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JP2000315654A - 位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法、量子コンピュータにおける量子ビット素子構造および量子相関ゲート素子構造 - Google Patents

位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法、量子コンピュータにおける量子ビット素子構造および量子相関ゲート素子構造

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Publication number
JP2000315654A
JP2000315654A JP11124378A JP12437899A JP2000315654A JP 2000315654 A JP2000315654 A JP 2000315654A JP 11124378 A JP11124378 A JP 11124378A JP 12437899 A JP12437899 A JP 12437899A JP 2000315654 A JP2000315654 A JP 2000315654A
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JP
Japan
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quantum
quantum dot
substrate
level
nitride semiconductor
Prior art date
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JP11124378A
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English (en)
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JP3415068B2 (ja
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Katsunobu Aoyanagi
克信 青柳
Koji Kawasaki
宏治 川崎
Kazuo Tsutsui
一生 筒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
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Publication date
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    • B82YSPECIFIC USES OR APPLICATIONS OF NANOSTRUCTURES; MEASUREMENT OR ANALYSIS OF NANOSTRUCTURES; MANUFACTURE OR TREATMENT OF NANOSTRUCTURES
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    • G06N10/00Quantum computing, i.e. information processing based on quantum-mechanical phenomena
    • GPHYSICS
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    • G06NCOMPUTING ARRANGEMENTS BASED ON SPECIFIC COMPUTATIONAL MODELS
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Abstract

(57)【要約】 【課題】GaN、InNあるいはAlNやInGaN、
AlGaNなどの窒化物半導体の量子ドットを位置制御
して形成することができるようにする。 【解決手段】位置制御された液滴エピタキシーによる窒
化物半導体の量子ドットの形成方法であって、金属原料
の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを持つ該基
板の表面に、外部場を加えることによって該基板の該表
面状態を変調して該表面を改質する第一の処理と、上記
第一の処理により上記表面を改質された上記基板に上記
金属原料を供給し、上記表面の改質された場所に結晶成
長により金属液滴を形成する第二の処理と、上記第二の
処理により上記金属液滴を形成された上記基板上に窒素
ソースを供給し、上記金属液滴を窒化して窒化物半導体
の量子ドットを形成する第三の処理とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、位置制御された液
滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成
方法、量子コンピュータにおける量子ビット素子構造お
よび量子相関ゲート素子構造に関し、さらに詳細には、
例えば、量子力学の原理に基づいた量子計算を行うチュ
ーリング型の量子コンピュータを構成する際などにおい
て必要とされるGaN(窒化ガリウム)、InN(窒化
インジウム)あるいはAlN(窒化アルミニウム)など
の単結晶やこれらの混晶(InGaN、AlGaNな
ど)などによるIII−V族窒化物半導体の量子ドット
を形成する際に用いて好適な位置制御された液滴エピタ
キシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法、そ
の方法により形成された量子ドットを用いた量子コンピ
ュータにおける量子ビット素子構造および量子相関ゲー
ト素子構造に関する。
【0002】
【発明の背景】従来より、半導体技術の分野において
は、GaN、InNあるいはAlNなどのIII−V族
窒化物半導体は、光学デバイス材料や電子デバイス材料
などとして極めて有用であると期待されている。
【0003】ところで、上記したような窒化物半導体を
集積回路などへ応用する場合には、窒化物半導体の量子
構造として、直径が数十ナノメートル(nm)程度ある
いはそれ以下の球体形状や、一辺が数十ナノメートル
(nm)程度あるいはそれ以下の方体形状を備えた微小
な量子ドットを形成する必要がある。
【0004】しかしながら、従来においては液滴エピタ
キシーによりガリウム砒素(GaAs)の量子ドットを
形成する手法は提案されているが、現在までのところG
aN、InNあるいはAlNやInGaN、AlGaN
などの窒化物半導体の量子ドットを形成する手法は提案
されておらず、窒化物半導体の量子ドットを形成する手
法の案出が強く望まれているものであった。
【0005】ところで、近年、古典力学に基づいた既存
のデジタル・コンピュータに対して、量子力学の原理に
基づいた量子計算を行う量子コンピュータの概念が提唱
されてきている。
【0006】こうした量子コンピュータを実現するため
には、現在のデジタル・コンピュータのビットの概念に
相当する量子ビットを実現するための量子ビット素子
と、2個の量子ビットの演算を行う量子相関ゲート素子
とが必要であることが現在までに判明している。
【0007】ここで、以降の説明の理解を容易にするた
めに、量子ビットならびに量子相関ゲートについて説明
しておくこととする。
【0008】古典力学の原理に基づく既存のデジタル・
コンピュータにおいては、“0”と“1”による「ビッ
ト」に対して、アンド(AND)やオア(OR)などの
論理ゲートを作用させることによって、加算やフーリエ
変換などの演算を行うことのできる回路を構築するよう
になされている。こうした「ビット」に対応する概念と
して、量子コンピュータにおいては「量子ビット」とい
う概念が導入されている。
【0009】物質のミクロな性質を支配する量子力学に
よれば、電子などの粒子(この明細書においては、電子
について説明する。)の状態は、いろいろな状態の重ね
合わせで表される。即ち、量子力学においては、とりう
ることのできる状態が2つしかない場合には、そのエネ
ルギーが大きい方の状態を「|1>」と表すとともに、
そのエネルギーが低い方の状態を「|0>」と表すこと
にすると、電子の状態は|1>と|0>との重ね合わせ
状態にあるものと言うことができる。こうした概念を、
従来のビットに利用するのが、量子ビットの考え方であ
る。
【0010】即ち、“0”か“1”かが確定的な従来の
ビットに対して、量子ビットでは、量子ビットの状態は
“0”か“1”かのどちらとは言えず、ある確率で
“0”の状態があり、また、ある確率で“1”の状態が
あると言えるだけである。即ち、このような状態が、重
ね合わせ状態と称されているものである。
【0011】従って、量子ビットの物理的実態は、|1
>と|0>との2つの量子準位を備えた2準位系である
と言える。
【0012】また、量子相関ゲートとは、上記したよう
な2個の量子ビットの演算を行って量子ビットを操作す
るゲートであるが、その演算とは図1に示すようなもの
である。
【0013】即ち、量子相関ゲートは可換であり、ある
状態の2個の量子ビットに作用して、他の状態の2個の
量子ビットを得ることができるようにしたものである。
【0014】具体的には、図1(a)に概念的に示すよ
うに、量子相関ゲートは、量子相関ゲートによる作用を
受ける前の2個の量子ビットのうちの一方(2個の量子
ビットのうちの基準となる量子ビットであり、以下、
「コントロールビット」と称する。)の状態を「A」と
するとともに、量子相関ゲートによる作用を受ける前の
2個の量子ビットのうちの他方(2個の量子ビットのう
ちの「コントロールビット」による影響を受ける量子ビ
ットであり、以下、「ターゲットビット」と称する。)
の状態を「B」とすると、量子相関ゲートの作用を受け
た後の2個の量子ビットとして、図1(b)の真理値表
に概念的に示すように、量子相関ゲートによる作用を受
ける前のコントロールビットの状態と同じ状態たる
「A」と、量子相関ゲートによる作用を受ける前のコン
トロールビットの状態たる「A」とターゲットビットの
状態たる「B」との排他的論理和「X」を得ることがで
きるものである。
【0015】そして、本願出願人は、上記したような量
子ビットならびに量子相関ゲートを実現することのでき
る実際的な構成として、特願平10−232590号
「量子コンピュータにおける量子ビット素子構造および
量子相関ゲート素子構造」(出願日:平成10年8月1
9日)を提案している。
【0016】この特願平10−232590号「量子コ
ンピュータにおける量子ビット素子構造および量子相関
ゲート素子構造」に係る発明の原理は、直径が数十ナノ
メートル(nm)程度あるいはそれ以下の球体形状や、
一辺が数十ナノメートル(nm)程度あるいはそれ以下
の方体形状を備えた微小な2つの量子ドットを近接させ
て配置して、トンネル効果によって当該2つの量子ドッ
トの間で電子を移動可能に、1個の電子を当該2つの量
