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JP2000129108A - ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート系樹脂組成物

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Publication number
JP2000129108A
JP2000129108A JP30844498A JP30844498A JP2000129108A JP 2000129108 A JP2000129108 A JP 2000129108A JP 30844498 A JP30844498 A JP 30844498A JP 30844498 A JP30844498 A JP 30844498A JP 2000129108 A JP2000129108 A JP 2000129108A
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JP
Japan
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bis
compound
hydroxyphenyl
resin
polycarbonate
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Application number
JP30844498A
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Yoshitaka Oono
良貴 大野
Yoichi Ohara
洋一 大原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】優れた流動性及び優れた耐衝撃性を有するポリ
カーボネート系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】ポリカーボネート系樹脂に、ポリエステル
系樹脂及び特定のポリオルガノシルセスキオキサン化合
物を配合することによる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂組成
物に関する。より詳細には、特定割合のポリカーボネー
ト系樹脂及び熱可塑性ポリエステル系樹脂に、特定のポ
リオルガノシルセスキオキサン化合物を添加することで
流動性に優れ、耐衝撃性を改善されたポリカーボネート
系樹脂組成物を製造し、使用する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート系樹脂は、エンジニア
リングプラスチックの中でも最高の耐衝撃性を有し、耐
熱変形性も良好な樹脂として知られており、これらの特
徴を生かし、電気電子など種々の分野に利用されている
が、耐溶剤性、成形流動性等の欠点を有している。ポリ
カーボネート系樹脂の成形加工性などを改良する目的と
して、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレ
フタレートなどのポリエステル系樹脂などのポリカーボ
ネート系アロイが提案されている。一般的にポリカーボ
ネート系樹脂とポリエステル系樹脂とのアロイ化は,ポ
リカーボネート系樹脂の成形加工性などを改良する反
面、耐衝撃性を損なうため、耐衝撃性改良剤としてジエ
ン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン−プロピレン系ゴ
ム、これらゴム状弾性体を用いたグラフトゴムなどの複
合ゴムを添加する必要がある。これら耐衝撃性改良剤の
うちジエン系ゴム、アクリル系ゴム、エチレン−プロピ
レン系ゴムなどのゴム状弾性体は、加工時に酸化劣化を
受けやすく、樹脂組成物をリサイクルし使用する際、物
性劣化を引き起こすなどの問題がある。このため比較的
熱安定性に優れたポリオルガノシロキサン系ゴムに代表
されるケイ素系化合物が着目されている。しかしなが
ら、ポリオルガノシロキサン系ゴムは、樹脂との親和性
に乏しい場合が多く、耐衝撃性改善効果が十分得られな
かったり、成形不良を起こすなどの問題がある。樹脂と
の親和性を改善する目的でアクリル系樹脂等をグラフト
した耐衝撃性改良などが市販されているが、熱安定性が
不十分であったり、難燃化する場合、難燃性悪化の原因
となる。一方、ケイ素系化合物を配合した樹脂組成物と
しては、特公昭62−60421号公報では、熱可塑性
非シリコーンポリマーに式SiO1.5 で示されるT単位
を80重量%以上含むポリシロキサン樹脂(ポリシロキ
サン樹脂の分子量が2,000以上6,000以下で、
フェニル基80%以下,残りがメチル基であることがポ
リマー組成物の耐燃化には好ましいと記載)を配合した
樹脂組成物、特開平10−139964では、芳香環を
含有する非シリコーン樹脂に式;SiO1.0で示される単
位と式;SiO1.5で示される単位を持つシリコーン樹脂
(重量平均分子量が10,000以上270,000以
下。)を配合した難燃性樹脂組成物が挙げられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このようなポリカーボ
ネート系樹脂組成物を用いる分野においては(例えばO
A機器等の筺体や自動車外装部品などに用いられる場合
には)、難燃性,耐薬品性などの物性の他、優れた耐衝
撃性が要求される。特公昭62−60421号公報,特
開平10−139964で挙げられるようなケイ素系化
合物をポリカーボネート系樹脂及びポリエステル系樹脂
のアロイ樹脂にただ単に添加混合しただけでは、難燃性
は得られるものの耐衝撃性が得られず工業的価値の低い
ものであった。
【0004】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的は優れた耐衝撃性を有するポ
リカーボネート系樹脂組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意検討
を行った結果、特定割合のポリカーボネート系樹脂と熱
可塑性ポリエステル系樹脂からなる樹脂組成物に対し特
定のポリオルガノシルセスキオキサン化合物を添加する
ことにより驚くべきことに優れた耐衝撃性を有するポリ
カーボネート系樹脂組成物が得られることを見い出し本
発明に至った。
【0006】すなわち本発明の熱可塑性樹脂組成物は、
(A)ポリカーボネート系樹脂および(B)熱可塑性ポ
リエステル系樹脂を95/5〜60/40の重量比で含
有する樹脂100重量部と、(C)下記一般式(1),
(2),(3)で表される単位が以下の割合で構成され
てなるポリオルガノシルセスキオキサン化合物1〜30
重量部を含有することを特徴とする流動性に優れ、耐衝
撃性の改善された熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0007】
【化4】
【0008】
【化5】
【0009】
【化6】
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用する(A)ポリカー
ボネート系樹脂とは、具体的には、2価以上のフェノー
ル化合物と、ホスゲン、ジフェニルカーボネートのよう
な炭酸ジエステルとを反応させて得られるものである。
【0011】2価フェノールとしては、様々なものがあ
るが、特に、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパン〔通称:ビスフェノールA〕が好適である。ビ
スフェノールA以外の2価フェノールとしては、例え
ば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン;ビス(4
−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン;ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ナフチルメタン;ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)−(4−イソプロピルフェニル)メタ
ン;ビス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)メタン;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシ
フェニル)メタン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン;1−ナフチル−1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エタン;1−フェニル−1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン;1,2−ビス(4
−ヒドロキシフェニル)エタン;2−メチル−1,1−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
