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JP2000238223A - 透明複層樹脂積層体 - Google Patents

透明複層樹脂積層体

Info

Publication number
JP2000238223A
JP2000238223A JP11041413A JP4141399A JP2000238223A JP 2000238223 A JP2000238223 A JP 2000238223A JP 11041413 A JP11041413 A JP 11041413A JP 4141399 A JP4141399 A JP 4141399A JP 2000238223 A JP2000238223 A JP 2000238223A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
resin
surface layer
base layer
laminate
polycarbonate resin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11041413A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuaki Maruyama
和明 丸山
Yukie Naganori
幸絵 永徳
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd filed Critical Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Priority to JP11041413A priority Critical patent/JP2000238223A/ja
Publication of JP2000238223A publication Critical patent/JP2000238223A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Laminated Bodies (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 基層部と表層部とが共押出成形法によって積
層され、適度の熱成形性を有し、耐燃焼性、耐衝撃性を
充分に維持するとともに、耐候性に優れ、積層性が良好
で透視性の高い透明複合樹脂積層体を提供する。 【解決手段】 基層部をポリカーボネート樹脂および/
またはジカルボン酸系重縮合成分とグリコール系縮合成
分とを重縮合させて得られるポリエステル樹脂を含有す
る樹脂組成とし、表層部を平均分子量が15000〜2
3000の範囲にあるポリカーボネート樹脂100重量
部に対し紫外線吸収剤を3重量部〜25重量部を含有す
る樹脂組成として、基層部と表層部とを共押出成形法に
より積層一体化して透明複層樹脂積層体とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主として屋外用
途に使用される、透視性に優れた透明複層樹脂積層体に
関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、屋外で使用される例えば裏面印
刷を要する看板用面板等は、その大きさに応じて、通
常、厚さが1mm〜数mm程度のものが使用されてお
り、穿孔、切削、熱成形等の二次加工性、使用時の耐衝
撃性、耐燃焼性、および耐候性に優れることはもちろん
のこと、展示見本を実際の有様通りに見ることができる
ような透視性に優れたものであることが要求される。
【0003】従来、この種の用途には、二次加工性をは
じめ、透明性や耐候性に優れた耐衝撃性アクリル樹脂か
らなる板状体が多用されているが、耐燃焼性が劣り燃え
やすく、耐衝撃性はなお不充分で割れ易く、この種用途
にとって必須の要件がなお充分に満されていないという
問題がある。
【0004】一方これに対し、最近では、透明のポリカ
ーボネート樹脂からなる板状体が、その優れた耐熱性、
耐燃焼性、耐衝撃性の点で、この種用途に一部採用され
ている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ポリカーボネ
ート樹脂を用いる場合は、当該樹脂の熱成形の適性温度
が高いことに起因して、成形サイクルが長くなるという
問題があり、さらに通常板状体の表面に被覆されている