子ドットの間で行き来させて|1>と|0>との2つの
状態にするものである。
【0017】ここで、上記した2つの量子ドットの距離
は近ければ近いほど好ましいものであるが、こうした2
つの量子ドットを形成する位置をリソグラフィの技術を
用いて制御しようとする場合には、2つの量子ドットの
距離を近接するにあたって技術的な限界があるため、2
つの量子ドットを極めて近接した位置に制御して配置す
ることを可能にした量子ドットの形成の手法の案出が強
く望まれているものであった。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな従来の技術に対する強い要望に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、GaN、InNある
いはAlNやInGaN、AlGaNなどの窒化物半導
体の量子ドットを位置制御して形成することができるよ
うにして、それにより2つの窒化物半導体の量子ドット
を極めて近接した位置に制御して配置することを可能に
し、例えば、量子ビットならびに量子相関ゲートを実現
することのできるようにした位置制御された液滴エピタ
キシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法を提
供しようとするものである。
【0019】また、本発明は、上記した位置制御された
液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形
成方法により形成された量子ドットを用いた量子コンピ
ュータにおける量子ビット素子構造および量子相関ゲー
ト素子構造を提供しようとするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、位置制御された液滴エピタキシーによる
窒化物半導体の量子ドットの形成方法であって、 金属
原料の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを持つ
該基板の表面に、外部場を加えることによって該基板の
該表面状態を変調して該表面を改質する第一の処理と、
上記第一の処理により上記表面を改質された上記基板に
上記金属原料を供給し、上記表面の改質された場所に結
晶成長により金属液滴を形成する第二の処理と、上記第
二の処理により上記金属液滴を形成された上記基板上に
窒素ソースを供給し、上記金属液滴を窒化して窒化物半
導体の量子ドットを形成する第三の処理とを有するよう
にしたものである。
【0021】また、本発明は、上記した発明において、
さらに、上記第三の処理により形成された窒化物半導体
の量子ドットを、所定の温度で所定の時間だけ熱処理す
る第四の処理とを有するようにしたものである。
【0022】ここで、上記第三の処理においては、低温
で上記金属液滴を形成された上記基板に窒素ソースを供
給し始めて上記金属液滴の表面のみを窒化させ、その後
に窒化中に温度を上げて結晶化を促進することができ
る。
【0023】また、上記第三の処理においては、低温で
上記金属液滴を形成された上記基板に窒素ソースを供給
し始めて上記金属液滴の表面のみを窒化させ、その後に
窒化中に温度を上げて結晶化を促進する際に、外部場を
加えて結晶化を促進することができる。
【0024】また、上記第三の処理においては、低温で
上記金属液滴を形成された上記基板に窒素ソースを供給
し始めて上記金属液滴の表面のみを窒化させ、その後に
窒化中に低温のままで外部場を加えて結晶化を促進する
ことができる。
【0025】また、上記第四の処理においては、熱処理
する外部場を加えるようにしてもよい。
【0026】また、上記外部場は、光、電子、イオンま
たはラジカル、あるいはそれらの組み合わせとすること
ができる。
【0027】また、上記金属原料は、III族の金属と
することができる。
【0028】また、上記基板は、サファイア基板、炭化
シリコン基板、石英基板、窒化ガリウム基板またはフッ
化カルシウム基板とすることができる。
【0029】また、上記窒素ソースは、窒素、窒素ラジ
カル、アンモニアまたはアンモニアラジカルとすること
ができる。
【0030】また、本発明は、第1の量子準位をもつ第
1の量子ドットと、上記第1の量子準位とは異なる第2
の量子準位をもつ第2の量子ドットとを有し、トンネル
効果により上記第1の量子ドットと上記第2の量子ドッ
トとの間を電子が自由に移動可能なように、上記第1の
量子ドットと上記第2の量子ドットとを近接して配置
し、さらに、電子が1個だけ存在するようにしたもので
ある量子コンピュータにおける量子ビット素子構造にお
いて、上記第1の量子ドットおよび上記第2の量子ドッ
トを、請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求
項6、請求項7、請求項8、請求項9または請求項10
のいずれか1項に記載の位置制御された液滴エピタキシ
ーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法により形
成するようにしたものである。
【0031】また、本発明は、第1の量子準位をもつ第
1の量子ドットと、上記第1の量子準位より下の第2の
量子準位をもつ第2の量子ドットとを有し、トンネル効
果により上記第1の量子ドットと上記第2の量子ドット
との間を電子が自由に移動可能なように、上記第1の量
子ドットと上記第2の量子ドットとを近接して配置し、
さらに、電子が1個だけ存在するようにした第1の量子
ビット素子構造と、第3の量子準位をもつ第3の量子ド
ットと、上記第3の量子準位より下の第4の量子準位を
もつ第4の量子ドットとを有し、トンネル効果により上
記第3の量子ドットと上記第4の量子ドットとの間を電
子が自由に移動可能なように、上記第3の量子ドットと
上記第4の量子ドットとを近接して配置し、さらに、電
子が1個だけ存在するようにした第2の量子ビット素子
構造とを有し、上記第1のビット素子構造と上記第2の
ビット素子構造とを、上記第1の量子ドットと上記第3
の量子ドットとが対向するとともに、上記第2の量子ド
ットと上記第4の量子ドットとが対向するように配置
し、上記第1の量子ドットと上記第3の量子ドットとが
電気的に接続され、上記第2の量子ドットと上記第4の
量子ドットとが電気的に接続され、さらに、上記第1の
量子準位と上記第2の量子準位との準位差と、上記第3
の量子準位と上記第4の量子準位との準位差とが異なる
ように設定されたものである量子コンピュータにおける
量子相関ゲート素子構造において、上記第1の量子ドッ
ト、上記第2の量子ドット、上記第3の量子ドットおよ
び上記第4の量子ドットを、請求項1、請求項2、請求
項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求
項9または請求項10のいずれか1項に記載の位置制御
された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドッ
トの形成方法により形成するようにしたものである。
【0032】ここで、上記第1の量子ドットと上記第3
の量子ドットとは、第1の可変コンデンサを介して容量
的に接続され、上記第2の量子ドットと上記第4の量子
ドットとは、第2の可変コンデンサを介して容量的に接
続されるようにしてもよい。
【0033】また、本発明は、第1の量子準位をもつ第
1の量子ドットと、上記第1の量子準位より下の第2の
量子準位をもつ第2の量子ドットとを有し、トンネル効
果により上記第1の量子ドットと上記第2の量子ドット
との間を電子が自由に移動可能なように、上記第1の量
子ドットと上記第2の量子ドットとを近接して配置し、
さらに、電子が1個だけ存在するようにした第1の量子
ビット素子構造と、第3の量子準位をもつ第3の量子ド
ットと、上記第3の量子準位より下の第4の量子準位を
もつ第4の量子ドットとを有し、トンネル効果により上
記第3の量子ドットと上記第4の量子ドットとの間を電
子が自由に移動可能なように、上記第3の量子ドットと
上記第4の量子ドットとを近接して配置し、さらに、電
子が1個だけ存在するようにした第2の量子ビット素子
構造とを有し、上記第1のビット素子構造と上記第2の
ビット素子構造とを、上記第1の量子ドットと上記第4
の量子ドットとが対向するとともに、上記第2の量子ド
ットと上記第3の量子ドットとが対向するように配置
し、上記第1の量子ドットと上記第4の量子ドットとが
電気的に接続され、上記第2の量子ドットと上記第3の
量子ドットとが電気的に接続され、さらに、上記第1の
量子準位と上記第2の量子準位との準位差と、上記第3
の量子準位と上記第4の量子準位との準位差とが異なる
ように設定されたものである量子コンピュータにおける
量子相関ゲート素子構造において、上記第1の量子ドッ
ト、上記第2の量子ドット、上記第3の量子ドットおよ
び上記第4の量子ドットを、請求項1、請求項2、請求
項4、請求項5、請求項6、請求項7、請求項8、請求
項9または請求項10のいずれか1項に記載の位置制御
された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドッ
トの形成方法により形成するようにしたものである。
【0034】ここで、上記第1の量子ドットと上記第4
の量子ドットとは、第1の可変コンデンサを介して容量
的に接続され、上記第2の量子ドットと上記第3の量子
ドットとは、第2の可変コンデンサを介して容量的に接
続されるようにしてもよい。
【0035】また、上記第1の量子ビット素子構造は、
第3の可変コンデンサを介して第1の単電子トランジス
タに接続され、上記第4の量子ビット素子構造は、第4
の可変コンデンサを介して第2の単電子トランジスタに
接続されるようにしてもよい。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、添付の図面に基づいて、本
発明の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半
導体の量子ドットの形成方法、量子コンピュータにおけ
る量子ビット素子構造および量子相関ゲート素子構造の
実施の形態の一例を詳細に説明するものとする。
【0037】ここで、図2(a)(b)(c)(d)に
は、本発明の位置制御された液滴エピタキシーによる窒
化物半導体の量子ドットの形成方法の実施の形態の一例
の概念説明図が示されている。
【0038】以下、この図2(a)(b)(c)(d)
を参照しながら、本発明の位置制御された液滴エピタキ
シーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法の実施
の形態の一例を詳細に説明する。
【0039】(1)基板:図2(a)参照 本発明の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物
半導体の量子ドットの形成方法においては、基板1上に
窒化物半導体の量子ドット4(図2(c)(d)参照)
を形成するものである。
【0040】ここで、基板1は、窒化物半導体の量子ド
ット14の原料となる、例えば、Ga(ガリウム)、A
