[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2000327777A - ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 - Google Patents

ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Info

Publication number
JP2000327777A
JP2000327777A JP11143550A JP14355099A JP2000327777A JP 2000327777 A JP2000327777 A JP 2000327777A JP 11143550 A JP11143550 A JP 11143550A JP 14355099 A JP14355099 A JP 14355099A JP 2000327777 A JP2000327777 A JP 2000327777A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
derivative
polyimide precursor
polyimide
general formula
precursor solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11143550A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahiro Ono
貴博 小野
Nagayasu Kaneshiro
永泰 金城
Yoshiaki Echigo
良彰 越後
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unitika Ltd
Original Assignee
Unitika Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unitika Ltd filed Critical Unitika Ltd
Priority to JP11143550A priority Critical patent/JP2000327777A/ja
Publication of JP2000327777A publication Critical patent/JP2000327777A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高濃度であるにもかかわらず低粘度であり、
架橋性のポリイミド前駆体を溶質として溶媒中に含有し
ているポリイミド前駆体溶液、それから得られる良好な
物性と耐熱性を有するポリイミド塗膜及びその製造方法
を提供する。 【解決手段】 芳香族ジアミン、芳香族テトラカルボン
酸及び/又はその誘導体及び重合可能な炭素−炭素不飽
和基を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体よりな
る塩を溶質として溶媒中に含有しており、芳香族テトラ
カルボン酸及び/又はその誘導体と重合可能な炭素−炭
素不飽和基を有するジカルボン酸及び/又はその誘導体
との比が95:5〜50:50であるポリイミド前駆体
溶液。このポリイミド前駆体溶液基材上に塗工し、加熱
重合することによりポリイミド塗膜を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、架橋性のポリイミ
ド前駆体を溶質として溶媒中に含有しているポリイミド
前駆体溶液、このポリイミド前駆体溶液から得られる架
橋したポリイミド塗膜及びその製造方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは、その優れた耐熱性、機械
的特性から、近年、特に電気、電子産業、自動車産業、
宇宙、航空産業などにおいて注目を集めているエンジニ
アリングプラスチックの一つであり、高い需要が見込ま
れている。多くのポリイミドは有機溶剤に難溶又は不溶
であるために種々の用途において、有機溶剤に可溶であ
るポリイミド前駆体溶液が用いられてきた。このポリイ
ミド前駆体溶液として、下記一般式に示すポリアミド酸
の溶液が知られている。
【0003】
【化4】
【0004】これらポリアミド酸溶液は、溶媒中で芳香
族ジアミンと芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応さ
せることにより製造されるもので、例えば特公昭36−
10999号公報、特開昭62−275165号公報、
特開昭64−5057号公報、特公平2−38149号
公報、特公平2−38150号公報、特開平1−299
871号公報、特開昭58−122920号公報、特公
平1−34454号公報、特開昭58−185624号
公報、Journal of Polymer Science, Macromolecular R
eviews Vol.11 P.199 (1976)、米国特許第423852
8号明細書、特公平3−4588号公報、特公平7−3
0247号公報、特開平7−41556号公報、特開平
7−62095号公報、特開平7−133349号公
報、特開平7−149896号公報、特開平6−207
014号公報、特公平7−17870号公報、特公平7
−17871号公報、IBM Technical Disclosure Bulle
tinVol.20 No.6 P.2041 (1977)等には、溶媒として非
プロトン性極性溶媒を用いたポリアミド酸溶液が開示さ
れており、特開平6−1915号公報には、溶媒として
水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール系化合物、
水溶性ケトン系化合物及び水から選ばれる混合溶媒を用
いたポリアミド酸溶液が開示されている。
【0005】また、ポリイミド前駆体溶液における溶質
としてのポリイミド前駆体としてはポリアミド酸以外に
も種々のポリマーが知られている。例えば、Macuromole
cules Vol.22 P.4477 (1989)やPolyimides and Other H
igh Temperature Polymers.P.45 (1991)には、下記一般
式に示すポリアミド酸エステルが開示されており、
【0006】
【化5】
【0007】Macuromolecules Vol.24 P.3475 (1991)に
は、下記一般式に示すポリアミド酸トリメチルシリルエ
ステルが開示されており、
【0008】
【化6】
【0009】Journal of Polymer Science Part B Vol.
