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JP2000256808A - 固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼 - Google Patents

固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼

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JP2000256808A
JP2000256808A JP11062813A JP6281399A JP2000256808A JP 2000256808 A JP2000256808 A JP 2000256808A JP 11062813 A JP11062813 A JP 11062813A JP 6281399 A JP6281399 A JP 6281399A JP 2000256808 A JP2000256808 A JP 2000256808A
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gas
fuel cell
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high polymer
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寛 紀平
Akira Matsuhashi
亮 松橋
Masao Kikuchi
正夫 菊池
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Nippon Steel Corp
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Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 固体高分子型燃料電池において優れた耐食性
を発揮しうるステンレス鋼の提供。 【解決手段】 重量%で、Cr:30%以下を含有し、さらに
必要に応じて、Mo:10%以下とNi:25%以下との1種以上を
含有し、かつ、これらの成分が10-0.3×([Cr%]+3×[Mo
%]+0.05×[Ni%])≦5を満足し、残部が主にFeからなる
ことを特徴とする固体高分子型燃料電池用ステンレス
鋼。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】電力を直接的駆動源とする自
動車、小規模の発電システムなどに用いられる固体高分
子型燃料電池に関わる。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車用燃料電池の開発が固体高
分子材料の開発成功を契機に急速に進展し始めている。
固体高分子型燃料電池とは、従来のアルカリ型燃料電
池、燐酸型燃料電池、溶融炭酸塩型燃料電池、固体電解
質型燃料電池などとは異なり、水素イオン選択透過型の
有機物膜を電解質として用いることを特徴とする燃料電
池であり、燃料には純水素のほか、アルコール類の改質
によって得た水素ガスなどを用い、空気中の酸素との反
応を電気化学的に制御することによって電力を取り出す
システムである。
【0003】固体高分子膜は薄くても十分に機能し、電
解質が膜中に固定されていることから、電池内の露点を
制御してやれば電解質として機能するため、水溶液系電
解質や溶融塩系電解質など流動性のある媒体を使う必要
がなく、電池自体をコンパクトに単純化して設計できる
という特徴がある。
【0004】従来、燃料電池用ステンレス鋼としては、
特開平4−247852号公報、特開平4−35804
4号公報、特開平7−188870号公報、特開平8−
165546号公報、特開平8−225892号公報、
特開平8−311620号公報にて開示されている高い
耐食性が要求される溶融炭酸塩環境で稼動する燃料電池
用ステンレス鋼や、また、特開平6−264193号公
報、特開平6−293941号公報、特開平9−676
72号公報に開示された、数百度の高温で稼動する固体
電解質型燃料電池材料の発明がなされてきている。
【0005】しかし、一方、一般に150℃程度(水な
ど使用する冷却媒体の沸点による)までの温度領域で稼
動する固体高分子型燃料電池の構成材料としては、温度
がさほど高くないことやその環境下で耐食性・耐久性が
十分発揮させることが可能であることなどにより炭素系
の材料が使用されてきており、このタイプへのステンレ
ス鋼の適用は十分に検討されていない。
【0006】固体高分子型燃料電池の構成材料として炭
素を使用する問題点として、コストが高くなることや電
池の大きさが大きくなることがあげられており、いずれ
も固体高分子型燃料電池普及の大きな障害となっている
のが現状である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な現状に鑑み、固体高分子型燃料電池のコンパクト化や
低コスト化のニーズを満たす炭素材料の代替材料として
ステンレス鋼を検討し、使用環境に耐える低コストな成
分系を提供することををその目的としている。
【0008】
【課題解決のための手段】本発明者らは、Cr、Mo、
Niなどの添加元素をどのような条件で含有させたとき
に固体高分子型燃料電池用材料として必要かつ十分な性
能を発揮できるかを鋭意検討の結果その条件を見出すに
至って本発明を完成させたものであって、その要旨とす
るところは、以下の通りである。
【0009】(1) 重量%で、Cr:30%以下を、 10-0.3×([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni%])≦5 となるよう含有し、残部が主にFeからなることを特徴
