JP2000273265A - シクロオレフィン系樹脂組成物 - Google Patents
シクロオレフィン系樹脂組成物Info
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Abstract
性、特に耐衝撃強度を改善した樹脂組成物の提供。 【解決手段】(a)シクロオレフィン重合体樹脂 1
〜99重量% と(b)重合体連鎖中に少なくともA−
B−Aの一般式で示されるトリブロック連鎖を含むブロ
ック共重合体 99〜1重量%から成る樹脂組成
物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族を主体とし、
数平均分子量1万〜20万の範囲の重合体ブロックであ
り、各Aは同一構造でも、異なった構造であっても構わ
ない。Bは水素添加された共役ジエンを主体とし、数平
均分子量が5千〜5万の範囲の重合体ブロックである。
ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モ
ル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加さ
れてており、共役ジエンおよびその水素添加物の含率は
5〜90重量%の範囲である。)
Description
重合体樹脂を含む樹脂組成物に関する。詳しくは、内包
する薬剤あるいは接触する薬剤を変質させない医療機器
樹脂材料、電気絶縁性、特に高周波特性に優れた電気絶
縁樹脂材料、耐熱性、耐薬品性に優れた電子部品処理樹
脂材料、及び透明で複屈折が小さいことを生かした光学
材料に関する。
の二次感染を防ぐために、近年は使い捨てのものに置き
換えが進んでいる。例えば、注射薬等は、従来は注射の
際にアンプル中から滅菌された注射器で吸引して用いて
いたが、最近は、予め注射器中に注射薬を吸入してある
プレフィルドシリンジが流通し、使用後の注射器は再使
用されずに廃棄されるようになった。医療用の薬品容器
においては、内容物の視認が容易なように、ある程度透
明性が求められる。そのためガラス、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリ塩化ビニル等が従来用いられてい
る。しかしガラスは焼却できず、割れやすく危険なた
め、使い捨てには廃棄物処分上の問題がある。またポリ
エチレン、ポリプロピレンは水分、ガスの透過性が大き
く、内容物によっては医薬の変質の問題があった。また
ポリ塩化ビニルは可塑剤やモノマーが溶出し易く、やは
り内容物によっては変質の問題があり、しかも焼却時の
塩素系有害ガス発生の問題もある。
ポリエチレン、ポリスチレン等のポリオレフィン系樹脂
が多く用いられて来た。これらは高絶縁抵抗性、高絶縁
破壊電圧、低誘電率等の優れた電気特性を有すると共
に、低吸水性、耐薬品性に優れる等の特長を有する。し
かし耐熱性、特に高温下の剛性が不十分であり、過酷な
条件では使用できない等の問題があった。またポリスチ
レンは高周波絶縁性が低く、耐アーク性や耐トラッキン
グ性に劣る等の問題もあった。ポリエチレンテレフタレ
ートは優れた電気特性と機械的強度、透明性等を兼ね備
えた電気絶縁材料であるが、吸水性が大きく、熱水やア
ルカリによって加水分解を起こしやすい等の問題があ
る。
子部品処理用機材においては真鍮等の金属、ポリプロピ
レン、ポリテトラフルオロエチレンやペルフルオロアル
コキシフッ素樹脂等のフッ素樹脂が用いられている。し
かし、金属製の物は重く、また電子部品処理に用いる酸
への耐性に劣る。ポリプロピレンやペルフルオロアルコ
キシフッ素樹脂は成型時の寸法精度に劣り、ポリテトラ
フルオロエチレンは射出成型が出来ず、削りだし加工が
必要になるため生産性に劣る等の問題がある。
とは主鎖中にシクロパラフィン環を有する重合である。
この種のシクロオレフィン重合体樹脂は既に公知であ
る。例えば、特開平06−136035号公報にノルボ
ルネン系重合体の水素添加物を含む樹脂組成物。特開平
09−296028号公報に特定2種のノルボルネン系
単量体を開環重合した後に水素添加した重合体。特開平
09−324082号公報にフェニル−ノルボルネン類
の開環重合体の水素添加物およびエチレン−環状オレフ
ィン共重合体を含む樹脂組成物。特開平06−1360
57に水素化シクロペンタジエン系樹脂。特表08−8
10596号公報に特定のノルボルネン系単量体の開環
