[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2000315563A - スパークプラグ用絶縁体の製造方法 - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体の製造方法

Info

Publication number
JP2000315563A
JP2000315563A JP11124149A JP12414999A JP2000315563A JP 2000315563 A JP2000315563 A JP 2000315563A JP 11124149 A JP11124149 A JP 11124149A JP 12414999 A JP12414999 A JP 12414999A JP 2000315563 A JP2000315563 A JP 2000315563A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
insulator
water
spark plug
raw material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11124149A
Other languages
English (en)
Inventor
Hiroto Ito
博人 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NGK Spark Plug Co Ltd filed Critical NGK Spark Plug Co Ltd
Priority to JP11124149A priority Critical patent/JP2000315563A/ja
Publication of JP2000315563A publication Critical patent/JP2000315563A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Oxide Ceramics (AREA)
  • Spark Plugs (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 平均粒径1μm以下のアルミナ粉末を主成分
とする原料粉末を用いて、成形時に適度な強度を有する
成形体を安定して成形すると共に、スパークプラグ用絶
縁体の製造効率の向上を図ることができるスパークプラ
グ用絶縁体を提供する。 【解決手段】 平均粒径1μm以下のアルミナ粉末を主
成分とし、そのアルミナ粉末に焼結助材として機能する
添加元素系原料を配合して調製される原料粉末100重
量%中に、水分を0.8重量%未満の範囲内で含有する
ように含水粉末を調製する。そして、得られる含水粉末
をラバープレス成形機本体20のキャビティ11内に所
定量充填し、貫通孔6を形成するためのプレスピン30
を挿入した上で所定の絶縁体形状の成形体PCにプレス
成形して、プレスピン30を抜き取り、その成形体PC
を焼成してスパークプラグ用絶縁体を製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は内燃機関の点火に使
用されるスパークプラグであって、そのスパークプラグ
を構成するスパークプラグ用絶縁体の製造方法に関する
ものである。
【0002】
【従来技術】自動車エンジン等の内燃機関に使用される
スパークプラグにおいては、そのスパークプラグを構成
するスパークプラグ用絶縁体(以下、単に「絶縁体」と
もいう)として、従来より、アルミナ(Al)を
主体とした絶縁材料により構成された焼結体(アルミナ
基焼結体)が実用に供されている。その理由としては、
アルミナが、耐熱性及び機械的特性、さらには常温から
高温までの耐電圧特性に優れていることが挙げられる。
絶縁体は、一般には軸線方向に縦長に形成されており、
その中心部には、接地電極と対向して火花放電ギャップ
を形成するための中心電極と、これに高電圧を印加する
ための端子電極とを挿入するための細長い貫通孔が形成
されている。
【0003】このような絶縁体は、原料粉末から成形さ
れた成形体を焼成することにより製造される。具体的な
製造の方法としては、アルミナ粉末を主成分とする原料
粉末に親水性バインダと溶媒としての水を添加した上
で、湿式混合して成形用スラリーを作製し、ついでこの
成形用スラリーをスプレードライ法等により噴霧乾燥し
て造粒し、その造粒された原料粉末を前述したような所
定の絶縁体形状の成形体に成形して焼成することにより
製造されることが多い。この際、原料粉末としては、前
述したようにアルミナ粉末を主成分とするものが用いら
れているが、従来より、絶縁体の品質の安定化、さらに
はコストダウンといった生産性を考慮して、平均粒径が
2μm程度のアルミナ粉末を主成分とするものが用いる
ことが一般的になっている。さらに、前述したような製
造工程においては、成形時に得られる成形体が適度な強
度を有するように、原料粉末100重量%中に、水分を
0.9〜1.3重量%の範囲内で含有するように調製し
た上で成形することが一般的になっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年におい
ては、内燃機関の高出力化に伴い、燃焼室内における吸
気及び排気バルブの占有面積が拡大してきており、スパ
ークプラグは小型化される傾向にある。そのために、絶
縁体についても厚みを薄くすることが必要とされ、より
一層の耐電圧特性に優れる絶縁体が必要とされている。
そこで、スパークプラグへの高電圧印加時に起こりうる
絶縁破壊(絶縁体の火花貫通破壊)の要因の一つとして
考えられている絶縁体組織中の残留空孔を除去すべく、
絶縁体を従来と比較して顕著に緻密化させて形成するこ
とにより、絶縁破壊を防止して耐電圧特性を向上させる
ことが考えられている。
【0005】ここで、その考えに基づき、平均粒径が2
μm程度の粒度を有するアルミナ粉末を主成分とした原
料粉末をより緻密化させた絶縁体として得るには、焼成
温度を従来と比較して高く設定した上で成形体を焼成
し、焼結させる必要がある。その理由としては、アルミ
ナ粉末の粉末粒子間での焼結反応が進行するに際して、
