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JP2000119474A - 環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途 - Google Patents

環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途

Info

Publication number
JP2000119474A
JP2000119474A JP10295456A JP29545698A JP2000119474A JP 2000119474 A JP2000119474 A JP 2000119474A JP 10295456 A JP10295456 A JP 10295456A JP 29545698 A JP29545698 A JP 29545698A JP 2000119474 A JP2000119474 A JP 2000119474A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
cyclic olefin
group
glass transition
transition temperature
resin composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10295456A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigetoshi Nishijima
島 茂 俊 西
Yozo Yamamoto
本 陽 造 山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsui Chemicals Inc filed Critical Mitsui Chemicals Inc
Priority to JP10295456A priority Critical patent/JP2000119474A/ja
Publication of JP2000119474A publication Critical patent/JP2000119474A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 複屈折が小さく、かつガラス転移温度が低い
環状オレフィン系樹脂組成物およびその用途を提供する
こと。 【解決手段】 環状オレフィン系樹脂組成物は、(A)
エチレンと環状オレフィンとから得られる環状オレフィ
ン系樹脂と(B)ガラス転移温度低減化合物とからなる
組成物であって、前記(B)ガラス転移温度低減化合物
が前記(A)環状オレフィン系樹脂に対し0.1〜30
重量%の量で含有され、該組成物のガラス転移温度が前
記(A)環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度より5
℃以上低く、かつ該組成物を成形してなる成形体の複屈
折と、前記(A)環状オレフィン系樹脂を成形してなる
成形体の複屈折とが同等である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は環状オレフィン系樹脂組成
物およびその用途に関し、さらに詳しくは、環状オレフ
ィン系樹脂とガラス転移温度低減化合物とからなる環状
オレフィン系樹脂組成物およびこの組成物の用途に関す
るものである。
【0002】
【発明の技術的背景】光記録メディア用基板、レンズな
どの光学部品の素材としては、従来からポリカーボネー
ト、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、環状オレ
フィン系樹脂などの樹脂材料が用いられている。これら
の樹脂のなかでも環状オレフィン系樹脂は、ポリカーボ
ネートと比較すると複屈折が小さく、PMMAと比較す
ると吸水性が低く、水分による物性の変化が少ない点で
優れている。
【0003】ところで近年、記録密度の向上や使用する
レーザー光の短波長化によって、複屈折のさらに小さい
樹脂材料が必要とされている。環状オレフィン系樹脂の
複屈折を小さくする方法としては、従来より主鎖の垂直
は面方向に電子の分極密度を増やす方法が採られてき
た。しかしながら、このような手法により複屈折をより
小さくしようとすると、ガラス転移温度が上昇し、成形
性が損なわれるという問題が発生することがある。
【0004】
【発明の目的】本発明は、上記のような従来技術に鑑み
てなされたものであって、嵩高いモノマーの含量が多く
ても、複屈折が小さく、かつガラス転移温度が低い環状
オレフィン系樹脂組成物およびこの組成物からなる光学
部品を提供することを目的としている。
【0005】
【発明の概要】本発明に係る、環状オレフィン系樹脂組
成物は、(A)下記(A-1) 、(A-2) 、(A-3) および(A-
4) よりなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレ
フィン系樹脂と、(B)ガラス転移温度低減化合物とか
らなる組成物であって、前記(B)ガラス転移温度低減
化合物が前記(A)環状オレフィン系樹脂に対し0.1
〜30重量%の量で含有され、該組成物のガラス転移温
度が前記(A)環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度
より5℃以上低く、かつ該組成物を成形してなる成形体
の複屈折が、前記(A)環状オレフィン系樹脂を成形し
てなる成形体の複屈折と同等であることを特徴としてい
る; (A-1) エチレンと下記一般式(I)または(II)で表さ
れる環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン
・環状オレフィンランダム共重合体 (A-2) 下記一般式(I)または(II)で表される環状オ
レフィンの開環重合体または共重合体、 (A-3) 上記(A-2) 開環重合体または共重合体の水素化
物、および (A-4) 上記(A-1) 、(A-2) または(A-3) のグラフト変性
物;
【0006】
【化3】
【0007】(式中、nは0または1であり、mは0ま
たは正の整数であり、kは0または1であり、R1 〜R
18ならびにRa およびRb は、それぞれ独立に、水素原
子、ハロゲン原子または炭化水素基であり、R15〜R18
