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JP2001073123A - Itoターゲットおよびその製造方法 - Google Patents

Itoターゲットおよびその製造方法

Info

Publication number
JP2001073123A
JP2001073123A JP24850699A JP24850699A JP2001073123A JP 2001073123 A JP2001073123 A JP 2001073123A JP 24850699 A JP24850699 A JP 24850699A JP 24850699 A JP24850699 A JP 24850699A JP 2001073123 A JP2001073123 A JP 2001073123A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
density
tin oxide
particle size
temperature
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP24850699A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshito Kishi
俊人 岸
Shohei Mizunuma
昌平 水沼
Itaru Nanjo
至 南條
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Metal Mining Co Ltd filed Critical Sumitomo Metal Mining Co Ltd
Priority to JP24850699A priority Critical patent/JP2001073123A/ja
Publication of JP2001073123A publication Critical patent/JP2001073123A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 スパッタリング中のノジュールの生成が避け
られ、成膜速度の面内ばらつきが小さく、使用初期から
使用末期まで成膜速度の変化が小さく、高い成膜速度が
得られるITOターゲットおよびその製造方法。 【解決手段】 平均粒径が0.5μm以下で、0.1μ
m以上0.8μm以下の粉末が全体の85重量%以上の
酸化インジウム粉末または酸化インジウム酸化錫合成粉
末と、平均粒径が2.5μm以下で、7.0μm以上の
粉末が10重量%以下の酸化錫粉末とからなる原料粉末
を、常温において、1000kg/cm2 以上の圧力で
加圧成形して成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲
気中で、1000℃から1400℃まで2時間以内で昇
温させ、昇温中は成形体の温度のばらつきを±20℃の
範囲内とし、焼結保持中の成形体の温度のばらつきを±
10℃の範囲内として焼結する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スパッタリング法
で透明導電膜を形成する原料として用いられるITOタ
ーゲットとその製造方法に関し、特に、高密度で、スパ
ッタリング時にノジュール発生の少なく、安定した成膜
速度が得られ、しかも熱伝導率が高いので高出力でスパ
ッタリングができるITOターゲットとその製造方法に
関する。
【0002】
【従来の技術】ITO膜は、透明導電膜として広く用い
られており、このITO膜を形成する方法に、スパッタ
リング法がある。スパッタリング法では、原料にITO
ターゲットを用いる。
【0003】ITOターゲットは、ITO膜をスパッタ
リング法で成膜するための原料であるが、酸化インジウ
ム粉末、酸化錫粉末、あるいは必要により酸化インジウ
ム酸化錫合成粉末を原料とし、該原料粉末を加圧成形
し、焼き固める粉末焼結法によって製造される。
【0004】酸化錫は、酸化インジウムに比べ蒸気圧が
高く、焼結性が悪い。一方、酸化錫は、原料価格が酸化
インジウムに比べておよそ1/10と安価であり、IT
O膜の製造コストを下げるために用いられる。ITO膜
の抵抗値を低くするためには、通常5〜10重量%の酸
化錫を含むITOターゲットが用いられているが、抵抗
値が比較的高くてよい用途には、ターゲット価格を下げ
る目的で、高濃度の酸化錫を含むITOターゲットが用
いられる。
【0005】しかし、酸化錫濃度が高くなるに従って、
ITOターゲットの密度が低下する。このため、スパッ
タリング中にITOターゲット表面にノジュールの生成
が起こり、成膜速度の低下、成膜パワーのばらつき、成
膜速度のばらつき、アーク放電の発生などをもたらし、
膜厚分布の悪化、パーティクルの生成による膜質の悪化
の原因となる場合があった。
【0006】例えば、従来技術により製造され、酸化錫
が30重量%含まれるITOターゲットでは、その密度
は高々6.0g/cm3 であり、このITOターゲット
を用いてスパッタリングを行った場合、使用末期の成膜
速度は、使用初期と比べ60%以下となり、使用後には
ITOターゲットの表面の50%以上がノジュールに覆
われることが知られている。
【0007】また、粉末焼結法で得られるITOターゲ
ットは、その表面および内部に空孔が存在することが避
けられない。さらに、酸化錫は、粉体原料の混合中や焼
結中に凝集する傾向が強いため、得られるITOターゲ
ットの中にも、酸化錫の大きな凝集体が生じ易い。
【0008】これらの結果として、ITOターゲットの
熱伝導率が低下し、スパッタリング中にITOターゲッ
トの表面に加えられる熱の放散が十分にできず、ITO
ターゲットの割れや剥がれ、異常放電の発生が生じ、ス
パッタリング異常、膜質異常をもたらす原因となってい
た。
【0009】例えば、コールドプレス(冷間加圧成形)
後、酸素中の加圧焼結によって作られたITOターゲッ
トの熱伝導率は、おおよそ5〜7W/mKであり、この
場合、熱放散性が劣るため、スパッタリング中に加えら
れるパワーを高々20W/cm2 程度にしか上げること
ができなかった。このように低いパワーでは、成膜速度
が十分に得られず、生産性の低下を招いていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の問題
点を解決し、高濃度の酸化錫を含むITOターゲットの
密度を向上させ、スパッタリング中のノジュールの生成
