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JP2000196523A - 光通信システム - Google Patents

光通信システム

Info

Publication number
JP2000196523A
JP2000196523A JP10372741A JP37274198A JP2000196523A JP 2000196523 A JP2000196523 A JP 2000196523A JP 10372741 A JP10372741 A JP 10372741A JP 37274198 A JP37274198 A JP 37274198A JP 2000196523 A JP2000196523 A JP 2000196523A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarization
frequency
signal
optical
light
Prior art date
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Pending
Application number
JP10372741A
Other languages
English (en)
Inventor
Tazuko Tomioka
多寿子 富岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP10372741A priority Critical patent/JP2000196523A/ja
Publication of JP2000196523A publication Critical patent/JP2000196523A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Landscapes

  • Optical Modulation, Optical Deflection, Nonlinear Optics, Optical Demodulation, Optical Logic Elements (AREA)
  • Optical Communication System (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】偏波依存性のある光変調器を光源と離れた場所
に設置すると、光ファイバの偏波変動により、安定な変
調がかけられない問題を解決すること。 【解決手段】光変調器5に入射する光を、あらかじめ偏
波スクランブラ2により偏波スクランブルしておく。偏
波スクランブル周波数は、伝送される帯域信号の中心周
波数より低い周波数である。その結果、光ファイバ6よ
って予測不能な偏波変動を受けても、常に安定した変調
が可能となる。また、偏波スクランブル周波数が低いた
め、低コストに系が構築できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、外部変調器を使用
する光通信システムに関する。
【0002】
【従来の技術】光通信システムは光源からの光を伝送す
べき情報の信号で変調し、光ファイバなどの光通信路を
介して伝送するもので、高速、広帯域の通信を可能にす
る。このような光通信システムは、従来においては主に
幹線系などに用いられており、そのため、光送受信器は
通信事業者の有する局内など温度条件の安定した場所に
設置されることが多かった。
【0003】しかし、近年においては高速、広帯域の通
信の要求が随所にみられるようになり、それに伴って光
通信システムは幹線系以外にも光加入者系や、無線基地
局などと云った具合に幅広く利用されるようになってい
る。そして、その結果、特に光加入者系や、無線基地局
の光収容などでは、光送受信器が屋外に設置される機会
が多くなっている。
【0004】ところで、屋外に設置される光送受信器の
設置場所としては電柱上など温度条件の厳しいところが
多く、光送受信器を構成するコンポーネントのうち、高
温低温に弱いものをどのように使用するかが問題となっ
ている。
【0005】例えば、光通信の光源として半導体レーザ
素子が使用されるが、この半導体レーザ素子は特に温度
変化に弱く、温度変化を受けると周波数変動を引き起こ
す。そのため、上述のような電柱上に光送信器が設置さ
れるような場合では、対策の一例として、半導体レーザ
素子を環境の安定している局内に設置し、その出力光を
光ファイバで電柱上の光送信器に伝送し、電柱上の光送
信器に備えられた光変調器によって変調を施して、局に
送り返すといった構成が提案されている。
【0006】一方、現在、光通信で使用されている光変
調器は主に2種類あって、それは電界吸収型(EA型)
変調器とマッハツェンダー型(MZ型)変調器である。
そして、上述のような局から送られてきた光を変調して
送り返すシステムにこれらいずれかの光変調器を適用す
る場合には、光変調器の偏波依存性が問題になる。
【0007】そして、光通信路として使用される通常の
光ファイバは偏波を保持しないため、レーザ素子から出
力された一定の偏波が光変調器に届くまでにどのような
偏波変動を受けるか予測できない。
【0008】勿論、偏波を保持する光ファイバも実用化
されている。しかしこの偏波を保持する光ファイバは、
パッチコードなど数メートル単位で使用する用途が主で
あり、価格も非常に高いことから、屋外で長距離の伝送
用ファイバとして使用することはコスト的に考えて難し
い。
【0009】したがって、光通信路としては偏波を保持
しない通常の光ファイバを使用することとなるから、上
述の如き光を変調して送り返すシステムで使用される光
変調器に偏波依存性があると、光変調器に入力される偏
波が変動するため、安定な変調がかけられない。
【0010】ところで、EA型変調器には偏波依存性の
小さいものがあるが、MZ型変調器は通常偏波依存性が
大きく、上述のようなシステムに適用することは難しい
と考えられてきた。
【0011】しかしながら、MZ型変調器はEA型変調
器と比較して、歪、損失、チャーピングなどの特性が優
れている。従って、できることならばMZ型変調器を使
用して、光を変調して送り返すシステムを構築したいと
ころであるが、これまでは適切な価格範囲で、偏波変動
の問題を解決することができなかった。
【0012】勿論、MZ型変調器を上述のような光通信
システムに適用した例はないわけではない。例えば、電
子情報通信学会の光マイクロ波相互作用研究会資料“O
MI95−8”に開示されている技術に用いられている
方法等がある。
【0013】この資料に開示されている技術においては
光源として、2つの若干波長の異なる固体レーザ装置を
用意し、これら2つの固体レーザ装置の出力光を、偏波
を直交して結合したものを用いている。若干波長の異な
る直交する偏波の光は、波長が異なっているために独立
していると見なせる。
【0014】これが光変調器で変調されると、2つの光
のトータルのパワーのうち、一定量が必ず変調される。
文献“OMI95−8”で構築されているシステムは雑
音条件の非常に厳しいシステムであるため、半導体レー
ザ素子よりも雑音の小さい固体レーザ装置を使用するメ
リットが大きい。
【0015】そのため、固体レーザ装置の使用もコスト
的に許容範囲となるが、移動無線基地局の収容のような
雑音に対する要求の厳しくない系では、偏波依存性の理
由のみで固体レーザ装置のような高価格のものはシステ
ムコストの面で使用できない。では、固体レーザ装置の
代わりに半導体レーザ素子を使用して同様に波長の若干
異なる2つのレーザ出力を偏波を直交させて結合する方
法が使用できるかというと、それは難しい面がある。
【0016】例えば、半導体レーザ素子は固体レーザ装
置と比較して波長の安定性が著しく悪いため、いかにし
て波長を安定化するかが大きな課題であるからである。
そして、波長が不安定であると、次のような問題が生じ
る。
【0017】すなわち、波長が安定せずに2つの光の波
長が近づき過ぎると干渉によるビート雑音が発生し、さ
らに、2つの光の波長が全く等しくなると、各々の独立
性が保てず、直交する偏波状態の2つの光と見なせなく
なる。したがって、半導体レーザ素子の波長安定化が絶
対に必要となるが、半導体レーザ素子の波長安定化には
複雑な機構が必要で、また、コストがかかる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、電柱
上のような温度条件の厳しいところに設置される光送信
器には、半導体レーザ素子のようなデリケートな部品は
置かず、光変調器のみを配置し、局舎内のレーザ光源か
ら光ファイバで送られてきた無変調光を変調して送り返
すシステムが望まれている。
【0019】この場合、局舎から光変調器までの光ファ
イバによって偏波がランダムに変動するため、偏波依存
性のある光変調器は使用できなかった。波長の若干異な
る光を偏波が直交する状態で結合し、光変調器に送り出
すといった方法は提案されていたが、コストが高かっ
た。
【0020】そこで、これを解決する手法の開発が嘱望
されている。
【0021】本発明の目的とするところは、このような
問題点を解決し、光源から変調器までに偏波が変動し、
かつ、変調器に偏波依存性があっても適切な価格範囲で
安定に動作可能な光通信システムを提供することにあ
る。また、扱う周波数帯が高いものとなっても、システ
ムの低コスト化を図ることができるようにした光通信シ
ステムを提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るため本発明は次のようにする。
【0023】[1]本願第1の発明では、時間的コヒー
レンスを有する出力光を出力する光源と、前記光源に接
続され、前記出力光の偏波を時問平均がほぼ無偏光とな
るように時間的にスクランブルする偏波スクランブラ
と、前記偏波スクランブラで偏波スクランブルされた前
記出力光の一部または全部を、入力されたデータ信号に
対応する電気信号によって変調し、光ファイバに出力す
る、変調特性が入射偏波に対して依存性のある光変調
器、を有することを特徴とする光通信システムを提供す
る。
【0024】高速の光通信に一般的に使用される光源は
時間的コヒーレンスを有しており、必ず特定の偏波を持
っている。光源から偏波変動が無いようにして光変調器
に入力できれば良いが、前述のようにそうできないシス
テムもある。
【0025】そこで、本発明では、光源と光変調器の間
に偏波を時間的にスクランブルする偏波スクランブラを
挿入する。偏波スクランブラでは、入力された光の偏波
を変調し、その出力光の偏波の時間平均をほぼ無偏光に
する。その動作を説明するために、偏波状態を図式化す
るポアンカレ球を導入する。
【0026】ポアンカレ球は図19のような球であり、
球上に偏波をマッピングするものである。完全にコヒー
レントな光は完全な偏波を持っており、その偏波は球の
表面のいずれかにマッピングされる。球の半径は偏波の
度合いを示している。一部コヒーレン卜でない光(部分
偏光)は完全に偏波を規定することができず、曖昧さが
残り、球の内部にマッピングされる。球の中心は完全に
インコヒーレントな光であり、全く偏波を規定すること
ができない。球の中心にマッピングされている状態を無
偏光と呼ぶ。
【0027】前述のように、高速光通信用の光源はコヒ
ーレント光であるため、球の表面にマッピングされる。
これを完全なインコヒーレント光にして無偏光にするこ
とはほぼ不可能である。しかし、偏波を高速に変調し
て、その時間平均が球の中心に来るようにすることは可
能である。例えば、図20におけるA点とB点の間をそ
れぞれの点にとどまっている時間が等しくなるように、
高速にスイッチさせれば、平均は球の中心に来る。
【0028】このような状態は、時間平均的には無偏光
であると云える。
【0029】偏波スクランブラは以上のように、時問平
均的にほぼ無偏光状態を実現するコンポーネン卜であ
る。
【0030】偏波依存性のある光変調器で変調を施すこ
とは、入射した光を光変調器の直交する2つの偏波軸に
対応して分離し、各々異なる効率、損失で変調を行った
後、合波することと同等である。ある特定の直線偏波成
分を切り出す素子として偏光子があり、本発明の構成に
偏光子は必ずしも含まれないが、2つの直交する偏波に
分離する過程を説明するために、偏光子を模式的に使用
する。
【0031】ポアンカレ球での偏光子の振る舞いについ
て説明する。ある偏波が偏光子に入射するとその軸に射
影される成分のみが出力される。偏光子に任意の偏波を
入射したとき、その出力の大きさはポアンカレ球を用い
て以下のように算出できる。
【0032】任意の偏波に対応するポアンカレ球上の点
をマッピングする。例えば、図21のA点であるとす
る。
【0033】ポアンカレ球の赤道は直線偏波に対応して
