JP2000186559A

JP2000186559A - 層状掃気２サイクルエンジン

Info

Publication number: JP2000186559A
Application number: JP10366586A
Authority: JP
Inventors: Yoshitaka Kawahara; 芳隆河原; Kazunori Kudo; 和憲工藤; Yoshio Kobayashi; 芳雄小林
Original assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Current assignee: Mitsubishi Heavy Industries Ltd
Priority date: 1998-12-24
Filing date: 1998-12-24
Publication date: 2000-07-04

Abstract

(57)【要約】【課題】掃気ポートを介して燃焼室内に供給される空
気の量を、絞り弁によって制御される混合気の量に対応
させて制御可能として、エンジンの全運転域において適
正な混合気濃度を保持可能として、低負荷運転時におけ
る燃焼を安定させるとともに、高負荷運転域における燃
料消費率の低減及び排気ガス中の有害な排出物の低減が
なされた層状掃気２サイクルエンジンを提供する。【解決手段】クランク室に絞り弁によって流量を制御
された混合気の供給口が設けられ、さらに掃気ポートへ
の掃気通路に空気を供給する空気供給口を備えてなる層
状掃気２サイクルエンジンにおいて、前記空気供給口と
エアクリーナとを接続する空気通路に、該空気通路の通
路面積を調整する空気制御弁を設けるとともに、該空気
制御弁と前記絞り弁との間に両者を連動させる連結機構
を設け、空気制御弁を絞り弁に連動させて全運転域にお
ける混合気濃度を適正に保持する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクランク室圧縮式２
サイクルエンジン、特に層状掃気をなすようにした２サ
イクルガソリンエンジンに関する。

【０００２】

【従来の技術】クランク室圧縮式２サイクルガソリンエ
ンジンにおいては、掃気過程において、燃焼室内の燃焼
ガスを充分に排出し、混合気の排気ポートへの吹き抜け
を防止し、所要の濃度で以て燃焼室内に多量に充填する
ようにした技術が種々提供されている。

【０００３】そのうちの１つとして、特開平７−１３９
３５８号にて提案された発明がある。これは、掃気通路
内に、掃気ポートに近接する位置に開口する空気通路を
設け、該空気通路に逆止弁を設け、さらに該空気通路の
空気流量をエンジンのスロットル操作と連動している。
かかる発明においては、ピストンの上昇時にクランク室
が負圧になり、混合気が混合気供給口からクランク室に
吸引されると同時に、空気通路から逆止弁を開いて空気
が吸引され、掃気通路の全部あるいは一部に空気が侵入
する。

【０００４】そして、爆発、排気行程におけるピストン
下降時に、掃気ポートが開くと、先ず空気が燃焼室内に
噴出され、続いて混合気が供給される。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】かかる従来技術におい
ては、掃気過程の初期に掃気ポートから燃焼室内に供給
される空気と、該空気に続いてクランク室を経て掃気ポ
ートから燃焼室内に送入される混合気とを、混合気の排
気ポートへの吹き抜けを生じないように燃焼室に供給す
る手段がなされている。

【０００６】然るに、かかる２サイクルエンジンにおい
ては、アイドリング運転を含む低負荷運転時には空気量
を抑えて濃混合比として燃焼を安定させ、上記以上の高
負荷運転時においては、比較的薄い混合比として燃料消
費率の低減や排気ガス中の有害な排出物を低減をなすこ
とが要求される。

【０００７】しかしながら、かかる従来技術にあって
は、掃気作用時に空気供給通路から供給される空気の流
量制御がエンジンの運転状態に正確に対応してなされて
いないため、アイドリング運転を含む低負荷運転には空
気量が増大気味となり、該空気量を制限して濃混合比と
して燃焼を安定させることが困難となり、また高負荷運
転時には混合濃度を薄い混合比に一定に維持して燃料消
費率を低減し、排気ガス中の有害な排出物が低減した運
転をなすことも困難となる。

