JP2000265249A - 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物及びその製造法 - Google Patents
耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物及びその製造法Info
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- JP2000265249A JP2000265249A JP6953299A JP6953299A JP2000265249A JP 2000265249 A JP2000265249 A JP 2000265249A JP 6953299 A JP6953299 A JP 6953299A JP 6953299 A JP6953299 A JP 6953299A JP 2000265249 A JP2000265249 A JP 2000265249A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、耐粒界腐食性,耐応力腐食割
れ性に優れたNi基またはFe基オーステナイト系合金
構造物とその製造法及び原子炉用構成部品と原子炉並び
に原子力発電プラントを提供する。 【解決手段】Cr15〜25重量%を含有するNi基又
はFe基オーステナイト系合金からなる構造物の表面に
オーステナイト再結晶粒内あるいは粒界にCr炭化物が
分散して形成されていることを特徴とする。
れ性に優れたNi基またはFe基オーステナイト系合金
構造物とその製造法及び原子炉用構成部品と原子炉並び
に原子力発電プラントを提供する。 【解決手段】Cr15〜25重量%を含有するNi基又
はFe基オーステナイト系合金からなる構造物の表面に
オーステナイト再結晶粒内あるいは粒界にCr炭化物が
分散して形成されていることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽水炉あるいは新
型転換炉等の炉内構造部材や燃料要素等に用いられるN
i基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金に係
り、特に、耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性に優れたオ
ーステナイト系固溶強化型合金構造物とその製造法及び
それを用いた原子炉内構成部品と原子炉並びに原子力発
電プラントに関する。
型転換炉等の炉内構造部材や燃料要素等に用いられるN
i基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金に係
り、特に、耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性に優れたオ
ーステナイト系固溶強化型合金構造物とその製造法及び
それを用いた原子炉内構成部品と原子炉並びに原子力発
電プラントに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、軽水炉あるいは新型転換炉等の炉
内構造部材や燃料要素材料としてFe基またはNi基の
オーステナイト系固溶強化型合金、例えば、オーステナ
イト系ステンレス鋼やインコネル系のNi合金が多用さ
れている。ところがこれらの合金は熱処理条件、あるい
は溶接部および溶接部近傍の熱影響部において、粒界腐
食や応力腐食割れを生じる可能性がある(特開昭55−11
5958号公報,特開昭55−100472号公報)。
内構造部材や燃料要素材料としてFe基またはNi基の
オーステナイト系固溶強化型合金、例えば、オーステナ
イト系ステンレス鋼やインコネル系のNi合金が多用さ
れている。ところがこれらの合金は熱処理条件、あるい
は溶接部および溶接部近傍の熱影響部において、粒界腐
食や応力腐食割れを生じる可能性がある(特開昭55−11
5958号公報,特開昭55−100472号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】軽水炉あるいは新型転
換炉等に使用されるオーステナイト系固溶強化型合金の
粒界腐食,応力腐食割れを低減するために耐粒界腐食
性,耐応力腐食割れ性に優れた合金を表面に溶接,溶着
する方法が知られている(特開昭59−223197号公報及び
特開昭63−194892号公報)が、耐粒界腐食性,耐応力腐
食割れ性の改善は必ずしも十分であるとは云えず、より
信頼性の高い部材が要求されていた。
換炉等に使用されるオーステナイト系固溶強化型合金の
粒界腐食,応力腐食割れを低減するために耐粒界腐食
性,耐応力腐食割れ性に優れた合金を表面に溶接,溶着
する方法が知られている(特開昭59−223197号公報及び
特開昭63−194892号公報)が、耐粒界腐食性,耐応力腐
食割れ性の改善は必ずしも十分であるとは云えず、より
信頼性の高い部材が要求されていた。
【0004】本発明の目的は上記に鑑み、軽水炉等の構
造部材等の表面部分の耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性
を局部的に向上させることにより、耐粒界腐食性,耐応
力腐食割れ性に優れたNi基またはFe基オーステナイ
ト系固溶強化型合金構造物とその製造法及び原子炉用構
成部品と原子炉並びに原子力発電プラントを提供するこ
とにある。
造部材等の表面部分の耐粒界腐食性,耐応力腐食割れ性
を局部的に向上させることにより、耐粒界腐食性,耐応
力腐食割れ性に優れたNi基またはFe基オーステナイ
ト系固溶強化型合金構造物とその製造法及び原子炉用構
成部品と原子炉並びに原子力発電プラントを提供するこ
とにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、従来のNi基
またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金では、そ
の化学成分,熱処理条件,加工,溶接条件等に起因して
金属組織が変化し、材料の粒界腐食感受性,応力腐食割
れ感受性が高くなるとの知見に基づき、これを改善する
ためオーステナイト系合金の表面部分に局部的に加工と
高密度エネルギー源による加熱処理を施して、その表面
部分において再結晶及び再結晶粒内でのCr炭化物の析
出・分散・再配列を進行させることを考案したものであ
る。
またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金では、そ
の化学成分,熱処理条件,加工,溶接条件等に起因して
金属組織が変化し、材料の粒界腐食感受性,応力腐食割
れ感受性が高くなるとの知見に基づき、これを改善する
ためオーステナイト系合金の表面部分に局部的に加工と