l(アルミニウム)、インジウム(In)などのIII
族の金属(なお、本明細書においては、窒化物半導体の
量子ドット4の原料となる金属を「金属原料」と適宜に
称することとする。)を基板1上に三次元成長すること
ができるように、これらの金属原料の表面エネルギーよ
りも低い表面エネルギーを持つものとする。つまり、金
属原料の方が、基板1よりも表面エネルギーが高くなる
ようにするものである。
【0041】こうした金属原料の表面エネルギーよりも
低い表面エネルギーを持つ基板1としては、例えば、基
板1の原料(なお、本明細書においては、基板1の原料
を「基板原料」と適宜に称することとする。)としてA
(サファイア)、SiO(石英)、SiC
(炭化シリコン)、GaN(窒化ガリウム)、CaF
(フッ化カルシウム)などのフッ化物などを用いたもの
があげられる。
【0042】即ち、基板の表面エネルギーよりも当該基
板上に堆積させようとする金属の表面エネルギーの方が
高ければ、系のエネルギーを最小にしようとする作用が
起こるために、当該基板上に堆積させようとする金属は
表面積を最小にするように球状に変化しながら成長す
る。なお、こうした成長様式をフォルマ−ウェーバ(V
olmer−Weber)様式(V−W様式)と称して
いる。
【0043】一般に、金属は半導体や絶縁体に比べて表
面エネルギーが高いので、微細な三次元構造を形成する
上で有利であり、上記した金属原料たるGa、Al、I
nなどの金属も、上記した基板原料たるAl、S
iC、SiO、GaN、CaFなどの半導体、絶縁
体に比較して表面エネルギーが高い。
【0044】なお、金属原料と基板原料との組み合わせ
としては、形成させる半導体と基板との格子定数整合性
と電子の閉じ込めという理由から、例えば、金属原料が
Gaである場合には基板原料をAlNとし、金属原料が
Alである場合には基板原料をCaFとし、金属原料
がInである場合には基板原料をGaNとすることが好
ましい。
【0045】また、金属原料を三次元成長させる基板と
しては、上記したAl基板、SiO基板、Ga
N基板、CaF基板などのヘテロ基板を用いることも
できる。
【0046】なお、上記したヘテロ基板を用いた場合に
は、既存のSi集積回路やGaAs集積回路との集積化
可能という点で、サファイア基板、石英基板、窒化ガリ
ウム基板、フッ化カルシウム基板などを用いる場合より
も有効である。
【0047】例えば、基板10としては、Si(シリコ
ン)基板上にCaFをエピタキシャル成長させたもの
を用いることができる。
【0048】CaFは、Si(111)基板上におい
て良好にエピタキシャル成長できる結晶性の絶縁物であ
り、特に、その(111)最表面ではフッ素イオンで終
端されているために、表面エネルギーが極めて低いとい
う特徴を有している。
【0049】なお、Si(111)基板上にCaF
エピタキシャル成長させた基板1としては、例えば、分
子線エピタキシー(MBE)法によりSi(111)基
板上に成長温度800℃でCaFを20nm成長させ
たものを用いることができる。
【0050】(2)金属液滴の形成:図2(b)参照 (2−1)上記「(1)基板:図2(a)参照」におい
て説明された基板1上に、金属原料として、例えば、G
a、Al、InなどのIII族の金属をMBE法あるい
は有機金属気相成長(MOCVD)法などにより供給す
ることにより、基板1上に結晶成長により金属液滴2を
形成する。
【0051】ここで、基板1の表面に光、電子、イオン
またはラジカル、あるいはそれらの組み合わせなどの外
部場を加えることによって当該基板1の表面状態を任意
に変調することにより、当該基板1の表面が改質され
て、その結果形成される吸着に対するポテンシャルの最
も低いところに、優先的に金属原料の供給に伴う結晶成
長における核成長が行われることになり、金属液滴2を
形成する位置を制御することができるようになる。
【0052】例えば、上記「(1)基板:図2(a)参
照」において説明したSi(111)基板上にCaF
をエピタキシャル成長させた基板1について説明する
と、電子ビームを用いてCaFの表面状態を任意に変
調することにより、当該基板1の表面が改質されて、そ
の結果形成される吸着に対するポテンシャルの最も低い
ところに優先的に核成長が行われるものである。
【0053】この点につき、図3(a)(b)(c)に
示す電子ビーム照射による基板表面の改質の原理の説明
図を参照しながら説明すると、図3(a)にはCaF
の表面構造が示されているが、CaF結晶の表面はF
イオンで終端されており、表面エネルギーは金属、半導
体に比べて低く、未結合手が表面に出ていないため、堆
積物質が核形成し難い(図3(a)においては、簡便の
ためにCaイオンは図示を省略している。)。
【0054】こうしたCaF結晶などのフッ化物に電
子などの荷電粒子を照射すると、表面からFイオンが脱
離する。例えば、図3(b)に示すように、CaF
晶に対してAs(砒素)雰囲気中で電子ビームを照射す
ると、電子によるオージェ過程を伴うFイオンの脱離現
象のため表面からFイオンが脱離する。
【0055】このFイオンが脱離した場所は活性なた
め、As原子を取り込む結果として表面がAsで置換さ
れて改質される。即ち、As雰囲気中で電子ビームをC
aF上に照射することで、最表面のFイオンを脱離さ
せ1原子層のAsに置換することができ、これにより表
面の改質が行われる。
【0056】なお、CaF結晶に電子ビームを照射す
る際には、必ずしもAs雰囲気中で行う必要はなく、P
(リン)雰囲気中だと表面がPで置換されて改質され、
また、電子ビーム露光装置内であるならば、表面が残留
炭素によって置換されて改質される。
【0057】そして、図3(c)に示すように、上記の
ようにして表面を改質したCaF結晶の表面に対して
金属原料としてGaを供給すると、CaF結晶の表面
が改質された領域は表面エネルギーが増加する結果、G
aが選択的に集まるようになる。Gaは表面エネルギー
が高いため、球状に凝集して核成長が行われてGaの金
属液滴2が形成される。
【0058】ここで、図4(a)(b)(c)に示した
As膜を堆積したCaF上への電子ビームの照射と自
然形成法によるGaの金属液滴2の位置制御の処理の概
念図を参照しながら、本願出願人による金属液滴2の形
成プロセスの実験の一例を説明する。
【0059】まず、Si(111)基板をMBE装置内
に配置して、Si(111)基板上にMBE法でCaF
を20nm成長させ、続いてAs分子線を用いて表
面に30nmのAsを堆積した。
【0060】次に、上記のようにして処理したSi(1
11)基板をMBE装置から取り出して、取り出したS
i(111)基板を電子ビーム露光システム内に配置し
て、電子ビーム露光システムを用いてスポット露光を周
期的なアレイパターンで行い、表面改質領域を形成した
(図4(a)参照)。
【0061】それから、表面改質領域を形成したSi
(111)基板を電子ビーム露光システムから取り出し
て、取り出したSi(111)基板を表面クリーニング
を行った後、再びMBE装置内に配置して、基板温度5
50℃で過剰なAsを蒸発除去し、最後に基板温度50
0℃で金属原料たるGaを供給して表面改質領域に吸着
させ(図4(b))、これを膜厚換算で1nm乃至2n
m堆積してGaの金属液滴2たるGa液滴を形成した
(図4(c))。
【0062】図5は、上記において図4(a)(b)
(c)を参照しながら説明した実験の結果を示す走査型
顕微鏡(SEM)写真であり、Ga液滴の間隔を150
nmとし、電子ビームの照射量を0.4pC/dotと
した場合を示している。
【0063】この図5のSEM写真に示されているよう
に、電子ビームの露光位置に1個ずつGa液滴が形成さ
れている。
【0064】なお、図4(a)(b)(c)を参照しな
がら説明した手法のように、As膜を堆積したCaF
上へ電子ビームの照射を行うと、金属膜中の電子の前方
散乱のため、どんなに細く絞った電子ビームを用いても
CaF表面へ届くまでにぼけてしまい、原理的には微
細な構造を得ることは困難である。
【0065】そこで、As膜を用いないで表面改質を行
うことを可能とし、微細な構造を得ることができるよう
にした手法として、図6(a)(b)(c)を参照しな
がら説明する手法がある。
【0066】即ち、図6(a)(b)(c)に示した真
空中でのCaF上への電子ビームの照射と自然形成法
によるGaの金属液滴2の位置制御の処理の概念図を参
照しながら、本願出願人による金属液滴2の形成プロセ
スの実験の一例を説明する。
【0067】まず、Si(111)基板をMBE装置内
に配置して、Si(111)基板上にMBE法でCaF
を20nm成長させた。
【0068】次に、上記のようにして処理したSi(1
11)基板をMBE装置から取り出して、取り出したS
i(111)基板を電子ビーム露光システム内に配置し
て、電子ビーム露光システムを用いてスポット露光を周
期的なアレイパターンで行い、表面改質領域を形成した
(図6(a)参照)。CaF表面は、電子ビーム露光
装置内の残留炭素により表面改質されるものと考えられ
る。
【0069】それから、表面改質領域を形成したSi
(111)基板を電子ビーム露光システムから取り出し
て、取り出したSi(111)基板を再びMBE装置内
に配置して、基板温度500℃で金属原料たるGaを供
給して表面改質領域に吸着させ(図6(b))、これを
膜厚換算で1nm乃至2nm堆積してGaの金属液滴2
たるGa液滴を形成した(図6(c))。
【0070】図7(a)(b)(c)は、上記において
図6(a)(b)(c)を参照しながら説明した実験の
結果を示す走査型顕微鏡(SEM)写真であり、Ga液
滴の間隔をそれぞれ20nm(図7(a))、17nm
(図7(b))、14nm(図7(c))とし、電子ビ
ームの照射量を5pC/dotとした場合を示してい
る。
【0071】この図7(a)(b)(c)のSEM写真
に示されているように、電子ビームの露光位置に1個ず
つGa液滴が形成されている。
【0072】次に、図8を参照しながら、Alの核形成
を用いるAl/Gaの二段階堆積法について説明する。
【0073】即ち、金属液滴12の形成は、「核形
成」、「成長」および「合体」の3つの過程に分類でき
るものであり、金属液滴12はその後、「成長」と「合
体」とを繰り返し、その寸法が大きくなる一方で密度は
低くなり、また、各金属液滴12の間の間隔も広くな
る。
【0074】ところで、量子コンピュータを実現するた
めには、上記したように2つの量子ドットを極めて近接
した位置に制御して配置することが望まれている。即
ち、トンネル効果によって2つの量子ドットの間で電子
を移動可能にするには、当該2つの量子ドットの間を極
めて狭く、例えば、1nm乃至3nmとすることが好ま
しい。
【0075】この図8を参照しながら説明する二段階堆
積法によれば、量子ドットの間を極めて狭く、例えば、
1nm乃至3nmとすることが可能になる。
【0076】即ち、図8を参照しながら説明する二段階
堆積法は、金属によって融点がそれぞれ異なることを利
用するものであり、まず、Alを350℃で微量堆積さ
せておき、高密度(なお、密度は、堆積量に逆比例す
る。)の成長核を形成させる。