8 P.29 (1970) 、Journal of PolymerScience Part B V
ol.8 P.559 (1970) 、日本化学会誌 Vol.1972 P.1992、
Journal of Polymer Science Polymer Chemistry Editi
on Vol.13 P.365 (1975)には、下記式に示すポリアミド
酸ビス(ジエチルアミド)が開示されている。
【0010】
【化7】
【0011】上述したこれらポリイミド前駆体の溶液は
いずれも高重合度のポリマーの溶液であり、これらポリ
マーの溶液からポリイミド塗膜を得る際は、一般的には
このポリマー溶液を銅、ガラス等の基材上にコーティン
グし、加熱して溶媒を除去し、イミド化を行っている。
【0012】しかし、このような高重合度のポリマー溶
液をコーティングする場合には、その重合度故に溶液の
粘度を塗工可能にするためには、溶質濃度を低くしなけ
ればならないという問題があった。また、生産性を高め
るために、溶質濃度を高めると溶液の粘度が高くなり、
塗工できなくなってしまうという問題もあり、またたと
え塗工できたとしても、機械的、熱的特性に優れた塗膜
やフィルムが得られないという問題があった。さらに、
ポリマー溶液は長期の保存に耐え難く、その重合度を維
持しつつ長期間保存することは極めて困難であった。
【0013】一方、特開平4−1232号公報、特開平
4−11649号公報、特開平4−18443号公報な
どには、不飽和二重結合を有するマレイミド化合物を成
分として含む熱硬化性樹脂組成物が開示されているが、
これらの樹脂組成物を硬化して得られる樹脂は耐熱性、
耐薬品性、難燃性などの点で問題があった。
【0014】
【本発明が解決しようとする課題】上記状況に鑑み、本
発明の課題は、高濃度であるにもかかわらず低粘度であ
り、架橋性のポリイミド前駆体を溶質として溶媒中に含
有しているポリイミド前駆体溶液、それから得られる良
好な物性を有し、耐熱性のポリイミド塗膜及びその製造
方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究した結果、架橋性のモノマーを成分
中に含んでいる特定のモノマーを組み合わせれば、重合
体でなくともそれらモノマーの溶液から、良好な物性を
有し、耐熱性のポリイミド塗膜が得られることを見い出
した。すなわち、後述するポリイミド前駆体溶液は、モ
ノマーの塩を高濃度で溶解しているにもかかわらず、低
粘度を示し、しかも、この溶液からは高強度で耐熱性の
ポリイミド塗膜が得られるとの知見を得、これらの知見
に基づいて、本発明に到達したものである。かかる知見
は、従来、ポリイミド前駆体溶液を構成するポリイミド
前駆体が高重合度のものしか知られていなかったことに
鑑みれば全く驚くべき知見である。
【0016】すなわち、本発明の要旨は、第1に、一般
式(1)に示す芳香族ジアミン(Arは少なくとも1つ
の6員環を含む2価の芳香族残基を表す。)、一般式
(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/又はその誘
導体(Ar’は少なくとも1つの6員環を含む4価の芳
香族残基を表す。)、及び一般式(3)に示すジカルボ
ン酸及び/又はその誘導体(Dは重合可能な炭素−炭素
不飽和結合を有する炭素数2〜10の有機基を表し、
R,R' ,R'',R''' は水素又は炭素数1〜5のアル
キル基を表す。)よりなる塩を溶質として溶媒中に含有
しており、一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸
及び/又はその誘導体と一般式(3)に示すジカルボン
酸及び/又はその誘導体とのモル比が95:5〜50:
50であることを特徴とするポリイミド前駆体溶液であ
る。
【0017】
【化8】
【0018】第2に、前記ポリイミド前駆体溶液から得
られるポリイミド塗膜である。第3に、前記ポリイミド
前駆体溶液を基材上に塗工し、加熱することを特徴とす
るポリイミド塗膜の製造方法である。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明について詳細に説明す
る。まず、本発明で用いる用語について説明する。 (1)ポリイミド ポリマー鎖の繰り返し単位の80モル%以上がイミド構
造を有する有機ポリマーをいう。そして、この有機ポリ
マーは架橋しており、耐熱性を示す。 (2)ポリイミド前駆体 加熱又は、化学的作用により閉環してポリイミドとなる
有機化合物をいう。ここで、閉環とはイミド環構造が形
成されることをいう。またこのポリイミド前駆体は架橋
性の成分を含んでおり、加熱により、イミド化及び架橋
する。
【0020】(3)ポリイミド前駆体溶液 ポリイミド前駆体が溶媒に溶解しているものである。こ
こで溶媒とは、25℃で液状の化合物をいう。 (4)粘度 (株)トキメック社製、DVL−BII型デジタル粘度計
(B型粘度計)を用い、20℃における回転粘度を測定
したものである。
【0021】(5)溶質濃度 溶液中に占めるポリイミド前駆体の重量割合を百分率で
表した数値である。 (6)ポリイミド塗膜 例えば銅、アルミニウム、ガラス等の基材上に形成され
た架橋したポリイミドの膜をいう。これらポリイミド塗
膜のなかで基材と密着したまま使用されるものをポリイ