高密度エネルギー源による加熱処理を施して、その表面
部分において再結晶及び再結晶粒内でのCr炭化物の析
出・分散・再配列を進行させることを考案したものであ
る。
【0006】本発明は、15〜25重量%のCrを含有
するNi基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合
金であって、その表面部分がオーステナイト再結晶粒
(一次再結晶粒)からなり、しかもこの部分では結晶粒
内にCr炭化物のほとんどが析出分散していることを特
徴とする耐食性に優れた構造物にある。そして、結晶粒
界にはわずかに炭化物が析出分散している場合もあり、
連らなったものは見当らないものである。
するNi基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合
金であって、その表面部分がオーステナイト再結晶粒
(一次再結晶粒)からなり、しかもこの部分では結晶粒
内にCr炭化物のほとんどが析出分散していることを特
徴とする耐食性に優れた構造物にある。そして、結晶粒
界にはわずかに炭化物が析出分散している場合もあり、
連らなったものは見当らないものである。
【0007】このCr炭化物が析出分散する表面部分の
オーステナイト再結晶粒は、Ni基またはFe基オース
テナイト系固溶強化型合金の表面部分に加工硬化層を形
成させた後にその表面部分を入熱量として好ましくは
0.5〜2kJ/cm の高密度エネルギー源を用いて好ま
しくは施行速度5mm/秒以下で局部的に融点未満の温
度、好ましくは850℃を超え1000℃を超えない温
度範囲まで加熱することにより実現できる。
オーステナイト再結晶粒は、Ni基またはFe基オース
テナイト系固溶強化型合金の表面部分に加工硬化層を形
成させた後にその表面部分を入熱量として好ましくは
0.5〜2kJ/cm の高密度エネルギー源を用いて好ま
しくは施行速度5mm/秒以下で局部的に融点未満の温
度、好ましくは850℃を超え1000℃を超えない温
度範囲まで加熱することにより実現できる。
【0008】その場合、表面部分に加工硬化層を形成さ
せるには機械加工研磨,ショットピーニング処理,ブラ
スト処理,グラインダー加工,スコッチブライト研磨あ
るいは液体ホーニング等あるいはそれらの組み合せを用
いるのが適当である。
せるには機械加工研磨,ショットピーニング処理,ブラ
スト処理,グラインダー加工,スコッチブライト研磨あ
るいは液体ホーニング等あるいはそれらの組み合せを用
いるのが適当である。
【0009】また、良好な耐食性を得るためには、この
Cr炭化物が析出分散するオーステナイト再結晶粒が存
在する領域は、構造物の表面から100μm以上の深さ
であることが好ましい。
Cr炭化物が析出分散するオーステナイト再結晶粒が存
在する領域は、構造物の表面から100μm以上の深さ
であることが好ましい。
【0010】軽水炉、あるいは新型転換炉等には15%
以上のCrを含有するAlloy600,SUS304,SUS304L 等の
Ni基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金が
構造物あるいは各種の部材として用いられる。これらの
合金は溶接施行等の際に500〜800℃の加熱を受け
ると、結晶粒界に沿ってCr炭化物が析出し、これが粒
界腐食(IGC)や粒界型応力腐食割れ(IGSCC)
の原因となることが知られている。以上の観点から、オ
ーステナイト系固溶強化型合金の表面に耐IGC性,耐
IGSCC性に優れた合金を溶接・溶着する方法等が種
々考案されている。本発明によれば対象とする構造物表
面を溶融することなく、容易に耐IGC性,耐IGSC
C性を向上させることができる。これは、本発明の構造
物の表面部分は(一次)再結晶粒で覆われており、しか
もCr炭化物はその大部分が再結晶粒内に析出・分散・
再配列し、結晶粒界に沿って連続的に析出するCr炭化
物がほとんど存在しないためである。
以上のCrを含有するAlloy600,SUS304,SUS304L 等の
Ni基またはFe基オーステナイト系固溶強化型合金が
構造物あるいは各種の部材として用いられる。これらの
合金は溶接施行等の際に500〜800℃の加熱を受け
ると、結晶粒界に沿ってCr炭化物が析出し、これが粒
界腐食(IGC)や粒界型応力腐食割れ(IGSCC)
の原因となることが知られている。以上の観点から、オ
ーステナイト系固溶強化型合金の表面に耐IGC性,耐
IGSCC性に優れた合金を溶接・溶着する方法等が種
々考案されている。本発明によれば対象とする構造物表
面を溶融することなく、容易に耐IGC性,耐IGSC
C性を向上させることができる。これは、本発明の構造
物の表面部分は(一次)再結晶粒で覆われており、しか
もCr炭化物はその大部分が再結晶粒内に析出・分散・
再配列し、結晶粒界に沿って連続的に析出するCr炭化
物がほとんど存在しないためである。
【0011】本発明において、良好な耐食性を有する表
面部分、すなわち再結晶粒で覆われしかも結晶粒内に多
数のCr炭化物が析出分散する表面部分を構造物に付与
するためには、次の点に考慮することが必要である。
面部分、すなわち再結晶粒で覆われしかも結晶粒内に多
数のCr炭化物が析出分散する表面部分を構造物に付与
するためには、次の点に考慮することが必要である。
【0012】本発明では、表面加工と高密度エネルギー
源を用いた局部的加熱処理により構造物表面に(一次)
再結晶を生じさせるため、加熱処理の前に与える表面加
工はできるだけ強加工が好ましい。加工度が大きいほど
再結晶はより容易に進行するが、加工度の目安としてた
とえば冷間圧延における加工度30%程度以上が好まし
い。なお、表面部分の加工度の目安はその表面部分の硬
さと、同一材料を冷間圧延したときの硬さとを比較する
ことによって可能で、たとえば表面加工を受けた構造物
表面部の硬さが加工度50%の冷間圧延板の硬さとほぼ
等しければ、構造物表面部は加工度約50%相当の加工
を受けたと考えることができる。
源を用いた局部的加熱処理により構造物表面に(一次)
再結晶を生じさせるため、加熱処理の前に与える表面加
工はできるだけ強加工が好ましい。加工度が大きいほど
再結晶はより容易に進行するが、加工度の目安としてた
とえば冷間圧延における加工度30%程度以上が好まし
い。なお、表面部分の加工度の目安はその表面部分の硬
さと、同一材料を冷間圧延したときの硬さとを比較する
ことによって可能で、たとえば表面加工を受けた構造物
表面部の硬さが加工度50%の冷間圧延板の硬さとほぼ
等しければ、構造物表面部は加工度約50%相当の加工
を受けたと考えることができる。
【0013】また、表面部分に加工硬化層を形成した後
の高密度エネルギー源による局部加熱は、入熱量を0.