傷防止用のマスキングフィルムをそのままにして熱成形
をすると、前記フィルムが溶融して熱成形加工が困難に
なるので、止むを得ずこれを取り外した状態で熱成形
し、以後その状態のまま取り扱う結果、面板の表面に傷
が発生することが多かった。
【0006】一般に、ポリカーボネート樹脂からなる材
料は、耐熱性、耐衝撃性、耐燃焼性等に優れる反面、紫
外線等に曝露されると黄色に着色変化を起こす性質があ
り、その解決策として採用されている公知手段には、第
1に紫外線吸収剤を板状成形時に材料に混入する手段、
第2に耐候性に優れたアクリル樹脂系フィルム等の薄層
からなる表層を、板状体の厚さの大部分を占める基層の
表面にラミネート方式により被覆する手段が採用されて
いる。
【0007】しかし、前記第1の手段では、材料に紫外
線吸収剤が混入され板状体の層全体に分散されるから、
紫外線吸収剤は実用表面から隔たるにしたがってその効
果を発揮し得ず無駄な存在となってコスト高の原因とな
るばかりでなく、むしろ紫外線吸収剤による初期着色、
ブリード現象、あるいはポリカーボネート樹脂自体の適
性加工温度が高いことに起因する熱成形時の熱劣化によ
り変色する問題があり、また第2の手段では、基層のポ
リカーボネート樹脂板と表層のアクリル樹脂系フィルム
の積層界面に挟雑物が入ったり、基層と表層との屈折率
等の光学特性の相違、積層界面の平坦度や平滑度の差等
によって、積層界面で透視像の歪みや白濁による霞みを
生じ、加えて製造工程も煩雑になるという問題があっ
て、面板用途に簡単には適用し難く、依然として充分な
問題解決に至っていないのが現状である。
【0008】この発明者らは、先に、第1の手段による
問題の解決策として、ポリカーボネート樹脂に、トリア
ジン化合物からなる紫外線吸収剤と、これに加えてクマ
リン化合物およびナフタルイミド化合物のうち1種また
は2種のものからなる蛍光増白剤を添加することを提案
した(特開平10−176103号)。この手段によっ
て、ポリカーボネート樹脂組成物としての耐候性は確か
に向上するが、前記紫外線吸収剤等を、単一の層全体に
均一に含有させるものであるから、従来の第1の手段に
よる前記各種の問題点は依然として解決されていない。
【0009】そこで、上記のような問題を解決する手段
として、基層と表層とをいずれも同一のポリカーボネー
ト樹脂組成物から構成し、さらに表層に前記紫外線吸収
剤を集中的に混入する周知の表面集中添加方式を採用し
て、しかも熱可塑性樹脂製の多層製品の製造に用いられ
る、従来公知の共押出成形法を採用して積層するという
手段も考えられるが、実際には基層と表層では、各厚さ
に対応するダイス内の流路単位断面積当たりの溶融樹脂
の流動状態に差が生じて押出条件の調整が難しく、基本
となる両層の樹脂組成を互いに同一にした共押出成形法
によるこの種積層体の押出成形は非常に困難である。し
かも、このような手段では、上述の熱成形における問題
点の内、透視像の歪みや白濁による霞み等を取り除き、
ポリカーボネート樹脂の特性に起因するその他の問題点
を解決し得ない。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明者らは、上記の
ような技術的背景の下に、種々研究を重ねた結果、積層
体の厚さの大部分を占める基層を構成する樹脂組成物を
ポリカーボネート樹脂および/または特定の成分から構
成されたポリエステル樹脂からなる樹脂組成に置き換
え、表層を構成する樹脂組成物を紫外線吸収剤を含有す
る特定範囲の平均分子量のポリカーボネート樹脂からな
る樹脂組成とすれば、従来公知の共押出成形法を採用し
て前記基層と表層を容易に積層することができ、適度の
二次加工性を有するとともに、耐候性に優れ、透視性の
高い積層体が得られることを見出しこの発明を完成し
た。
【0011】而して、この発明は、基層部と表層部とが
共押出成形法によって積層され、適度の熱成形性を有
し、耐燃焼性、耐衝撃性を充分に維持するとともに、耐
候性に優れ、積層性が良好で透視性の高い透明複合樹脂
積層体を提供することを目的とする。
【0012】すなわち、この発明は、基層部と表層部と
が共押出成形法により積層一体化されてなる透明複層樹
脂積層体であって、前記基層部は、ポリカーボネート樹
脂および/またはジカルボン酸系重縮合成分とグリコー
ル系縮合成分とを重縮合させて得られるポリエステル樹
脂とからなり、前記表層部は、平均分子量が15000
〜23000の範囲にあるポリカーボネート樹脂100
重量部に対し、紫外線吸収剤を3重量部〜25重量部を
