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JP2000290317A - アンモニウム−テトラアリールボレート系重合体、その製造方法、およびそれを含有する水中防汚剤 - Google Patents

アンモニウム−テトラアリールボレート系重合体、その製造方法、およびそれを含有する水中防汚剤

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Publication number
JP2000290317A
JP2000290317A JP11104456A JP10445699A JP2000290317A JP 2000290317 A JP2000290317 A JP 2000290317A JP 11104456 A JP11104456 A JP 11104456A JP 10445699 A JP10445699 A JP 10445699A JP 2000290317 A JP2000290317 A JP 2000290317A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ammonium
group
tetraaryl borate
general formula
polymer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP11104456A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshiki Nakamura
村 俊 基 中
Tadashi Banno
能 忠 番
Masayuki Umeno
野 正 行 梅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Hokko Chemical Industry Co Ltd filed Critical Hokko Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP11104456A priority Critical patent/JP2000290317A/ja
Publication of JP2000290317A publication Critical patent/JP2000290317A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 本発明のアンモニウム−テトラアリー
ルボレート系重合体は、一般式(I)で示される少なく
とも一種のアンモニウム−テトラアリールボレート化合
物構成単位を含有することを特徴としている; 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立
に、水素原子および低級アルキル基よりなる群から選ば
れる原子もしくは基を示し、これらは互いに同一であっ
ても異なっていてもよい)。 【効果】 本発明によれば、非重金属系であって環境
毒性が少なく、水中防汚効果が高く長期間にわたり防汚
効果を持続し、ヒドロ虫類、オベリア類等の腔腸動物の
ほか、貝類、管棲多毛類などの水棲生物の付着に対して
も防汚性に優れており、安価に製造可能なアンモニウム
−テトラアリールボレート系重合体およびそれを含有す
る水中防汚剤を提供することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の技術分野】本発明は、新規アンモニウム−テ
トラアリールボレート系重合体、その製造方法および該
重合体を含有する水中防汚剤に関する。さらに詳しく
は、本発明は、航海船舶および漁船の船底防汚、導水
管、水中構築物、養殖および定置用の漁網、浮き子やロ
ープなどの漁網付属具などに水棲生物が付着するのを防
止するために有用である新規アンモニウム−テトラアリ
ールボレート系重合体、その製造方法および該重合体を
有効成分として含有する水中防汚剤に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】航海船舶や漁船の船底に、水棲生
物が付着・繁殖すると、船体の表面粗度が大きくなり、
船舶の運航速度、燃費および寿命を低下させ、しかも美
観を損なうという問題が生じる。また、水路等の水中構
築物の表面に水棲生物が付着すると、海水などの流通を
阻害するといった問題が生じる。さらに、漁網および漁
網付属具などに水棲生物が付着すると、漁網に目詰まり
が生じるほか、重量の増大、漁網および漁網付属具の破
損、養殖魚類の死滅などの原因となり、漁業作業効率の
低下を招くなどの問題が生じる。
【0003】このような問題を解決するため、従来、航
海船舶および漁船の船底、導水管、水中構築物、漁網、
漁網付属具などへの水棲生物の付着防止策が採られてき
た。このうち重金属系の有機錫化合物、特に有機錫ポリ
マーは、卓越した防汚性を有し、安価であることから、
近年まで広く使用されてきた。このような有機錫ポリマ
ーとしては、たとえば、トリブチル錫メタクリレートと
メチルメタクリレートなどとの共重合体と、亜酸化銅
(Cu2O)とを含有する錫ポリマー型防汚塗料が挙げられ
る。
【0004】しかしながら有機錫化合物は、環境毒性が
強く、海洋汚染や奇形魚類発生の原因となり、また生体
内に蓄積する傾向があるという問題があり、現在では指
定化学物質として、国内では特殊な場合を除いて使用を
禁止されている。このような状況において、非重金属系
であって、環境毒性の少ない水中防汚剤の開発が望まれ
ていた。
【0005】一方、有機ホウ素化合物が生理活性効果を
有することは以前から知られていた。また、防汚剤とし
ていくつかの有機ホウ素化合物を利用することが提案さ
れている。米国特許第3211679号明細書には、トリフェ
ニルホウ素アミン系化合物を船底防汚剤用に使用できる
ことが記載されており、このアミン成分として、アルキ
ルアミンおよび置換ピリジンなどが例示されている。
【0006】また、特公昭54−1571号公報には、下記の
一般式で表されるテトラフェニルボレート化合物が防汚
性化合物として記載されている。
【0007】
【化8】