とする固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼。 (2) 重量%で、Cr:30%以下を、 10-0.3×([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni%])≦4 となるよう含有し、残部が主にFeからなることを特徴
とする固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼。 (3) 重量%で、Mo:10%以下と、Ni:25%
以下との1種以上を、さらに含有することを特徴とする
請求項1または2に記載の固体高分子型燃料電池用ステ
ンレス鋼。
【0010】
【発明の実施の形態】固体高分子型燃料電池は、水素イ
オンを選択透過する固体高分子膜を炭素や貴金属の微粒
子からなる触媒電極で挟み、それぞれの電極上で起こる
水素の酸化反応と酸素の還元反応から電子を取り出すこ
とで電力を発生させる。これらの電子は炭素繊維などの
導電体製不織布により構成されるカレントコレクタで収
集され、導電性のセパレータへとつながれる。このよう
な基本構造をもつ単セルを直列に積み重ね、全体として
必要とされる起電力を発生させる電池とする。
【0011】セパレータ機能としては、上述の電気的導
通性のほかに、反応ガスである水素または水素混入ガス
と酸素を含有する空気などのガスとが混ざり合わないよ
う分離する機能や、また、必要に応じて水などの冷却媒
体が電池構造の内部を流れるが、冷却媒体と反応ガスと
を分離して循環させる構造的機能が要求される。これま
でセパレータなどの固体高分子型燃料電池用部材には主
に炭素材料が使用されてきたが、溝切加工などを要する
製造にコストがかかるだけでなく、あまり薄くできない
ので、燃料電池全体の低コスト化とコンパクト化の大き
な障害となっていた。そこで、発明者らはステンレス鋼
を炭素材料に代替させてこの問題を解決することを想到
し、その際に重要な課題の一つとして固体高分子型燃料
電池の使用環境に耐える必要十分な添加成分の組み合わ
せや添加量につき検討した。
【0012】固体高分子燃料電池内を流す燃料となる反
応ガスは、純水素、多少の不純物を含有する水素、メタ
ノールなどアルコールや炭化水素の分解ガス(代表組
成:25%炭酸ガス,75%水素,数十ppmの一酸化
炭素)などであり、他方燃焼を制御する反応ガスは酸素
含有ガス、一般には大気中の空気である。固体高分子膜
が電解質として機能するためにはある程度の水分が必要
で、これらのガスは露点80℃程度に制御される。稼動
温度は約90℃が一般的である。
【0013】このような系において、燃料電池は稼動と
停止を繰り返すが、まずはセパレータ自身が腐蝕しない
ことがもっとも重要な点であることは言うまでもない。
特にメタノールなどの分解ガスを用いる場合は、その中
の炭酸ガスが燃料電池内の結露水などに吸収され酸性溶
液となることや固体高分子膜自体が酸性の固体電解質で
あることなどからセパレータが曝される環境は、常温か
ら水などの冷却媒体の沸点(通常せいぜい150℃程
度)までの温度範囲での酸性の水溶液環境となり、pH
としては使用条件によっては2程度まで低下する可能性
も指摘されている。一旦腐食され始めると、微量の腐食
であってもその腐食部から溶出される金属イオンは固体
高分子膜を汚染して水素選択透過機能を阻害することに
よって電池性能に多大な影響を及ぼす可能性もあるの
で、腐食は微量イオンを溶出させる程度のものであって
も問題となる。
【0014】発明者らは、かかる比較的低温の酸性環境
における耐食性に寄与する元素は主にCr、Mo、Ni
であると予想し、その添加量と組み合わせを変化させた
ステンレス鋼成分を薄鋼板として試作し、それらを実際
にセパレータとして加工して市販の固体高分子膜に白金
含有のカーボン微細粒ペーストを塗布・乾燥させたうえ
で炭素繊維不織布をカレントコレクタとして燃料電池を
構成した。燃料ガスとして水素極側に純水素、あるいは
模擬メタノール分解ガス(25%CO2 、75%H2
を、酸素極側には模擬空気ガス(20%O2 、80%N
2 )を大気圧で供給し、電池全体を90℃になるよう高
温チャンバー内に保持し、正極から負極に向けて外部に
流れる短絡電流の経時変化を測定することによる燃料電
池性能の耐久信頼性確認試験(耐久発電試験)を行っ
た。
【0015】なお、この試験に用いた電極部のサイズは
100mm×100mmであり、セパレータは板厚4mmの各
種ステンレス鋼板にガス流路を切削加工で溝をくりぬい
て作成した。試験開始から100日経過した時点で外部
電流を測定し、初期の発生電流に対する比率を評価する
ことで耐久信頼性評価の尺度とした。ここではこの比率
が0.9を超えれば使用可能であると判断した。電池の
サイズ、反応ガス、使用温度など各条件は実用的なもの
となるよう十分配慮し、2400時間(100日)連続
通電という厳しい条件での試験であるから実用的に使用
可能なステンレス鋼を十分に選別可能である。
【0016】上記耐久発電試験の結果、2400時間連
続通電後電流/初期電流比が0.9以上であったものに
ついてその成分を整理した結果、Crを必須として、M
o、Niを好ましくは含有した上で、10−0.3×
([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni
%])([ ]は各元素の重量%を表す)にて算出され
る数値が有効な指標であることを見出した。発明者らの
検討の結果、上記式によって算出される数値が5以下で
あれば純水素を燃料ガスとして使用する場合に十分な特
