量7500、 ガラス転移温度10℃、固形分50%) ユーバン20N60 1.10部 (三井東圧社製ブチル化メラミン樹脂、固形分60%)酢酸ブチル 4.90部 合計 20.00部
【0105】耐チッピング塗料組成物の調製 耐チッピング塗料組成物(a)〜(c)として、下記の
各チッピングプライマー塗料を、適した希釈溶剤を用い
て所望の塗装粘度に希釈することにより、予め調製し
た。 耐チッピング塗料組成物(a):「オルガCP−110
プライマー(商品名)」日本ペイント社製ポリオレフィ
ン樹脂系チッピングプライマー塗料を、トルエン/酢酸
エチル/ソルベッソ100=30/20/50の希釈溶
剤を用い、15秒(/20℃・#4 Ford Cup)に希釈
したもの。 耐チッピング塗料組成物(b):「オルガCP−200
プライマー(商品名)」日本ペイント社製ポリカプロラ
クトン変成ポリイシシアネート含有チッピングプライマ
ー塗料を、トルエン/酢酸エチル/ソルベッソ100=
30/20/50の希釈溶剤を用い、20秒/20℃・
#4 Ford Cup)に希釈したもの。 耐チッピング塗料組成物(c):「オルガCP−101
プライマー(商品名)」日本ペイント社製エチレン共重
合体およびポリウレタン樹脂含有水性チッピングプライ
マー塗料を、蒸留水を用い、30秒/20℃・#4 Fo
rd Cup)に希釈したもの。
【0106】また、上記耐チッピング塗料組成物(a)
〜(c)をそれぞれ、予め脱脂された10cm×20c
mのポリプロピレン板に乾燥膜厚が20μmとなるよう
にスプレー塗装し、140℃で20分間焼き付けて、耐
チッピング塗膜を作成した。冷却後、歪みを与えないよ
うに耐チッピング塗膜を基材から剥がし、10mm×5
0mmの測定資料長を有するように再調製し、引っ張り
試験用単層塗膜を作成し、「島津オートグラフAGS−
10KNG(島津社製引っ張り試験機)」を用いて、−
20℃の条件下で、10mm/分の引っ張り速度で伸び
率を測定した。各耐チッピング塗料組成物の伸び率は、
(a)=200%、(b)=50%および(c)=10
%であった。
【0107】光輝性塗膜の形成 クロム酸塩処理したJIS AC4CH製のアルミホイ
ール部品の1/8カット品に、粉体ブラック塗料「パウ
ダックスA−30ブラック」(日本ペイント社製アクリ
ル樹脂系塗料)を、乾燥膜厚が100μmとなるように
静電スプレー塗装し、10分間セッティングの後、16
0℃で20分間焼き付けベース塗膜層を形成した。
【0108】得られたベース塗膜表面に、先の耐チッピ
ング塗料組成物(a)を用いて、乾燥膜厚が10μmと
なるようにスプレー塗装し、10分間セッティングの
後、予め希釈シンナーとしてメトキシプロパノールで1
5秒(/20℃・#4FordCup)に希釈された先に調製
したメタリック塗料を、乾燥膜厚で1μmとなるよう
に、エアースプレーで塗装し、10分間セッティングの
後、140℃で20分間焼き付け、メタリック塗膜層を
作成した。
【0109】次に、予め希釈シンナーとしてキシレンで
12秒(/20℃・#4 Ford Cup)に希釈した前記バ
インダー塗料を、乾燥膜厚が10μmとなるようにスプ
レー塗装し、10分間セッティングの後、4.3×10
5ポイズの粘度を有するウエット塗膜を得た。尚、バイ
ンダー層の粘度は、Rheosol−G3000レオメーター(ユー
ビーエム社製)を用いて測定した。測定条件は、測定
法;定常流、トルク;2Kg、回転数;0.1rpm、
コーン角;1.919(deg)、コーン径;1.733
(cm)および測定温度30℃とした。
【0110】得られたバインダー層上に、ガラスビーズ
(組成:BaO−ZnO−TiO2系ガラス、屈折率
2.2、平均粒径約40μm、粒度分布:53μm以上
4重量%;53〜38μm 82重量%;38μm以
下 14重量%)を、粉体塗料塗装機を用いてエアース
プレー塗装した。ガラスビーズの吐出量は180g/分
であった。10分間セッティングの後、140℃で20
分間焼き付け、ガラスビーズ含有塗膜を完成した。
【0111】次に、粉体クリヤー塗料「パウダックスA
−50クリヤー(日本ペイント社製アクリル樹脂系塗
料)」を、乾燥膜厚が100μmとなるように静電スプ