【0008】(上記式中、Xはカリウム原子、アンモニ
ウム基または第四級化された有機の窒素含有基を示す
が、さらに前記の窒素含有基は窒素原子を含む複素環を
形成していてもよい) さらに、特公昭62‐25710号公報には、下記一般式で示
されるアンモニウム−テトラアリールボレート化合物ま
たは複素環化合物錯体が、防汚性化合物として記載され
ている。
【0009】
【化9】
【0010】(上記式中、R1は水素原子、ハロゲン原
子または低級アルキル基を示し、R2はハロゲン原子、
低級アルキル基または低級アルケニル基を示し、R3
へテロ環アミンを示す) またさらに、特公昭62‐24022号公報には、下記一般式
で示されるテトラフェニルボレート誘導体が防汚性化合
物として記載されている。
【0011】
【化10】
【0012】(上記式中、Rは低級アルキル基を示す) しかしながら、これらの有機ホウ素化合物を安価に製造
する方法は確立されていなかった。また、水棲生物のう
ち、ヒドロ虫類やオベリア類に対する防汚性を示す化合
物は得られていなかった。このため、非重金属系であっ
て環境毒性が少なく、防汚効果が高く、ヒドロ虫類やオ
ベリア類に対しても防汚性に優れた、経済的な水中防汚
剤の出現が強く求められていた。
【0013】本発明者は、このような問題点を解決すべ
く鋭意研究した結果、特定の新規なアンモニウム−テト
ラアリールボレート化合物が、水中防汚性および環境安
全性に優れ、さらに安価に製造可能であって経済性にも
優れることを見出して本発明を完成するに至った。
【0014】
【発明の目的】本発明は、非重金属系であって環境毒性
が少なく、水中防汚効果が高く長期間にわたり防汚効果
を持続し、ヒドロ虫類やオベリア類に対しても防汚性に
優れており、さらに安価に製造しうるようなアンモニウ
ム−テトラアリールボレート化合物およびそれを含有す
る水中防汚剤を提供することを目的としている。
【0015】
【発明の概要】本発明のアンモニウム−テトラアリール
ボレート系重合体は、一般式(I)で示される少なくと
も一種のアンモニウム−テトラアリールボレート化合物
構成単位を含有することを特徴としている。
【0016】
【化11】
【0017】(式中、R1、R2、R3、R4およびR5
それぞれ独立に、水素原子および低級アルキル基よりな
る群から選ばれる原子もしくは基を示し、これらは互い
に同一であっても異なっていてもよい) また、本発明に係る第一のアンモニウムテトラアリール
ボレート系重合体の製造方法は、(A)一般式(a)で
示されるナトリウム−テトラアリールボレート類と、
(B)一般式(b)および/または(b’)で示される
構成単位を有する重合体とを反応させて、上記のアンモ
ニウム−テトラアリールボレート系重合体を製造するこ
とを特徴としている;
【0018】
【化12】
【0019】(式中、R5は、水素原子および低級アル
キル基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示す)
【0020】
【化13】
【0021】
【化14】
【0022】(式(b)および式(b’)中、R1
2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子および
低級アルキル基よりなる群から選ばれる原子もしくは基
を示し、これらは互いに同一であっても異なっていても
よい)。さらに、本発明に係る第二のアンモニウムテト
ラアリールボレート系重合体の製造方法は、一般式
(c)で示されるアンモニウム−テトラアリールボレー
ト化合物を単独で重合させるか、あるいは該アンモニウ
ム−テトラアリールボレート化合物とその他の不飽和単
量体とを共に重合させて、上記アンモニウム−テトラア
リールボレート系重合体を製造することを特徴としてい
る;
【0023】
【化15】
【0024】(式中、R1、R2、R3、R4およびR5
それぞれ独立に、水素原子および低級アルキル基よりな
る群から選ばれる原子もしくは基を示し、これらは互い
に同一であっても異なっていてもよい)。またさらに、
本発明の水中防汚剤は、上記アンモニウム−テトラアリ
ールボレート系重合体を含有することを特徴としてい
る。
【0025】
【発明の具体的説明】以下、本発明について具体的に説
明する。 <アンモニウム−テトラアリールボレート系重合体>本
発明のアンモニウム−テトラアリールボレート系重合体
は、下記式(I)で示されるアンモニウム−テトラアリ
ールボレート化合物構成単位を有する重合体である。
【0026】
【化16】
【0027】上記式(I)中、R1、R2、R3、R4およ
びR5はそれぞれ独立に、水素原子および低級アルキル
基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示し、これ
らは互いに同一であっても異なっていてもよい。ここで
いう低級アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、炭
素数1〜10のものが挙げられるが、防汚性の点で炭素
数1〜4のアルキル基であることが好ましい。このよう
なアルキル基としては、たとえば、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、
i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、デシル基などが挙げられ、このうち特に、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−
ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert
−ブチル基から選ばれる基であることが好ましい。
【0028】本発明のアンモニウム−テトラアリールボ
レート系重合体としては、以下の態様のいずれもが好適
である。 上記式(I)で表される一種のアンモニウム−テト
ラアリールボレート化合物構成単位で形成される単独重
合体、 上記式(I)で表される二種以上のアンモニウム−
テトラアリールボレート化合物構成単位から形成される
共重合体、および 上記式(I)で表される一種以上のアンモニウム−