ミド被覆物といい、基材から剥離して使用されるものを
ポリイミドフィルムという。
【0022】さらに本発明について説明する。以下、本
発明について詳細に説明する。本発明のポリイミド前駆
体溶液は、一般式(1)に示す芳香族ジアミン、一般式
(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/又はその誘
導体、及び一般式(3)に示すジカルボン酸及び/又は
その誘導体よりなる塩を溶質として溶媒中に含有してい
る。一般式(1)においてArは少なくとも1つの芳香
環を有する2価の芳香族残基を表し、一般式(1)に示
す芳香族ジアミンの好ましいものとして4,4’−オキ
シジアニリンが挙げられる。また一般式(2)に示す芳
香族テトラカルボン酸及び/又はその誘導体において、
Ar’は少なくとも1つの芳香環を有する4価の芳香族
残基を表し、R,R’は水素又は炭素数1〜5のアルキ
ル基を表し、一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン
酸及び/又はその誘導体の好ましいものとして下記構造
式(5)に示す3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
トラカルボン酸及び/又はその誘導体が挙げられる。一
般式(3)に示すジカルボン酸及び/又はその誘導体に
おいて、Dは炭素数2〜10の炭素−炭素不飽和結合を
有する有機基を表し、R'',R''' は水素又は炭素数1
〜5のアルキル基を表す。一般式(3)に示すジカルボ
ン酸及び/又はその誘導体のうち好ましいものとして下
記構造式(4)に示すマレイン酸及び/又はその誘導体
が挙げられる。
【0023】
【化9】
【0024】本発明のポリイミド前駆体溶液において、
一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/又は
その誘導体と一般式(3)に示すジカルボン酸及び/又
はその誘導体のモル比を制御することによって、得られ
るポリイミドの熱的特性、機械的特性を制御することが
可能である。そして、本発明においては、一般式(2)
に示す芳香族テトラカルボン酸及び/又はその誘導体と
一般式(3)に示すジカルボン酸及び/又はその誘導体
とのモル比は95:5〜50:50、好ましくは90:
10〜70:30である。一般式(2)に示す芳香族テ
トラカルボン酸及び/又はその誘導体95に対する一般
式(3)に示すジカルボン酸及び/又はその誘導体のモ
ル比が5より少ない場合は、熱硬化性による効果が少な
く、一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/
又はその誘導体50に対する一般式(3)に示すジカル
ボン酸及び/又はその誘導体のモル比が50を超える場
合は耐熱性や難燃性が低くなることがある。
【0025】また、一般式(2)に示す芳香族テトラカ
ルボン酸及び/又はその誘導体の一部を一般式(6)に
示すテトラカルボン酸二無水物に置き換えてもよい。一
般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸及び/又はそ
の誘導体100に対する一般式(6)に示すテトラカル
ボン酸二無水物のモル比は0〜100が好ましい。この
比を調節することによってポリイミド前駆体溶液の粘度
を微調整することができ、一般式(2)に示す芳香族テ
トラカルボン酸及び/又はその誘導体100に対し、一
般式(6)に示すテトラカルボン酸二無水物のモル比が
100を超えると本発明の特徴である低粘度なポリイミ
ド前駆体溶液を得ることができない傾向にある。
【0026】
【化10】
【0027】本発明のポリイミド前駆体溶液において、
溶媒としては、均一な溶液が得られる溶媒であればいか
なる溶媒も用いることができる。好ましいものとして同
一分子内にエーテル基とアルコール性水酸基を有する化
合物、水溶性エーテル系化合物、水溶性アルコール性系
化合物、非プロトン系極性溶媒及びアミン化合物等を挙
げることができ、これらの溶媒は単独もしくは2種以上
を混合して用いることができる。
【0028】具体的には、同一分子内にエーテル基とア
ルコール性水酸基を有する化合物として、例えば、2−
メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−
(メトキシメトキシ)エトキシエタノール、2−イソプ
ロポキシエタノール、2−ブトキシエタノール、テトラ
ヒドロフルフリルアルコール、ジエチレングリコール、
ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコール
モノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエ
チレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレン
グリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エ
トキシ−2−プロパノール、ジプロピレングリコール、
ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピ
レングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレング
リコールモノメチルエーテル、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、これらの
中でジエチレングリコールモノメチルエーテルが好まし
い。
【0029】さらに、水溶性エーテル系化合物として
は、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2
−ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル等が挙
げられ、また、水溶性アルコール系化合物としては、例
えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2
−プロパノール、tert−ブチルアルコール、エチレ
ングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プ
ロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブ
タンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペン
タンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−メ
チル−2,4−ペンタンジオール、1,2,6−ヘキサ
ントリオール等が挙げられ、これらのなかで、テトラヒ
ドロフラン80重量%に対してメタノールを20重量%
用いる混合溶媒が特に好ましい。非プロトン系極性溶媒
としてはN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド等が挙げられ、これらの中で、N,N
−ジメチルホルムアミドを用いるのが特に好ましい。ま
たさらに、アミン化合物としてはいかなるものを用いて
もよいが、第3級アミンを用いることが好ましい。この
中で、トリエチルアミン及びジメチルアミノエタノール
を用いるのが特に好ましい。
【0030】本発明におけるポリイミド前駆体溶液のポ
リイミド前駆体の濃度は30重量%以上が好ましい。3
5重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに
好ましい。ポリイミド前駆体の濃度は、30重量%未満
では、粘度が低すぎて均一な塗膜が得られにくい。ま
た、ポリイミド前駆体溶液の粘度は100ポイズ以下が
好ましく、85ポイズ以下がより好ましく、60ポイズ
以下がさらに好ましい。ポリイミド前駆体溶液の粘度は
100ポイズを超えると含浸用途に使用する際、生産性
が低下することがある。
【0031】本発明におけるポリイミド前駆体溶液は、
一般式(1)に示す芳香族ジアミンと一般式(2)に示
すテトラカルボン酸又はその誘導体及び一般式(3)に
示すジカルボン酸及び/又はその誘導体を溶媒に添加す
ることにより製造することができる。添加する順序はい
かなる順序でもよい。
【0032】さらに、本発明のポリイミド前駆体溶液に
は、必要に応じて例えば、有機シラン、顔料、導電性の
カーボンブラック及び金属粒子のような充填剤、摩滅
剤、誘電体、界面活性剤、潤滑剤等の他公知の添加物を
本発明の効果を損なわない範囲で添加することができ
る。また、他の重合体や例えば水不溶性のエーテル類、
アルコール類、ケトン類、エステル、ハロゲン化炭化水
素類、炭化水素類等の溶媒を本発明の効果を損なわない
範囲で添加することができる。
【0033】ポリイミド塗膜は、ポリイミド前駆体溶液
を基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去し、ポリイミド
前駆体塗膜を得、これを加熱して得られる。加熱するこ
とによってイミド化と架橋とが起こる。イミド化と架橋
のための温度は200〜400℃が好ましく、250〜
350℃がより好ましい。加熱時間は加熱温度によって
調節することが好ましい。ポリイミドフィルムは、ポリ
イミド前駆体溶液をスリット状ノズルから押し出した
り、バーコーター、スピンコーター等により基材上に塗
工し、乾燥して溶媒を除去した後、これを加熱した後、
基材上から剥離することにより製造することができる。
ポリイミド被覆物を得るには、ポリイミド前駆体溶液を
従来公知のスピンコート法、スプレーコート法、浸漬法
等の方法により基材上に塗工し、乾燥して溶媒を除去し
た後、加熱する。
【0034】本発明のポリイミド前駆体溶液、それから
得られるポリイミド塗膜(ポリイミドフィルム又は被覆
物)は、例えば、耐熱絶縁テープ、耐熱粘着テープ、高
密度磁気記録ベース、コンデンサー、複合材料、FPC
用のフィルム等の製造に用いられる。また、例えば、フ
ッ素樹脂やグラファイト等を充填した摺動部材、ガラス
繊維や炭素繊維で強化した構造部材、小型コイルのボビ
ン、スリーブ、端末絶縁用チューブ等の成形材や成形品
の製造に用いられる。また、パワートランジスターの絶
縁スペーサ、磁気ヘッドスペーサ、パワーリレーのスペ
ーサ、トランスのスペーサ等の積層材の製造に用いられ
る。また、電線・ケーブル絶縁被膜用、太陽電池、低温
貯蔵タンク、宇宙断熱材、集積回路、スロットライナー
等のエナメルコーティング材の製造に用いられる。ま
た、限外ろ過膜、逆浸透膜、ガス分離膜の製造に用いら
