JP2000508033A - 吸収性材料及びその製造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 改良された収着力を有する吸収材料の製造方法であって、この材料はセルロース繊維を含み、水の存在下で、少なくとも５０ｍ²／ｇの比表面積を有する疎水性物質により、繊維が乾燥物含量少なくとも２０％を有するとき、この物質と繊維を一緒にすることにより繊維を処理する。本方法により得られる吸収性材料。本吸収性材料を含む吸収性製品。本吸収性材料を含む吸収性構造物の製造方法であって、水の存在下で、比表面積が少なくとも５０ｍ²／ｇを有する疎水性物質により、繊維の乾燥重量が少なくとも２０％のとき、この物質と繊維を一緒にすることによりセルロース繊維を処理する。

Description

【発明の詳細な説明】 吸収性材料及びその製造 技術分野 本発明は改良された収着能力を有する吸収性材料の製造方法、本方法で得られ る吸収性材料、及びこのような材料を含む吸収性製品に関する。更に、本発明は 前記吸収性材料を含む吸収性構造物の製造方法に関する。 現状の概念では「収着能力」は、吸収性材料が尿、血液及び生理液体のような 体液を含む水または水溶液のような液体を吸収する速度、または吸収性材料の液 体保持力、またはこれらの両方の特徴に向けられている。収着の機構は吸着また は吸収、またはこれらの結びついたものであろう。 現状の概念では「吸収性材料」は、とりわけ、主にセルロース繊維からなる、 いかなる紙または紙状構造物を含もうとしており、これの主要な用途は尿、血液 及び生理液体のような体液を含有する水または水溶液のような液体を吸収するこ とである。このような紙の典型例は衛生紙および化粧積層物の製造向けに熱硬化 樹脂で含浸される紙である。 背景技術 ウルマン（Ｕｌｌｍａｎｎ）のｅｎｃｙｃｌｏｐｅｄｉａ ｏｆ ｉｎｄｕｓ ｔｒｉａｌ ｃｈｅｍｉｓｔｒｙ，Ｖｏｌ．Ａ １８，ｐａｇｅ ６６３，１９ ９１（これにより参照して組み入れられる）に記載されるように、衛生紙という 用語はセルロースの詰め物、柔らかなティッシュー、並びにクレープ紙を包含し 、全てが家庭内または衛生分野において有用である。これらの分野で用いられる 時、衛生紙の液体吸収速度および液体保持能力が重要である事がよく知られてい る。これは生理用品（例えば生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン等 ）、子供用おむつ、包帯、成人用失禁用品、などのような吸収性製品に関し特に 役立ち；良好な液体吸収および液体保持能力はこのような製品の機能の明らかな 必要条件である。しかしながら、使用するとき、この種の製品は使用者の体重お よび動きにより負わされた圧力に常にさらされ、そしてこのように液体保持能力 が圧力下でも吸収した液体を保持するのに十分なだけ高いことが重要である。更 に、使用者に良好な快適さを与えるため、製品は乾いた感覚を提供しなければな らず、これは製品により使用者の皮膚のいかなる再湿潤も避けるべきであること を意味し、そしてこれは液体保持能力に関する要求を更に高める。従来、「超吸 収体」として知られ、水と接触するとヒドロゲルを生成するあるポリマー材料が このような製品の収着能力を高める為用いられてきた；しかしながら、製品のこ の能力は高められたが、液体は超吸収体粒子に結びつくので、衛生紙自体を作っ ているセルロース繊維の収着能力は実際このような超吸収体の使用により高めら れない。 セルロース材料の収着能力が重要な他の分野は積層用であり、米国特許第３， ３７３，０７１号に述べられているような、特にいわゆる化粧積層物である。こ のような積層物は従来少なくとも３つの層を含み；これらは耐摩耗表面層、耐摩 耗表面層の下の印刷または模様の層、並びに耐摩耗表面層および印刷層を支えて いる芯層である。全ての層は、熱硬化性樹脂を含浸した紙シートより成っている 。耐摩耗表面層は通常メラミン樹脂を含浸した半透明の紙から成る。含浸は樹脂 の水溶液に紙を浸す事により行なう。明らかに紙の収着能力が含浸効率にとって 重大な指標となる。 発明の開示 本発明で解決されるべき課題は、このように改良された収着能力を有する吸収 性材料の製造方法を提供する事である。 