レー塗装し、160℃で20分間焼き付けて、光輝性塗
膜を完成した。
【0112】このようにして得られた光輝性塗膜につい
て、耐チッピング性試験に供じ、得られた光輝性塗膜の
外観を剥離個数及び剥離面積という観点から、下記基準
により目視評価した。
【0113】耐チッピング性 上記で調製された光輝性塗膜の耐チッピング性につい
て、グラベロ試験機(スガ試験機(株)製)を用いて、
以下の条件で試験を行った。試験片を−20℃の環境下
で、7号砕石(網目の大きさ8mmの篩を通過するが、同
6mmの篩は通過しないもの)50gを用い、距離35c
m、エアー圧力4.0kg/cm2で、試験片に対して90゜
の角度で当て、その後、光輝性塗膜表面におけるチッピ
ング発生の有無(すなわち、剥離個数)と剥離面積を目
視観察し、以下の評価基準にそれぞれ照らして評価し
た。評価基準: 5:剥離面積がかなり小さい(剥離個数が非常に少な
い)。 =耐チッピング性がかなり優れている 4:剥離面積が小さい(剥離個数が少ない)。 =耐チッピング性がやや優れている。 3:剥離面積(剥離個数)多くも少なくも無い。 =耐チッピング性が普通である。 2:剥離面積が大きい(剥離個数が多い)。 =耐チッピング性がやや劣る。 1:剥離面積がかなり大きい(剥離個数が非常に多
い)。 =耐チッピング性がかなり劣る。 以上の結果をそれぞれ表1に示す。
【0114】実施例2および3 実施例1の耐チッピング塗料組成物(a)をそれぞれ、
表1に示すように(b)または(c)に置き換えたこと
以外は、実施例1と同様にして、光輝性塗膜を作成し、
耐チッピング性を評価した。結果を表1に示す。
【0115】実施例4および5 本実施例では、それぞれ、前記実施例2および3で使用
したチッピング塗料組成物(b)または(c)を、メタ
リック塗膜層の前に塗装せず、代わりにバインダー塗料
として使用してメタリック塗膜層の上に乾燥膜厚が10
μmとなるようにスプレー塗装し、バインダー層として
の機能も併せ持った耐チッピング性機能を有する塗膜層
を形成したこと、および前記耐チッピング性機能を有す
る塗膜層を、10分間セッティングした後、1.0×1
5ポイズまたは5.0×105ポイズの粘度を有するウ
エット塗膜としたこと以外は、実施例1と同様にして光
輝性塗膜を作成し、それぞれの光輝性塗膜についての耐
チッピング性を評価した。尚、バインダー層の粘度は、
Rheosol−G3000レオメーター(ユービーエム社製)を用
い、測定条件は、測定法;定常流、トルク;2Kg、回
転数;0.1rpm、コーン角;1.919(de
g)、コーン径;1.733(cm)、測定温度30℃
とした。評価結果を表1に示す。
【0116】実施例6 本実施例では、耐チッピング塗料組成物(a)をベース
塗膜層の上に塗装して耐チッピング機能性塗膜層を形成
した後、その上にメタリック塗膜層を形成し、その上
に、バインダー塗料の替わりに表1に示すように耐チッ
ピング塗料組成物(c)を使用してメタリック塗膜層の
上に乾燥膜厚が10μmとなるようにスプレー塗装し、
バインダー層としての機能も併せ持った耐チッピング性
機能を有する塗膜層を形成したこと、および前記耐チッ
ピング性機能を有する塗膜層を、10分間セッティング
した後、5.0×105ポイズの粘度を有するウエット
塗膜としたこと以外は、実施例1と同様にして光輝性塗
膜を作成した。すなわち、本実施例において調製された
光輝性塗膜は、メタリック塗膜層の上下にそれぞれ、耐
チッピング塗料組成物(c)および(a)から成る塗膜
層を有していた。続いて、得られた光輝性塗膜の耐チッ
ピング性を、実施例1と同様にして評価した。評価結果
を表1に示す。
【0117】比較例1 比較例1は、耐チッピング塗料組成物(a)を使用しな
いこと以外は、実施例1と同様にして光輝性塗膜を形成
した。すなわち、本比較例で形成された光輝性塗膜は、
基材/ベース塗膜層/メタリック塗膜層/バインダー層
とガラスビーズから成るガラスビーズを含む塗膜層/ト
ップクリヤー塗膜層とから構成される。得られた光輝性
塗膜の耐チッピング性について、実施例1と同様にして
評価を行った。評価結果を表1に示す。
【0118】
【表1】 上記表1中、耐チッピング性機能を有する塗膜層の塗装