粉末粒子の粒度が比較的大きい場合には粉末粒子相互の
反応する(即ち、接触する)単位表面積の割合が比較的
小さく、反応する粉末粒子間(粒界)に空孔が残留し易
いために、焼成温度を高めて粉末粒子相互の反応活性を
大ならしめて、その凝集力により粉末粒子間の空孔(空
孔率)を減少させつつ焼成収縮を高めなければならない
からである。しかしながら、成形体を焼成する焼成炉に
あって、焼成温度を従来と比較して大きく上昇させるこ
とは、焼成炉自体の耐久性等を考慮した時に限度がある
といえる。また、成形体の焼成工程において焼成時間を
要する可能性もあり、製造工程の遅延化を招いてしまう
おそれがある。即ち、従来からの平均粒径が2μm程度
のアルミナ粉末を主成分とした原料粉末をより緻密化さ
せた絶縁体として得るには、製造上限度があり、また製
造工程の点からみても優れるものとは言い難いものであ
る。
【0006】そこで、従来の原料粉末と比較して、より
微細な粒度を有するアルミナ粉末を主成分とする原料粉
末を、具体的には平均粒径が1μm以下のアルミナ粉末
を主成分とする原料粉末を用いて絶縁体を形成すること
が考えられる。その理由としては、アルミナ粉末の粉末
粒子間での焼結反応が進行する際に、粉末粒子の粒度が
微細であることにより、粉末粒子相互の反応する(即
ち、接触する)単位表面積の割合が従来と比較して増大
するからである。従って、従来の原料粉末と同じ焼成温
度により焼結させた場合にも、焼成時に粉末粒子間にお
ける空孔が生じにくくかつ焼成収縮を高めることが可能
であり、絶縁体の緻密化を促進することができるのであ
る。即ち、焼成時の焼成温度を従来と比較して高く設定
せずに緻密化した絶縁体を得ることが可能となり、また
製造工程を遅延化させるおそれもないことから、耐電圧
特性に優れたスパークプラグ用絶縁体を効率よく提供す
ることが期待できる。
【0007】しかしながら、前述した平均粒径が1μm
以下のアルミナ粉末を主成分とする原料粉末を出発原料
として、従来からの一般的な絶縁体の製造の方法に適用
して成形(製造)を行った場合にあっては、以下の問題
が生じてしまう。それは、成形時に得られる成形体が適
度な強度を有するように、従来より、アルミナ粉末を主
成分とする原料粉末100重量%中に、水分を0.9〜
1.3重量%範囲内で含有させた上で成形体の成形を行
っているが、平均粒径が1μm以下のアルミナ粉末を主
成分とする原料粉末にあっては、成形前に従来と同重量
%の水分を含有させると、粉末粒子の粒度が従来のもの
(平均粒径が2μm程度)と比較して微細であることか
ら、水分と接触し易く(なじみ易く)、そのために得ら
れる粉末の粘結性が大きくなり過ぎてしまうのである。
その結果、粉末としての流動性が無くなってしまい、製
造工程の取り扱いが困難となってしまうばかりか、成形
時に適度な強度を有する成形体が得られない場合があ
る。
【0008】本発明の目的は、平均粒径が1μm以下の
アルミナ粉末を主成分とする原料粉末を用いて、緻密化
に一層優れるスパークプラグ用絶縁体を製造するにあた
って、成形時に適度な強度を有する成形体を安定して成
形することができると共に、スパークプラグ用絶縁体の
製造効率の向上を図ることができるスパークプラグ用絶
縁体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】前記課題
を解決するための本発明の解決手段は、中心電極及び端
子電極を挿入するための貫通孔が軸線方向に形成された
スパークプラグ用絶縁体の製造方法であって、平均粒径
が1μm以下のアルミナ(Al)粉末を主成分と
し、そのアルミナ粉末に焼結助材として機能する添加元
素系原料を配合して原料粉末を調製する工程と、前記原
料粉末100重量%中に、水分を0.8重量%未満の範
囲内で含有する含水粉末を調製する工程と、前記含水粉
末を所定の絶縁体形状の成形体に成形する成形工程と、
前記成形体を焼成する焼成工程と、からなることを特徴
とする。
【0010】かかる構成における注目すべき点は、主成
分である平均粒径が1μm以下のアルミナ粉末と焼結助
材として機能する添加元素系原料とから配合されてなる
原料粉末100重量%中に、水分を0.8重量%未満の
範囲で含有するように含水粉末を調製する点にある。な
お、本明細書において「含水粉末」とは、原料粉末中に
水分を含有した粉末のことをいう。かかる点により、得
られる含水粉末は適度な粘結性を有することになり、所
定の絶縁体形状の成形体に成形するに際して、粉末粒子
への解砕が促進され易く、また成形体の強度を適度にか
つ安定して有することが可能となる。また、成形時にお
ける粉末の充填性についても良好に得ることができるこ
とから、得られた成形体を焼成するにあたって、絶縁体
(アルミナ基焼結体)の緻密化の進行が妨げられること
なく、良好に進行する。さらには、粉末としての流動性
についても適度に有する(換言すれば、含水粉末の粘結
性が適度である)ことから、製造工程の取り扱いについ
ても容易に扱うことができる。
【0011】なお、前述した製造方法において、平均粒
径が1μm以下のアルミナ粉末を主成分とする原料粉末
100重量%中に含有される水分の含有量としては、
0.8重量%未満の範囲内で、好ましくは0.2〜0.
8重量%未満の範囲内で、さらに好ましくは0.2〜
0.7重量%の範囲内で調製するとよい。ここで、前述
した原料粉末に0.8重量%以上の水分を含有するよう
に含水粉末を調製した場合には、含水粉末の粘結性が大
きくなり過ぎてしまい、製造工程の取り扱いが困難とな
るばかりか、成形時において所定の形状をした成形体が
得られなくなってしまう可能性が高い。一方、原料粉末
に含有される水分は理論上0重量%でも可能であるが、
生産性の面からみた場合に、成形工程前に原料粉末が長
時間自然放置されると、空気中の湿度の影響により原料
粉末に極微量の水分が含有されることがある。なお、前
述した原料粉末に含有される水分の含有量が0.2重量
%が下回る場合には、粉末が静電気を帯びてしまい、成
形時にその斥力によって粉末の充填性が十分に高められ
ずに、焼結時において成形体の緻密化の進行が妨げられ
てしまう可能性がある。
【0012】さらに、本発明においては、平均粒径が1
μm以下といった微細な粒度を有するアルミナ粉末を主