おり、直線偏波の傾きによって赤道上の位置が異なる。
偏光子の軸の方向と同じ方向に傾いている直線偏波に対
応するポアンカレ球上の点Pを規定する。点Pを含む球
の直径は必ず球の中心を通過する。これを直線Lとし、
直線Lが(P点でない)球の反対側の表面と交差する点
をQとする。
【0034】このようにすると、A点を含み、直線Lに
垂直な平面が一意に決まる。この平面と直線Lの交点を
Cとする。偏光子に入射した光のトータルパワーに対す
る偏光子の出力光パワーの割合は、PQ/CQに等しく
なる。また、損失のない偏波分離素子で任意の偏波をQ
及びPを軸とする直交する2偏波に分離した場合、その
比はPC:CQに等しくなる。
【0035】光が偏波変動を起こす媒体、例えば、偏波
保持しない普通の光ファイバなどを通過すると、その出
力偏波のポアンカレ球上での位置が変化する。しかし、
偏波変動を起こす媒体に偏波依存性の損失がなければ、
球の表面を上滑りするように偏波が変動するのみで、複
数の点の相対的な位置関係は変化しない。従って、時問
平均が無偏光、すなわち、球の中心にくるように偏波ス
クランブルされた光は偏波保持型でない光ファイバを通
過してもその時間平均はやはり球の中心であり、時間平
均での無偏光状態は保たれている。
【0036】このような光が偏波依存性のある光変調器
によって変調される場合を考える。前述のように、光変
調器の直交する2つの偏波の軸に従って、偏波スクラン
ブルされた光を分離すると考える。偏波スクランブルさ
れた光の時間平均は球の中心にあるため、光変調器の軸
がどのような向きであったとしても、分離された光は時
間平均的に必ず1:1のパワーに分割される。光変調器
のそれぞれの偏波軸での変調効率や損失が異なっていた
としても、分離されるパワーの比率が一定であるため、
変調された後に合波された光も一定の決まった割合の損
失と変調を受けている。光が光変調器に入射する前に光
ファイバなどで変動を受けたとしても、変動の度合いに
よらず常に一定である。
【0037】偏波スクランブラは一般に位相変調器を使
用して容易に構築することが可能である。位相変調器は
バイアス制御など複雑な構成が不要で、比較的低コスト
に構築できるデバイスである。
【0038】このようにすることによって、偏波依存性
のある光変調器を使用し、光変調器に光が入射する前に
予測できない偏波変動があっても、常に安定した変調効
率、損失で変調することが可能となり、比較的低コスト
に安定した伝送品質が確保できる。
【0039】[2]つぎに、本願第2の発明では、前記
光変調器はマッハ・ツェンダー型光変調器であることを
特徴とする本願第1の発明の光通信システムを提供す
る。
【0040】マッハ・ツェンダー型(MZ型)変調器
は、一般に偏波依存性が大きい。また、多くの場合、変
調効率の最も良い偏波のみが変調されるように変調器の
入力に偏光子が挿入されている。このような理由で、こ
れまでは、入射偏波が変動しないような系でのみ使用さ
れてきた。しかし、既に説明したように、MZ型変調器
は、歪特性、チャーピング特性、損失特性等において、
電界吸収型(EA型)変調器と比較して性能的に勝って
いる点が多い。
【0041】従って、性能の良いMZ型変調器を使用し
たいが、偏波変動によって使用できなかったシステムに
本願第1の発明を適用することにより、よりよい品質の
伝送が可能となる。
【0042】[3]次に、本願第3の発明では、前記偏
波スクランブラと前記光変調器の間に偏波を保持しない
光ファイバ伝送路が挿入されていることを特徴とする本
願第1または本願第2の発明の光通信システムを提供す
る。
【0043】光源と光変調器の間に光ファイバ伝送路が
挿入されている系、例えば、光源が局舎内にあり、光変
調器が電柱上に配置されているようなシステムに本発明
を適用する。その結果、偏波依存性のある光変調器を使
用しつつ、光ファイバ伝送路の偏波変動が許容される。
このようにすることによって、デバイスの選択範囲が広
げられ、偏波依存性に関わらず、他の性能を重視してデ
バイスを選択できるようになる。
【0044】偏波スクランブラが挿入される位置は、光
変調器の直前よりも、偏波スクランブラをより簡便に構
成できる光源の直後が望ましい。すなわち、光ファイバ
伝送路は偏波スクランブラと光変調器の間にあるのが望
ましい。偏波スクランブラには、“任意の入射偏波を無
偏光状態にできるもの”と、“ある特定の偏波が入力さ
れた場合に限って無偏光状態にできるもの”とがあり、
後者の方が構成が簡便で低コストである。
【0045】光源は通常一定の偏波を出力するため、光
源と偏波スクランブラの間を偏波保持型光ファイバのパ
ッチコードなどで結ぶことによって、偏波スクランブラ
に特定の偏波のみを入射するようにすることは容易であ
る。
【0046】このようにすることにより、より低コスト
にシステムを構築できる。
【0047】[4]次に本願第4の発明では、前記デー
タ信号は帯域信号であり、前記光変調器によって前記出
力光にサブキャリア信号として変調されることを特徴と
する本願第1乃至本願第3の発明の光通信システムを提
供する。
【0048】本発明では、偏波スクランブルされた光に
偏波依存性のある変調器により、帯域信号でサブキャリ
ア変調をかける。このようにすることによって、電柱上
に設置されたアンテナで受信した無線信号などを復調せ
ずに局に送る場合に、偏波依存性はあるが歪特性の良い
光変調器を使用することが可能となる。無線信号など帯
域信号は一般に周波数多重されていることが多く、ま
た、大きいダイナミックレンジを有していることが多い
ため、歪特性に敏感である。従って、これまでのよう
に、偏波依存性はないが歪特性の悪いEA型変調器では
そのような信号を品質良く送ることが難しかった。
【0049】本発明のようにすることによって、そのよ
うな帯域信号を品質良く伝送することが可能となる。
【0050】[5]さらに、本願第5の発明では、前記
偏波スクランブラに印加される、偏波をスクランブルす
るためのスクランブル信号の基本周波数は、前記帯域信
号の下限周波数より小さく、かつ、前記帯域信号の帯域
幅に相当する周波数よりも大きいことを特徴とする本願
第4の発明の光通信システムを提供する。
【0051】これまで光通信システムに使用されてきた
偏波スクランブラは、ベースバンド信号で変調された光
に、ビットレート以上の周波数でスクランブルをかける
(ビットレートの2倍以上の速さで偏波をスイッチす
る)のが一般的であった。その理由は、偏波依存性の非
常に大きいデバイスを光が通過するシステムで偏波スク
ランブルをかける場合、ビットレートの2倍以上の速さ
で偏波をスイッチしないと情報が失われてしまうとされ
てきたためである。
【0052】本発明では、偏波スクランブルされた光に
対し、偏波依存性のある光変調器を用いて帯域信号によ
りサブキャリア変調をかける。これまで、帯域信号でサ
ブキャリア変調された光と偏波スクランブルを併用する
検討はなされたことがなく、ベースバンド系からのアナ
ロジーではサブキャリア周波数の倍以上の周波数で偏波
スクランブルを掛ける必要があるように思われる。
【0053】通信技術分野の現況や将来の展望を考える
と、本発明で想定しているような外部光変調器を用いる
光サブキャリアシステムは、サブキャリア周波数が数
[GHz]から数10[GHz]といった高い周波数で
ある可能性が高い。この場合、サブキャリア周波数の倍
以上の周波数で偏波スクランブルが容易に掛けられれば
それでもよいが、周波数が非常に高くなるとそれに見合
う周波数応答特性が要求されるため、使用可能な偏波ス
クランブラのコストが周波数の低いものに比べて飛躍的
に高くなる可能性は否めない。
【0054】本発明ではそのようなコスト高を避けるた
め、サブキャリア周波数より低い周波数で偏波スクラン
ブルできるようにすることを目的の一つとしている。
【0055】偏波スクランブルされた光が例えば、入力
に偏光子が備えられたMZ型変調器のように、非常に偏
波依存性の高い変調器で帯域信号によってサブキャリア
変調される場合を考える。偏光子を通った段階の、変調
を受ける前の光の強度は、ある直流レベルを中心に、ス
クランブル周波数とその高調波から構成される波形で振
動している。光が偏光子を通過した段階で仮に光電変化
した場合の電気スペクトルは、図7の如きである。直流
に一定のパワー、すなわち、偏光子に入射する光パワー
の半分の光を光電変換した場合のパワーが存在する。さ
らに、スクランブル周波数fscとその高調波に光変調
器に、偏光子の軸の向きと偏光子に入射する前に受けた
偏波変動に応じて、なにがしかの大きさの線スペクトル
が存在する。
【0056】これに光変調器によって変調をかけるとい
うことは、変調信号と図7の信号の畳み込みを作ること
である。変調信号が中心周波数fsの帯域信号である場
合、図10(b)のようなスペクトルが、以下のような
畳み込みの操作によって得られる。すなわち、図7の各
々の線スペクトルおよびそのイメージ成分(図10
(a))を帯域信号の中心周波数fsだけプラス(マイ
ナスにもずれるがそれは結局プラスにずれた成分のイメ
ージとなるので考えない)方向にずらす。それぞれの線
を帯域信号の形にし、さらに、“0”を中心として折り
返す。光変調器に掛ける信号は“0”でない直流バイア
ス点を中心とした信号であるため、図10(a)の信号
の一部のパワーがそのまま残るので、それを足す。この
ようにして、図10(b)が得られる。
【0057】光受信器では光電変換して得られたこのよ
うな信号のうち、もとの信号周波数fsにいる成分を抽
出する。この成分は、図10(a)の直流成分と中心周
波数fsの変調信号の畳み込みによって生じた成分であ
る。スクランブル周波数やその高調波によって発生した
成分は、光変調器に入射するまでに受けてきた偏波変動
の影響で、その大きさが変動し、時には全くいない可能
性もあるので使用できない。
【0058】したがって、偏波スクランブル周波数がい
くつであっても、直流成分が安定に得られている限りは
受信信号は安定に得られる。
【0059】以上からわかるように、サブキャリア周波
数の2倍以上の周波数でスクランブルする必要は全くな
い。サブキャリア周波数よりも高い周波数でも良いが、
よりシステム構築の容易な小さい周波数で十分である。
【0060】しかしながら、図10(b)に示したよう
に、帯域信号に加えられた直流成分によって、スクラン
ブル信号が偏光子を通過して生じる成分が最終的に残っ
てしまうことがある。これが受信すべき信号と重なると
受信感度が劣化する。したがって、スクランブル周波数
は帯域信号の周波数帯は避け、帯域信号の下限の周波数
より低い周波数であることが望ましい。
【0061】デバイス駆動系の問題から、スクランブル
周波数は低い程良い。しかし、図10(b)からわかる
ように、スクランブル周波数と帯域信号の畳み込みによ
って生じた成分が発生する。それと、受信される信号が
重なると受信感度が劣化するため、スクランブル周波数
は帯域信号の帯域幅の周波数よりも大きい周波数である
ことが望ましい。
【0062】このように、スクランブル周波数を低く押
さえることができ、偏波スクランブラが低コストとな
る。また、スクランブル周波数の下限を設定することに
より、伝送品質を確保する事ができる。
【0063】[6]さらに、本願第6の発明では、前記
スクランブル信号の基本周波数は前記帯域信号の下限周
波数の1/6より小さいことを特徴とする本願第5の発
明の光通信システムを提供する。
【0064】図7に示すように、周波数fscで偏波ス
クランブルされた信号が偏光子または偏波依存性損失の
あるコンポーネントを通過すると、スクランブル信号が
正弦波であったとしても、光電変換後の電気信号には、
周波数fscの成分の他にfscの高調波成分が発生す
る。これらの成分の大きさは、コンポーネントの偏波依
存性損失の大きさや、コンポーネントに入射する前に受
けた偏波変動によって異なるが、傾向としては高調波の
次数が高いほど小さい。したがって、これら高調波が受
信されるべき信号と重なっても受信信号に影響を与えな
い程度に小さければよい。
【0065】そこで、本願第6の発明では、スクランブ
ル周波数を十分小さくする。その結果、高調波が発生し
て受信信号に重なったとしても、重なっている高調波の
次数が高く、その大きさが十分に小さくなっている。
【0066】高調波が十分に小さくなる次数は7次程度
であると予想される。そこで本発明では6次以下の高調
波が信号帯域内に重ならないように、スクランブル周波
数を帯域信号の下限周波数の1/6以下に設定する。
【0067】このようにすることによって、偏波スクラ
ンブルされた光が偏波依存性損失を持つコンポーネント
を通過することによって発生した成分の影響を受けるこ
となく、良好な伝送が可能となる。
【0068】このような高調波成分の影響を避ける別の
方法として、本願第7の発明では、前記スクランブル信