重合体の水素添加物。特開平04−359027号公報
にジシクロペンタジエン開環重合体の水素化物に対する
開示がなされている。
絶縁抵抗性、高絶縁破壊電圧、低誘電率等の優れた電気
特性を有すと共に、一般に低吸水性、耐薬品性、耐熱性
にも優れる。さらには透明性、低複屈折等の光学特性に
も優れるという特長を有する。
特長を有するものの、強度特性、特に耐衝撃性に劣ると
の問題があった。
耐衝撃性を改良する提案も既になされている。例えば、
シクロオレフィン系樹脂に少量のゴム質重合体を混合す
ることによってある程度強度特性、特に耐衝撃性を改良
できることも既に公知である。この種の技術の例とし
て、特開平03−0725558号公報にノルボルネン
系単量体の開環重合体とゴム質重合体との組成物。特開
平03―2811563号公報に極性置換基含有ノルボ
ルネン誘導体の水素添加重合体とゴム質重合体との組成
物等の技術が開示されている。これらの技術により、シ
クロオレフィン重合体樹脂の特長である高絶縁抵抗性、
高絶縁破壊電圧、低誘電率等の電気特性および低吸水
性、耐薬品性等の特長を保持したまま、ある程度の強度
特性、特に耐衝撃性を改良できる。しかしながら、一般
に高温剛性で示される耐熱性が低下するとの問題があっ
た。さらにはシクロオレフィン重合体樹脂の大きな特長
の一つである光学特性、特に透明性が著しく低下すると
の問題もあった。
号公報にノルボルネンとスチレン−エチレン・プロピレ
ンブロック共重合体からなる組成物の開示があり、同様
な強度特性の改良効果を達成しながら光透過性を若干改
良している。しかし、改良するといえども、パール光沢
を有することが明細書中に記載される如く、透明という
には程遠いものである。
(b)成分のトリブロック共重合体も既に公知である。
例えば、アメリカ特許3,333,024号にはブロッ
ク共重合体、その組成物およびそれらの製造方法に関す
るものである。具体的にはスチレン−イソプレン−スチ
レントリブロック共重合体の芳香環を含めた水素添加
(以降は“環水添”と略す)により得られるビニルシク
ロヘキサン連鎖を含む重合体を開示している。
ニル芳香族炭化水素−共役ジエンブロック共重合体の環
水添加物の製造方法に関するものである。明細書中の記
載によれば、得られたビニルシクロヘキサン系重合体の
性質は含まれるビニルシクロヘキサン含量によって異な
る。ビニルシクロヘキサン含量の高い共重合体は、硬質
で光学的に透明なプラスチックであり、ビニルシクロヘ
キサン含量の低い共重合体は、ゴム状重合体であること
が開示されている。
組成物を構成する(a)成分のシクロオレフィン重合体
樹脂および(b)成分のブロック共重合体は、共に物質
として公知であり、また樹脂材料としての一般的性能も
公知である。しかしながら、(a)成分および(b)成
分の両成分を含む樹脂組成物は、従来知られていなかっ
た。
する課題は、シクロオレフィン重合体樹脂の優れた特長
である透明性、高剛性(高弾性率)、高耐熱性、耐薬品
性、電気絶縁性、低水分透過性、安全衛生性等を保持し
たまま、欠点である強度特性、特に耐衝撃強度を改善し
ようとするものである。
ィン系樹脂の強度特性、特に耐衝撃性の改良について鋭
意検討し、本発明を達成した。本発明は、シクロオレフ
ィン重合体樹脂に水添共役ジエンブロックが5〜90重
量%の範囲で含有するビニル芳香族炭化水素−共役ジエ
ン−ビニル芳香族炭化水素のトリブロック連鎖を含むブ
ロック共重合体の環水添物、特に一定の分子量の水添共
役ジエンを有するブロック共重合体を少量混合すること
により、強度特性、特に耐衝撃性を顕著に改善できるこ
とを見出し、本発明を達成したものである 即ち、本発明は特許請求の範囲にも示す通り、(a)シ
クロオレフィン重合体樹脂 1〜99重量% と
(b)重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で
示されるトリブロック連鎖を含むブロック共重合体
99〜1重量%から成る樹脂組成物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族炭化水素を主
体とし、数平均分子量10,000〜200,000の
範囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異