れる。また、耐熱性を有する糸、織物、不織布等の製造
にも用いられる。
【0035】
【実施例】以下本発明を実施例により具体的に説明する
が本発明はこれらの実施例により限定されるものではな
い。なお、引っ張り強度はJIS−7127により測定
し、ガラス転移温度はDSC法により測定した。
【0036】実施例1 4,4’−オキシジアニリン348.9g(1.74m
ol)をN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解し
た。これに3,3’4,4’−ビフェニルテトラカルボ
ン酸ジメチルエステル605.75g(1.57mo
l)、マレイン酸モノメチルエステル45.33g
(0.35mol)を加えた。1時間撹拌を続けたとこ
ろ、均一な茶色透明な溶液が得られた(固形分濃度50
重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、6.4ポ
イズであった。さらにこの溶液をフィルムアプリケータ
ーを用いて、ガラス板上に25μmの厚みで塗工し、5
0℃で30分間、80℃で30分間乾燥した後、130
℃で30分間、200℃で30分間、300℃で1時間
加熱してイミド化と架橋反応を行ったところ、厚み9.
9μmのポリイミド塗膜が得られた。この塗膜を剥離し
て得られたポリイミドフィルムの引っ張り強度は13.
4kg/cm2 であった。このポリイミドフィルムのガ
ラス転移温度は330℃であった。
【0037】実施例2 4,4’−オキシジアニリン364.96g(1.82
mol)をN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解
した。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸ジメチルエステル492.79g(1.28m
ol)、マレイン酸モノメチルエステル142.24g
(1.09mol)を加えた。1時間撹拌を続けたとこ
ろ、均一な茶色透明な溶液が得られた(固形分濃度50
重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、3.4ポ
イズであった。さらにこの溶液をフィルムアプリケータ
ーを用いて、ガラス板上に25μmの厚みで塗工し、5
0℃で30分間、80℃で30分間乾燥した後、130
℃で30分間、200℃で30分間、300℃で1時間
加熱してイミド化と架橋反応を行ったところ、厚み13
μmのポリイミド塗膜が得られた。この塗膜を剥離して
得られたポリイミドフィルムの引っ張り強度は11.7
kg/cm2 であった。このポリイミドフィルムのガラ
ス転移温度は374℃であった。
【0038】実施例3 4,4’−オキシジアニリン382.54g(1.91
mol)をN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解
した。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸ジメチルエステル368.95g(0.96m
ol)、マレイン酸モノメチルエステル248.50g
(1.91mol)を加えた。1時間撹拌を続けたとこ
ろ、均一な茶色透明な溶液が得られた(固形分濃度50
重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、2.5ポ
イズであった。さらにこの溶液をフィルムアプリケータ
ーを用いて、ガラス板上に25μmの厚みで塗工し、5
0℃で30分間、80℃で30分間乾燥した後、130
℃で30分間、200℃で30分間、300℃で1時間
加熱してイミド化と架橋反応を行ったところ、厚み10
μmのポリイミド塗膜が得られた。この塗膜を剥離して
得られたポリイミドフィルムのポリイミド塗膜の引っ張
り強度は11.9kg/cm2 であった。このポリイミ
ドフィルムのガラス転移温度は400℃より高かった。
【0039】実施例4 4,4’−オキシジアニリン382.54g(1.91
mol)をテトラヒドロフラン80重量%、メチルアル
コール20重量%からなる混合溶媒500gに溶解し
た。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカル
ボン酸ジメチルエステル368.95g(0.96mo
l)、マレイン酸モノメチルエステル248.50g
(1.91mol)を加えた。1時間撹拌を続けたとこ
ろ、均一な茶色透明な溶液が得られた(固形分濃度50
重量%)。この溶液の粘度を測定したところ、0.30
ポイズであった。さらにこの溶液をスピンコーターを用
いて、ガラス板上に塗工し、50℃で5時間、80℃で
5時間乾燥した後、10時間かけて130℃まで昇温
し、130℃で30分間、200℃で30分間、300
℃で1時間加熱してイミド化と架橋反応を行ったところ
ポリイミド塗膜が得られた。このポリイミドのガラス転
移温度は400℃より高かった。
【0040】比較例1 4,4’−オキシジアニリン341.42g(1.71
mol)をN−メチル−2−ピロリドン500gに溶解
した。これに3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカ
ルボン酸ジメチルエステル658.58g(1.71m