テトラアリールボレート化合物構成単位と、他の一種以
上の構成単位とから形成される共重合体。
【0029】このような本発明のアンモニウム−テトラ
アリールボレート系重合体としては、特に、上記式
(I)で表される一種以上のアンモニウム−テトラアリ
ールボレート化合物構成単位と、他の一種以上の構成単
位との共重合体であるのが好適である。上記式(I)で
表される一種以上のアンモニウム−テトラアリールボレ
ート化合物構成単位と共重合体を形成する他の構成単位
を形成する単量体としては、上記式(I)で表される構
成単位とラジカル重合性の二重結合を形成する他の不飽
和単量体をいずれも好適に用いることができるが、この
ような他の不飽和単量体としては、一般式(II)で示さ
れる(メタ)アクリル酸エステル系構成単位を形成する
不飽和単量体が特に好ましい。
【0030】
【化17】
【0031】上記一般式(II)において、R6は、水素
原子および低級アルキル基よりなる群から選ばれる原子
もしくは基を示し、R7は炭素数1〜18の直鎖状また
は分岐を有するアルキル基を示す。上記一般式(II)で
示される(メタ)アクリル酸エステル系構成単位を形成
する不飽和単量体としては、たとえば、(メタ)アクリ
ル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、
(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルエステル、
(メタ)アクリル酸ラウリルエステル、(メタ)アクリ
ル酸ステアリルエステルなどを好適に用いることができ
る。
【0032】また、上記一般式(II)で示される(メ
タ)アクリル酸エステル系構成単位以外の他の構成単位
としては、たとえば、ビニルトルエン、スチレン等のス
チレン系モノマー;無水マレイン酸等のマレイン酸エス
テル系モノマー;無水イタコン酸等のイタコン酸エステ
ル系モノマー;酢酸ビニル、ビニルピリドン、ビニルピ
リジン、ブタジエン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等か
ら形成される構成単位が挙げられる。
【0033】なお、本発明のアンモニウム−テトラアリ
ールボレート系重合体が共重合体である場合には、通常
ランダム共重合体である。このようなアンモニウム−テ
トラアリールボレート系重合体としては、具体的には、
例えば、上記式(I)において、R1〜R5がそれぞれ下
表1に示す基であるアンモニウム−テトラアリールボレ
ート系構成単位と、上記式(II)において、R6および
7がそれぞれ下表1に示す基である、(メタ)アクリ
ル酸エステル系構成単位である他の不飽和単量体との共
重合体が挙げられる。なお、本発明に係わるポリマー
は、下記の例に何ら限定されるものではない。また、下
表1中の重合体は、後述する実施例においても参照す
る。
【0034】
【表1】
【0035】(表中、Hは水素原子、Meはメチル基、
4‐Meは4‐メチル基、Etはエチル基、n‐Prはノ
ルマルプロピル基、i‐Prはイソプロピル基、n‐B
uはノルマルブチル基をそれぞれ示す。) 本発明のアンモニウム−テトラアリールボレート系重合
体においては、アンモニウムテトラアリールボレート化
合物構成単位と、(メタ)アクリル酸エステル系構成単
位などのその他の構成単位とは、そのモル比が通常1:
10〜10:1、好ましくは1:5〜5:1程度である
のが望ましい。
【0036】また、本発明のアンモニウム−テトラアリ
ールボレート系重合体の数平均分子量は、特に限定され
るのもではないが、塗膜を形成できる分子量であるのが
好ましく、通常2,000〜500,000、好ましく
は5,000〜200,000である。このようなアン
モニウム−テトラアリールボレート系重合体は、それぞ
れ、ヒドロ虫、オベリアなどの腔腸動物;フジツボ、ム
ラサキガイ、カキ、セルブラなどの貝類;カサネカンザ
シ、ヒトエカンザシ、ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイ
などの管棲多毛類;およびその他の水棲生物の付着に対
して優れた防汚効果を示す。
【0037】さらに、これらのアンモニウム−テトラア
リールボレート系重合体は、キシレンなどの芳香族系溶
媒、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、酢酸
エチルなどのエステル系溶媒など、各種有機溶媒に溶解
し、また溶解後長時間保存した場合にも相分離などが生
ぜず安定である。本発明のアンモニウム−テトラアリー
ルボレート系重合体は、上述のように多種の水棲生物に
対して付着を防止する防汚性を有し、また、溶液として
安定に取り扱うことができるため、水中有害生物防除
剤、水中防汚塗料、漁網防汚処理剤などの水中防汚剤の
有効成分として良好に用いることができ、塗布、塗装、
含浸などの防汚性付与の作業性に著しく優れている。 <アンモニウム−テトラアリールボレート系重合体の製
造方法>このようなアンモニウム−テトラアリールボレ
ート系重合体は、第一の方法としては、(A)一般式
(a)で示されるナトリウム−テトラアリールボレート
類と、(B)一般式(b)または(b’)で示される構
成単位を有する重合体とを反応させることによって製造
することができる。
【0038】
【化18】
【0039】(式中、R5は、水素原子および低級アル
キル基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示す)
【0040】
【化19】
【0041】
【化20】
【0042】(式(b)および式(b’)中、R1
2、R3およびR4はそれぞれ独立に、水素原子および
低級アルキル基よりなる群から選ばれる原子もしくは基
を示し、これらは互いに同一であっても異なっていても
よい)。上述の一般式(b)または(b’)で示される
構成単位を有する重合体(B)は、好ましくはさらに一
般式(II)で示される構成単位を有するのが望ましい。
【0043】
【化21】
【0044】(式中、R6は、水素原子および低級アル
キル基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示し、