成分とした原料粉末を用いるものである。その結果、前
記原料粉末よりなる成形体の焼成時にあっては、スパー
クプラグへの高電圧印加時に起こりうる絶縁破壊の要因
となる絶縁体(アルミナ基焼結体)組織中の残留空孔の
発生を従来と比較して抑制しつつ、緻密化を顕著に促進
させることが可能となる。
【0013】また、一般的に、前述のスパークプラグ用
絶縁体の製造方法における前記成形工程は、プレスピン
が配置された成形型のキャビティ内に前記含水粉末を充
填する粉末充填工程と、前記キャビティ内の前記含水粉
末を所定の絶縁体形状の成形体となるように加圧及び圧
縮する工程と、前記成形体から前記プレスピンを抜き取
ることにより、前記貫通孔となるべきピン孔を形成する
プレスピン抜き取り工程と、からなることが多い。
【0014】ところで、前記成形工程においては、キャ
ビティ内に充填される含水粉末が、貫通孔形成のための
プレスピンといわば一体化される形で加圧及び圧縮さ
れ、成形(プレス成形)される。そのためプレスピンを
成形体から抜き取る工程が必要となるが、その工程に際
して、含水粉末における水分の含有量が多い(即ち、含
水粉末の粘結性が高い)と、プレスピンに含水粉末が固
着し易く、プレスピン抜き取り時にそのプレスピンに含
水粉末が固着した状態で抜き取られるといった問題が発
生する。即ち、含水粉末における水分の含有量が多い
と、成形体とプレスピンとの間の離型性が悪くなってし
まうのである。その結果、プレスピン抜き取り時或いは
抜き取った時に、成形体自体或いはピン孔に変形や欠け
等の欠陥を生じてしまい、所定の絶縁体形状の成形体が
得られないばかりか、ピン孔内の内壁面にマイクロクラ
ック等の欠陥が生じてしまうといった不具合を招いてし
まうおそれがある。そして、これらのような不具合が生
じてしまった場合には、焼成後に得られる絶縁体に中心
電極及び端子電極の挿入ができずに組付け不良を起こし
たり、また、ピン孔内のマイクロクラックの存在により
端子電極への高電圧印加時に絶縁破壊が起こり易くなっ
てしまう。
【0015】そのために、前述の不具合を防止すべく1
回プレス成形を行う毎にプレスピンにスピンドル油等の
離型剤を塗布することも考えられるが、離型剤の塗布作
業といった工程を新たに導入する必要があり、また離型
性についても十分に改善できないことが多い。さらに、
離型剤の塗布量が過剰になった場合には、成形体への離
型剤の成分混入によって、絶縁体の品質及び性能の劣化
(例えば、耐電圧特性の低下等)を引き起こしてしまう
ことが懸念される。
【0016】そこで、本発明にあっては、前述したよう
に平均粒径が1μm以下のアルミナ粉末と焼結助材とし
て機能する添加元素系原料とから配合される原料粉末1
00重量%中に、0.8重量%未満の水分を含有するよ
うに含水粉末を調製することにより、得られる含水粉末
を適度な強度を有すると共に所定の形状の成形体に加圧
及び圧縮することを可能とし、さらには成形体からプレ
スピン抜き取り時に、プレスピンへの含水粉末の固着が
起こり難く、その抜き取りを円滑に行うことができる。
即ち、成形体とプレスピンとの間の離型性を良好にする
ことができるのである。その結果、プレスピン抜き取り
時に、成形体自体やピン孔に欠けや変形等の欠陥や、貫
通孔となるべくピン孔の内周部におけるマイクロクラッ
ク等の欠陥といった不具合が生じ難い。しかも、プレス
ピンに対する離型剤の塗布についても省略ないしは軽減
することが可能となるので、成形体を成形する工程の簡
略化を図ることが可能となり、ひいてはスパークプラグ
用絶縁体の製造工程における製造効率の向上についても
図ることが可能となる。
【0017】さらに、前述のスパークプラグ用絶縁体の
製造方法にあっては、前記プレスピンとして、前記キャ
ビティ内に位置する部分の外面の少なくとも一部を、主
に非晶質炭素からなる硬質炭素系離型被膜にて覆ったも
のが使用されるとよい。
【0018】なお、この明細書において「主に非晶質炭
素からなる硬質炭素系離型被膜」とは、膜の主体をなす
炭素の骨格構造が非晶質であり、かつそのビッカース硬
度が1500kg/mm以上の被膜をいう。ここでの
硬質炭素系離型被膜の硬度については、例えばダイナミ
ック超微小硬さ試験機等を用いて測定することができ
る。また、その被膜のうち、炭素の骨格構造を構成する
結合にダイヤモンド結合(sp混合軌道による共有結
合)を比較的多く含んでいるものについては、ダイヤモ
ンド状炭素被膜(ダイヤモンドライクカーボン被膜)と
も称され、非常に硬質なものとなる。加えて、アルミナ
等の絶縁材料(粉末)との付着力が非常に弱い表面性状
を有するものとなる。その理由としては、炭素の骨格構
造に生ずるダングリングボンドが原料ガスに由来する水
素原子によって塞がれて、材料の付着の要因となる水素
結合が発生しにくい表面構造が実現されることによるも
のと推測される。その結果、前述したアルミナ粉末を主
成分とする原料粉末からなる含水粉末を成形する加圧及
び圧縮工程にあって、高圧条件によりプレス成形が行わ
れたとしても、得られた成形体からのプレスピン抜き取
り工程時に起こりうるプレスピンへの含水粉末の固着が
極力抑制され、成形体とプレスピンとの間の離型性が極
めて良好となる。
【0019】さらに、前記アルミナ粉末は、調製される
前記原料粉末100重量%に対して95〜99.7重量
%の範囲内で配合されているとよい。
【0020】本発明においては、前述したように平均粒
径が1μm以下といった微細な粒度を有するアルミナ粒
子を主成分とした原料粉末を用いるものである。それに
より、アルミナ粉末の粉末粒子間で焼結反応が進行する
に際して、粉末粒子の粒度が微細(従来では、平均粒径
が2μm前後)であることから、粉末粒子相互における
反応する(即ち、接触する)単位表面積の割合が増大す
る。その結果、粉末粒子間に空孔が生じにくくなり、絶
縁体の緻密化が顕著に進行され易い。即ち、微細な粒度
のアルミナ粉末を主成分とした原料粉末の焼結に際して
は、焼結助材として機能する添加元素系原料を多量に添
加しなくても、換言すればその添加元素系原料を極微量
添加するだけで、緻密化した絶縁体を得ることが可能と
なる。
【0021】そこで、本発明においては、平均粒径が1
μm以下といった従来(平均粒径2μm程度)と比較し
て微細な粒度を有するアルミナ粉末を主成分としている