【0077】その後に、基板温度を30℃に下げること
でAlを固定し、それからGaを供給する。このとき、
AlはGaの成長核として働く。
【0078】制御不十分で金属液滴同士がくっついても
核は動きにくいので、金属液滴間の間隔を極めて狭く維
持できる。
【0079】従って、この二段階堆積法は、微細なドッ
トアレイを形成する上で、重要な手法である。
【0080】以上において説明したように、基板1の表
面に光、電子、イオンまたはラジカル、あるいはそれら
の組み合わせなどの外部場を加えることによって、例え
ば、基板1の表面を集束電子ビームで照射することによ
って、表面ポテンシャルの変調を用いて表面状態の局所
的な改質を行い、その改質をした場所に金属液滴を配置
することが可能となる。
【0081】ここで、金属原料の温度を所定の温度、例
えば、「600℃乃至1500℃」に制御し、基板1の
温度を所定の温度、例えば、「−10℃乃至1500
℃」に制御し、金属原料の堆積量を所定の堆積量、例え
ば、「1×1017cm−2以下」に制御することによ
り、後述する基板1上における金属原料の原子の結晶成
長の原理に基づいて、金属液滴2の寸法および密度を制
御することができる。
【0082】本願出願人の実験によれば、具体的には、
例えば、金属原料がGaであり、基板1がCaFであ
る場合には、金属原料の温度を800℃とし、基板1の
温度を30℃とし、金属原料の堆積量を3×1015
−2とすることにより、金属液滴の寸法を7nmに制
御するとともに密度を1×10cm−1に制御するこ
とができることが判明した。
【0083】また、本願出願人の実験によれば、例え
ば、金属原料がAlであり、基板1がCaFである場
合には、金属原料の温度を1060℃とし、基板1の温
度を350℃とし、金属原料の堆積量を7.3×10
15cm−2とすることにより、金属液滴の寸法を7n
mに制御するとともに密度を9×10cm−1に制御
することができることが判明した。
【0084】ここで、結晶成長初期の核生成には、均一
核生成と不均一核生成とに大別することができる。以
下、均一核生成と不均一核生成とについて説明する。
【0085】(2−2)まず、金属液滴2を形成する際
に均一核生成を用いる場合には、供給する金属原料の温
度はより低い方が、原子のマイグレーション(拡散)の
エネルギーが低いので原子同士が基板1上で合体する確
率が減り、原子が基板1に到達した場所で核生成するた
め、基板1上に高密度で金属液滴2を形成させることが
できる。
【0086】また、原子がマイグレーションするための
エネルギーは基板1からもやりとりが可能であるので、
基板1の温度を下げた方が基板1上に高密度で金属液滴
2を形成させることができる。
【0087】そして、金属液滴2の構造の寸法は、金属
原料の堆積量に依存している。即ち、基板1上のある一
点で核生成がおこり、その核が結晶成長して金属液滴2
が形成される場合には、金属液滴2の構造の寸法は金属
原料の堆積量で定まるものである。
【0088】ただし、実際には、基板1上において核同
士が結晶成長中に合体したり、消滅したりするため、個
々の金属原料に対して金属液滴2の構造の寸法を厳密に
予想することはできない。
【0089】しかしながら、全体の平均的な傾向として
は、金属原料の堆積量を増加すると、金属液滴2の密度
は下がるがその寸法は大きくなる方向にあるため、量子
効果が顕著に現れるような微細な構造を高密度で形成さ
せる場合には、金属原料の堆積量を少なくして(例え
ば、金属原料の堆積量を1×1015cm−2程度にす
る。)、金属原料および基板1の温度を現実的な範囲で
下げるのが望ましい。
【0090】なお、金属原料および基板1の温度を下げ
る領域に関しては、金属原料の種類に応じて大きく異な
るが、例えば、CaF基板上に金属原料としてGaを
供給する場合には、CaF基板の温度を「−10℃程
度」とし、Gaの温度を「800℃程度」とする。ま
た、CaF基板上に金属原料としてAlを供給する場
合には、CaF基板の温度を「350℃程度」とし、
Alの温度を「1100℃程度」とする。
【0091】(2−3)次に、不均一核生成の場合につ
いて説明すると、この不均一核生成においては上記した
均一核生成とは異なる核生成が行われる。
【0092】即ち、不均一核生成は、基板表面の欠陥や
不純物を成長核として結晶成長が起こるものである。
【0093】従って、基板1の表面に欠陥や不純物を配
置してやれば、これら欠陥や不純物を中心として、後述
するような条件の下で核生成が実現可能となる。
【0094】ここで、基本的には、均一核生成と不均一
核生成とでは、核生成の速度は不均一核生成の方が極め
て速いことが知られている。
【0095】ところで、不均一核生成の場合には、基板
1上に配置させた核の間に、均一核生成で新たな成長核
が生成されないようにするために、原子のマイグレーシ
ョン・エネルギーをある程度高める必要がある。従っ
て、金属原料の温度および基板1の温度を高くする必要
がある。
【0096】ただし、金属原料の温度および基板1の温
度を高くしすぎると、金属原料の再蒸発のため、核生成
がおこらなくなる。
【0097】上記した不均一核生成の場合には、核密度
および形成場所は基板1上の欠陥や不純物の個数および
その場所で決定され、金属液滴2の構造の寸法は、金属
原料の堆積量が多くなればなるほど大きくなる。
【0098】例えば、金属原料の基板1に対する付着係
数を「1」とすれば、単位面積あたりの金属原料の堆積
量を単位面積あたりの不純物核の個数で除算したもの
が、1個の金属液滴2がしめる原子数になる。
【0099】本願出願人の実験によれば、例えば、基板
1としてCaF基板を用いるとともに、金属原料とし
てGaを用いた場合には、基板温度が30℃の場合に核
生成が行われるが、基板温度を200℃に上昇するとG
aの再蒸発が顕著になって核生成が行われなくなる。
【0100】また、本願出願人の実験によれば、基板1
としてCaF基板を用いるとともに、金属原料として
Alを用いた場合には、基板温度が350℃の場合に核
形成が行われるが、基板温度を500℃に上昇するとA
lの再蒸発が顕著になって核生成が行われなくなる。
【0101】また、本願出願人の実験によれば、成長核
として電子ビームにより表面改質した領域を用い、基板
1としてCaF基板を用いるとともに、金属原料とし
てGaを用いた場合には、基板温度が500℃の場合に
核生成が行われるが、それ以上でもそれ以下でも核形成
を行うことが困難であることが明らかになった。
【0102】なお、上記した本願出願人の各実験におい
ては、Gaの温度は800℃とし、Alの温度は106
0℃とした。
【0103】上記したように、金属原料の供給前に、予
め異種原子を不純物として基板1に照射することによっ
て、金属液滴2の形成核位置および核密度を制御するこ
とができるものである。
【0104】(3)窒化(半導体化):図2(c)参照 上記した「(2)金属液滴の形成:図2(b)参照」の
処理を終了すると、基板温度を金属液滴を形成させた温
度に維持したまま、窒素ソースとして窒素(N )、窒
素ラジカル(N)、アンモニア(NH)あるいはア
ンモニアラジカル(NH )などを照射し始め、基板
1上に形成された金属液滴2の窒化を行う。
【0105】このようにして金属液滴2が窒化されるこ
とにより、窒化物半導体の量子ドット4が得られる。
【0106】このときに、金属液滴2の結晶化を促進す
るためには、基板温度を金属液滴を形成させた温度から
300℃乃至1000℃程度まで徐々に上昇させたり、
光、電子、イオンまたはラジカル、あるいはそれらの組
み合わせなどの外部場を加えればよい。
【0107】温度の設定範囲は、基板と金属の組み合わ
せによって適宜定める必要がある。例えば、サファイヤ
基板上のGaNでは、基板温度を300℃乃至600℃
程度に上昇させる。
【0108】ここで、上記した「(2)金属液滴の形
成:図2(b)参照」の処理により基板1上に形成させ
たGaなどの金属液滴2は、超高真空中で温度を上げる
と表面拡散が顕著になって、それぞれの金属液滴2が合
体して大きくなってしまい、金属液滴2の基板1上にお
ける密度を下げたり、あるいは、せっかく形成させた金
属液滴2が膜になってしまったりする。
【0109】こうした現象を抑制するためには、上記し
た窒素(N)、窒素ラジカル(N )、アンモニア
(NH)あるいはアンモニアラジカル(NH )な
どによる窒化プロセスを可能な限り低温で行う必要があ
る。
【0110】ただし、上記した窒化プロセスを低温で行
うだけでは、金属原料と窒素との結晶化のための化学エ
ネルギーや窒素の金属原料中への拡散のエネルギーが不
十分であるため、結晶性が不十分となって、発光デバイ
ス材料や電子デバイス材料として実際に用いるには十分
ではないと考えられる。
【0111】従って、低温(温度は、金属原料と基板原
料との組み合わせにより大きく異なるが、例えば、金属
原料がGaであり、基板原料がCaFである場合には
温度は30℃であり、金属原料がAlであり、基板原料
がCaFである場合には温度は350℃である。)で
金属液滴2を形成された基板1に窒素を供給し始めて、
まず、金属液滴2の表面のみを窒化させておいて、その
後に窒化中に温度を上げて結晶化を促進したり、温度は
低いまま、または温度を上げながら光、電子、イオンま
たはラジカル、あるいはそれらの組み合わせなどの外部
場を加えて結晶化を促進したりすることが効果的である
と考えられる。
【0112】光、電子、イオンまたはラジカル、あるい
はそれらの組み合わせが持つエネルギーを金属液滴2に
照射しながら該金属液滴2を窒化させることで、基板1
の温度を上昇させることなく結晶化に必要なエネルギー
を与えることが可能となる。
【0113】また、光、電子、イオンまたはラジカル、
あるいはそれらの組み合わせなどの外部場を加えること
により期待される他の効果としては、光の場合には、光
学的に透明な基板1を用いれば金属のみに選択的にエネ
ルギーを加えることが可能であるため、低い基板温度の
場合は極めて表面拡散を抑制してサイズをほとんど変化
させずに結晶化が可能である。
【0114】また、電子の場合には、電子の非弾性散乱
断面積の小さな基板1を用いれば、上記した光の場合と
同様に、ほぼ金属のみに選択的にエネルギーを加えるこ
とが可能であるため、低い基板温度の場合は極めて表面
拡散を抑制してサイズをほとんど変化させずに結晶化が
可能である。
【0115】なお、窒化を行うための窒素ソースとして
は、窒素ガスやアンモニアガスではなく、金属と反応性
の高い窒素ラジカルやアンモニアラジカルを用いること
により、化学反応の速度を上げることが可能であるた
め、窒素ガスやアンモニアガスを用いる場合と比較する
と、短時間かつ低温で結晶化が可能である。
【0116】(4)熱処理(高品質化):図2(d)参
照 上記した「(3)窒化(半導体化):図2(c)参照」
における窒化プロセスにより得られた窒化物半導体の量
子ドット4の高品質化のため、窒素(N)、窒素ラジ
カル(N)、アンモニア(NH)あるいはアンモニ
アラジカル(NH )の減圧あるいは大気雰囲気中に
おいて、所定の温度、例えば、500℃乃至1500℃