5 〜2kJ/cm,施行速度を5mm/秒以上にするのが
好ましい。当然のことながら、再結晶を生じさせるため
の最低の入熱量すなわち0.5kJ/cm以上、加熱温度
で言えば850℃を超えることは必要ではあるが、入熱
量2kJ/cmを超えたり、施行速度が5mm/秒未満にな
ると加熱温度が1000℃を超えたり、表面部が溶融したり
してオーステナイトマトリックス中へのCの固溶量が増
加してCr炭化物の再固溶が生じやすく、その後500
〜800℃の加熱を受けると再び結晶粒界に沿ってCr
炭化物が析出して耐IGC性,耐IGSCC 性が低下する。
の高密度エネルギー源による局部加熱は、入熱量を0.
5 〜2kJ/cm,施行速度を5mm/秒以上にするのが
好ましい。当然のことながら、再結晶を生じさせるため
の最低の入熱量すなわち0.5kJ/cm以上、加熱温度
で言えば850℃を超えることは必要ではあるが、入熱
量2kJ/cmを超えたり、施行速度が5mm/秒未満にな
ると加熱温度が1000℃を超えたり、表面部が溶融したり
してオーステナイトマトリックス中へのCの固溶量が増
加してCr炭化物の再固溶が生じやすく、その後500
〜800℃の加熱を受けると再び結晶粒界に沿ってCr
炭化物が析出して耐IGC性,耐IGSCC 性が低下する。
【0014】なお、本発明では(一次)再結晶で覆われ
Cr炭化物が析出分散する表面部分が深さ100μm以
上存在することが必要で、これが100μm未満の場合
には耐IGC性,耐IGSCC性が十分でない。
Cr炭化物が析出分散する表面部分が深さ100μm以
上存在することが必要で、これが100μm未満の場合
には耐IGC性,耐IGSCC性が十分でない。
【0015】本発明に係るNi基合金は、好ましくは重
量でC0.03〜0.15%,Si0.05〜1.0%,M
n0.05〜1.0%,Fe5〜10%,Cr15〜17
%及び残部Ni、より好ましくはC0.045〜0.10
%,Si0.1〜0.5%,Mn0.1〜0.5%,Fe6
〜8.5% ,Cr14〜17%及び残部Niからなるも
のである。
量でC0.03〜0.15%,Si0.05〜1.0%,M
n0.05〜1.0%,Fe5〜10%,Cr15〜17
%及び残部Ni、より好ましくはC0.045〜0.10
%,Si0.1〜0.5%,Mn0.1〜0.5%,Fe6
〜8.5% ,Cr14〜17%及び残部Niからなるも
のである。
【0016】更に、本発明に係るFe基合金は、好まし
くは重量で、C0.03〜0.15%,Si0.1〜1.5
%,Mn0.5〜3.0%,Ni8.5〜11.5%,Cr
17〜20%,N0.1% 以下及び残部Fe、より好ま
しくはC0.04〜0.13%,Si0.3〜1.0%,M
n1〜2%,Ni9〜11%,Cr17.5〜19.5
%,N0.01〜0.04%及び残部Feからなるもので
ある。
くは重量で、C0.03〜0.15%,Si0.1〜1.5
%,Mn0.5〜3.0%,Ni8.5〜11.5%,Cr
17〜20%,N0.1% 以下及び残部Fe、より好ま
しくはC0.04〜0.13%,Si0.3〜1.0%,M
n1〜2%,Ni9〜11%,Cr17.5〜19.5
%,N0.01〜0.04%及び残部Feからなるもので
ある。
【0017】本発明は、原子炉圧力容器及びその内部に
炉心支持板,シュラウド,上部格子板,各種ノズル,ジ
ェットポンプ,給水スパージャ及び下部炉心格子等の各
構造部品を備えた原子炉において、該原子炉の前記構造
部品の少なくとも一つを前述の本発明の構造物によって
構成したことを特徴とする原子炉及びその原子炉内構成
部品にある。
炉心支持板,シュラウド,上部格子板,各種ノズル,ジ
ェットポンプ,給水スパージャ及び下部炉心格子等の各
構造部品を備えた原子炉において、該原子炉の前記構造
部品の少なくとも一つを前述の本発明の構造物によって
構成したことを特徴とする原子炉及びその原子炉内構成
部品にある。
【0018】本発明は、原子炉圧力容器及びその内部に
前述と同様の各種構造部品を備えた原子炉用構成部品に
おいて、前記構成部品の少なくとも一つが前述の本発明
の構造物によって構成される。
前述と同様の各種構造部品を備えた原子炉用構成部品に
おいて、前記構成部品の少なくとも一つが前述の本発明
の構造物によって構成される。
【0019】本発明は、原子炉圧力容器内に収納された
原子燃料によって得られた熱出力で蒸気タービンを回
し、該蒸気タービンの回転によって発電機を駆動し、そ
れによって電気出力を得る原子力発電プラントにおい
て、前記原子炉の熱出力が3200MW以上,原子炉圧力7.
0MPa 以上,原子炉温度288℃以上,前記電気出
力が1100MW以上であり、前記原子炉圧力容器及びその内
部に設けられた前述と同様の各構成部品の少なくとも一
つが前述の構造物よりなり、好ましくは30年以上無交
換で使用でき、稼働率を85%以上とすることが好まし
い。
原子燃料によって得られた熱出力で蒸気タービンを回
し、該蒸気タービンの回転によって発電機を駆動し、そ
れによって電気出力を得る原子力発電プラントにおい
て、前記原子炉の熱出力が3200MW以上,原子炉圧力7.