ことから、調製される原料粉末100重量%に対して9
5〜99.7重量%の範囲内までアルミナ粉末の含有量
を高めて、原料粉末を配合することができるのである。
その結果、焼成後に得られる絶縁体は、耐電圧特性の向
上に直接的に寄与するアルミナの含有量が非常に高く
(換言すれば、アルミナリッチな組成を有することにな
り)、さらに緻密化した絶縁体として得られるので、常
温から700℃近傍までの高温における耐電圧特性に一
層優れた絶縁体を提供することが可能となる。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て添付の図面を用いて説明する。本発明のスパークプラ
グ用絶縁体の製造方法により得られるスパークプラグ用
絶縁体2は、図1に示すようなスパークプラグ100に
備えられるものである。ここで図1に示す一例たるスパ
ークプラグ100は、絶縁体2の先端を突出させた状態
でその絶縁体2の径方向周囲を取り囲んで保持する主体
金具1と、絶縁体2の内側に先端を突出させた状態で挿
入された中心電極3と、主体金具1に一端が溶接等によ
り結合されると共に他端側が側方に曲げ返され、その側
面が中心電極3の先端部と対向するように配置された接
地電極4等を備えて構成されるものである。
【0023】さらに、このスパークプラグ100につい
て詳述すると、接地電極4と中心電極3との間隙には、
火花放電ギャップgが形成されている。また、主体金具
1は、低炭素鋼等の金属を用いて円筒状に形成されてお
り、スパークプラグ100のハウジングを構成すると共
に、その外周面にスパークプラグ100をエンジンブロ
ック(シリンダーヘッド)にねじ込みながら取り付ける
ためのネジ部(雄ネジ部)5が形成されている。なお、
本実施形態のネジ部5の外径は12mmのものとした。
主体金具1における1eは、主体金具1をエンジンブロ
ックに取り付ける際に、スパナやレンチ等の工具を係合
させる工具係合部分であって、六角状の軸断面形状に形
成されている。また、中心電極3及び接地電極4はNi
合金等で構成されており、必要に応じて放熱促進のため
のCu或いはCu合金との良熱伝導金属製芯材3aが埋
設されている。
【0024】絶縁体2は、中心部には自身の軸線方向に
沿って中心電極3を嵌め込むための貫通孔6を有しつつ
縦長に形成されており、また後述するようにアルミナ
(Al )を主成分とする絶縁材料により構成され
ている。そして、その一方の端部側には端子電極7が挿
入・固定され、同じく他方の端部側に中心電極3が挿入
・固定されている。また、貫通孔6内における端子電極
7と中心電極3との間には、抵抗体8が配置されてお
り、この抵抗体8の両端部は導電性ガラスシール層9、
10を介して、中心電極3と端子電極7とにそれぞれ電
気的に接続されている。
【0025】中心電極3の軸断面径は抵抗体8の軸断面
径よりも小さく設定されている。そして、貫通孔6は、
中心電極3を挿通させる略円筒状の第一部分6aと、そ
の第一部分6aの後方側(図面上方側)においてこれよ
りも大径に形成される略円筒状の第二部分6bとを有す
る。図1に示すように、端子電極7と抵抗体8とは第二
部分6b内に収容され、中心電極3は第一部分6a内に
挿通される。中心電極3の後端部には、その外周面から
外向きに突出して中心電極固定用凸部3aが形成されて
いる。そして、貫通孔6の第一部分6aと第二部分6b
との接続位置には、中心電極3の電極固定用凸部3bを
受けるための凸部受け面6cがテーパ面或いはアール面
状に形成されている。
【0026】以下、本発明の絶縁体2の製造方法につい
て、その工程の一例を説明する。まず、平均粒径が1.
0μm以下のアルミナ(Al)粉末を、調製され
る原料粉末100重量%に対して95〜99.7重量%
の範囲内となるように配し、そのアルミナ粉末に焼結助
材として機能する添加元素系原料を配合して原料粉末を
調製する。そして、その原料粉末に対して、親水性バイ
ンダ(例えばポリビニルアルコール)及び溶媒としての
水とを添加し、湿式混合することにより成形用素地スラ
リーを作製する。
【0027】なお、本実施形態における添加元素系原料
としては、Si成分、Ca成分、Mg成分、Ba成分、
B成分から選ばれる1種または2種以上から構成されて
いるとよい。また、前述の各成分から構成される添加元
素系原料の含有量としては、調製される原料粉末100
重量%に対して、各成分の酸化物換算した重量での合計
含有量(以下、W1と記す)にて0.03〜5重量%の
範囲内で配合されるとよい。それにより、焼成時に添加
元素系原料が溶融して液相を生じ易く、絶縁体(アルミ
ナ基焼結体)の緻密化を促進する焼結助材として機能し
易くなる。なお、W1が0.03重量%未満になると、
絶縁体を緻密化させて得ることが困難となり、700℃
近傍といった高温下における強度及び耐電圧特性が却っ
て不足してしまう。一方、W1が5重量%を超えると、
焼成して得られる絶縁体のアルミナ含有量が高い状態
(即ち、アルミナリッチな組織)として得られなくな
る。それ故、W1は0.03〜5重量%とするのがよ
く、より好ましくは0.3〜3重量%とするのがよい。
【0028】また、前記添加元素系原料のうち、とりわ
けBa成分とB成分については、絶縁体の高温強度を顕
著に向上させる効果をも有する。ここで、Ba成分は、
BaOに換算した重量(以下、WBaOと記す)にて、
0.02〜0.3重量%の範囲で含有させるのがよい。
WBaOが0.02重量%未満であると、BaO配合に
よる高温強度向上の効果が顕著に得られなくなる。ま
た、WBaOが0.3重量%を超えると、スパークプラ
グ用絶縁体の高温強度が損なわれることにつながる。W
BaOは、望ましくは0.02〜0.2重量%の範囲で
調整するのがよい。一方、B成分は、B換算した
重量(以下、WBと記す)にて、0.01〜0.
25重量%の範囲で含有させるのがよい。WB
0.01重量%未満になると、WB配合による高
温強度向上の効果が顕著に得られなくなる。また、WB
が0.25重量%を超えるとスパークプラグ用絶
縁体の高温強度が損なわれることにつながる。WB
は、望ましくは0.01〜0.15重量%の範囲で調
整するのがよい。なお、Si成分、Ca成分、Mg成分
については、それぞれSiOに換算した重量にて0.