号の基本周波数は、前記基本周波数の任意の次数の高調
波が前記帯域信号の信号帯域内に重ならないように決定
されていることを特徴とする本願第5の発明の光通信シ
ステムを提供する。
【0069】[7]帯域信号の比帯域が比較的大きく、
本願第6の発明の周波数が帯域信号の帯域幅に相当する
周波数よりも小さくなってしまう場合は、本願第6の発
明は適用できない。また、スクランブ周波数が比較的大
きく、本願第6の発明の周波数が、帯域信号の帯域幅に
相当する周波数よりも小さくなってしまう場合は、本願
第6の発明は適用できない。また、図10(b)のように
スクランブル周波数を下げきれない場合、“0”を 中
心にして折り返して来た周波数シフトした帯域信号が受
信したい信号に重なってくる可能性がある。
【0070】そこで、本願第7の発明では、高調波が信
号帯域内に重なってこないスクランブル周波数を選択し
て使用する。すなわち、スクランブル信号の基本周波数
をfsc、帯域信号の中心周波数をfs、帯域信号の帯域
幅(全幅)を△Fとすると、任意の次数n(≧2)の高
周波が n*fsc<fs−△F/2 であり、かつ、 n*fsc>fs+△F/2 であるように、スクランブル周波数fscを選択する。
スクランブル周波数fscが比較的小さい場合はこの条
件のみで十分である。
【0071】しかし、何かの事情でスクランブル周波数
fscを下げきることができず、図10(b)のように
折り返し信号が重なってくる場合は、受信したい信号帯
域にこの折り返し信号が入ってこないように、さらに、
任意の次数p(≧2)の高調波に関して、 2(fs+△F/2)/p<fsc であり、かつ、 2(fs−△F/2)/p>fsc を満たすようにスクランブル周波数fscを選択する。
【0072】このようにすることによって、スクランブ
ル信号の高周波や折り返してきた帯域信号が受信信号に
重なることなく、良好な伝送が可能となる。
【0073】[8]さらに、本願第8の発明では、前記
データ信号は、アンテナで受信した無線信号をそのま
ま、または、中間周波数に変換した復調されていない信
号であることを特徴とする本願第4乃至本願第7の発明
の光通信システムを提供する。
【0074】本発明では、偏波スクランブルをかけた光
に偏波依存性のある光変調器で変調をかけるため、原理
的に光パワーに損失があることは否定しない。しかし、
偏波スクランブルをかけた光に偏波依存性のある光変調
器で変調をかけることによる光パワーの損失の量は最大
で3[dB]である。(もちろん、その他に偏波スクラ
ンブラの過剰損失、光変調器の過剰損失、光変調による
損失等の損失も受ける。しかし、これらはデバイスの進
歩によって減る可能性のある量である。) 図21で説明したように、偏波スクランブルされた光の
パワーは光変調器の直交する2つの偏波軸に等分され、
光変調器の偏波依存性が最大の場合、すなわち、偏光子
が挿入されている場合は、一方の偏波軸に入射した光は
全く透過しないためである。
【0075】光通信システムでは、一般に光パワーの減
少によって受信感度が劣化する。劣化の程度は適用する
システムによってまちまちである。しかし、本発明をア
ンテナで受信した無線信号に適用する場合は、受信感度
の劣化がほとんど起こらない。
【0076】それは、以下のように説明される。
【0077】アンテナで受信した無線信号を伝送する場
合、特に無線信号が移動通信の信号である場合は、アン
テナで受信し、図示しないLNA(Low Noise
Amplifier)で増幅されることになるが、こ
こで増幅された段階で、既に多くの雑音が混入してお
り、信号対雑音比(SNR)があまり大きくないことが
多い。
【0078】一方、本発明の光通信システムの特に光伝
送部で付加される雑音は、アンテナで受信した信号に混
入している雑音よりも遙かに小さい。仮に偏波スクラン
ブルすることによって受けた損失がなかった場合、光伝
送部での無線信号のSNR劣化は非常に小さい。偏波ス
クランブルする事によって受ける光損失は、上述のよう
に高々3[dB]である。
【0079】その結果、光リンクの相対的な雑音量の増
加も高々3[dB]であり、もともと小さい光伝送部で
の付加雑音が3[dB]程度増えたところで、無線信号
のSNR劣化にはほとんど寄与しない。
【0080】したがって、本発明では偏波スクランブル
することによって光が損失を被ることになるものの、適
用される信号がアンテナで受信された無線信号であるな
らば、損失による受信感度劣化はほとんど無いに等し
い。
【0081】本発明をそのようなシステムに適用するこ
とによって、本発明に存在した若干の短所が全く問題に
ならず、本発明の長所のみを享受することが可能とな
る。
【0082】[9]さらに本願第9の発明では、前記光
源は屋内に設置され、前記光変調器は屋外に設置される
機器内に配置されていることを特徴とする本願第4乃至
本願第8の発明の光通信システムを提供する。
【0083】本発明を適用することによって、特性が良
いが、偏波依存性のある光変調器を光源と離れたところ
に設置し、その間を通常の光ファイバで接続することが
可能となる。このようにすると、光源をサービス提供会
杜の局舎内におき、光変調器を電柱上に設置する装置内
に置いて、電柱上では送られてきた光を変調のみして返
すことが可能となる。その結果、光源を温度条件の安定
なところで動作させることが可能となり、かつ、偏波依
存性によらず、その他の特性の優れた光変調器を使用す
ることが可能となって、品質の良い、安定な伝送が可能
となる。
【0084】[10]次に、本願第10の発明では、時
間的コヒーレンスを有する出力光を出力する光源と、帯
域信号に対応する電気信号によって、前記光源の出力光
にサブキャリア変調を施す偏波依存性のある光変調器、
または、偏波依存性損失のあるデバイスと前記光源の出
力光にサブキャリア変調を施す光変調器と、前記光源と
前記光変調器の間に挿入され、前記光源の出力光を特定
の周波数で偏波スクランブルする偏波スクランブラと、
前記光変調器によって変調された光を光電変換し、前記
偏波スクランブラのスクランブル周波数あるいはその高
調波と前記帯域信号の畳み込みによって発生した成分を
受信する光受信器を有することを特徴とする光通信シス
テムを提供する。
【0085】前述のように、偏波スクランブルされた光
を偏波依存性のあるデバイスを通過させると、スクラン
ブル周波数の他に多くの高調波が発生する。発生する高
調波の量は、偏波スクランブル時の偏波変調の大きさ、
スクランブル信号波形、光が偏波依存性のあるデバイス
まで到達する間に受けた偏波変動、デバイスの偏波依存
性の大きさに依存する。本発明では、これまで高調波は
妨害波として扱ってきたが、逆にこれを利用すること
で、これまでにない動作のシステムが構築できる。
【0086】本発明はこれまで主に、ミリ波、準ミリ波
帯の帯域信号の光伝送系に適用することを考えてきた
が、このような高い周波数で動作する部品は高価であ
る。そのような高周波のデータ信号の生成の方法は、通
常、以下のようである。周波数の低いキャリアにべース
バンドデータによって変調をかけてから、ミキサ等を使
用して、ミリ波、準ミリ波帯のキャリアと掛け合わせ、
所望の周波数帯にアップコンバートする。この時用いる
キャリアは通常、位相雑音の小さい低周波のキャリアを
逓倍器によって逓倍して生成する。現在の技術では、雑
音特性の良いミリ波、準ミリ波帯の発振器を作るのは困
難なためである。逓倍器やミキサ等はミリ波、準ミリ波
帯のコンポーネントであるため高価であり、また、その
ような高周波で動作する光変調器やその駆動系、光受信
系も高価である。
【0087】一方、本発明のように、偏波スクランブラ
を使用するシステムでは、スクランブル周波数の高調波
を容易に発生可能である。高調波を発生させるためのデ
バイスは偏波依存性の高いデバイス、せいぜい偏光子程
度の低コストなパッシブデバイスである。また、このよ
うにして発生させた高調波のレベルは通常の非線形デバ
イス(ダイオードなど)で発生する高調波より原理的に
大きい。通常の非線形デバイスは線形をベースにして、
線形から少量ずれた部分を利用しているのに対し、偏波
スクランブルされた光を偏光子で切り出す過程は線形性
がほとんど無く、原理的に非線形にしかならないからで
ある。ただし、前述のように高調波の大きさは偏光子に
光が入射されるまでの様々なパラメータによるので、で
きるだけ効率的に高調波が発生するように、パラメータ
を調整する必要がある。特に、偏波スクランブラから偏
光子にどのような偏波状態で受け渡すかに注意して系を
構成する必要がある。場合によっては、波長板あるいは
その等価デバイス等を利用した積極的な偏波変換によっ
て調整すると良い。
【0088】このようにする結果、高いレベルの高次高
調波が容易に得られる。偏光子を通過することによって
高調波成分が発生した光に光変調器で変調をかける、あ
るいは、偏波スクランブルした光に偏波依存性の大きい
光変調器(あるいは信号入力端に偏光子が実装された光
変調器)で変調をかけると、図10(b)のように、変
調信号とスクランブル信号周波数およびその高調波との
畳み込み成分が発生する。なお、光変調器ではなく主に
偏波依存性損失のあるデバイスで高調波を発生させる場
合は、光変調器と偏波依存性損失のあるデバイスの順序
は入れ替わってもよい。すなわち、光変調器で変調した
後に偏波依存性のあるデバイスを通過させても、本発明
の動作は変わらない。
【0089】前述のように高調波のレベルが大きいの
で、帯域信号が高調波によって周波数変換された成分が
十分大きいパワーで得られる。それらの成分はもとの帯
域信号のレプリカであるため、必要に応じてフィルタ等
によって切り出して利用すればよい。
【0090】本発明の原理は、複数の信号の畳み込みを
生成する点にある。従って、別の構成でも実現可能であ
る。例えば、基本周波数がスクランブル周波数と同等
で、高調波成分を多数含む波形(矩形波、三角波、短パ
ルス列など)で強度変調した光、あるいは、電気的に周
波数変換する場合にミキサに入力するローカルキャリア
に相当する周波数で強度変調した光に、さらに、データ
信号によって外部光変調器で変調をかけてもよい。
【0091】しかしながら、高調波成分をたくさん含む
矩形波や短パルス列を生成することは、高調波成分の領
域に至る周波数帯域を有するデバイスを必要とすること
になるため、低コスト化することは難しい。また、初め
から、ミリ波、準ミリ波と云った高い周波数で光変調を
かけることもコストがかかる。
【0092】しかし、本発明によれば、偏波スクランブ
ルを利用することによって、ミリ波、準ミリ波帯の逓倍
器やミキサなどの扱いにくく高価な部品を削減すること
が可能となる。この時、偏波スクランブル周波数は低い
周波数で良い。また、高調波を発生させる機構は、偏波
依存性と云うパッシブな過程であるが、容易に大きな高
調波が得られる。その結果、低コストで品質の良い周波
数変換が可能となる。
【0093】[11]さらに、具体的には、本願第11
の発明によって、前記スクランブル周波数は前記帯域信
号の下限周波数よりも小さい周波数であり、前記光受信
器は、光電変換によって得られる、前記スクランブル周
波数あるいはその高調波と前記帯域信号の畳み込みによ
って発生した成分のうち、最も周波数の低い成分を抽出
することを特徴とする本願第10の発明の光通信システ
ムを提供する。
【0094】図10からもわかるように、本発明の構成
は実質的にダウンサンプリングも行っている。したがっ
て、この構成によつて、低周波にコンバートされた帯域
信号が発生する。そのうち、最も低周波に発生する信号
をローパスフイルタ等で切り出して使用する。ローパス
フイルタ等で切り出した信号は、ぞの後の用途によっ
て、復調器に入力するなど処理すればよい。切り出した
信号を復調するのであれば、復調に適した周波数に変換
されるように、スクランブル周波数を決定しておけば良
い。
【0095】ダウンサンブリングには本来、もとの帯域
信号の周波数近辺で動作するA/D変換器が必要である
が、本発明によれば、ミリ波、準ミリ波帯等の変換器を
使用することなく容易にダウンサンプリングが可能とな
り、扱い易い周波数の信号が得られる。
【0096】また、ミリ波、準ミリ波帯で動作する周波
数逓倍器やミキサ等を利用して、周波数をダウンコンバ
ートする形態と比較して、得られた信号の品質が良く、
また、ミリ波、準ミリ波帯で動作する部分が光変調器ま
わりだけであるため、システムが低コストに構築でき
る。
【0097】また、このような構成をとると、光受信器
は、受信したい信号、すなわち低周波に変換された信号
の周波数帯で動作すればよいことになる。従って、光変
調器でミリ波、準ミリ波帯の信号を送っているにもかか
わらず、光受信器は、例えば、1[GHz]以下で動作
する低周波数のもので良く、光受信器系を非常に低コス
トに構成できる。[12]さらに、本願第12の発明で