含有する樹脂組成物からなることを特徴とする透明複層
樹脂積層体を要旨とする。
【0013】この発明の好ましい実施態様は、前記紫外
線吸収剤が、トリアジン系化合物からなる請求項1に記
載の透明複層樹脂積層体である。
【0014】また、この発明の好ましい別の実施態様
は、前記表層部の厚さが10μm〜300μmである請
求項1または請求項2に記載の透明複層樹脂積層体であ
る。
【0015】この発明によれば、基層部をポリカーボネ
ート樹脂および/またはテレフタール酸系成分とグリコ
ール系縮合成分とを重縮合させて得られる特定のポリエ
ステル樹脂を樹脂組成物としたから、用途に応じた好適
な二次加工性と耐熱性を有し、透視性に優れた透明複層
樹脂積層体を得ることができる。
【0016】また、この発明の透明複層樹脂積層体は、
表層部を特定の分子量範囲のポリカーボネート樹脂の単
独樹脂成分に特定のトリアジン系化合物からなる紫外線
吸収剤を添加した樹脂組成としたから、共押出成形時の
流動性が増して基層部との流動性のバランスと相互の積
層性が良好となり、積層界面の透視像の歪みや白濁によ
る霞みが発生せず、透視性が向上する。また、積層体の
耐候性が向上することはもちろんのこと、紫外線吸収剤
による積層体全体の見かけの初期着色や熱劣化による変
色を防止できる。
【0017】さらに、この発明の透明複層樹脂積層体
は、表層部の厚さが10μm〜300μmと、基層部の
厚さ1mm〜数mmに対して薄いものであるから、積層
体全体の二次加工性が基層部に支配されることとなり、
表層部によって阻害されることはない。
【0018】従って、この発明による透明複合樹脂積層
体は、使用される樹脂成分に起因して、優れた耐燃焼性
および透明性を有することはもちろんのこと、適度の熱
成形性を有し、耐候性に優れ、積層性が良好であって透
視像に歪みを生ぜず白濁のない透視性の高い透明複合樹
脂積層体となし得る。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明による透明複合樹
脂積層体の実施の形態を、実施例および比較例とともに
説明する。なお、この発明における当該積層体は、表層
部が基層部の片面のみならずその両面に積層一体化され
たものを含むものとする。
【0020】この発明において、透明複合樹脂積層体の
基層部および表層部に用いられる樹脂は、実質的に互い
に同一である場合と異質である場合の両方を含む。この
場合の、表層部の樹脂と実質的に同一の樹脂とはポリカ
ーボネート樹脂を指し、異質の樹脂とはテレフタール酸
系成分とグリコール系縮合成分とを重縮合させて得られ
る、前記ポリカーボネート樹脂に対して相溶性の良好な
ポリエステル樹脂を指す。
【0021】前記基層部は、ポリカーボネート樹脂また
はポリエステル樹脂をそれぞれ単独で用いるか、あるい
は両樹脂を一定の割合で混合して用いるものとするが、
その選択の基準は、当該積層体が適用される前記面板等
の用途製品に応じて、それに必要な二次加工性、耐熱
性、耐衝撃性を目安として定められる。例えば、屋外使
用の用途製品には、耐熱性の観点から概ね90℃以上の
熱変形温度が要求され、二次加工性の中でも熱成形性の
観点からは概ね120℃未満であることが望ましいが、
必ずしもこれに限定されず、折曲げ成形、真空成形等の
熱成形による二次加工を要しない用途製品では熱変形温
度が120℃以上であってもよく、また屋外使用の用途
製品でも使用環境温度の低い用途製品には、70℃以下
の熱変形温度のものであっても差し支えない。
【0022】前記基層部に用いるポリカーボネート樹脂
としては、例えばビスフェノール化合物から周知の方法
で製造されるものが使用可能であり、また種々のタイプ
のものを併用してもよく、一般に二次成形可能な板状製
品に広く使用されるもので、平均分子量が20000〜
30000の範囲のものを使用する。この範囲を超える
と押出成形性が悪く、またこの範囲未満では耐衝撃性が
低下するので、好ましくは平均分子量25000〜27
000の範囲のものが適当である。そして、耐熱性を高
く要求される用途製品では、当該樹脂は単独で用いら
れ、その熱変形温度は概ね135℃である。
【0023】また、前記基層部に用いるポリエステル樹
脂としては、カルボン酸系重縮合成分とグリコール系縮
合成分とを重縮合させて得られるもので、一般にポリカ
ーボネート樹脂との相溶性が良好であることが知られて
いるものであり、例えば特開昭53−94536号公
報、特開昭53−94538号公報に示されている。