7は炭素数1〜18、好ましくは炭素数2〜12の直
鎖状または分岐を有するアルキル基を示す)。より具体
的には、上記アンモニウム−テトラアリールボレート系
重合体は、(A)上述の一般式(a)で示されるナトリ
ウムテトラアリールボレート類と、(B)上述の一般式
(b)で示される構成単位および/または上述の一般式
(b’)で示される構成単位とを有する重合体とを、例
えば、上記重合体(B)中のアミノ基1当量に対して上
記(A)ナトリウムテトラアリールボレート類(a)を
0.1〜1当量の量で用い、10〜60℃の温度で、1
〜48時間程度、常圧下に混合撹拌することによって製
造することができる。このような反応の際には、テトラ
ヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド等の有
機溶媒を用いてもよい。また、上述の一般式(b)また
は(b’)で示される構成単位を有する重合体(B)
は、その他の不飽和単量体から形成される構成単位を有
していてもよい。
【0045】この製造方法において用いる、一般式
(a)で示されるナトリウム−テトラアリールボレート
類は、その製法を特に限定するものではないが、たとえ
ば次のようにして製造することができる。すなわち、下
記式(i)で示される4モル比またはそれより過剰量のハ
ロゲン化アリールマグネシウムと下記式(ii)で示され
る4モル比またはそれより過剰量のアリールリチウム
の、ジエチルエーテルまたはテトラヒドロフランの溶液
中に、1モル比の三フッ化ホウ素のジエチルエーテル錯
体をそのままかまたはトルエンなどの溶媒で希釈した溶
液を攪拌冷却化に滴下した後、還流条件下で1時間程度
反応させる。
【0046】
【化22】
【0047】(式中、Xはハロゲン原子を示し、R5は前
記と同じである)
【0048】
【化23】
【0049】次いで、反応液を冷却して攪拌しながら、
食塩、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液
を過剰量滴下する。反応終了後、上層に分離する有機層
を分取し、溶媒を留去すると、白色結晶が得られる。こ
れをトルエンなどの非極性溶媒で洗浄して乾燥すると、
上記式(a)で示されるナトリウムテトラリールボレー
ト類が白色結晶として得られる。
【0050】このような、上記式(a)で示されるナト
リウムテトラアリールボレート類としては、具体的に
は、たとえば、ナトリウムテトラフェニルボレート、ナ
トリウムテトラ4‐メチルフェニルボレート、ナトリウ
ムテトラ3‐メチルフェニルボレート、ナトリウムテト
ラ2‐メチルフェニルボレート、ナトリウムテトラ4‐エ
チルフェニルボレート、ナトリウムテトラ3‐エチルフ
ェニルボレート、ナトリウムテトラ2‐エチルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ4‐n‐プロピルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ3‐n‐プロピルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ2‐n‐プロピルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ4‐i‐プロピルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ3‐i‐プロピルフェニル
ボレート、ナトリウムテトラ2‐i‐プロピルフェニル
ボレートなどが挙げられる。
【0051】上記式(b)で示される構成単位を形成す
る、アミノ基を有するモノマー類としては、具体的に
は、たとえば、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルア
ミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルア
ミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸アミノエチル
エステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノ
エチルエステル、(メタ)アクリル酸モノメチルアミノ
エチルエステル、(メタ)アクリル酸N,N−ジn−プ
ロピルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸N,
N−ジi−プロピルアミノエチルエステル、(メタ)ア
クリル酸N,N−ジn−ブチルアミノエチルエステル等
が挙げられる。
【0052】さらに、上記式(b’)で示される構成単
位を形成する、アンモニウムクロライドを有するモノマ
ー類としては、具体的には、たとえば、((2メタ)ア
クリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウムクロ
ライド、((2メタ)アクリロイルオキシエチル)トリ
エチルアンモニウムクロライド、((2メタ)アクリロ
イルオキシエチル)トリプロピルアンモニウムクロライ
ド、((2メタ)アクリロイルオキシエチル)トリブチ
ルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
【0053】なお、このような第一の製法の具体例を、
後述の実施例1において例示する。また、このようなア
ンモニウム−テトラアリールボレート系重合体は、第二
の方法としては、以下の方法によって製造することがで
きる。すなわち、一般式(c)で示されるアンモニウム
−テトラアリールボレート化合物を単独で重合させる
か、あるいは該アンモニウム−テトラアリールボレート
化合物とその他の不飽和単量体とを共に重合させること
により製造することができ、好ましくは、一般式(c)
で示されるアンモニウム−テトラアリールボレート化合
物と、一般式(d)で示される(メタ)アクリル酸エス
テル系モノマーである不飽和単量体とを共重合させるこ
とにより製造することができる。
【0054】
【化24】
【0055】
【化25】
【0056】(式(c)および式(d)において、