【０００８】本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、
掃気ポートを介して燃焼室内に供給される空気の量を、
絞り弁によって制御される混合気の量に正しく対応させ
て制御可能として、エンジンの全運転域において適正な
混合気濃度を保持し、低負荷運転時における燃焼を安定
させるとともに、高負荷運転域における燃料消費率の低
減及び排気ガス中の有害な排出物の低減がなされた層状
掃気２サイクルエンジンを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】本発明はかかる課題を解
決するため、請求項１記載の発明として、シリンダに排
気ポートと掃気ポートとを設けて該掃気ポートとクラン
ク室とを連通し、該クランク室には絞り弁によって流量
を制御された混合気の供給口が設けられ、さらに該掃気
ポートへの掃気通路に空気を供給する空気供給口を備え
てなる層状掃気２サイクルエンジンにおいて、前記空気
供給口とエアクリーナとを接続する空気通路に、該空気
通路の通路面積を調整する空気制御弁を設けるととも
に、該空気制御弁と前記絞り弁との間に両者を連動させ
る連結機構を設け、前記連結機構は、前記絞り弁の所定
開度までは前記空気制御弁を全閉となし、所定開度以上
の開度では該絞り弁と空気制御弁とが、ほぼ比例して動
くように構成されてなることを特徴とする層状掃気２サ
イクルエンジンを提案する。

【００１０】請求項２記載の発明は、請求項１におい
て、前記連結機構は、前記絞り弁を作動させるコントロ
ールレバーに取付けられたスウィベルと、該スウィベル
に突設された突起部と、前記空気制御弁に連結され、一
端に前記突起部が嵌合されて該突起部の移動により該空
気制御弁の開度を変化させる空気弁作動レバーとを備え
てなる。

【００１１】かかる発明によれば、絞り弁の開度が一定
開度以下のアイドリング運転を含む低負荷運転時には空
気制御弁は閉じられて、絞り弁の開度によって流量を制
御された混合気が掃気ポートを経て燃焼室内に送り込ま
れ、掃気作用をなした後、充填される。従って、前記低
負荷運転時には、やや濃混合気での運転をなすことがで
き、燃焼が安定する。

【００１２】前記絞り弁が前記一定開度以上の高負荷運
転になると、前記空気制御弁は前記コントロールレバー
に取付けられたスウィベル、突起部及び空気作動レバー
を介して絞り弁と連動され、該絞り弁の開度にほぼ比例
してその開度が増大される。これにより、前記空気通路
を経て掃気ポートに供給される空気量が増大して、高負
荷運転時に要求される薄目の混合比での運転が可能とな
り、全体の混合気濃度を一定に保持でき、燃料消費率が
低く、排気ガス中の有害な排出物が低減された運転を実
現できる。

【００１３】従って、かかる発明によれば、エンジンの
掃気ポートを経て燃焼室に供給される空気の流量を制御
する空気制御弁を設け、該空気制御弁を、絞り弁を操作
するコントロールレバーに連結される連結機構を介して
該絞り弁に連結することにより、該空気制御弁を絞り弁
と関連させて開閉制御することが可能となる。これによ
って、エンジンの低負荷運転時には空気制御弁の開度を
全閉あるいは小開度としてエンジンを濃混合比で運転し
て燃焼の安定を図ることができ、また前記負荷以上の高
負荷運転時には前記空気制御弁を絞り弁とほぼ比例させ
て開閉することにより、薄目の混合比での運転が可能と
なり、燃料消費率の低減及び排気ガス中の有害な排出物
の低減をなすことができる。

【００１４】請求項３記載の発明は、請求項１乃至２の
何れかにおいて、前記空気供給口と前記混合気の供給口
とを同方向に向けてクランクケースに設けるとともに、
該クランクケースの側部に固着されるインシュレータに
は、前記空気供給口に連通される空気通路、及び前記混
合気の供給口に連通される混合気供給口とが同方向に向
けて並設されてなる。

【００１５】請求項４記載の発明は、請求項１乃至２の
何れかにおいて、前記空気供給口と前記混合気の供給口
とを同方向に向けてクランクケースに設けるとともに、
該クランクケースの側部に固着されるインシュレータに
は前記空気供給口に連通され、前記空気制御弁が設けら
れた空気通路、並びに前記混合気の供給口に連通される
混合気供給通路が同方向に向けて並設されてなる。請求
項５記載の発明は、請求項３または４において、前記ク
ランクケースの前記空気供給口の開口面、及び混合気供
給口の開口面を同一面上に形成するとともに、前記イン
シュレータの空気通路の開口面及び混合気供給通路の開
口面を同一面上に形成し、前記インシュレータは、前記
２つの面を流体密に当接させてクランクケースに固着さ
れてなる。

【００１６】請求項６記載の発明は、請求項４におい
て、前記インシュレータは、前記空気制御弁を有する空
気通路の入口が上面に開口され、該空気通路の出口が前
記クランクケースの空気供給口と同方向に開口されてな
る。