は、前記光受信器は、光電変換によって得られる、前記
スクランブル周波数あるいはその高調波と前記帯域信号
の畳み込みによって発生した成分の内、前記帯域信号の
周波数よりも高い周波数の成分を抽出することを特徴と
する本願第10の発明の光通信システムを提供する。
【0098】第10の発明とは逆に、本発明のような形
態を用いて信号をアップコンバートすることも可能であ
る。例えば、図10(b)では、fsより高い側に周波
数シフトした帯域信号をバンドパスフイルタ等で切り出
すことによって、アップコンバートされた帯域信号を得
ることができる。
【0099】ミリ波、準ミリ波帯のコンポーネントは低
周波帯用のものに比べて非常に高価である。ミリ波、準
ミリ波帯の光変調器やその駆動系も決して低コストでは
ない。本発明では、偏波スクランブルされた光を偏波依
存性のある光変調器を用いてデータ変調するが、そのと
き用いる帯域信号は、低周波の帯域信号である。また、
偏波スクランブラのスクランブル周波数は、ミリ波、準
ミリ波帯のような高い周波数ではなく(コストの問題が
無ければこのような周波数でスクランブルしても良い
が)、より低い周波数でスクランブルし、偏波依存性の
ある部品を通過することによって発生する高調波を利用
する。その結果、より低コストに品質の良い周波数変換
が可能となる。
【0100】本発明では、光受信器はアップコンバート
された周波数、すなわち、ミリ波、準ミリ波帯で動作す
るものが必要である。しかし、光送信系のコンポーネン
トはどれも周波数の低いもので良く、その低い周波数を
高い周波数に変換するためのミキサや逓倍器のような高
価な電気デバイスが全く必要ないため、低コストにシス
テムを構築できる。また、本発明によって発生する高調
波はレベルが高い(パワーが大きい)ため、高品質な周
波数変換が可能となり、光受信器で得られる信号の品質
が高い。
【0101】
【発明の実施の形態】図を用いて本発明の実施の形態を
説明する。なお、実施の形態では本発明の動作に関連す
る部分のみを示している。
【0102】(第1の実施形態)ここでは、光変調器と
して偏波依存性のあるデバイスを使用し、また、光変調
器に光が入射する前に予測できない偏波変動が与えられ
たとしても、常に安定した変調効率、損失での変調を可
能とすると共に、光源の波長安定性が要求されることも
なく、比較的低コストに安定した伝送品質が確保できる
システムの実施例を説明する。
【0103】図1は本願第1の発明の実施の形態を示す
図である。図において、1はコヒーレント光源、2は偏
波スクランブラ、3はスクランブル信号源、5は光変調
器、6は光ファイバである。コヒーレント光源1は、時
間的コヒーレンスを有する光を出力する光源であり、ス
クランブル信号源3はスクランブル信号を発生するため
のものであり、偏波スクランブラ2はスクランブル信号
源3から入力されるスクランブル信号を用いて、偏波の
時間平均が無偏光になるように入力光の偏波をスクラン
ブルするものである。
【0104】光変調器5は、偏波スクランブルされた光
に対し、データ入力7から入力されたデータ信号に対応
して強度変調して光ファイバ6に出力するものであっ
て、当該光変調器5は、入射した光の偏波によって変調
効率、損失が異なるなどの偏波依存性を有している。
【0105】このような構成の本装置は、コヒーレント
光源1により時間的コヒーレンスを有する光を発生し、
当該コヒーレント光源1の出力光を、偏波スクランブラ
2に入力する。偏波スクランブラ2はスクランブル信号
源3から入力されるスクランブル信号を用いて、偏波の
時間平均が無偏光になるように入力光の偏波をスクラン
ブルする。
【0106】偏波スクランブルされた光は、光変調器5
において、データ入力7から入力されたデータ信号に対
応して強度変調を受ける。光変調器5は、入射した光の
偏波によって変調効率、損失が異なるなどの偏波依存性
を有している。強度変調を受けた光は光ファイバ6に出
力され、光受信器に向けて伝送される。
【0107】このような構成にすることによって、光変
調器として偏波依存性のあるデバイスを使用し、光変調
器に光が入射する前に予測できない偏波変動が与えられ
たとしても、常に安定した変調効率、損失での変調が可
能となる。また、光源の波長安定性が要求されることも
なく、比較的低コストに安定した伝送品質が確保でき
る。
【0108】<偏波スクランブラの構成例>ここで用い
る偏波スクランブラ2としての構成例を説明する。偏波
スクランブラとしては、これまでに種々提案されてい
る。例えば、電気光学効果を有する導波路によって、入
射した光の直交する2偏波のうち、一方にのみ位相変調
をかけるデバイスや、ファラデーローテータを使用し
て、直交する2つの円偏波間の位相差を変調するデバイ
スなどである。
【0109】高速の光通信に一般的に使用される光源は
時間的コヒーレンスを有しており、必ず特定の偏波を持
っている。光源から偏波変動が無いようにして光変調器
に入力できれば良いが、そうできないシステムもある。
【0110】そこで、本発明では、光源と光変調器の間
に偏波を時間的にスクランブルする偏波スクランブラ2
を挿入する。偏波スクランブラ2では、入力された光の
偏波を変調し、その出力光の偏波の時間平均をほぼ無偏
光にする。
【0111】その動作を説明するために、偏波状態を図
式化するポアンカレ球を導入する。
【0112】ポアンカレ球は図19のような球であり、
球上に偏波をマッピングするものである。完全にコヒー
レントな光は完全な偏波を持っており、その偏波は球の
表面のいずれかにマッピングされる。球の半径は偏波の
度合いを示している。一部コヒーレントでない光(部分
偏光)は完全に偏波を規定することができず、曖昧さが
残り、球の内部にマッピングされる。球の中心は完全に
インコヒーレントな光であり、全く偏波を規定すること
ができない。球の中心にマッピングされている状態を無
偏光と呼ぶ。
【0113】前述のように、高速光通信用の光源はコヒ
ーレント光であるため、球の表面にマッピングされる。
これを完全なインコヒーレント光にして無偏光にするこ
とはほぼ不可能である。しかし、偏波を高速に変調し
て、その時間平均が球の中心に来るようにすることは可
能である。例えば、図20におけるA点とB点の間をそ
れぞれの点にとどまっている時間が等しくなるように、
高速にスイッチさせれば、平均は球の中心に来る。
【0114】このような状態は、時間平均的には無偏光
であると云える。
【0115】偏波スクランブラは以上のように、時問平
均的にほぼ無偏光状態を実現するコンポーネン卜であ
る。
【0116】偏波依存性のある光変調器で変調を施すこ
とは、入射した光を光変調器の直交する2つの偏波軸に
対応して分離し、各々異なる効率、損失で変調を行った
後、合波することと同等である。ある特定の直線偏波成
分を切り出す素子として偏光子があり、本発明の構成に
偏光子は必ずしも含まれないが、2つの直交する偏波に
分離する過程を説明するために、偏光子を模式的に使用
する。
【0117】ここで、ポアンカレ球での偏光子の振る舞
いについて説明しておく。
【0118】ある偏波が偏光子に入射すると、その軸に
射影される成分のみが出力される。従って、偏光子に任
意の偏波を入射したとき、その出力の大きさはポアンカ
レ球を用いて以下のように算出できる。
【0119】任意の偏波に対応するポアンカレ球上の点
をマッピングする。例えば、図21のA点であるとす
る。
【0120】ポアンカレ球の赤道は直線偏波に対応して
おり、直線偏波の傾きによって赤道上の位置が異なる。
偏光子の軸の方向と同じ方向に傾いている直線偏波に対
応するポアンカレ球上の点Pを規定する。点Pを含む球
の直径は、必ず球の中心を通過する。これを直線Lと
し、この直線Lが(P点でない)球の反対側の表面と交
差する点をQとする。
【0121】このようにすると、A点を含み、直線Lに
垂直な平面が一意に決まる。この平面と直線Lの交点を
Cとする。偏光子に入射した光のトータルパワーに対す
る偏光子の出力光パワーの割合は、PQ/CQに等しく
なる。また、損失のない偏波分離素子で任意の偏波をQ
及びPを軸とする直交する2偏波に分離した場合、その
比はPC:CQに等しくなる。
【0122】光が偏波変動を起こす媒体、例えば、偏波
保持しない普通の光ファイバなどを通過すると、その出
力偏波のポアンカレ球上での位置が変化する。しかし、
偏波変動を起こす媒体に偏波依存性の損失がなければ、
球の表面を上滑りするように偏波が変動するのみで、複
数の点の相対的な位置関係は変化しない。従って、時問
平均が無偏光、すなわち、球の中心にくるように偏波ス
クランブルされた光は偏波保持型でない光ファイバを通
過してもその時間平均はやはり球の中心であり、時間平
均での無偏光状態は保たれている。
【0123】このような光が偏波依存性のある光変調器
によって変調される場合を考える。前述のように、光変
調器の直交する2つの偏波の軸に従って、偏波スクラン
ブルされた光を分離すると考える。偏波スクランブルさ
れた光の時間平均は球の中心にあるため、光変調器の軸
がどのような向きであったとしても、分離された光は時
間平均的に必ず1:1のパワーに分割される。光変調器
のそれぞれの偏波軸での変調効率や損失が異なっていた
としても、分離されるパワーの比率が一定であるため、
変調された後に合波された光も一定の決まった割合の損
失と変調を受けている。光が光変調器に入射する前に光
ファイバなどで変動を受けたとしても、変動の度合いに
よらず常に一定である。
【0124】偏波スクランブラ2は、一般に位相変調器
を使用して容易に構築することが可能である。そして、
位相変調器はバイアス制御など複雑な構成が不要であ
り、比較的低コストに構築できるデバイスである。 <入射偏波が揺らぐ系でのMZ型変調器の使用例>光変
調器に偏波依存性が無ければ、わざわざ偏波スクランブ
ラ2を用いてコヒーレント光を偏波スクランブルする必
要もなく、簡易な構成にできる。しかし、光変調器は一
般に、大なり小なりの偏波依存性を有している。電界吸
収型(EA)変調器には比較的偏波依存性が小さいもの
があるが、当該EA変調器は、一般に歪特性、損失特
性、チャーピング特性がマッハ・ツェンダー型(MZ
型)変調器と比較して悪い。
【0125】一方、MZ型変調器は一般に偏波依存性が
大きく、入射偏波が揺らぐ系では、安定した変調ができ
ない。しかし、本発明の適用によって、入射偏波が揺ら
ぐ系でもMZ型変調器が使用できるようになる。図2は
その実施の形態を示すブロック図である。
【0126】図2は本発明の適用によって、入射偏波が
揺らぐ系でもマッハ・ツェンダー型(MZ型)変調器が
使用できるようにした実施形態を示すブロック図であ
る。図2に示すように、偏波スクランブラ2で偏波の時
間平均が無偏光になるように入力光をスクランブルして
得た偏波をMZ型変調器8にて、データ入力7から入力
したデータ信号に対応して強度変調し、光ファイバ6に
出力するようにしたものである。
【0127】このような構成の本システムは、時間的コ
ヒーレンスを有する光を出力するコヒーレント光源1の
出力光を、偏波スクランブラ2に入力する。偏波スクラ
ンブラ2はスクランブル信号源3から入力されるスクラ
ンブル信号を用いて、偏波の時間平均が無偏光になるよ
うに入力光の偏波をスクランブルする。
【0128】偏波スクランブルされた光はマッハ・ツェ
ンダー型(MZ型)変調器8によって、データ入力7か
ら入力したデータ信号対応に強度変調を受ける。MZ型
変調器8は入射偏波によって変調効率、損失が異なるな
どの偏波依存性を有している。強度変調を受けた光は光
ファイバ6に出力され、光受信器に向けて伝送される。
【0129】MZ型変調器8は、EA型変調器と比較し
て、歪特性、損失特性、チャーピング特性などにおいて
優れている。
【0130】従って、本発明のように偏波スクランブラ
2を使用することによって、偏波の時間平均が無偏光に
なるように入力光の偏波をスクランブルし、この偏波光
をMZ型変調器8に与えるようにしたことで、入力偏波
が変動する系でも、MZ型変調器を使用して、より良い
伝送特性を得ることができるようになる。
【0131】このように、本発明によれば、偏波スクラ
ンブラ2を使用することによって、偏波の時間平均が無
偏光になるように入力光の偏波をスクランブルし、この
偏波光を変調器に与えてデータ信号対応に変調して光通
信路に送出するようにしたことで、光ファイバなど偏波
変動のあるブロックを通過してきた光に対して、MZ型
変調器など本来ならば入力偏波の変動を許容しない光変
調器が利用可能になる。
【0132】このことは、コヒーレント光源1を環境の
影響の少ない屋内に設置し、変調器は外部に設置する光
通信システムの構成に問題なく適用できることを意味す
る。
【0133】従って、次に、屋内のコヒーレント光源1
から偏波変動のある系である光ファイバ伝送路11を介