ol)を加えた。1時間撹拌を続けたところ、均一な茶
色透明な溶液が得られた(固形分濃度50重量%)。こ
の溶液の粘度を測定したところ、9.1ポイズであっ
た。さらにこの溶液をフィルムアプリケーターを用い
て、ガラス板上に25μmの厚みで塗工し、50℃で3
0分間、80℃で30分間乾燥した後、130℃で30
分間、200℃で30分間、300℃で1時間加熱して
イミド化を行ったところ、厚み13μmのポリイミド塗
膜が得られた。この塗膜を剥離して得られたポリイミド
フィルムの引っ張り強度は12.6kg/cm2 であっ
た。このポリイミドフィルムのガラス転移温度は298
℃であった。
【0041】
【発明の効果】以上のように構成されているので、本発
明のポリイミド前駆体溶液は、高濃度であるにもかかわ
らず低粘度であり、架橋性のポリイミド前駆体を溶質と
して溶媒中に含有している。また、このポリイミド前駆
体溶液から得られるポリイミド塗膜は、加熱によってイ
ミド化され、架橋構造が形成されているので、良好な物
性を有し、耐熱性に優れる。したがって、本発明のポリ
イミド前駆体溶液は、大規模集積回路等の層間絶縁膜
や、保護膜の形成に用いられるスピンコート法、複合材
を製造する際の含浸用途等において、優れた効果を有す
るものである。また、本発明のポリイミド塗膜の製造方
法によれば良好な物性と耐熱性を有するポリイミド塗膜
が容易に製造することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 CM041 EC036 EC046 EC056 EH036 EL066 EL106 EN026 EN106 EP016 EU026 EV206 FD206 GH00 4J038 DJ021 DJ031 KA06 NA14 NA21 PB09 PC02 PC03 4J043 PA02 PA19 PB03 QB15 QB23 QB24 QB25 QB26 QB31 QB33 RA06 RA35 SA06 SB01 TA12 TA14 TA22 TA27 TA33 TB01 TB03 UA131 UA132 UB121 UB152 VA021 VA041 XA15 XA16 XA18 XA19 YA06 ZA12 ZA46 ZB03 ZB04 ZB11 ZB13 ZB15 ZB48 ZB51

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1)に示す芳香族ジアミン(A
    rは少なくとも1つの6員環を含む2価の芳香族残基を
    表す。)、一般式(2)に示す芳香族テトラカルボン酸
    及び/又はその誘導体(Ar’は少なくとも1つの6員
    環を含む4価の芳香族残基を表す。)、及び一般式
    (3)に示すジカルボン酸及び/又はその誘導体(Dは
    重合可能な炭素−炭素不飽和結合を有する炭素数2〜1
    0の有機基を表し、R,R' ,R'',R''' は水素又は
    炭素数1〜5のアルキル基を表す。)よりなる塩を溶質
    として溶媒中に含有しており、一般式(2)に示す芳香
    族テトラカルボン酸及び/又はその誘導体と一般式
    (3)に示すジカルボン酸及び/又はその誘導体とのモ
    ル比が95:5〜50:50であることを特徴とするポ
    リイミド前駆体溶液。 【化1】
  2. 【請求項2】 一般式(3)に示すジカルボン酸及び/
    又はその誘導体が構造式(4)に示すマレイン酸及び/
    又はその誘導体(R''及びR''' は水素又は炭素数1〜
    5のアルキル基を表す。)であることを特徴とする請求
    項1記載のポリイミド前駆体溶液。 【化2】
  3. 【請求項3】 一般式(1)に示す芳香族ジアミンが
    4,4’−オキシジアニリンであり、一般式(2)に示
    す芳香族テトラカルボン酸及び/又はその誘導体が構造
    式(5)に示す3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテ
    トラカルボン酸及び/又はその誘導体(R,R' は水素
    又は炭素数1〜5のアルキル基を表す。)であることを
    特徴とする請求項1記載のポリイミド前駆体溶液。 【化3】
  4. 【請求項4】 固形分濃度が30重量%以上で粘度が1
    00ポイズ以下であることを特徴とする請求項1記載の
    ポリイミド前駆体溶液。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のポリイミド前駆体溶液か
    ら得られるポリイミド塗膜。
  6. 【請求項6】 請求項1記載のポリイミド前駆体溶液を
    基材上に塗工し、加熱することを特徴とするポリイミド
    塗膜の製造方法。
JP11143550A 1999-05-24 1999-05-24 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法 Pending JP2000327777A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11143550A JP2000327777A (ja) 1999-05-24 1999-05-24 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11143550A JP2000327777A (ja) 1999-05-24 1999-05-24 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000327777A true JP2000327777A (ja) 2000-11-28