が避けられ、成膜速度の面内ばらつきが小さく、使用初
期から使用末期まで成膜速度の変化が小さく、さらに、
熱伝導率が高いことからスパッタリングパワーを高くで
き、結果として高い成膜速度が得られるITOターゲッ
トおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明のITOターゲッ
トは、組成が酸化錫20重量%以下のインジウム錫酸化
物であり、平均密度が7.0g/cm3 以上であり、密
度のばらつきが平均密度に対し±0.05g/cm3
範囲内にあり、熱伝導率が8.0W/mK以上である。
【0012】または、組成が酸化錫20重量%を超え、
かつ35重量%以下のインジウム錫酸化物であり、平均
密度が6.8g/cm3 以上であり、密度のばらつきが
平均密度に対し±0.05g/cm3 の範囲内にあり、
熱伝導率が8.0W/mK以上である。
【0013】または、組成が酸化錫35重量%を超える
インジウム錫酸化物であり、平均密度が6.5g/cm
3 以上であり、密度のばらつきが平均密度に対し±0.
05g/cm3 の範囲内にあり、熱伝導率が8.0W/
mK以上である。
【0014】前記密度のばらつきは、平均密度に対し±
0.03g/cm3 の範囲内にあることが望ましい。
【0015】また、このようなITOターゲットを製造
する本発明の方法は、平均粒径が0.5μm以下、好ま
しくは0.4μm以下で、粒径0.1μm以上0.8μ
m以下の粒子が85重量%以上、好ましくは90重量%
以上、さらに好ましくは95重量%以上を占める酸化イ
ンジウム粉末および/または酸化インジウム酸化錫合成
粉末と、平均粒径が2.5μm以下、好ましくは2.0
μm以下で、粒径7.0μm以上の粉末が10重量%以
下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは3重量
%以下を占める酸化錫粉末とを、所望比率で混合した原
料粉末を、1000kg/cm2 以上の圧力で加圧成形
して成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲気中で、
1000℃から1400℃まで2時間以内で昇温させ、
昇温中は成形体の温度のばらつきを±20℃の範囲内と
し、焼結保持温度を1400℃〜1450℃とし、焼結
保持中の成形体の温度のばらつきを±10℃の範囲内と
して焼結する。
【0016】加圧成形前の前記原料粉末を、平均粒径1
0μm以上の顆粒状に整粒することが望ましい。このた
めに、PVAなどの成型用バインダーを加えて混合する
か、あるいは原料粉末を300〜600℃空気中で仮焼
結するのが好ましい。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明のITOターゲットは、組
成が酸化錫20重量%以下の場合に密度が7.0g/c
3 以上、組成が酸化錫20〜35重量%の場合に密度
が6.8g/cm3 以上、あるいは組成が酸化錫35重
量%を超える場合に密度が6.5g/cm3 以上であ
る。酸化錫の組成比率に応じた前記密度にそれぞれ達し
ないと、スパッタリング中にノジュールが発生し成膜速
度の低下、成膜パワーや成膜速度のばらつき、アーク放
電の発生が起こり、これらが原因でさらに、膜厚分布の
悪化、膜質の低下が生じる。
【0018】本発明のITOターゲットの熱伝導率は、
8.0W/mK以上とする。熱伝導率が8.0W/mK
未満では、スパッタリング中のITOターゲットの熱放
散が不十分となり、ITOターゲットの割れや剥がれ、
異常放電の発生が生じ、これらが原因でスパッタリング
異常、膜質異常の原因となる。これらを回避するために
は、スパッタリングパワーを下げなければならず、生産
性が低下する。
【0019】本発明のITOターゲットの密度のばらつ
きは、平均密度の±0.05g/cm3 の範囲内とす
る。この範囲内とすることで、成膜速度がターゲット面
内一定で、しかも使用初期から使用末期まで変化しなく
なる。
【0020】本発明のITOターゲットの原料粉末は、
平均粒径が0.5μm以下、好ましくは0.4μm以下
で、粒径0.1μm以上0.8μm以下の粒子が85重
量%以上、好ましくは90重量%以上、さらに好ましく
は95重量%以上を占める酸化インジウム粉末または酸
化インジウム酸化錫合成粉末と、平均粒径が2.5μm
以下、好ましくは2.0μm以下で、粒径7.0μm以
上の粉末が10重量%以下、好ましくは5重量%以下、
さらに好ましくは3重量%以下を占める酸化錫粉末と
を、所望比率で混合する。これらの範囲を逸脱すると、
所望の焼結密度、熱伝導率が得られない。
【0021】該原料粉末を、平均粒径10μm以上の顆
粒状に整粒することが望ましい。
【0022】このことにより、後述する加圧成形時に、
型へ原料粉末を充填する際の流動性がよくなる。顆粒状
に整粒するためには、例えば、PVAなどの成型用バイ
ンダーを加えて混合するか、原料粉末を空気中300〜
600℃で、仮焼結すればよい。
【0023】原料粉末を、常温において、1000kg
/cm2 以上の圧力で加圧成形して、成形体を得る。こ
れより小さい圧力では、所望の焼結密度、熱伝導率が得
にくくなる。また、原料粉末を顆粒状に整粒した場合に
は、顆粒を完全に崩す以上の圧力が必要である。
【0024】前記成形体を、常圧の酸素雰囲気中で、1
000℃から1400℃まで2時間以内で昇温させ、昇
温中は温度のばらつきを±20℃の範囲内とし、焼結保
持温度は、1400℃〜1450℃とし、焼結保持中の
成形体の温度のばらつきを±10℃の範囲内とする。
【0025】前記酸素雰囲気とは、純酸素雰囲気、また
は高濃度酸素雰囲気をいう。また、焼結雰囲気の圧力
は、常圧で十分である。このような焼結条件により、高
く均一な密度、および高い熱伝導率を有するITOター
ゲットが得られる。
【0026】以下、本発明の実施例について、説明す
る。
【0027】(実施例1)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.35μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が0.2%、0.8μm以上の粉末が4.2%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が95.6%
の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が1.8
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が2.2