この課題は添付の請求項により明らかにされる方法により解決される。より明 確には、本発明は改良された収着力を有する吸収性材料の製造方法に関し、この 材料がセルロース繊維を含み、この中で繊維を、水の存在下で、少なくとも５０ ｍ²／ｇの比表面積を有する疎水性物質により、繊維が少なくとも２０％の乾燥 物含量を持つときこの物質および繊維を一緒にする事により処理する。 発明を実施する為の最良の方法 定める種類の疎水性物質により課せられた改良された収着特性の背後の理由は 、本物質がセルロース繊維の中や表面に自然に発生する表面活性物質を吸収する 事であろうと考えられる。 疎水性物質により繊維を「処理」するという事は本物質の粒子を繊維の乾燥物 含量が少なくとも約２０％、好ましくは少なくとも約２５％、そして最も好まし くは少なくとも約３０％のとき繊維の近くに持ってくるか、接触させる事を意味 する。これは本方法が一度ウェッブの排水または脱水が完了してから吸収紙の製 造工程において行っても良いことを意味する。この出願において「ウェッブ」は 「シート」の概念をも含む。好ましくは、粒子は少なくとも約１０秒間、好適に は少なくとも約５秒間、そして特に少なくとも約２秒間繊維の近くに置くか、ま たは接触させる。 以下に述べるように修正したＤＩＮ６６１３１標準法により決定された、疎水 性物質粒子の比表面積は、少なくとも約５０ｍ²／ｇ、好ましくは少なくとも約 １００ｍ²／ｇ、最も好ましくは少なくとも約２００ｍ²／ｇである。活性炭では 比表面積約１０００ｍ²／ｇ、タイプＺＳＭ−５およびタイプＡゼオライトにつ いては比表面積約５００ｍ²／ｇであり、一方ゼオライトＸおよびＹは両方とも 比表面積約８００ｍ²／ｇを有する。 疎水性物質は実質的に水に溶解しないいかなる物質でも良く、上述する比表面 積を有する限りでは、好ましくは約１ｇ／水１００ｇより高くなく、好適には約 ０．１ｇ／水１００ｇより高くない溶解度を有する。有用な疎水性物質の典型例 は活性炭、疎水性ゼオライト、並びにポリテトラフルオロエチレン（即ちテフロ ン）である。物質は好ましくは多孔質である。特に好ましい疎水性物質の実施態 様において疎水性物質は以下に述べる残留ブタノール試験により決定される約０ ．９９重量％未満、好ましくは約０．９０重量％未満、好適には約０．７０重量 ％未満の残留ブタノールの疎水性を有する活性炭またはゼオライトである。特に 好ましいゼオライトはＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃のモル比約５を有するものである。 疎水性物質は繊維へ濡れた状態は勿論、乾燥した状態でもたらされても良いけ れど、この物質は、通常分散液またはスラリーとして水性の混合物に含まれるこ とが好ましい。混合物はウェッブに、便利には噴霧またはシャワーすることによ り加える。加える物質の量はメートル法の乾燥パルプトン当たり約０．１〜１０ ｋｇ、好ましくはトン当たり約０．５〜５ｋｇである。任意にこの処理は、好ま しくは水性混合物に含まれる物質をウェッブ上に注ぐかまたはウェッブをこのよ うな混合物に沈めることにより行っても良い。 この処理は保持剤の存在下で、望まれる効果を与えるのに十分長く、物質粒子 の十分な量が繊維と接触したままか、または繊維の近くにあるままであることを 確実とするため行っても良い。好ましい保持剤の典型的なものは、澱粉、セルロ ース誘導体、キサンタンガムおよびグアールガムのような多糖類、およびポリア クリルアミド（ＰＡＭ）、ポリアミドアミン（ＰＡＡ）、ポリジアリルジメチル アンモニュウムクロライド（ｐｏｌｙＤＡＤＭＡＣ）、ポリエチレンイミン（Ｐ ＥＩ）並びにポリエチレンオキサイド（ＰＥＯ）のような合成的に生産されたホ モポリマー、またはこれらのコポリマーである。 この物質は処理の後も吸収紙に残るであろうが、これは本発明にとって重要で あるとは考えない。実際、もし約６５％未満、例えば３０％未満、または約１％ 程に少ない処理に用いる物質が処理後に吸収紙に存在するとしても、吸収効果は 処理されてない紙に比較した時、著しく高まる。