パン;1−エチル−1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン;2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン;2,2−ビス(3,
5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン;
2,2−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)
プロパン;2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン;2,2−ビス(3−フルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)プロパン;1,1−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ブタン;1,4−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン;2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン;4−メチル−2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)ペンタン;2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)ヘキサン;4,4−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)ヘプタン;2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ノナン;1,10−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)デカン;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン;2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,
3,3,3−ヘキサフルオロプロパンなどのジヒドロキ
シジアリールアルカン類、1,1−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)シクロヘキサン;1,1−ビス(3,5−
ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロデカン
などのジヒドロキシジアリールシクロアルカン類、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(3,5−
ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス
(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)スルホンなど
のジヒドロキシジアリールスルホン類、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)エーテル;ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)エーテルなどのジヒドロキシ
ジアリールエーテル類、4,4’−ジヒドロキシベンゾ
フェノン;3,3’,5,5’−テトラメチル−4,
4’−ジヒドロキシベンゾフェノンなどのジヒドロキシ
ジアリールケトン類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)
スルフィド;ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)スルフィド;ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロ
キシフェニル)スルフィドなどのジヒドロキシジアリー
ルスルフィド類、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スル
ホキシドなどのジヒドロキシジアリールスルホキシド
類、4,4’−ジヒロキシジフェニルなどのジヒドロキ
シジフェニル類、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フルオレンなどのジヒドロキシアリールフルオレン
類などが挙げられる。また、二価フェノール類以外に、
ヒドロキノン,レゾルシノール,メチルヒドロキノンな
どのジヒドロキシベンゼン類、1,5−ジヒドロキシナ
フタレン;2,6−ジヒドロキシナフタレンなどのジヒ
ドロキシナフタレン類などが挙げられる。これらの二価
フェノール等は、それぞれ一種で用いてもよく、二種以
上を組合わせて用いてもよい。また、炭酸ジエステル化
合物としては、ジフェニルカーボネートなどのジアリー
ルカーボネートや、ジメチルカーボネート,ジエチルカ
ーボネートなどのジアルキルカーボネートが挙げられ
る。機械的強度と成形性のバランスの点から、好ましい
ポリカーボネート系樹脂としては、2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパンとジフェニルカーボネー
トとを反応させて得られるポリカーボネート系樹脂,
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンとジ
メチルカーボネートとを反応させて得られるポリカーボ
ネート系樹脂,2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパンとジエチルカーボネートとを反応させて得
られるポリカーボネート系樹脂,ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)メタンとジフェニルカーボネートとを反応さ
せて得られるポリカーボネート系樹脂,ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)フェニルメタンとジフェニルカーボネ
ートとを反応させて得られるポリカーボネート系樹脂な
どが挙げられる。
【0012】本発明においては、(A)成分のポリカー
ボネート系樹脂には、必要に応じて、分岐ポリカーボネ
ートを含有させることができる。上記分岐ポリカーボネ
ートを得るために用いられる分岐剤としては、例えば、
フロログルシン,メリト酸,トリメリト酸,トリメリト
酸クロリド,無水トリメリト酸,プロトカテク酸,ピロ
メリト酸,ピロメリト酸二無水物,α−レゾルシン酸,
β−レゾルシン酸,レゾルシンアルデヒド,トリメチル
クロリド,イサチンビス(o−クレゾール),トリメチ
ルトリクロリド,4−クロロホルミルフタル酸無水物,
ベンゾフェノンテトラカルボン酸;2,4,4’−トリ
ヒドロキシベンゾフェノン;2,2’,4,4’−テト
ラヒドロキシベンゾフェノン;2,4,4’−トリヒド
ロキシフェニルエーテル;2,2’,4,4’−テトラ
ヒドロキシフェニルエーテル;2,4,4’−トリヒド
ロキシジフェニル−2−プロパン;2,2’−ビス
(2,4−ジヒドロキシ)プロパン;2,2’,4,
4’−テトラヒドロキシジフェニルメタン;2,4,
4’−トリヒドロキシジフェニルメタン;1−〔α−メ
チル−α−(4’−ジヒドロキシフェニル)エチル〕−
3−〔α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシフェニル)
エチル〕ベンゼン;1−〔α−メチル−α−(4’−ジ
ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α’,α’−ビ
ス(4”−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン;
α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−
1,3,5−トリイソプロピルベンゼン;2,6−ビス
(2−ヒドロキシ−5’−メチルベンジル)−4−メチ
ルフェノール;4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4’−ヒドロキシフェニル)−2−ヘプテン;4,6
−ジメチル−2,4,6−トリス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)−2−ヘプタン;1,3,5−トリス(4’−
ヒドロキシフェニル)ベンゼン;1,1,1−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)エタン;2,2−ビス
〔4,4−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キシル〕プロパン;2,6−ビス(2’−ヒドロキシ−
5’−イソプロピルベンジル)−4−イソプロピルフェ
ノール;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキ
シ−5’−メチルベンジル)−5−メチルフェニル〕メ