【００１７】請求項３及び請求項５記載の発明によれ
ば、クランクケースに空気供給口及び混合気の供給口を
同一方向に開口するように設け、双方の開口部を同一面
とするとともに、インシュレータの空気通路及び混合気
供給通路の開口部を同一面とし、双方の面を流体密に当
接させるので、混合気と空気のシール面が１つで済み、
また１つの面でのシールであるので、空気や混合気の漏
洩が防止され、また、シール面の加工も容易になるとと
もに、加工精度も向上する。

【００１８】また、請求項４及び請求項６記載の発明に
よれば、インシュレータの上面に空気通路の入口を開口
しているので、インシュレータ内における曲がり部が１
箇所で済み、空気流路抵抗が低減されるとともにインシ
ュレータの厚さも小さくなる。また、空気制御弁をイン
シュレータ内に設けたので、エアクリーナ出口側に空気
制御弁を設けるためのスペースが不要となり、エンジン
側面からエアクリーナまでの長さが短縮され、小型コン
パクトなエンジンが得られる。

【００１９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の好
適な実施形態を例示的に詳しく説明する。但しこの実施
形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、そ
の相対的配置等は特に特定的な記載がないかぎりは、こ
の発明の範囲をそれに限定する趣旨ではなく、単なる説
明例にすぎない。

【００２０】図１は本発明の第１実施形態に係る層状掃
気２サイクルガソリンエンジンのシリンダ中心線を含む
クランク軸心に直角な断面図、図２は混合気用の絞り弁
と空気制御弁との連結態様を示す要部断面図、図３は絞
り弁と空気制御弁との開度関係線図である。

【００２１】図１〜図２において、２はシリンダ、４は
ピストン、６はクランク軸、５はクランクケース、３は
前記ピストン４とクランク軸６とを連結するコネクティ
ングロッド、７はシリンダヘッド、８は点火プラグ、１
１はエアクリーナ、１２は気化器、１５は混合気供給通
路、１４は該混合気供給通路１５の開度を変えて混合気
の流量を制御する絞り弁、５１，５１は主軸受である。

【００２２】２５は燃焼室、１５ａは前記クランクケー
ス５の内部に形成されたクランク室、１６は前記クラン
ク室１５ａと前記混合気供給通路１５との間を開閉する
逆止弁である。該逆止弁１６は、混合気供給通路１５か
らクランク室１５ａに向かう流れのみを許容するように
構成されている。また、１３ａは前記シリンダ２の側部
に開口された排気ポートで、排気通路１３に接続されて
いる。

【００２３】９ａは前記シリンダ２の排気ポート１３ａ
に対向する部位に開設された掃気ポート、９は該掃気ポ
ート９ａと前記クランク室１５ａを接続する掃気通路で
ある。１０９ａは前記シリンダ２の、前記排気ポート１
３ａの左右の、該排気ポート１３ａとほぼ直角方向の部
位に２個対向するように設けられた掃気ポートで、該対
をなす掃気ポート１０９ａの夫々は、シリンダ２に縦方
向に設けられた掃気通路１０９ｅ、クランクケース５に
水平方向に設けられた掃気通路１０９ｃ、クランクケー
ス５の壁内に弧状に形成された掃気通路１０９ｄ及び掃
気連通孔１０９ｂを介してクランク室１５ａと連通され
ている。

【００２４】１０はシリンダ２の側部の内部に設けられ
た空気供給通路で、後述するインシュレータ３０内の空
気通路１０ｂと前記対をなす掃気ポート１０９ａに連通
する掃気通路１０９ｅとを接続している。該空気供給通
路の上流側には該通路１０を通る空気量を制御する空気
弁２０が設けられている。該空気供給通路１０は、従来
技術と同様に左右の掃気ポート１０９ａ，１０９ａへの
掃気通路１０９ｅ，１０９ｅへの開口部に、該掃気通路
１０９ｅ，１０９ｅ側に向かう流れのみを許容する逆止
弁１７，１７を有している。

【００２５】１１はエアクリーナ、１２は気化器、３０
はエンジン本体側と吸気系とを熱的に遮断するためのイ
ンシュレータであり、該インシュレータ３０は、前記シ
リンダ２及びクランクケース５の側面に複数のボルト
（不図示）によって固着されている。そして、該インシ
ュレータ３０の内部には、その上部側に前記空気供給通
路１０に連通される空気通路１０ｂが、下部側に前記混
合気供給通路１５に連通される混合気通路１５ｂが夫々
形成されている。また、該混合気通路１５ｂの上流側
は、気化器１２内の混合気流量制御用の絞り弁１４に連
通されている。