して電柱などに設置した設備10内に光を導き、ここで
MZ型変調器にてデータ信号対応に光変調してデータ信
号を光伝送するシステム構成例を次に説明する。 <入射偏波が揺らぐ系での適用例>屋内のコヒーレント
光源1から偏波変動のある系である光ファイバ伝送路1
1を介して電柱などに設置した設備10内に光を導き、
ここでMZ型変調器にてデータ信号対応に光変調してデ
ータ信号を光伝送するシステム構成例を図3に示す。
【0134】図3は、コヒーレント光源1を環境の影響
の少ない屋内に設置し、このコヒーレント光源1から偏
波変動のある系である光ファイバ伝送路11を介して電
柱などに設置した設備10内の光変調器5にてデータ信
号対応に変調して光通信路6に送出するようにした光通
信システムの具体例である。図において、9は光源を有
する装置であり、屋内に設置されている。また、10は
光変調器を有する装置であって、電柱上など環境変化の
大きいところに設置されている。また、11は光ファイ
バ伝送路であって、装置9と装置10とを繋ぐ光伝送路
である。1は装置9内に設けられたコヒーレント光源、
2は装置9内に設けられた偏波スクランブラ、3は装置
9内に設けられたスクランブル信号源、5は光変調器、
6は光ファイバである。
【0135】コヒーレント光源1は、時間的コヒーレン
スを有する光を出力する光源であり、スクランブル信号
源3はスクランブル信号を発生するためのものであり、
偏波スクランブラ2はスクランブル信号源3から入力さ
れるスクランブル信号を用いて、偏波の時間平均が無偏
光になるように入力光の偏波をスクランブルして光ファ
イバ伝送路11に出力するものである。
【0136】光変調器5は、MZ型光変調器であって、
偏波スクランブルされ、光ファイバ伝送路11にて送ら
れてきた光に対し、データ入力7として入力されたデー
タ信号に対応して強度変調して光ファイバ6に出力する
ものであって、当該光変調器5は、入射した光の偏波に
よって変調効率、損失が異なるなどの偏波依存性を有し
ている。
【0137】本システムは、光源を有する装置9内に、
時間的コヒーレンスを有する光を出力する光源1と偏波
スクランブラ2が設置されている。光源1から出力され
た光は偏波スクランブラ2に入力され、スクランブル信
号源3から入力された信号によって、時間平均が無偏光
になるように偏波スクランブルされる。
【0138】偏波スクランブラ2から出力された光は光
ファイバ伝送路11を伝搬する。光ファイバ伝送路11
は偏波保持などしない、普通のシングルモードファイバ
で構成されており、入射時の偏波が一定であったとして
も、温度、張力、圧力等の変化により、出射偏波が変動
する。
【0139】したがって、光ファイバ伝送路11が光変
調器5の前にあると、偏波スクランブラ2が挿入されて
いない場合、光変調器5に入射する偏波が安定せず、光
変調器5の偏波依存性によって、変調効率や出力光パワ
ーが変動する。しかし、偏波スクランブラ2が挿入され
ていることによって、常に安定した量の変調、安定した
出力光パワーが得られる。
【0140】なお、偏波スクランブラ2のスクランブル
特性が入射偏波に依存する場合、コヒーレント光源1と
偏波スクランブラ2の間で偏波が揺らがないようにする
必要がある。例えば、偏波保持ファイバで接続する、あ
るいは、光源1と偏波スクランブラ2の間は空間結合と
するなどである。
【0141】偏波スクランブラ2の挿入位置は、当該偏
波スクランブラ2に入射偏波依存性が無ければ光源の直
後ではなく、光変調器の直前でも良い。すなわち、光フ
ァイバ伝送路が光源と偏波スクランブラの間にあるよう
な構成である。しかし、入射偏波に依存せず時間平均を
無偏光にできる偏波スクランブラは構成が複雑でコスト
が高い。したがって、偏波スクランブラを光源の直後に
挿入し、偏波スクランブラと光変調器の間に光ファイバ
伝送路がある構成が、比較的低コストな偏波スクランブ
ラを使用することができて望ましい。
【0142】このような、光源と光変調器が離れている
形態は、信号源が電柱上の無線基地局のアンテナである
など温度環境の悪い場所となっている形態に適してい
る。それは、光通信の光源となるレーザ素子は温度変化
に対して安定した動作が難しいからである。
【0143】<無線のアンテナ局への適用例>光源と光
変調器が離れている形態として、図4に本発明を用いて
無線のアンテナ局を接続する実施形態を示す。図におい
て、14はセンター局、15はアンテナ局であり、セン
ター局14はコヒーレント光源1、偏波スクランブラ
2、スクランブル信号源3および光受信器12とを備
え、また、アンテナ局15は光変調器5、ドライバアン
プ4、アンテナ16とを備える。センター局14とアン
テナ局15とは光ファイバ伝送路11,13で接続され
る。
【0144】すなわち、センター局14は無線信号の変
復調、公衆網との接続などを行うための局であり、当該
センター局14に、コヒーレント光源1と偏波スクラン
ブラ2が設置されている。センター局14は建物であ
り、内部の温度条件が穏やかで、レーザ素子のようなデ
リケートな部品を設置するのに適している。
【0145】時間的コヒーレンスを有する光源1から出
力された光は、スクランブル信号源3からの信号に対応
して偏波スクランブラ2によって偏波スクランブルされ
る。偏波スクランブルされた光は光ファイバ伝送路11
を伝搬して、アンテナ局15に送られる。アンテナ局1
5はアンテナ16と光変調器5を有している。
【0146】アンテナ16で受信された無線信号はアン
テナ直後の増幅器であるLNAで増幅された後、ドライ
バアンプ4で増幅されて、光変調器5に印加される。光
変調器5はMZ型変調器など偏波依存性はあるが、歪や
損失、チャーピングなど他の点で優れた光変調器であ
る。
【0147】本システムにおいては、センター局14に
偏波スクランブラ2があり、当該センター局14から光
ファイバ伝送路11を介してアンテナ局15の光変調器
5に入力される光は時間平均が無偏光となるように偏波
スクランブルされている。
【0148】そのため、光ファイバ伝送路11で受ける
偏波変動に関わらず、安定な変調が可能である。光変調
器5で無線信号によって変調を受けた光は、光ファイバ
伝送路13に入射され光受信器12に向かって伝搬す
る。
【0149】光受信器12は、図4の構成ではセンタ局
14に設置されているが、図示されていない他の局に設
置されていても良い。光受信器12では、光電変換した
後、アンテナ16で受信された無線信号近辺のの周波数
をフィルタなどで切り出し、受信する。受信した無線信
号は、その後の用途によって、復調されたり、もとの無
線信号の形態のまま中継されたりする。
【0150】このようにすることによって、外部環境に
さらされるアンテナ局15にレーザ素子のようなデリケ
ートな部品を置かずに済み、かつ、偏波依存性という要
因を無視して、その他の特性の善し悪しで光変調器を選
択することが可能となり、より安定な伝送が可能とな
る。
【0151】また、無線信号のような帯域信号は、図5
に示すように、周波数多重されていることが多く、さら
に、上りの無線信号に関してはダイナミックレンジが大
きい場合が多い。パワーの小さい信号が、パワーの大き
い信号やそれらの混変調に埋もれてしまわないように、
光変調器5には良い歪特性が要求される。
【0152】本発明を無線信号のような帯域信号に適用
することによって、偏波依存性に関係なく歪特性中心に
光変調器を選択することが可能となり、帯域信号を品質
良く伝送することが可能となる。
【0153】また、本発明では、光変調器として外部変
調器を使用するサブキャリア周波数が高いシステムを想
定している。サブキャリア周波数は例えば、数[GH
z]から数10[GHz]といったものであり、扱いが
少々面倒であるような高い周波数である。そのような高
い周波数はシステム内でも極力使用する部分を狭めた
い。無線信号のような帯域信号の場合、信号の情報量を
制限する帯域はキャリア周波数でなく、帯域幅である。
【0154】したがって、帯域幅よりも速い速度で偏波
スクランブルすれば、情報を損失することなくスクラン
ブルが可能であり、これまで考えられていたように、サ
ブキャリア周波数の倍の速度でスクランブルすると云っ
た必要は全くない。
【0155】そこで、このことを利用して本発明では図
6のようにスクランブル周波数を帯域信号の下限の周波
数より低くする。
【0156】<スクランブル周波数を低周波数化した実
施例>スクランブル周波数を帯域信号の下限の周波数よ
り低くした実施例を説明する。図6に示すように、帯域
信号の中心周波数をfs、帯域信号の帯域幅をΔFとす
る。ΔFは、帯域信号を復調する時に、ΔFの外になに
がしかの信号成分があっても復調に影響を受けない幅で
ある。
【0157】本発明では、偏波スクランブルの周波数f
scを、 fsc < fs− ΔF/2 とする。
【0158】スクランブル周波数fscが帯域信号の帯
域内に重なると、これを光受信器で受信したとき、スク
ランブル信号成分が残留し、受信感度が劣化する可能性
があるためである。また、スクランブル周波数は帯域信
号の帯域幅ΔFに相当する周波数よりも大きく設定す
る。それは、スクランブル周波数がΔFよりも小さい
と、中心周波数fs+fscに発生するスクランブル周
波数と帯域信号の畳み込み成分が、受信するべき帯域信
号と一部重なってしまうからである。
【0159】このようにスクランブル周波数fscを低
く抑えることによって、偏波スクランブラおよびその駆
動系が低コストなデバイスで構成でき、システムが低コ
スト化できる。
【0160】また、図7に示すように、周波数fscで
偏波スクランブルされた信号が偏光子または偏波依存性
損失のあるコンポーネントを通過すると、スクランブル
信号が正弦波であったとしても、光電変換後の電気信号
には、周波数fscの成分の他にfscの高調波成分が
発生する。これらの成分の大きさは、コンポーネントの
偏波依存性損失の大きさや、コンポーネントに入射する
前に受けた偏波変動によって異なるが、傾向としては高
調波の次数が高いほど小さい。したがって、これら高調
波が受信されるべき信号と重なっても受信信号に影響を
与えない程度に小さければよい。そのため、スクランブ
ル周波数fscを十分小さくする。
【0161】すなわち、偏波スクランブルされた信号が
偏波依存性のあるコンポーネントを通過すると、図7の
ようにスクランブル周波数fscの高調波2fsc,3
fsc,…が発生する。
【0162】高調波の大きさは、偏波スクランブル信号
の波形(正弦波、矩形波、三角波、…)および、偏波依
存性のあるコンポーネントに入射するまでに受けた偏波
変動、また、偏波依存性の大きさに依存する。
【0163】このようにして発生する高調波は、原理的
に非常に大きく、高次の高調波までなかなか減衰しない
が、これまでの経験から、それはおよそ7次程度で十分
に減衰することがわかっている。
【0164】そこで本発明では、6次以下の高調波が帯
域信号の帯域内に重ならないように、図8の如くスクラ
ンブル周波数fscを帯域信号の下限周波数の1/6よ
り小さくする。かつ、前述と同様の理由で帯域信号の帯
域幅ΔFより大きくする。
【0165】その結果、発生した高調波が受信するべき
帯域信号と重なっても、重なった高調波のパワーが小さ
いため、大きな受信感度劣化が起こらない。また、スク
ランブル周波数が十分小さいため、偏波スクランブラま
わりの構成が低コスト化できる。
【0166】何らかの理由で、偏波スクランブル周波数
を十分に下げられない場合、あるいは、どんなに小さな
高調波でも帯域信号に重なると所望の受信感度が得られ
ない場合などもある。そのような場合、高調波が信号帯
域内に重ならないようにスクランブル周波数fscを設
定すれば良い。 <スクランブル周波数fscの設定法>図9を用いてス
クランブル周波数fscの設定の仕方を説明する。
【0167】帯域信号17はその下限周波数がfs−Δ
F/2、上限周波数がfs+ΔF/2である。この帯域
内に2次高調波が来ないスクランブル周波数は (fs−ΔF/2)/2 よりも小さい周波数と、 (fs+ΔF/2)/2 よりも大きい周波数である。従って、2次高調波が帯域
信号と重なって来ないようにするには、スクランブル周
波数fscが、“(fs−ΔF/2)/2”から“(f
s+ΔF/2)/2”の範囲外であればよい。
【0168】次に、信号帯域内に3次高調波が重ならな
いスクランブル周波数fscは (fs−ΔF/2)/3 よりも小さい周波数と、 (fs+ΔF/2)/3 よりも大きい周波数である。従って、3次高調波が帯域
信号と重なってこないようにするには、スクランブル周
波数fscが、“(fs−ΔF/2)/3”から“(f
s+ΔF/2)/3”の範囲外であればよい。
【0169】同様にして4次高調波、5次高調波、…
…に関してもスクランブル周波数fscを設定してはな
らない周波数帯が規定できる。