は互いに結合して単環または多環を形成していてもよ
く、かつ該単環または多環が二重結合を有していてもよ
く、またR15とR16とで、またはR17とR18とでアルキ
リデン基を形成していてもよい。)
【0008】
【化4】
【0009】(式中、pおよびqは0または1以上の整
数であり、rおよびsは0、1または2であり、R21
39はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族
炭化水素基、脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基また
はアルコキシ基であり、R29(またはR30)が結合して
いる炭素原子と、R33またはR31が結合している炭素原
子とは直接あるいは炭素数1〜3のアルキレン基を介し
て結合していてもよく、また、r=s=0のときR35
32またはR35とR39とは互いに結合して単環または多
環の芳香族環を形成していてもよい。)。
【0010】前記(A)環状オレフィン系樹脂のガラス
転移温度は、通常70℃以上である。前記(B)ガラス
転移温度低減化合物は、たとえば分子量が100〜10
000であり、前記(A)環状オレフィン系樹脂と相溶
する有機化合物である。
【0011】本発明に係る射出成形品は、前記環状オレ
フィン系樹脂組成物からなることを特徴としている。本
発明に係る光学部品は、前記環状オレフィン系樹脂組成
物からなることを特徴としている。光学部品としては、
レンズ、光学記録メディア用基板、プリズム、反射板な
どがある。
【0012】
【発明の具体的説明】以下、本発明に係る環状オレフィ
ン系樹脂組成物およびその用途について具体的に説明す
る。
【0013】本発明に係る、環状オレフィン系樹脂組成
物は、(A)環状オレフィン系樹脂と、(B)ガラス転
移温度低減化合物とからなる組成物である。
【0014】(A)環状オレフィン系樹脂 本発明で用いられる(A)環状オレフィン系樹脂は、(A
-1) エチレンと下記一般式(I)または(II)で表され
る環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン・
環状オレフィンランダム共重合体(A-2) 下記一般式
(I)または(II)で表される環状オレフィンの開環重
合体または共重合体、(A-3) 上記(A-2) 開環重合体また
は共重合体の水素化物、および(A-4) 上記(A-1) 、(A-
2) または(A-3) のグラフト変性物よりなる群から選ば
れる少なくとも1種の環状オレフィン系樹脂である。
【0015】まず本発明で用いられる環状オレフィン系
樹脂を調製するために使用される単量体である一般式
(I)または(II)で表される環状オレフィンについて
説明する。
【0016】環状オレフィン系樹脂を調製するために使
用される環状オレフィンは下記一般式(I)または(I
I)で表すことができる。
【0017】
【化5】
【0018】上記一般式(I)中、nは0または1であ
り、mは0または正の整数であり、kは0または1であ
る。なおkが1の場合には、Ra およびRb は、それぞ
れ独立に、下記の原子または炭化水素基であり、kが0
の場合には、それぞれの結合手が結合して5員環を形成
する。
【0019】R1 〜R18ならびにRa およびRb は、そ
れぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子または炭化水素
基である。ここでハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原
子、臭素原子またはヨウ素原子である。
【0020】また炭化水素基としては、それぞれ独立
に、通常炭素原子数1〜20のアルキル基、炭素原子数
3〜15のシクロアルキル基、芳香族炭化水素基を挙げ
ることができる。より具体的には、アルキル基として
は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル
基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ド
デシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、シ
クロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げるこ
とができ、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、ナ
フチル基などを挙げることができる。これらの炭化水素
基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
【0021】さらに上記式(I)において、R15〜R18
がそれぞれ結合して(互いに共同して)単環または多環
を形成していてもよく、しかもこのようにして形成され
た単環または多環は二重結合を有していてもよい。ここ
で形成される単環または多環の具体例を下記に示す。
【0022】
【化6】
【0023】なお上記例示において、1または2の番号
が付された炭素原子は、上記一般式(I)においてそれ
ぞれR15(R16)またはR17(R18)が結合している炭
素原子を示している。
【0024】またR15とR16とで、またはR17とR18
でアルキリデン基を形成していてもよい。このようなア
ルキリデン基は、通常は炭素原子数2〜20のアルキリ
デン基であり、このようなアルキリデン基の具体的な例
としては、エチリデン基、プロピリデン基およびイソプ
ロピリデン基を挙げることができる。
【0025】
【化7】
【0026】上記一般式(II)中、pおよびqは0また
は正の整数であり、rおよびsは0、1または2であ
る。またR21〜R39は、それぞれ独立に水素原子、ハロ
ゲン原子、炭化水素基またはアルコキシ基である。
【0027】ハロゲン原子は、上記式(I)におけるハ
ロゲン原子と同じ意味である。また炭化水素基として
は、それぞれ独立に炭素原子数1〜20のアルキル基、
炭素原子数1〜20のハロゲン化アルキル基、炭素原子
数3〜15のシクロアルキル基または芳香族炭化水素基
を挙げることができる。より具体的には、アルキル基と
しては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピ
ル基、アミル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、