【００２６】１１０ａはエアクリーナケースで、エアク
リーナ１１とインシュレータ３０及び気化器１２とを接
続するものである。１１０は該エアクリーナケース１１
０ａの内部の上部側に形成された空気通路で、前記エア
クリーナ１１の空気出口とインシュレータ３０の空気通
路１０ｂとに連通されている。１０ｅは前記エアクリー
ナケース１１０ａの内部の下部側に形成された空気通路
で、前記気化器１２の空気入口に接続されている。

【００２７】２０は前記空気通路１１０内に設けられて
該空気通路１１０の通路面積を変化させるバタフライ弁
式の空気制御弁である。１１４は該空気制御弁２０の弁
軸１１３に連結されてこれを回転させる空気弁作動レバ
ーである。また１２４は前記絞り弁１４に連結されて該
絞り弁１４の開度つまり混合気の流量を調整するコント
ロールレバーであり、図２に示すように外部から後述す
るスウィベル１２５に連結されるコントロール索１４２
によって制御される。該コントロールレバー１２４の一
端には、スウィベル１２５が、該コントロールレバー１
２４に回動可能に取付けられ、該スウィベル１２５の頂
部には突起部１２６が固着されている。

【００２８】図２に示すように、上記空気弁作動レバー
１１４の端部には円弧状の長穴からなる係合穴１１５が
設けられ、該係合穴１１５には前記スウィベル１２５に
設けられた突起部１２６が嵌合され、前記絞り弁１４と
連動して前記空気制御弁２０が開閉作動するようになっ
ている。１１４は捩りばねで、前記空気制御弁２０を常
時閉じる側に付勢している。

【００２９】かかる構成からなる層状掃気２サイクルガ
ソリンエンジンの運転時において、燃焼室２５内の爆発
圧力によりピストン４が下降し、排気ポート１３ａが開
かれると、燃焼室２５内の燃焼ガス（排気ガス）は排気
ポート１３ａを通って排気通路１３へ排出される。さら
に、ピストン４が下降すると左右の掃気ポート１０９
ａ，１０９ａが開口し、後述する作用により、空気供給
通路１０内に供給された空気が燃焼室２５内に流入して
燃焼ガスを排気ポート１３ａ側へ押し出す。

【００３０】次いで、前記排気ポート１３ａに対向する
掃気ポート９ａが開口し、クランク室１５ａ内の混合気
が掃気通路９を経て該掃気ポート９ａから燃焼室２５内
に流入せしめられる一方、左右の掃気ポート１０９ａ，
１０９ａからもクランク室１５ａから掃気連通孔１０９
ｂ、掃気地色１０９ｄ、掃気通路１０９ｃ及び掃気通路
１０９ｅを経た混合気が流入せしめられる。

【００３１】前記ピストン４が下降して、下死点にある
状態では、排気ポート１３ａ、３つの掃気ポート１０９
ａ，１０９ａ，９ａは開口していて、燃焼室２５内への
新気、混合気の供給は終了、あるいは終了しようとして
いる。そして、該ピストン４が下死点から上昇すると、
該ピストン４によって掃気ポート９ａが閉じ、次いで左
右の掃気ポート１０９ａ，１０９ａが閉じて、クランク
室１５ａ内が密閉空間となり、膨張即ち圧力の低下が始
まる。

【００３２】さらにピストン４が上昇すると、排気ポー
ト１３ａが閉じられ、燃焼室２５内のガスの圧縮が始ま
る一方、クランク室１５ａ内の圧力はさらに低下する。
これによって、リード弁からなる逆止弁１６が開弁し、
前記気化器１２で形成され、絞り弁１４で流量を制御さ
れた混合気が混合気供給通路１５からクランク室１５ａ
内に供給される。前記クランク室１５ａ内の圧力低下
は、掃気連通孔１０９ｂ、掃気通路１０９ｄ，１０９ｃ
及び１０９ｅを経て掃気ポート１０９ａにも伝達される
ので、リード弁からなる逆止弁１７，１７も開弁し、後
述する作用によって前記空気供給通路１０内に供給され
た空気が該逆止弁１７を経てクランク室１５ａ内に流入
せしめられる。ここで、掃気ポート１０９ａ，１０９ａ
からクランク室１５ａに至る掃気通路１０９ｅ，１０９
ｃ，１０９ｄは、長さの長い掃気通路に構成されている
ため、前記空気は、先ずかかる長い掃気通路内に充満さ
れた後にクランク室１５ａに流入することとなる。