なった構造であっても構わない。Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とし、数平均分子量が5,000
〜500,0000の範囲の重合体ブロックである。ブ
ロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モル
%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加され
てており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の含
率は5〜90重量%の範囲である。) 本発明の樹脂組成物で用いられる(a)成分であるシク
ロオレフィン系樹脂とは、下記一般式(1)で表される
繰り返し単位から成るシクロオレフィン系重合体であ
る。
0,1または2であり、iは2〜4の整数であり、しか
もh+iが3もしくは4である。Rは水素原子、炭素数
1〜4の間のアルキル基、ハロゲン、水酸基、アルコキ
シ基、シアノ基、アミド基、イミド基、シリル基あるい
はカルボン酸のアリコールエステル基であり、各Rは同
一構造でも異なった構造でも構わない。また、Rがアル
キル基の場合、Rが別のRと結合してビシクロ環を形成
しても構わない。jは1以上の整数、kは0もしくは1
以上の整数であが、jとkは両セグメントの組成比を示
す。
してはノルボルネン系重合体もしくはその水素添加物、
ノルボルナジエン系重合体の水素添加物、シクロオレフ
ィンの非開環重合体、シクロペンタジエンおよびシクロ
ヘキサジエンの非開環重合体の水素添加物等が挙げられ
る。好ましい例はノルボルネン系重合体の開環重合体の
水素添加物および1,3−シクロヘキサジエンの非開環
重合体の水素添加物である。
びそれを構成するノルボルネン単量体の好ましい置換基
の例を化学反応式(2)および化学反応式(3)に示
す。
体を開環重合した後、水素添加することによってシクロ
オレフィン重合体樹脂が得られる。本発明で用いられる
ノルボルネン系単量体は、例えばノルボルネン、2−ノ
ルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネン、5,5−
ジメチル−2−ノルボルネン、5−エチル−2−ノルボ
ルネン、5−ブチル−2−ノルボルネン、5−エチリデ
ン−2−ノルボルネン、5−メトキシカルボニル−2−
ノルボルネン、5−シアノ−2−ノルボルネン、5−メ
チル−5−メトキシカルボニル−2−ノルボルネン、5
−フェニル−2−ノルボルネン、5−フェニル−5−メ
チル−ノルボルネン等が挙げられる。
体単独あるいはノルボルネン系単量体の2種以上の混合
物、あるいは共重合可能な他の単量体を少量含んでいて
もよい。共重合可能な好ましい他の単量体の具体例とし
てシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、
シクロオクテン等の環状オレフィンが挙げられる。これ
らのシクロオレフィン系単量体は開環して直鎖状結合鎖
となり、一般に樹脂の耐熱性を低下させることになる。
それ故に環構造を形成する単量体が少なくとも50重量
%、好ましくは70重量%、特に好ましくは90重量%
以上含まなければ本発明の目的とする高耐熱性を有する
樹脂としての性能が低下して好ましくない。
タセシス重合触媒と呼ばれるタングステン、モリブデ
ン、クロム系触媒が好ましく利用でき、溶液系で重合さ
れる。
合体の好ましい合成の反応式を化学反応式(4)に示
す。
の整数を表し、p+qは重合度となる。
1,3シクロヘキサジエンを、例えば有機リチウム開始
剤を用いて、炭化水素溶媒中でアニオン重合した後、水
素添加することによって得られる。
られる重合触媒は、必ずしも上記に限定されるものでは
ない。それぞれの単量体の重合に適切な公知のアニオン
重合触媒、カチオン重合触媒、チーグラー触媒、カミン
スキー触媒等から選択して使用できる。またはラジカル
開始剤を用いたラジカル重合あるいは熱ラジカル重合も
単量体によっては好ましく利用できる。一般には重合は
−100〜200℃、さらに一般には0〜150℃の範
囲で行われる。
行われる。溶媒としてはベンゼン、トルエン、キシレン
等の芳香族系溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オ
クタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシク
ロヘキサン等の脂肪族系溶媒、塩化メチル、塩化メチレ
ン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−トリクロロ
エタン、1,1,2−トリクロロエチレン等のハロゲン
化炭化水素系溶媒等が挙げられる。
によっては重合後、水素添加することが必要である。例
えば、得られた重合体がオレフィン結合や芳香環を有す
る場合、この様な重合体の不飽和結合の水素添加能力を
有する水素添加触媒の存在下に、水素添加して実質的に
完全飽和させることが必要である。その場合の水素添加
率は80モル%以上、好ましくは90モル%以上、特に
好ましくは95モル%以上である。
するものではない。例えばニッケル、コバルト、チタ
ン、ルテニウム、ロジウム、白金、パラジウム等の金
属、またはその酸化物、塩、錯体およびこれらの活性
炭、珪藻土、アルミナ、シリカ等に担持したもの等が挙
げられる。これらの中でも特にラネーニッケル、ラネー
コバルト、安定化ニッケルおよびロジウム、ルテニウ
ム、白金のカーボン、アルミナ、シリカ担持触媒が、触
媒活性の点で好ましい。
/cm2、50〜200℃の温度にて、溶媒としてシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、デ
カリン、テトラリン、ナフサ等の飽和炭化水素系溶媒、
あるいはTHF等のエーテル系溶媒を用いて行う。ま
た、水素添加反応を行う場合、アルコールやエーテル化
合物を少量添加して反応性を高めることができる。その
ような目的に使用されるアルコールやエーテルの添加量
は溶媒100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部である。
子量は、極限粘度[η]で示して0.1〜20dl/
g、さらに好ましくは0.2〜10dl/g、特に好ま
しくは0.5〜5dl/gの範囲である。分子量が余り
に低いと樹脂組成物の強度が著しく低くなり、分子量が
余りに高いと成形加工性が大幅に低下して好ましくな
い。
転位温度は、好ましくは80℃以上、さらに好ましくは
100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。シ
クロオレフィン重合体樹脂のガラス転位温度が低いと、
樹脂組成物の耐熱性低下を来たし好ましくない。
分は重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式で示
されるトリブロック連鎖を含むブロック共重合体であ
る。すなわち、ブロック共重合体連鎖中に少なくともA
−B−Aのブロックが存在しているブロック共重合体で
あり、Bはカップリング剤を介して複数のBブロックか
ら構成されていてもよい。さらに具体的なブロック構造
として下記式(5)〜(9)の一般式で示される。
とし、数平均分子量10,000〜200,000の範
囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異な
った構造であっても構わない。各Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックである。本
発明の趣旨からしてB−X−Bのブロック連鎖構造は、
他の重合体ブロックで分割されている訳ではなく、本願
のブロック分子量規定においては1つのBブロックに対
応すると考える。即ち、Bブロックおよび特にB−X−
Bブロック連鎖の数平均分子量の5,000〜500,
0000の範囲であり、各Bは同一構造でも、異なった
構造であっても構わない。Xは多官能性のカップリング
剤である。nは1以上、mは2以上の整数で表される。
ブロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モ
ル%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加さ
れており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の含
率は5〜90重量%の範囲でなければならない。) また、本願樹脂組成物の(b)成分のトリブロック連鎖
を含むブロック共重合体は、上記ブロック構造規定に該
当しない不完全なブロック、例えばAの単独重合体、B
の単独重合体、あるいはA−Bジブロック共重合体等を