性を示し、さらに、上記式によって算出される数値が4
以下であればアルコール類の改質ガスを燃料ガスとして
使う場合でも十分な特性を示す。つまり固体高分子型燃
料電池のセパレータが曝される環境条件において、ステ
ンレス鋼の耐食発現に関わる基本元素であるCr、M
o、Niの含有量に関する下限界が上記式で表現可能で
あることを明らかにした点が本発明の最大のポイントで
ある。したがって、かかる指標によって、固体高分子型
燃料電池に必要十分な性能を有するステンレス鋼を特定
でき、不要もしくは過大な元素の添加を避けて低コスト
な材料の提供が可能になる。なお、上記の通りセパレー
タが曝される環境条件において試験したものであるが、
かかる環境が最も厳しい条件であるから他のステンレス
鋼製構成部材たとえば積層終端部に用いる終端板などに
も適用は十分に可能である。
【0017】本発明においては、純水素を燃料ガスとす
る環境では、10−0.3×([Cr%]+3×[Mo
%]+0.05×[Ni%])≦5、また、アルコール
類の改質ガスを燃料ガスとする環境では、10−0.3
×([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni
%])≦4を満たすことが重要であり、それぞれの元素
の役割などの詳細は必ずしも明らかではないが、以下に
それぞれの添加元素について説明する。
【0018】Crは、本発明が対象とする腐食環境にお
いて不働態を形成して耐食性を付与する主要な元素であ
り単独添加でも効果がある。添加の下限値は上記式の条
件に従うようにすることによってその効果を発揮する
が、30%を超えて添加しても効果は飽和するので30
%を上限とするが、コストを十分に下げるという立場か
らは23%以下の範囲で上記式を満たすよう調整する。
【0019】Moは、本発明が対象とする腐食環境にお
いて、特に局部腐食を抑制する効果を発揮していると考
えられるので添加することが好ましい。添加の下限値は
上記式の条件に従うようにすることによってその効果を
発揮するが、10%を超えて添加しても効果は飽和する
ので10%を上限とする。コストを十分に下げるという
立場からは7%以下、特に純水素環境では3%以下の範
囲で上記式を満たすよう調整する。
【0020】Niは、本発明が対象とする腐食環境にお
いてオーステナイト相を増加させることにより鋼材の耐
食性をさらに向上させる効果を発揮していると考えられ
るので添加することが好ましい。添加の下限値は上記式
の条件に従うようにすることによってその効果を発揮す
るが、25%を超えて添加しても効果は飽和するので2
5%を上限とする。コストを十分に下げるという立場か
らは20%以下、特に純水素環境では15%以下の範囲
で上記式を満たすよう調整する。
【0021】なお、上記式による規定には関係ないが、
耐食性に効果のあるCu:2.5%以下なども、極端な
コスト増を伴わなければ適宜添加してもよく、本発明の
範囲を逸脱するものではない。また、発明者らの現在ま
でに調査した範囲では、本発明が対象とする環境での耐
食性に対する製造方法の影響はないので、極端な製造欠
陥を伴わなければいかなる従来方法で製造したものでも
良い。
【0022】
【実施例】実施例として、上記100日の耐久発電試験
結果の一例を示し、さらに本発明を詳述する。試験条件
などの詳細は上記説明した通りである。表1に挙げた成
分を含有するステンレス鋼を試験に供した結果、純水素
系環境では、10−0.3×([Cr%]+3×[Mo
%]+0.05×[Ni%])≦5を、メタノール改質
ガス系環境では、10−0.3×([Cr%]+3×
[Mo%]+0.05×[Ni%])≦4なる関係式を
満足するステンレス鋼材では100日後の発生電流の経
時的低下がわずかであり試験後電流/初期電流比で示し
た試験成績が0.9以上で、それぞれのガス系環境での
セパレータなどの固体高分子型燃料電池用材料として十
分機能することが、逆にそれを外れるものは網掛けにて
示したように0.9を下回り十分な機能を有さないこと
が確認された。
【0023】
【表1】
【0024】
【発明の効果】自動車用発電器や可搬型発電器として有
望視されている固体高分子型燃料電池のセパレータなど
の材料として最適な成分範囲を特定し、これまでの炭素
に比べ低コストでコンパクト化が可能なステンレス材料
の提供が可能となった。したがって、本発明の産業上の
価値は極めて高いといえる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菊池 正夫 富津市新富20−1 新日本製鐵株式会社技 術開発本部内 Fターム(参考) 5H026 AA06 EE08 HH05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 Cr:30%以下を、 10-0.3×([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni%])≦5 となるよう含有し、残部が主にFeからなることを特徴
    とする固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】 重量%で、 Cr:30%以下を、 10-0.3×([Cr%]+3×[Mo%]+0.05×[Ni%])≦4 となるよう含有し、残部が主にFeからなることを特徴
    とする固体高分子型燃料電池用ステンレス鋼。
  3. 【請求項3】 重量%で、 Mo:10%以下と、 Ni:25%以下との1種以上を、さらに含有すること
    を特徴とする請求項1または2に記載の固体高分子型燃
    料電池用ステンレス鋼。
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