タン;ビス〔2−ヒドロキシ−3−(2’−ヒドロキシ
−5’−イソプロピルベンジル)−5−メチルフェニ
ル〕メタン;テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)メ
タン;トリス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタ
ン;2’,4’,7−トリヒドロキシフラバン;2,
4,4−トリメチル−2’,4’,7−トリヒドロキシ
フラバン;1,3−ビス(2’,4’−ジヒドロキシフ
ェニルイソプロピル)ベンゼン;トリス(4’−ヒドロ
キシフェニル)−アミル−s−トリアジンなどが挙げら
れる。
【0013】また、場合によっては、(A)成分のポリ
カーボネート系樹脂としては、ポリカーボネート部と、
ポリオルガノシロキサン部とからなるポリカーボネート
−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いてもよい。こ
の際ポリオルガノシロキサン部の重合度は5以上が好ま
しい。
【0014】この他、(A)成分のポリカーボネート系
樹脂としては、例えば、アジピン酸,ピメリン酸,スベ
リン酸,アゼライン酸,セバシン酸,デカンジカルボン
酸などの直鎖状脂肪族二価カルボン酸を共重合モノマー
とする共重合体を用いることもできる。
【0015】なお、ポリカーボネート系樹脂の重合時の
末端停止剤としては、公知の各種のものを使用すること
ができる。具体的には、一価フェノールとして、例え
ば、フェノール,p−クレゾール,p−t−ブチルフェ
ノール,p−t−オクチルフェノール,p−クミルフェ
ノール,ブロモフェノール,トリブロモフェノール,ノ
ニルフェノールなどが挙げられる。
【0016】難燃性を付与するためには、リン化合物と
の共重合体、あるいは、リン系化合物で末端封止したポ
リマーを使用することもできる。さらに、耐候性を高め
るためには、ベンゾトリアゾール基を有する二価フェノ
ールとの共重合体を使用することもできる。
【0017】本発明に用いられる(A)ポリカーボネー
ト系樹脂の粘度平均分子量は、好ましくは10000〜
60000であり、さらに好ましくは15000〜45
000、最も好ましくは18000〜35000であ
る。粘度平均分子量が10000未満では得られる樹脂
組成物の強度や耐熱性などが不充分である場合が多い。
粘度平均分子量が60000を越えると、成形加工性が
不充分である場合が多い。
【0018】このようなポリカーボネート系樹脂は、1
種あるいは、2種以上を組み合わせて使用される。2種
以上組み合わせて使用する場合には、組み合わせは限定
されない。例えば、モノマー単位が異なるもの、共重合
モル比が異なるもの、および/または、分子量が異なる
ものが任意に組み合わせられる。
【0019】本発明で用いられる、(B)熱可塑性ポリ
エステル系樹脂は、2価以上のカルボン酸成分、2価以
上のアルコールおよび/またはフェノール成分とを公知
の方法で重縮合することにより得られる熱可塑性ポリエ
ステルである。熱可塑性ポリエステル系樹脂の具体的と
しては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプ
ロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリシクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリブチレンナフタレートなどが挙げられる。
これら熱可塑性ポリエステルのうち、耐熱性,成型加工
性の点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピ
レンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートが好
ましい。
【0020】2価以上の芳香族カルボン酸成分として
は、炭素数8〜22の2価以上の芳香族カルボン酸、お
よびこれらのエステル形成性誘導体が用いられる。これ
らの具体例としては、テレフタル酸やイソフタル酸等の
フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビス(p−カルボ
シフェニル)メタンアントラセンジカルボン酸、4−
4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノ
キシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルス
ルホンジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、
ピロメリット酸、等のカルボン酸、ならびにこれらのエ
ステル形成能を有する誘導体が挙げられる。これらは一
種あるいは2種以上を併用して用いられる。好ましくは
テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸
である。取り扱い易さ、反応の容易さ、得られた樹脂の
物性、などに優れるからである。
【0021】2価以上のアルコール及び/又はフェノー
ル成分としては、炭素数2〜15の脂肪族化合物、炭素
数6〜20の脂環式化合物、炭素数6〜40の芳香族化
合物であって分子内に2個以上の水酸基を有する化合物
類、ならびにこれらのエステル形成性誘導体などが挙げ
られる。このようなアルコールおよび/またはフェノー
ル成分の具体例としては、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、
デカンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキ
サンジメタノール、シクロヘキサンジオール、2,2’
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2’
−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、ハ
イドロキノン、グリセリン、ペンタエリスリトール、な
どの化合物または、そのエステル形成能を有する誘導体
が挙げられる。好ましいアルコールおよび/またはフェ
ノール成分は、エチレングリコール、ブタンジオール、
シクロヘキサンジメタノール、である。取り扱い易さ、
反応の容易さ、得られた樹脂の物性、などが優れるから
である。
【0022】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂には、
上記の酸成分ならびにアルコールおよび/またはフェノ
ール成分以外に、所望の特性を損なわない範囲で、公知
の共重合可能な成分が共重合されていても良い。このよ
うな共重合可能な成分としては、炭素数4〜12の2価
以上の脂肪族カルボン酸、炭素数8〜15の2価以上の
脂環式カルボン酸、などのカルボン酸類およびこれらの
エステル形成性誘導体が挙げられる。これらの具体例と
しては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデ
カンジカルボン酸、マレイン酸、1,3−シクロヘキサ
ンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、などのジカルボン酸または、そのエステル形成能を
有する誘導体、が挙げられる。
【0023】また、p−オキシ安息香酸、p−ヒドロキ
シ安息香酸のようなオキシ酸およびこれらのエステル形
成性誘導体、ε−カプロラクトンのような環状エステ
ル、等も共重合成分として使用可能である。さらに、ポ
リエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポ
リ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロ
ックおよびまたは、ランダム共重合体、ビスフェノール
A共重合ポリエチレンオキシド付加重合体、同プロピレ
ンオキシド付加重合体、同テトラヒドロフラン付加重合
体、ポリテトラメチレングリコール、等のポリアルキレ
ングリコール単位を高分子鎖中に一部共重合させたもの
を用いることもできる。上記成分の共重合量としては、
概ね20重量%以下であり、好ましくは、15重量%以
下、さらに好ましくは、10重量%以下である。
【0024】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂は、ア
ルキレンテレフタレート単位を、好ましくは80重量%
以上、さらに好ましくは85重量%以上、最も好ましく
は90重量%以上有するポリアルキレンテレフタレート
である。得られた組成物の物性バランス(例えば成形
性,機械的特性)に優れるためである。
【0025】(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂の、フ
ェノール/テトラクロロエタン=1/1(重量比)混合
溶媒中、25℃で測定したときの対数粘度(IV)は、
好ましくは0.30〜2.00dl/g以上であり、好
ましくは0.40〜1.80dl/g、さらに好ましく
は0.50〜1.60dl/gである。対数粘度が0.
