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JP2000244013A - 窒化物半導体素子 - Google Patents

窒化物半導体素子

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Publication number
JP2000244013A
JP2000244013A JP2000015971A JP2000015971A JP2000244013A JP 2000244013 A JP2000244013 A JP 2000244013A JP 2000015971 A JP2000015971 A JP 2000015971A JP 2000015971 A JP2000015971 A JP 2000015971A JP 2000244013 A JP2000244013 A JP 2000244013A
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nitride semiconductor
multilayer film
semiconductor layer
thickness
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JP2000015971A
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Koji Tanizawa
公二 谷沢
Tomoji Mitani
友次 三谷
Hiromitsu Marui
宏充 丸居
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Nichia Chemical Industries Ltd
Original Assignee
Nichia Chemical Industries Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 種々の応用製品への適用範囲の拡大を可能と
するために、発光出力及び静電耐圧を向上させることが
できる窒化物半導体発光素子を提供する。 【解決手段】 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層
及びp側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子にお
いて、活性層がInaGa1-aN(0≦a<1)よりなる
多重量子井戸構造であり、n側窒化物半導体層が、n型
不純物が互いに異なる濃度でドープされたバンドギャッ
プエネルギーが異なる又はn型不純物が互いに異なる濃
度でドープされた同一組成を有する2種類の窒化物半導
体層が積層されてなるn側第1多層膜層と、Inを含む
第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体層と
異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層され
てなり、n側第1多層膜と活性層との間に位置するn側
第2多層膜層とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード
(LED)、レーザダイオード(LD)、太陽電池、光
センサー等の発光素子、受光素子、あるいはトランジス
タ、パワーデバイス等の電子デバイスに使用される窒化
物半導体(例えば、InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0
≦Y、X+Y≦1)素子に関する。
【0002】
【従来の技術】窒化物半導体は高輝度青色LED、純緑
色LEDの材料として、フルカラーLEDディスプレ
イ、交通信号灯、イメージスキャナー光源等の各種光源
で実用化されている。これらのLED素子は基本的に、
サファイア基板上にGaNよりなるバッファ層と、Si
ドープGaNよりなるn側コンタクト層と、単一量子井
戸構造(SQW:Single-Quantum- Well)のInGa
N、あるいはInGaNを有する多重量子井戸構造(M
QW:Multi-Quantum-Well)の活性層と、MgドープA
lGaNよりなるp側クラッド層と、MgドープGaN
よりなるp側コンタクト層とが順に積層された構造を有
しており、20mAにおいて、発光波長450nmの青
色LEDで5mW、外部量子効率9.1%、520nm
の緑色LEDで3mW、外部量子効率6.3%と非常に
優れた特性を示す。多重量子井戸構造は、複数のミニバ
ンドからなる構造を有し、効率よく、小さな電流でも発
光が実現することから、単一量子井戸構造より発光出力
が高くなる等の素子特性の向上が期待される。例えば、
多重量子井戸構造の活性層を用いたLED素子として、
特開平10−135514号公報には、発光効率及び発
光光度を良好とするため、少なくともアンドープのGa
Nからなるバリア層、アンドープのInGaNからなる
井戸層からなる多重量子井戸構造の発光層、更に発光層
のバリア層よりも広いバンドギャップを持つクラッド層
を有する窒化物半導体素子が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の素子をLED素子として、照明用光源、直射日光の
当たる屋外ディスプレイ等に使用するためには発光出力
が十分満足できるものでない。このように多重量子井戸
構造の活性層は、発光出力の飛躍的な向上が考えられる
が、その予想される可能性を十分に発揮させ難い。更に
また、窒化物半導体からなる素子は、その構造上、人体
に生じる静電気より遥かに弱い100Vの電圧でさえも
劣化する可能性がある。例えば、帯電防止処理された袋
等から取り出す際、また製品に応用する際等、劣化する
危険性が考えられる。窒化物半導体素子の信頼性をより
高めるには、このような劣化の危険性をなくすことが望
まれる。そこで、本発明の目的は、多重量子井戸構造の
活性層を用い種々の応用製品への適用範囲の拡大を可能
とする発光出力のさらなる向上、及び静電耐圧の向上す
る窒化物半導体発光素子を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記
(1)〜(7)の構成により本発明の目的を達成したも
のである。 (1)基板上に、n側窒化物半導体層、活性層及びp側
窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子において、前
記活性層が、InaGa1-aN(0≦a<1)層を含む多
重量子井戸構造であり、前記n側窒化物半導体層が、n
型不純物が互いに異なる濃度でドープされているバンド
ギャップエネルギーが異なる又はn型不純物が互いに異
なる濃度でドープされている同一組成を有する少なくと
も2種類の窒化物半導体層が積層されてなるn側第1多
層膜層と、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第
1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物
半導体層とが積層されてなり、前記n側第1多層膜と前
記活性層との間に位置するn側第2多層膜層とを含むこ
とを特徴とする窒化物半導体素子。 (2)前記p側窒化物半導体層が、互いにバンドギャッ
プエネルギーが異なりかつp型不純物濃度が異なる又は
同一の第3と第4の窒化物半導体層が積層されてなるp
側多層膜クラッド層を含むことを特徴とする(1)記載
の窒化物半導体素子。 (3)前記p側窒化物半導体層が、p型不純物を含みA
bGa1-bN(0≦b≦1)よりなるp側単一膜クラッ
ド層を含むことを特徴とする(1)記載の窒化物半導体
素子。 (4)前記n側第1多層膜層と活性層との間に、Inを
含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半導体
層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが積層
されたn側第2多層膜層を有する(1)〜(3)のうち
のいずれか1つに記載の窒化半導体素子。 (5)前記n側第1多層膜層と前記基板側との間に、n
型不純物を含むn側コンタクト層を有する(1)〜
(4)のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体素
子。 (6)前記n側コンタクト層が、アンドープGaN層の
上に形成されてなることを特徴とする(5)に記載の窒
化物半導体素子。 (7)前記窒化物半導体素子において、前記アンドープ
GaN層が低温成長させたGadAl1-dN(0<d≦
1)からなるバッファ層上に形成され、更に前記p側多
層膜クラッド層又はp側単一膜クラッド層上にp型不純
物としてMgを含むp側GaNコンタクト層を形成して
なる(6)に記載の窒化物半導体素子。また、本発明の
目的は以下のようにしても達成することができる。 (8) 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層及びp
側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子において、
前記n側窒化物半導体層が、n型不純物が互いに異なる
濃度でドープされているバンドギャップエネルギーが異
なる又はn型不純物が互いに異なる濃度でドープされて
いる同一組成を有する少なくとも2種類の窒化物半導体
層が積層されてなるn側第1多層膜層を含み、前記活性