一部含んでいても構わない。この場合でもトリブロック
連鎖を含むブロック共重合体が少なくとも50重量%、
好ましくは70重量%以上、更に好ましくは90重量%
以上含まれていなければ、本願が目的とする効果、即ち
耐衝撃性等の強度特性の改良効果が十分には発現しな
い。
オン重合法により、ビニル芳香族炭化水素系単量体と共
役ジエン系単量体とを順次ブロック共重合した後、水素
添加反応により、芳香環を含む不飽和結合を実質的に完
全飽和することによって得られる。
主体とする重合体ブロックである。ビニル芳香族炭化水
素系単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチ
レン、4−メチルスチレン、2−メチルスチレン、p−
tertブチルスチレン、4−フェニルスチレン、p−
メトキシスチレン、ビニルナフタレン等の1種または2
種以上が挙げられる。特に代表的なものとしてスチレン
が挙げられる。また、上記ビニル芳香族炭化水素と共重
合可能な他の単量体を、ビニル芳香族炭化水素重合ブロ
ックの特性が失われない範囲で含んでも構わない。
体とする重合体ブロックである。共役ジエン単量体とし
ては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメ
チル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエン等の1種または2種以上が挙げら
れる。特に、1,3−ブタジエン、イソプレンが一般的
である。また、少量のビニル芳香族炭化水素、またはそ
の他の共役ジエン化合物と共重合可能な他の単量体を、
共役ジエン重合ブロックの特性が失われない範囲で含ん
でも構わない。
あることが好ましいが、各A、Bブロックの境界がラン
ダムな共重合となり、しかもその組成が漸次変化するテ
ーパー構造と成っていても構わない。
ン重合法と呼ばれる公知の方法で重合する。例えば、特
公昭36−19286号、特公昭43−14979号、
特公昭49−36957号等に記載された方法を挙げる
ことができる。具体的には、例えば有機リチウム化合物
を開始剤とし、塊状あるいは炭化水素溶媒中での溶液重
合として実施できる。特にヘキサン、ペンタン、シクロ
ヘキサンの様な炭化水素溶媒中で、ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等のエーテル化合物、トリエチルア
ミン、テトラメチルエチレンジアミン等の第3アミン化
合物を必要により混合し、共役ジエン化合物の結合様式
を制御し、重合することにより容易に得ることができ
る。また、必要により重合完了後、末端カップリング剤
としてハロゲン化炭化水素、エステル化合物、エポキシ
化合物、四塩化珪素等、公知の多官能性カップリング剤
を用いて分岐化あるいは放射状の構造を有するブロック
共重合体を得ることができる。
加反応することにより、全オレフィン性不飽和結合は9
0モル%以上水素添加されていることが必要である。好
ましくは95モル%以上、さらに好ましくは97%以上
である。また、芳香族環は80モル%以上水素添加され
ている必要がある。好ましくは90モル%以上、さらに
好ましくは95モル%以上である。水素添加率が低い
と、シクロオレフィン重合体樹脂との混和性の低下およ
び樹脂組成物の熱安定性の低下を引き起こして好ましく
ない。
体の芳香族環の水素添加能力を有する水添触媒の共存下
に、水素添加して得ることができる。具体的には、前記
述のシクロオレフィン重合体樹脂の水素添加方法と同様
の方法でできる。
能力を有する水素添加触媒の存在下に水素添加して得る
ことができる。使用される水素添加触媒は特に限定する
ものではない。例えばニッケル、コバルト、ルテニウ
ム、ロジウム、白金、パラジウム等の金属、またはその
酸化物、塩、錯体およびこれらの活性炭、珪藻土、アル
ミナ、シリカ等に担持したもの等が挙げられる。これら
の中でも特にラネーニッケル、ラネーコバルト、安定化
ニッケルおよびロジウム、ルテニウム、白金のカーボ
ン、アルミナ、シリカ担持触媒が、触媒活性の点で好ま
しい。
/cm2、50〜200℃の温度にて、溶媒としてシク
ロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−オクタン、デ
カリン、テトラリン、ナフサ等の飽和炭化水素系溶媒、
あるいはTHF等のエーテル系溶媒を用いて行う。ま