【0170】このように規定された各周波数帯のいずれ
にも入らないように、スクランブル周波数fscを決定
する。例えば、図9に示すスクランブル周波数fscの
如きである。
【0171】その結果、スクランブル周波数fscの高
調波が、受信する帯域信号の帯域内に重なることが無
く、良好な伝送が可能となる。
【0172】スクランブル周波数fscを十分に下げる
ことができない場合には、さらに、図10(b)に示す
如く、周波数“0”を中心に折り返してきた成分が問題
になることがある。これらの成分はスクランブル周波数
の高次高調波と帯域信号の畳み込み成分であり、fsを
中心に存在する受信するべき帯域信号に重なるような周
波数で、十分に減衰せずに存在すると受信感度劣化を起
こす。従って、折り返してきた信号が重ならないように
スクランブル周波数を決定する必要がある。
【0173】図10(a)のスペクトルをfsだけ高周
波側にシフトし、帯域信号の帯域幅を持たせて、周波数
“0”で折り返し、さらに図10(a)のスペクトルの
パワーを減らしたものを足し合わせると、光受信器12
で受信される電気スペクトルになるが、説明のために、
図11に折り返す前のスペクトルを示す。
【0174】図11を説明する。−fsの近辺に帯域信
号の小さなレプリカがあり、これが折り返したときにそ
の折り返した信号は中心周波数fsの近辺に生じ、場合
によっては重なってくる。
【0175】この信号はスクランブル周波数の4次の高
調波によって発生した成分であるが、これが所望の帯域
信号と重ならないようにするためには、次のいずれかの
条件を満足していればよい。
【0176】すなわち、レプリカが中心周波数fsより
高周波側に来る場合は、 2*fs+ΔF<4*fsc そして、中心周波数fsより低周波側に来る場合は、 2*fs−ΔF>4*fsc となるようにする。
【0177】これを4次のみでなく、すべての高調波に
拡張する場合、高調波の次数をnと表して、 2(fs+ΔF/2)/n<fsc と 2(fs−ΔF/2)/n>fsc を満たすようにスクランブル周波数fscを決定すれば
よい。
【0178】図12にこのような条件によって決定され
るスクランブル周波数fscの範囲、正確にはスクラン
ブル周波数fscが設定されてはいけない範囲を斜線で
図示する。このような範囲と、図9の範囲を共に避ける
ようにスクランブル周波数fscを設定すればよい。
【0179】このようにすることによって、スクランブ
ル周波数が十分に下げられない場合でも良好な伝送が可
能となる。
【0180】偏波スクランブルされた光が偏波依存性の
あるコンポーネントを通過することによって発生する高
調波が全くないようにするスクランブル信号波形も、理
論的には存在する。例えば、無限位相変調器などを利用
し、ポアンカレ球上の球の中心を含む断面円の外周を偏
波が一方向に等速度で進み続けるように、偏波を変調す
ればよい。
【0181】現在のところは無限位相変調器は実用化の
段階ではないが、将来手頃な価格で適切な能力の無限位
相変調器が実用化されたときには、そのような物を利用
して偏波スクランブルを行えば、上述のような高調波発
生による問題は解決できる。
【0182】また、本発明は、これまでにも述べてきた
ように、アンテナで受けた無線信号を復調せずに光ファ
イバで送るためのシステムに適用すると効果的である。
それは、以下のような理由による。
【0183】本発明は本質的に有効な信号成分を持つ光
パワーを損失させる可能性がある。光伝送系で発生する
雑音によってSNR(信号/雑音比)が制限されるシス
テムでは、光パワーの損失はそのまま受信感度の劣化に
つながる。しかし、アンテナで受けた無線信号、特に移
動体通信の無線信号は、アンテナの利得とアンテナ直後
の増幅器であるLNAの雑音でSNRが決定される。そ
の段階で含んでいる雑音の量は光リンクで付加される雑
音量より遙かに多い。
【0184】偏波スクランブルを導入することによって
光パワーが減少することは、相対的に光リンクで付加さ
れる雑音量が増加することと等価であるが、もともとの
信号が含んでいる雑音量が光リンクで付加される雑音量
より遙かに多いため、少々光リンクでの付加雑音が増加
しても、信号のSNRはほとんど変化しない。
【0185】このことを、図4に示したシステムを例
に、数値例をあげて説明をする。
【0186】説明を簡素化するため、各素子の過剰損失
は考慮しない。図4に示したシステムにおいて、アンテ
ナ16で受信され、LNAで増幅された信号のパワーが
0[dBm]であり、信号に付随する雑音のパワーが−
10[dBm]であるとする。この時SNRは10[d
B]である。
【0187】一方、光ファイバ伝送路11を伝送されて
きた光パワーが5[dBm]であり、この光は偏波スク
ランブルされており、光変調器5の偏波依存性によって
3[dB]の損失を受けるとする。
【0188】その結果、実効的に変調を受ける光は2
[dBm]である。光変調器5のバイアス点がパワー
“1/2”の点であるとすると、その分の損失が3[d
B]ある。
【0189】光変調器5では、入力光パワー“I”に対
して、駆動信号パワーをP[dBm]とした場合、出力
光が含む駆動信号のパワーが“2I+P−20[d
B]”となるとすると、光変調器5を出射した−1[d
Bm]の光には−22[dBm]分の信号パワーと−3
2[dBm]分の雑音パワーが含まれている。
【0190】また、光ファイバ伝送路13の損失が4
[dB]であるすると、光受信器12は光パワーの増減
に対して20xlogの感度を持っているため、光受信
器を出力する信号パワーは−30[dBm]、そして、
雑音パワーは−40[dBm]である。
【0191】一方、光ファイバ伝送路13を伝送してき
た光を光受信器12で受信した時の光リンクの付加雑音
は受信光パワーに依存せず、−60[dBm]であると
する。−40[dBm]に−60[dBm]の雑音を付
加してもトータルで、−39.957[dBm]の雑音
となり、雑音量はほとんど変化しない。受信された信号
のSNRは9.957[dB]である。
【0192】仮に偏波スクランブルされた光を偏波依存
性のある光変調器5を通過させたことによる3[dB]
の損失が無かったとすると、光受信器12で受信後の信
号パワーは−24[dBm]、雑音パワーは−34[d
Bm]である。
【0193】光リンクによる付加雑音については変わら
ず、−60[dBm]であり、トータルの雑音は−3
3.989[dBm]となって、受信された信号のSN
Rは9.989[dB]である。
【0194】このことから、偏波スクランブラ2がある
場合と比較して、これが無い場合であってもSNRはほ
とんど変化していないことがわかる。
【0195】また、光リンクでは光パワーが少々減少し
ても、よほど光パワーが小さくならない限り、図13の
構成のように光増幅器で増幅することによって、元の光
SNに近い光SNまで回復させることができる。なお、
図13の構成においては光増幅器20がアンテナ局15
内に設けてあるが、光ファイバ伝送路13で受ける損失
が小さい場合は、センター局14内で光受信器12の直
前に置く構成が採用でき、このようにすると、アンテナ
局15の構成が簡素化できて良い。
【0196】このように、伝送される信号の信号対雑音
比が良くない系に本発明を適用することによって、光損
失が見えなくなり、偏波依存性のある光変調器を利用で
きて、しかも、良好な性能を確保できるという本発明の
利点のみを享受可能となる。
【0197】(第2の実施形態)次に、偏波スクランブ
ラと偏波依存性のある光変調器とを利用した、帯域信号
の周波数変換について、図面を用いて実施の形態を説明
する。
【0198】図14はその実施の形態の一つを示すブロ
ック図である。図14において、1はコヒーレント光
源、2は偏波スクランブラ、3はスクランブル信号源、
21は偏光子、22は光変調器、6は光ファイバ、25
は光受信器である。
【0199】コヒーレント光源1は、時間的コヒーレン
スを有する光を出力する光源であり、スクランブル信号
源3はスクランブル信号を発生するためのものであり、
偏波スクランブラ2はスクランブル信号源3から入力さ
れるスクランブル信号を用いて入力光の偏波をスクラン
ブルするものであるが、ここでは単にスクランブルすれ
ば良く、今までの例のように偏波の時間平均が無偏光に
なるように偏波をスクランブルすると云った必要はな
い。
【0200】また、偏光子21は、偏波スクランブルさ
れた光を受けてこれよりスクランブル周波数の高調波を
発生させるものであって、この偏光子21の偏波軸は所
望の次数の高調波が所望の大きさで発生するような方向
に向いている。また、光変調器22は、この偏光子21
を介して得られた光をデータ入力対応に光変調して光フ
ァイバ6に出力するものである。
【0201】このような構成において、時間的コヒーレ
ンスを有する光を出力する光源1から出力された光は、
偏波スクランブラ2によって偏波スクランブルされる。
但し、このとき、第1の実施形態での発明と異なる点
は、『偏波スクランブラ2による偏波の時間平均が無偏
光になる必要はない』と云うことである。
【0202】偏波スクランブルされた光は、偏波軸が適
切な方向を向いている偏光子21を通過し、スクランブ
ル周波数の高調波が発生させられる。偏光子21の偏波
軸は所望の次数の高調波が所望の大きさで発生するよう
な方向に向いている。偏光子21を通過した光は光変調
器22によって強度変調を受ける。
【0203】光変調器22には、データ入力7として帯
域信号が入力され、当該帯域信号に応じた電圧によって
駆動される。光変調器22の出力は光ファイバ6に入射
し、光受信器25に伝送される。
【0204】光受信器25では光電変換を行った後、適
切な周波数特性を有するフィルタなどによって、帯域信
号の情報を有する多数の成分のうち所望の周波数成分を
抽出する。この時、コヒーレント光源1と偏波スクラン
ブラ2の間、また、偏波スクランブラ2と偏光子21の
間は、その偏波が予測できない変動を受けないように、
偏波保持ファイバで接続されているか、空間結合され
る。
【0205】この場合、光変調器22は偏波依存性を持
っていても持っていなくても良い。偏波依存性がない場
合は、偏光子21を通過した光がすべて変調の対象とな
る。偏波依存性がある場合は、偏光子22の偏波軸と光
変調器22の偏波軸のずれによって、光が損失を受け
る。しかし、偏光子22を通過した時点で、偏波スクラ
ンブルされた光は単一偏波に戻り、偏波スクランブルの
効果は強度変調という形に変換されている。そのため、
光変調器を通過するとき、偏波スクランブルによるさら
なる高調波の発生などは起こらない。ただし、偏光子2
1と光変調器22の間の偏波に時間変動などがあると、
光変調器で変調される光パワーや変調効率が変動するた
め、偏光子21と光変調器22の間は偏波が変動しない
ように構成されていることが望ましい。
【0206】図14の構成では偏光子21が偏波スクラ
ンブラ2と光変調器22の間に配置されている。光変調
器22の後ろに配置し、光変調器22と偏光子21の間
の偏波が変動しないように構成しても同等の効果が得ら
れる。その場合、偏光子21の軸の向きは、光変調器2
2に偏波依存性があるならば、光変調器22の偏波軸の
向きに合わせる。
【0207】このとき、光変調器22の偏波軸は、偏光
子21を通過した後に所望の周波数の成分が最も良く出
るような向きに設定する。但し、変調器22に偏波依存
性がないならば、偏光子21の偏波軸は所望の周波数の
成分を最も良く発生させられるような向きに設定する。
さらに、光変調器22に偏波依存性が無いならば、偏光
子21は光受信器25の直前にあっても良い。その場
合、光ファイバ6で偏波が変動するため、光受信器25
で受信された時に、所望の周波数成分が所望の大きさ以
上で得られるように、偏光子21の軸の向きを制御する
などの機構が必要となる。
【0208】<偏波依存性大の光変調器を用いる場合の
システム例>使用する光変調器が、偏波依存性の非常に
大きいものである場合、また、光変調器の入り口に偏光
子が実装されている場合は、図15に示す構成の如きに
すると良い。
【0209】すなわち、この場合、図14の構成におけ
る光変調器22の代わりに図15に示す如く、偏波依存
性の大なる光変調器23を用いる場合、光変調器の入り
口に偏光子が実装されている光変調器23を用いる場合
は、当該光変調器23の偏波軸は所望の周波数成分が所
望の大きさ以上で発生するような方向に向けるようにす
る。また、コヒーレント光源1と偏波スクランブラ2の
間、そして、偏波スクランブラ2と光変調器23の間
は、偏波が予測できない変動を受けないように、偏波保
持ファイバで接続されているか、空間結合する構成とす
る。
【0210】このような構成の光通信システムにおい
て、時間的コヒーレンスを有する光を出力する光源1か
ら出力された光は、偏波スクランブラ2に導かれるが、