程度の高温で所定の時間、例えば、10分間だけ熱処理
を行う。
【0117】温度設定範囲は、基板と金属の組み合わせ
によって、適宜定める必要があるが、サファイヤ基板上
のGaNでは、1000℃程度の高温で熱処理を行う。
【0118】また、上記した熱処理を行う際に、光、電
子、イオンまたはラジカル、あるいはそれらの組み合わ
せなどの外部場を加えながら行うようにしてもよく、そ
の場合には、プロセス温度の低温化や窒化分半導体の量
子ドット4へ選択的にエネルギーを加えられるという効
果がある。
【0119】このように、窒化物半導体の量子ドット4
を500℃乃至1500℃程度の高温で熱処理すると、
窒化物半導体の量子ドット4の結晶の品質を向上するこ
とができる。
【0120】なお、上記「(3)窒化(半導体化):図
2(c)参照」において説明したように、超高真空中で
加熱した場合には表面拡散が顕著になり、窒化物半導体
の量子ドット4の微細構造が実現不可能になるため、大
気中や減圧(超高真空中ではない)または加圧しながら
熱処理を行う必要がある。
【0121】このように圧力を上げて熱処理する結果と
して、Gaなどの金属原子と窒素ガスやアンモニアガス
などの分子および原子との衝突が顕著になり、表面拡散
を抑制しながら温度を上げることができるようになるた
め、良質の量子ドット構造を得ることができるようにな
る。
【0122】なお、光、電子、イオンまたはラジカル、
あるいはそれらの組み合わせさらには窒素ラジカルやア
ンモニアラジカルを用いる理由に関しては、上記
「(3)窒化(半導体化):図2(c)参照」の窒化プ
ロセスにおいて説明したと同様の理由によるものである
ので、その詳細な説明は省略する。
【0123】この熱処理を経て、最終的に良質な窒化物
半導体の量子ドット14を形成することができるもので
ある。
【0124】次に、本願出願人によって行われた実験、
即ち、液滴エピタキシーにより窒化物半導体の量子ドッ
ト4としてGaN量子ドットを形成する実験ならびにそ
の実験結果について詳細に説明するものとする。
【0125】なお、本実験の概要を説明すると、基板1
としてAl基板(サファイア基板)を用いるとと
もに金属原料としてGaを用い、サファイア基板上にG
aの金属液滴2を形成した後に、アンモニア(NH
ガスを照射してGaの金属液滴2を窒化して、窒化物半
導体の量子ドット4としてGaN量子ドットを形成し、
さらにこのGaN量子ドットを熱処理して、サファイア
基板上に良好なGaN量子ドットを作製するものであ
る。
【0126】(1)GaN量子ドット構造の形成 即ち、本願出願人による実験においては、ガスソース分
子線エピタキシー(GSMBE)法を用いて、サファイ
ア(0001)基板上にGaN量子ドットを形成させ
た。つまり、III族原料として固体ガリウム(Ga)
を用い、V族原料としてアンモニア(NH)ガスを用
いた。
【0127】基板1としては、有機洗浄の後に10%の
フッ化水素水中で20分間の超音波洗浄を施し、窒素
(N)ガスで乾燥させたものを用いた。
【0128】まず、基板1をGSMBE装置に搬送した
後に、基板1の表面を真空中において超高速電子回折
(RHEED)法を用いて平坦な表面を示すパターンが
観測されるまで、800℃で加熱クリーニングした。
【0129】この後に、基板温度を300℃に下げて、
金属Ga分子線を1.5×1015cm−2だけ超高真
空中で基板1に供給して、基板1上にGaの金属液滴2
を形成した。
【0130】それから、基板温度300℃でアンモニア
(NH)ガスを供給しはじめて、金属液滴2の表面の
みを窒化させておいて、徐々に基板の温度を上げて行
き、最終的には600℃まであげ、基板1上に形成され
たGaの金属液滴2の窒化を行うとともに結晶化を促進
し、窒化物半導体の量子ドット4としてGaN量子ドッ
トを得た。
【0131】なお、基板1は、RHEED観察によりG
aNの結晶化を示すリングパターンが表れるまで加熱し
た。
【0132】(2)GaN量子ドットの熱処理 上記した「(1)GaN量子ドット構造の形成」の処理
の後に、基板1をGSMBE装置から取り出し、有機金
属気相堆積(MOCVD)装置内において、760To
rrの窒素(N)とアンモニア(NH)との混合ガ
ス雰囲気中で1000℃で10分間熱処理を行い、結晶
の高品質化を図った。
【0133】こうして液滴エピタキシーにより、サファ
イア(0001)基板上に良質なGaN量子ドットが形
成された。
【0134】(3)実験結果 (3−1)金属液滴2が窒化物半導体の量子ドットにな
ったことの確認 RHEEDパターンは、GaNと同様の格子定数のリン
グパターンを示した。また、原子力間顕微鏡(AFM)
で金属液滴とは異なり、むしろGaNの安定化構造の六
角柱構造に近い構造を示した。従って、Gaが窒化され
てGaNになったものと認められる。
【0135】さらに、GaN量子ドットからは、フォト
ルミネセンス(PL)が室温で赤く発光した(半導体は
発光するが、金属は発光しない)。
【0136】また、六角柱構造のGaN量子ドットの最
も小さいものの寸法は、直径が5nmであり、高さは2
nmであった。
【0137】こうした実験結果をさらに詳細に説明する
と、図9(a)には、基板1の温度を最終的には600
℃まで昇温した際に得られたGaN量子ドットの表面の
AFMの写真が示されている。また、図9(b)には、
図9(a)に示されたGaN量子ドットの断面図が示さ
れている。
【0138】図9(a)(b)に示されているように、
基板1の表面におけるGaN量子ドットの直径は約5n
m乃至20nmの範囲にあり、GaN量子ドットの高さ
は約2nm乃至10nmである。
【0139】また、図9(a)に示す写真において同様
のグレイスケールで示されている各GaN量子ドットの
6角形の頂上の領域は、GaN量子ドットの形状が半球
状というよりも6角柱であることを示している。
【0140】そして、600℃まで昇温した後にRHE
EDの観察において見られたGaNの格子定数のリング
パターンは、AFMにおけるドットがGaN量子ドット
であることを示している。
【0141】図10は、室温における図9(a)に示す
GaN量子ドットのPLスペクトルを示している。この
スペクトルは、「浜松ホトニクスシステム6551」に
よって測定されたものであり、検出器は赤色領域を高感
度に感知するものである。PLのピークエネルギーは
2.5eVであり、このGaN量子ドットは明るい赤色
発光を示している。
【0142】このことは、図9(a)に示すGaN量子
ドットの結晶化が十分でないことに起因するものと考え
られる。即ち、600℃までの昇温では、液滴エピタキ
シーにおけるGaNの結晶化には十分ではないものと考
えられる。
【0143】(3−2)1000℃、10分間の熱処理
で良好なGaN量子ドットが形成できたことの確認 液体窒素温度(77K)でGaN薄膜よりも、高エネル
ギー側にPLのピークがシフトした。即ち、電子の量子
閉じこめ効果が確認できた。
【0144】即ち、図11(a)には、図9(a)に示
すGaN量子ドットを1000℃で熱処理する前(be
fore)と熱処理した後(after)とのPLスペ
クトルが示されている。これらのスペクトルは、77K
において紫外感知光電子増倍管を使用して測定された。
【0145】この図11(a)に示す両方のスペクトル
を比較すると、1000℃で熱処理の前においては3e
Vの光エネルギーの周辺で広くかつ低いピークがあり、
その一方で、1000℃で熱処理の後においては3.5
8eVにおいて強いピークが表れている。
【0146】これは、図11(a)に示すGaN量子ド
ットの結晶の品質が、1000℃で熱処理によって改善
された結果である。
【0147】図11(b)は、300nmの厚さのGa
N膜と、図11(a)に示すGaN量子ドットを100
0℃で熱処理した後のGaN量子ドットとに関して、7
7KにおけるPLスペクトルの比較を示している。
【0148】この図11(b)に示されているように、
GaN膜は3.45eVにバンド間発光のピークがある
が、一方、GaN量子ドットは3.58eVにピークが
あり、GaN量子ドットでは液体窒素温度(77K)で
GaN薄膜よりも高エネルギー側にPLのピークがシフ
トしている。
【0149】なお、GaN量子ドットにおける130m
eVのブルーシフトは、量子ドットの形成による量子化
されたシフトエネルギーであると考えられる。
【0150】なお、上記した実験は、金属原料としてG
aを用いて窒化物半導体の量子ドット14としてGaN
量子ドットを得るようにしたものであるが、金属原料と
してAlを用いた場合には窒化物半導体の量子ドット4
としてAlN量子ドットが得られ、金属原料としてIn
を用いた場合には窒化物半導体の量子ドット4としてI
nN量子ドットが得られる。また、金属原料としてG
a、Al、Inを適宜に混合して用いた場合には、これ
らの混晶が得られる。
【0151】また、上記したように、基板原料として
は、SiOやGaNなどのほかにも、原理的に多くの
材料が考えられる。
【0152】また、上記したように、窒化プロセスに関
しては、窒素ラジカルやアンモニアラジカルを用いた
り、圧力を変化させてもよく、また、高温での熱処理に
関しては、単に温度を上げるだけでなく、光、電子、イ
オン、ラジカル、あるいはそれらの組み合わせなどの外
部場を加えるようにしてもよい。
【0153】以上において詳細に説明したように、本発
明の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導
体の量子ドットの形成方法を用いると、間隙を極めて近
接させて配置した複数の窒化物半導体の量子ドット、例
えば、GaNの量子ドットを形成することができるもの
である。
【0154】従って、本発明の位置制御された液滴エピ
タキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法を
用いて窒化物半導体の量子ドットを形成するようにした
場合には、量子コンピュータにおける量子ビット素子構
造および量子相関ゲート素子構造を実現することができ
る。
【0155】以下、本発明の位置制御された液滴エピタ
キシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法によ
り形成された窒化物半導体の量子ドットを用いた量子コ
ンピュータにおける量子ビット素子構造および量子相関
ゲート素子構造について説明する。
【0156】なお、以下の説明においては、「量子ドッ
ト」とは、上記した本発明の位置制御された液滴エピタ
キシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法によ
り形成された窒化物半導体の量子ドット、例えば、Ga
Nの量子ドットである。
【0157】図12には、本発明による量子コンピュー
タにおける量子ビット素子構造の実施の形態の一例を示
す概念構成説明図が示されている。
【0158】即ち、本発明による量子コンピュータにお
ける量子ビット素子構造10は、例えば、上記した本発
明の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導