【0024】この発明においては、前記ポリエステル樹
脂として、例えばテレフタル酸およびテレフタル酸誘導
体からなる群より選ばれる1種または2種以上のテレフ
タル酸系成分からなるジカルボン酸系重縮合成分と、
1,4−シクロヘキサンジメタノールを40モル%〜6
0モル%含有するグリコール系重縮合成分とを重縮合し
て得られる下記一般式(I);
【化1】 で表される反復単位を構造中に有するポリエステル樹脂
が好適であり、前記ポリカーボネート樹脂との相溶性が
良好であるから、両樹脂を混合して用いる場合に基層部
の耐熱性を任意に調整可能となり、しかも光屈折率が近
似して透明性を高く維持できる。
【0025】また、前記ポリエステル樹脂は、熱変形温
度が概ね70℃で、熱成形性を考慮され耐熱性を低く要
求される用途製品であって、用途上支障のない場合に
は、基層部の樹脂組成物としてこれを単独で用いる。
【0026】従って、この発明の透明複合樹脂積層体
は、前記ポリカーボネート樹脂を単独で用いる場合は最
も高い耐熱性を示し、また前記ポリエステル樹脂を単独
で用いる場合は最も低い耐熱性を示すこととなる。そし
て、前記両樹脂を混合して用いる場合は、70℃〜13
5℃の範囲内で、その混合比率に応じた熱変形温度を設
定することができる。
【0027】つぎに、前記表面層は、ポリカーボネート
樹脂に限定されるものとし、例えばビスフェノール化合
物から周知の方法で製造されるものが使用され、また種
々のタイプのものを併用してもよいが、その平均分子量
は15000〜23000の範囲にあるものとする。
【0028】この場合、ポリカーボネート樹脂の平均分
子量が15000未満であると、透明複層樹脂積層体の
用途製品を屋外使用する際に表面の耐候性が低下して黄
色変化を起こすおそれがあり、また23000を超える
と共押出成形時の流動性が悪くなり、ダイス内における
積層界面の平坦度や平滑性が失われ、積層界面で透視像
の歪みや白濁による霞みが生じるおそれが生じ好ましく
ない。従って、ポリカーボネート樹脂の平均分子量は、
好ましくは18000〜20000の範囲のものとす
る。
【0029】また、表層部の厚さについては、前記基層
部が通常1mm〜数mm程度の厚さであるのに対して、
10μm〜300μmとする。表層部の厚さは、用途製
品の使用環境に応じて設定し、炎天下に晒され紫外線吸
収剤の絶対量を多く要する環境では厚く、その反対の環
境では薄く設定するが、10μm未満では、共押出成形
でのダイス内での流動性が低下して基層部との積層が難
しくなり、また300μmを超えると、紫外線吸収剤の
絶対量は増すが、表面から隔たった部分の紫外線吸収剤
はその効果を有効に発揮し得ず無駄となるので、好まし
くは15μm〜270μmの範囲とする。
【0030】表層部に添加される前記紫外線吸収剤は、
一般に公知のものが適用可能であるが、中でもトリアジ
ン系化合物が好適である。また、その含有量はポリカー
ボネート樹脂100重量部に対し3重量部〜25重量部
とし、上述の用途製品の使用環境に応じて前記範囲内で
設定するものとする。この場合、上記の範囲未満では耐
候性を充分に発揮できず、また上記の範囲を超えると、
さらなる効果は期待できないばかりかかえって初期着色
やブリード現象を招き好ましくない。従って、好ましく
はポリカーボネート樹脂100重量部に対し、5重量部
〜20重量部とする。
【0031】前記表層部を構成するポリカーボネート樹
脂組成物には、さらに耐候性を向上させるために、前記
紫外線吸収剤としてのトリアジン系化合物に加えて、例
えばクマリン化合物やナフタルイミド化合物等からなる
蛍光漂白剤を適宜添加することもできる。
【0032】なお、この発明の前記基層部と前記表層部
を構成する樹脂組成物には、酸化防止剤、可塑剤、改質
剤、光安定剤、耐電防止剤等の各種添加剤を、この発明
の目的を逸脱しない範囲で、適宜添加することができ
る。
【0033】つぎに、この発明において、透明複合樹脂
積層体の押出成形に適用される共押出成形法には、通常
に熱可塑性樹脂製の多層性の製造に用いられる公知の共
押出成形法が採用され、フラットなTダイが適用され
る。
【0034】この場合のTダイの方式は、加熱溶融状態
の樹脂組成物がTダイ流入前に積層されるフィードブロ
ック方式、あるいは樹脂材料がTダイ内部で積層される
マルチマニホールド方式が好適に採用できる。なお、T
ダイ流出直後に積層されるデュアルスロット方式は、各
層間の接合性が劣り、積層界面の透視性に障害があるの
でこの発明からは除外するものとする。