1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立に、水素
原子および低級アルキル基よりなる群から選ばれる原子
もしくは基を示し、これらは互いに同一であっても異な
っていてもよく、R6は、水素原子および低級アルキル
基よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示し、R7
は炭素数1〜18の直鎖状または分岐を有するアルキル
基を示す)。
【0057】なお、このような第二の製法の具体例を、
後述の実施例2において例示する。 <水中防汚剤>本発明に関わる水中防汚剤としては、水
中有害生物防除剤、水中防汚塗料、漁網防汚処理剤等が
挙げられ、いずれも上述した本発明のアンモニウム−テ
トラアリールボレート系重合体を有効成分として含有し
ている。
【0058】このような水中防汚剤は、遠洋航海船舶お
よび漁船の船底、導水管、水中構築物、養殖および定置
用の漁網、浮き子やロープなどの漁網付属具など、水中
で使用するものへの水棲生物の付着を防止するのに効果
的に用いることができ、船舶、養殖網、定置網、海底油
田の掘削機、海底基地、ブイ、発電所の水路設備、橋梁
などの水中構築物等、水中生物の防汚が必要とされる対
象物に、塗布あるいは被覆などの方法で適宜用いること
ができる。
【0059】本発明の水中防汚剤は、防汚効果を示すよ
うな有効量で上記アンモニウム−テトラアリールボレー
ト系重合体を含有していればよく、特にその含有量を限
定するものではなく、このアンモニウム−テトラアリー
ルボレート系重合体をそのまま用いてもよい。たとえ
ば、本発明の水中防汚剤が水中防汚塗料である場合に
は、アンモニウム−テトラリールボレート系重合体を、
通常10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%の
量で含有しているのが望ましい。
【0060】本発明においては水中防汚剤として、上述
した本発明のアンモニウム−テトラアリールボレート系
重合体をそのまま使用することができるが、目的や対象
に応じて塗料、溶液、乳剤あるいはペレットなどの適当
な剤型に常法により製剤化し、そしてその製剤を、船
舶、養殖網、定置網、海底油田の掘削機および海底基
地、ブイ、発電所の水路の設備、橋梁などの構築物など
の、水中有害生物の防汚が必要とされる対象物に塗布等
の方法で用いてもよい。
【0061】また、本発明の水中防汚剤は、上述のアン
モニウム−テトラアリールボレート系重合体のみであっ
ても充分な防汚性を持つものではあるが、アンモニウム
−テトラアリールボレート系重合体以外の公知の防汚剤
を所望により配合することもできる。このような他の防
汚剤としては、ジンクジメチルジチオカーバメート、2
−メチルチオ−4−t−ブチルアミノ−6−シクロプロ
ピルアミノ−s−トリアジン、2,4,5,6−テトラ
クロロイソフタロニトリル、N,N−ジメチル−N’−
(3,4−ジクロロフェニル)ウレア、4,5−ジクロ
ロ−2‐n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、
N−(フルオロジクロロメチルチオ)スルファミド、2
−ピリジンチオール−1−オキシド亜鉛塩、テトラメチ
ルチウラムジスルフィド、Cu−10%Ni固溶合金、
N−(2,4,6−トリクロロフェニル)マレイミド、
2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルフォ
ニル)ピリジン、3−ヨード−2−プロピニルブチルカ
ーバメート、ジヨードメチルパラトリルスルホン、ビス
ジメチルジチオカルバモイルジンクエチレンビスジチオ
カーバメート、トリフェニルボランピリジン塩などが挙
げられる。これらのアンモニウム−テトラアリールボレ
ート系重合体以外の防汚剤は、1種で用いても2種以上
を組合わせて用いてもよい。
【0062】以下、水中防汚剤が水中防汚塗料である場
合について更に詳しく説明する。水中防汚剤が水中防汚
塗料である場合には、水中使用物に用いる一般の塗料と
同様に、塗膜形成成分として樹脂を用いた塗料であるの
が好ましい。このような本発明の水中防汚塗料の調製
は、たとえば、アンモニウム−テトラアリールボレート
系重合体を、まずはn−ブチルアルコールなどのアルコ
ール類、メチルエチルケトンなどのケトン類、酢酸エチ
ルなどのエステル類および、ベンゼン、キシレンなどの
芳香族等の有機溶媒に溶解し、次いでこのようにして得
られたアンモニウム−テトラアリールボレート系重合体
を含む溶液と、有機溶剤、界面活性剤、塗料用樹脂、可
塑剤、顔料および補助成分などの塗料原料とを均一に混
和することにより、本発明の水中防汚塗料を調製するこ
とができる。なお、塗料の基材である有機溶剤に水中防
汚剤の有効成分であるアンモニウム−テトラアリールボ
レート系重合体が良好に溶解する場合には、アンモニウ
ム−テトラアリールボレート系重合体をあらかじめ有機
溶媒に溶解することなく塗料原料と混合して、水中防汚
塗料を調製してもよい。
【0063】上記塗料用樹脂としては、たとえば、塩化
ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化
ビニル−ビニルイソブチルエーテル共重合体、塩化ゴム
系樹脂、塩素化ポリエチレン樹脂、塩素化ポリプロピレ
ン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、
ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、フェノール系樹
脂、銅アクリレート樹脂、合成ゴム、シリコンゴム、シ
リコン系樹脂、石油系樹脂、油性樹脂、ロジンエステル
系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンなどが挙げられる。
【0064】また本発明の水中防汚塗料には、必要に応
じて着色顔料または着色料を配合することができる。こ
のような着色顔料または着色料としては、たとえば、チ
タン白、ベンガラ、カーボン、シアンブルー、シアニン
グリーン等の着色顔料、または、タルク、バリタ、亜鉛
華などが挙げられる。さらに、本発明の水中防汚塗料の