両者の間は偏波が予測できない変動を受けることがない
ように、偏波保持ファイバで接続されているか、空間結
合されている。
【0211】従って、時間的コヒーレンスを有する光
は、偏波が予測できない変動を受けることなく、偏波ス
クランブラ2に与えられ、当該偏波スクランブラ2はこ
れを偏波スクランブルして光変調器23に送ることにな
る。このとき、偏波スクランブラ2によって偏波の時間
平均が無偏光になる必要はない。
【0212】偏波スクランブラ2と光変調器23の間
は、偏波が予測できない変動を受けることがないよう
に、偏波保持ファイバで接続されているか、空間結合さ
れている。
【0213】従って、偏波スクランブラ2から偏波スク
ランブルして光変調器23に送られる光は、偏波が予測
できない変動を受けることなく、光変調器23に送られ
ることになる。このようにして光変調器23に伝達され
た光は当該光変調器23によって強度変調を受けること
になる。
【0214】この光変調器23の偏波軸は所望の周波数
成分が所望の大きさ以上で発生するような方向に向いて
いる。また、光変調器23には、データ入力7として帯
域信号が入力されている。そのため、光変調器23は当
該帯域信号に応じた電圧によって駆動されて入力光は光
強度変調されることになる。そして、光強度変調された
光変調器23の出力は光ファイバ6に入射され、光受信
器25へと伝送されることになる。
【0215】光ファイバ6を介してこれを受信した光受
信器25では光電変換を行った後、適切な周波数特性を
有するフィルタなどによって、帯域信号の情報を持って
いる多数の成分のうち、所望の周波数成分を抽出する。
【0216】このように、使用する光変調器が、偏波依
存性の非常に大きいものである場合、また、光変調器の
入り口に偏光子が実装されている場合は、コヒーレント
光源1と偏波スクランブラ2の間、および偏波スクラン
ブラ2と光変調器23の間は、偏波が予測できない変動
を受けないように、偏波保持ファイバで接続するか、空
間結合するようにし、光変調器23の偏波軸は所望の周
波数成分が所望の大きさ以上で発生するような方向に向
けるようにすることで、偏波依存性のある光変調器を利
用できて、しかも、良好な性能を確保できるという本発
明の利点を享受可能となる。
【0217】以上の図14、図15の構成では偏光子や
光変調器の偏波軸の向きを所望の高調波や所望の周波数
成分が最大(あるいは所望の大きさ以上)になるように
合わせると説明した。
【0218】しかし、偏光子は基本的に直線偏波しか切
り出せない。偏波スクランブラの構成や、途中の結合系
の不完全性などによっては、所望の高調波が最大になる
軸が直線偏波ではなく、円偏波や楕円偏波であることも
ある。また、光コネクタの形状などにより、偏波軸の方
向を自由に変えてコンポーネントを接続することができ
ないこともある。そのような場合は、偏波依存性のある
デバイス、すなわち偏光子や偏波依存性のある光変調器
の前に、偏波変換器を挿入し、適切な偏波に変換すると
よい。
【0219】そのような例を次に第3の実施形態として
説明する。
【0220】(第3の実施形態)図16に、図15に示
した系に対して偏波変換器24を挿入した構成例を示
す。すなわち、図16に示すように、偏波スクランブラ
2と偏波依存性のある光変調器23との間に偏波変換器
24を介在させた構成である。
【0221】ここで、偏波変換器24とは、偏波スクラ
ンブルされた光が偏波依存性のある光変調器23の偏波
軸で切り出されることによって、所望の高調波あるいは
所望の周波数成分が最大(あるいは所望の大きさ以上)
になるように、偏波依存性のある光変調器23に入射す
る偏波を変換するものであり、当該偏波変換器24は波
長板あるいは波長板と同等の作用を持つデバイスによっ
て構成されている。
【0222】このような構成の本システムは、コヒーレ
ント光源1で発生させた光を偏波スクランブラ2で偏波
スクランブルする。そして、この偏波スクランブルされ
た光は偏波変換器24で偏波変換され、偏波依存性のあ
る光変調器23に入力される。偏波変換器24では、偏
波スクランブルされた光が偏波依存性のある光変調器2
3の偏波軸で切り出されることによって、所望の高調波
あるいは所望の周波数成分が最大(あるいは所望の大き
さ以上)になるように、偏波依存性のある光変調器23
に入射する偏波を変換する。
【0223】このように構成することによって、ミリ波
や準ミリ波信号を送受信するために必要な、ミリ波や準
ミリ波帯で動作する電気コンポーネントの数を減らすこ
とができて、低コスト化につながる。さらに、偏波スク
ランブルされた光が偏光子を通過することによって発生
する高調波が大きいため、品質の良い周波数変換が可能
となる。
【0224】光受信器25で受信した後の電気スペクト
ルは図10(b)の如きである。本発明の構成を信号を
ダウンコンバートするために使用するのであれば、例え
ば、中心周波数2fsc−fsの成分をローパスフィル
タなどで切り出して用いる。
【0225】また、周波数をアップコンバートするため
に使用するのであれば、例えば、中心周波数fs+2f
scの成分をバンドパスフイルタで取り出すなどする。
この時、それぞれの成分が所望の周波数となるように偏
波スクランブルの周波数は予め決定されているものとす
る。
【0226】以下に、帯域信号の周波数をダウンコンバ
ートする具体的な応用例を図面を用いて示す。
【0227】<帯域信号周波数のダウンコンバートする
応用例>図17は無線信号をアンテナ局15からセンタ
ー局14に伝送する形態をとる光通信システムの機能ブ
ロック図である。図15の構成を基本とし、それを無線
システムに適用している。従って、図15と同一構成要
素には同一符号を付してその説明は省略してある。
【0228】アンテナ局15は、コヒーレント光源1、
偏波スクランブラ2、スクランブル信号源3、光変調器
23、ドライバアンプ4、アンテナ16を備えて構成し
てある。
【0229】14はセンター局であり、アンテナ局15
とセンター局14との間は、光ファイバ伝送路11にて
接続されている。
【0230】センター局14は、光電変換器30、ロー
パスフィルタ26、および復調器27を備えて構成して
ある。光電変換器30は光信号を電気信号に変換するも
のであって、光ファイバ伝送路11を伝送されてきた光
を光電変換してローパスフィルタ26に出力するもので
ある。また、ローパスフィルタ26は光電変換されて電
気信号に変換された信号から、低周波にダウンサンプリ
ングされた信号を切り出すためのものであり、される。
復調器27はこの低周波信号をべースバンドデジタル信
号に復調するものである。
【0231】このような構成の本システムは、アンテナ
局15において、光源1から出力された光を、偏波スク
ランブラ2はスクランブル信号源3からの信号に基づい
て偏波スクランブルする。
【0232】一方、アンテナ16で受信され、LNAで
増幅された無線信号は、ドライバアンプ4で増幅され、
光変調器23に印加される。光変調器23は偏波依存性
を有している。
【0233】光変調器23には偏波スクランブラ2の出
力光が入力され、無線信号によって強度変調を受ける。
光変調器23の出力は光ファイバ伝送路11によってセ
ンター局14に伝送される。
【0234】センター局14では、光ファイバ伝送路1
1を伝送されてきた光を、光電変換器30で光電変換す
る。そして、この光電変換されて電気信号に変換された
信号から、ローパスフィルタ26によって、低周波にダ
ウンサンプリングされた信号が切り出される。切り出さ
れた低周波信号は、復調器27によってべースバンドデ
ジタル信号に復調される。そして、この復調された信号
は適宜信号処理された後、ネットワークなどに送り出さ
れる。
【0235】図17の系の周波数の推移について具体例
を挙げて説明する。
【0236】アンテナ16に入射した信号は、例えば、
22.5GHzを中心周波数とし、帯域幅0.3[GH
z]の無線信号である。偏波スクランブル信号は、例え
ば、5.5[GHz]の正弦波信号である。5.5[G
Hz]で偏波スクランブルされた光は、偏波依存性のあ
る光変調器23によって22.5GHzの帯域信号で強
度変調される。
【0237】その結果、5.5[GHz]の“4次高調
波”と“帯域信号の畳み込み成分”が0.5[GHz]
を中心に現れる。帯域信号の帯域幅は0.3[GHz]
であるから、0.5±0.15[GHz]の帯域に周波
数変換された帯域信号が発生している。
【0238】これを、例えば、高域カットオフ周波数
0.7[GHz]のローパスフイルタ26で切り出し
て、復調器27で復調する。復調器27が0.5[GH
z]を中心とした帯域信号を復調する機能を持つため、
周波数変換された信号の中心周波数が0.5[GHz]
となるように、あらかじめスクランブル信号を5.5
[GHz]に決定した。
【0239】このような第3の実施形態に示した本発明
によれば、偏波スクランブラと偏波依存性損失のあるデ
バイスの組み合わせによって発生する大きい高調波を利
用して、高効率で品質の良いダウンサンプリングが可能
となる。さらに、例えば22[GHz]帯で動作するA
/Dコンバータのような高周波の電気コンポーネントが
不要となる。また、光電変換器を含む光受信器は、低周
波に変換された信号が受信できればよいため、低周波の
みで動作するような低コストのもので良くなる。そのよ
うな低周波のみで動作する光受信器は一般に、高周波で
動作するものより受信感度が良く、品質の良い受信が可
能となる。
【0240】次に、帯域信号の周波数をアップコンバー
トする具体的な応用例を図面を用いて説明する。
【0241】<帯域信号周波数のアップコンバートする
応用例>図18は、無線信号をセンター局14からアン
テナ局15に伝送するシステムの機能ブロック図であ
る。図15の構成を基本とし、それを無線システムに適
用した例である。
【0242】図において、14はセンター局であって、
このセンター局14はコヒーレント光源1、偏波スクラ
ンブラ2、光変調器23を備えて構成してある。また、
15はアンテナ局であって、このアンテナ局15は光電
変換器30、バンドスフィルタ28、パワーアンプ29
およびアンテナ16を備えて構成してある。アンテナ局
15とセンター局14との間は、光ファイバ伝送路11
にて接続されている。
【0243】アンテナ局15の光電変換器30は、光信
号を電気信号に変換するものであって、光ファイバ伝送
路11を伝送されてきた光を光電変換してバンドパスフ
ィルタ28に出力するものである。また、バンドパスフ
ィルタ28は光電変換されて電気信号に変換された信号
から、所望の周波数にアップコンバートされた帯域信号
を切り出すものである。また、パワーアンプ29はこの
切り出された帯域信号を電波として送信するに必要な電
力に増幅するものであり、アンテナ16はこの電力増幅
された信号を空間に放射するためのものである。
【0244】このような構成の本システムは、センター
局14において、光源1からの出力光を偏波スクランブ
ラ2に与え、当該偏波スクランブラ2によりスクランブ
ル信号源3からの信号に基づいて偏波スクランブルす
る。そして、これを偏波依存性のある光変調器23に与
える。
【0245】当該光変調器23には、データ入力7とし
て低周波の帯域信号が入力され、偏波スクランブラ2の
出力光を、帯域信号に対応して光強度変調する。光変調
器23の出力光は光ファイバ伝送路11によって、アン
テナ局15に伝送される。
【0246】アンテナ局15では、光電変換器30で光
電変換する。得られた電気信号から、所望の周波数にア
ップコンバートされた帯域信号を、バンドパスフイルタ
28で切り出す。切り出された帯域信号は、パワーアン
プ29で必要な大きさに増幅され、アンテナ16から空
間に放射される。
【0247】図18の系に関して周波数の変化を、例を
あげて説明する。帯域信号がアンテナ16から放射され
るときの周波数が例えば、22.9[GHz]であると
し、データ入力7として与えられる帯域信号の中心周波
数は0.5[GHz]、また、帯域幅は0.3[GH
z]であるとする。
【0248】この場合、22.9[GHz]と0.5
[GHz]の差は22.4[GHz]であり、この分を
本発明の機構によりアップコンバートする。
【0249】偏波スクランブルされた光が偏波依存性の
あるデバイスを通過することによって発生する高調波の
うち、どの次数の高調波を使用するかは、さまざまな要
因よって決定される。例えば、図10(b)のように折
り返し信号や偏波スクランブル周波数の高調波が重なっ
て来る場合、“所望の信号帯域に入ってこないようにす
る”、また、“偏波スクランブラが構成し易いようにス
クランブル周波数が高くなり過ぎないようにする”、な
どの条件を考慮して決定する。
【0250】ここでは、例えば、“4次”の次数を選択
するとする。この結果、スクランブル周波数は、22.