%の酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0028】得られた成形体を、常圧の酸素中で100
0℃から1400℃までの温度範囲を2時間で昇温さ
せ、1400℃の温度に10時間保持し、焼結を行っ
た。昇温時の成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1
400℃での保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲
内である。2枚作成されたITOターゲットのうち、1
枚を熱伝導率および密度分布の測定に、1枚をスパッタ
リングに供した。
【0029】その結果、熱伝導率は9.5W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は7.07g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が7.02g/cm3 、最大値が7.12g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
7.03g/cm3 、最大値が7.11g/cm3 であ
った。
【0030】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、徐
々にパワーを上げながら、スパッタリング可能な最大パ
ワーを調べた。その結果、30W/cm2 のパワーをか
けても、ITOターゲットの表面にクラックなどの異常
は見られなかった。成膜速度は従来のITOターゲット
と比較し、約1.5倍と高い値であった。
【0031】また、得られたITO膜の成膜速度、膜厚
分布を使用初期と末期とで測定したところ、成膜速度は
使用初期に対して使用末期では94%であった。また、
基板面内の膜厚分布は±5%の範囲内であった。使用
後、ITOターゲットの表面を観察したところ、ノジュ
ールの生成は全くみられなかった。
【0032】(実施例2)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.38μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が2.2%、0.8μm以上の粉末が6.8%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が91.0%
の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が2.1
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が4.2
%の酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0033】得られた成形体を、常圧の酸素中で100
0℃から1450℃までの温度範囲を1.5時間で昇温
させ、1450℃の温度に15時間保持し、焼結を行っ
た。昇温時の成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1
450℃での保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲
内である。2枚作成されたITOターゲットのうち、1
枚を熱伝導率および密度分布の測定に、1枚をスパッタ
リングに供した。
【0034】その結果、熱伝導率は10.2W/mKで
あった。ITOターゲット全体の密度は7.13g/c
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最
小値が7.08g/cm3 、最大値が7.18g/cm
3 であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
7.09g/cm3 、最大値が7.17g/cm3 であ
った。
【0035】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、徐
々にパワーを上げながら、スパッタリング可能な最大パ
ワーを調べた。その結果、30W/cm2 のパワーをか
けても、ITOターゲットの表面にクラックなどの異常
は見られなかった。成膜速度は従来のITOターゲット
と比較し、約1.5倍と高い値であった。
【0036】また、得られたITO膜の成膜速度、膜厚
分布を使用初期と末期とで測定したところ、成膜速度は
使用初期に対して使用末期では92%であった。また、
基板面内の膜厚分布は±5%の範囲内であった。使用
後、ITOターゲットの表面を観察したところ、ノジュ
ールの生成は全くみられなかった。
【0037】(実施例3)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.33μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が3.6%、0.8μm以上の粉末が6.3%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が90.1%
の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が1.9
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が2.2
%の酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0038】得られた成形体を、常圧の酸素中で100
0℃から1400℃までの温度範囲を2時間で昇温さ
せ、1400℃の温度に10時間保持し、焼結を行っ
た。昇温時の成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1
400℃での保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲
内である。2枚作成されたITOターゲットのうち、1
枚を熱伝導率および密度分布の測定に、1枚をスパッタ
リングに供した。
【0039】その結果、熱伝導率は8.5W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.95g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.91g/cm3 、最大値が7.00g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.95g/cm3 、最大値が6.99g/cm3 であ