ドデシル基およびオクタデシル基を挙げることができ、
シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基を挙げる
ことができ、芳香族炭化水素基としては、アリール基お
よびアラルキル基、具体的には、フェニル基、トリル
基、ナフチル基、ベンジル基およびフェニルエチル基な
どを挙げることができる。アルコキシ基としては、メト
キシ基、エトキシ基およびプロポキシ基などを挙げるこ
とができる。
【0028】これらの炭化水素基およびアルコキシ基
は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子
で置換されていてもよい。ここで、R29およびR30が結
合している炭素原子と、R33が結合している炭素原子ま
たはR31が結合している炭素原子とは、直接あるいは炭
素原子数1〜3のアルキレン基を介して結合していても
よい。すなわち上記二個の炭素原子がアルキレン基を介
して結合している場合には、R29およびR33で表される
基が、またはR30およびR31で表される基が互いに共同
して、メチレン基(-CH2-) 、エチレン基(-CH2CH2-)また
はプロピレン基(-CH2CH2CH2-) のうちのいずれかのアル
キレン基を形成している。
【0029】さらに、r=s=0のとき、R35とR32
たはR35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳
香族環を形成していてもよい。この場合の単環または多
環の芳香族環として、たとえば下記のようなr=s=0
のときR35とR32がさらに芳香族環を形成している基を
挙げることができる。
【0030】
【化8】
【0031】ここでqは一般式(II)におけるqと同じ
意味である。上記のような一般式(I)または(II)で
示される環状オレフィンを、より具体的に下記に例示す
る。
【0032】環状オレフィン系樹脂(A)を形成する環
状オレフィンの例としては、
【0033】
【化9】
【0034】で示されるビシクロ[2.2.1]-2-ヘプテン
(=ノルボルネン)(上記式中において、1〜7の数字
は、炭素の位置番号を示す。)およびこの化合物に炭化
水素基が置換した誘導体を挙げることができる。
【0035】この炭化水素基としては、5-メチル、5,6-
ジメチル、1-メチル、5-エチル、5-n-ブチル、5-イソブ
チル、7-メチル、5-フェニル、5-メチル-5-フェニル、5
-ベンジル、5-トリル、5-(エチルフェニル)、5-(イソ
プロピルフェニル)、5-(ビフェニリル)、5-(β-ナフ
チル)、5-(α-ナフチル)、5-(アントリル)、5,6-ジフ
ェニルのような基を例示することができる。
【0036】さらに他の誘導体としては、シクロペンタ
ジエン-アセナフチレン付加物、1,4-メタノ-1,4,4a,9a-
テトラヒドロフルオレン、1,4-メタノ-1,4,4a,5,10,10
a-ヘキサヒドロアントラセンなどのビシクロ[2.2.1]-
2-ヘプテン誘導体を例示することができる。
【0037】この他、トリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デ
セン、2-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン、5
-メチルトリシクロ[4.3.0.12,5]-3-デセンなどのトリ
シクロ[4.3.0.12,5]-3-デセン誘導体、トリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセン、10-メチルトリシクロ
[4.4.0.12,5]-3-ウンデセンなどのトリシクロ[4.4.
0.12,5]-3-ウンデセン誘導体、
【0038】
【化10】
【0039】で示されるテトラシクロ[4.4.0.12,5.1
7,10]-3-ドデセン(上記式中において、1〜12の数
字は、炭素の位置番号を示す。)およびこれに炭化水素
基が置換した誘導体ならびに水素原子の少なくとも一部
が他の原子で置換された化合物を挙げることができる。
【0040】ここで炭化水素基または置換原子として、
8-メチル、8-エチル、8-プロピル、8-ブチル、8-イソブ
チル、8-ヘキシル、8-シクロヘキシル、8-ステアリル、
5,10-ジメチル、2,10-ジメチル、8,9-ジメチル、8-エチ
ル-9-メチル、11,12-ジメチル、2,7,9-トリメチル、2,7
-ジメチル-9-エチル、9-イソブチル-2,7-ジメチル、9,1
1,12-トリメチル、9-エチル-11,12-ジメチル、9-イソブ
チル-11,12-ジメチル、5,8,9,10-テトラメチル、8-エチ
リデン、8-エチリデン-9-メチル、8-エチリデン-9-エチ
ル、8-エチリデン-9-イソプロピル、8-エチリデン-9-ブ
チル、8-n-プロピリデン、8-n-プロピリデン-9-メチ
ル、8-n-プロピリデン-9-エチル、8-n-プロピリデン-9-
イソプロピル、8-n-プロピリデン-9-ブチル、8-イソプ
ロピリデン、8-イソプロピリデン-9-メチル、8-イソプ
ロピリデン-9-エチル、8-イソプロピリデン-9-イソプロ
ピル、8-イソプロピリデン-9-ブチル、8-クロロ、8-ブ
ロモ、8-フルオロ、8,9-ジクロロ、8-フェニル、8-メチ
ル-8-フェニル、8-ベンジル、8-トリル、8-(エチルフ
ェニル)、8-(イソプロピルフェニル)、8,9-ジフェニ
ル、8-(ビフェニリル)、8-(β-ナフチル)、8-(α-
ナフチル)、8-(アントリル)、5,6-ジフェニル等の基ま
たは原子を例示することができる。
【0041】さらには、(シクロペンタジエン-アセナ
フチレン付加物)とシクロペンタジエンとの付加物など
のテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]-3-ドデセン誘導
体、ペンタシクロ[6.5.1.13,6.02,7.09,13]-4-ペンタ
デセンおよびその誘導体、ペンタシクロ[7.4.0.12,5.1
9,12.08,13]-3-ペンタデセンおよびその誘導体、ペンタ
シクロ[8.4.0.12,5.19,12.08,13]-3-ヘキサデセンおよ
びその誘導体、ペンタシクロ[6.6.1.13,6.02,7.09,14]
-4-ヘキサデセンおよびその誘導体、ヘキサシクロ[6.