部位とは、メタリック塗膜層に対する相対位置を、
「上」または「下」で表わしている。
【0119】表1の結果から明らかなように、本発明に
従う実施例1〜6の耐チッピング塗料組成物を用いて得
られた光輝性塗膜は、耐チッピング性に優れ、且つ、い
わゆる玉虫色のような、見る方向によって異なる色彩が
発現され、干渉色豊かにフロップ性の高い光輝性塗膜を
得ることができた。
【0120】
【発明の効果】耐チッピング塗膜層を含む光輝性塗膜
は、玉虫色の干渉光を示す独特な意匠感を低下させるこ
となく、見る方向によって異なる色彩が発現し、立体的
な色感を発現できるのみならず、光輝性塗膜全体に、優
れた耐チッピング性を付与することもできる。また、本
発明の方法によれば、工業的にも安定して光輝性塗膜を
形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の第一の実施態様により得られ
る光輝性塗膜の構造を示す模式的な断面図である。
【図2】 本発明の方法の第二の実施態様により得られ
る光輝性塗膜の構造を示す模式的な断面図である。
【図3】 本発明の方法の第三の実施態様により得られ
る光輝性塗膜の構造を示す模式的な断面図である。
【符号の説明】
1…トップクリヤー塗膜層、 2…ガラスビーズ、 3…バインダー層、 4…メタリック塗膜層、 5…耐チッピング性機能を有する塗膜層 6…ベース塗膜層、 7…基材、 13…バインダー層として形成された耐チッピング性機
能を有する塗膜層 20、21…ガラスビーズを含む塗膜層。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C09D 201/00 C09D 201/00 (72)発明者 中筋 博行 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 松下 恒久 愛知県安城市大東町2番2号 中央精機株 式会社内 (72)発明者 山岸 幹也 愛知県安城市大東町2番2号 中央精機株 式会社内 Fターム(参考) 4D075 AE03 AE10 CA04 CB04 CB13 DA23 DB01 DC13 EC03 EC10 EC24 4J038 CA021 CB101 CB141 CB171 CC041 CG141 CG161 DB001 DD001 DG001 DG051 DG111 DG161 DG191 DG301 DH001 HA066 HA486 KA03 KA08 KA20 MA07 NA01 NA11 PA07 PB07 PC02

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベース塗膜層が粉体塗料により形成され
    たロードホイール基材上に、蒸着金属膜を粉砕して金属
    砕片とした光輝性顔料を含むメタリック塗膜層と、ガラ
    スビーズを含む塗膜層と、トップクリヤー塗膜層とを順
    次形成する光輝性塗膜の形成方法において、前記メタリ
    ック塗膜層を形成する前及び/又は後に、耐チッピング
    性機能を有する塗膜層を形成することを特徴とする光輝
    性塗膜の形成方法。
  2. 【請求項2】 前記金属が、アルミニウムである請求項
    1記載の光輝性塗膜の形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2記載の方法により形成
    された光輝性塗膜を有する自動車用ホイール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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EP1536173A4 (en) * 2002-09-05 2008-11-05 Bridgestone Corp FLOATING BODY WITH LIGHT-REFLECTIVE MATERIAL AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME

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