った。
【0040】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、徐
々にパワーを上げながら、スパッタリング可能な最大パ
ワーを調べた。その結果、25W/cm2 のパワーをか
けても、ITOターゲットの表面にクラックなどの異常
は見られなかった。成膜速度は従来のITOターゲット
と比較し、約1.2倍と高い値であった。
【0041】また、得られたITO膜の成膜速度、膜厚
分布を使用初期と末期とで測定したところ、成膜速度は
使用初期に対して使用末期では90%であった。また、
基板面内の膜厚分布は±5%の範囲内であった。使用
後、ITOターゲット表面を観察したところ、ノジュー
ルの生成はわずかな領域で見られ、その面積は全体の
6.3%のみであった。
【0042】従来のITOターゲットの熱伝導率が、お
およそ5〜7W/mKであり、スパッタリング中に加え
られるパワーを高々20W/cm2 程度にしか上げるこ
とができなかったのに対し、実施例1から3のITOタ
ーゲットの熱伝導率は、8.5〜10.2W/mKであ
り、スパッタリング中に加えられるパワーを25〜30
W/cm2 に高めることができた。
【0043】従って、成膜速度をおおよそ1.2〜1.
5倍に速めることが可能で、生産性を著しく向上でき
る。
【0044】(実施例4)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.35μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が0.2%、0.8μm以上の粉末が4.2%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が95.6%
の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が2.2
μmの酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バイ
ンダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μm
から50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、
常温において、2000kg/cm2 の圧力で、400
mm×500mm×10mmの成形体を得た。
【0045】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0046】その結果、熱伝導率は9.1W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は7.10g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が7.09g/cm3 、最大値が7.12g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
7.09g/cm3 、最大値が7.11g/cm3 であ
った。
【0047】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では97%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±5%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成は全くみられな
かった。
【0048】(実施例5)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.42μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が2.8%、0.8μm以上の粉末が6.3%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が90.9%
の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が2.3
μmの酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バイ
ンダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μm
から50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、
常温において、2000kg/cm2 の圧力で、400
mm×500mm×10mmの成形体を得た。
【0049】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0050】その結果、熱伝導率は8.8W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は7.07g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が7.05g/cm3 、最大値が7.10g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
7.06g/cm3 、最大値が7.09g/cm3 であ
った。
【0051】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では94%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±6%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成はごく一部で見
られ、その領域は全体の0.4%の面積のみであった。
【0052】(実施例6)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.30μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が4.2%、0.8μm以上の粉末が10.2%、す
なわち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が85.6
%の酸化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が4.