【0035】この発明は、上述のように、各樹脂組成物
よりなる基層部と表層部とを公知の共押出成形法によ
り、ダイス内において熱溶融状態で積層一体化して得ら
れる透明複層樹脂積層体である。得られた当該積層体
は、用途製品に適用される際に、平面状態で用いられる
ほか、熱成形加工等により例えば曲面状または球面状に
加工され、自動販売機の面板等として利用される。
【0036】この発明の透明複層樹脂積層体は、表面に
特定の平均分子量範囲のポリカーボネート樹脂に、特定
の紫外線吸収剤を集中的に含有させた表面層を形成した
ものであるから、黄色度(初期透過色調)も少なく、面
板等の用途製品として夏期の炎天下に晒される状態で用
いられても、耐候性の劣化の伴う黄変度も少ない。
【0037】また、この発明の透明複層樹脂積層体は、
二次加工性とりわけ熱成形性について支配的である基層
部に、ポリカーボネート樹脂および/または特定のポリ
エステル樹脂からなる樹脂組成物としたから、優れた熱
成形性と使用環境に適応した耐熱性を付与することがで
き、高い透明性を維持できる。また、両樹脂の相溶性が
良好であるから優れた積層性と耐衝撃性を確保すること
ができるとともに、基層部と表層部の積層界面の平坦性
や平滑性が均一化され、透視性が極めて良好となる。
【0038】
【実施例】以下、この発明の実施例を比較例とともに説
明する。
【0039】まず、実施例について、基層部に用いる樹
脂として、平均分子量が27000のポリカーボネート
樹脂、およびテレフタル酸の割合が99モル%以上であ
るジカルボン酸系重縮合成分と、1,4−シクロヘキサ
ンジメタノールの割合が50モル%であるグリコール系
重縮合成分とを重縮合して得られるポリエステル樹脂
(イーストマンケミカル社製「PCTG 5445」)
を用意した。
【0040】また、表層部に用いる樹脂として、平均分
子量が19000のポリカーボネート樹脂を用意した。
【0041】さらに、表層部に添加する紫外線吸収剤と
して、トリアジン系化合物(チバガイギー社製「チヌビ
ン1577」)を用意した。
【0042】実施例1〜8 各実施例について、基層部の樹脂組成物と表層部の樹脂
組成物の各成分の割合を、表1に示すように変化させ、
各々について混合物を配合した。
【0043】
【表1】 ついで、前記各々の混合物を用いて、内径90mmのベ
ント式押出機により基層部を、また内径40mmのベン
ト式押出機により表層部を、各々溶融混練したのち、フ
ィードブロック方式のTダイを介して両層を押出成形
し、ダイス内で厚さ3.0mmの基層部とその片面に厚
さ30μmの表層部が積層された透明複層樹脂積層体を
得た。
【0044】上記実施例1〜8で得られた各透明複層樹
脂積層体について、JISK7103に準拠し、初期着
色度(黄色度)、サンシャインウエザオメータによる耐
候性促進テストにより、3000時間曝露後の黄色度
(黄変度[ΔYI])測定し評価した。また、得られた
透明複層樹脂積層体について透視観察し、積層界面の透
視像の歪み、白濁状の霞み等の有無を観察して、透視性
を評価した。さらに、当該積層体について、熱変形温度
の測定(JISK7207/18.5MPa)と落錘テ
ストにより耐衝撃強度の測定をした。
【0045】前記各評価の基準は、黄色度および黄変度
については、いずれも3.0未満を良とし、3.0を超
えるものを不良とした。また、透視性の評価について
は、透視像の歪み、または白濁状の霞みの認められない
ものを良とし、認められるものを不良とした。なお、評
価結果は表1に併記して示す。
【0046】比較例1〜4 比較例1は、表層部のポリカーボネート樹脂の平均分子
量を27000とし、比較例2は、当該樹脂の平均分子
量を14000とし、比較例3および比較例4は当該樹
脂の平均分子量を実施例と同様に19000としたほか
は、表1に併記したとおりに、各成分量を変化させ、前
記実施例と同様にして積層体を得て、同様の評価をお行
い、その結果を表2に併記した。
【0047】表1の評価結果から明らかなように、この
発明の透明複層樹脂積層体は、初期の黄色度が少なく、
また経時的な黄変度が少ない耐候性の高い積層体であっ
た。また、積層界面の透視像の歪みもなく、また白濁に
よる霞みもない、優れた透視性を有するものであった。
さらに、落錘テストによっても割れず耐衝撃強度も充分
実用に供し得るものであった。
【0048】これに対し、比較例1では、積層界面に透
視像の歪みがあって透視性が不良であった。また比較例
2および比較例3では耐候性促進テストにおいて黄変度