粘度を調製するために、水または有機溶剤を配合するこ
とができる。この目的で使用する有機溶剤の種類は、前
述の塗料用樹脂およびその他の配合成分を溶解もしくは
分散し得るものであればよく、特に限定されるものでは
ない。このような有機溶剤としては、たとえばメチルア
ルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコー
ル、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、
エチレングリコール、ベンジルアルコールなどのアルコ
ール類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼ
ン、クロルベンゼン、クメン、メチルナフタレンなどの
芳香族系炭化水素類;クロロホルム、四塩化炭素、ジク
ロロメタン、クロロエチレン、トリクロロフルオロメタ
ン、ジクロロジフルオロメタンなどのハロゲン化炭化水
素類;エチルエーテル、エチレンオキシド、ジオキサ
ン、テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトン、
メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブ
チルケトンなどのケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、
エチレングリコールアセテートなどのエステル類;アセ
トニトリル、プロピオニトリル、アクリロニトリルなど
のニトリル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシ
ド類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレ
ングリコールモノエチルエーテルなどのグリコールエー
テル類;エチルアミン、ジメチルアミン、トリエチルア
ミン、イソブチルアミンなどのアミン類;n−ヘキサ
ン、シクロヘキサンなどの脂肪族または脂環族炭化水素
類;石油エーテル、ソルベントナフサなどの工業用ガソ
リン、およびパラフィン類;灯油、軽油などの石油留
分;等が挙げられる。
【0065】また、本発明の水中防汚剤中には、乳化、
分散、湿潤、発泡および拡展などの目的で、必要に応じ
て界面活性剤を配合することができる。この界面活性剤
は特に限定されるものではないが、たとえば以下のもの
が挙げられる。 (a)非イオン型界面活性剤:たとえば、ポリオキシエ
チレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキル
エステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエス
テル、ソルビタンアルキルエステルなど。 (b)陰イオン型界面活性剤:たとえば、アルキルベン
ゼンスルホネート、アルキルサルフェート、ポリオキシ
エチレンアルキルサルフェート、アリールスルホネート
など。 (c)陽イオン型界面活性剤:たとえば、アルキルアミ
ン類であるラウリルアミン、ステアリルトリメチルアン
モニウムクロライド、アルキルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロライドなど。 (d)両性型界面活性剤:たとえば、ベタイン型化合物
の硫酸エステルなど。
【0066】また、本発明の水中防汚剤中には、前記の
配合成分のほかに、ポリビニルアルコール(PVA)、
カルボキシメチルセルロース(CMC)、アラビヤゴ
ム、ポリビニルアセテート、ゼラチン、カゼイン、アル
ギン酸ナトリウムなどの各種補助剤を配合することもで
きる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、非重金属系であって環
境毒性が少なく、しかも、水中防汚効果が高く長期間に
わたり防汚効果を持続し、ヒドロ虫類、オベリア類等の
腔腸動物、フジツボ、ムラサキガイ、カキ、セルブラな
どの貝類、および、カサネカンザシ、ヒトエカンザシ、
ヤッコカンザシ、ウズマキゴカイなどの管棲多毛類など
の水棲生物の付着に対しても防汚性に優れており、安価
に製造可能なアンモニウム−テトラアリールボレート系
重合体およびそれを含有する水中防汚剤を提供すること
ができる。
【0068】さらに本発明の水中防汚剤は、各種有機溶
媒に良好に溶解するため、溶液状の製剤として取り扱い
が可能であり、長期保存にも優れた安定性を有するとい
う効果がある。
【0069】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定される
ものではない。 <試験方法>実施例および比較例において、水中防汚剤
の水中防汚塗料および漁網防汚処理剤としての評価は、
以下の試験方法によって行った。
【0070】水中防汚塗料試験 ショッププライマーおよびビニルタール系防食塗料を塗
布した300×100×3.2mmのサンドブラスト鋼
板に、後述するようにして調製した防汚塗料を、乾燥膜
厚が100μmとなるようエアスプレーで塗装し、試験
板とする。この試験板を7日間乾燥した後、岡山県玉野
市沖に静置浸漬し、水中有害生物およびスライムの付着
程度を評価する。なお、水中有害生物とは、ヒドロ虫、
オベリア、フジツボ、ホヤ、セルプラ、ムラサキガイ、
カラスガイ、フサコケムシなどの水中有害動物およびア
オノリ、アオサなどの水中有害植物を意味する。
【0071】水中有害生物の付着量は、下記式により求
められる付着面積の割合(付着割合)により示す。
【0072】
【数1】
【0073】また、スライムの付着程度は、下表に示す
基準で評価する。
【0074】
【表2】
【0075】漁網防汚処理剤試験 漁網を、後述するようにして調製した漁網防汚処理剤に
充分に浸漬する。この漁網を40×80cmの鉄枠に固
定し、1日間乾燥し、試験漁網とする。この試験漁網を
岡山県玉野市沖に設置した養殖網の渡し網から懸垂し
て、水深5mに静置浸漬し、所定の浸漬期間後に付着し
た水中有害生物の付着割合を目視により評価する。
【0076】
【実施例1】アンモニウム−テトラアリールボレート系