5μmの酸化錫粉末を10重量%とを混合し、成形用バ
インダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μ
mから50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用い
て、常温において、2000kg/cm2 の圧力で、4
00mm×500mm×10mmの成形体を得た。
【0053】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0054】その結果、熱伝導率は8.6W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は7.10g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が7.02g/cm3 、最大値が7.12g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
7.00g/cm3 、最大値が7.13g/cm3 であ
った。
【0055】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では82%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±9%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成はターゲット面
の約8.6%の領域のみに観察された。
【0056】なお、従来技術で製造された密度が7.0
0g/cm3 のITOターゲットにより、スパッタリン
グして得られたITO膜の成膜速度は、使用初期に対し
て使用末期では70%以下であり、基板面内の膜厚分布
は±9〜12%の範囲内であった。さらに、使用後のI
TOターゲット面には、ノジュールの生成が50%以上
の領域に観察された。
【0057】これに対して、実施例4から6のITOタ
ーゲットの密度は、7.0g/cm 3 以上であり、スパ
ッタリングして得られたITO膜の成膜速度は、使用初
期に対して使用末期では82%以上であった。また、基
板面内の膜厚分布は±5〜9%の範囲内であった。さら
に、使用後のITOターゲットの表面の約8.6%以下
の領域でのみ、ノジュールの生成が観察された。
【0058】特に、任意の1cm四方の領域における密
度が、全体の平均密度に対し、±0.03g/cm3
範囲内にあり、任意の1mmの厚さ領域における密度
が、全体の平均密度に対し、±0.03g/cm3 の範
囲内にある実施例4および5のITOターゲットにより
スパッタリングして得られたITO膜の成膜速度は、使
用初期に対して使用末期では94%以上であり、基板面
内の膜厚分布は±5〜6%の範囲内であった。
【0059】さらに、使用後のITOターゲットの表面
には、ノジュールの生成が約0.40%以下の領域にの
み観察されており、本発明のITOターゲットが優秀で
あることを示している。
【0060】(実施例7)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.35μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が0.2%、0.8μm以上の粉末が4.2%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が95.6%
の酸化インジウム粉末を70重量%、平均粒径が1.8
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が2.2
%の酸化錫粉末を30重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0061】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0062】その結果、熱伝導率は9.3W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.90g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.88g/cm3 、最大値が6.95g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.86g/cm3 、最大値が6.94g/cm3 であ
った。
【0063】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では88%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±5%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成はごくわずかな
領域で観察され、その面積は全体の2.5%のみであっ
た。
【0064】(実施例8)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.38μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が2.2%、0.8μm以上の粉末が6.8%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が91.0%
の酸化インジウム粉末を60重量%、平均粒径が2.1
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が4.2
%の酸化錫粉末を40重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0065】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0066】その結果、熱伝導率は8.9W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.52g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.50g/cm3 、最大値が6.56g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.48g/cm3 、最大値が6.55g/cm3 であ
った。
【0067】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では75%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±5%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成はわずかな領域