6.1.13,6.110,13.02,7.09,14]-4-ヘプタデセンおよびそ
の誘導体、ヘプタシクロ[8.7.0.12,9.14,7.111,17.0
3,8.012,16]--5- エイコセンおよびその誘導体、ヘプタ
シクロ[8.7.0.13,6.110,17.112,15.02,7.011,16]-4-エ
イコセンおよびその誘導体、ヘプタシクロ[8.8.0.
12,9.14,7.111,18.03,8.012,17]-5-ヘンエイコセンおよ
びその誘導体、オクタシクロ[8.8.0.12,9.14,7.
111,18.113,16.03,8.012,17]-5-ドコセンおよびその誘
導体、ノナシクロ[10.9.1.14,7.113,20.115,18.02,10.
03,8.012,21.014,19]-5-ペンタコセンおよびその誘導体
などを挙げることができる。
【0042】本発明で使用することができる一般式
(I)または一般式(II)で示される環状オレフィンの
具体例は上記の通りであるが、これら化合物のより具体
的な構造については、本出願人の出願に係る特開平7−
145213号公報の段落番号[0032]〜[005
4]に示されており、本発明においてもここに例示され
るものを本発明における環状オレフィンとして使用する
ことができる。
【0043】上記のような一般式(I)または(II)で
表される環状オレフィンは、シクロペンタジエンと対応
する構造を有するオレフィン類とのディールス・アルダ
ー反応により製造することができる。
【0044】これらの環状オレフィンは、単独であるい
は2種以上組み合わせて用いることができる。本発明で
用いられる(A)環状オレフィン系樹脂は、上記のよう
な一般式(I)または(II)で表される環状オレフィン
を用いて、たとえば特開昭60−168708号、同6
1−120816号、同61−115912号、同61
−115916号、同61−271308号、同61−
272216号、同62−252406号および同62
−252407号などの公報において本出願人が提案し
た方法に従い、適宜条件を選択することにより製造する
ことができる。
【0045】(A-1) エチレン・環状オレフィンランダム
共重合体は、エチレンと上記環状オレフィンとがランダ
ムに結合した共重合体であり、エチレンから誘導される
構成単位を通常は20〜95モル%、好ましくは30〜
90モル%の割合で、そして、環状オレフィンから誘導
される構成単位を通常は5〜80モル%、好ましくは1
0〜70モル%の割合で含有している。なおエチレンか
ら誘導される構成単位および環状オレフィンから誘導さ
れる構成単位の組成比は、13C−NMRによって測定さ
れる。
【0046】この(A-1) エチレン・環状オレフィンラン
ダム共重合体では、上記のようなエチレンから誘導され
る構成単位と環状オレフィンから誘導される構成単位と
が、ランダムに配列して結合し、実質的に線状構造を有
している。この共重合体が実質的に線状であって、実質
的にゲル状架橋構造を有していないことは、この共重合
体が有機溶媒に溶解した際に、この溶液に不溶分が含ま
れていないことにより確認することができる。たとえば
極限粘度[η]を測定する際に、この共重合体が135
℃のデカリンに完全に溶解することにより確認すること
ができる。
【0047】本発明で用いられる(A-1) エチレン・環状
オレフィンランダム共重合体において、上記一般式
(I)または(II)で表される環状オレフィンの少なく
とも一部は、下記一般式(III)または(IV)で示され
る繰り返し単位を構成していると考えられる。
【0048】
【化11】
【0049】上記一般式(III)において、n、m、k
およびR1 〜R18ならびにRa およびRb は一般式
(I)と同じ意味である。
【0050】
【化12】
【0051】上記一般式(IV)においてp、q、r、
s、およびR21〜R39は一般式(II)と同じ意味であ
る。また本発明で用いられる(A-1) エチレン・環状オレ
フィンランダム共重合体は、本発明の目的を損なわない
範囲で必要に応じて他の共重合可能なモノマーから誘導
される構成単位を有していてもよい。
【0052】このような他のモノマーとしては、上記の
ようなエチレンまたは環状オレフィン以外のオレフィン
を挙げることができ、具体的には、プロピレン、1-ブテ
ン、1-ペンテン、1-ヘキセン、3-メチル-1-ブテン、3-
メチル-1-ペンテン、3-エチル-1-ペンテン、4-メチル-1
-ペンテン、4-メチル-1-ヘキセン、4,4-ジメチル-1-ヘ
キセン、4,4-ジメチル-1-ペンテン、4-エチル-1-ヘキセ
ン、3-エチル-1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、1-
ドデセン、1-テトラデセン、1-ヘキサデセン、1-オクタ
デセンおよび1-エイコセンなどの直鎖状または分岐状の
炭素原子数3〜20のα−オレフィン;シクロブテン、
シクロペンテン、シクロヘキセン、3,4-ジメチルシクロ
ペンテン、3-メチルシクロヘキセン、2-(2-メチルブチ
ル)-1-シクロヘキセンおよびシクロオクテン、3a,5,6,7
a-テトラヒドロ-4,7-メタノ-1H-インデンなどのシクロ
オレフィン;1,4-ヘキサジエン、4-メチル-1,4-ヘキサ
ジエン、5-メチル-1,4-ヘキサジエン、1,7-オクタジエ
ン、ジシクロペンタジエンおよび5-ビニル-2-ノルボル
ネンなどの非共役ジエン類を挙げることができる。
【0053】これらの他のモノマーは、単独であるいは
組み合わせて用いることができる。(A-1) エチレン・環
状オレフィンランダム共重合体において、上記のような
他のモノマーから誘導される構成単位は、通常は20モ
ル%以下、好ましくは10モル%以下の量で含有されて
いてもよい。
【0054】本発明で用いられる(A-1) エチレン・環状
