JP2001068042A - 電子線励起ディスプレイ用スペーサ - Google Patents
電子線励起ディスプレイ用スペーサInfo
- Publication number
- JP2001068042A JP2001068042A JP23975199A JP23975199A JP2001068042A JP 2001068042 A JP2001068042 A JP 2001068042A JP 23975199 A JP23975199 A JP 23975199A JP 23975199 A JP23975199 A JP 23975199A JP 2001068042 A JP2001068042 A JP 2001068042A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- spacer
- film
- electron beam
- uneven film
- oxide
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Landscapes
- Vessels, Lead-In Wires, Accessory Apparatuses For Cathode-Ray Tubes (AREA)
- Cathode-Ray Tubes And Fluorescent Screens For Display (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 電子放出素子から蛍光膜に向かって放出され
た電子の軌道を安定させて画像を安定させることができ
る電子線励起ディスプレイ用スペーサを提供する。 【解決手段】 フェースプレート11とリアプレート1
2とは支持枠13を介して気密的に接合され、支持枠1
3と共に気密且つ耐大気圧構造の真空容器を形成する。
フェースプレート11及びリアプレート12の間には大
気圧支持部材として複数のガラススペーサ20が挿入さ
れる。ガラススペーサ20には、その表面に凹凸膜21
が形成されている。凹凸膜21は、例えば、SiO2膜
マトリックスにSiO2微粒子を均一に分散して形成さ
れ、該膜マトリックスの中に分散されたSiO2微粒子
により膜表面に凹凸が形成される。
た電子の軌道を安定させて画像を安定させることができ
る電子線励起ディスプレイ用スペーサを提供する。 【解決手段】 フェースプレート11とリアプレート1
2とは支持枠13を介して気密的に接合され、支持枠1
3と共に気密且つ耐大気圧構造の真空容器を形成する。
フェースプレート11及びリアプレート12の間には大
気圧支持部材として複数のガラススペーサ20が挿入さ
れる。ガラススペーサ20には、その表面に凹凸膜21
が形成されている。凹凸膜21は、例えば、SiO2膜
マトリックスにSiO2微粒子を均一に分散して形成さ
れ、該膜マトリックスの中に分散されたSiO2微粒子
により膜表面に凹凸が形成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子線励起ディス
プレイ用スペーサに関する。
プレイ用スペーサに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、大きくて重いブラウン管型ディス
プレイに代わるものとして、薄型で軽いいわゆるフラッ
ト型電子線励起ディスプレイ(FED)が注目されてい
る。このフラット型電子線励起ディスプレイは、互いに
対向して配置されたガラス製のフェースプレート及びリ
アプレートにより形成された約10-5torr以下の真
空雰囲気の真空容器の中に電子線源、蛍光体、その他の
構成部品を作り込まなければならず、この真空容器は耐
大気圧構造にする必要がある。
プレイに代わるものとして、薄型で軽いいわゆるフラッ
ト型電子線励起ディスプレイ(FED)が注目されてい
る。このフラット型電子線励起ディスプレイは、互いに
対向して配置されたガラス製のフェースプレート及びリ
アプレートにより形成された約10-5torr以下の真
空雰囲気の真空容器の中に電子線源、蛍光体、その他の
構成部品を作り込まなければならず、この真空容器は耐
大気圧構造にする必要がある。
【0003】フラット型電子線励起ディスプレイは、内
面に蛍光膜が塗布されたガラス製のフェースプレート
と、内面に電子放出素子群が形成されたガラス製のリア
プレートとを備える。また、フェースプレートとリアプ
レートとは支持枠を介して気密に接合され、支持枠と共
に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。
面に蛍光膜が塗布されたガラス製のフェースプレート
と、内面に電子放出素子群が形成されたガラス製のリア
プレートとを備える。また、フェースプレートとリアプ
レートとは支持枠を介して気密に接合され、支持枠と共
に気密の耐大気圧構造をなす真空容器を形成する。
【0004】この真空容器内部は上記のように真空に保
持されるので、ディスプレイの表示画面が大きくなるに
従って、真空容器内部と外部の気圧差によりフェースプ
レートとリアプレートが変形又は接触する場合があり、
この変形又は接触を防止するために、フェースプレート
とリアプレートとの間には大気圧支持部材として複数の
ガラススペーサが挿入される。
持されるので、ディスプレイの表示画面が大きくなるに
従って、真空容器内部と外部の気圧差によりフェースプ
レートとリアプレートが変形又は接触する場合があり、
この変形又は接触を防止するために、フェースプレート
とリアプレートとの間には大気圧支持部材として複数の
ガラススペーサが挿入される。
【0005】しかしながら、ガラススペーサの近傍にあ
る電子放出素子から放出された電子は、その一部がガラ
ススペーサに衝突することにより又は放出された電子そ
のものの作用によりガラススペーサに帯電を引き起こす
可能性があり、このガラススペーサの帯電により、電子
放出素子から放出された電子はその軌道が曲げられる。
る電子放出素子から放出された電子は、その一部がガラ
ススペーサに衝突することにより又は放出された電子そ
のものの作用によりガラススペーサに帯電を引き起こす
可能性があり、このガラススペーサの帯電により、電子
放出素子から放出された電子はその軌道が曲げられる。
【0006】また、電子放出素子から放出された電子を
加速するために電子放出素子とフェースプレートとの間
には数百ボルト以上の高電圧(1kV/mm以上)を印
加するため、ガラススペーサ表面での沿面放電が発生す
る可能性があり、ガラススペーサが帯電している場合は
特に該放電が発生する可能性が高い。この放電も電子放
出素子から放出された電子の軌道を曲げる原因となる。
加速するために電子放出素子とフェースプレートとの間
には数百ボルト以上の高電圧(1kV/mm以上)を印
加するため、ガラススペーサ表面での沿面放電が発生す
る可能性があり、ガラススペーサが帯電している場合は
特に該放電が発生する可能性が高い。この放電も電子放
出素子から放出された電子の軌道を曲げる原因となる。
【0007】上記のように電子放出素子から放出された
電子の軌道が曲がると、電子は蛍光体上の正規な位置と
は異なる場所に到達し、ガラススペーサ近傍の画像が歪
んで表示され、この問題点を解消する対策として、ガラ
ススペーサ表面に帯電防止用の高抵抗膜を成膜すること
が提案されている(例えば特開平11−7910号公
報)。
電子の軌道が曲がると、電子は蛍光体上の正規な位置と
は異なる場所に到達し、ガラススペーサ近傍の画像が歪
んで表示され、この問題点を解消する対策として、ガラ
ススペーサ表面に帯電防止用の高抵抗膜を成膜すること
が提案されている(例えば特開平11−7910号公
報)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ガラス
スペーサ表面に帯電防止用の高抵抗膜を成膜したとして
も、電子放出素子からの電子が帯電防止用の高抵抗膜に
衝突した際に2次電子が発生するため、依然として該電