体の量子ドットの形成方法により形成された2個の窒化
物半導体の量子ドット、例えば、2個のGaNの量子ド
ット12、14より構成されている。つまり、量子ビッ
トの物理的実態は2準位系であるが、本発明による量子
コンピュータにおける量子ビット素子構造10において
は、2個の量子ドット12、14より2つの量子準位1
6、18を形成するようになされている。
【0159】より詳しく説明すると、例えば、GaNな
どの半導体材料により、直径が数十ナノメートル(n
m)程度あるいはそれ以下の球体形状や、一辺が数十ナ
ノメートル(nm)程度あるいはそれ以下の方体形状を
備えた微小な量子ドットを構成すると、こうした量子ド
ットには離散化した量子準位が形成されることになる。
【0160】従って、量子ビットの2準位系として、注
目する量子準位をその中に1つだけ有する微小な量子ド
ットを2つ用意し、これら2つの量子ドットを、量子ビ
ット素子構造10を構成するための量子ドット12、1
4として用いるものである。
【0161】なお、これら量子ドット12の量子準位1
6と量子ドット14の量子準位18とは、互いに異なる
ように設定されるものであり、この実施の形態において
は、図12上右側に位置する量子ドット12の量子準位
16の方が、図12上左側に位置する量子ドット14の
量子準位18より低いように設定されている。
【0162】具体的には、量子ドット12の量子準位1
6と量子ドット14の量子準位18との準位間のエネル
ギー差Eは、外部の電圧により自由に変えることができ
るものであり、この実施の形態においては、図12上右
側に位置する量子ドット12の量子準位16の方が、図
12上左側に位置する量子ドット14の量子準位18よ
りも低くなるように、外部の電圧により設定されている
ものである。
【0163】また、量子ドット12と量子ドット14と
は、その間隔Gが、例えば、10オングストローム程度
に近接して配置されるものであり、電子がトンネル効果
により量子ドット12と量子ドット14との間を自由に
移動することができるようになされている。
【0164】以上の構成において、量子ビット素子構造
10内には、例えば、クーロンブロッケード効果を利用
して、電子が1個存在するようになされており、その1
個の電子は、ある確率で量子ドット12の量子準位16
に存在(|0>の状態)したり、ある確率で量子ドット
14の量子準位18に存在(|1>の状態)したりする
ものである。
【0165】なお、クーロンブロッケード効果とは、電
子間のクーロン反発力を利用して、電子を1個だけ量子
ドットに蓄えるためのメカニズムである。
【0166】ここで、ラビ振動の原理を利用することに
より、量子ビット素子構造10の量子ビットの操作を行
うことができるものである。
【0167】ここで、ラビ振動とは、2準位系において
準位間のエネルギー差に共鳴した電磁波を照射すると、
電子の2準位の上か下かに存在する確率が周期的に振動
する現象である。
【0168】従って、量子ビット素子構造10におい
て、例えば、初期状態として、上の量子準位18に電子
が存在する確率(P1)が0(P1=0)であり、下の
量子準位16に電子が存在する確率(P0)が1(P0
=1)であるとすると、量子準位18と量子準位16と
のエネルギー差Eに共鳴した電磁波をラビ振動の半周期
だけ照射した後には、上の量子準位18に電子が存在す
る確率(P1)が1(P1=1)となり、下の量子準位
16に電子が存在する確率(P0)が1(P0=0)と
なるものである。
【0169】即ち、ラビ振動を利用することにより、量
子ビットの状態を反転することができることになる。そ
して、上記した電磁波の照射時間を適当に選択すること
により、量子ビットの状態を任意の制御することができ
るものである。
【0170】次に、図13ならびに図14を参照しなが
ら、本発明による量子コンピュータにおける量子相関ゲ
ート素子構造の実施の形態の一例について説明する。
【0171】即ち、図13には、本発明による量子コン
ピュータにおける量子相関ゲート素子構造の実施の形態
の一例の概念構成説明図が示されている。
【0172】この量子相関ゲート100は、上記した本
発明の実施の形態による量子ビット素子構造を2個用い
て構成されるものである。
【0173】具体的には、量子相関ゲート100は、2
準位間のエネルギー差が異なる2個の量子ビット素子構
造として、2準位間のエネルギー差が大きい第1量子ビ
ット素子構造102と、2準位間のエネルギー差が小さ
い第2量子ビット素子構造104とを備えて構成されて
いる。ここで、2準位間のエネルギー差が大きい方の第
1量子ビット素子構造102の量子ビットをコントロー
ルビットとし、2準位間のエネルギー差が小さい方の第
2量子ビット素子構造104の量子ビットをターゲット
ビットとする。
【0174】なお、第1量子ビット素子構造102は、
上の量子準位106をもつ量子ドット108と、下の量
子準位110をもつ量子ドット112とより構成されて
いる。
【0175】また、第2量子ビット素子構造104は、
上の量子準位114をもつ量子ドット116と、下の量
子準位118をもつ量子ドット120とより構成されて
いる。
【0176】また、第1量子ビット素子構造102と第
2量子ビット素子構造104とは、例えば、図13に示
すように、量子ドット108と量子ドット116とが対
向し、かつ、量子ドット112と量子ドット120とが
対向するように上下2段に配置されているものである。
なお、図13においては、第1量子ビット素子構造10
2が上段に配置され、第2量子ビット素子構造104が
下段に配置されている。
【0177】そして、量子ドット108と量子ドット1
16とは、可変コンデンサ122を介して接続されてお
り、量子ドット112と量子ドット120とは、可変コ
ンデンサ124を介して接続されている。
【0178】さらに、こうした量子相関ゲート素子構造
100においては、第1量子ビット素子構造102の量
子ドット112には、可変コンデンサ126を介して、
第1量子ビット素子構造102による第1ビットの状態
を検出するための単電子トランジスタが接続されてお
り、また、第2量子ビット素子構造104の量子ドット
120には、可変コンデンサ128を介して、第2量子
ビット素子構造104による第2ビットの状態を検出す
るための単電子トランジスタが接続されている。
【0179】なお、図13に示す実施の形態において
は、単電子トランジスタは、第1量子ビット素子構造1
02の量子ドット112に可変コンデンサ126を介し
て接続されるとともに、第2量子ビット素子構造104
の量子ドット120に可変コンデンサ128を介して接
続されているが、これに限られることなしに、第1量子
ビット素子構造102の量子ドット108に可変コンデ
ンサ126を介して接続するようにしてもよいし、第2
量子ビット素子構造104の量子ドット116に可変コ
ンデンサ128を介して接続するようにしてもよい。
【0180】以上の構成において、可変コンデンサ12
2の容量C1を0(C1=0)に設定するとともに、可
変コンデンサ124の容量C2を0(C2=0)に設定
すると、第1量子ビット素子構造102と第2量子ビッ
ト素子構造104とは互いに電気的に独立した状態とな
る。
【0181】従って、上記したラビ振動を利用すれば、
第1量子ビット素子構造102のコントロールビットの
状態と、第2量子ビット素子構造104のターゲットビ
ットの状態とを、図1(b)の真理値表に示す量子相関
ゲートの作用前の状態に設定することができる。
【0182】図14には、こうした量子相関ゲートの作
用前の状態における、第1量子ビット素子構造102の
電子のエネルギーと第2量子ビット素子構造104の電
子のエネルギーとの合計値を示すエネルギーレベル状態
図が示されている。なお、量子準位110と量子準位1
18とにおける電子のエネルギーのレベルを、基準のレ
ベルAとする。
【0183】従って、コントロールビットおよびターゲ
ットビットの状態が|0>であるならば、エネルギーレ
ベルは基準のレベルAとなる。
【0184】また、コントロールビットの状態が|0>
であり、ターゲットビットの状態が|1>であるなら
ば、エネルギーレベルはレベルBとなる。
【0185】さらに、コントロールビットの状態が|1
>であり、ターゲットビットの状態が|0>であるなら
ば、エネルギーレベルはレベルCとなる。
【0186】さらにまた、コントロールビットの状態が
|1>であり、ターゲットビットの状態が|1>である
ならば、エネルギーレベルはレベルDとなる。
【0187】ところが、可変コンデンサ122の容量C
1を「C1≠0」に設定するとともに、可変コンデンサ
124の容量C2を「C2≠0」に設定すると、第1量
子ビット素子構造102と第2量子ビット素子構造10
4とは互いに容量的に結合した状態となる。
【0188】従って、「C1≠0」および「C2≠0」
の場合には、図13に示す状態における第1量子ビット
素子構造102の量子準位106、110および第2量
子ビット素子構造104の量子準位114、118に関
して、互いの電子が対角線上に存在するとき(コントロ
ールビットの状態が|1>であり、かつ、ターゲットビ
ットの状態が|0>である場合およびコントロールビッ
トの状態が|0>であり、かつ、ターゲットビットの状
態が|1>である場合)には「C1=0」および「C2
=0」の場合と比べてエネルギーはほとんど変化しない
が、互いの電子が対角線上に存在しないとき(コントロ
ールビットの状態が|1>であり、かつ、ターゲットビ
ットの状態が|1>である場合およびコントロールビッ
トの状態が|0>であり、かつ、ターゲットビットの状
態が|0>である場合)には「C1=0」および「C2
=0」の場合よりもエネルギーが上がることになる。そ
の差分を△Eとすると、「C1≠0」および「C2≠
0」の場合には、レベルAはレベルA’に上がり、レベ
ルBはほとんどそのままレベルB’になり、レベルCは
ほとんどそのままレベルC’になり、レベルDはレベル
D’に上がることになる。
【0189】従って、量子相関ゲート素子構造100に
対して、「E2+△E」のエネルギーをもつ電磁波をラ
ビ振動の半周期間照射することによって、コントロール
ビットが|1>のときだけ、ターゲットビットを反転す
ることができ、図1(b)に示す真理値表の動作を実現
することができる。
【0190】なお、コントロールビットとターゲットビ
ットとを単独で操作する必要がある場合には、上記した
ように「C1=0」および「C2=0」に設定して、コ
ントロールビットとターゲットビットとの間の相互作用
を小さくすればよい。
【0191】そして、量子相関ゲート素子構造100に
よる演算後の量子ビットの状態を観測するには、可変コ
ンデンサ126の容量C3を「C3≠0」に設定すると
ともに、可変コンデンサ128の容量C4を「C4≠
0」に設定して、単電子トランジスタを用いることにな
る。なお、演算中は単電子トランジスタを用いず、「C
3=0」ならびに「C4=0」に設定されているものと
する。
【0192】上記したように、第1量子ビット素子構造
102ならびに第2量子ビット素子構造104には、そ
れぞれ1個の電子しか存在しないので、1個の電子の電