オレフィンランダム共重合体は、エチレンと前記一般式
(I)または(II)で表される環状オレフィンとを用い
て上記公報に開示された製造方法により製造することが
できる。これらのうちでも、この共重合を炭化水素溶媒
中で行い、触媒として該炭化水素溶媒に可溶性のバナジ
ウム化合物および有機アルミニウム化合物から形成され
る触媒を用いて(A-1)エチレン・環状オレフィンランダ
ム共重合体を製造することが好ましい。
【0055】また、この共重合反応では固体状4族メタ
ロセン系触媒を用いることもできる。ここで固体状4族
メタロセン系触媒とは、シクロペンタジエニル骨格を有
する配位子を含む遷移金属化合物と、有機アルミニウム
オキシ化合物と、必要により配合される有機アルミニウ
ム化合物とからなる触媒である。ここで4族の遷移金属
としては、ジルコニウム、チタンまたはハフニウムであ
り、これらの遷移金属は少なくとも1個のシクロペンタ
ジエニル骨格を含む配位子を有している。ここで、シク
ロペンタジエニル骨格を含む配位子の例としてはアルキ
ル基が置換していてもよいシクロペンタジエニル基また
はインデニル基、テトラヒドロインデニル基、フロオレ
ニル基を挙げることができる。これらの基は、アルキレ
ン基など他の基を介して結合されてもよい。また、シク
ロペンタジエニル骨格を含む配位子以外の配位子は、ア
ルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル
基、ハロゲン等である。
【0056】さらに有機アルミニウムオキシ化合物およ
び有機アルミニウム化合物は、通常オレフィン系樹脂の
製造に使用されるものを用いることができる。このよう
な固体状4族メタロセン系触媒については、例えば特開
昭61−221206号、同64−106号および特開
平2−173112号公報等に記載されている。
【0057】(A-2) 環状オレフィンの開環重合体または
開環共重合体において、上記一般式(I)または(II)
で表される環状オレフィンの少なくとも一部は、下記一
般式(V)また(VI)で表される繰り返し単位を構成し
ていると考えられる。
【0058】
【化13】
【0059】上記一般式(V)において、n、m、kお
よびR1 〜R18ならびにRa およびRb は前記一般式
(I)と同じ意味である。
【0060】
【化14】
【0061】上記一般式(VI)において、p、q、r、
sおよびR21〜R39は前記一般式(II)と同じ意味であ
る。このような開環重合体または開環共重合体は、前記
公報に開示された製造方法により製造することができ、
例えば、上記一般式(I)で表される環状オレフィンを
開環重合触媒の存在下に、重合または共重合させること
により製造することができる。
【0062】このような開環重合触媒としては、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、インジウム
または白金のような金属の、ハロゲン化物、硝酸塩また
はアセチルアセトン化合物と、還元剤とからなる触媒、
あるいは、チタン、パラジウム、ジルコニウムまたはモ
リブテンのような金属の、ハロゲン化物またはアセチル
アセトン化合物と、有機アルミニウム化合物とからなる
触媒を用いることができる。
【0063】本発明で用いられる(A-3) 開環重合体また
は共重合体の水素化物は、上記のようにして得られる開
環重合体または共重合体(A-2) を、従来公知の水素添加
触媒の存在下に水素化して得られる。
【0064】この(A-3) 開環重合体または共重合体の水
素化物において、前記一般式(I)または前記一般(I
I)で表される環状オレフィンのうち少なくとも一部
は、下記一般式(VII)または(VIII)で表される繰り
返し単位を有していると考えられる。
【0065】
【化15】
【0066】上記一般式(VII)において、n、m、k
およびR1 〜R18ならびにRa およびRb は前記一般式
(I)と同じ意味である。
【0067】
【化16】
【0068】上記一般式(VIII)において、p、q、
r、s、R21〜R39は前記一般式(II)と同じ意味であ
る。(A-4) 環状オレフィン系樹脂のグラフト変性物は、
上記エチレン・環状オレフィンランダム共重合体(A-1)
のグラフト変性物、上記環状オレフィンの開環重合体ま
たは共重合体(A-2) のグラフト変性物、あるいは上記開
環重合体または共重合体の水素化物(A-3) のグラフト変
性物である。
【0069】この変性剤としては、通常は不飽和カルボ
ン酸類が用いられる。ここで使用される不飽和カルボン
酸類の例としては、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、
フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラ
コン酸、クロトン酸、イソクロトン酸およびエンドシス
-ビシクロ[2.2.1] ヘプト-5-エン-2,3-ジカルボン酸
(ナジック酸TM)などの不飽和カルボン酸、ならびに、
これらの不飽和カルボン酸の誘導体、たとえば不飽和カ
ルボン酸無水物、不飽和カルボン酸ハライド、不飽和カ
ルボン酸アミド、不飽和カルボン酸イミドおよび不飽和
カルボン酸のエステル化合物などを挙げることができ
る。
【0070】上記不飽和カルボン酸の誘導体の具体的な
例としては、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、塩化
マレニル、マレイミド、マレイン酸モノメチル、マレイ
ン酸ジメチル、グリシジルマレエートなどを挙げること
ができる。
【0071】これらの変性剤うちでも、α,β−不飽和
ジカルボン酸およびα,β−不飽和ジカルボン酸無水
物、たとえばマレイン酸、ナジック酸およびこれら酸の
無水物が好ましく用いられる。これらの変性剤は、2種