が不良であり、さらに比較例4では初期の着色が認めら
れて黄色度が不良であった。
【0049】比較例5 上記実施例1〜8および比較例1〜4の積層体に加え、
比較例5として、耐衝撃アクリル樹脂からなる、厚さ3
mmの単一板について比較評価したところ、耐候性、耐
熱性、透視性については優れているものの、落錘テスト
によって割れを生じ、耐衝撃強度の点で実用上問題を有
するものであった。
【0050】
【発明の効果】以上のように、この発明の透明複層樹脂
積層体は、ポリカーボネート樹脂および/またはジカル
ボン酸系重縮合成分とグリコール系縮合成分とを重縮合
させて得られるポリエステル樹脂を含有する樹脂組成か
らなる基層部と、平均分子量が15000〜23000
の範囲にあるポリカーボネート樹脂100重量部に対
し、紫外線吸収剤を3重量部〜25重量部を含有する樹
脂組成からなる表層部とを共押出成形法により、ダイス
内において熱溶融状態で積層一体化されてなる透明複層
樹脂積層体であるから、優れた耐燃焼性および透明性を
有することはもちろんのこと、耐候性に優れ、積層性が
良好で透視像に歪みを生ぜず白濁のない高い透視性を有
するものとなる。また、当該積層体は、基層部の樹脂組
成を用途に応じて変化させることができ、二次加工性の
調整、とりわけ適度の熱成形性を適宜調整することがで
きるという効果がある。
【0051】また、表層部を平均分子量が15000〜
23000の範囲にあるポリカーボネート樹脂100重
量部に対してトリアジン系化合物からなる紫外線吸収剤
を3重量部〜25重量部を含有する樹脂組成として、紫
外線吸収剤を表層部に集中的に添加したから、紫外線吸
収剤に起因する初期着色による黄変も少なく、かつ紫外
線吸収剤が無駄なく有効に作用して耐候性劣化に伴う黄
変も少なくなるという効果があり、コストも低廉となる
という利点がある。
【0052】さらに、表層部の厚さを、基層部に対し、
10μm〜300μmと極めて薄くして積層したから、
透明複層樹脂積層体の透明性、透視性および耐候性を全
く損なうことなく、耐熱性、熱成形性あるいは耐衝撃性
等の特性を用途に応じて適宜設定することができるとい
う利点がある。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年4月23日(1999.4.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】比較例1〜4 比較例1は、表層部のポリカーボネート樹脂の平均分子
量を27000とし、比較例2は、当該樹脂の平均分子
量を14000とし、比較例3および比較例4は当該樹
脂の平均分子量を実施例と同様に19000としたほか
は、表1に併記したとおりに、各成分量を変化させ、前
記実施例と同様にして積層体を得て、同様の評価を行
い、その結果を表に併記した。
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH03B AH03H AK41A AK41K AK45A AK45B AL05A BA02 CA07B EH20 GB07 JA07B JJ07 JK10 JL09 JN01 YY00B YY00H 4F207 AA24 AA28 AB06 AB14 AG01 AG03 KA01 KB26 4J002 CF04W CF06W CG00W CG00X EU186 FD056

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基層部と表層部とが共押出成形法により
    積層一体化されてなる透明複層樹脂積層体であって、 前記基層部は、ポリカーボネート樹脂および/またはジ
    カルボン酸系重縮合成分とグリコール系縮合成分とを重
    縮合させて得られるポリエステル樹脂を含有する樹脂組
    成からなり、 前記表層部は、平均分子量が15000〜23000の
    範囲にあるポリカーボネート樹脂100重量部に対し、
    紫外線吸収剤を3重量部〜25重量部を含有する樹脂組
    成からなることを特徴とする透明複層樹脂積層体。
  2. 【請求項2】 前記紫外線吸収剤が、トリアジン系化合
    物からなる請求項1に記載の透明複層樹脂積層体。
  3. 【請求項3】 前記表層部の厚さが10μm〜300μ
    mである請求項1または請求項2に記載の透明複層樹脂
    積層体。
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