荷を測定することが必要であり、これは既存のエレクト
ロメータでは不可能であるので、この実施の形態におい
ては、単電子トランジスタを用いるようにしている。
【0193】なお、本発明における量子相関ゲート素子
を構成する各量子ビット素子における各量子ドットの準
位の上下関係、換言すれば、各量子ドットの配置関係
は、上記した実施の形態に限定されるものではないこと
は勿論である。
【0194】即ち、図13に示すような配置関係に代え
て、図15に示すように、第1量子ビット素子構造10
2と第2量子ビット素子構造104とを、量子ドット1
08と量子ドット120とが対向し、かつ、量子ドット
112と量子ドット116とが対向するように上下2段
に配置するようにしてもよい。なお、図15において
は、第1量子ビット素子構造102が上段に配置され、
第2量子ビット素子構造104が下段に配置されてい
る。
【0195】そして、量子ドット108と量子ドット1
20とを、可変コンデンサ124を介して接続し、量子
ドット112と量子ドット116とを、可変コンデンサ
122を介して接続する。
【0196】なお、図15示す量子相関ゲート素子構造
100においては、第1量子ビット素子構造102の量
子ドット108に、可変コンデンサ126を介して、第
1量子ビット素子構造102による第1ビットの状態を
検出するための単電子トランジスタが接続され、また、
第2量子ビット素子構造104の量子ドット120に、
可変コンデンサ128を介して、第2量子ビット素子構
造104による第2ビットの状態を検出するための単電
子トランジスタが接続されている。
【0197】従って、この図15に示す実施の形態おい
ては、エネルギーレベル状態図は図16に示すようにな
る。
【0198】即ち、「C1≠0」および「C2≠0」の
場合には、図15に示す状態における第1量子ビット素
子構造102の量子準位106、110および第2量子
ビット素子構造104の量子準位114、118に関し
て、互いの電子が対角線上に存在しないとき(コントロ
ールビットの状態が|0>であり、かつ、ターゲットビ
ットの状態が|0>である場合およびコントロールビッ
トの状態が|1>であり、かつ、ターゲットビットの状
態が|1>である場合)には「C1=0」および「C2
=0」の場合と比べてエネルギーはほとんど変化しない
が、互いの電子が対角線上に存在するとき(コントロー
ルビットの状態が|0>であり、かつ、ターゲットビッ
トの状態が|1>である場合およびコントロールビット
の状態が|1>であり、かつ、ターゲットビットの状態
が|0>である場合)には「C1=0」および「C2=
0」の場合よりもエネルギーが上がることになる。その
差分を△Eとすると、「C1≠0」および「C2≠0」
の場合には、レベルAはほとんどそのままレベルA’に
なり、レベルBはレベルB’に上がり、レベルCはレベ
ルC’に上がり、レベルDはほとんどそのままレベル
D’になる。
【0199】従って、量子相関ゲート素子構造100に
対して、「E2−△E」のエネルギーをもつ電磁波をラ
ビ振動の半周期間照射することによって、コントロール
ビットが|1>のときだけ、ターゲットビットを反転す
ることができ、図1(b)に示す真理値表の動作を実現
することができる。
【0200】つまり、本発明における量子相関ゲート素
子を構成する各量子ビット素子における各量子ドットの
準位の上下関係、換言すれば、各量子ドットの配置関係
は、どのようでもかまわないが、ラビ振動の半周期間照
射する電磁波のエネルギーは、本発明における量子相関
ゲート素子を構成する各量子ビット素子における各量子
ドットの準位の上下関係、換言すれば、各量子ドットの
配置関係に応じて変化させる必要がある。
【0201】
【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、GaN、InNあるいはAlNやInGa
N、AlGaNなどの窒化物半導体の量子ドットを位置
制御して形成することができるようになり、それにより
2つの窒化物半導体の量子ドットを極めて近接した位置
に制御して配置することが可能になり、例えば、量子ビ
ットならびに量子相関ゲートを実現することのできると
いう優れた効果を奏する。
【0202】また、本発明は、以上説明したように構成
されているので、チューリング型の量子コンピュータに
おける量子ビット素子構造および量子相関ゲート素子構
造を固体デバイスで提供することができるようになると
いう優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は量子相関ゲートを概念的に示す説明図
であり、(b)は量子相関ゲートの概念的な真理値表で
ある。
【図2】位置制御された液滴エピタキシーにより窒化物
半導体の量子ドットを形成するためのプロセスを示す説
明図であり、(a)は「基板」を示し、(b)は「金属
液滴の形成」を示し、(c)は「窒化(半導体化)」を
示し、(d)は「熱処理(高品質化)」を示す。
【図3】電子ビーム照射による基板表面の改質の原理の
説明図である。
【図4】As膜を堆積したCaF上への電子ビームの
照射と自然形成法によるGaの金属液滴の位置制御の処
理の概念図である。
【図5】図4(a)(b)(c)に示す実験の結果の走
査型顕微鏡写真であり、Ga液滴の間隔を150nmと
し、電子ビームの照射量を0.4pC/dotとして、
二次元的にスポット露光した結果を示している。
【図6】真空中でのCaF上への電子ビームの照射と
自然形成法によるGaの金属液滴2の位置制御の処理の
概念図である。
【図7】図6(a)(b)(c)に示す実験の結果の走
査型顕微鏡写真であり、(a)はGa液滴の間隔を20
nmとし、電子ビームの照射量を5pC/dotとして
一次元的にスポット露光した結果を示し、(b)はGa
液滴の間隔を17nmとし、電子ビームの照射量を5p
C/dotとして一次元的にスポット露光した結果を示
し、(c)はGa液滴の間隔を14nmとし、電子ビー
ムの照射量を5pC/dotとし一次元的にスポット露
光した結果を示している。
【図8】Alの核形成を用いるAl/Gaの二段階堆積
法の説明図である。
【図9】本願出願人の実験によって得られたGaN量子
ドットを示し、(a)は基板の温度を最終的には600
℃まで昇温した際に得られたGaN量子ドットの表面の
AFMの写真であり、(b)は(a)に示されたGaN
量子ドットの断面図である。
【図10】室温における図9(a)に示すGaN量子ド
ットのPLスペクトルを示すグラフである。
【図11】(a)は図9(a)に示すGaN量子ドット
を1000℃で熱処理する前(before)と熱処理
した後(after)とのPLスペクトルを示すグラフ
であり、(b)は300nmの厚さのGaN膜と図9
(a)に示すGaN量子ドットを1000℃で熱処理し
た後のGaN量子ドットとの77KにおけるPLスペク
トルを示すグラフである。
【図12】本発明による量子コンピュータにおける量子
ビット素子構造の実施の形態の一例を示す概念構成説明
図である。
【図13】本発明による量子コンピュータにおける量子
相関ゲート素子構造の実施の形態の一例の概念構成説明
図である。
【図14】図13に示す量子相関ゲート素子構造に関し
て、量子相関ゲートの作用前の状態における、第1量子
ビット素子構造の電子のエネルギーと第2量子ビット素
子構造の電子のエネルギーとの合計値を示すエネルギー
レベル状態図である。
【図15】本発明による量子コンピュータにおける量子
相関ゲート素子構造の他の実施の形態の一例の概念構成
説明図である。
【図16】図15に示す量子相関ゲート素子構造に関し
て、量子相関ゲートの作用前の状態における、第1量子
ビット素子構造の電子のエネルギーと第2量子ビット素
子構造の電子のエネルギーとの合計値を示すエネルギー
レベル状態図である。
【符号の説明】
1 基板 2 金属液滴 4 窒化物半導体の量子ドット 10 量子ビット素子構造 12、14、108、112、116、120 量子
ドット 16、18、106、110、114、118 量子
準位 100 量子相関ゲート素子構造 102 第1量子ビット素子構造 104 第2量子ビット素子構造 122、124、126、128 可変コンデンサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 筒井 一生 神奈川県横浜市緑区長津田町4259番地 東 京工業大学内 Fターム(参考) 5F053 AA50 DD20 FF10 GG01 HH04 HH05 LL10 PP14 RR20 5F103 AA04 AA05 DD28 HH03 HH04 LL17 PP04 PP20

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 位置制御された液滴エピタキシーによる
    窒化物半導体の量子ドットの形成方法であって、 金属原料の表面エネルギーよりも低い表面エネルギーを
    持つ該基板の表面に、外部場を加えることによって該基
    板の該表面状態を変調して該表面を改質する第一の処理
    と、 前記第一の処理により前記表面を改質された前記基板に
    前記金属原料を供給し、前記表面の改質された場所に結
    晶成長により金属液滴を形成する第二の処理と、 前記第二の処理により前記金属液滴を形成された前記基
    板上に窒素ソースを供給し、前記金属液滴を窒化して窒
    化物半導体の量子ドットを形成する第三の処理とを有す
    る位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体
    の量子ドットの形成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の位置制御された液滴エ
    ピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法
    において、さらに、 前記第三の処理により形成された窒化物半導体の量子ド
    ットを、所定の温度で所定の時間だけ熱処理する第四の
    処理とを有する位置制御された液滴エピタキシーによる
    窒化物半導体の量子ドットの形成方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または請求項2のいずれか1項
    に記載の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物
    半導体の量子ドットの形成方法において、 前記第三の処理は、低温で前記金属液滴を形成された前
    記基板に窒素ソースを供給し始めて前記金属液滴の表面
    のみを窒化させ、その後に窒化中に温度を上げて結晶化
    を促進するものである位置制御された液滴エピタキシー
    による窒化物半導体の量子ドットの形成方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の位置制御された位置制
    御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ド