た、水素添加反応を行う場合、アルコールやエーテル化
合物を少量添加して反応性を高めることができる。その
ような目的に使用されるアルコールやエーテルの添加量
は溶媒100重量部に対して、0.5〜5重量部、好ま
しくは1〜3重量部である。
ニル芳香族炭化水素ブロックの含有量は10〜95重量
%である。好ましくは10〜50重量%、特に好ましく
は20〜45重量%の範囲である。ブロック共重合体の
環水添ビニル芳香族炭化水素ブロックの含有量が高すぎ
る場合、シクロオレフィン系樹脂組成物のモルホルジー
としての相分離が効果的に進まないためか、耐衝撃性の
改良効果が十分発現しない。また、水素添加共役ジエン
ブロックの含有量が余りに高すぎる場合、シクロオレフ
ィン重合体樹脂とブロック共重合体の混和性が著しく低
下して、樹脂組成物の各種物性、例えば透明性や曲げ強
度等が低下して好ましくない。
成物全体に対する水素添加共役ジエンセグメントの含有
量は0.5〜50重量%、好ましくは1〜30重量%、
さらに好ましくは2〜20重量%、特に好ましくは3〜
10重量%の範囲である。樹脂組成物中の水素添加共役
ジエン重合体セグメントの含有量が多すぎる場合は、樹
脂組成物の耐熱性、剛性が低下して好ましくない。逆
に、共役ジエン重合体セグメントの含有量が少なすぎる
場合は耐衝撃性の改善効果が十分発現できず、好ましく
ない。
BブロックおよびB−X−Bブロック連鎖の数平均分子
量は5,000〜500,000の範囲、好ましくは2
0,000〜300,000の範囲、特に好ましくは5
0,00〜200,000の範囲である。水素添加共役
ジエン重合体ブロックの重量平均分子量が低くすぎる場
合、耐衝撃性の改良効果が十分発現せず好ましくない。
水素添加共役ジエン重合体の含有量が高すぎる場合、シ
クロオレフィン重合体樹脂とブロック共重合体の混和性
が著しく低下して、樹脂組成物の各種物性、例えば透明
性、強度等が低下して好ましくない。
ク、即ちAブロックの数平均分子量は10,000〜2
00,000、好ましくは14,000〜100,00
0、特に好ましくは20,000〜50,000の範囲
である。環水添ビニル芳香族炭化水素ブロックの分子量
が低いとシクロオレフィン重合体樹脂とブロック共重合
体の混和性が著しく低下して、樹脂組成物の各種物性、
例えば透明性や曲げ強度等が低下して好ましくない。分
子量が余りに高い場合、耐衝撃性が低下して好ましくな
い。
定しない。しかしながら、水素添加後これらのセグメン
トから成る重合体ブロックはゴムライクな性質を示すこ
とが好ましい。即ち、常温で結晶化やガラス化しないこ
とが好ましい。そのため、共役ジエンが1,3−ブタジ
エンである場合、その1,2−結合含率は10モル%〜
90モル%、さらに好ましくは20モル%〜60モル
%、さらに好ましくは30モル%〜50モル%の範囲で
ある。1,2−結合連鎖がこれより低いと、著しい結晶
性が現れ、耐衝撃性の改良効果が低減して好ましくな
い。
(a)シクロオレフィン重合体樹脂1〜99重量%およ
び(b)重合体連鎖中に少なくともA−B−Aの一般式
で示されるトリブロック連鎖を含むブロック共重合体9
9〜1重量%から成る。好ましい(b)成分の組成は4
0〜1重量%、さらに好ましくは30〜3重量%、特に
好ましくは20〜5重量%の範囲であり、残余の重合体
成分は(a)シクロオレフィン重合体樹脂である。
れより高いと弾性率、特に高温下の弾性率が低下して好
ましくない。またブロック共重合体の含量がこれより低
いと強度特性、特に耐衝撃性が低下して好ましくない。
に限定するものではない。通常は上述の重合体成分
(a)成分のシクロオレフィン重合体樹脂と(b)成分
のブロック共重合体とを押出機、プラストミル、バンバ
リーミキサー等の混練機により溶融混合する方法を用い
ることができる。また別途に重合あるいは水素添加した
後に溶液状態のまま混合したりすることもできる。
規定しない公知の樹脂添加物を添加しても構わない。例
えば、無機あるいは有機フィラー、顔料、染料、安定
剤、紫外線吸収剤、可塑剤、難燃剤、滑剤等を添加し
て、公知の作用効果を達成することは当然できる。これ
らの樹脂添加剤の本発明の樹脂組成物への混合時期、方
法は特に限定されるものではない。重合製造時に溶液段
階で混合すろこともできるし、樹脂成分の混合時に、あ
るいは成形加工時に混合することもできる。
ル系安定剤、イオウ系安定剤、リン系安定剤等が挙げら