共重合体の合成(第一の製法) 100ml容量の滴下ロート内を窒素ガスで置換して、
ロート内の酸素および水分を除去した後、ナトリウム−
テトラフェニルボレート2.65g(10ミリモル)
と、テトラヒドロフランとトルエンの1:1混合溶媒5
0mlとを導入して溶解し、ナトリウムテトラフェニル
ボレート溶液を調製した。
【0077】これとは別の、温度計、攪拌機、窒素導入
口を備えた200ml容量の四つ口フラスコに、(2−
メタクリロイルオキシエチル)トリメチルアンモニウム
クロライド2.08g(10ミリモル)とDMF5mlと
を入れ、窒素導入口より窒素ガスを流してフラスコ内を
窒素ガスで置換した。これを攪拌しながら80℃に保持
した。つづいて、DMF2mlに、メタクリル酸2エチ
ルヘキシルエステル1.98g(10ミリモル)とAI
BN(50mg)を溶解した液を窒素気流下、同温度に
て滴下ロートより10分間かけて滴下した。滴下終了
後、混合物の粘度は急激に高くなり、その後、徐々に低
下して最終的に3時間で安定した均質な粘ちょう液体状
溶液が得られた。次いで、該溶液を冷却した後、撹拌し
ながら滴下ロートより、先に調製しておいたナトリウム
テトラフェニルボレート溶液(10ミリモル)を滴下し、
室温で5時間攪拌して反応させた。反応終了後、水洗
し、有機溶媒を減圧下に留去したところ、褐色粘ちょう
液体(共重合体:上述の表1におけるNo.1に相当)
が得られた。不揮発分は仕込んだモノマーとテトラフェ
ニルボレートの合計重量とほぼ一致した。
【0078】得られた共重合体の数平均分子量は100
00であった。なお、数平均分子量の値は、GPC(ゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー)法で測定し、
標準ポリスチレン検量線によって換算して求めた。
【0079】
【実施例2】アンモニウム−テトラアリールボレート系
共重合体の合成(第二の製法) 温度計、撹拌機および窒素導入口を備えた50ml容量
の四つ口フラスコに、(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アンモニウムテトラフェニルボレート(10ミリモ
ル)とDMF5mlとを入れ、窒素導入口より窒素ガス
を流してフラスコ内を窒素ガスで置換し、これを撹拌し
ながら80℃に保持した。ここに、メタクリル酸2エチ
ルヘキシルエステル1.98g(10ミリモル)にAI
BN(50mg)を溶解した液を窒素気流下同温度にて
10分間で滴下した。
【0080】滴下終了後、混合物の粘度は急激に高くな
り、その後、徐々に低下して最終的に3時間で安定した
均質な粘ちょう液体溶液(共重合体:上述の表1におけ
るNo.4に相当)が得られた。得られた共重合体の、
GPC法による共重合体の数平均分子量は9000であ
った。
【0081】
【実施例3】水中防汚塗料の調製および評価 実施例1で得られた共重合体を30重量部、ラロフレッ
クスMP−45(BASF社製の塩化ビニル−ビニルイ
ソブチルエーテル共重合体の商品名)10重量部、ベン
ガラ6重量部、二酸化亜鉛4重量部、アエロジル#20
0(日本アエロジル株式会社製の超微粒子状無水シリカ
の商品名)1重量部、塩素化パラフィン2重量部、ロジ
ン10重量部、キシレン22重量部およびメチルイソブ
チルケトン15重量部の合計100重量部を、ボールミ
ル中で5時間転動混合することによって分散処理して均
質な水中防汚塗料を得た。
【0082】得られた水中防汚塗料について、上述の試
験方法にしたがって、水中防汚塗料試験を行った。結果
を表4に示す。
【0083】
【実施例4〜11】水中防汚塗料の調製および評価 実施例3において、実施例1で得られた共重合体(1)
を用いる代わりに、下表2に示すアンモニウム−テトラ
アリールボレート系重合体をそれぞれ30重量部用いた
ことのほかは、実施例3と同様にして各配合成分を混合
し、防汚塗料を調製した。
【0084】得られた水中防汚塗料について、実施例3
と同様に水中防汚塗料試験を行った。結果を表4に示
す。
【0085】
【比較例1】水中防汚塗料の調製および評価 実施例3において、実施例1で得られた共重合体(1)
を用いる代わりに、下式で示される構造の、トリフェニ
ルボランピリジン30重量部を用いたことのほかは、実
施例3と同様にして各配合成分を混合し、防汚塗料を調
製した。
【0086】
【化26】
【0087】得られた水中防汚塗料について、実施例3
と同様に水中防汚塗料試験を行った。結果を表4に示
す。なお、水中防汚塗料試験の浸漬24か月において、
ヒドロ虫、オベリア、フジツボ、アオサなどの水中有害
生物の付着が確認された。
【0088】
【表3】
【0089】
【表4】
【0090】
【実施例12】漁網処理剤の調製および評価 実施例1で得られた共重合体(1)を5重量部、ロジン
5重量部、キシレン70重量部、アクリル樹脂5重量
部、ポリブテン(商品名:ポリブテン06N、日本樹脂
株式会社製)10重量部およびシリコン樹脂(商品名:
KF−96−100、信越化学工業株式会社製)チルイ
ソブチルケトン15重量部の合計100重量部を、ボー
ルミル中で5時間転動混合することによって分散処理し
て均質な水中防汚塗料を得た。なお、上記アクリル樹脂
としては、メタクリル酸メチル/メタクリル酸n−ブチ
ル(60/40(モル比))共重合体であって、数平均
分子量が20000のものを用いた。
【0091】得られた漁網処理剤について、上述の試験
方法にしたがって、漁網処理剤試験を行った。結果を表
5に示す。
【0092】
【実施例13〜20】漁網処理剤の調製および評価 実施例12において、実施例1で得られた共重合体
(1)を用いる代わりに、下表5に示すアンモニウム−
テトラアリールボレート系重合体をそれぞれ5重量部用
いたことのほかは、実施例12と同様にして各配合成分
を混合し、漁網処理剤を調製した。
【0093】得られた漁網処理剤について、実施例12
と同様に漁網処理剤試験を行った。結果を表6に示す。
【0094】
【比較例2】漁網処理剤の調製および評価 実施例12において、実施例1で得られた共重合体
(1)を用いる代わりに、下式で示される構造の、トリ
フェニルボランピリジン5重量部を用いたことのほか