30未満では、成形体の機械的強度が不充分である場合
が多く、2.00dl/gを越えると成形加工性が低下
する傾向がある。(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂
は、一種で、あるいは、2種以上組み合わせて使用され
うる。2種以上組み合わせて使用する場合には、組み合
わせは限定されない。例えば、共重合成分やモル比が異
なるもの、および/または、分子量が異なるものが、任
意に組み合わせられる。
【0026】本発明においては、(A)ポリカーボネー
ト系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂との混合
比は、重量比で95/5〜60/40であり、好ましく
は、93/7〜63/37、さらに好ましくは、90/
10〜65/35の範囲である。(A)ポリカーボネー
ト系樹脂と(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂との混合
物中での重量比が、95/5を越えると得られた成形品
の成形流動性が不充分であり、また60/40未満であ
ると耐熱性などが低下し、さらに耐衝撃性改良効果が得
られない場合がある。本発明に用いられる(C)ポリオ
ルガノシルセスキオキサン化合物は、下記一般式
(1),(2),(3)
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】 RおよびR'として用いられる炭素数が1〜12の炭化
水素基としては、例えば、メチル,エチル,n−プロピ
ル,イソ−プロピル,n−ブチル,イソ−ブチル,t−
ブチルなどのアルキル基、フェニル,トリル,キシリル
などのアリール基、β−フェニルエチル,β−フェニル
プロピルなどのアリールアルキル基などが挙げられる。
成形体中への分散性の点から、全R及びR'中50モル
%以上がメチル基及び/またはフェニル基であることが
好ましく、さらに60モル%であることがさらに好まし
い。R及びR'として用いられるエポキシ基,水酸基、
ビニル基、アクリル基、メタクリル基から選ばれる反応
性基で変性した炭素数1〜16個の変性アルキル基又は
変性アリール基としては、例えば下記のようなものが例
示される。
【0030】
【化10】
【0031】
【化11】
【0032】
【化12】
【0033】
【化13】
【0034】
【化14】 耐熱性を保持する上で、全R及びR'中の水酸基及び/
またはアルコキシル基の割合は、10モル%未満である
ことが好ましく、6モル%未満であることがさらに好ま
しい。10モル%以上であると、耐熱性が低下する場合
がある。本発明に用いられる(C)ポリオルガノシルセ
スキオキサン化合物は、一般式(1)で表されるオルガ
ノシルセスキオキサン単位(T単位)を90〜40モル
%有するが、好ましくは85〜45モル%であり、90
モル%を越えるか40モル%未満であると耐衝撃性改良
効果が得られなかったり、成形品外観不良の原因となる
場合がある。本発明に用いられる(C)ポリオルガノシ
ルセスキオキサン化合物は、一般式(2)で表されるオ
ルガノシロキサン単位(D単位及び反応不完全なT単
位)が50モル%以下であるが、好ましくは47モル%
以下であり、50モル%を越えると耐衝撃性改良効果が
得られなかったり、分散性が悪化し成形品外観不良の原
因となる場合がある。本発明に用いられる(C)ポリオ
ルガノシルセスキオキサン化合物は、一般式(3)で表
される単位が10〜60モル%であるが、(C)ポリオ
ルガノシルセスキオキサン化合物の合成時に反応させよ
うとするT単位と官能度によってほぼ決まる量であり、
10%未満であると耐衝撃性改良効果が得られない場合
がある。(C)ポリオルガノシルセスキオキサン化合物
の重合時、反応させようとするT単位に対して0.1〜
1の割合で末端封鎖するのが特に好ましい。本発明に用
いられる(C)ポリオルガノシルセスキオキサン化合物
を構成する単位(1)と(2)の割合は、成形加工性,
得られた成形体の表面性の点から、モル比((1)のモル
数/(2)のモル数)で5/6以上さらには1/1以上で
あることが好ましい。本発明に用いられる(C)ポリオ
ルガノシルセスキオキサン化合物の分子量は、耐衝撃性
を効果的に改良する点から、重量平均分子量が10,0
0〜100,000が好ましく、更に重量平均分子量が
2000〜10,000の範囲の重合体であることが好
ましい。本発明に用いられる(C)ポリオルガノシルセ
スキオキサン化合物の製造方法は、工業的に知られたも
のであり、公知の種々の方法によって製造してかまわな
い。例えば、メチルトリアルコキシシラン,ジメチルジ
アルコキシシラン,トリメチルアルコキシシラン,フェ
ニルトリアルコキシシラン,ジフェニルジアルコキシシ
ラン,トリフェニルアルコキシシラン、メチルフェニル
ジアルコキシシランなどのアルコキシシラン及び下記一
般式(4)で表されるアルコキシシランの加水分解に続
く脱水縮合反応やメチルトリクロロシラン,ジメチルジ
クロロシラン,トリメチルクロロシラン,フェニルトリ
クロロシラン,ジフェニルジクロロシラン,トリフェニ
ルクロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン,ジメ
チルフェニルクロロシランなどのクロロシランの加水分
解に続く脱水縮合反応,によるような任意の方法によっ
て製造できる。
【0035】
【化15】 (式中、R1はエポキシ基,水酸基、ビニル基、アクリ
ル基、メタクリル基から選ばれる反応性基で変性した炭
素数1〜16個の変性アルキル基又は変性アリール基を
示し、R1は同一でも異なっていても良く、R2は炭素数
が1〜12の一価の炭化水素基を表し、R2は同一でも
異なっていても良い。式中、nは1,2,3の整数を、
a及びbは0,1,2の整数を示し、且つn=a+b,
a+b≧1である。) 本発明に用いられる(C)ポリオルガノシルセスキオキ
サン化合物は、一種で、あるいは、2種以上組み合わせ
て使用されうる。2種以上組み合わせて使用する場合に
は、組み合わせは限定されない。例えば、本発明の請求