で観察され、その面積は全体の12.4%のみであっ
た。
【0068】(実施例9)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.33μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉
末が3.6%、0.8μm以上の粉末が6.3%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が90.1%
の酸化インジウム粉末を55重量%、平均粒径が1.9
μm、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が2.2
%の酸化錫粉末を45重量%とを混合し、成形用バイン
ダーとしてPVAを1重量%添加したのち、30μmか
ら50μmのサイズの粒子に整粒した顆粒を用いて、常
温において、2000kg/cm2 の圧力で、400m
m×500mm×10mmの成形体を得た。
【0069】得られた成形体を、常圧の酸素中で150
0℃の温度に10時間保持し、焼結を行った。昇温時の
成形体の温度分布は±18℃の範囲内、1500℃での
保持中は成形体の温度分布が±4℃の範囲内である。2
枚作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率
および密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0070】その結果、熱伝導率は8.8W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.68g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.65g/cm3 、最大値が6.71g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.66g/cm3 、最大値が6.72g/cm3 であ
った。
【0071】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では81%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±5%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット表
面を観察したところ、ノジュールの生成はごくわずかな
領域で観察され、その面積は全体の9.4%のみであっ
た。
【0072】酸化錫が30重量%含まれる従来のITO
ターゲットの密度は、高々6.0g/cm3 であり、ス
パッタリングして得られたITO膜の成膜速度は、使用
初期に対して使用末期では60%以下であった。また、
基板面内の膜厚分布は±8〜12%の範囲内であった。
さらに、使用後のターゲット面には、ノジュールの生成
が50%以上の領域に観察された。
【0073】これに対し、実施例7から9のITOター
ゲットの密度は、6.52g/cm 3 以上であり、スパ
ッタリングして得られたITO膜の成膜速度は、使用初
期に対して使用末期では75%以上であった。また、基
板面内の膜厚分布は±5%の範囲内であった。さらに、
使用後のITOターゲットの表面には、ノジュールの生
成が約12.40%以下の領域にのみ観察された。
【0074】特に、任意の1cm四方の領域における密
度が、全体の平均密度に対し、±0.05g/cm3
範囲内にあり、任意の1mmの厚さ領域における密度
が、全体の平均密度に対し、±0.05g/cm3 の範
囲内にあるので、スパッタリングして得られたITO膜
の成膜速度は、前述のように高く、使用初期に対して使
用末期でも、高く維持されている。
【0075】また、基板面内の膜厚分布は±5%の範囲
内であった。さらに、使用後のITOターゲットの表面
のノジュールの生成が低い。本発明では、酸化錫の割合
を多くしてコストを低く抑えても、スパッタリングに好
適なITOターゲットを提供することができた。
【0076】(比較例1)原料粉末の粒度が、平均粒径
が0.6μm、粒度分布として、0.1μm以下の粉末
が0.2%、0.8μm以上の粉末が16.8%、すな
わち0.1μm以上0.8μm以下の粉末が83%の酸
化インジウム粉末を90重量%、平均粒径が2.6μ
m、粒度分布として、7.0μm以上の粉末が11%の
酸化錫粉末を10重量%とを混合し、実施例1と同様の
方法で成型体を得て、実施例1と同様の方法で焼結し
た。
【0077】その結果、熱伝導率は7.2W/mK、I
TOターゲット全体の密度は6.98g/cm3 であ
り、任意の1cm四方の領域における密度は最小値が
6.92g/cm3 、最大値が7.04g/cm3 であ
った。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が6.9
6g/cm3 、最大値が7.04g/cm3 であった。
【0078】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、徐
々にパワーを上げながら、スパッタリング可能な最大パ
ワーを調べた。その結果、20W/cm2 のパワーをか
けたところでITOターゲットの表面に割れが発生し
た。
【0079】また、得られたITO膜の成膜速度、膜厚
分布を使用初期と末期とで測定したところ、成膜速度は
使用初期に対して使用末期では66%であった。また、
基板面内の膜厚分布は±10%の範囲内であった。使用
後、ITOターゲットの表面を観察したところ、面積全
体の50%以上に、ノジュールが生成していた。
【0080】(比較例2)成形圧力が900kg/cm
2 である他は、実施例1と同様にITOターゲットを作
成したところ、熱伝導率は6.7W/mKであった。ま
た、ITOターゲット全体の密度は6.98g/cm3
であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小値
が6.92g/cm3 、最大値が7.05g/cm3
あった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が6.
93g/cm3 、最大値が7.03g/cm3 であっ
た。
【0081】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では67%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±10%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット
の表面を観察したところ、面積全体の35%以上に、ノ