0MPa 以上,原子炉温度288℃以上,前記電気出
力が1100MW以上であり、前記原子炉圧力容器及びその内
部に設けられた前述と同様の各構成部品の少なくとも一
つが前述の構造物よりなり、好ましくは30年以上無交
換で使用でき、稼働率を85%以上とすることが好まし
い。
【0020】本発明は、原子炉圧力容器内に収納された
原子燃料によって得られた熱出力で蒸気タービンを回
し、該蒸気タービンの回転によって発電機を駆動し、そ
れによって電気出力を得る原子力発電プラントにおい
て、前記原子炉の熱出力が4300MW以上,原子炉圧力が
7.2MPa 以上,原子炉温度が288℃以上である炉
内構造物を前述の構造物によって構成し、好ましくは前
記電気出力が1500MW以上の稼働率を85%以上及び12
ヶ月運転後の定検期間を1回当り50日以内とすること
が好ましい。
原子燃料によって得られた熱出力で蒸気タービンを回
し、該蒸気タービンの回転によって発電機を駆動し、そ
れによって電気出力を得る原子力発電プラントにおい
て、前記原子炉の熱出力が4300MW以上,原子炉圧力が
7.2MPa 以上,原子炉温度が288℃以上である炉
内構造物を前述の構造物によって構成し、好ましくは前
記電気出力が1500MW以上の稼働率を85%以上及び12
ヶ月運転後の定検期間を1回当り50日以内とすること
が好ましい。
【0021】本発明における原子炉及び原子力発電プラ
ントは前述のオーステナイト系合金との組合せは勿論で
ある。更に、原子力発電の高効率化には蒸気条件を高め
ることが必須であり、そのためには原子炉によって得た
蒸気をガスタービンとの複合サイクルとし、その排熱を
用いて300℃〜500℃の蒸気とする過熱蒸気を得る
ことによって達成される。
ントは前述のオーステナイト系合金との組合せは勿論で
ある。更に、原子力発電の高効率化には蒸気条件を高め
ることが必須であり、そのためには原子炉によって得た
蒸気をガスタービンとの複合サイクルとし、その排熱を
用いて300℃〜500℃の蒸気とする過熱蒸気を得る
ことによって達成される。
【0022】本発明に係る前述のBWR原子炉内構造物
に用いることにより原子炉内構造物を交換することなく
30年以上使用することができ、特に40年間同様に使
用できる。更に、原子炉として熱出力3200MW以上,原子
炉圧力7.0MPa 以上,温度288℃以上である大容
量に対して長期にわたる使用において有効である。
に用いることにより原子炉内構造物を交換することなく
30年以上使用することができ、特に40年間同様に使
用できる。更に、原子炉として熱出力3200MW以上,原子
炉圧力7.0MPa 以上,温度288℃以上である大容
量に対して長期にわたる使用において有効である。
【0023】更に、本発明に係る構造物を同様に用いた
ABWR原子炉においては熱出力4300MW以上,炉圧力
7.2MPa 以上,温度288℃以上とし、電気出力を
1500MW以上の大容量化が達成できるものである。更
に、このABWRにおいても前述の構造材を無交換で3
0年以上の使用が可能となるものである。
ABWR原子炉においては熱出力4300MW以上,炉圧力
7.2MPa 以上,温度288℃以上とし、電気出力を
1500MW以上の大容量化が達成できるものである。更
に、このABWRにおいても前述の構造材を無交換で3
0年以上の使用が可能となるものである。
【0024】特に、本発明に係る構造物を用いることに
より定検時被曝量を20mSv/人年以下,定検期間を
30日以内,稼働率90%以上,熱効率35%以上,ボ
イド係数−2.8〜−4.2%,取出燃焼度45〜70G
Wd/tとすることが可能である。
より定検時被曝量を20mSv/人年以下,定検期間を
30日以内,稼働率90%以上,熱効率35%以上,ボ
イド係数−2.8〜−4.2%,取出燃焼度45〜70G
Wd/tとすることが可能である。
【0025】
【発明の実施の形態】〔実施例1〕表1(重量%)に代
表的なNi基オーステナイト系固溶強化型合金の化学組
成を示す。この合金はCを0.06% 含有しており、1
000℃以上の温度で溶体化処理を施した後に500〜
800℃の加熱を受けると結晶粒界に沿ってCr炭化物
が析出し、耐IGC性や耐IGSCC性が大きく低下す
る。表1の合金に600℃,24hの加熱処理を加えた
後、400mlH2O−233mlH2SO4 −50gFe
2(SO4)3 沸騰溶液中に24h浸漬するストライカ試験
を行ったところ、最大で約1000μm深さの粒界侵食
が発生した。
表的なNi基オーステナイト系固溶強化型合金の化学組
成を示す。この合金はCを0.06% 含有しており、1
000℃以上の温度で溶体化処理を施した後に500〜
800℃の加熱を受けると結晶粒界に沿ってCr炭化物
が析出し、耐IGC性や耐IGSCC性が大きく低下す
る。表1の合金に600℃,24hの加熱処理を加えた
後、400mlH2O−233mlH2SO4 −50gFe
2(SO4)3 沸騰溶液中に24h浸漬するストライカ試験
を行ったところ、最大で約1000μm深さの粒界侵食
が発生した。
【0026】
【表1】
【0027】一方、表1の合金を用い本発明の方法であ
る表面部分に加工硬化層を形成した後に、その表面部分
をYAGレーザ等の高密度エネルギー源を用いて加熱す
る処理を施したものは、粒界侵食深さを大きく低減する
ことができた。すなわち、溶体化処理後に600℃,2
4hの加熱処理を施した合金の表面部分をショット径
0.6mm,ショット圧力5.5kg/cm2 で表面部分の硬さ
がビッカース硬さで約330Hvになるまでショットピ
ーニング処理を行った。その後、出力900WのYAG
レーザを用いて、焦点外し距離12mm,施行速度6mm/
秒の条件(入熱量1.5kJ/cm )で表面部分を860
〜1000℃に加熱した。処理後の試験片について上記
ストライカ試験を行ったところ、最大粒界侵食深さは5
0μm以下と大きく低減した。
る表面部分に加工硬化層を形成した後に、その表面部分
をYAGレーザ等の高密度エネルギー源を用いて加熱す
る処理を施したものは、粒界侵食深さを大きく低減する
ことができた。すなわち、溶体化処理後に600℃,2
4hの加熱処理を施した合金の表面部分をショット径
0.6mm,ショット圧力5.5kg/cm2 で表面部分の硬さ
がビッカース硬さで約330Hvになるまでショットピ
ーニング処理を行った。その後、出力900WのYAG
レーザを用いて、焦点外し距離12mm,施行速度6mm/
秒の条件(入熱量1.5kJ/cm )で表面部分を860
〜1000℃に加熱した。処理後の試験片について上記
ストライカ試験を行ったところ、最大粒界侵食深さは5
0μm以下と大きく低減した。
【0028】なお、表1の合金について冷間圧延を行い
そのヴィッカース硬さ(Hv)を測定したところ、加工
度55%の場合に約330となり、上記ショットピーニ
ング処理では冷間加工度約55%相当の表面加工を受け
たと考えることができる。また、YAGレーザ加熱後に
表面部分のヴィッカース硬さを測定したところ約200と
軟化しており、表面部分で再結晶が生じていることを示
していた。600℃,24hの加熱により結晶粒界に沿
ってCr炭化物が連続的に析出するために粒界侵食が著
しかったが、本発明の方法では表面部分で生じた再結晶
のために結晶粒界が移動して大部分のCr炭化物が粒界
から離れ、結晶粒内に析出・分散・再配列するために粒
界侵食が抑制されたと考えられる。
そのヴィッカース硬さ(Hv)を測定したところ、加工
度55%の場合に約330となり、上記ショットピーニ
ング処理では冷間加工度約55%相当の表面加工を受け
たと考えることができる。また、YAGレーザ加熱後に
表面部分のヴィッカース硬さを測定したところ約200と
軟化しており、表面部分で再結晶が生じていることを示
していた。600℃,24hの加熱により結晶粒界に沿
ってCr炭化物が連続的に析出するために粒界侵食が著
しかったが、本発明の方法では表面部分で生じた再結晶
のために結晶粒界が移動して大部分のCr炭化物が粒界
から離れ、結晶粒内に析出・分散・再配列するために粒
界侵食が抑制されたと考えられる。
【0029】〔実施例2〕実施例1において、本発明の
方法を施した合金、すなわち表面部分が330Hvにな
るまでショットピーニング処理を施した後に入熱量1.