範囲を満たしている限り、重合成分やモル比が異なるも
の、および/または、分子量が異なるものが、任意に組
み合わせられる。本発明に用いられる(C)ポリオルガ
ノシルセスキオキサン化合物の形状には特に制限はな
く、オイル状、ガム状、ワニス状、粉体状、ペレット
状、等の任意のものが利用可能である。
【0036】本発明に用いられる(C)ポリオルガノシ
ルセスキオキサン化合物の添加量は、(A)ポリカーボ
ネート樹脂および(B)熱可塑性ポリエステル系樹脂の
合計量100重量部に対して、1〜30重量部である
が、好ましくは1.5〜25重量部、さらに好ましくは
2〜20重量部である。添加量が1重量部未満では耐衝
撃性改良の効果が十分得られず、30重量部を越えると
成形品外観や表面性に悪影響を及ぼしたり成形不良とな
る傾向にある。本発明では、本発明の特性(耐衝撃性,
流動性,耐熱性,リサイクル性等)を損なわない範囲
で、得られた成形体の衝撃強度、靭性等をより高めるた
めに、ゴム弾性体を併用添加してもよい。ゴム弾性体と
しては、グラフト重合体及び/又はオレフィン系樹脂、
から選ばれた軟質樹脂1種以上を添加することが好まし
い。該ゴム弾性体は、ガラス転移温度が0℃以下、さら
には、−20℃以下のものが、得られた樹脂の衝撃強度
がさら向上するため好ましい。
【0037】ゴム弾性体の内、グラフトゴムとは、ゴム
状弾性体に対してビニル系単量体をグラフト共重合させ
たゴムである。
【0038】ゴム状弾性体としては、ポリブタジエン、
スチレン−ブタジエンゴム、アクリロニトリル−ブタジ
エンゴム、(メタ)アクリル酸アルキルエステル−ブタ
ジエンゴム、等のジエン系ゴム、アクリルゴム、エチレ
ン−プロピレンゴム、シロキサンゴム、等が挙げられ
る。
【0039】ビニル系単量体とは、芳香族ビニル系化合
物、シアン化ビニル系化合物、 (メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル、その他ゴム状弾性体にグラフト重合さ
せることが可能なビニル系化合物である。
【0040】芳香族ビニル化合物としては、スチレン、
o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチル
スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、ブロ
モスチレン、ビニルトルエン、等が挙げられる。
【0041】シアン化ビニル化合物としては、アクリロ
ニトリル、メタクリロニトリル、等が挙げられる。
【0042】(メタ)アクリル酸アルキルエステルとし
ては、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、エ
チルアクリレート、エチルメタクリレート、メチルアク
リレート、メチルメタクリレート、等が挙げられる。
【0043】その他のビニル系化合物としては、アクリ
ル酸、メタクリル酸、等の不飽和酸、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート、等の(メタ)アク
リル酸グリシジルエステル、酢酸ビニル、無水マレイン
酸、N−フェニルマレイミド、等が挙げられる。
【0044】ゴム状弾性体とビニル化合物を共重合する
際の共重合割合には特に制限はないが、衝撃強度をより
高めるために好ましい割合としては、重量比で10/9
0〜90/10、さらには、30/70〜80/20で
ある。ゴム状弾性体の重量比が10未満では耐衝撃性の
向上効果が少なくなる。また90を越えると(A)と
(B)との樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
【0045】ゴム弾性体の内、オレフィン系樹脂とは、
狭義のポリオレフィンの他に、ポリジエン、およびそれ
ら2種以上からなる混合物、オレフィンモノマーとジエ
ンモノマー2種以上からなる共重合体、オレフィンモノ
マーとオレフィンに共重合可能な他のビニル系モノマー
1種以上からなる共重合体、等を包含する広義の概念と
して用いられる。例えば、エチレン、プロピレン、1−
ブテン、1−ペンテン、イソブテン、ブタジエン、イソ
プレン、クロロピレン、フェニルプロパジエン、シクロ
ペンタジエン、1,5−ノルボルナジエン、1,3−シ
クロヘキサジエン、1,4−シクロヘキサジエン、1,
5−シクロオクタジエン、1,3−シクロオクタジエ
ン、α,ω−非共役ジエン類、等のモノマー群から1種
あるいは2種以上の組み合わせで選ばれる一種重合体あ
るいは共重合体、更に、これらの一種重合体、共重合体
2種以上からなる混合物からなる混合物が挙げられる。
これらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、等
が、得られた組成物の耐薬品性が向上するため好ましく
用いられる。
【0046】また、これらオレフィン成分と、(メタ)
アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、
(メタ)アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、無水マレ
イン酸、N−フェニルマレイミド、一酸化炭素、等のオ
レフィンと共重合可能なビニル系単量体との共重合体で
あっても良い。これら共重合体の具体例としては、エチ
レン・エチルアクリレート共重合体、エチレン・ブチル
アクリレート・一酸化炭素3元共重合体、エチレン・グ
リシジルメタクリレート共重合体、エチレン・グリシジ
ルメタクリレート・酢酸ビニル共重合体、エチレン・酢
酸ビニル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素
共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・
無水マレイン酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸・
N−フェニルマレイミド共重合体、等が挙げられる。