子の軌道が安定せず画面を安定させることができない。
この2次電子の放出は、帯電防止用の高抵抗膜の組成変
更によりある程度は抑制することができるが、完全に抑
制することはできない。
スペーサ表面に帯電防止用の高抵抗膜を成膜したとして
も、電子放出素子からの電子が帯電防止用の高抵抗膜に
衝突した際に2次電子が発生するため、依然として該電
子の軌道が安定せず画面を安定させることができない。
この2次電子の放出は、帯電防止用の高抵抗膜の組成変
更によりある程度は抑制することができるが、完全に抑
制することはできない。
【0009】本発明の目的は、電子放出素子から蛍光膜
に向かって放出された電子の軌道を安定させて画像を安
定させることができる電子線励起ディスプレイ用スペー
サを提供することにある。
に向かって放出された電子の軌道を安定させて画像を安
定させることができる電子線励起ディスプレイ用スペー
サを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサ
は、表面に酸化物微粒子を含有する凹凸膜が形成された
ことを特徴とする。
に、請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサ
は、表面に酸化物微粒子を含有する凹凸膜が形成された
ことを特徴とする。
【0011】請求項1記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、スペーサ表面に、酸化物微粒子を含
有する凹凸膜が形成されているので、電子放出素子から
蛍光膜に向かって放出された電子が該スペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜でトラップすること
により、該電子の軌道を安定させて画像を安定させるこ
とができる。
スペーサによれば、スペーサ表面に、酸化物微粒子を含
有する凹凸膜が形成されているので、電子放出素子から
蛍光膜に向かって放出された電子が該スペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜でトラップすること
により、該電子の軌道を安定させて画像を安定させるこ
とができる。
【0012】請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項1に記載の電子線励起ディスプレイ
用スペーサにおいて、前記凹凸膜の表面粗さが算術平均
粗さで10〜150nmであることを特徴とする。
スペーサは、請求項1に記載の電子線励起ディスプレイ
用スペーサにおいて、前記凹凸膜の表面粗さが算術平均
粗さで10〜150nmであることを特徴とする。
【0013】請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜の表面粗さが算術平均粗さで
10〜150nmであるので、電子がスペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜で確実にトラップす
ることができる。
スペーサによれば、凹凸膜の表面粗さが算術平均粗さで
10〜150nmであるので、電子がスペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜で確実にトラップす
ることができる。
【0014】請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項2に記載の電子線励起ディスプレイ
用スペーサにおいて、前記凹凸膜中の前記酸化物微粒子
の含有量が10〜80重量%であることを特徴とする。
スペーサは、請求項2に記載の電子線励起ディスプレイ
用スペーサにおいて、前記凹凸膜中の前記酸化物微粒子
の含有量が10〜80重量%であることを特徴とする。
【0015】請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜中の酸化物微粒子の含有量が
10〜80重量%であるので、凹凸膜の表面に実質的に
凹凸を形成することができると共に、凹凸膜の強度を維
持して酸化物微粒子が剥がれ落ちるのを防止することが
できる。
スペーサによれば、凹凸膜中の酸化物微粒子の含有量が
10〜80重量%であるので、凹凸膜の表面に実質的に
凹凸を形成することができると共に、凹凸膜の強度を維
持して酸化物微粒子が剥がれ落ちるのを防止することが
できる。
【0016】請求項4記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項2又は3に記載の電子線励起ディス
プレイ用スペーサにおいて、前記酸化物微粒子の粒径が
4〜300nmであることを特徴とする。
スペーサは、請求項2又は3に記載の電子線励起ディス
プレイ用スペーサにおいて、前記酸化物微粒子の粒径が
4〜300nmであることを特徴とする。
【0017】請求項4記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、酸化物微粒子の粒径が4〜300n
mであるので、酸化物微粒子を凹凸膜のマトリックス中
に均等に分散することができると共に、凹凸膜の成膜に
使用するマトリックス形成用溶液中で沈降が起こるのを
防止することができる。
スペーサによれば、酸化物微粒子の粒径が4〜300n
mであるので、酸化物微粒子を凹凸膜のマトリックス中
に均等に分散することができると共に、凹凸膜の成膜に
使用するマトリックス形成用溶液中で沈降が起こるのを
防止することができる。
【0018】請求項5記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記酸化物
微粒子が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン及
び酸化ジルコニウムから成る群から選択された少なくと
も1種の酸化物から成ることを特徴とする。
スペーサは、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記酸化物
微粒子が、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン及
び酸化ジルコニウムから成る群から選択された少なくと
も1種の酸化物から成ることを特徴とする。
【0019】請求項5記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから成る
群から選択された少なくとも1種の酸化物から成るの
で、凹凸膜の成膜時及び電子線励起ディスプレイの作製
時における高温の熱処理によっても凹凸膜の構造、組成
等が変化するのを防止することができる。
スペーサによれば、酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから成る
群から選択された少なくとも1種の酸化物から成るの
で、凹凸膜の成膜時及び電子線励起ディスプレイの作製
時における高温の熱処理によっても凹凸膜の構造、組成
等が変化するのを防止することができる。
【0020】請求項6記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記凹凸膜
の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする。
スペーサは、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記凹凸膜
の膜厚が10〜500nmであることを特徴とする。
【0021】請求項6記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜の膜厚が10〜500nmで
あるので、酸化物微粒子を均一に分散させることがでる
と共に、凹凸膜の成膜を容易にすることができる。
スペーサによれば、凹凸膜の膜厚が10〜500nmで
あるので、酸化物微粒子を均一に分散させることがでる
と共に、凹凸膜の成膜を容易にすることができる。