15〜2.5重量%、CaOに換算した重量にて0.1
2〜2.0重量%、MgO換算した重量にて0.01〜
0.1重量%の範囲で含有させるのがよい。
【0029】さらに、本実施形態における各添加元素系
原料としては、例えばSi成分はSiO粉末、Ca成
分はCaCO粉末、Mg成分はMgO粉末、Ba成分
はBaCO粉末、B成分がHBO粉末(或いは水
溶液でもよい)の形で配合することができる。また、添
加元素系原料におけるSi、Ca、Mg及びBaの各成
分については、酸化物の他、水酸化物、炭酸塩、塩化
物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩等の各種無機原料粉末を
使用することもできる。なお、これら無機系原料粉末
は、いずれも焼成により酸化物に転化できるものを使用
する必要がある。さらに、B成分については、HBO
をはじめとする各種ホウ酸類、さらには絶縁体の主成
分元素たるAlや、Ca、Mg、Ba等とのホウ酸塩等
を使用することもできる。また、特にBa成分とB成分
とは、絶縁体の高温強度を向上させる効果のほか、焼結
時に発生する液相の流動性を高める効果を有するから、
特に有用な成分となりうる。
【0030】さらに、前記添加元素成分の他に補助添加
元素成分として、Sc、V、Mn、Fe、Co、Cu、
Znから選ばれる1種又は2種以上の元素成分を、酸化
物換算した重量にて合計で0.1〜2.5重量%(望ま
しくは0.2〜0.5重量%)の範囲内で含有させて、
原料粉末を調製してもよい。これにより、絶縁体の高温
での耐電圧特性向上の上でさらなる効果を期待すること
ができる。
【0031】ついで、得られた原料粉末たる成形用素地
スラリーを、後工程にあたる成形工程において適度な強
度を有する成形体が得られるように、水分を所定量含有
する含水粉末GPに調製する。なお、本実施形態におけ
る含水粉末GPに含有される水分の所定量とは、後述す
るように、原料粉末100重量%中に、0.8重量%未
満の範囲内で含有するように調製することが重要とな
る。ここで、含水粉末GPを調製する手段としては、原
料粉末たる成形用素地スラリーをスプレードライ法等に
より噴霧乾燥を行う際に、噴霧乾燥時の条件(例えば、
乾燥温度や噴霧速度等)を調整して、所定量の水分を含
有する含水粉末GPとなるように調製することが考えら
れる。或いは、原料粉末たる成形用素地スラリーをスプ
レードライ法等により噴霧乾燥を行い、その噴霧乾燥後
に得られる粉末に対して、所定量の水分を含有しうるよ
うに水分を別途加えることにより、含水粉末GPを調製
してもよい。
【0032】ついで、得られた含水粉末GPをラバープ
レス成形することにより、所定の絶縁体形状(図1にお
ける絶縁体2参照)を有する成形体(プレス成形体)を
作製する。図2〜図6に、そのラバープレス成形の工程
を模式的に示している。まず、図2に示すように、内部
に軸線方向に対して貫通するキャビティ11を有する円
筒状の内ゴム型12が、成形機本体20内に配置された
円筒状の外ゴム型13内に略同心的に配置される成形機
を配する。なお、キャビティ11の下側開口部は底蓋1
4及び下ホルダー15により塞がれている。
【0033】この状態でキャビティ11内に所定量の含
水粉末GPを充填して、図3に示すように、ここにプレ
スピン30を軸線方向に挿入する。このプレスピン30
の基端側には上ホルダー16が一体化されており、図4
に示すように、キャビティ11の上側開口部に嵌め込ま
れてこれを密封状態で塞ぐようになっている。なお、上
ホルダー16に対して、プレスピン30は軸線周りに相
対回転可能とされている。
【0034】ここで、プレスピン30は、成形時にそれ
自体に変形が生じにくいよう、全体が剛性の高い材質、
具体的には超硬合金や合金工具鋼等から構成される。ま
た、プレスピン30の先端側に図1の貫通孔6の第一部
分6aを形成するための第一軸部31と、その第一軸部
31の後方側に続く形で、貫通孔6の第二部分6bを形
成するための第二軸部32とが形成されており、さらに
第二軸部32の基端側外周面には、リブ状のピン側螺旋
部33が形成されている。
【0035】ついで、図5に示すように、成形機本体2
0に形成された加圧液体通路20aを介して液圧FP
を、外ゴム型13の外周面に対し半径方向に付与してキ
ャビティ11を縮小させ、キャビティ11内に充填され
た含水粉末GPを外ゴム型13及び内ゴム型12を介し
て圧縮する(即ち、含水粉末は、ゴム型12、13を介
して間接的に液圧を付与することにより加圧及び圧縮さ
れる)。これにより、成形体(プレス成形体)PCがプ
レスピン30と一体化された形で成形される。
【0036】液圧FPの付与を解除すると、外ゴム型1
3及び内ゴム型12は弾性復帰し、縮小していたキャビ
ティ11も原形に戻る。これにより、圧縮成形された成
形体PCとキャビティ11内面との間には隙間が形成さ
れる。そして、図6に示すように、上ホルダー16をゴ
ム型12、13に対し軸線方向に相対的に引き上げるこ
とにより、プレスピン30は成形体PCを伴った状態の
ままでキャビティ11から引き上げられる。
【0037】ここで、ラバープレス成形される含水粉末
GPは、前述したように、成形前において、原料粉末中
に水分を含有するように調製される。その目的として
は、含有粉末GPが調製されることにより、ラバープレ
ス成形時における粉末粒子の解砕を促進させると共に、
含水粉末に配合されている親水性バインダを膨潤させて
粘結性を有効にかつ適度に引き出して、得られる成形体
の強度を適度に高めるためである。
【0038】そこで、平均粒径が1μm以下のアルミナ
粉末といったように粒度が微細な原料粉末を用いる場合
にあっては、原料粉末に対して水分が接触し易い(なじ
み易い)ために、原料粉末100重量%中に、0.8重
量%未満の範囲内で水分を含有するように含水粉末を調
製することがとりわけ重要となる。なお、より好ましく
は0.2〜0.7重量%の範囲内にて水分を含有する含
水粉末を調製するとよい。ここで、0.8重量%以上の
水分を原料粉末中に含有する含水粉末を調製した場合に
は、得られる含水粉末の粘結性が大きくなり過ぎてしま
い、製造工程の取り扱いが困難となってしまうばかり
か、成形(プレス成形)時に所定の絶縁体形状の成形体
を得られないことがある。また、ラバープレス成形機の
ゴム型に含水粉末が残留付着してラバープレス成形機自
体の耐久性が低下してしまうことも考えられる。一方、
原料粉末に含有される水分は理論上0重量%でも可能で
あるが、生産性の面からみた場合に、成形工程前に原料
粉末が長時間自然放置されると、空気中の湿度の影響に
より原料粉末に極微量の水分が含有されることがある。
なお、前述した原料粉末に含有される水分の含有量が
0.2重量%が下回る場合には、粉末が静電気を帯びて
しまう可能性があり、成形時にその斥力によって粉末の
充填性が十分に高められずに、焼結時において成形体の
緻密化の進行が妨げられてしまことが懸念される。
【0039】また、含水粉末中に含まれる親水性バイン
ダの配合量は0.5〜3.0重量%の範囲内で調整する
のがよい。親水性バインダの配合量が0.5重量%未満
になると、成形体としての強度が不足して取り扱いが困
難となるばかりか、成形時において成形体に欠けや変形
等の欠陥が発生するおそれがある。一方、3.0重量%
を超えると、焼成時の脱バインダ処理時間が長くなり、
絶縁体の製造効率の低下につながるほか、絶縁体中の親