以上を組合わせて用いることもできる。
【0072】本発明で用いられる環状オレフィン系樹脂
のグラフト変性物における変性率は、10モル%以下で
あることが望ましい。このような環状オレフィン系樹脂
のグラフト変性物は、所望の変性率になるように環状オ
レフィン系樹脂に変性剤を配合してグラフト重合させて
製造することもできるし、予め高変性率の変性物を調製
し、次いでこの変性物と未変性の環状オレフィン系樹脂
とを混合することにより製造することもできる。
【0073】環状オレフィン系樹脂と変性剤とから環状
オレフィン系樹脂のグラフト変性物を得るには、従来公
知のポリマーの変性方法を広く適用することができる。
たとえば溶融状態にある環状オレフィン系樹脂に変性剤
を添加してグラフト重合(反応)させる方法、あるいは
環状オレフィン系樹脂の溶媒溶液に変性剤を添加してグ
ラフト反応させる方法などによりグラフト変性物を得る
ことができる。
【0074】このようなグラフト反応は、通常60〜3
50℃の温度で行われる。またグラフト反応は、有機過
酸化物およびアゾ化合物などのラジカル開始剤の共存下
に行うことができる。
【0075】本発明では、環状オレフィン系樹脂とし
て、上記のような(A-1) 、(A-2) 、(A-3) および(A-4)
のいずれかを単独で用いることができ、またこれらを組
み合わせて用いることもできる。これらのうち、エチレ
ン・環状オレフィンランダム共重合体(A-1) が好ましく
用いられる。
【0076】このような(A)環状オレフィン系樹脂
は、メルトフローレート(MFR;ASTM D123
8、260℃、2.16kg荷重下)は、0.01〜2
00g/10分、好ましくは0.1〜100g/10分の範
囲にあることが好ましく、軟化点温度(TMA;サーマ
ル・メカニカルアナライザーで測定)は、30℃以上、
好ましくは70℃以上であることが望ましく、X線回折
法によって測定される結晶化度は、通常は0〜20%、
好ましくは0〜2%である。
【0077】さらに(A)環状オレフィン系樹脂のガラ
ス転移温度は、通常70℃以上、好ましくは90〜17
0℃の範囲にある。ガラス転移温度低減化合物 本発明で用いられるガラス転移温度低減化合物は、分子
量が100〜10000、好ましくは150〜500
0、より好ましくは200〜3000の有機化合物であ
り、たとえば鎖状炭化水素化合物、環状炭化水素化合物
などの炭化水素化合物、および該炭化水素化合物から誘
導されるエステル、エーテル、アミン、アミド、イミ
ド、脂肪酸、芳香族化合物などが挙げられる。これらの
化合物は、人工的に合成された物もしくは天然物、また
はこれらから抽出精製された成分もしくはその誘導体の
いずれであってもよい。
【0078】ガラス転移温度低減化合物として具体的に
は、流動パラフィン、ワックス、脂肪酸エステル、脂肪
酸アミド、高級アルコール、テルペン系樹脂などが挙げ
られ、より具体的には、ソルビタンジステアレート、ペ
ンタエリスリトールジステアレート、パラフィンワック
ス、脂肪酸アミド(オレイルアミド、ステアリルアミ
ド、エチレンビスステアリルアミド、パルミチルアミド
など)、低分子量ポリプロピレン、ポリエチレンワック
ス、ネオペンチルポリオール脂肪酸エステル、脂肪酸モ
ノグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、ペンタエリス
リトール脂肪酸エステル(脂肪酸基としては、ラウリル
基、ミリスチル基、パルミチル基、ベヘニル基、イソス
テアリル基などが挙げられる。)などが挙げられる。
【0079】配合剤 本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物は、必要に応
じて、紫外線吸収剤および/または耐熱安定剤を含んで
いてもよい。
【0080】紫外線吸収剤としは、たとえばベンゾフェ
ノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、ニッケル
系化合物、ヒンダードアミン系化合物などが挙げられ、
具体的には、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニ
ル)-5-クロロベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-
3'-t-ブチル-5'-ブチルフェニル)ベンゾトリアゾー
ル、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンゾイルフ
ォスフォリックアシッドエチルエステルのニッケル塩、
ビス(2,2',6,6'-テトラメチル-4-ピペリジン)セバイ
ケイトなどが挙げられる。
【0081】耐熱安定剤として具体的には、テトラキス
[メチレン-3-(3.5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニ
ル)プロピオネート]メタン、β-(3,5-ジ-t-ブチル-4
-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸アルキルエステ
ル、2,2'-オキザミドビス[エチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル
-4-ヒドロキシフェニル) プロピオネートなどのフェノ
ール系酸化防止剤;ジステアリルペンタエリスリトール
ジフォスファイト、フェニル-4,4'- イソプロピリデン
ジフェノール-ペンタエリスリトールジフォスファイ
ト、ビス(2,4-ジ-t-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタ
エリスリトールジフォスファイト、トリス(2,4-ジ-t-
ブチルフェニル)フォスファイトなどのリン系安定剤が
挙げられる。
【0082】これらの紫外線吸収剤および耐熱安定剤