層が、InaGa1-aN(0≦a<1)よりなる多重量子
井戸構造であり、更に、前記p側窒化物半導体層が、互
いにバンドギャップエネルギーが異なり且つ互いにp型
不純物濃度が異なる又は同一の第3と第4の窒化物半導
体層とが積層されてなるp側多層膜クラッド層を含むこ
とを特徴とする窒化物半導体素子。 (9) 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層及びp
側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子において、
前記n側窒化物半導体層が、n型不純物が互いに異なる
濃度でドープされているバンドギャップエネルギーが異
なる又はn型不純物が互いに異なる濃度でドープされて
いる同一組成を有する少なくとも2種類の窒化物半導体
層が積層されてなるn側第1多層膜層を含み、前記活性
層が、InaGa1-aN(0≦a<1)よりなる多重量子
井戸構造であり、更に、前記p側窒化物半導体層が、p
型不純物を含みAlbGa1-bN(0≦b≦1)よりなる
p側単一膜クラッド層を含むことを特徴とする窒化物半
導体素子。 (10) 前記n側第1多層膜層と活性層との間に、I
nを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物半
導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層とが
積層されたn側第2多層膜層を有することを特徴とする
前記(8)又は(9)に記載の窒化物半導体素子。 (11) 前記n側窒化物半導体層に、前記n側第1多
層膜層(変調ドープ層)より基板側に、n型不純物を含
むn側コンタクト層を有することを特徴とする前記
(8)〜(10)のいずれかに記載の窒化物半導体素
子。 (12) 前記n側コンタクト層が、アンドープGaN
層の上に形成されてなることを特徴とする前記(8)〜
(11)のいずれかに記載の窒化物半導体素子。 (13) 前記窒化物半導体素子において、前記アンド
ープGaN層が低温成長させたGadAl1-dN(0<d
≦1)からなるバッファ層上に形成され、更に前記p側
多層膜クラッド層又はp側単一膜クラッド層上にp型不
純物としてMgを含むp側GaNコンタクト層を形成し
てなることを特徴とする前記(8)〜(12)のいずれ
かに記載の窒化物半導体素子。 (14) 前記アンドープGaN層、n側コンタクト
層、及びn側第1多層膜層の合計の膜厚が、2〜20μ
mであることを特徴とする(8)〜(13)のいずれか
に記載の窒化物半導体素子。
【0005】つまり、本発明は、多重量子井戸構造の発
光層を挟むように、n側にn型不純物濃度の異なる2種
類以上の窒化物半導体層からなるn側第1多層膜層と、
p側に第3及び第4の窒化物半導体層からなるp側多層
膜クラッド層又はp型不純物を含みAlbGa1-bN(0
≦b≦1)よりなるp側単一膜クラッド層とを組み合わ
せて形成することにより、発光効率を向上させ発光出力
の向上した、さらに静電耐圧の向上した窒化物半導体素
子を得ることができる。このように特定の組成や構造等
を有する複数の窒化物半導体層を組み合わせることによ
り、多重量子井戸構造の活性層の性能を効率良く発揮す
ることができる。また、多重量子井戸構造の活性層との
組み合わせで好ましい他の窒化物半導体層を以下に記載
する。
【0006】本発明において、前記n側第1多層膜層と
活性層との間に、Inを含む第1の窒化物半導体層と、
その第1の窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の
窒化物半導体層とが積層されたn側第2多層膜層を有す
ると更に発光効率が向上すると共に、Vfを低下させて
発光効率を向上させることができ好ましい。更に、本発
明において、前記n側第1多層膜層より基板側に、n型
不純物を含むn側コンタクト層を有すると、発光出力を
向上させ、Vfを低下させるのに好ましい。また更に、
本発明において、前記n側コンタクト層が、アンドープ
GaN層の上に形成されてなると、かかるアンドープG
aN層は結晶性の良い層として得られるので、n電極を
形成する層となるn側コンタクト層の結晶性が良くな
り、n側コンタクト層上に形成される活性層などのその
他の窒化物半導体層の結晶性も良くなり、発光出力を向
上させるのに好ましい。また更に、本発明において、前
記アンドープGaN層が、低温成長させたGa dAl1-d
N(0<d≦1)からなるバッファ層上に形成されてい
ると、アンドープGaN層の結晶性が更に良好となり、
n側コンタクト層等の結晶性もより良好となり、発光出
力の向上において好ましく、更にまた、p側多層膜クラ
ッド層又はp側単一膜クラッド層上にMgドープp側G
aNコンタクト層を形成してなると、p型特性を得やす
くなると共に、かかるp側GaNコンタクト層がこの上
に形成されるp電極と良好なオーミック接触を有し、発
光出力を向上させるのに好ましい。また更に、本発明に
おいて、前記アンドープGaN層、n側コンタクト層、
及びn側第1多層膜層の合計の膜厚が、2〜20μm、
好ましくは3〜10μm、より好ましくは4〜9μmで
あると、静電耐圧の向上の点で好ましい。また上記範囲
の膜厚であると静電耐圧以外の他の素子特性も良好であ
る。また、上記3層の合計の膜厚は、各層の好ましい膜
厚の範囲内で、3層の合計の膜厚が上記範囲となるよう
に適宜調整される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施の形態であ
る窒化物半導体素子の構造を示す窒化物半導体素子の模
式的断面図である図1を用いて、本発明を詳細に説明す
る。図1は、基板1上に、バッファ層2、アンドープG
aN層3、n型不純物を含むn側コンタクト層4、n型
不純物を含むn側第1多層膜5、第1及び第2の窒化物
半導体層よりなるn側第2多層膜層6、多重量子井戸構
造の活性層7、第3及び第4の窒化物半導体層からなる
p側多層膜クラッド層8又はp側単一膜クラッド層8、
Mgドープp側GaNコンタクト層9が順に積層された
構造を有する。更にn側コンタクト層4上にn電極1
1、p側GaNコンタクト層9上にp電極10がそれぞ
れ形成されている。
【0008】本発明において、基板1としては、サファ
イアC面、R面又はA面を主面とするサファイア、その
他、スピネル(MgA12O4)のような絶縁性の基板の
他、SiC(6H、4H、3Cを含む)、Si、Zn
O、GaAs、GaN等の半導体基板を用いることがで
きる。
【0009】本発明において、バッファ層2としては、
GadAl1-dN(但しdは0<d≦1の範囲である。)
からなる窒化物半導体であり、好ましくはAlの割合が
小さい組成ほど結晶性の改善が顕著となり、より好まし
はGaNからなるバッファ層2が挙げられる。バッファ
層2の膜厚は、0.002〜0.5μm、好ましくは
0.005〜0.2μm、更に好ましくは0.01〜
0.02μmの範囲に調整する。バッファ層2の膜厚が
上記範囲であると、窒化物半導体の結晶モフォロジーが
良好となり、バッファ層2上に成長させる窒化物半導体
の結晶性が改善される。バッファ層2の成長温度は、2
00〜900℃であり、好ましくは400〜800℃の
範囲に調整する。成長温度が上記範囲であると良好な多
結晶となり、この多結晶が種結晶としてバッファ層2上
に成長させる窒化物半導体の結晶性を良好にでき好まし
い。また、このような低温で成長させるバッファ層2
は、基板の種類、成長方法等によっては省略してもよ
い。
【0010】次に、本発明において、アンドープGaN
層3は、成長する際にn型不純物を添加せずに成長して
なる層を示す。バッファ層2上にアンドープGaN層3
を成長させるとアンドープGaN層3の結晶性が良好と
なり、アンドープGaN層3上に成長させるn側コンタ
クト層4などの結晶性も良好となる。アンドープGaN
層3の膜厚としては、0.01μm以上であり、好まし
くは0.5μm以上であり、より好ましくは1μm以上
である。またアンドープGaN層3の膜厚の上限は特に
限定されないが、製造効率等を考慮して適宜調整され
る。膜厚が上記範囲であると、n側コンタクト層4以降
の層を結晶性良く成長でき好ましい。更に、アンドープ
GaN層3の膜厚が上記範囲であると、n側コンタクト
層4とn側第1多層膜層5との合計の膜厚を、前記範囲
に調整し静電耐圧を向上させる点で好ましい。
【0011】次に、本発明において、n型不純物を含む
n側コンタクト層4は、n型不純物を3×1018/cm
3以上、好ましくは5×1018/cm3以上の濃度で含有
する。このようにn型不純物を多くドープし、この層を
n側コンタクト層とすると、Vf及び閾値を低下させる
ことができる。不純物濃度が上記範囲を逸脱するとVf
が低下しにくくなる傾向がある。また、n側コンタクト
層4は、n型不純物濃度が小さい結晶性の良好なアンド
ープGaN層3上に形成されると、高濃度のn型不純物
を有しているにも関わらず結晶性を良好に形成すること
ができる。n側コンタクト層4のn型不純物濃度の上限
は特に限定しないが、コンタクト層として結晶性が悪く
なりすぎる限界としては5×1021/cm3以下が望ま
しい。
【0012】n側コンタクト層4の組成は、IneAlf
Ga1-e-fN(0≦e、0≦f、e+f≦1)で構成で
き、その組成は特に問うものではないが、好ましくはG
aN、f値0.2以下のAlfGa1-fNとすると結晶欠
陥の少ない窒化物半導体層が得られやすい。n側コンタ
クト層4の膜厚は特に問うものではないが、n電極を形
成する層であるので0.1〜20μm、好ましくは0.