【0022】請求項7記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記凹凸膜
のマトリックスの表面抵抗が105〜1012Ω/□であ
ることを特徴とする。
スペーサは、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記凹凸膜
のマトリックスの表面抵抗が105〜1012Ω/□であ
ることを特徴とする。
【0023】請求項7記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜に帯電防止用の高抵抗膜の機
能を持たせることができ、その結果、電子放出防止素子
から放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸
膜に衝突する可能性を低減することができる。
スペーサによれば、凹凸膜に帯電防止用の高抵抗膜の機
能を持たせることができ、その結果、電子放出防止素子
から放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸
膜に衝突する可能性を低減することができる。
【0024】請求項8記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサは、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記スペー
サがガラス製であることを特徴とする。
スペーサは、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサにおいて、前記スペー
サがガラス製であることを特徴とする。
【0025】請求項8記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、該スペーサを容易に作製することが
できる。
スペーサによれば、該スペーサを容易に作製することが
できる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明者は、上記目的を達成すべ
く鋭意研究を行った結果、電子線励起ディスプレイ用ス
ペーサの表面に、酸化物微粒子を含有する凹凸膜を形成
すると、電子放出素子から蛍光膜に向かって放出された
電子が該スペーサに衝突したときに発生する2次電子を
凹凸膜でトラップすることにより、該電子の軌道を安定
させて画像を安定させることができることを見い出し
た。
く鋭意研究を行った結果、電子線励起ディスプレイ用ス
ペーサの表面に、酸化物微粒子を含有する凹凸膜を形成
すると、電子放出素子から蛍光膜に向かって放出された
電子が該スペーサに衝突したときに発生する2次電子を
凹凸膜でトラップすることにより、該電子の軌道を安定
させて画像を安定させることができることを見い出し
た。
【0027】本発明は、上記研究の結果に基づいてなさ
れたものである。
れたものである。
【0028】以下、本発明の実施の形態に係る電子線励
起ディスプレイ用スペーサを図面を参照して説明する。
起ディスプレイ用スペーサを図面を参照して説明する。
【0029】図1は、本発明の実施の形態に係るガラス
スペーサを備える電子線励起ディスプレイの部分切欠き
斜視図である。
スペーサを備える電子線励起ディスプレイの部分切欠き
斜視図である。
【0030】図1の電子線励起ディスプレイは、内面に
蛍光膜14が塗布されたフェースプレート11と、内面
に後述する電子放出素子群が形成されたリアプレート1
2とを備える。蛍光膜14は、該電子放出素子群から電
子ビームが照射されて発光する。また、蛍光膜14の内
面には、蛍光膜14が発する光の一部を鏡面反射して光
の利用率を向上させる等のためにメタルバック15が形
成されている。
蛍光膜14が塗布されたフェースプレート11と、内面
に後述する電子放出素子群が形成されたリアプレート1
2とを備える。蛍光膜14は、該電子放出素子群から電
子ビームが照射されて発光する。また、蛍光膜14の内
面には、蛍光膜14が発する光の一部を鏡面反射して光
の利用率を向上させる等のためにメタルバック15が形
成されている。
【0031】また、フェースプレート11とリアプレー
ト12とは、図1のA−A断面図である図2に示すよう
に支持枠13を介して気密に接合され、支持枠13と共
に気密且つ耐大気圧構造の真空容器を形成する。
ト12とは、図1のA−A断面図である図2に示すよう
に支持枠13を介して気密に接合され、支持枠13と共
に気密且つ耐大気圧構造の真空容器を形成する。
【0032】真空容器を組み立てるにあたっては、各部
材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため、例
えばフリットガラスを接合部に塗布し、大気圧又は窒素
雰囲気中で400〜500℃で10分以上焼成すること
により各部材を封着する。
材の接合部に十分な強度と気密性を保持させるため、例
えばフリットガラスを接合部に塗布し、大気圧又は窒素
雰囲気中で400〜500℃で10分以上焼成すること
により各部材を封着する。
【0033】リアプレート12には基板16が固定さ
れ、この基板16の上に電子放出素子17がn×m個形
成されている。ここで、n,mは2以上の正の整数であ
り、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。こ
れらのn×m個の電子放出素子17は、m本の行方向配
線18とn本の列方向配線19により単純マトリックス
配線されている。
れ、この基板16の上に電子放出素子17がn×m個形
成されている。ここで、n,mは2以上の正の整数であ
り、目的とする表示画素数に応じて適宜設定される。こ
れらのn×m個の電子放出素子17は、m本の行方向配
線18とn本の列方向配線19により単純マトリックス
配線されている。
【0034】行方向配線18と列方向配線19を介して
所望の電子放出素子に電圧を印加すると、該電子放出素
子17から電子が放出され、それと同時にメタルバック
15に十〜数百Vの高圧を印加して、上記放出された電
子を加速し、フェースプレート11の内面の蛍光膜14
に衝突させると、蛍光膜14の蛍光体が励起されて発光
し、フェースプレート11上に画像が形成される。
所望の電子放出素子に電圧を印加すると、該電子放出素
子17から電子が放出され、それと同時にメタルバック
15に十〜数百Vの高圧を印加して、上記放出された電
子を加速し、フェースプレート11の内面の蛍光膜14
に衝突させると、蛍光膜14の蛍光体が励起されて発光
し、フェースプレート11上に画像が形成される。
【0035】図1の電子線励起ディスプレイを構成する
真空容器は上記のように内部が真空に保持されるので、
該ディスプレイの表示画面が大きくなるに従って、真空
容器内部と外部の気圧差によりフェースプレート11と
リアプレート12が変形又は接触する場合があり、この
変形又は接触を防止するために、フェースプレート11
及びリアプレート12の間には大気圧支持部材として複
数のガラススペーサ20が挿入される。ガラススペーサ
20は、例えば、高さ3mm、板厚200μm、長さ1
00mmの薄板状であり、行方向配線18に平行に配置
されている。
真空容器は上記のように内部が真空に保持されるので、
該ディスプレイの表示画面が大きくなるに従って、真空
容器内部と外部の気圧差によりフェースプレート11と
リアプレート12が変形又は接触する場合があり、この
変形又は接触を防止するために、フェースプレート11
及びリアプレート12の間には大気圧支持部材として複
数のガラススペーサ20が挿入される。ガラススペーサ
20は、例えば、高さ3mm、板厚200μm、長さ1
00mmの薄板状であり、行方向配線18に平行に配置
されている。
【0036】ガラススペーサ20は、接合部材41を介
してフェースプレート11の内側(メタルバック15
等)及び行方向配線18に固定され且つ電気的に接続さ
れる。
してフェースプレート11の内側(メタルバック15