れる。ヒンダードフェノール系安定剤とリン系安定剤の
併用が耐熱劣化性の向上の観点から特に好ましい。
系安定剤の具体例としては、テトラキス[メチレン−3
−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネートメタン、3,9−ビス[1,1,−
ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチ
ル]2,4,8,10−テトラオキサスプロ[5,5]
ウンデカン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシベンジル−s−トリアジン−2,
4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3,5
−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等が挙げら
れる。
トラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,
4’−ビスフェニレンホスフォナイト、ビス(2,6−
ジ−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトー
ル−ジ−ホスファイト等が挙げられる。
量部当たり、各0.001〜1重量部である。また、無
安定剤でも、本発明の樹脂組成物はそれなりの安定性は
有しており、用途により無安定剤が好ましい場合もあ
る。
て本発明を具体的に説明するが、本発明がこれらの実施
例に何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例
および比較例における各種重合体構造は、次の方法によ
り測定したものである。
ルエン中で測定した。
体樹脂およびブロック共重合体の分子量はゲル・パーミ
エーション・クロマトグラフィー(GPC)を用い、T
HFを溶媒として測定した。
比の解析:水素添加前のブロック共重合体のプロトンN
MRから解析した。または補助的に重合時の仕込み単量
体組成とその添加率から算出、確認するもできる。
析:ランダム共重合部分を含まない完全ブロック共重合
体においては、各ブロックを構成する結合単量体組成比
とブロック共重合体全体の分子量から算出した。
スペクトルに基づき解析した。
溶媒中で、六塩化タングステン、有機アルミ系を重合開
始剤、ノルボルネン単量体を開環重合した。重合後、少
量のメタノールを添加して成長末端を停止させた。その
後溶媒を揮発除去した後、再度シクロヘキサンに溶解
し、パラジウム触媒を用い水素添加することにより、シ
クロオレフィン重合体樹脂を得た。分析の結果、極限粘
度[η]1.1、水素添加率はほぼ100%であった。
HFを含むシクロヘキサンを溶媒とし、n−ブチルリチ
ウムを重合開始剤として、スチレン−ブタジエン−スチ
レンを順次重合することにより、実質的にコンタミのな
いブロック共重合体を得た。その後、メタノールを少量
添加して成長末端を停止させ、パラジウム触媒を用い水
素添加することにより、A−B−Aトリブロック共重合
体を得た。水素添加反応の前後で分子量分布、分子量の
変化は実質的になかった。
子量9.4万、環水添および未水添のスチレン含率35
重量%であった。ブタジエン部の結合様式は1,2−結
合含率は45モル%であった。プロトンNMR解析結果
および仕込み単量体組成から検証できた各ブロックの重
量組成比はA:B:A=17.5:65:17.5であ
る。それ故、各ブロックの数平均分子量はA,B,Aそ
れぞれ1.65万、6.11万、1.65万である。共
役ジエン部はほぼ完全に水素添加されており、スチレン
部分の水素添加率は99.2%であった。
トリブロック共重合体を得た。単量体の仕込みを変化さ
せることにより、ブロックの分子量を振った。各ブロッ
クの数平均分子量はA,B,Aそれぞれ4.23万、
1.36万、4.23万、環水添および未水添のスチレ
ン含率86重量%であった。共役ジエン部はほぼ完全に
水素添加されており、スチレン部分の水素添加率は9
9.6%であった。
たと同様の水素添加前のベース重合体を用い、チタン触
媒を用い水素添加することにより、共役ジエンセグメン
トを選択的に水添した。得られた重合体の共役ジエン部
の水素添加率は98%、スチレン部分の水素添加率はほ
ぼ0%であった。A,B,Aそれぞれの数分子量は1.