水性バインダに由来する不純物成分(例えば炭素)の残
留物が増してしまい、絶縁体の性能(例えば、耐電圧特
性等)の低下につながる場合がある。
【0040】さらに、ラバープレス成形時のプレス圧力
(液圧FP)は、30〜100MPaの範囲内で調整す
るのがよい。プレス圧力が30MPa未満であると、成
形時の成形体の強度が不足して取り扱いが困難となるば
かりか、成形時において成形体に欠けや変形等の欠陥が
発生するおそれがある。他方、100MPaを超える
と、ゴム型の寿命が短くなり、コストアップにつながる
場合がある。また、高圧形成のため、キャビティ11内
壁部が成形体外面から粉末粒子間ににじみ込むようにし
て噛み込まれ、除荷時のゴム型(この場合、内ゴム型1
2)のスムーズな弾性復帰が妨げられ易くなる。その結
果、ゴム型の急激な弾性復帰による振動が生じ易くな
り、所定の絶縁体形状に成形される成形体に損傷を与え
てしまう場合がある。
【0041】図6に戻り、こうして成形された成形体P
Cからは、プレスピン30を抜き取る必要がある。図5
に示すように、キャビティ11内の含水粉末GPは半径
方向に圧縮されて外周面に強く押し付けられるので、プ
レスピン30の外面との離型性が悪いと、プレスピン3
0の抜き取り時に、そのプレスピン30に含水粉末の固
着を生じ易い。本発明にあっては、前述したように含水
粉末GPに含有される水分の含有量が、原料粉末100
重量%中に0.8重量%未満の範囲内に、好ましくは
0.2〜0.7重量%の範囲内になるように調製される
ため問題とはならない。しかしながら、平均粒径が1μ
m以下のアルミナ粉末を主成分とする原料粉末100重
量%中に、0.8重量%以上の水分を含有する含水粉末
をラバープレス成形した場合にあっては、プレスピンの
抜き取り時に、そのプレスピンに含水粉末が固着してし
まい、プレスピンと成形体との間の離型性が悪化すると
いった問題が発生し易くなるのである。そして、離型性
の悪い状態で無理にプレスピンを成形体から抜き取ろう
とすると、付着した含水粉末がもぎ取られて(固着し
て)、プレスピンが抜き取られた後に形成される成形体
PCのピン孔6b’、6a’の内壁に欠陥を生じたり、
或いは成形体PCに不自然な力が作用して折損等の不具
合につながることもある。
【0042】図7にプレスピン30を成形体PCから抜
き取る様子を示す。キャビティ11内から引き上げられ
た成形体PCを、図示しないエアチャックで保持しなが
ら、プレスピン30に嵌め合わせられた回転軸50を、
図示しないモータ等の駆動源により回転させる。そし
て、プレスピン30を成形体PCに対して軸線周りに回
転させて、そのプレスピン30を上昇させる。その際、
ピン側螺旋部33の螺進作用により、プレスピン30が
回転しながらゆっくりと上昇することになり、ピン孔内
壁との間に無理な摩擦力が生じにくく、成形体PCを痛
めることなく円滑にプレスピン30を抜き取ることがで
きる。なお、このようにして形成される成形体にあって
は、ピン側螺旋部33に対応した形状(即ち、溝形状)
が形成されることになるが、このピン側螺旋部33に対
応した形状は切削等により除去してもよい。
【0043】さらに、本実施形態にあっては、プレスピ
ンと成形体との間の離型性をさらに向上させるために、
プレスピンとして、キャビティ内に位置する部分の少な
くとも一部を、主に非晶質炭素からなる硬質炭素系離型
被膜にて覆ったものを使用するとよい。このようなプレ
スピンの一例としては、例えば図8に示すように、先端
側に図1の貫通孔6の第一部分6aを形成するための第
一軸部44と、その第一軸部44の後方側に続く形で、
貫通孔6の第二部分6bを形成するための第二軸部45
とが形成された基材43を配し、第二軸部45の基端側
外周面に形成されたリブ状のピン側螺旋部41の内面を
除く略全面に、主に非晶質炭素からなる硬質炭素系離型
被膜42が形成されているものが挙げれられる。なお、
プレスピンを構成する基材43としては、前述したよう
に成形時にそれ自体に変形が生じにくいよう、超硬合金
や合金工具鋼等から構成される必要があるが、特に、硬
質炭素系離型被膜42との親和性が強く、被膜の密着力
が十分確保できるように、超硬合金等の中でも炭素成分
を多く含有する基材を用いることが好ましい。
【0044】なお、この硬質炭素系離型被膜42の製法
としては、物理蒸着法或いは化学蒸着法の原理を応用し
た気相成膜法により成膜を行うことができる。具体的な
一例としては、原料ガスとしての炭化水素或いは炭化水
素と水素との混合ガスを減圧した雰囲気中に導入し、高
周波プラズマや抵抗発熱フィラメントを用いてこれを熱
分解させ、プレスピン表面に析出させることにより硬質
炭素系離型被膜42を得ることができる。
【0045】また、その硬質炭素系離型被膜42は、膜
厚0.1〜1.5μm(本実施形態では、膜圧0.4μ
m)程度とされ、またこの硬質炭素系離型被膜42にお
けるビッカース硬度は1500kg/mm以上(本実
施形態では、ビッカース硬度3000〜4000kg/
mm)を有している。さらに、硬質炭素系離型被膜4
2の表面粗さを0.05〜5μmRaの範囲内とすると
よい。該離型被膜42の表面粗さが5μmRa以上にな
ると、成形体からのプレスピン40の離型性が悪化する
場合がある。他方、表面粗さが0.05μmRa未満に
なると、プレスピン40表面と成形体のピン孔内壁とが
密着し過ぎ、却って離型性が悪化する場合がある。
【0046】そして、硬質炭素系離型被膜42が形成さ
れたプレスピン40にて、アルミナ粉末を主成分とする
原料粉末に対して本発明の範囲内で水分を含有する含水
粉末を、前述の図2〜図6を用いて説明したラバープレ
ス法により加圧及び圧縮し、得られた成形体からプレス
ピン40を抜き取ろうとすると、その硬質炭素系離型被
膜42がアルミナ等の絶縁材料との付着力が非常に弱い
表面性状を有するといった性質を有することから、プレ
スピン40への含水粉末の固着が極力抑制され、極めて
良好な離型性を提供することができることになる。
【0047】ついで、プレスピン30(或いは40)が
抜き取られた成形体PCは、図9に示すように、外面が
グラインダ切削等により加工されて、図1に示す絶縁体
2に対応した外形形状に仕上げられた上で、焼成温度1
450〜1700℃の範囲内で焼成される。この際、プ
レスピンにより形成された孔は、中心電極3及び端子電
極7を挿入するための貫通孔6となる。焼成後には、さ
らに釉薬をかけて、仕上焼成され完成する。そして、本
実施形態により製造されたスパークプラグ用絶縁体2を
用いてスパークプラグ100(図1参照)を形成し、そ
のスパークプラグ100は、主体金具1に形成されたネ
ジ部7においてエンジンブロック(シリンダーヘッド)
にねじ込んで取り付けられることにより、燃焼室に供給
される混合気への着火源として使用されるものとなる。
【0048】以上において、本発明のスパークプラグ用
絶縁体2の製造方法の一例を実施形態に即して説明した
が、本発明は前記実施形態に限定されるものでなく、そ
の要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できるこ
とはいうまでもない。例えば、本実施形態においては、
ラバープレス成形により含水粉末をプレス成形して成形
体を形成しているものであるが、その他の成形方法(例
えば、押出し成形等)により成形体を形成してもよい。
【0049】
【実施例】本発明の効果を確認するために、以下の実験