等)及び行方向配線18に固定され且つ電気的に接続さ
れる。
【0037】ガラススペーサ20には、その表面に凹凸
膜21が成膜されている。
膜21が成膜されている。
【0038】ガラススペーサ20は、基板16上の行方
向配線18及び列方向配線19とフェースプレート11
内面のメタルバック15との間に印加される高電圧に耐
えるだけの絶縁性を有する材料、具体的には、ソーダラ
イムガラス、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少
したガラス等から形成してもよく、またガラススペーサ
20をセラミックス製のスペーサに代えてもよい。ま
た、ガラススペーサ20は、その熱膨張率が真空容器及
び基板16を成す部材に近い材料から形成するのが好ま
しい。
向配線18及び列方向配線19とフェースプレート11
内面のメタルバック15との間に印加される高電圧に耐
えるだけの絶縁性を有する材料、具体的には、ソーダラ
イムガラス、石英ガラス、Na等の不純物含有量を減少
したガラス等から形成してもよく、またガラススペーサ
20をセラミックス製のスペーサに代えてもよい。ま
た、ガラススペーサ20は、その熱膨張率が真空容器及
び基板16を成す部材に近い材料から形成するのが好ま
しい。
【0039】凹凸膜21は、膜マトリックスに酸化物微
粒子を均一に分散して形成され、ガラススペーサ20の
表面のうち少なくとも真空容器内の真空雰囲気に露出し
ている面に後述の方法により成膜される。凹凸膜21
は、膜マトリックスの中に分散された酸化物微粒子によ
り膜表面に凹凸が形成される。この凹凸は、電子放出素
子17からの電子が凹凸膜21に衝突することにより放
出される2次電子をトラップする。
粒子を均一に分散して形成され、ガラススペーサ20の
表面のうち少なくとも真空容器内の真空雰囲気に露出し
ている面に後述の方法により成膜される。凹凸膜21
は、膜マトリックスの中に分散された酸化物微粒子によ
り膜表面に凹凸が形成される。この凹凸は、電子放出素
子17からの電子が凹凸膜21に衝突することにより放
出される2次電子をトラップする。
【0040】凹凸膜21の表面粗さは、算術平均粗さ
(Ra)で10〜150nm、好ましくは、50〜13
0nmあるのがよい。該表面粗さが、10nm未満のと
き又は150nmを越えるときは、2次電子の吸収効率
が低い。
(Ra)で10〜150nm、好ましくは、50〜13
0nmあるのがよい。該表面粗さが、10nm未満のと
き又は150nmを越えるときは、2次電子の吸収効率
が低い。
【0041】凹凸膜21中の酸化物微粒子の含有量は、
10〜80重量%が好ましい。該含有量が10重量%未
満のときは、凹凸膜21の表面に凹凸が実質的に形成さ
れず、80重量%を越えると、凹凸膜21の厚み方向で
膜マトリックス部分のしめる割合が少ないため凹凸膜2
1の強度が低くなって酸化物微粒子が剥がれ落ちてしま
う。
10〜80重量%が好ましい。該含有量が10重量%未
満のときは、凹凸膜21の表面に凹凸が実質的に形成さ
れず、80重量%を越えると、凹凸膜21の厚み方向で
膜マトリックス部分のしめる割合が少ないため凹凸膜2
1の強度が低くなって酸化物微粒子が剥がれ落ちてしま
う。
【0042】凹凸膜21中の酸化物微粒子の粒径は、4
〜300nmが好ましい。該粒径が4nm未満のとき
は、表面粗さを大きくすることができず2次電子吸収効
率が低く、300nmを越えると、酸化物微粒子が大き
くなり過ぎて膜マトリクス中に均一に分散できず、ま
た、凹凸膜21の成膜時に用いる膜マトリックス形成用
溶液中で沈降が起こるので再現性良く凹凸膜21を得る
のが困難となる。
〜300nmが好ましい。該粒径が4nm未満のとき
は、表面粗さを大きくすることができず2次電子吸収効
率が低く、300nmを越えると、酸化物微粒子が大き
くなり過ぎて膜マトリクス中に均一に分散できず、ま
た、凹凸膜21の成膜時に用いる膜マトリックス形成用
溶液中で沈降が起こるので再現性良く凹凸膜21を得る
のが困難となる。
【0043】凹凸膜21中の酸化物微粒子は、酸化珪
素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウ
ムからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であ
るのが好ましい。
素、酸化アルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウ
ムからなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物であ
るのが好ましい。
【0044】凹凸膜21に用いられる膜マトリックスの
材料は、後述するような凹凸膜21の成膜時及び電子線
励起ディスプレイの作製時における高温の熱処理によっ
ても凹凸膜21の構造、組成等が変化せず所望の表面抵
抗を維持することができる材料が好ましい。具体的に
は、該材料は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なく
とも一種の酸化物であるのが好ましい。なお、上記酸化
物微粒子と同じ材料である必要はない。
材料は、後述するような凹凸膜21の成膜時及び電子線
励起ディスプレイの作製時における高温の熱処理によっ
ても凹凸膜21の構造、組成等が変化せず所望の表面抵
抗を維持することができる材料が好ましい。具体的に
は、該材料は、酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタ
ン及び酸化ジルコニウムからなる群より選ばれる少なく
とも一種の酸化物であるのが好ましい。なお、上記酸化
物微粒子と同じ材料である必要はない。
【0045】凹凸膜21の膜厚は、10〜500nmで
あるのが好ましい。該膜厚が、10nm未満のときは、
酸化物微粒子を均一に分散するのが困難になり、500
nmを越えると、凹凸膜21の成膜が困難になる。
あるのが好ましい。該膜厚が、10nm未満のときは、
酸化物微粒子を均一に分散するのが困難になり、500
nmを越えると、凹凸膜21の成膜が困難になる。
【0046】凹凸膜21の膜マトリックスの表面抵抗
は、105〜1012Ω/□、好ましくは、105〜1011
Ω/□であるのがよい。該表面抵抗が、1012Ω/□を
越えると十分な帯電防止効果を得ることができなくな
り、下限値105Ω/□は、帯電防止の観点からガラス
スペーサ20の形状とスペーサ20に印加される電圧に
よって選択される。これにより、凹凸膜21は、帯電防
止用の高抵抗膜の機能をも有し、電子放出素子17から
放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸膜2
1に衝突する可能性を低減させることができる。
は、105〜1012Ω/□、好ましくは、105〜1011
Ω/□であるのがよい。該表面抵抗が、1012Ω/□を
越えると十分な帯電防止効果を得ることができなくな
り、下限値105Ω/□は、帯電防止の観点からガラス
スペーサ20の形状とスペーサ20に印加される電圧に
よって選択される。これにより、凹凸膜21は、帯電防
止用の高抵抗膜の機能をも有し、電子放出素子17から
放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸膜2
1に衝突する可能性を低減させることができる。
【0047】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。
【0048】まず、ガラススペーサ20を、ソーダライ
ムガラス材料(主として、SiO272重量%、Na2O
13重量%、CaO8重量%、MgO4重量%、Al2
O31.8重量%、K2O0.9重量%を含む)で作製
し、このガラススペーサ20の表面に、表1に示す微粒
子組成、微粒子含有量、粒径、膜厚、表面粒子粗さ(R
a)の凹凸膜21を後述する方法により成膜した試料
(実施例試料No.1〜No.10、比較例試料No.