は、実施例12と同様にして各配合成分を混合し、漁網
処理剤を調製した。
【0095】
【化27】
【0096】得られた漁網処理剤について、実施例12
と同様に漁網処理剤試験を行った。結果を表5に示す。
【0097】
【表5】
【0098】
【表6】
【0099】なお、上記実施例4〜21に示される、本
発明の水中防汚剤である水中防汚塗料および漁網防汚処
理剤は、いずれも長時間の保存によっても分離などがな
く安定であり、鋼板あるいは漁網に対する防汚処理の作
業性はきわめて良好であった。また、無処理区および浸
漬期間3か月以上の比較例2では、ヒドロ虫、オベリ
ア、フジツボ、アオサなどの水中有害生物の付着が確認
された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C08F 230/06 220:10) Fターム(参考) 4H011 AD01 BA01 BB06 BB18 BB19 BC19 DA23 DC10 DD07 DH02 DH19 4J038 CG141 CH031 CH041 CH211 GA16 NA05 PB05 PB07 PC02 PC04 PC08 PC10 4J100 AL03Q AL04Q AL05Q AL08P AL16P BA32P CA01 CA04 JA01 JA21

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I)で示される少なくとも一種の
    アンモニウム−テトラアリールボレート化合物構成単位
    を含有することを特徴とするアンモニウム−テトラアリ
    ールボレート系重合体; 【化1】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立
    に、水素原子および低級アルキル基よりなる群から選ば
    れる原子もしくは基を示し、これらは互いに同一であっ
    ても異なっていてもよい)。
  2. 【請求項2】上記一般式(I)で示される少なくとも一
    種のアンモニウム−テトラアリールボレート化合物構成
    単位と、 一般式(II)で示される少なくとも一種の(メタ)アク
    リル酸エステル構成単位とを含有する、請求項1に記載
    のアンモニウム−テトラアリールボレート系重合体; 【化2】 (式中、R6は、水素原子および低級アルキル基よりな
    る群から選ばれる原子もしくは基を示し、R7は炭素数
    1〜18の直鎖状または分岐を有するアルキル基を示
    す)。
  3. 【請求項3】式(I)中、R1、R2、R3、R4およびR
    5がそれぞれ独立に、メチル基、エチル基、n−プロピ
    ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、
    sec−ブチル基およびtert−ブチル基よりなる群
    から選ばれる基である、請求項第1項または第2項に記
    載のアンモニウム−テトラアリールボレート系重合体。
  4. 【請求項4】(A)一般式(a)で示されるナトリウム
    −テトラアリールボレート類と、(B)一般式(b)お
    よび/または(b’)で示される構成単位を有する重合
    体とを反応させて、請求項第1項〜第3項のいずれかに記
    載のアンモニウム−テトラアリールボレート系重合体を
    製造することを特徴とする、アンモニウムテトラアリー
    ルボレート系重合体の製造方法; 【化3】 (式中、R5は、水素原子および低級アルキル基よりな
    る群から選ばれる原子もしくは基を示す) 【化4】 【化5】 (式(b)および式(b’)中、R1、R2、R3および
    4はそれぞれ独立に、水素原子および低級アルキル基
    よりなる群から選ばれる原子もしくは基を示し、これら
    は互いに同一であっても異なっていてもよい)。
  5. 【請求項5】(A)上記一般式(a)で示されるナトリ
    ウム−テトラアリールボレート類と、(B)上記一般式
    (b)および/または(b’)で示される構成単位と、
    上記一般式(II)で示される構成単位とを有する重合体
    とを反応させることを特徴とする、請求項第4項に記載
    のアンモニウムテトラアリールボレート系重合体の製造
    方法。
  6. 【請求項6】一般式(c)で示されるアンモニウム−テ
    トラアリールボレート化合物を単独で重合させるか、あ
    るいは該アンモニウム−テトラアリールボレート化合物
    とその他の不飽和単量体とを共に重合させて、請求項第
    1項〜第3項のいずれかに記載のアンモニウム−テトラア
    リールボレート系重合体を製造することを特徴とする、
    アンモニウムテトラアリールボレート系重合体の製造方
    法; 【化6】 (式中、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ独立
    に、水素原子および低級アルキル基よりなる群から選ば
    れる原子もしくは基を示し、これらは互いに同一であっ
    ても異なっていてもよい)。
  7. 【請求項7】上記一般式(c)で示されるアンモニウム
    −テトラアリールボレート化合物と共重合される不飽和
    単量体が、下記一般式(d)で示される(メタ)アクリ
    ル酸エステル系モノマーである、請求項第6項に記載の
    アンモニウムテトラアリールボレート系重合体の製造方
    法; 【化7】 (式中、R6は、水素原子および低級アルキル基よりな
    る群から選ばれる原子もしくは基を示し、R7は炭素数
    1〜18の直鎖状または分岐を有するアルキル基を示
    す)。
  8. 【請求項8】請求項第1項〜第3項のいずれかに記載の
    アンモニウム−テトラアリールボレート系重合体を含有
    する水中防汚剤。
  9. 【請求項9】水中防汚剤が、水中有害生物防除剤、水中
    防汚塗料または漁網防汚処理剤である、請求項第8項に
    記載の水中防汚剤。
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