5〜10μm、より好ましくは1〜5μmである。膜厚
が上記範囲であると抵抗値を低くでき、発光素子の順方
向電圧を低くでき好ましい。更に、n側コンタクト層4
の膜厚が上記範囲であると、アンドープGaN層3及び
n側第1多層膜層5との組み合わせにより、静電耐圧を
向上させる点で好ましい。また、n側コンタクト層4
は、後述のn側第1多層膜層5を厚膜に形成する場合、
省略することができる。
【0013】次に、本発明において、n側第1多層膜層
5は、n型不純物が互いに異なる濃度でドープされてい
るバンドギャップエネルギーが異なる又はn型不純物が
互いに異なる濃度でドープされている同一組成を有する
少なくとも2種類の窒化物半導体層が積層されてなる多
層膜からなる。n側第1多層膜5の膜厚は、2μm以下
であり、好ましくは1.5μm以下であり、より好まし
くは0.9μm以下である。また下限は特に限定されな
いが、例えば0.05μm以上である。膜厚がこの範囲
であると、発光出力を向上させるのに好ましい。更に、
n側第1多層膜層5の膜厚が上記範囲であると、アンド
ープGaN層3とn側コンタクト層4との組み合わせに
より、静電耐圧を向上させる点で好ましい。上記多層膜
層を構成する窒化物半導体層の互いの不純物濃度が異な
ることを変調ドープといい、この場合、一方の層が不純
物をドープしない状態、つまりアンドープが好ましい。
【0014】まず、以下にn側第1多層膜層5が、互い
にバンドギャップエネルギーが異なる少なくとも2種類
の窒化物半導体層を積層してなる多層膜である場合につ
いて説明する。n側第1多層膜層5の多層膜層を構成す
るバンドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体層及
びバンドギャップエネルギーの小さな窒化物半導体層の
膜厚は、100オングストローム以下、さらに好ましく
は70オングストローム以下、最も好ましくは10〜4
0オングストロームの膜厚に調整する。100オングス
トロームよりも厚いと、バンドギャップエネルギーの大
きな窒化物半導体層及びバンドギャップエネルギーの小
さな窒化物半導体層が弾性歪み限界以上の膜厚となり、
膜中に微少なクラック、あるいは結晶欠陥が入りやすい
傾向にある。バンドギャップエネルギーの大きな窒化物
半導体層、バンドギャップエネルギーの小さな窒化物半
導体層の膜厚の下限は特に限定せず、1原子層以上であ
ればよいが、前記のように10オングストローム以上が
最も好ましい。
【0015】上記のようにn側第1多層膜5が、膜厚の
薄い多層膜構造であると、その多層膜層を構成する窒化
物半導体層の各膜厚を弾性臨界膜厚以下とすることがで
き、結晶欠陥の非常に少ない窒化物半導体が成長でき
る。さらに、この多層膜層で基板からアンドープGaN
層3やn側コンタクト層4を通って発生している結晶欠
陥をある程度止めることができ、多層膜層の上に成長さ
せるn側第2多層膜層6の結晶性を良くすることができ
る。さらにHEMTに類似した効果もある。
【0016】バンドギャップエネルギーの大きな窒化物
半導体層は、少なくともAlを含む窒化物半導体、好ま
しくはAlgGa1-gN(0<g≦1)を成長させる方が
望ましい。一方、バンドギャップエネルギーの小さな窒
化物半導体はバンドギャップエネルギーの大きな窒化物
半導体よりもバンドギャップエネルギーが小さい窒化物
半導体であればどのようなものでも良いが、好ましくは
AlhGa1-hN(0≦h<1、g>h)、InjGa1-j
N(0≦j<1)のような2元混晶、3元混晶の窒化物
半導体が成長させやすく、また結晶性の良いものが得ら
れやすい。その中でも特に好ましくはバンドギャップエ
ネルギーの大きな窒化物半導体は実質的にInを含まな
いAlgGa1-gN(0<g<1)とし、バンドギャップ
エネルギーの小さな窒化物半導体は実質的にAlを含ま
ないInjGa1-jN(0≦j<1)とし、中でも結晶性
に優れた多層膜を得る目的で、Al混晶比(g値)0.
3以下のAlgGa1-gN(0<g≦0.3)と、GaN
の組み合わせが最も好ましい。
【0017】また、n側第1多層膜層5が、光閉じ込め
層、及びキャリア閉じ込め層としてクラッド層を形成す
る場合、活性層の井戸層よりもバンドギャップエネルギ
ーの大きい窒化物半導体を成長させる必要がある。バン
ドギャップエネルギーの大きな窒化物半導体層とは、即
ちAl混晶比の高い窒化物半導体である。従来ではAl
混晶比の高い窒化物半導体を厚膜で成長させると、クラ
ックが入りやすくなるため、結晶成長が非常に難しかっ
た。しかしながら本発明のようにn側第1多層膜層5を
多層膜層にすると、多層膜層を構成する単一層をAl混
晶比の多少高い層としても、弾性臨界膜厚以下の膜厚で
成長させているのでクラックが入りにくい。そのため、
Al混晶比の高い層を結晶性良く成長できることによ
り、光閉じ込め、キャリア閉じ込め効果が高くなり、レ
ーザ素子では閾値電圧、LED素子ではVf(順方向電
圧)を低下させることができる。
【0018】さらに、このn側第1多層膜層5のバンド
ギャップエネルギーの大きな窒化物半導体層とバンドギ
ャップエネルギーの小さな窒化物半導体層とのn型不純
物濃度が異なることが好ましい。これはいわゆる変調ド
ープと呼ばれるもので、一方の層のn型不純物濃度を小
さく、好ましくは不純物をドープしない状態(アンドー
プ)として、もう一方を高濃度にドープすると、閾値電
圧、Vf等を低下させることができる。これは不純物濃
度の低い層を多層膜層中に存在させることにより、その
層の移動度が大きくなり、また不純物濃度が高濃度の層
も同時に存在することにより、キャリア濃度が高いまま
で多層膜層が形成できることによる。つまり、不純物濃
度が低い移動度の高い層と、不純物濃度が高いキャリア
濃度が大きい層とが同時に存在することにより、キャリ
ア濃度が大きく、移動度も大きい層がクラッド層となる
ために、閾値電圧、Vfが低下すると推察される。
【0019】バンドギャップエネルギーが大きい窒化物
半導体層にn型不純物を多くドープする場合、バンドギ
ャップエネルギーの大きな窒化物半導体層への好ましい
ドープ量としては、1×1017/cm3〜1×1020/c
m3、さらに好ましくは1×10 18/cm3〜5×1019/c
m3の範囲に調整する。1×1017/cm3よりも少ない
と、バンドギャップエネルギーの小さな窒化物半導体層
との差が少なくなって、キャリア濃度の大きい層が得ら
れにくい傾向にあり、また1×1020/cm3よりも多い
と、素子自体のリーク電流が多くなりやすい傾向にあ
る。一方、バンドギャップエネルギーの小さな窒化物半
導体層のn型不純物濃度はバンドギャップエネルギーの
大きな窒化物半導体層よりも少なければ良く、好ましく
は1/10以上少ない方が望ましい。最も好ましくはア
ンドープとすると最も移動度の高い層が得られるが、膜
厚が薄いため、バンドギャップエネルギーの大きな窒化
物半導体側から拡散してくるn型不純物があり、その量
は1×1019/cm3以下が望ましい。n型不純物として
はSi、Ge、Se、S、O等の周期律表第IVB族、VI
B族元素を選択し、好ましくはSi、Ge、Sをn型不
純物とする。この作用は、バンドギャップエネルギーが
大きい窒化物半導体層にn型不純物を少なくドープし
て、バンドギャップエネルギーが小さい窒化物半導体層
にn型不純物を多くドープする場合も同様である。以
上、多層膜層に不純物を好ましく変調ドープする場合に
ついて述べたが、バンドギャップエネルギーが大きい窒
化物半導体層とバンドギャップエネルギーが小さい窒化
物半導体層との不純物濃度を等しくすることもできる。
【0020】さらにまたn側第1多層膜層の多層膜を構
成する窒化物半導体層において、不純物が高濃度にドー
プされる層は、厚さ方向に対し、半導体層中心部近傍の
不純物濃度が大きく、両端部近傍の不純物濃度が小さい
(好ましくはアンドープ)とすることが望ましい。具体