は、1種単独でまたは2種以上組合わせて用いることが
できる。また本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物
は、本発明の目的を損なわない範囲で、帯電防止剤、難
燃剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑
剤、染料、顔料、有機または無機の充填剤などを配合す
ることができる。
【0083】組成物 本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物は、たとえば
下記のような方法により製造することができる。 (1)(A)環状オレフィン系樹脂と(B)ガラス転移
温度低減化合物、および所望により添加される他成分
を、タンブラー、押出機、ニーダー等を用いて機械的に
ブレンド又は溶融混合する方法。押出機を用いる場合に
は、押出機に供給する前に(A)環状オレフィン系樹脂
と(B)ガラス転移温度低減化合物とを混合してもよ
く、押出機内で(A)環状オレフィン系樹脂が溶融する
前に(B)ガラス転移温度低減化合物を押出機内に注入
してもよく、押出機内で(A)環状オレフィン系樹脂が
溶融した後に(B)ガラス転移温度低減化合物を押出機
内に注入してもよい。 (2)(A)環状オレフィン系樹脂を適当な良溶媒(例
えば;ヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン、
ベンゼン、トルエンおよびキシレン等の炭化水素溶媒)
に溶解させた溶液に、(B)ガラス転移温度低減化合
物、および所望により添加される他成分を添加し、次い
で溶媒を除去する方法。 (3)(A)環状オレフィン系樹脂のパウダーまたはペ
レットを(B)ガラス転移温度低減化合物中または
(B)ガラス転移温度低減化合物の蒸気中で、温度およ
び/または圧力を加えて、(A)環状オレフィン系樹脂
中に(B)ガラス転移温度低減化合物を含浸させる方
法。 (4)上記(1)〜(3)の方法を組み合わせて行う方
法。
【0084】上記のような方法により環状オレフィン系
樹脂組成物は、通常ペレットとして得られるが、押出機
を用いる方法では、フィルム、シートなどを直接製造す
ることもできる。
【0085】本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物
は、(A)前記(A-1) 、(A-2) 、(A-3) および(A-4) よ
りなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オレフィン
系樹脂と(B)ガラス転移温度低減化合物とからなり、
(B)ガラス転移温度低減化合物を前記(A)環状オレ
フィン系樹脂に対し0.1〜30重量%、好ましくは
0.3〜10重量%の量で含有している。
【0086】この環状オレフィン系樹脂組成物のガラス
転移温度は、通常70〜170℃の範囲にある。そして
該環状オレフィン系樹脂組成物のガラス転移温度は、前
記(A)環状オレフィン系樹脂のガラス転移温度(Tg
(A) )より5℃以上低く、好ましくは(Tg(A) −5
℃)〜(Tg(A) − 60℃)の範囲にあることが望ま
しい。
【0087】本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物
は、射出成形品、押出成形品、ブロー成形品、繊維、フ
ィルム、シートなどの種々の成形品の素材として使用す
ることができる。射出成形品、押出成形品、ブロー成形
品、繊維、フィルム、シートなどを成形する方法として
は、従来公知の製造装置および製造条件を採用すること
ができる。
【0088】本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成物
の用途は特に限定されないが、レンズ、光学メディア用
基板、プリズム、反射板などの光学部品の材料として好
適に用いることができ、特にピックアップレンズ、fθ
レンズなどのレンズ;CD、DVD、MD、MOなどの
光学記録メディア用基板;光ファイバーなどのレーザー
光を伝達する部品などのレーザー光学系用途に好適であ
る。
【0089】
【発明の効果】本発明に係る環状オレフィン系樹脂組成
物は、複屈折が小さく、かつガラス転移温度が低いの
で、成形性に優れ、得られた成形体は光学用途に好適で
ある。
【0090】
【実施例】以下、実施例に基づいて本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるも
のではない。
【0091】
【比較例1】チーグラー触媒を用いて得られた、エチレ
ンとテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,1 0]-3-ドデセン(以
下単に「テトラシクロドデセン」と記載する。)とのラ
ンダム共重合体(E・TD(1))(テトラシクロドデ
セン単位含量:38モル%、MFR:40g/10分、T
g:135℃)を用い、二軸押出機(TEX−44)を
使用して、シリンダー温度270℃にて溶融混練し、環
状オレフィン系樹脂のペレットを得た。
【0092】得られたペレットを、射出成形機(東芝社
製 IS−50)を使用して、シリンダー温度270
℃、金型温度115℃の条件で、130mm×120m
m、厚さ3mmの角板を成形した。
【0093】得られた成形品の外観を目視観察した後、
角板の中央部のリターデーション(ダブルパルス、光源
の波長:630nm)を測定した。また、組成物のガラ
ス転移温度は、PERKIN ELMER社製 DSC
7を用いて測定した。併せて動的複屈折測定装置を用い
て応力光学係数を測定した。結果を表1に示す。
【0094】
【実施例1】E・TD(1)に、該E・TD(1)に対
して0.6%の量のソルビタンジステアレートを添加し