Family

ID=15341362

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11143550A Pending JP2000327777A (ja) 1999-05-24 1999-05-24 ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000327777A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015028106A (ja) * 2013-07-30 2015-02-12 三井化学株式会社 ポリイミド前駆体ワニス、ポリイミド樹脂、およびそれらの用途

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015028106A (ja) * 2013-07-30 2015-02-12 三井化学株式会社 ポリイミド前駆体ワニス、ポリイミド樹脂、およびそれらの用途

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5466732A (en) Polyimide precursor solution, process for producing the solution and moldings and coatings obtained therefrom
US6133407A (en) Polyimide precursor solution, coating film obtained therefrom, and process for producing polyimide coating film
JP2951484B2 (ja) ポリイミド前駆体の粉粒体、その混合物及びその製造方法
JP2014118519A (ja) ポリイミド樹脂溶液
EP0811648B1 (en) Polyimide precursor solution, process for the production thereof and process for producing a film or coating therefrom
JP4589471B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP4475711B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液
JP3262514B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜又はポリイミドフィルム、及びそれらの製造方法
JPH07324163A (ja) ポリアミド酸溶液及びその製造方法
JP2000327777A (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP5477327B2 (ja) ポリイミド樹脂の製造方法
JP2000234023A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP2000319391A (ja) ポリイミド前駆体水溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP2000248178A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JPH11209608A (ja) ポリイミド前駆体溶液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JP4372261B2 (ja) ポリイミド塗膜及びその製造方法
JP3510689B2 (ja) ポリアミド酸溶液の製造方法
JP4084465B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
EP0532954B1 (en) Process for producing a granular material of polyimide precursor.
JP4260967B2 (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られる塗膜及びその製造方法
JP2000290369A (ja) ポリイミド前駆体分散液、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JPH07118528A (ja) ポリアミド酸の溶液、その製造方法、及びそれから得られる被覆物
JP2000053862A (ja) ポリイミド前駆体溶液及びその製造方法、それから得られるポリイミド塗膜及びその製造方法
JPH07324134A (ja) ポリアミド酸溶液及びその製造方法
JP2001277265A (ja) ポリイミドシームレスチューブ及びその製造方法