的に説明すると、例えばn型不純物としてSiをドープ
したAlGaNと、アンドープのGaN層とで多層膜層
を形成した場合、AlGaNはSiをドープしているの
でドナーとして電子を伝導帯に出すが、電子はポテンシ
ャルの低いGaNの伝導帯に落ちる。GaN結晶中には
ドナー不純物をドープしていないので、不純物によるキ
ャリアの散乱を受けない。そのため電子は容易にGaN
結晶中を動くことができ、実質的な電子の移動度が高く
なる。これは二次元電子ガスの効果と類似しており、電
子横方向の実質的な移動度が高くなり、抵抗率が小さく
なる。さらに、バンドギャップエネルギーの大きいAl
GaNの中心領域にn型不純物を高濃度にドープすると
効果はさらに大きくなる。即ちGaN中を移動する電子
によっては、AlGaN中に含まれるn型不純物イオン
(この場合Si)の散乱を多少とも受ける。しかしAl
GaN層の厚さ方向に対して両端部をアンドープとする
とSiの散乱を受けにくくなるので、さらにアンドープ
GaN層の移動度が向上するのである。
【0021】次に、n側第1多層膜層5が、同一組成の
窒化物半導体層が積層されてなり、n型不純物がそれら
窒化物半導体層間で異なる濃度でドープされている場合
について説明する。まず、n側第1多層膜層5を構成す
る窒化物半導体としては、特に限定されず同一組成であ
ればよいが、好ましくはGaNが挙げられる。n側第1
多層膜層5がGaNで構成されていると、3元混晶より
2元混晶のGaNであると結晶性良く成長でき、以降に
成長させる窒化物半導体の結晶性も良好となり好まし
い。このような同一組成、例えばGaNのn側第1多層
膜層5は、n型不純物を含む第1のGaN層と第1のG
aN層のn型不純物濃度と異なる濃度の第2のGaN
層、好ましくはどちらか一方がアンドープGaN層であ
る少なくとも2種類以上の窒化物半導体からなる多層膜
構造を有していることが好ましい。このように変調ドー
プされ多層膜構造を有していると、上記n側第1多層膜
層5がバンドギャップエネルギーの異なり変調ドープさ
れた少なくとも2種類の層から構成される場合と同様の
作用が得られる。n側不純物の濃度は1×1017〜1×
1021/cm3、好ましくは1×1018〜1×1019
cm3、より好ましくは3×1018〜7×1018/cm3
である。また、この場合のn側第1多層膜層5の総膜厚
は、特に限定されないが、1000〜4000オングス
トローム、好ましくは2000〜3000オングストロ
ームである。また多層膜の各膜厚は500オングストロ
ーム以下、好ましくは200オングストローム以下、よ
り好ましくは100オングストローム以下であり、膜厚
の下限は特に限定されないが、1原子層以上であればよ
いが、10オングストローム以上が好ましい。上記のよ
うな膜厚であると、結晶性良く成長させることができ、
発光出力を向上させるのに好ましい。
【0022】また、以上説明した、バンドギャップエネ
ルギーの異なる又は同一組成で更に不純物濃度の異なる
2種類以上の層からなるn側第1多層膜層5は、n側コ
ンタクト層を兼ねることができる。この場合、n側第1
多層膜層5の膜厚は、0.5〜4μm、好ましくは1〜
3μm、より好ましくは2〜2.8μmである。この場
合のn側第1多層膜層5の膜厚は、上記の少なくとも2
種類以上の窒化物半導体層により調整される。この場合
のn側第1多層膜層5を構成する各膜厚は、上記範囲の
薄膜層の多層膜層としてもよく、また全体としての膜厚
がn側コンタクト層を兼ねる場合のn側第1多層膜層5
の上記膜厚の範囲であれば各膜厚が上記範囲を超える2
種類以上の窒化物半導体により調整してもよい。
【0023】次に、本発明において、n側第2多層膜層
6は、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の
窒化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導
体層とが積層されたn側多層膜層からなり、前記第1の
窒化物半導体層、または前記第2の窒化物半導体層の内
の少なくとも一方の膜厚が100オングストローム以下
である。好ましくは第1の窒化物半導体層および第2の
窒化物半導体層の両方を100オングストローム以下、
さらに好ましくは70オングストローム以下、最も好ま
しくは50オングストローム以下にする。このように膜
厚を薄くすることにより、多層膜層が超格子構造となっ
て、多層膜層の結晶性が良くなるので、出力が向上する
傾向にある。ここで、前記n側第1多層膜層と、上記n
側第2多層膜層とを組み合わせると、発光出力が向上
し、順方向電圧(Vf)が低下し好ましい。この理由は
定かではないが、n側第2多層膜層上に成長させる活性
層の結晶性が良好となるためと考えられる。
【0024】第1の窒化物半導体層はInkGa1-k
(0<k<1)とし、第2の窒化物半導体層はInm
1-mN(0≦m<1、m<k)、好ましくはGaNと
することが最も好ましい。
【0025】さらに、前記第1の窒化物半導体層または
前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚
が、近接する第1の窒化物半導体層または第2の窒化物
半導体層同士で互いに異なっても、同一でもよい。ま
た。膜厚が近接する層同士で互いに異なるとは、第1の
窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層を複数層積
層した多層膜層を形成した場合に、第2の窒化物半導体
層(第1の窒化物半導体層)を挟んだ第1の窒化物半導
体層(第2の窒化物半導体層)の膜厚が互いに異なるこ
とを意味する。
【0026】さらにまた、前記第1の窒化物半導体層、
または前記第2の窒化物半導体層の内の少なくとも一方
のIII族元素の組成が、近接する第1の窒化物半導体層
または第2の窒化物半導体層の同一III族元素の組成同
士で互いに異なることが好ましい。このことは、第1の
窒化物半導体層または第2の窒化物半導体層を複数層積
層した多層膜層を形成した場合に、第2の窒化物半導体
層(第1の窒化物半導体層)を挟んだ第1の窒化物半導
体層(第2の窒化物半導体層)のIII族元素の組成比が
互いに異なることを意味する。
【0027】n側第2多層膜層6は、活性層と離間して
形成されていても良いが、最も好ましくは活性層に接し
て形成されているようにする。活性層に接して形成する
方がより出力が向上しやすい傾向にある。
【0028】また、n側第2多層膜層6の第1の窒化物
半導体層および第2の窒化物半導体層がアンドープであ
ることが好ましい。アンドープとは意図的に不純物をド
ープしない状態を指し、例えば隣接する窒化物半導体層
から拡散により混入される不純物も本発明ではアンドー
プという。なお拡散により混入される不純物は層内にお
いて不純物濃度に勾配がついていることが多い。
【0029】第1の窒化物半導体層または第2の窒化物
半導体層のいずれか一方に、n型不純物がドープされて
いてもよい。これは変調ドープと呼ばれるもので、変調
ドープすることにより、出力が向上しやすい傾向にあ
る。なおn型不純物としては、Si、Ge、Sn、S等
のIV族、VI族元素を好ましく選択し、さらに好ましくは
Si、Snを用いる。
【0030】また、第1の窒化物半導体層および第2の
窒化物半導体層の両方にn型不純物がドープされていて
もよい。n型不純物をドープする場合、不純物濃度は5
×1021/cm3以下、好ましくは1×1020/cm3以下に
調整する。5×1021/cm3よりも多いと窒化物半導体
層の結晶性が悪くなって、逆に出力が低下する傾向にあ
る。これは変調ドープの場合も同様である。
【0031】図1に示すように、活性層7を挟んで下部
にあるn側窒化物半導体層に、Inを含む第1の窒化物
半導体層と、その第1の窒化物半導体層と異なる組成を
有する第2の窒化物半導体層とが積層されたn側第2多