【0047】これらポリオレフィン系樹脂の重合方法に
は特に制限はなく、種々の方法で重合可能である。ポリ
エチレンであれば、重合方法により高密度ポリエチレ
ン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖低
密度ポリエチレン、等が得られるが、いずれも好ましく
用いることができる。
【0048】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、さらに
成形流動性を高めるために、本発明の特性(耐衝撃性,
耐熱性等)を損なわない範囲で、本発明で用いられる
(C)ポリオルガノシルセスキオキサン化合物以外のシ
リコーンなどを用いることができる。本発明で用いられ
る(C)ポリオルガノシルセスキオキサン化合物以外の
シリコーンとは、(C)ポリオルガノシルセスキオキサ
ン化合物以外の広義のポリオルガノシロキサン,(C)
ポリオルガノシルセスキオキサン化合物と同一構造を有
し分子量が請求項範囲外のものを指し、ジメチルシロキ
サン、フェニルメチルシロキサン、等のジオルガノシロ
キサン化合物、トリメチルシルヘミオキサン,トリフェ
ニルシルヘミオキサン、等のトリオルガノシルヘミオキ
サン化合物、及びこれらを重合して得られる共重合体、
ポリジメチルシロキサン、ポリフェニルメチルシロキサ
ン、等が挙げられる。オルガノポリシロキサンである場
合には、分子末端がエポキシ基、水酸基、カルボキシル
基、メルカプト基、アミノ基、エーテル、等により置換
された変性シリコーンも有用である。シリコーンの形状
には特に制限はなく、オイル状、ガム状、ワニス状、粉
体状、ペレット状、等の任意のものが利用可能である。
【0049】さらに本発明の難燃性熱可塑性樹脂組成物
は、本発明の特性(耐衝撃性,流動性,耐熱性等)を損
なわない範囲で、強化充填剤を組み合わせで強化材料と
してもよい。強化充填剤を添加することで、さらに耐熱
性,機械的強度などの向上をはかることができる。強化
充填剤の具体例としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊
維、チタン酸カリウム繊維、などの繊維状充填剤、ガラ
スビーズ、ガラスフレーク、タルク,マイカ,カオリ
ン、ワラストナイト、スメクタイト、珪藻土、炭酸カル
シウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどが挙げられ
る。強化充填剤として特に好ましくは、珪酸塩化合物お
よび/または繊維状強化剤である。
【0050】珪酸塩化合物としては、化学組成にしてS
iO2単位を含む粉体状、粒状、針状、板状などの形状
を持つ化合物であって、例えば、タルク,マイカ,珪酸
マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、ワ
ラストナイト、カオリン、珪藻土、スメクタイトなどが
挙げられ、天然であっても合成されたものであってもよ
い。なかでもタルク、マイカ、スメクタイトが好まし
い。該珪酸塩化合物の平均径[顕微鏡写真を画像処理す
ることにより求められる円に換算した場合の粒径]には
特に制限はないが、好ましい平均径としては、0.01
〜100μmであり、さらに好ましくは、0.1〜50
μm、さらに好ましくは0.3〜40μmである。平均
粒径が0.01μm未満では強度改善効果が十分でな
く、100μmを越えると、靭性が低下する傾向があ
る。
【0051】さらに該珪酸塩化合物はシラン系カップリ
ング剤、チタネート系カップリング剤などの表面処理剤
で処理されていてもよい。該シラン系カップリング剤と
しては例えばエポキシ系シラン、アミノ系シラン、ビニ
ル系シランなどが挙げられ、チタネート系カップリング
剤としては、例えばモノアルコキシ型、キレート型、コ
ーディネート型などのものが挙げられる。
【0052】珪酸塩化合物を表面処理剤で処理する方法
には特に限定はなく、通常の方法で実施しうる。例え
ば、層状珪酸塩に該表面処理剤を添加し、溶液中である
いは加熱しながら撹拌あるいは混合することで行える。
【0053】繊維状強化剤としては、ガラス繊維、カー
ボン繊維が挙げられる。繊維状強化剤を用いる場合、作
業性の面から、集束剤にて処理されたチョップドストラ
ンドガラス繊維を用いるのが好ましい。また、樹脂と繊
維状強化剤との密着性を高めるため、繊維状強化剤の表
面をカップリング剤で処理したものが好ましく、バイン
ダーを用いたものであってもよい。カップリング剤とし
ては、上記と同様の化合物を挙げることができる。
【0054】該強化充填剤にガラス繊維を用いる場合、
直径1〜20μm、長さ0.01〜50mm程度が好ま
しい。繊維長が短すぎると強化の効果が十分でなく、逆
に、長すぎると成形品の表面性や押出加工性、成形加工
性が悪くなるので好ましくない。
【0055】強化充填剤は一種あるいは2種以上混合し
て用いることができる。2種以上混合して用いる場合は
特に制限はないが、好ましい組み合わせとしては、カオ
リン,スメクタイトおよび、ガラス繊維から選ばれる2
種以上の強化充填剤である。
【0056】強化充填剤の添加量は、本発明の特性(耐
衝撃性,耐熱性等)を損なわない限り制限はないが、
(A)ポリカーボネート樹脂および(B)熱可塑性ポリ
エステル系樹脂又は熱可塑性ポリスチレン系樹脂の合計
量100重量部に対して、0.5〜100重量部が好ま
しく、さらに好ましくは、1〜60重量部、特に2〜4
0重量部が好ましい。添加量が0.5重量部未満では機
械的強度向上効果が小さく、100重量部を越えると、
加工性や耐衝撃性などの特性を損なう傾向にある。
【0057】本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明
を損なわない範囲でさらに他の任意の熱可塑性あるいは
熱硬化性の樹脂、例えば液晶ポリエステル系樹脂、ポリ
エステルエステルエラストマー系樹脂、ポリエステルエ
ーテルエラストマー系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポ
リアミド系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポ
リアセタール系樹脂、ポリサルホン系樹脂、等を一種あ
るいは2種以上あわせて添加しても良い。
【0058】また本発明の熱可塑性樹脂組成物をより高
性能な物にするため、フェノール系酸化防止剤、チオエ
ーテル系酸化防止剤、等の酸化防止剤、リン系安定剤、
等の熱安定剤、等を1種または2種類以上併せて使用す
ることが好ましい。さらに必要に応じて、通常良く知ら
れた、滑剤、離型剤、可塑剤、リン化合物などの難燃
剤、難燃助剤、ドリッピング防止剤、紫外線吸収剤、光
安定剤、顔料、染料、帯電防止剤、導電性付与剤、分散
剤、相溶化剤、抗菌剤、等の添加剤を1種または2種類
以上併せて使用することが出来る。
【0059】本発明の組成物の製造方法は特に限定され
るものではない。例えば上記成分、及び他の添加剤、樹
脂、等を必要に応じて乾燥後、単軸、2軸等の押出機の
ような溶融混練機にて、溶融混練する方法等により製造
することができる。また、配合剤が液体である場合は、
液体供給ポンプなどを用いて2軸押出機に途中添加して
製造することもできる。
【0060】本発明で製造された熱可塑性樹脂組成物の
成形加工法は特に限定されるものではなく、熱可塑性樹
脂について一般に用いられている成形法、例えば射出成
形、ブロー成形、押出成形、真空成形、プレス成形、カ
レンダー成形、発泡成形、等が適用できる。
【0061】本発明の熱可塑性樹脂組成物は、種々の用
途に好適に使用される。好ましい用途としては、家電、
OA機器部品、自動車部品などの射出成形品、ブロー成
形品、押出成形品、発泡成形品、などが挙げられる。
【0062】
【実施例】以下、本発明を実施例によって詳しく説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。な
お、以下では特にことわりがない限り、「部」は重量部
を、「%」は重量%を意味する。
【0063】なお、樹脂組成物の評価は下記の方法で行
った。 評価方法 得られたペレットを100℃にて5時間乾燥後、35t
射出成形機を用い、シリンダー温度280℃、金型温度
50℃にて厚み3.2mmバー及び6.4mmバーの試
験片を作成した。 耐衝撃性:厚み3.2mmバーを用いASTM D−2
56に従って、23℃にてノッチ付きアイゾット衝撃強
度の測定を行い、耐衝撃性を評価した。 耐熱性:厚み6.4mmバーを用いASTM D−64
8に従って、荷重0.45MPaにて荷重たわみ温度の
測定を行い、耐熱性を評価した。 流動性:ペレットを120℃にて5時間乾燥後、JIS
K6730に従い280℃,荷重2160gのメルト
インデックス(MI)の測定を行い流動性を評価した。 実施例1 ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−1)の製
造 メチルトリジクロロシラン200ml,ジフェニルジク
ロロシラン15ml,トリフェニルクロロシラン15m
lをフラスコ内にて15〜20℃のイオン交換水600
mlに攪拌しながら徐々に添加した。添加終了後、水分
を減圧除去しながら徐々に120℃に加熱し、4時間反
応を行った。なお、反応終了時に過剰量のトリメチルク
ロロシランを添加し末端を封鎖した。得られた反応物を
冷却してポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−
1)を得た。Varian社製XL−300装置を用い
NMRスペクトルを測定した結果、一般式(1),
(2),(3)で表される構造単位の構成比率が85:
3:12、全R及びR'中残存しているアルコキシル基
及び水酸基の割合はモル比で2.6%であった。また、
ゲル浸透グロマトグラフィー(GPC)により測定した
分子量は8200であった。
【0064】粘度平均分子量が約22000のビスフェ
ノールA型ポリカーボネート樹脂(A−1)70重量部
と、対数粘度が約0.75dl/gのポリエチレンテレ
フタレート樹脂(B−1)30重量部、ポリオルガノシ
ルセスキオキサン化合物(C−1)7重量部、燐系安定
剤としてアデカスタブHP−10(旭電化製商品名)
0.3重量部,を予めドライブレンドした後、シリンダ
ー温度を280℃に設定したベント付き2軸押出機[T
EX44:日本製鋼所株式会社製商品名]のホッパーに
供給し溶融押出することにより、樹脂組成物を得た。該
樹脂組成物の評価結果を表1に示す。 実施例2〜8:各配合剤を表1及び2に示した組成に変
更した以外は、実施例1と同様にして樹脂組成物を得
た。さらに、配合剤は以下のものを用いた。評価結果を
表1及び2に示す。
【0065】(A)ポリカーボネート系樹脂として ・粘度平均分子量が約28800であるビスフェノールA型
ポリカーボネート樹脂(A−2) (B)熱可塑性ポリエステル系樹脂、または熱可塑性ポ
リスチレン系樹脂として ・対数粘度が0.8dl/gであるポリブチレンテレフ
タレート樹脂(B−2) (C)ポリオルガノシルセスキオキサン化合物として ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−2):
メチルトリメトキシシラン,ジフェニルジメトキシシラ
ン,トリフェニルエトキシシランとの反応により、一般
式(1),(2),(3)で表される構造単位の構成比
率が65:10:25, 全R及びR'中残存しているア
ルコキシル基及び水酸基の割合は、モル比で1.3%、
分子量4800であるポリオルガノシルセスキオキサン
化合物(C−2)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−3):
フェニルトリメトキシシラン,トリメチルメトキシシラ
ン及びトリフェニルメトキシシランとの反応により一般
式(1),(2),(3)で表される構造単位の構成比
率が42:0:58,全R及びR'中残存しているアル
コキシル基及び水酸基の割合は、モル比で4.1%、分
子量2400であるポリオルガノシルセスキオキサン化