4÷4=5.6[GHz]となる。
【0251】偏波スクランブラ2で、この5.6[GH
z]のスクランブル信号を用いて偏波スクランブルされ
た光は、偏波依存性のある光変調器23で光強度変調を
受ける。
【0252】その結果、スクランブル信号周波数の高調
波と光変調器を駆動する帯域信号の畳み込み成分が発生
することとなる。光電変換器30で電気信号に変換され
た信号の内、所望の周波数である“中心周波数22.9
[GHz]”の成分をバンドパスフィルタ28によって
切り出す。そして、これを電力増幅して空中に送信す
る。
【0253】このような第3の実施形態に示した本発明
によれば、偏波スクランブラと偏波依存性損失のあるデ
バイスの組み合わせによって発生する大きい高調波を利
用して、高効率で品質の良いアッブコンバートが可能と
なる。また、例えば、22[GHz]帯で動作するミキ
サや逓倍器のような高周波の電気コンポーネントが不要
となり、さらに、光変調器や光変調器の駆動系が低周波
の信号で動作するような低コストのもので良くなる。
【0254】以上、種々の実施形態を説明したが、本発
明は上述した実施形態に限定されるものではなく、種々
変形して実施可能である。また、以上のすべての実施形
態では、偏波スクランブル信号は基本的に正弦波である
ように記述してきたが、もし、三角波や矩形波、パルス
波などで容易に駆動系が構築できるならば、そのような
波形を用いても良い。
【0255】
【発明の効果】以上説明したように、本発明では、偏波
依存性のある光変調器に入射するコヒーレント光を、あ
らかじめ時間平均が無偏光になるように偏波スクランブ
ルしておくようにしたことから、結果として光変調器に
光が入射する前に予測不能な偏波変動を受けても、常に
安定した変調が可能となるものである。そして、このよ
うにすることにより、偏波依存性があっても他の性能で
優れている光変調器を、入射偏波が変動する系でも使用
することが可能となり、より高品質な伝送が可能とな
る。
【0256】また、本発明では、偏波スクランブルされ
た光を偏波依存性のある光変調器で帯域信号に対応して
強度変調するようにした。そして、その結果、発生する
偏波スクランブル周波数の高調波と帯域信号の畳み込み
成分を、フィルタ等で切り出すことにより、帯域信号が
周波数変換された信号を得るようにした。偏波スクラン
ブルされた光が偏波依存性損失のあるデバイスを通過す
ることによって発生する高調波の大きさは大きく、高品
質な周波数変換が可能となる。また、光の過程で周波数
変換が行われるため、周波数変換を行うための電気デバ
イスが必要なくなり、低コスト化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための図であって、本発明の
第1の実施の形態を説明するブロック図である。
【図2】本発明を説明するための図であって、本発明の
第1の実施の形態を説明するブロック図である。
【図3】本発明を説明するための図であって、本発明の
第1の実施の形態を説明するブロック図である。
【図4】本発明を説明するための図であって、本発明の
第1の実施の形態を説明する図である。
【図5】本発明を説明するための図であって、本発明の
第1の実施の形態を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図7】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。本発明を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。本発明の実施の形態を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図10】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図11】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図12】本発明の実施の形態を説明するための図であ
る。
【図13】本発明を説明するための図であって、本発明
の第1の実施の形態を説明する図である。
【図14】本発明を説明するための図であって、本発明
の第2の実施の形態を説明する図である。
【図15】本発明を説明するための図であって、本発明
の第2の実施の形態を説明する図である。
【図16】本発明を説明するための図であって、本発明
の第3の実施の形態を説明する図である。
【図17】本発明を説明するための図であって、本発明
の第3の実施の形態を説明する図である。
【図18】本発明を説明するための図であって、本発明
の第3の実施の形態を説明する図である。
【図19】ポアンカレ球での偏光子の振る舞いを説明す
るための図である。
【図20】ポアンカレ球での偏光子の振る舞いを説明す
るための図である。
【図21】ポアンカレ球での偏光子の振る舞いを説明す
るための図である。
【符号の説明】
1…コヒーレント光源二偏波スクランブラ 2…偏波スクランブラ 3…スクランブル信号源 4…ドライバアンプ光変調器づ光ファイバデータ入力 8…マッハ・ツェンダー型変調器 9…光源を有する装置 10…光変調器を有する装置 11…光ファイバ伝送路 12…光受信器 13…光ファイバ伝送路 14…センター局 15…アンテナ局 16…アンテナ 17…帯域信号 18…スクランブル周波数を設定できない領域 19…スクランブル周波数を設定できない領域 20…光増幅器 21…偏光子 22…光変調器 23…偏波依存性のある光変調器 24…偏波変換器 25…光受信器 26…ローパスフイルタ 27…復調器 28…バンドバスフイルタ 29…パワーアンプ 30…光電変換器
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04B 10/14 10/04 10/06 10/152 10/142

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】時間的コヒーレンスを有する出力光を出力
    する光源と、 前記光源に接続され、前記出力光の偏波を時間平均がほ
    ぼ無偏光となるように時間的にスクランブルする偏波ス
    クランブラと、 変調特性が入射偏波に対して依存性のある光変調器であ
    って、前記偏波スクランブラで偏波スクランブルされた
    前記出力光の一部または全部を、入力されたデータ信号
    に対応する電気信号によって変調し、光ファイバに出力
    する光変調器と、を備えることを特徴とする光通信シス
    テム。
  2. 【請求項2】前記光変調器はマッハ・ツェンダー型光変
    調器であることを特徴とする請求項1記載の光通信シス
    テム。
  3. 【請求項3】前記偏波スクランブラと前記光変調器の間
    に偏波を保持しない光ファイバ伝送路が挿入されている
    ことを特徴とする請求項1または請求項2いずれか1項
    記載の光通信システム。
  4. 【請求項4】前記データ信号は帯域信号であり、前記光
    変調器によって前記出力光にサブキャリア信号として変
    調されることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれ
    か1項記載の光通信システム。
  5. 【請求項5】前記偏波スクランブラに印加される、偏波
    をスクランブルするためのスクランブル信号の基本周波
    数は前記帯域信号の下限周波数より小さく、かつ、前記
    帯域信号の帯域幅に相当する周波数よりも大きいことを
    特徴とする請求項4の光通信システム
  6. 【請求項6】前記スクランブル信号の基本周波数は前記
    帯域信号の下限周波数の1/6より小さいことを特徴と
    する請求項5の光通信システム。
  7. 【請求項7】前記スクランブル信号の基本周波数は、前
    記基本周波数の任意の次数の高調波が前記帯域信号の信
    号帯域内に重ならないように決定されていることを特徴
    とする請求項5記載の光通信システム。
  8. 【請求項8】前記データ信号は、アンテナで受信した無
    線信号をそのまま、または、中間周波数に変換した復調
    されていない信号であることを特徴とする請求項4乃至
    請求項7いずれか1項記載の光通信システム。
  9. 【請求項9】前記光源は屋内に設置され、前記光変調器
    は屋外に設置される機器内に配置されていることを特徴
    とする請求項4乃至請求項8の光通信システム
  10. 【請求項10】時間的コヒーレンスを有する出力光を出
    力する光源と、 偏波依存性のある光変調器であって、帯域信号に対応す
    る電気信号により、前記光源の出力光にサブキャリア変
    調を施す光変調器、または、偏波依存性損失のあるデバ
    イスと前記光源の出力光にサブキャリア変調を施す光変
    調器と、 前記光源と前記光変調器の間に挿入され、前記光源の出
    力光を特定の周波数で偏波スクランブルする偏波スクラ
    ンブラと、 前記光変調器によって変調された光を光電変換し、前記
    偏波スクランブラのスクランブル周波数あるいはその高
    調波と前記帯域信号の畳み込みによって発生した成分を
    受信する光受信器と、を有することを特徴とする光通信
    システム。
  11. 【請求項11】前記スクランブル周波数は前記帯域信号
    の下限周波数よりも小さい周波数であり、前記光受信器
    は、光電変換によって得られる、前記スクランブル周波
    数あるいはその高調波と前記帯域信号の畳み込みによっ
    て発生した成分のうち、最も周波数の低い成分を抽出す
    ることを特徴とする請求項10記載の光通信システム。
  12. 【請求項12】前記光受信器は、光電変換によって得ら
    れる、前記スクランブル周波数あるいはその高調波と前
    記帯域信号の畳み込みによって発生した成分のうち、前
    記帯域信号の周波数よりも高い周波数の成分を抽出する
    ことを特徴とする請求項10記載の光通信システム。
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