層膜層6を有している。n側第2多層膜層6において、
第1の窒化物半導体層、第2の窒化物半導体層はそれぞ
れ少なくとも一層以上形成し、合計で2層以上、好まし
くは3層以上、さらに好ましくはそれぞれ少なくとも2
層以上積層し合計で4層以上積層することが望ましい。
n側第2多層膜層6が活性層に接して形成されている場
合、活性層の最初の層(井戸層、若しくは障壁層)と接
する多層膜層は第1の窒化物半導体層でも、第2の窒化
物半導体層いずれでも良く、n側第2多層膜層6の積層
順序は特に問うものではない。なお、図1ではn側第2
多層膜層6が、活性層7に接して形成されているが、こ
のn側第2多層膜層6と活性層との間に、他のn型窒化
物半導体よりなる層を有していても良い。このn側第2
多層膜層を構成する第1の窒化物半導体層または第2の
窒化物半導体層の少なくとも一方の膜厚を100オング
ストローム以下、好ましくは70オングストローム以
下、より好ましくは50オングストローム以下とするこ
とにより、薄膜層が弾性臨界膜厚以下となって結晶が良
くなり、その上に積層する第1、若しくは第2の窒化物
半導体層の結晶性が良くなり、多層膜層全体の結晶性が
良くなるため、素子の出力が向上する。
【0032】第1の窒化物半導体層はInを含む窒化物
半導体、好ましくは3元混晶のIn kGa1-kN(0<k
<1)とし、さらに好ましくはk値が0.5以下のIn
kGa1-kN、最も好ましくはk値が0.2以下のInk
Ga1-kNとする。一方、第2の窒化物半導体層は第1
の窒化物半導体層と組成が異なる窒化物半導体であれば
良く、特に限定しないが、結晶性の良い第2の窒化物半
導体を成長させるためには、第1の窒化物半導体よりも
バンドギャップエネルギーが大きい2元混晶あるいは3
元混晶の窒化物半導体を成長させ、その中でもGaNと
すると、全体に結晶性の良い多層膜層が成長できる。従
って最も好ましい組み合わせとしては、第1の窒化物半
導体層がk値が0.5以下のInkGa1-kNであり、第
2の窒化物半導体層がGaNとの組み合わせである。
【0033】第1および第2の窒化物半導体層の膜厚を
100オングストローム以下、好ましくは70オングス
トローム以下、より好ましくは50オングストローム以
下にする。単一窒化物半導体層の膜厚を100オングス
トローム以下とすることにより、窒化物半導体単一層の
弾性臨界膜厚以下となり、厚膜で成長させる場合に比較
して結晶性の良い窒化物半導体が成長できる。また、両
方を70オングストローム以下にすることによって、n
側第2多層膜層6が超格子(多層膜)構造となり、この
結晶性の良い多層膜構造の上に活性層を成長させると、
n側第2多層膜層6がバッファ層のような作用をして、
活性層が結晶性よく成長できる。
【0034】さらにまた、第1、または前記第2の窒化
物半導体層の内の少なくとも一方の膜厚を、近接する第
1、または第2の窒化物半導体層同士で互いに異なるよ
うにすることも好ましい。例えば第1の窒化物半導体層
をInGaNとし、第2の窒化物半導体層をGaNとし
た場合、GaN層とGaN層との間のInGaN層の膜
厚を、活性層に接近するに従って次第に厚くしたり、ま
た薄くしたりすることにより、多層膜層内部において屈
折率が変化するため、実質的に屈折率が次第に変化する
層を形成することができる。即ち、実質的に組成傾斜し
た窒化物半導体層を形成するのと同じ効果が得られる。
このため例えばレーザ素子のような光導波路を必要とす
る素子においては、この多層膜層で導波路を形成して、
レーザ光のモードを調整できる。
【0035】また、第1、または前記第2の窒化物半導
体層の内の少なくとも一方のIII族元素の組成を、近接
する第1または第2の窒化物半導体層の同一III族元素
の組成同士で互いに異なる、又は同一でもよい。例え
ば、同一III族元素の組成同士で互いに異ならせると、
第1の窒化物半導体層をInGaNとし、第2の窒化物
半導体層をGaNとした場合、GaN層とGaN層との
間のInGaN層のIn組成を活性層に接近するに従っ
て次第に多くしたり、また少なくしたりすることによ
り、前述の態様と同じく、多層膜層内部において屈折率
を変化させて、実質的に組成傾斜した窒化物半導体層を
形成することができる。なおIn組成が減少するに従
い、屈折率は小さくなる傾向にある。
【0036】第1および第2の窒化物半導体層は両方と
もアンドープでも良いし、両方にn型不純物がドープさ
れていても良いし、またいずれか一方に不純物がドープ
されていてもよい。結晶性を良くするためには、アンド
ープが最も好ましく、次に変調ドープ、その次に両方ド
ープの順である。なお両方にn型不純物をドープする場
合、第1の窒化物半導体層のn型不純物濃度と、第2の
窒化物半導体層のn型不純物濃度は異なっていても良
い。
【0037】本発明において、多重量子井戸構造の活性
層7は、In及びGaを含有する窒化物半導体、好まし
くは、InaGa1-aN(0≦a<1)で形成され、n
型、p型いずれでもよいが、アンドープ(不純物無添
加)とすることにより強いバンド間発光が得られ発光波
長の半値幅が狭くなり好ましい。活性層7にn型不純物
及び/又はp型不純物をドープしてもよい。活性層7に
n型不純物をドープするとアンドープのものに比べてバ
ンド間発光強度をさらに強くすることができる。活性層
7にp型不純物をドープするとバンド間発光のピーク波
長よりも約0.5eV低いエネルギー側にピーク波長を
シフトさせることができるが、半値幅は広くなる。活性
層にp型不純物とn型不純物との双方をドープすると、
前述したp型不純物のみドープした活性層の発光強度を
さらに大きくすることができる。特にp型ドーパントを
ドープした活性層を形成する場合、活性層の導電型はS
i等のn型ドーパントをもドープして全体をn型とする
ことが好ましい。結晶性のよい活性層を成長させるに
は、ノンドープが最も好ましい。
【0038】活性層7の障壁層と井戸層との積層順は、
特に問わず、井戸層から積層して井戸層で終わる、井戸
層から積層して障壁層で終わる、障壁層から積層して障
壁層で終わる、また障壁層から積層して井戸層で終わっ
ても良い。井戸層の膜厚としては100オングストロー
ム以下、好ましくは70オングストローム以下、さらに
好ましくは50オングストローム以下に調整する。井戸
層の膜厚の上限は、特に限定されないが、1原子層以
上、好ましくは10オングストローム以上である。井戸
層が100オングストロームよりも厚いと、出力が向上
しにくい傾向にある。一方、障壁層の厚さは2000オ
ングストローム以下、好ましくは500オングストロー
ム以下、より好ましくは300オングストローム以下に
調整する。障壁層の膜厚の上限は特に限定されないが、
1原子層以上、好ましくは10オングストローム以上で
ある。障壁層が上記範囲であると出力が向上し易く好ま
しい。また、活性層7全体の膜厚はとくに限定されず、
LED素子などの希望の波長等を考慮して、障壁層及び
井戸層の各積層数や積層順を調整し活性層7の総膜厚を
調整する。
【0039】本発明において、p側クラッド層8は、バ
ンドギャップエネルギーの大きな第3の窒化物半導体層
と、第3の窒化物半導体層よりもバンドギャップエネル
ギーの小さな第4の窒化物半導体層とが積層されて、互
いのp型不純物濃度が異なる、又は同一の多層膜層、ま
たはp型不純物を含有するAlbGa1-bN(0≦b≦
1)からなる単一層である。まず、p側クラッド層8が
多層膜構造(超格子構造)を有するp側多層膜クラッド
層の場合について以下に説明する。p側多層膜クラッド
層17の多層膜層を構成する第3、第4の窒化物半導体
層の膜厚は、100オングストローム以下、さらに好ま
しくは70オングストローム以下、最も好ましくは10
〜40オングストロームの膜厚に調整され、第3窒化物
半導体層と第4の窒化物半導体層との膜厚は、同一でも
異なっていてもよい。多層膜構造の各膜厚が上記範囲で