ある例においてはしかしながら 十分な量の物質を紙に残しておくのは有利であろうが、例えば物質が、米国特許 第４，８２６，４９７号およびＷＯ９１／１１９７７に開示されているように、 吸収性製品、例えば子供用おむつおよび生理用品、にこのような除臭性能を提供 する疎水性ゼオライトである時；しかしながらこれらの文献ではゼオライトは水 の存在下で繊維の処理に用いられてないことに注目すべきである。 本発明はまた本方法により得られる吸収性材料、特に衛生紙、そして子供用お むつ、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、包帯、成人用失禁用品 、トイレットペーパー、ハンカチーフ、キッチンタオル、ハンドタオル、フェー スタオル、ナプキンのような吸収性製品、およびこのような紙を含む同様な製品 に関する。更に、本発明はこのような吸収性材料を含む吸収性構造物の製造方法 に関する。 他の実施態様では吸収性材料は熱硬化性樹脂を含浸する紙でありそして特に装 飾用積層物の上張り層として、積層物の製造で用いる。 吸収性材料、例えば衛生紙は、いかなる適合する製紙方法で製造しても良い。 柔らかいティッシューおよびセルロースの詰め物の品質は、いわゆるヤンキーマ シーン、すなわち乾燥がヤンキーシリンダーまたはヤンキードライヤー（これは 大きな直径を有する乾燥シリンダー及び紙のウェッブの乾燥に大きな原因となる 磨かれた表面である）上で実質的に行われる製紙機、により通常製造される。通 常濡れたウェッブはヤンキーシリンダーへ２０〜３５％の乾燥状態で一つか二つ の圧力ロールで付着し；このような状況では、本発明は最初の圧力ロールの前に 置いた噴霧シャワーにより行っても良い。 パルプシートを構成する繊維は通常木、慣習的にはチップの形状、を繊維また は繊維の束へ分解することにより得られ；現在の状況では“繊維の束”の概念は “繊維”の概念と同等とみなす。この分離した繊維は当業者に知られるいかなる パルプ製造方法、好ましいパルプは、例えば、硫酸塩および亜硫酸塩のような化 学パルプではあるが、例えば機械パルプ（ＭＰ）、と石砕木パルプ（ＳＧＷ）、 加圧砕木パルプ（ＰＷＧ）、精製機械パルプ（ＲＭＰ）、熱機械パルプ（ＴＭＰ ）、化学機械パルプ（ＣＭＰ）、または化学熱機械パルプ（ＣＴＭＰ）の製造方 法により得ても良い。しかしながら、このセルロース繊維は木綿繊維であっても よい。他のもっともな繊維の出所は故紙からの再生繊維である。 本発明は以下に実施例によりより詳しく説明する。特に記されなければ以下の 部およびパーセントは重量部および重量パーセントで示す。以下の実施例におい て、得られる吸収性材料は再湿潤および／または吸収速度に関して試験する。吸 収速度を決める試験方法はＳＣＡＮ−Ｐ−６１−８７で、この試験で６校のティ ッシューの束からなる試験サンプルがこの試験の為に特別に設計された装置の中 へ置かれ、この装置はティッシューの表面にそれぞれ流れ方法、横方向、垂直方 向への水の浸入を検知するための電極を備えている。ある量の水をティッシュー 上に加えてから電極が浸入を検知するまでの時間の経過をそれぞれの方向につい て決定する。材料を浸入するのに必要な時間がより短い方が、材料の吸収速度が より高い。 実施例１〜２ ４０％のユーカリ類の木の硫酸塩パルプ、３６％の松の硫酸塩パルプ、２４％ のトウヒ類の亜硫酸塩パルプを含むパルプ組成から作られたティッシューをこの 実施例で使用した。ティッシューの坪量は１８．６ｇ／ｍ²であった。０．２％ のゼオライトを含有する水溶液を一つのサンプルに噴霧し；前記ゼオライトは、 Ｙ型でありそして残留ブタノール試験により決定される疎水性は残留ブタノール ０．２８％、そしてＳｉＯ₂／Ａｌ₂Ｏ₃の比は２９を有した。比表面積は、ＤＩ Ｎ６６１３１（いわゆるＢＥＴ法）に基づいた方法により約８００ｍ²／ｇであ ることが測定され、この方法では面積が相対的圧力Ｐ／Ｐ_oが０．０３の一点で 決定される。サンプルに加えられたゼオライトの量は乾燥ティッシュー１メート ルトンあたりゼオライト３ｋｇに相当する。ティッシューサンプルは乾燥されそ して次に吸収速度の決定を試験された。実施例１はゼオライトを加えない比較例 である。結果は以下の表１に示す。 本発明に係り処理したティッシューは処理してないティッシューよりこのよう に明らかに早い吸収速度を有する。