1〜No.4)を準備し、さらに、これらの試料を用い
て後述する方法によりフラット型電子線励起ディスプレ
イを作製した。
ムガラス材料(主として、SiO272重量%、Na2O
13重量%、CaO8重量%、MgO4重量%、Al2
O31.8重量%、K2O0.9重量%を含む)で作製
し、このガラススペーサ20の表面に、表1に示す微粒
子組成、微粒子含有量、粒径、膜厚、表面粒子粗さ(R
a)の凹凸膜21を後述する方法により成膜した試料
(実施例試料No.1〜No.10、比較例試料No.
1〜No.4)を準備し、さらに、これらの試料を用い
て後述する方法によりフラット型電子線励起ディスプレ
イを作製した。
【0049】まず、凹凸膜21をガラススペーサ20表
面に成膜するに際して、以下のように凹凸膜形成用コー
ティング液を調製した。
面に成膜するに際して、以下のように凹凸膜形成用コー
ティング液を調製した。
【0050】有機金属化合物であるテトラエトキシシラ
ン((C2H5O)4Si)の市販品をエタノールで10
倍に希釈し、この溶液に、シリカの各種の粒径のコロイ
ダルシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックス)
を、表1に示した割合になるよう室温で混合して凹凸形
成用コーディング液とした。
ン((C2H5O)4Si)の市販品をエタノールで10
倍に希釈し、この溶液に、シリカの各種の粒径のコロイ
ダルシリカ(日産化学工業株式会社製スノーテックス)
を、表1に示した割合になるよう室温で混合して凹凸形
成用コーディング液とした。
【0051】
【表1】
【0052】表1の実施例試料No.8〜10は、それ
ぞれ上記テトラエトキシシラン溶液に、表1に示したア
ルミナ、チタニア、ジルコニアの各種のコロイド溶液
(日産化学工業株式会社製)を所定の割合で混合して凹
凸形成用コーディング液とした。
ぞれ上記テトラエトキシシラン溶液に、表1に示したア
ルミナ、チタニア、ジルコニアの各種のコロイド溶液
(日産化学工業株式会社製)を所定の割合で混合して凹
凸形成用コーディング液とした。
【0053】ガラススペーサー20へのコーディング
は、上記溶液を用いてディッピング法で行った。1回の
ディッピングで、表1に記載してある膜厚になるように
引き上げ速度の条件を設定した。また、実施例試料N
o.3は、5回コーディングを行った。
は、上記溶液を用いてディッピング法で行った。1回の
ディッピングで、表1に記載してある膜厚になるように
引き上げ速度の条件を設定した。また、実施例試料N
o.3は、5回コーディングを行った。
【0054】尚、比較例試料No.1については、凹凸
膜21を形成しないガラススペーサ20を作製した。
膜21を形成しないガラススペーサ20を作製した。
【0055】このようにして表面に凹凸膜21が形成さ
れたガラススペーサ20を100℃で30分間乾燥さ
せ、さらに250℃で30分間乾燥させた後、500℃
のオーブン内で1時間熱処理した。これにより、実施例
試料No.1〜No.7、比較例試料No.2〜No.
4では、膜マトリックス形成用溶液中のテトラエトキシ
シランのC,H成分を燃焼除去することによりSiO2
膜マトリックスを形成した。その結果、SiO2膜マト
リックスの中にシリカコロイドのSiO2微粒子が均一
に分散された膜厚50〜300nmの凹凸膜21がガラ
ススペーサ20に形成された。
れたガラススペーサ20を100℃で30分間乾燥さ
せ、さらに250℃で30分間乾燥させた後、500℃
のオーブン内で1時間熱処理した。これにより、実施例
試料No.1〜No.7、比較例試料No.2〜No.