を行った。 (実施例1)原料粉末として、平均粒径が0.6μmの
アルミナ粉末97.0重量%(純度99.9%)に対
し、焼結助材としてSi成分をSiOに換算した重量
にて1.45重量%(純度99.0%、平均粒径2μ
m)、Ca成分をCaOに換算した重量にて1.20重
量%(純度99.0%、平均粒径2μm)、Mg成分を
MgOに換算した重量にて0.05重量%(純度99.
0%、粒径2μm)、Ba成分をBaOに換算した重量
にて0.16重量%(純度99.0%、平均粒径2μ
m)、B成分をBO3に換算した重量にて0.14重
量%(純度99.0%、平均粒径2μm)により構成さ
れる各添加元素系原料を配合すると共に、この配合した
原料粉末に所定量の親水性バインダとしてポリビニルア
ルコールと、溶媒としての水を加えた上で湿式混合し
て、成形用素地スラリーを作製した。
【0050】ついで、得られた成形用素地スラリーをス
プレードライ法により噴霧乾燥した後、原料粉末100
重量%中に、表1に記載のように0.2〜1.0重量%
の各種含有量となるように水分を別途添加して含水粉末
を調製して、前述の図2〜図6を用いて説明したラバー
プレス法(圧力50MPa)により各種水分の含有量の
含水粉末を成形し、図9に示す形状の成形体PCとし
た。なお、成形体PCにおける各部の寸法は以下の通り
とした:l1=76mm、r1=16mm、r2=10
mm、r3=19mm、δ1=5mm、δ2=3mm。
【0051】また、ラバープレス法に用いるプレスピン
としては、図8に示したような超硬合金製の基材の表面
に、硬質炭素系離型被膜(膜圧0.2μm、被膜の表面
粗さ0.2μmRa、被膜のビッカース硬度約3500
kg/mm)が形成されたもの、及び、硬質炭素系離
型被膜を形成せずに超硬合金製の基材のみで形成された
ものの両者を用いて、各種水分の含有量の含水粉末を成
形することで、以下の実験を行った。
【0052】・プレスピンの離型性:表1に記載の各種
水分含有量の含水粉末を成形し、得られた成形体からプ
レスピンを抜き取るに際して、容易に離型し、含水粉末
の固着を生じなかったものを良(○)、若干固着を生じ
たものを可(△)、強固に固着したもの、或いは成形体
に不具合を生じたもの不可(×)とした。さらに、10
00本連続してプレス成形したときの成形体のNG数に
ついても測定した。なお、その結果を以下の表1に示
す。
【0053】
【表1】
【0054】この結果よれば、プレスピンの種類に関わ
らず、原料粉末100重量%に含有される水分の含有量
が0.8重量%未満であった各実験例において、良好な
離型性が得られていることがわかる。特に、硬質炭素系
離型被膜付きのプレスピンを用いた実験例においては、
1000本連続してプレス成形を行った時の成形体のN
G数についても非常に少ないことから、顕著に離型性が
良くなっていることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に
より形成されるスパークプラグ用絶縁体を用いて構成さ
れたスパークプラグの一例を示す全体正面断面図であ
る。
【図2】スパークプラグ用絶縁体の製造工程説明図であ
る。。
【図3】図2に続く説明図である。
【図4】図3に続く説明図である。
【図5】図4に続く説明図である。
【図6】図5に続く説明図である。
【図7】図6に続く説明図である。
【図8】本発明のスパークプラグ用絶縁体の製造方法に
おいて、成形工程に使用される非晶質炭素からなる硬質
炭素系離型被膜が形成されたプレスピンの一例を示す全
体正面図である。
【図9】図2〜図6に示した製造工程により得られた成
形体の外形を示す斜視図である。
【符号の説明】
100 スパークプラグ 1 主体金具 2 スパークプラグ用絶縁体(絶縁体) 3 中心電極 4 接地電極 6 貫通孔 6a 第一部分 6b 第二部分 7 端子電極 11 キャビティ 12 内ゴム型 13 外ゴム型 30、40 プレスピン 42 硬質炭素系離型被膜 43 基材 GP 含水粉末 PC 成形体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極及び端子電極を挿入するための
    貫通孔が軸線方向に形成されたスパークプラグ用絶縁体
    の製造方法であって、 平均粒径が1μm以下のアルミナ(Al)粉末を
    主成分とし、該アルミナ粉末に焼結助材として機能する
    添加元素系原料を配合して原料粉末を調製する工程と、 前記原料粉末100重量%中に、0.8重量%未満の範
    囲内で水分を含有する含水粉末を調製する工程と、 前記含水粉末を所定の絶縁体形状の成形体に成形する成
    形工程と、 前記成形体を焼成する焼成工程と、からなることを特徴
    とするスパークプラグ用絶縁体の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のスパークプラグ用絶縁
    体の製造方法であって、 前記成形工程は、 プレスピンが配置された成形型のキャビティ内に前記含
    水粉末を充填する粉末充填工程と、 前記キャビティ内の前記含水粉末を所定の絶縁体形状の
    成形体となるように加圧及び圧縮する工程と、 前記成形体から前記プレスピンを抜き取ることにより、
    前記貫通孔となるべきピン孔を形成するプレスピン抜き
    取り工程と、からなることを特徴とするスパークプラグ
    用絶縁体の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載のスパークプラグ用絶縁
    体の製造方法であって、 前記プレスピンとして、前記キャビティ内に位置する部
    分の外面の少なくとも一部を、主に非晶質炭素からなる
    硬質炭素系離型被膜にて覆ったものが使用されることを
    特徴とするスパークプラグ用絶縁体の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記アルミナ粉末は、調製される前記原
    料粉末100重量%に対して95〜99.7重量%の範
    囲内で配合されていることを特徴とする請求項1ないし
    3のいずれかに記載のスパークプラグ用絶縁体の製造方
    法。
JP11124149A 1999-04-30 1999-04-30 スパークプラグ用絶縁体の製造方法 Pending JP2000315563A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11124149A JP2000315563A (ja) 1999-04-30 1999-04-30 スパークプラグ用絶縁体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11124149A JP2000315563A (ja) 1999-04-30 1999-04-30 スパークプラグ用絶縁体の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000315563A true JP2000315563A (ja) 2000-11-14

Family