あると、窒化物半導体の弾性臨界膜厚以下となり、厚膜
で成長させる場合に比較して結晶性の良い窒化物半導体
が成長でき、また窒化物半導体層の結晶性が良くなるの
で、p型不純物を添加した場合にキャリア濃度が大きく
抵抗率の小さいp層が得られ、素子のVf、しきい値が
低下し易い傾向にある。このような膜厚の2種類の層を
1ペアとして複数回積層して多層膜層を形成する。そし
て、p側多層膜クラッド層8の総膜厚の調整は、この第
3及び第4の窒化物半導体層の各膜厚を調整し積層回数
を調整することにより行う。p側多層膜クラッド層8の
総膜厚は、特に限定されないが、2000オングストロ
ーム以下、好ましくは1000オングストローム以下、
より好ましくは500オングストローム以下であり、総
膜厚がこの範囲であると発光出力が高く、順方向電圧
(Vf)が低下し好ましい。第3の窒化物半導体層は少
なくともAlを含む窒化物半導体、好ましくはAl n
1-nN(0<n≦1)を成長させることが望ましく、
第4の窒化物半導体は好ましくはAlpGa1-pN(0≦
p<1、n>p)、InrGa1-rN(0≦r≦1)のよ
うな2元混晶、3元混晶の窒化物半導体を成長させるこ
とが望ましい。p側クラッド層8を超格子構造とする
と、結晶性が良くなり、抵抗率が低下しVfが低下する
傾向がある。
【0040】p側多層膜クラッド層8のp型不純物濃度
において、第3の窒化物半導体層と第4の窒化物半導体
層とのp型不純物濃度が異なる場合について以下に示
す。p側多層膜クラッド層8の第3の窒化物半導体層と
第4の窒化物半導体層とのp型不純物濃度は異なり、一
方の層の不純物濃度を大きく、もう一方の層の不純物濃
度を小さくする。n側クラッド層12と同様に、バンド
ギャップエネルギーの大きな第3の窒化物半導体層の方
のp型不純物濃度を大きくして、バンドギャップエネル
ギーの小さな第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度を
小さく、好ましくはアンドープとすると、閾値電圧、V
f等を低下させることができる。またその逆でも良い。
つまりバンドギャップエネルギーの大きな第3の窒化物
半導体層のp型不純物濃度を小さくして、バンドギャッ
プエネルギーの小さな第4の窒化物半導体層のp型不純
物濃度を大きくしても良い。
【0041】第3の窒化物半導体層への好ましいドープ
量としては1×1018/cm3〜1×1021/cm3、さらに
好ましくは1×1019/cm3〜5×1020/cm3の範囲に
調整する。1×1018/cm3よりも少ないと、同様に第
4の窒化物半導体層との差が少なくなって、同様にキャ
リア濃度の大きい層が得られにくい傾向にあり、また1
×1021/cm3よりも多いと、結晶性が悪くなる傾向に
ある。一方、第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度は
第3の窒化物半導体層よりも少なければ良く、好ましく
は1/10以上少ない方が望ましい。最も好ましくはア
ンドープとすると最も移動度の高い層が得られるが、膜
厚が薄いため、第3の窒化物半導体側から拡散してくる
p型不純物があり、その量は1×1020/cm3以下が望
ましい。また、バンドギャップエネルギーが大きい第3
の窒化物半導体層にp型不純物を少なくドープして、バ
ンドギャップエネルギーが小さい第4の窒化物半導体層
にp型不純物を多くドープする場合も同様である。p型
不純物としてはMg、Zn、Ca、Be等の周期律表第
IIA族、IIB族元素を選択し、好ましくはMg、Ca等
をp型不純物とする。
【0042】さらにまた多層膜を構成する窒化物半導体
層において、不純物が高濃度にドープされる層は、厚さ
方向に対し、半導体層中心部近傍の不純物濃度が大き
く、両端部近傍の不純物濃度が小さい(好ましくはアン
ドープ)とすることが、抵抗率を低下させるのに望まし
い。
【0043】またp側多層膜クラッド層8の第3の窒化
物半導体層と第4の窒化物半導体層のp型不純物濃度が
同一の場合は、上記第3と第4の窒化物半導体層のp型
不純物濃度が異なる場合の第3の窒化物半導体層のp型
不純物濃度の範囲内で不純物濃度が調整される。このよ
うにp型不純物濃度が同一であると、上記不純物濃度が
異なる場合に比べて、やや結晶性の劣る傾向があるが、
キャリア濃度の高いp型クラッド層8を形成し易くな
り、出力向上の点で好ましい。
【0044】次に、p側クラッド層8が、p型不純物を
含みAlbGa1-bN(0≦b≦1)よりなる単一層から
なる場合、p側単一膜クラッド層8の膜厚は、2000
オングストローム以下、好ましくは1000オングスト
ローム以下であり、より好ましくは500〜100オン
グストローム以下である。膜厚が上記範囲であると、発
光出力が向上し、Vfが低下し好ましい。p側単一膜ク
ラッド層8の組成は、AlbGa1-bN(0≦b≦1)で
ある。また、単一膜層のクラッド層は、前記多層膜構造
のp側クラッド層に比べ、結晶性はやや劣るものの、前
記第1の多層膜層4との組み合わせにより、結晶性良く
成長させることができ、しきい値やVfの低下が可能と
なる。更に、このように単一膜としてもその他の層構成
と組み合わせることにより素子の性能の低下を少なく
し、しかも単一膜であるので、製造工程の簡易化が可能
となり、量産する場合に好ましい。p側単一膜クラッド
層8のp型不純物の濃度は1×1018〜1×1021/cm
3、好ましくは5×1018〜5×1020/cm3、より好ま
しくは5×1019〜1×1020/cm3である。不純物濃
度が上記範囲であると、良好なp型膜ができ好ましい。
【0045】次に、本発明において、Mgドープp側G
aNコンタクト層9は、その組成をIn、Alを含まな
い二元混晶の窒化物半導体とする。仮にIn、Alを含
有していると、p電極10とオーミック接触が得られな
くなり、発光効率が低下する。p側コンタクト層9の膜
厚は 0.001〜0.5μm、好ましくは0.01〜
0.3μm、より好ましくは0.05〜0.2μmであ
る。膜厚が0.001μmよりも薄いとp型GaAlN
クラッド層と電気的に短絡しやすくなり、コンタクト層
として作用しにくい。また、三元混晶のGaAlNクラ
ッド層の上に、組成の異なる二元混晶のGaNコンタク
ト層を積層するため、逆にその膜厚を0.5μmよりも
厚くすると、結晶間のミスフィットによる格子欠陥がp
側GaNコンタクト層9中に発生しやすく、結晶性が低
下する傾向にある。なお、コンタクト層の膜厚は薄いほ
どVfを低下させ発光効率を向上させることができる。
また、このp型GaNコンタクト層9のp型不純物はM
gであるとp型特性が得られ易く、またオーミック接触
が得られ易くなる。Mgの濃度は、1×1018〜1×1
21/cm3、好ましくは5×1019〜3×1020/cm3
より好ましくは1×1020/cm3程度である。Mg濃度
がこの範囲であると良好なp型膜が得られ易く、Vfが
低下し好ましい。
【0046】また、n電極11はn側コンタクト層4上
に、p電極はMgドープp側GaNコンタクト層9上に
それぞれ形成されている。n電極及びp電極の材料とし
ては特に限定されず、例えばn電極としてはW/Al、
p電極としてはNi/Auなどを用いることができる。
【0047】
【実施例】以下に本発明の一実施の形態である実施例を
示すが、本発明はこれに限定されない。 [実施例1]図1を元に実施例1について説明する。サ
ファイア(C面)よりなる基板1をMOVPEの反応容
器内にセットし、水素を流しながら、基板の温度を10
50℃まで上昇させ、基板のクリーニングを行う。
【0048】(バッファ層2)続いて、温度を510℃
まで下げ、キャリアガスに水素、原料ガスにアンモニア
とTMG(トリメチルガリウム)とを用い、基板1上に
GaNよりなるバッファ層2を約150オングストロー
ムの膜厚で成長させる。
【0049】(アンドープGaN層3)バッファ層2成