5kJ/cm のYAGレーザを用いて表面部分を施行速
度6mm/秒で加熱した表1の合金を、再度500〜80
0℃に加熱した後にストライカ試験を施したところ、最
大粒界侵食深さはいずれも50μm以下と良好な耐IG
SCC性を示した。
方法を施した合金、すなわち表面部分が330Hvにな
るまでショットピーニング処理を施した後に入熱量1.
5kJ/cm のYAGレーザを用いて表面部分を施行速
度6mm/秒で加熱した表1の合金を、再度500〜80
0℃に加熱した後にストライカ試験を施したところ、最
大粒界侵食深さはいずれも50μm以下と良好な耐IG
SCC性を示した。
【0030】すなわち、本発明により得られた構造物,
各種部材等に再度500〜800℃の加熱処理を施して
も耐IGSCC性が低下することはない。
各種部材等に再度500〜800℃の加熱処理を施して
も耐IGSCC性が低下することはない。
【0031】〔実施例3〕表1のNi基オーステナイト
系合金を1000℃以上で溶体化処理を施した後に60
0℃,24hの加熱処理を行った。この状態では本合金
は実施例1で述べたように、ストライカ試験において約
1000μmの粒界侵食深さを示す。
系合金を1000℃以上で溶体化処理を施した後に60
0℃,24hの加熱処理を行った。この状態では本合金
は実施例1で述べたように、ストライカ試験において約
1000μmの粒界侵食深さを示す。
【0032】本実施例では、溶体化処理後に600℃,
24hの加熱処理を施した上記合金の表面部分をショッ
ト径0.6mm,ショット圧力7kg/cm2でショットピーニ
ング処理を行った後、YAGレーザにより表面部分を入
熱量0.4kJ/cm,0.9kJ/cm及び1.8kJ/cm
で加熱した(施行速度:10mm/秒)。表2にストライ
カ試験結果および表面部の硬さ測定結果を示す。ショッ
トピーニング直後の表面部の硬さは約340Hvであっ
た。同一材料を冷間圧延した場合の硬さと比較すること
により、このショットピーニング処理では冷間加工度は
約60%相当の表面加工を受けたと考えることができ
る。
24hの加熱処理を施した上記合金の表面部分をショッ
ト径0.6mm,ショット圧力7kg/cm2でショットピーニ
ング処理を行った後、YAGレーザにより表面部分を入
熱量0.4kJ/cm,0.9kJ/cm及び1.8kJ/cm
で加熱した(施行速度:10mm/秒)。表2にストライ
カ試験結果および表面部の硬さ測定結果を示す。ショッ
トピーニング直後の表面部の硬さは約340Hvであっ
た。同一材料を冷間圧延した場合の硬さと比較すること
により、このショットピーニング処理では冷間加工度は
約60%相当の表面加工を受けたと考えることができ
る。
【0033】表2の結果によれば入熱量が0.9kJ/c
m及び1.8kJ/cmの場合に粒界侵食深さが20μm以
下となり優れた耐IGC性が得られるが、入熱量が0.
4kJ/cmの場合には粒界侵食深さが1000μm以上
と耐IGC性が劣る。この理由は、入熱量0.4kJ/c
m の表面部硬さが250Hvと硬いことからもわかるよ
うに0.4kJ/cm では表面部分で再結晶が十分進行し
ていないためである。
m及び1.8kJ/cmの場合に粒界侵食深さが20μm以
下となり優れた耐IGC性が得られるが、入熱量が0.