合物(C−3)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−4):
フェニルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラ
ン,トリメチルメトキシシランとの反応により一般式
(1),(2),(3)で表される構造単位の構成比率
が67:5:28,全R及びR'中残存しているアルコ
キシル基及び水酸基の割合は、モル比で0.2%、分子
量7800であるポリオルガノシルセスキオキサン化合
物(C−4)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−5):
フェニルトリメトキシシラン,ジメチルジメトキシシラ
ン,ジメチルフェニルエトキシシランとの反応により一
般式(1),(2),(3)で表される構造単位の構成
比率が36:28:34,全R及びR'中残存している
アルコキシル基及び水酸基の割合は、モル比で 0.5
%、分子量6400であるポリオルガノシルセスキオキ
サン化合物(C−5)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−6):
フェニルトリメトキシシラン,トリメチルメトキシシラ
ンとの反応により一般式(1),(2),(3)で表さ
れる構造単位の構成比率が51:25:24,全R及び
R'中残存しているアルコキシル基及び水酸基の割合
は、モル比で21%、分子量8200であるポリオルガ
ノシルセスキオキサン化合物(C−6)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−7):
メチルトリジクロロシラン,ジフェニルジクロロシラン
との反応により一般式(1),(2),(3)で表され
る構造単位の構成比率が30:70:0,全R及びR'
中残存しているアルコキシル基及び水酸基の割合は、モ
ル比で4.6%、分子量8,000であるポリオルガノ
シルセスキオキサン化合物(C−7)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−8):
メチルトリメトキシシランの反応により一般式(1),
(2),(3)で表される構造単位の構成比率が70:
28:2, 全R及びR'中残存しているアルコキシル基
及び水酸基の割合は、モル比で19%、分子量9600
であるポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−
8)を得た。 ・ポリオルガノシルセスキオキサン化合物(C−9):
メチルトリメトキシシラン,トリメチルメトキシシラン
との反応により一般式(1),(2),(3)で表され
る構造単位の構成比率が97:0:3, 全R及びR'中
残存しているアルコキシル基及び水酸基の割合は、モル
比で9%分子量6800であるポリオルガノシルセスキ
オキサン化合物(C−9)を得た。 ・ポリオルガノシロキサン化合物(C“−10):分子
量8800であるポリジフェニルシロキサン(一般式
(1),(2),(3)で表される構造単位の構成比率
が,0:98:2) 比較例1〜10 各配合剤を表1及び2に示した量に変更した以外は、実
施例1と同様にして樹脂組成物を得た。評価結果を表2
に示す。比較例1、2では、ポリオルガノシルセスキオ
キサン化合物を添加しないため、耐衝撃性が実施例に比
べ劣る。比較例3,4では、ポリカ−ボネート系樹脂と
熱可塑性ポリエステル樹脂の配合割合が本発明の請求範
囲外であるため流動性あるいは耐衝撃性が実施例に比べ
劣る。比較例5、6では、ポリオルガノシルセスキオキ
サン化合物の添加量が本発明の請求範囲外であるため、
成形加工性が不良となり成形不可能あるいは、耐衝撃性
が実施例に比べ劣る。比較例7,8,9,10では、ポ
リオルガノシルセスキオキサン化合物が本発明の請求範
囲外であったり、ポリオルガノシロキサン化合物を用い
たため、耐衝撃性が実施例に比べ劣る。また、実施例8
は、全R及びR'中アルコキシル基或いは水酸基が21
%未反応のまま残存していたため、若干耐熱性が低下傾
向にある。
【0066】以上から明らかであるように、本発明の組
成物は、流動性、耐衝撃性のいずれにおいても優れてい
ることがわかる。
【0067】
【発明の効果】本発明によれば、優れた流動性を有し、
耐衝撃性の改善された樹脂組成物が得られる。これらは
工業的に非常に有用である。
【0068】
【表1】
【0069】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリカーボネート系樹脂および
    (B)熱可塑性ポリエステル系樹脂を95/5〜60/
    40の重量比で含有する樹脂100重量部と、(C)下
    記一般式(1),(2),(3)で表される単位が以下
    の割合で構成されてなるポリオルガノシルセスキオキサ
    ン化合物1〜30重量部を含有することを特徴とするポ
    リカーボネート系熱樹脂組成物。 【化1】 【化2】 【化3】
  2. 【請求項2】前記(C)ポリオルガノシルセスキオキサ
    ン化合物の重量平均分子量が1,000〜10,000
    であることを特徴とする請求項1記載のポリカーボネー
    ト系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】前記(C)ポリオルガノシルセスキオキサ
    ン化合物を構成する単位(1)と(2)の割合がモル比
    ((1)のモル数/(2)のモル数)で5/6以上であ
    ることを特徴とする請求項1及び2記載のポリカーボネ
    ート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】前記(C)ポリオルガノシルセスキオキサ
    ン化合物に含まれる全R及びR’中、水酸基及び/又は
    アルコキシル基の割合がモル比で10%未満であること
    を特徴とする請求項1〜3記載のポリカーボネート系樹
    脂組成物。
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