58、5.87、1.58、環水添および未水添のスチ
レン含率35重量%である。
CO)と樹脂製造例−2で得た環水添S−B−Sトリブ
ロック共重合体(SBS)を表1記載の重量組成比で、
ラボプラストミルにて混合し、圧縮成型することにより
テストピースを作成し、物性を評価した。評価結果を表
1に記載する。
なため、弾性率は極めて小さく測定困難、またはHDT
は80℃未満となった 注*2)破断しなかった 表中の略語説明 1)PCO含率:シクロオレフィン重合体樹脂の重量含
率(重量%) 2)SBS含率:樹脂組成物中の環水添スチレン−ブタ
ジエン−スチレントリブロック共重合体の重量含率(重
量%) 3)ゴム含率:環水添スチレン/ブタジエンブロック重
合体中の水添および未水添のブタジエンブロックの樹脂
組成物における重量含率(重量%) 4)Bd連鎖長:同上のブタジエンブロックの数平均連
鎖長(万) 5)弾性率:曲げ弾性率ASTM D790 (kg/
cm2) 6)HDT:熱変形温度ASTM D648、荷重1
8.6kg/cm2(℃) 7)衝撃強度:アイゾット衝撃強度ASTM D256
ノッチ付き(kg・cm/cm) 8)透明性:目測による透明性の判断 ○:ポリスチレン同等の優れた透明性を示す ×:半透明に白濁し、透明性が劣る。
重合体単味を圧縮成型することによりテストピースを作
成し、物性を評価した。評価結果を表2に記載する。
B−Aトリブロック共重合体を、環水添トリブロック共
重合体に置き換え、実施例3と同様に評価した。評価結
果を表2に記載する。
は、シクロオレフィン重合体樹脂の優れた特長である透
明性、高耐熱性、耐薬品性、電気絶縁性、低水分透過性
等の優れた性能を保持したまま、欠点である強度特性、
特に耐衝撃強度を顕著に改善するものである。
Claims (5)
- 【請求項1】(a)シクロオレフィン重合体樹脂 1
〜99重量% と(b)重合体連鎖中に少なくともA−
B−Aの一般式で示されるトリブロック連鎖を含むブロ
ック共重合体 99〜1重量%から成る樹脂組成
物 (式中、Aは水素添加されたビニル芳香族炭化水素を主
体とし、数平均分子量10,000〜200,000の
範囲の重合体ブロックであり、各Aは同一構造でも、異
なった構造であっても構わない。Bは水素添加された共
役ジエン化合物を主体とし、数平均分子量が5,000
〜500,0000の範囲の重合体ブロックである。ブ
ロック共重合体の全オレフィン性不飽和結合の90モル
%以上および芳香族環の80モル%以上は水素添加され
てており、共役ジエン化合物およびその水素添加物の含
率は5〜90重量%の範囲である。) - 【請求項2】 シクロオレフィン重合体樹脂がノルボル
ネン系単量体の重合体の水素添加物であることを特徴と
する特許請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項3】 シクロオレフィン系樹脂がシクロヘキサ
ジエンの非開環重合体の水素添加物であることを特徴と
する特許請求項1記載の樹脂組成物。 - 【請求項4】 ブロック共重合体のBブロックである水
素添加された共役ジエンセグメントの含有率が組成物全
体に対して0.5〜50重量%の範囲にあることを特徴
とする特許請求項1ないし3項記載のシクロオレフィン
系樹脂組成物。 - 【請求項5】 (b)成分の共重合体を構成するBブロ
ックが水素添加された1,3−ブタジエンからなる重合
体ブロックであって、その結合様式が1,2−結合含率
10モル%〜60モル%である請求項1ないし4記載の
樹脂組成物。
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003502471A (ja) * | 1999-06-11 | 2003-01-21 | ザ ダウ ケミカル カンパニー | 水素化ブロックコポリマーを含む組成物およびその最終用途 |
JP2007302722A (ja) * | 2006-05-09 | 2007-11-22 | Polyplastics Co | 高周波用電子部品用材料及び当該材料からなる高周波用電子部品 |
WO2013030944A1 (ja) * | 2011-08-30 | 2013-03-07 | 株式会社カネカ | シクロオレフィン系共重合体樹脂組成物 |
US20210015705A1 (en) * | 2018-05-08 | 2021-01-21 | Mcpp Innovation Llc | Multilayer Body, Container and Infusion Bag |
-
1999
- 1999-03-23 JP JP07774999A patent/JP4194706B2/ja not_active Expired - Fee Related
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WO2013030944A1 (ja) * | 2011-08-30 | 2013-03-07 | 株式会社カネカ | シクロオレフィン系共重合体樹脂組成物 |
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