長後、TMGのみ止めて、温度を1050℃まで上昇さ
せる。1050℃になったら、同じく原料ガスにTM
G、アンモニアガスを用い、アンドープGaN層3を
1.5μmの膜厚で成長させる。
【0050】(n側コンタクト層4)続いて1050℃
で、同じく原料ガスにTMG、アンモニアガス、不純物
ガスにシランガスを用い、Siを4.5×1018/cm3
ドープしたGaNよりなるn側コンタクト層4を2.2
5μmの膜厚で成長させる。
【0051】(n側第1多層膜層5)次にシランガスの
みを止め、1050℃で、TMG、アンモニアガスを用
い、アンドープGaN層を75オングストロームの膜厚
で成長させ、続いて同温度にてシランガスを追加しSi
を4.5×1018/cm3ドープしたGaN層を25オン
グストロームの膜厚で成長させる。このようにして、7
5オングストロームのアンドープGaN層からなるA層
と、SiドープGaN層を有する25オングストローム
のB層とからなるペアを成長させる。そしてペアを25
層積層して2500オングストローム厚として、超格子
構造の多層膜よりなるn側第1多層膜層5を成長させ
る。
【0052】(n側第2多層膜層6)次に、同様の温度
で、アンドープGaNよりなる第2の窒化物半導体層を
40オングストローム成長させ、次に温度を800℃に
して、TMG、TMI、アンモニアを用い、アンドープ
In0.13Ga0.87Nよりなる第1の窒化物半導体層を2
0オングストローム成長させる。そしてこれらの操作を
繰り返し、第2+第1の順で交互に10層づつ積層さ
せ、最後にGaNよりなる第2の窒化物半導体層を40
オングストローム成長さた超格子構造の多層膜よりなる
n側第2多層膜層6を640オングストロームの膜厚で
成長させる。
【0053】(活性層7)次に、アンドープGaNより
なる障壁層を200オングストロームの膜厚で成長さ
せ、続いて温度を800℃にして、TMG、TMI、ア
ンモニアを用いアンドープIn0.4Ga0.6Nよりなる井
戸層を30オングストロームの膜厚で成長させる。そし
て障壁+井戸+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層
を5層、井戸層を4層、交互に積層して、総膜厚112
0オングストロームの多重量子井戸構造よりなる活性層
7を成長させる。
【0054】(p側多層膜クラッド層8)次に、温度1
050℃でTMG、TMA、アンモニア、Cp2Mg
(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgを
1×1020/cm3ドープしたp型Al0.2Ga0.8Nより
なる第3の窒化物半導体層を40オングストロームの膜
厚で成長させ、続いて温度を800℃にして、TMG、
TMI、アンモニア、Cp2Mgを用いMgを1×10
20/cm3ドープしたIn0.03Ga0.97Nよりなる第4の
窒化物半導体層を25オングストロームの膜厚で成長さ
せる。そしてこれらの操作を繰り返し、第3+第4の順
で交互に5層ずつ積層し、最後に第3の窒化物半導体層
を40オングストロームの膜厚で成長させた超格子構造
の多層膜よりなるp側多層膜クラッド層8を365オン
グストロームの膜厚で成長させる。
【0055】(p側GaNコンタクト層9)続いて10
50℃で、TMG、アンモニア、Cp2Mgを用い、M
gを1×1020/cm3ドープしたp型GaNよりなるp
側コンタクト層9を700オングストロームの膜厚で成
長させる。
【0056】反応終了後、温度を室温まで下げ、さらに
窒素雰囲気中、ウェーハを反応容器内において、700
℃でアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化す
る。
【0057】アニーリング後、ウェーハを反応容器から
取り出し、最上層のp側コンタクト層9の表面に所定の
形状のマスクを形成し、RIE(反応性イオンエッチン
グ)装置でp側コンタクト層側からエッチングを行い、
図1に示すようにn側コンタクト層4の表面を露出させ
る。
【0058】エッチング後、最上層にあるp側コンタク
ト層のほぼ全面に膜厚200オングストロームのNiと
Auを含む透光性のp電極10と、そのp電極10の上
にボンディング用のAuよりなるpパッド電極11を
0.5μmの膜厚で形成する。一方、エッチングにより
露出させたn側コンタクト層4の表面にはWとAlを含
むn電極12を形成してLED素子とした。
【0059】このLED素子は順方向電流20mAにお
いて、520nmの純緑色発光を示し、Vfは3.5V
で、従来の多重量子井戸構造のLED素子に比較して、
Vfで1.0V近く低下し、出力は2.0倍以上に向上
した。そのため、10mAで従来のLED素子とほぼ同
等の特性を有するLEDが得られた。更に静電耐圧は従
来の1.3倍以上となり良好である。
【0060】なお、従来のLED素子の構成は、GaN
よりなる第1のバッファ層の上に、アンドープGaNよ
りなる第2のバッファ層、SiドープGaNよりなるn
側コンタクト層、実施例1と同一の多重量子井戸構造よ
りなる活性層、単一のMgドープAl0.1Ga0.9N層、
MgドープGaNからなるp側コンタクト層を順に積層
したものである。
【0061】[実施例2]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.3Ga0.7Nよりなる井戸層を30オン
グストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+
障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を7層、井戸層
を6層、交互に積層して、総膜厚1930オングストロ
ームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、470nmの純青色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0062】[実施例3]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.3Ga0.7Nよりなる井戸層を30オン
グストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸+
障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を6層、井戸層
を5層、交互に積層して、総膜厚1650オングストロ
ームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、470nmの純青色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0063】[実施例4]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.35Ga0.65Nよりなる井戸層を30オ
ングストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸
+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を7層、井戸
層を6層、交互に積層して、総膜厚1930オングスト
ロームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、500nmの青緑色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0064】[実施例5]実施例1において、活性層7
を以下のように変える他は同様にしてLED素子を作製
した。 (活性層7)次に、アンドープGaNよりなる障壁層を
250オングストロームの膜厚で成長させ、続いて温度
を800℃にして、TMG、TMI、アンモニアを用い