4kJ/cmの場合には粒界侵食深さが1000μm以上
と耐IGC性が劣る。この理由は、入熱量0.4kJ/c
m の表面部硬さが250Hvと硬いことからもわかるよ
うに0.4kJ/cm では表面部分で再結晶が十分進行し
ていないためである。
【0034】すなわち、本発明においては表面部分に加
工硬化層を形成させた後に、その表面部分で十分に再結
晶を生じさせることが必要で、入熱量0.5kJ/cm 以
上、加熱温度で言えば850℃を超えることが必要であ
る。
工硬化層を形成させた後に、その表面部分で十分に再結
晶を生じさせることが必要で、入熱量0.5kJ/cm 以
上、加熱温度で言えば850℃を超えることが必要であ
る。
【0035】
【表2】
【0036】〔実施例4〕表3に代表的なFe基オース
テナイト系合金の化学組成(重量%)を示す。この合金
はCを0.078% 含有しており、1000℃以上の温
度で溶体化処理を施した後に500〜800℃の加熱を
受けると、前記Ni基オーステナイト系合金と同様に、
結晶粒界に沿ってCr炭化物が析出し、耐IGC性や耐
IGSCC性が大きく低下する。たとえば、表3の合金
に700℃,1hの加熱処理を加えた後、450mlH2
O−50mlH2SO4−50gCuSO4沸騰溶液中に1
6h浸漬するストラウス試験を行ったところ、最大で約
300μm深さの粒界侵食が発生した。
テナイト系合金の化学組成(重量%)を示す。この合金
はCを0.078% 含有しており、1000℃以上の温
度で溶体化処理を施した後に500〜800℃の加熱を
受けると、前記Ni基オーステナイト系合金と同様に、
結晶粒界に沿ってCr炭化物が析出し、耐IGC性や耐
IGSCC性が大きく低下する。たとえば、表3の合金
に700℃,1hの加熱処理を加えた後、450mlH2
O−50mlH2SO4−50gCuSO4沸騰溶液中に1
6h浸漬するストラウス試験を行ったところ、最大で約
300μm深さの粒界侵食が発生した。
【0037】一方、本発明の方法すなわち表面部分に加
工硬化層を形成した後に、その表面部分をレーザ等の高
密度エネルギー源を用いて加熱する処理を施せば、粒界
侵食深さを大きく低減することができる。たとえば、溶
体化処理後に700℃,1hの加熱処理を施した上記合
金の表面部分をショット径0.6mm ,ショット圧力6kg
/cm2 で表面部分の硬さが約350Hvになるまでショ
ットピーニング処理を行った。その後、出力900Wの
YAGレーザを用いて、焦点外し距離13mm,施行速度
6mm/秒の条件(入熱量1.5kJ/cm )で表面部分を
加熱した。処理後の試験片について上記ストラウス試験
を行ったところ、最大粒界侵食深さは20μm以下と大
きく低減した。
工硬化層を形成した後に、その表面部分をレーザ等の高
密度エネルギー源を用いて加熱する処理を施せば、粒界
侵食深さを大きく低減することができる。たとえば、溶
体化処理後に700℃,1hの加熱処理を施した上記合
金の表面部分をショット径0.6mm ,ショット圧力6kg
/cm2 で表面部分の硬さが約350Hvになるまでショ
ットピーニング処理を行った。その後、出力900Wの
YAGレーザを用いて、焦点外し距離13mm,施行速度
6mm/秒の条件(入熱量1.5kJ/cm )で表面部分を
加熱した。処理後の試験片について上記ストラウス試験
を行ったところ、最大粒界侵食深さは20μm以下と大
きく低減した。
【0038】なお、YAGレーザ加熱後に表面部分の硬
さを測定したところ約200Hvと軟化しており、表面
部分で再結晶が生じ、Cr炭化物は面積率で95%が粒
内に析出し、粒界にはその残りが析出分散していた。
さを測定したところ約200Hvと軟化しており、表面
部分で再結晶が生じ、Cr炭化物は面積率で95%が粒
内に析出し、粒界にはその残りが析出分散していた。
【0039】
【表3】
【0040】以上のように本発明によれば、耐IGC性
に優れたオーステナイト系合金構造物、各種の部材を得
ることができる。また、本発明の方法によれば、耐IGSC
C 性も良好であることを確認している。
に優れたオーステナイト系合金構造物、各種の部材を得
ることができる。また、本発明の方法によれば、耐IGSC
C 性も良好であることを確認している。
【0041】なお、本発明において表面部分に加工硬化
層を形成する方法は、機械研磨加工,ショットピーニン
グ処理,ブラスト処理,グラインダー加工,スコッチブ
ライト研磨あるいは液体ホーニング処理等あるいはそれ
らの組合せによって実施が可能であるが、これらに限定
するものではない。
層を形成する方法は、機械研磨加工,ショットピーニン
グ処理,ブラスト処理,グラインダー加工,スコッチブ
ライト研磨あるいは液体ホーニング処理等あるいはそれ
らの組合せによって実施が可能であるが、これらに限定
するものではない。
【0042】さらに、Ni基またはFe基オーステナイ
ト系合金ではC含有量が多いほど耐IGC性,耐IGS
CC性が劣るため、本発明はC含有量の多いオーステナ
イト系合金においてとくに有効である。また、表面加工
と表面加熱後に再度ブラスト処理,ピーニング処理等の
表面圧縮残留応力を発生させる表面加工処理を施すと耐
食性をさらに向上できるものである。
ト系合金ではC含有量が多いほど耐IGC性,耐IGS
CC性が劣るため、本発明はC含有量の多いオーステナ
イト系合金においてとくに有効である。また、表面加工
と表面加熱後に再度ブラスト処理,ピーニング処理等の
表面圧縮残留応力を発生させる表面加工処理を施すと耐
食性をさらに向上できるものである。
【0043】〔実施例5〕実施例1〜4で作製した本発
明に係る構造物を図1に示す沸騰水型原子炉炉心用の各
種構造部材に使用することができる。本原子炉は蒸気温
度286℃,蒸気圧力70.7atgで運転され、発電出力
として500,800,1100MWの発電が可能である。各
名称は次の通りである。中性子源パイプ51,炉心支持
板52,中性子計装検出管53,制御棒54,炉心シュ
ラウド55,上部格子板56,燃料集合体57,上鏡ス
プレイノズル58,ベントノズル59,圧力容器蓋6
0,フランジ61,計測用ノズル62,気水分離器6
3,シュラウドヘッド64,給水入口ノズル65,ジェ
ットポンプ66,蒸気乾燥機68,蒸気出口ノズル6
9,給水スパージャ70,炉心スプレイノズル71,下
部炉心格子72,再循環水入口ノズル73,バッフル板
74,制御棒案内管75。
明に係る構造物を図1に示す沸騰水型原子炉炉心用の各
種構造部材に使用することができる。本原子炉は蒸気温
度286℃,蒸気圧力70.7atgで運転され、発電出力
として500,800,1100MWの発電が可能である。各
名称は次の通りである。中性子源パイプ51,炉心支持
板52,中性子計装検出管53,制御棒54,炉心シュ
ラウド55,上部格子板56,燃料集合体57,上鏡ス
プレイノズル58,ベントノズル59,圧力容器蓋6