    ットの形成方法において、 前記第三の処理は、低温で前記金属液滴を形成された前
    記基板に窒素ソースを供給し始めて前記金属液滴の表面
    のみを窒化させ、その後に窒化中に温度を上げて結晶化
    を促進する際に、外部場を加えて結晶化を促進するもの
    である位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半
    導体の量子ドットの形成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または請求項2のいずれか1項
    に記載の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物
    半導体の量子ドットの形成方法において、 前記第三の処理は、低温で前記金属液滴を形成された前
    記基板に窒素ソースを供給し始めて前記金属液滴の表面
    のみを窒化させ、その後に窒化中に低温のままで外部場
    を加えて結晶化を促進するものである位置制御された液
    滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成
    方法。
  6. 【請求項6】 請求項2、請求項3、請求項4または請
    求項5のいずれか1項に記載の位置制御された液滴エピ
    タキシーによる窒化物半導体の量子ドットの形成方法に
    おいて、 前記第四の処理は、熱処理する外部場を加えるものであ
    る位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体
    の量子ドットの形成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1、請求項2、請求項3、請求項
    4、請求項5または請求項6のいずれか1項に記載の位
    置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量
    子ドットの形成方法において、 前記外部場は、光、電子、イオンまたはラジカル、ある
    いはそれらの組み合わせであるものである位置制御され
    た液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの
    形成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1、請求項2、請求項4、請求項
    5、請求項6または請求項7のいずれか1項に記載の位
    置制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量
    子ドットの形成方法において、 前記金属原料は、III族の金属であるものである位置
    制御された液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子
    ドットの形成方法。
  9. 【請求項9】 請求項1、請求項2、請求項4、請求項
    5、請求項6、請求項7または請求項8のいずれか1項
    に記載の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化物
    半導体の量子ドットの形成方法において、 前記基板は、サファイア基板、炭化シリコン基板、石英
    基板、窒化ガリウム基板またはフッ化カルシウム基板で
    あるものである位置制御された液滴エピタキシーによる
    窒化物半導体の量子ドットの形成方法。
  10. 【請求項10】 請求項1、請求項2、請求項4、請求
    項5、請求項6、請求項7、請求項8または請求項9の
    いずれか1項に記載の位置制御された液滴エピタキシー
    による窒化物半導体の量子ドットの形成方法において、 前記窒素ソースは、窒素、窒素ラジカル、アンモニアま
    たはアンモニアラジカルであるものである位置制御され
    た液滴エピタキシーによる窒化物半導体の量子ドットの
    形成方法。
  11. 【請求項11】 第1の量子準位をもつ第1の量子ドッ
    トと、 前記第1の量子準位とは異なる第2の量子準位をもつ第
    2の量子ドットとを有し、 トンネル効果により前記第1の量子ドットと前記第2の
    量子ドットとの間を電子が自由に移動可能なように、前
    記第1の量子ドットと前記第2の量子ドットとを近接し
    て配置し、 さらに、電子が1個だけ存在するようにしたものである
    量子コンピュータにおける量子ビット素子構造におい
    て、 前記第1の量子ドットおよび前記第2の量子ドットは、
    請求項1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、
    請求項7、請求項8、請求項9または請求項10のいず
    れか1項に記載の位置制御された液滴エピタキシーによ
    る窒化物半導体の量子ドットの形成方法において形成さ
    れたものである量子コンピュータにおける量子ビット素
    子構造。
  12. 【請求項12】 第1の量子準位をもつ第1の量子ドッ
    トと、前記第1の量子準位より下の第2の量子準位をも
    つ第2の量子ドットとを有し、トンネル効果により前記
    第1の量子ドットと前記第2の量子ドットとの間を電子
    が自由に移動可能なように、前記第1の量子ドットと前
    記第2の量子ドットとを近接して配置し、さらに、電子
    が1個だけ存在するようにした第1の量子ビット素子構
    造と、 第3の量子準位をもつ第3の量子ドットと、前記第3の
    量子準位より下の第4の量子準位をもつ第4の量子ドッ
    トとを有し、トンネル効果により前記第3の量子ドット
    と前記第4の量子ドットとの間を電子が自由に移動可能
    なように、前記第3の量子ドットと前記第4の量子ドッ
    トとを近接して配置し、さらに、電子が1個だけ存在す
    るようにした第2の量子ビット素子構造とを有し、 前記第1のビット素子構造と前記第2のビット素子構造
    とを、前記第1の量子ドットと前記第3の量子ドットと
    が対向するとともに、前記第2の量子ドットと前記第4
    の量子ドットとが対向するように配置し、 前記第1の量子ドットと前記第3の量子ドットとが電気
    的に接続され、 前記第2の量子ドットと前記第4の量子ドットとが電気
    的に接続され、 さらに、前記第1の量子準位と前記第2の量子準位との
    準位差と、前記第3の量子準位と前記第4の量子準位と
    の準位差とが異なるように設定されたものである量子コ
    ンピュータにおける量子相関ゲート素子構造において、 前記第1の量子ドット、前記第2の量子ドット、前記第
    3の量子ドットおよび前記第4の量子ドットは、請求項
    1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、請求項
    7、請求項8、請求項9または請求項10のいずれか1
    項に記載の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化
    物半導体の量子ドットの形成方法において形成されたも
    のである量子コンピュータにおける量子相関ゲート素子
    構造。
  13. 【請求項13】 請求項12に記載の量子コンピュータ
    における量子相関ゲート素子構造において、 前記第1の量子ドットと前記第3の量子ドットとは、第
    1の可変コンデンサを介して容量的に接続され、 前記第2の量子ドットと前記第4の量子ドットとは、第
    2の可変コンデンサを介して容量的に接続されたもので
    ある量子コンピュータにおける量子相関ゲート素子構
    造。
  14. 【請求項14】 第1の量子準位をもつ第1の量子ドッ
    トと、前記第1の量子準位より下の第2の量子準位をも
    つ第2の量子ドットとを有し、トンネル効果により前記
    第1の量子ドットと前記第2の量子ドットとの間を電子
    が自由に移動可能なように、前記第1の量子ドットと前
    記第2の量子ドットとを近接して配置し、さらに、電子
    が1個だけ存在するようにした第1の量子ビット素子構
    造と、 第3の量子準位をもつ第3の量子ドットと、前記第3の
    量子準位より下の第4の量子準位をもつ第4の量子ドッ
    トとを有し、トンネル効果により前記第3の量子ドット
    と前記第4の量子ドットとの間を電子が自由に移動可能
    なように、前記第3の量子ドットと前記第4の量子ドッ
    トとを近接して配置し、さらに、電子が1個だけ存在す
    るようにした第2の量子ビット素子構造とを有し、 前記第1のビット素子構造と前記第2のビット素子構造
    とを、前記第1の量子ドットと前記第4の量子ドットと
    が対向するとともに、前記第2の量子ドットと前記第3
    の量子ドットとが対向するように配置し、 前記第1の量子ドットと前記第4の量子ドットとが電気
    的に接続され、 前記第2の量子ドットと前記第3の量子ドットとが電気
    的に接続され、 さらに、前記第1の量子準位と前記第2の量子準位との
    準位差と、前記第3の量子準位と前記第4の量子準位と
    の準位差とが異なるように設定されたものである量子コ
    ンピュータにおける量子相関ゲート素子構造において、 前記第1の量子ドット、前記第2の量子ドット、前記第
    3の量子ドットおよび前記第4の量子ドットは、請求項
    1、請求項2、請求項4、請求項5、請求項6、請求項
    7、請求項8、請求項9または請求項10のいずれか1
    項に記載の位置制御された液滴エピタキシーによる窒化
    物半導体の量子ドットの形成方法において形成されたも
    のである量子コンピュータにおける量子相関ゲート素子
    構造。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の量子コンピュータ
    における量子相関ゲート素子構造において、 前記第1の量子ドットと前記第4の量子ドットとは、第
    1の可変コンデンサを介して容量的に接続され、 前記第2の量子ドットと前記第3の量子ドットとは、第
    2の可変コンデンサを介して容量的に接続されたもので
    ある量子コンピュータにおける量子相関ゲート素子構
    造。
  16. 【請求項16】 請求項12、請求項13、請求項14
    または請求項15のいずれか1項に記載の量子コンピュ
    ータにおける量子相関ゲート素子構造において、 前記第1の量子ビット素子構造は、第3の可変コンデン
    サを介して第1の単電子トランジスタに接続され、 前記第4の量子ビット素子構造は、第4の可変コンデン
    サを介して第2の単電子トランジスタに接続されたもの
    である量子コンピュータにおける量子相関ゲート素子構
    造。
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