たこと以外は比較例1と同様にして環状オレフィン系樹
脂組成物のペレットを製造し、該ペレットから角板を成
形した。結果を表1に示す。
【0095】
【比較例2】チーグラー触媒を用いて得られた、エチレ
ンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合体(E・
TD(2))(テトラシクロドデセン単位含量:46モ
ル%、MFR:10g/10分、Tg:165℃)を用い
たこと以外は比較例1と同様にして環状オレフィン系樹
脂のペレットを製造し、該ペレットから角板を成形し
た。結果を表1に示す。
【0096】
【実施例2】E・TD(2)と、該E・TD(2)に対
して4%の量のソルビタンジステアレートを用いたこと
以外は比較例1と同様にして環状オレフィン系樹脂組成
物のペレットを製造し、該ペレットから角板を成形し
た。結果を表1に示す。
【0097】
【比較例3】チーグラー触媒を用いて得られた、エチレ
ンとテトラシクロドデセンとのランダム共重合体(テト
ラシクロドデセン単位含量:36モル%、MFR:40
g/10分、Tg:130℃)を用いたこと以外は比較例
1と同様にして環状オレフィン系樹脂のペレットを製造
し、該ペレットから角板を成形した。結果を表1に示
す。
【0098】
【表1】
フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AE032 BB101 BK001 BK002 BN031 EA016 EC066 EH016 EP006 FD050 FD070 GP00 GP01

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)下記(A-1) 、(A-2) 、(A-3) および
    (A-4) よりなる群から選ばれる少なくとも1種の環状オ
    レフィン系樹脂と、(B)ガラス転移温度低減化合物と
    からなる組成物であって、前記(B)ガラス転移温度低
    減化合物が前記(A)環状オレフィン系樹脂に対し0.
    1〜30重量%の量で含有され、該組成物のガラス転移
    温度が前記(A)環状オレフィン系樹脂のガラス転移温
    度より5℃以上低く、かつ該組成物を成形してなる成形
    体の複屈折が、前記(A)環状オレフィン系樹脂を成形
    してなる成形体の複屈折と同等であることを特徴とする
    環状オレフィン系樹脂組成物; (A-1) エチレンと下記一般式(I)または(II)で表さ
    れる環状オレフィンとを共重合させて得られるエチレン
    ・環状オレフィンランダム共重合体 (A-2) 下記一般式(I)または(II)で表される環状オ
    レフィンの開環重合体または共重合体、 (A-3) 上記(A-2) 開環重合体または共重合体の水素化
    物、および (A-4) 上記(A-1) 、(A-2) または(A-3) のグラフト変性
    物; 【化1】 (式中、nは0または1であり、mは0または正の整数
    であり、kは0または1であり、R1 〜R18ならびにR
    a およびRb は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン
    原子または炭化水素基であり、R15〜R18は互いに結合
    して単環または多環を形成していてもよく、かつ該単環
    または多環が二重結合を有していてもよく、またR15
    16とで、またはR17とR18とでアルキリデン基を形成
    していてもよい。) 【化2】 (式中、pおよびqは0または1以上の整数であり、r
    およびsは0、1または2であり、R21〜R39はそれぞ
    れ独立に水素原子、ハロゲン原子、脂肪族炭化水素基、
    脂環族炭化水素基、芳香族炭化水素基またはアルコキシ
    基であり、R29(またはR30)が結合している炭素原子
    と、R33またはR31が結合している炭素原子とは直接あ
    るいは炭素数1〜3のアルキレン基を介して結合してい
    てもよく、また、r=s=0のときR35とR32またはR
    35とR39とは互いに結合して単環または多環の芳香族環
    を形成していてもよい。)。
  2. 【請求項2】 前記(A)環状オレフィン系樹脂のガラ
    ス転移温度が110℃以上である請求項1に記載の環状
    オレフィン系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 前記(B)ガラス転移温度低減化合物
    は、分子量が100〜10000であり、前記(A)環
    状オレフィン系樹脂と相溶する有機化合物である請求項
    1または2に記載の環状オレフィン系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする射
    出成形品。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする光
    学部品。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とするレ
    ンズ。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする光
    学記録メディア用基板。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とするプ
    リズム。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし3のいずれかに記載の環
    状オレフィン系樹脂組成物からなることを特徴とする反
    射板。
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