ジュールが生成していた。
【0082】(比較例3)実施例1と同様の成形体を、
酸素中で1000〜1400℃までの温度範囲を2.5
時間と、ゆっくり昇温させ、1400℃の温度に10時
間保持し、焼結を行った。昇温時の成形体の温度分布は
±18℃の範囲内で、1400℃での保持中は成形体の
温度分布が±4℃の範囲内である。2枚作成されたIT
Oターゲットのうち、1枚を熱伝導率および密度分布の
測定に、1枚をスパッタリングに供した。
【0083】その結果、熱伝導率は6.5W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.99g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.94g/cm3 、最大値が7.04g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.93g/cm3 、最大値が7.04g/cm3 であ
った。
【0084】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では62%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±15%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット
の表面を観察したところ、面積全体の50%以上に、ノ
ジュールが生成していた。
【0085】(比較例4)実施例1と同様の成形体を、
酸素中で1000〜1400℃までの温度範囲を2時間
で昇温させ、1400℃の温度に10時間保持し、焼結
を行った。
【0086】昇温時の成形体の温度分布は、本発明の±
20℃の範囲を超えて、±21℃の範囲内であり、14
00℃での保持中は成形体の温度分布は、本発明の±1
0℃の範囲を超えて、±11℃の範囲内であった。2枚
作成されたITOターゲットのうち、1枚を熱伝導率お
よび密度分布の測定に、1枚をスパッタリングに供し
た。
【0087】その結果、熱伝導率は6.0W/mKであ
った。ITOターゲット全体の密度は6.93g/cm
3 であり、任意の1cm四方の領域における密度は最小
値が6.88g/cm3 、最大値が6.99g/cm3
であった。また、厚さ方向の密度ばらつきは最小値が
6.88g/cm3 、最大値が6.98g/cm3 であ
った。
【0088】スパッタリングでは、ITOターゲットを
バッキングプレートに接合後、DCスパッタを行い、得
られたITO膜の成膜速度、膜厚分布を使用初期と末期
とで測定したところ、成膜速度は使用初期に対して使用
末期では55%であった。また、基板面内の膜厚分布は
±14%の範囲内であった。使用後、ITOターゲット
表面を観察したところ、面積全体の80%以上に、ノジ
ュールが生成していた。
【0089】
【発明の効果】本発明によって、高濃度の酸化錫を含む
ITOターゲットにおいて、高密度のターゲットが得ら
れ、その結果、スパッタリング中のノジュールの生成が
少なく抑えられ、成膜速度の面内ばらつきが小さく、ま
たはターゲット使用初期から使用末期までの成膜速度の
変化が小さいITOターゲットが提供される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 南條 至 東京都青梅市末広町2−8−1 住友金属 鉱山株式会社電子事業本部内 Fターム(参考) 4G030 AA34 AA39 BA02 BA15 BA21 GA01 GA05 GA25 GA28 4K029 BA50 BC09 CA05 DC05 DC09

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成が酸化錫20重量%以下のインジウ
    ム錫酸化物であり、平均密度が7.0g/cm3 以上で
    あり、密度のばらつきが平均密度に対し±0.05g/
    cm3 の範囲内にあり、熱伝導率が8.0W/mK以上
    であるITOターゲット。
  2. 【請求項2】 組成が酸化錫20重量%を超え、かつ3
    5重量%以下のインジウム錫酸化物であり、平均密度が
    6.8g/cm3 以上であり、密度のばらつきが平均密
    度に対し±0.05g/cm3 の範囲内にあり、熱伝導
    率が8.0W/mK以上であるITOターゲット。
  3. 【請求項3】 組成が酸化錫35重量%を超えるインジ
    ウム錫酸化物であり、平均密度が6.5g/cm3 以上
    であり、密度のばらつきが平均密度に対し±0.05g
    /cm3 の範囲内にあり、熱伝導率が8.0W/mK以
    上であるITOターゲット。
  4. 【請求項4】 平均粒径が0.5μm以下で、粒径0.
    1μm以上0.8μm以下の粒子が85重量%以上を占
    める酸化インジウム粉末および酸化インジウム酸化錫合
    成粉末からなる群より選ばれる一以上の粉末と、平均粒
    径が2.5μm以下で、粒径7.0μm以上の粉末が1
    0重量%以下を占める酸化錫粉末とを、所望比率で混合
    した原料粉末を、1000kg/cm2 以上の圧力で加
    圧成形して成形体を得て、該成形体を常圧の酸素雰囲気
    中で、1000℃から1400℃まで2時間以内で昇温
    させ、昇温中は成形体の温度のばらつきを±20℃の範
    囲内とし、焼結保持温度を1400℃〜1450℃と
    し、焼結保持中の成形体の温度のばらつきを±10℃の
    範囲内として焼結することを特徴とするITOターゲッ
    トの製造方法。
  5. 【請求項5】 加圧成形前の前記原料粉末を、平均粒径
    10μm以上の顆粒状に整粒する請求項4に記載のIT
    Oターゲットの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記一以上の粉末の平均粒径が0.4μ
    m以下であることを特徴とする請求項4または5に記載
    のITOターゲットの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002099796A1 (en) * 2001-06-01 2002-12-12 Koninklijke Philips Electronics N.V. Multi-stack optical data storage medium and use of such a medium
CN115482965A (zh) * 2022-09-16 2022-12-16 北京高压科学研究中心 一种提升透明导电氧化物电导率和蓝光过滤效率的方法

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