4では、膜マトリックス形成用溶液中のテトラエトキシ
シランのC,H成分を燃焼除去することによりSiO2
膜マトリックスを形成した。その結果、SiO2膜マト
リックスの中にシリカコロイドのSiO2微粒子が均一
に分散された膜厚50〜300nmの凹凸膜21がガラ
ススペーサ20に形成された。
【0056】実施例試料No.8〜No.10について
も各酸化物微粒子が均一に分散された膜厚70nmの凹
凸膜21がガラススペーサ20に形成された。
も各酸化物微粒子が均一に分散された膜厚70nmの凹
凸膜21がガラススペーサ20に形成された。
【0057】これらの実施例試料の表面抵抗を測定した
ところ、いずれも1010〜1012Ω/□であった。
ところ、いずれも1010〜1012Ω/□であった。
【0058】次に、上記のように表面に凹凸膜21を形
成したガラススペーサ20(以下、単に「ガラススペー
サ20」という)の表面粗さを、原子間顕微鏡AFM
(セイコー電子株式会社「SPI3700」)を用いて
算術平均粗さ(Ra)として測定した。
成したガラススペーサ20(以下、単に「ガラススペー
サ20」という)の表面粗さを、原子間顕微鏡AFM
(セイコー電子株式会社「SPI3700」)を用いて
算術平均粗さ(Ra)として測定した。
【0059】次いで、上記ガラススペーサ20を用いて
以下に述べるように電子線励起ディスプレイを作製し
た。
以下に述べるように電子線励起ディスプレイを作製し
た。
【0060】まず、リアプレート12上に基板16、行
方向配線18及び列方向配線19を形成しておき、次い
で、ガラススペーサ20をリアプレート12上の行方向
配線18とフェースプレート11上のメタルバック15
とに接合部材41を用いて固定接続した。具体的には、
接続すべき行方向配線18上にペースト状フリットガラ
スを予め印刷したリアプレート12をホットプレート上
に載せ、該行方向配線18上に石英ガラス製の補助治具
を用いてガラススペーサ20を保持し、次いで、ペース
ト状フリットガラスが十分に溶融する温度、例えば43
0℃まで加熱し、その温度に約30分保持して冷却し
た。
方向配線18及び列方向配線19を形成しておき、次い
で、ガラススペーサ20をリアプレート12上の行方向
配線18とフェースプレート11上のメタルバック15
とに接合部材41を用いて固定接続した。具体的には、
接続すべき行方向配線18上にペースト状フリットガラ
スを予め印刷したリアプレート12をホットプレート上
に載せ、該行方向配線18上に石英ガラス製の補助治具
を用いてガラススペーサ20を保持し、次いで、ペース
ト状フリットガラスが十分に溶融する温度、例えば43
0℃まで加熱し、その温度に約30分保持して冷却し
た。
【0061】次に、予めペースト粉末状フリットガラス
を塗布した支持枠13と予めペースト状フリットガラス
をメタルバック15の所定の部位に塗布したフェースプ
レート11をリアプレート12の所定の位置に保持し
て、ペースト状フリットガラスが十分に溶融する温度、
例えば430℃まで加熱し、その温度に約30分保持し
て冷却し、真空容器を形成した。
を塗布した支持枠13と予めペースト状フリットガラス
をメタルバック15の所定の部位に塗布したフェースプ
レート11をリアプレート12の所定の位置に保持し
て、ペースト状フリットガラスが十分に溶融する温度、
例えば430℃まで加熱し、その温度に約30分保持し
て冷却し、真空容器を形成した。
【0062】その後、電子放出素子17を形成するた
め、常温で通電フォーマット処理や通電活性化処理を行
った。
め、常温で通電フォーマット処理や通電活性化処理を行
った。
【0063】上記工程は、使用部材の表面の酸化を防止
するため窒素等の非酸化雰囲気下で行った。
するため窒素等の非酸化雰囲気下で行った。
【0064】以上のように作製した電子線励起ディスプ
レイの内部を真空に排気するために、真空容器を組み立
てた後この真空容器を不図示の排気管と真空ポンプとを
接続し、真空容器の内部を10-5torr程度まで排気
した。真空容器の内部の真空を維持するため、電子放出
素子17の特性が劣化しない範囲で300℃で約10時
間加熱して脱気を行い、その後、排気管をガスバーナー
で融着封止し、最後に、封止後の真空度を維持するため
にゲッター処理を行った。
レイの内部を真空に排気するために、真空容器を組み立
てた後この真空容器を不図示の排気管と真空ポンプとを
接続し、真空容器の内部を10-5torr程度まで排気
した。真空容器の内部の真空を維持するため、電子放出
素子17の特性が劣化しない範囲で300℃で約10時
間加熱して脱気を行い、その後、排気管をガスバーナー
で融着封止し、最後に、封止後の真空度を維持するため
にゲッター処理を行った。
【0065】電子線励起ディスプレイの画像の歪み、即
ち電子ビーム軌道の曲がりを以下の方法で測定した。
ち電子ビーム軌道の曲がりを以下の方法で測定した。
【0066】まず、上記工程により作製した電子線励起
ディスプレイの行方向配線18及び列方向配線19を不
図示の画像信号回路に接続することにより電子線励起デ
ィスプレイに画像を表示した。
ディスプレイの行方向配線18及び列方向配線19を不
図示の画像信号回路に接続することにより電子線励起デ
ィスプレイに画像を表示した。
【0067】このとき、電子加速電圧は5kV、電子放
出素子17の駆動電圧は20Vであり、行方向配線18
(180素子を含む)の1ラインに流れる電流は510
mAであった。
出素子17の駆動電圧は20Vであり、行方向配線18
(180素子を含む)の1ラインに流れる電流は510
mAであった。
【0068】画面安定性としての電子ビーム軌道曲がり
に関して、ガラススペーサ20に近接する行方向発光ラ
インの各素子について、設計値通りに電子ビームの軌道
が曲がっていないか否か、又は電子ビームがガラススペ
ーサ20に近づく電子ビーム吸引が起こっていないか否
か、又は電子ビームがガラススペーサ20から離れる電
子ビーム反発が起こっていないか否かを調べた。
に関して、ガラススペーサ20に近接する行方向発光ラ
インの各素子について、設計値通りに電子ビームの軌道
が曲がっていないか否か、又は電子ビームがガラススペ
ーサ20に近づく電子ビーム吸引が起こっていないか否
か、又は電子ビームがガラススペーサ20から離れる電
子ビーム反発が起こっていないか否かを調べた。
【0069】電子ビーム吸引が発生した場合は、ガラス
スペーサ20に吸引されてガラススペーサ20の表面に
衝突した電子は散乱した状態で蛍光膜14の蛍光体と衝
突するため蛍光膜14を通して見ると、衝突部位の周囲
に色ムラが生じる。
スペーサ20に吸引されてガラススペーサ20の表面に
衝突した電子は散乱した状態で蛍光膜14の蛍光体と衝
突するため蛍光膜14を通して見ると、衝突部位の周囲
に色ムラが生じる。
【0070】上記ガラススペーサ20の表面粗さ及び画
面安定性の測定結果を表1に示す。表1の画像安定性の
欄において、電子ビーム軌道曲がりが全くない場合を
「極めて良好」、電子ビーム軌道曲がりが若干あるが、
問題のない程度である場合を「良好」、電子ビーム軌道
曲がりが若干あり、わずかに問題がある場合を「やや良
好」、電子ビーム軌道曲がりがかなりあり、ディスプレ
イとしての使用に差し支えがある場合を「不可」として
いる。
面安定性の測定結果を表1に示す。表1の画像安定性の
欄において、電子ビーム軌道曲がりが全くない場合を
「極めて良好」、電子ビーム軌道曲がりが若干あるが、
問題のない程度である場合を「良好」、電子ビーム軌道
曲がりが若干あり、わずかに問題がある場合を「やや良
好」、電子ビーム軌道曲がりがかなりあり、ディスプレ
イとしての使用に差し支えがある場合を「不可」として
いる。
【0071】表1に示される結果から、実施例試料N
o.1〜No.10は、いずれも凹凸膜12の表面粗さ
が15〜130nmの範囲にあり、比較例試料に比して
良好な画像安定性を有することが分かる。また、実施例
試料No.1〜No.3、No.6及びNo.9は、い
ずれも凹凸膜21の表面粗さが50〜130nmの範囲
にあり、比較例試料に比して極めて良好な画像安定性を
有することが分かる。
o.1〜No.10は、いずれも凹凸膜12の表面粗さ
が15〜130nmの範囲にあり、比較例試料に比して