ID=14878158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP11124149A Pending JP2000315563A (ja) 1999-04-30 1999-04-30 スパークプラグ用絶縁体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000315563A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009231268A (ja) * 2008-02-27 2009-10-08 Ngk Spark Plug Co Ltd スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法
JP2010108950A (ja) * 2008-02-27 2010-05-13 Ngk Spark Plug Co Ltd スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法
US8128446B2 (en) 2008-03-19 2012-03-06 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Method for manufacturing a spark plug insulator including steps for forming a through hole therein
JP2015189611A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 シチズンファインデバイス株式会社 セラミックス成形体の製造方法
JP2021022462A (ja) * 2019-07-26 2021-02-18 株式会社デンソー スパークプラグの製造方法
JP2021061106A (ja) * 2019-10-03 2021-04-15 株式会社デンソー スパークプラグ用の絶縁碍子の製造方法

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009231268A (ja) * 2008-02-27 2009-10-08 Ngk Spark Plug Co Ltd スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法
JP2010108950A (ja) * 2008-02-27 2010-05-13 Ngk Spark Plug Co Ltd スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法
US8469758B2 (en) 2008-02-27 2013-06-25 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Insulator for spark plug, and method for manufacturing spark plug
US8128446B2 (en) 2008-03-19 2012-03-06 Ngk Spark Plug Co., Ltd. Method for manufacturing a spark plug insulator including steps for forming a through hole therein
JP2015189611A (ja) * 2014-03-27 2015-11-02 シチズンファインデバイス株式会社 セラミックス成形体の製造方法
JP2021022462A (ja) * 2019-07-26 2021-02-18 株式会社デンソー スパークプラグの製造方法
JP7255407B2 (ja) 2019-07-26 2023-04-11 株式会社デンソー スパークプラグの製造方法
JP2021061106A (ja) * 2019-10-03 2021-04-15 株式会社デンソー スパークプラグ用の絶縁碍子の製造方法
JP7347092B2 (ja) 2019-10-03 2023-09-20 株式会社デンソー スパークプラグ用の絶縁碍子の製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6265816B1 (en) Spark plug, insulator for spark plug and process for fabricating the insulator
JP4578025B2 (ja) スパークプラグ
KR20010020288A (ko) 스파크 플러그, 스파크 플러그용 알루미나계 절연체 및 그 제조방법
KR20120065421A (ko) 스파크 플러그 및 스파크 플러그의 제조방법
US9912125B2 (en) Spark plug
US8469758B2 (en) Insulator for spark plug, and method for manufacturing spark plug
JP2000315563A (ja) スパークプラグ用絶縁体の製造方法
JP2000058226A (ja) スパークプラグ用絶縁体の製造方法及びそれに使用するプレスピン、ならびにスパークプラグ
JP2002305069A (ja) スパークプラグ用絶縁体の製造方法並びにスパークプラグ用絶縁体及びそれを備えるスパークプラグ
EP1592101B1 (en) Spark plug
JPH0712969B2 (ja) アルミナ磁器および点火プラグ
JP4544597B2 (ja) スパークプラグ
JP4465290B2 (ja) スパークプラグ
EP2103402B1 (en) Method for manufacturing an insulator for spark plug
JP5728416B2 (ja) スパークプラグ
EP3148022B1 (en) Spark plug
US5852340A (en) Low-voltage type igniter plug having a semiconductor for use in jet and other internal combustion engines and a method of making the semiconductor
JP4995863B2 (ja) スパークプラグ用絶縁体、その製造方法及びそれを用いたスパークプラグ
JP4859079B2 (ja) スパークプラグ用絶縁体及びそれを用いたスパークプラグ
JP4508439B2 (ja) スパークプラグ
JP2001002465A (ja) スパークプラグ用絶縁体及びその製造方法及びそれを備えるスパークプラグ
JP2001176637A (ja) スパークプラグ用絶縁碍子の製造方法及びそれに使用する研削部材
JP2000095557A (ja) スパ―クプラグ用アルミナ系絶縁体、その製造方法及びそれを用いたスパ―クプラグ
JP2000272958A (ja) スパークプラグ用絶縁体、その製造方法及びそれを用いたスパークプラグ
JP4897898B2 (ja) スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20051124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20081014

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081215

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20090324