0,フランジ61,計測用ノズル62,気水分離器6
3,シュラウドヘッド64,給水入口ノズル65,ジェ
ットポンプ66,蒸気乾燥機68,蒸気出口ノズル6
9,給水スパージャ70,炉心スプレイノズル71,下
部炉心格子72,再循環水入口ノズル73,バッフル板
74,制御棒案内管75。
【0044】本実施例においては炉心支持板52,炉心
シュラウド55,上部格子板56,上鏡スプレイノズル
58,ベントノズル59,計測用ノズル62,ジェット
ポンプ66,蒸気出口ノズル69,給水スパージャ7
0,炉心スプレイノズル71,下部炉心格子72,再循
環水入口ノズル73等の溶接部あるいは溶接熱影響部分
に本発明に係る実施例1〜4の処理を施すことにより前
述の表面層を得ることができ、耐粒界腐食性及び耐応力
腐食割れ性が顕著に向上されるものである。
シュラウド55,上部格子板56,上鏡スプレイノズル
58,ベントノズル59,計測用ノズル62,ジェット
ポンプ66,蒸気出口ノズル69,給水スパージャ7
0,炉心スプレイノズル71,下部炉心格子72,再循
環水入口ノズル73等の溶接部あるいは溶接熱影響部分
に本発明に係る実施例1〜4の処理を施すことにより前
述の表面層を得ることができ、耐粒界腐食性及び耐応力
腐食割れ性が顕著に向上されるものである。
【0045】〔実施例6〕本発明に係るオーステナイト
系合金構造物は供用期間中の原子炉の各種構造部材にも
使用することができる。すなわち、Ni基オーステナイ
ト系固溶強化型合金製の炉心スプレイノズル71等の溶
接部あるいは溶接熱影響部分、さらにはFe基オーステ
ナイト系固溶強化型合金製の炉心シュラウド55等の溶
接部あるいは溶接熱影響部分の表面に付着したクラッド
層あるいは酸化皮膜層をブラッシングまたは化学除染あ
るいは機械除染で除去後、その表面に機械研磨加工,シ
ョットピーニング処理,ブラスト処理,グラインダー加
工,スコッチブライト研磨あるいは液体ホーニング処理
等あるいはそれらの組合せによって表面塑性加工を加え
た後に、高密度エネルギー源を用いて局部的に融点未満
の温度、好ましくは850〜1000℃で加熱処理する
ことにより前述の表面層を得ることができ、原子炉の運
転供用期間中の原子炉の各種構造部材の耐粒界腐食性及
び耐応力腐食割れ性が顕著に向上されるものである。
系合金構造物は供用期間中の原子炉の各種構造部材にも
使用することができる。すなわち、Ni基オーステナイ
ト系固溶強化型合金製の炉心スプレイノズル71等の溶
接部あるいは溶接熱影響部分、さらにはFe基オーステ
ナイト系固溶強化型合金製の炉心シュラウド55等の溶
接部あるいは溶接熱影響部分の表面に付着したクラッド
層あるいは酸化皮膜層をブラッシングまたは化学除染あ
るいは機械除染で除去後、その表面に機械研磨加工,シ
ョットピーニング処理,ブラスト処理,グラインダー加
工,スコッチブライト研磨あるいは液体ホーニング処理
等あるいはそれらの組合せによって表面塑性加工を加え
た後に、高密度エネルギー源を用いて局部的に融点未満
の温度、好ましくは850〜1000℃で加熱処理する
ことにより前述の表面層を得ることができ、原子炉の運
転供用期間中の原子炉の各種構造部材の耐粒界腐食性及
び耐応力腐食割れ性が顕著に向上されるものである。
【0046】
【発明の効果】本発明によれば、軽水炉あるいは新型転
換炉等の炉内構造部材や燃料要素等に用いるNi基また
はFe基オーステナイト系合金の表面部分の耐粒界腐食
性,耐応力腐食割れ性を局部的に向上させることによ
り、軽水炉等の機器の安全性を高め、その寿命を延長す
ることができる。
換炉等の炉内構造部材や燃料要素等に用いるNi基また
はFe基オーステナイト系合金の表面部分の耐粒界腐食
性,耐応力腐食割れ性を局部的に向上させることによ
り、軽水炉等の機器の安全性を高め、その寿命を延長す
ることができる。
【図1】本発明に係る原子炉炉心内構造を示す斜視図で
ある。
ある。
51…中性子源パイプ、52…炉心支持板、53…中性
子計装検出管、54…制御棒、55…炉心シュラウド、
56…上部格子板、57…燃料集合体、58…上鏡スプ
レイノズル、59…ベントノズル、60…圧力容器蓋、
61…フランジ、62…計測用ノズル、63…気水分離
器、64…シュラウドヘッド、65…給水入口ノズル、
66…ジェットポンプ、68…蒸気乾燥機、69…蒸気
出口ノズル、70…給水スパージャ、71…炉心スプレ
イノズル、72…下部炉心格子、73…再循環水入口ノ
ズル、74…バッフル板、75…制御棒案内管。
子計装検出管、54…制御棒、55…炉心シュラウド、
56…上部格子板、57…燃料集合体、58…上鏡スプ
レイノズル、59…ベントノズル、60…圧力容器蓋、
61…フランジ、62…計測用ノズル、63…気水分離
器、64…シュラウドヘッド、65…給水入口ノズル、
66…ジェットポンプ、68…蒸気乾燥機、69…蒸気
出口ノズル、70…給水スパージャ、71…炉心スプレ
イノズル、72…下部炉心格子、73…再循環水入口ノ
ズル、74…バッフル板、75…制御棒案内管。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C22F 1/00 640 C22F 1/00 640A 641 641C 685 685 686 686 691 691B 1/10 1/10 H (72)発明者 国谷 治郎 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 石川 文紀 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 越石 正人 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所日立工場内
Claims (9)
- 【請求項1】Cr15〜25重量%を含有するNi基又
はFe基オーステナイト系合金からなる構造物の表面に
オーステナイト再結晶粒内あるいはその粒界にCr炭化
物が分散して形成されている表面層を有することを特徴
とする耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造
物。 - 【請求項2】請求項1において、前記オーステナイト系
合金はC量が0.03〜0.15%である耐粒界腐食性に
優れたオーステナイト系合金構造物。 - 【請求項3】Cr15〜25重量%を含有するNi基ま
たはFe基オーステナイト系固溶強化型合金部材の表面
に塑性加工硬化層を形成した後に、その表面部分を高密
度エネルギー源を用いて局部的に850〜1000℃で
加熱する処理を施すことにより、その表面部分がオース
テナイト再結晶粒で覆われ、しかも結晶粒内あるいは粒
界にCr炭化物を分散して析出させることを特徴とする
耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物の製