良好な画像安定性を有することが分かる。また、実施例
試料No.1〜No.3、No.6及びNo.9は、い
ずれも凹凸膜21の表面粗さが50〜130nmの範囲
にあり、比較例試料に比して極めて良好な画像安定性を
有することが分かる。
【0072】上記実施例では、凹凸膜21をガラススペ
ーサ20表面に成膜する方法として、ディッピング法を
用いているが、他にスピンコート法が適用可能である。
これらの方法は、凹凸膜21やガラススペーサ20の材
料に応じて適宜選択することができる。
ーサ20表面に成膜する方法として、ディッピング法を
用いているが、他にスピンコート法が適用可能である。
これらの方法は、凹凸膜21やガラススペーサ20の材
料に応じて適宜選択することができる。
【0073】上記実施例では、ディッピング法等により
酸化物微粒子を含有する凹凸膜21をガラススペーサ2
0表面に成膜しているが、この方法は、ガラススペーサ
20を直接研磨することによりガラススペーサ20の表
面に凹凸を形成する方法に対して、後者方法の欠点、即
ち、ガラススペーサ20の表面に多くのキズをつけ、ガ
ラススペーサ20の機械的強度を低下させる欠点がない
点で有利である。
酸化物微粒子を含有する凹凸膜21をガラススペーサ2
0表面に成膜しているが、この方法は、ガラススペーサ
20を直接研磨することによりガラススペーサ20の表
面に凹凸を形成する方法に対して、後者方法の欠点、即
ち、ガラススペーサ20の表面に多くのキズをつけ、ガ
ラススペーサ20の機械的強度を低下させる欠点がない
点で有利である。
【0074】なお、表1の実施例試料No.1、3、6
及び9の実験を、テトラエトキシシランの代わりにテト
ラプロポキシチタン(C3H7O)4Tiの市販品を用
い、こいれをエタノールで10倍に希釈した溶液として
同様の実験を行った。得られたコーディング付きガラス
スペーサー20の表面抵抗を測定したところ、いずれも
104.8〜109の範囲にあった。
及び9の実験を、テトラエトキシシランの代わりにテト
ラプロポキシチタン(C3H7O)4Tiの市販品を用
い、こいれをエタノールで10倍に希釈した溶液として
同様の実験を行った。得られたコーディング付きガラス
スペーサー20の表面抵抗を測定したところ、いずれも
104.8〜109の範囲にあった。
【0075】これらのガラススペーサーを用いて作製し
た電子線励起ディスプレイの画面安定性は、いずれも極
めて良好であった。
た電子線励起ディスプレイの画面安定性は、いずれも極
めて良好であった。
【0076】
【発明の効果】以上、詳細に説明したように、請求項1
記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサによれば、ス
ペーサ表面に、酸化物微粒子を含有する凹凸膜が形成さ
れているので、電子放出素子から蛍光膜に向かって放出
された電子が該スペーサに衝突したときに発生する2次
電子を凹凸膜でトラップすることにより、該電子の軌道
を安定させて画像を安定させることができる。
記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサによれば、ス
ペーサ表面に、酸化物微粒子を含有する凹凸膜が形成さ
れているので、電子放出素子から蛍光膜に向かって放出
された電子が該スペーサに衝突したときに発生する2次
電子を凹凸膜でトラップすることにより、該電子の軌道
を安定させて画像を安定させることができる。
【0077】請求項2記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜の表面粗さが算術平均粗さで
10〜150nmであるので、電子がスペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜で確実にトラップす
ることができる。
スペーサによれば、凹凸膜の表面粗さが算術平均粗さで
10〜150nmであるので、電子がスペーサに衝突し
たときに発生する2次電子を凹凸膜で確実にトラップす
ることができる。
【0078】請求項3記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜中の酸化物微粒子の含有量が
10〜80重量%であるので、凹凸膜の表面に実質的に
凹凸を形成することができると共に、凹凸膜の強度を維
持して酸化物微粒子が剥がれ落ちるのを防止することが
できる。
スペーサによれば、凹凸膜中の酸化物微粒子の含有量が
10〜80重量%であるので、凹凸膜の表面に実質的に
凹凸を形成することができると共に、凹凸膜の強度を維
持して酸化物微粒子が剥がれ落ちるのを防止することが
できる。
【0079】請求項4記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、酸化物微粒子の粒径が4〜300n
mであるので、酸化物微粒子を凹凸膜のマトリックス中
に均等に分散することができると共に、凹凸膜の成膜に
使用するマトリックス形成用溶液中で沈降が起こるのを
防止することができる。
スペーサによれば、酸化物微粒子の粒径が4〜300n
mであるので、酸化物微粒子を凹凸膜のマトリックス中
に均等に分散することができると共に、凹凸膜の成膜に
使用するマトリックス形成用溶液中で沈降が起こるのを
防止することができる。
【0080】請求項6記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから成る
群から選択された少なくとも1種の酸化物から成るの
で、凹凸膜の成膜時及び電子線励起ディスプレイの作製
時における高温の熱処理によっても凹凸膜の構造、組成
等が変化するのを防止することができる。
スペーサによれば、酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから成る
群から選択された少なくとも1種の酸化物から成るの
で、凹凸膜の成膜時及び電子線励起ディスプレイの作製
時における高温の熱処理によっても凹凸膜の構造、組成
等が変化するのを防止することができる。
【0081】請求項6記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜の膜厚が10〜500nmで
あるので、酸化物微粒子を均一に分散させることがでる
と共に、凹凸膜の成膜を容易にすることができる。
スペーサによれば、凹凸膜の膜厚が10〜500nmで
あるので、酸化物微粒子を均一に分散させることがでる
と共に、凹凸膜の成膜を容易にすることができる。
【0082】請求項6記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、凹凸膜に帯電防止用の高抵抗膜の機
能を持たせることができ、その結果、電子放出防止素子
から放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸
膜に衝突する可能性を低減することができる。
スペーサによれば、凹凸膜に帯電防止用の高抵抗膜の機
能を持たせることができ、その結果、電子放出防止素子
から放出された電子の軌道を安定化させて該電子が凹凸
膜に衝突する可能性を低減することができる。
【0083】請求項8記載の電子線励起ディスプレイ用
スペーサによれば、該スペーサを容易に作製することが
できる。
スペーサによれば、該スペーサを容易に作製することが
できる。
【図1】本発明の実施の形態に係るガラススペーサを備
える電子線励起ディスプレイの部分切欠き斜視図であ
る。
える電子線励起ディスプレイの部分切欠き斜視図であ
る。
【図2】図1のA−A断面図である。
11 フェースプレート 12 リアプレート 13 支持枠 14 蛍光膜 15 メタルバック 16 基板 17 電子線放出素子 18 行方向配線 19 列方向配線 20 ガラススペーサ 21 凹凸膜 40,41 接合部材
Claims (8)
- 【請求項1】 表面に酸化物微粒子を含有する凹凸膜を
形成したことを特徴とする電子線励起ディスプレイ用ス
ペーサ。 - 【請求項2】 前記凹凸膜の表面粗さが算術平均粗さで
10〜150nmであることを特徴とする請求項1記載
の電子線励起ディスプレイ用スペーサ。 - 【請求項3】 前記凹凸膜中の前記酸化物微粒子の含有