アンドープIn0.35Ga0.65Nよりなる井戸層を30オ
ングストロームの膜厚で成長させる。そして障壁+井戸
+障壁+井戸・・・・+障壁の順で障壁層を4層、井戸
層を3層、交互に積層して、総膜厚1090オングスト
ロームの多重量子井戸構造よりなる活性層7を成長させ
る。得られたLED素子は、順方向電流20mAにおい
て、500nmの青緑色発光を示し、実施例1と同様に
良好な結果が得られる。
【0065】[実施例6]実施例1において、n側第2
多層膜層6を成長させない他は同様にしてLED素子を
作製した。得られたLED素子は、実施例1に比べやや
素子特性及び発光出力が低いものの従来のLED素子と
比較すると良好な発光出力を有している。
【0066】[実施例7]実施例1において、p側多層
膜クラッド層8を以下のように変える他は同様にしてL
ED素子を作製した。 (p側単一膜クラッド層8)温度1050℃でTMG、
TMA、アンモニア、Cp2Mg(シクロペンタジエニ
ルマグネシウム)を用い、Mgを1×1020/cm3ドー
プしたp型Al0.16Ga0.84Nよりなるp側単一膜クラ
ッド層8を300オングストロームの膜厚で成長させ
る。得られたLED素子は、クラッド層を超格子とせず
単一の層として成長させているが、その他の層構成との
組み合わせにより、実施例1よりやや性能が劣るものの
ほぼ同様に良好な結果が得られる。また、単一層とする
と、多層膜層にする場合に比べ製造工程が簡易化でき好
ましい。
【0067】[実施例8]実施例1において、n側第1
多層膜層5を以下のように変える他は同様にしてLED
素子を作製した。 (n側第1多層膜層5)アンドープGaN層よりなるA
層を100オングストロームの膜厚で成長させ、Siを
1×1018/cm3ドープしたAl0.1Ga0.9Nよりな
るB層を25オングストロームの膜厚で成長させてなる
A層とB層の1ペアを20層積層して2500オングス
トローム厚としてn側第1多層膜層5を成長させる。得
られたLED素子は、実施例1とほぼ同等の特性を有
し、良好な結果が得られる。
【0068】[実施例9]実施例1において、n側コン
タクト層4を以下のように変える他は同様にしてLED
素子を作製した。 (n側コンタクト層4)1050℃で、原料ガスにTM
G、アンモニアガス、不純物ガスにシランガスを用い、
Siを4.5×1018/cm3ドープしたGaNよりなる
n側コンタクト層4を6μmの膜厚で成長させる。得ら
れたLED素子は、実施例1とほぼ同等の特性を有し、
良好な結果が得られる。
【0069】[実施例10]実施例1において、n側コ
ンタクト層4の膜厚を4.25μm、5.25μm、
7.25μmとする他は同様にして、3種のLED素子
を作製しする。得られたLED素子は、実施例1とほぼ
同等の特性を有し、良好な結果が得られ、また、膜厚が
4.25μm及び5.25μmの場合は、静電耐圧等が
やや実施例1より良好となる。
【0070】[実施例11]実施例1において、n側第
2多層膜層6をアンドープGaNよりなる第2の窒化物
半導体層と、Siを5×1017/cm3ドープしたIn
0.13Ga0.87Nよりなる第1の窒化物半導体層とからな
る多層膜とする他は同様にしてLED素子を作製する。
得られたLED素子は、実施例1とほぼ同等の特性を示
す。
【0071】[実施例12]実施例1において、p側多
層膜クラッド層8をMgを5×1019/cm3ドープし
たAl0.2Ga0.8Nよりなる第3の窒化物半導体層と、
アンドープのIn0. 03Ga0.97Nよりなる第4の窒化物
半導体層とからなる多層膜とする他は同様にしてLED
素子を作製する。得られたLED素子は、実施例1とほ
ぼ同等の特性を示す。
【0072】[実施例13]実施例1において、p側多
層膜クラッド層8をアンドープのAl0.2Ga0.8Nより
なる第3の窒化物半導体層と、Mgを5×1019/cm
3ドープしたIn0.0 3Ga0.97Nよりなる第4の窒化物
半導体層とからなる多層膜とする他は同様にしてLED
素子を作製する。得られたLED素子は、実施例1とほ
ぼ同等の特性を示す。
【0073】
【発明の効果】本発明の窒化物半導体素子は、多重量子
井戸構造の活性層と、以上のような特定の層構成とを組
み合わせることにより、多重量子井戸構造の活性層の可
能性を良好に発揮させることができ、発光出力の向上及
び静電耐圧の向上を可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態であるLED素
子の構造を示す模式断面図である。
【符号の説明】
1・・・サファイア基板、 2・・・バッファ層、 3・・・アンドープGaN層、 4・・・n側コンタクト層、 5・・・n側第1多層膜層、 6・・・n側第2多層膜層、 7・・・活性層、 8・・・p側クラッド層、 9・・・Mgドープp側GaNコンタクト層、 10・・・p電極、 11・・・n電極。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、n側窒化物半導体層、活性層
    及びp側窒化物半導体層を有する窒化物半導体素子にお
    いて、 前記活性層が、InaGa1-aN(0≦a<1)層を含む
    多重量子井戸構造であり、 前記n側窒化物半導体層が、n型不純物が互いに異なる
    濃度でドープされているバンドギャップエネルギーが異
    なる又はn型不純物が互いに異なる濃度でドープされて
    いる同一組成を有する少なくとも2種類の窒化物半導体
    層が積層されてなるn側第1多層膜層と、 Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒化物
    半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体層と
    が積層されてなり、前記n側第1多層膜と前記活性層と
    の間に位置するn側第2多層膜層とを含むことを特徴と
    する窒化物半導体素子。
  2. 【請求項2】 前記p側窒化物半導体層が、互いにバン
    ドギャップエネルギーが異なりかつp型不純物濃度が異
    なる又は同一の第3と第4の窒化物半導体層が積層され
    てなるp側多層膜クラッド層を含むことを特徴とする請
    求項1記載の窒化物半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記p側窒化物半導体層が、p型不純物
    を含みAlbGa1-bN(0≦b≦1)よりなるp側単一
    膜クラッド層を含むことを特徴とする請求項1記載の窒
    化物半導体素子。
  4. 【請求項4】 前記n側第1多層膜層と活性層との間
    に、Inを含む第1の窒化物半導体層と、その第1の窒
    化物半導体層と異なる組成を有する第2の窒化物半導体
    層とが積層されたn側第2多層膜層を有する請求項1〜
    3のうちのいずれか1項に記載の窒化半導体素子。
  5. 【請求項5】 前記n側第1多層膜層と前記基板側との
    間に、n型不純物を含むn側コンタクト層を有する請求
    項1〜4のうちのいずれか1項に記載の窒化物半導体素
    子。
  6. 【請求項6】 前記n側コンタクト層が、アンドープG
    aN層の上に形成されてなることを特徴とする請求項5
    に記載の窒化物半導体素子。
  7. 【請求項7】 前記窒化物半導体素子において、前記ア
    ンドープGaN層が低温成長させたGadAl1-dN(0
    <d≦1)からなるバッファ層上に形成され、更に前記
    p側多層膜クラッド層又はp側単一膜クラッド層上にp
    型不純物としてMgを含むp側GaNコンタクト層を形
    成してなる請求項6に記載の窒化物半導体素子。
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