造法。 - 【請求項4】請求項3において前記塑性加工硬化層は機
械研磨加工,ショットピーニング処理,ブラスト処理,
グラインダー加工,スコッチブライト研磨及び液体ホー
ニング処理の1つ以上によって処理することを特徴とす
る耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物の
製造法。 - 【請求項5】原子炉圧力容器に炉心支持板,炉心シュラ
ウド,上部格子板,各種ノズル,ジェットポンプ,給水
スパージャ,炉心支持板及び下部炉心格子の構造部品を
備えた原子炉において、前記構造部品の少なくとも一つ
が、Cr15〜25重量%を含有するNi基又はFe基
オーステナイト系合金からなり、該構造部品の表面にオ
ーステナイト再結晶粒内あるいはその粒界にCr炭化物
が分散して形成されていることを特徴とする原子炉。 - 【請求項6】原子炉圧力容器に炉心支持板,シュラウ
ド,上部格子板,各種ノズル,ジェットポンプ,給水ス
パージャ及び下部炉心格子の構造部品を備えてなる原子
炉用構成部品において、前記構造部品の少なくとも1つ
がCr15〜25重量%を含有するNi基又はFe基オ
ーステナイト系合金からなり、該構造部品の表面にオー
ステナイト再結晶粒内あるいはその粒界にCr炭化物が
分散して形成されていることを特徴とする原子炉用構成
部品。 - 【請求項7】原子炉圧力容器に炉心支持板,シュラウ
ド,上部格子板,各種ノズル,ジェットポンプ,給水ス
パージャ及び下部炉心格子の構造部品を備えてなる原子
炉用構成部品の製造方法において、前記構造部品の少な
くとも1つがCr15〜25重量%を含有するNi基又
はFe基オーステナイト系合金からなり、該構成部品の
表面にグラインダ加工またはスコッチブライト研磨によ
る表面塑性加工を加えた後に、高密度エネルギー源を用
いて局部的に融点未満の温度で加熱処理することを特徴
とする原子炉用構成部品の製造方法。 - 【請求項8】原子炉圧力容器に炉心支持板,炉心シュラ
ウド,上部格子板,各種ノズル,ジェットポンプ,給水
スパージャ及び下部炉心格子の構造部品を備えた原子炉
の製造方法において、前記構造部品の少なくとも1つが
Cr15〜25重量%を含有するNi基又はFe基オー
ステナイト系合金からなり、該構造部品の表面にグライ
ンダ加工またはスコッチブライト研磨等による表面塑性
加工を加えた後に、高密度エネルギー源を用いて局部的
に融点未満の温度で加熱処理することを特徴とする原子
炉の製造方法。 - 【請求項9】原子炉圧力容器内に収納された原子燃料に
よって得られた熱出力で蒸気タービンを回し、該蒸気タ
ービンの回転によって発電機を駆動し、それによって電
気出力を得る原子力発電プラントにおいて、前記原子炉
の熱出力が3200MW以上,原子炉圧力7.0MPa 以上,
原子炉水温度288℃以上,前記電気出力が1100MW以上
であり、前記原子炉圧力容器及びその内部に設けられた
炉心支持板,各種ノズル,ジェットポンプ,給水スパー
ジャ,下部炉心格子,シュラウド及び上部格子板の各構
成部品の少なくとも一つが、Cr15〜25重量%を含
有するNi基又はFe基オーステナイト系合金からな
り、前記構成部品の表面にオーステナイト再結晶粒内あ
るいはその粒界にCr炭化物が分散して形成されている
ことを特徴とする原子力発電プラント。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6953299A JP2000265249A (ja) | 1999-03-16 | 1999-03-16 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物及びその製造法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6953299A JP2000265249A (ja) | 1999-03-16 | 1999-03-16 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物及びその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000265249A true JP2000265249A (ja) | 2000-09-26 |
Family
ID=13405440
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6953299A Pending JP2000265249A (ja) | 1999-03-16 | 1999-03-16 | 耐粒界腐食性に優れたオーステナイト系合金構造物及びその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000265249A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005510627A (ja) * | 2001-11-23 | 2005-04-21 | インテグラン テクノロジーズ インク. | ニッケル・鉄・クロムを主成分とするオーステナイト系合金の表面処理 |
JP2006283043A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Kyushu Institute Of Technology | 固相変態を有しない金属材料の表面改質法および表面改質された固相変態を有しない金属材料 |
JP2013527882A (ja) * | 2010-04-08 | 2013-07-04 | エレクトリシテ・ドゥ・フランス | 原子炉の一次冷却システムの加圧器のためのヒータ・チューブの処理 |
-
1999
- 1999-03-16 JP JP6953299A patent/JP2000265249A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005510627A (ja) * | 2001-11-23 | 2005-04-21 | インテグラン テクノロジーズ インク. | ニッケル・鉄・クロムを主成分とするオーステナイト系合金の表面処理 |
JP2006283043A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Kyushu Institute Of Technology | 固相変態を有しない金属材料の表面改質法および表面改質された固相変態を有しない金属材料 |
JP2013527882A (ja) * | 2010-04-08 | 2013-07-04 | エレクトリシテ・ドゥ・フランス | 原子炉の一次冷却システムの加圧器のためのヒータ・チューブの処理 |
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