量が10〜80重量%であることを特徴とする請求項2
記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサ。 - 【請求項4】 前記酸化物微粒子の粒径が4〜300n
mであることを特徴とする請求項2又は3に記載の電子
線励起ディスプレイ用スペーサ。 - 【請求項5】 前記酸化物微粒子が、酸化珪素、酸化ア
ルミニウム、酸化チタン及び酸化ジルコニウムから成る
群から選択された少なくとも1種の酸化物から成ること
を特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電
子線励起ディスプレイ用スペーサ。 - 【請求項6】 前記凹凸膜の膜厚が10〜500nmで
あることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に
記載の電子線励起ディスプレイ用スペーサ。 - 【請求項7】 前記凹凸膜のマトリックスの表面抵抗が
105〜1012Ω/□であることを特徴とする請求項1
乃至6のいずれか1項に記載の電子線励起ディスプレイ
用スペーサ。 - 【請求項8】 前記スペーサがガラス製であることを特
徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電子線
励起ディスプレイ用スペーサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23975199A JP2001068042A (ja) | 1999-08-26 | 1999-08-26 | 電子線励起ディスプレイ用スペーサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23975199A JP2001068042A (ja) | 1999-08-26 | 1999-08-26 | 電子線励起ディスプレイ用スペーサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2001068042A true JP2001068042A (ja) | 2001-03-16 |
Family
ID=17049393
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23975199A Pending JP2001068042A (ja) | 1999-08-26 | 1999-08-26 | 電子線励起ディスプレイ用スペーサ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2001068042A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2005081282A1 (ja) * | 2004-02-24 | 2005-09-01 | Kabushiki Kaisha Toshiba | 画像表示装置およびその製造方法 |
US7245066B2 (en) | 2003-08-19 | 2007-07-17 | Tdk Corporation | Flat panel display spacer, method of manufacturing flat panel display spacer, and flat panel display |
EP1557863A3 (en) * | 2004-01-22 | 2007-09-12 | Canon Kabushiki Kaisha | Antistatic film, spacer using it and picture display unit |
-
1999
- 1999-08-26 JP JP23975199A patent/JP2001068042A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US7245066B2 (en) | 2003-08-19 | 2007-07-17 | Tdk Corporation | Flat panel display spacer, method of manufacturing flat panel display spacer, and flat panel display |
EP1557863A3 (en) * | 2004-01-22 | 2007-09-12 | Canon Kabushiki Kaisha | Antistatic film, spacer using it and picture display unit |
US8004173B2 (en) | 2004-01-22 | 2011-08-23 | Canon Kabushiki Kaisha | Antistatic film, spacer using it and picture display unit |
WO2005081282A1 (ja) * | 2004-02-24 | 2005-09-01 | Kabushiki Kaisha Toshiba | 画像表示装置およびその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3592236B2 (ja) | 電子線装置及び画像形成装置 | |
JP3747154B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP4046959B2 (ja) | 電子線発生装置及び画像形成装置 | |
JP3639785B2 (ja) | 電子線装置及び画像形成装置 | |
JP3970223B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3703287B2 (ja) | 画像形成装置 | |
US6366014B1 (en) | Charge-up suppressing member, charge-up suppressing film, electron beam apparatus, and image forming apparatus | |
JP3507393B2 (ja) | スペーサの製造方法および電子源装置の製造方法 | |
JP2001068042A (ja) | 電子線励起ディスプレイ用スペーサ | |
JP3762032B2 (ja) | 帯電防止膜の成膜方法及び画像表示装置の製造方法 | |
JP2000311609A (ja) | 電子線装置用スペーサ、その製造方法、およびそれを用いた電子線装置 | |
JP2003045334A (ja) | 真空容器及び画像形成装置の製造方法 | |
EP0991102B1 (en) | Charge-up suppressing film for spacer in image forming apparatus | |
JP3099003B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3740296B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3647342B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3938190B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3762031B2 (ja) | 帯電防止膜と帯電防止基材及び表示装置 | |
JP3581586B2 (ja) | スペーサの製造方法及び電子線装置の製造方法 | |
JP3689608B2 (ja) | 画像形成装置の製造方法 | |
JP3728099B2 (ja) | 帯電防止膜及び表示装置 | |
JP3745078B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP4006110B2 (ja) | 帯電防止膜の製造方法と表示装置 | |
JP3825925B2 (ja) | 帯電防止膜及び表示装置 | |
JP2000251705A (ja) | 電子線装置用の耐大気圧支持構造体の製造方法、電子線装置用の耐大気圧支持構造体、および電子線装置 |