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号 ＦＩ テーマコート゛(参考） Ｄ２１Ｈ 21/22 Ａ６１Ｆ 13/18 ３０７Ｂ (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＩ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，Ｌ Ｕ，ＭＣ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＯＡ(ＢＦ，ＢＪ，ＣＦ ，ＣＧ，ＣＩ，ＣＭ，ＧＡ，ＧＮ，ＭＬ，ＭＲ，ＮＥ， ＳＮ，ＴＤ，ＴＧ)，ＡＰ(ＧＨ，ＫＥ，ＬＳ，ＭＷ，Ｓ Ｄ，ＳＺ，ＵＧ)，ＥＡ(ＡＭ，ＡＺ，ＢＹ，ＫＧ，ＫＺ ，ＭＤ，ＲＵ，ＴＪ，ＴＭ)，ＡＬ，ＡＭ，ＡＴ，ＡＵ ，ＡＺ，ＢＡ，ＢＢ，ＢＧ，ＢＲ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＨ， ＣＮ，ＣＵ，ＣＺ，ＤＥ，ＤＫ，ＥＥ，ＥＳ，ＦＩ，Ｇ Ｂ，ＧＥ，ＨＵ，ＩＬ，ＩＳ，ＪＰ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＣ，ＬＫ，ＬＲ，ＬＳ，ＬＴ，ＬＵ， ＬＶ，ＭＤ，ＭＧ，ＭＫ，ＭＮ，ＭＷ，ＭＸ，ＮＯ，Ｎ Ｚ，ＰＬ，ＰＴ，ＲＯ，ＲＵ，ＳＤ，ＳＥ，ＳＧ，ＳＩ ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＭ，ＴＲ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＧ，ＵＺ， ＶＮ (72)発明者 マルムボルグ ケアスティン スウェーデン国、エス―440 74 ヒャル テビー、エルジーエイチ 36、オーヴァー ガードスヴァゲン 97、

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １． セルロース繊維を含む改良された収着能力を有する吸収性材料の製造方 法であって、繊維を、水の存在下で、少なくとも５０ｍ²／ｇの比表面積を有す る疎水性物質により、繊維が少なくとも２０％の乾燥物含量を有するとき前記物 質と繊維を一緒にすることにより、処理することを特徴とする前記製造方法。 ２． セルロース繊維の水溶性懸濁液を排水することによりウェッブを形成し 、次にこのウェッブを圧縮および／または乾燥し、このウェッブを脱水の後に前 記物質で処理することを特徴とする請求項１に記載の方法。 ３． 前記繊維に前記物質と水を含む混合物を噴霧するかシャワーすることを 特徴とする請求項１または２に記載の方法。 ４． 前記物質が残留ブタノール試験により決定される約０．９９重量％未満 の残留ブタノール疎水性を有する活性炭またはゼオライトであることを特徴とす る請求項１〜３のいずれか一項に記載の方法。 ５． 請求項１〜４のいずれか一項に記載された方法により得られる吸収性材 料。 ６． 前記材料が紙であることを特徴とする請求項５に記載の吸収性材料。 ７． 前記材料が衛生紙であることを特徴とする請求項５または６に記載の吸 収性材料。 ８． 前記衛生紙がセルロースの詰め物、柔らかいティッシューまたはクレー プ紙であることを特徴とする請求項７に記載の吸収性材料。 ９． 前記吸収性材料が約３０ｇ／ｍ²未満の坪量を有することを特徴とする 請求項５〜８のいずれか一項に記載の吸収性材料。 １０． 請求項５〜９のいずれか一項に記載の吸収性材料を含む吸収性製品。 １１． 前記吸収性製品が子供用おむつ、生理用ナプキン、パンティーライナー 、タンポン、包帯、成人用失禁用品、トイレットペーパー、ハンカチーフ、キッ チンタオル、ハンドタオル、フェースタオル、またはナプキンであることを特徴 とする請求項１０に記載の吸収性製品。 １２． 前記紙が装飾用積層物における上張りとして用いられることを特徴とす る請求項６に記載の吸収性材料。 １３． 請求項１２に記載の紙を含む装飾用積層物。 １４． セルロース繊維を含み、構造が改良された収着力を有する吸収性材料を 含む吸収性構造物の製造方法であって、前記セルロース繊維が、水の存在下で、 少なくとも５０ｍ²／ｇの比表面積を有する疎水性物質で、少なくとも２０％の 繊維の乾燥物含量において前記物質と繊維を一緒にすることにより処理すること を特徴とする、前記製造方法。