【００３３】前記ピストン４が圧縮上死点近傍になる
と、点火プラグ８によって燃焼室２５内の混合気に火花
放電され、これにより混合気の着火、燃焼が行なわれ
る。かかる燃焼による圧力で、ピストン４は押し下げら
れ、クランク軸６に仕事をする。

【００３４】前記ピストン４が下降して排気ポート１３
ａが開口すると、燃焼室２５内の燃焼ガスは排気ポート
１３ａから排気通路１３及びマフラ（不図示）を経て外
部に排出される。一方、かかるピストン４の下降によ
り、クランク室１５ａ内は該ピストン４の裏側で圧縮さ
れ、やがて側部の掃気ポート１０９ａ，１０９ａが開口
すると前記のようにしてクランク室内１５ａ内に供給さ
れていたガスが掃気連通孔１０９ｂ、掃気通路１０９
ｄ，１０９ｃ，１０９ｅを経て掃気ポート１０９ａから
燃焼室２５内に吹き込まれて、該燃焼室２５内の燃焼ガ
ス（排気ガス）を排気ポート１３ａから押し出す掃気作
用がなされる。

【００３５】かかる掃気作用時において、前記掃気通路
１０９ｅ，１０９ｃ，１０９ｄの内部には、当初、空気
が充満しているため、前記掃気作用の始まりから一定期
間内においては、掃気ポート１０９ａ，１０９ａから燃
焼室２５内へは空気によって該掃気作用がなされ、その
後にクランク室１５ａ内の混合気が該掃気通路１０９
ｄ，１０９ｃ，１０９ｅを経て掃気ポート１０９ａ，１
０９ａから燃焼室２５内に吹き込まれる。そして、前記
左右の掃気ポート１０９ａ，１０９ａの開口からやや遅
れて対向位置にある掃気ポート９ａが開口し、該掃気ポ
ート９ａからも燃焼室２５内に混合気が吹き込まれる。

【００３６】通常、２サイクルガソリンエンジンにあっ
ては、部分負荷では絞り弁１４の開度を変化させてクラ
ンク室１５ａを経て燃焼室２５内に供給される混合気の
流量を制御するとともに、広い運転範囲において、ほぼ
一定の混合気濃度を保持するようになっている。然る
に、本発明に係る層状掃気２サイクルガソリンエンジン
においては、前記のように、掃気行程において混合気の
他に、空気供給通路１０を経て空気を燃焼室２５内に供
給することから、混合気側が一定の濃度であれば、この
混合気の量に比例した量の空気を燃焼室２５内に供給す
ることにより、全体の混合気濃度を一定に保持すること
を要する。

【００３７】そこで、この実施形態においては、混合気
の流量を制御する絞り弁１４と、空気供給通路１０を経
て燃焼室２５内に送られて掃気作用をなす空気の流量を
制御する空気制御弁２０とが、スウィベル１２５、突起
部１２６及び空気弁作動レバー１１４を介して連動する
ように構成されているため、次のような作用効果をなし
て、前記混合気濃度を一定に保持している。

【００３８】即ち、この実施形態では、前記絞り弁１４
の開度と空気制御弁２０の開度は、図３に示すように、
該絞り弁１４が一定の開度Ｚ点に達するまでの、アイド
リング運転を含む低負荷運転時には燃焼を安定させるた
め、やや濃混合比にて運転することから、かかる領域つ
まり絞り弁１４の開度のＺ点までは空気制御弁２０を全
閉とし、該Ｚ点からは絞り弁１４の開度と空気制御弁２
０の開度とを比例するように設定されている。

【００３９】即ち、アイドリング運転を含む低負荷運転
時には、図２に示すように、絞り弁１４側に固定された
突起部１２ｂが空気弁作動レバー１１４の長穴からなる
係合穴１１５内で、いわゆる遊びの状態にあり、かつ空
気制御弁２０は捩りばね１１６により閉方向に付勢され
ているため、前記絞り弁１４が開方向に動き、スウィベ
ル１２５を介し、突起部１２６が係合穴１１５内を動い
て、これの内端に当接し、該空気作動レバー１１４が動
き始めるまでの間、即ち図３のＺ点までの間は空気制御
弁２０は全閉となり、燃焼室２５内へは絞り弁１４で流
量を制御された混合気が送り込まれ、掃気作用をなすと
ともに燃焼用として充填される。

【００４０】そして、前記絞り弁１４の開度が図３のＺ
点以上になると、前記突起部１２６が係合穴１１５の内
端に当接して、空気弁作動レバー１１４を押して空気制
御弁２０を開方向に作動させる。これによりエアクリー
ナ１１からの空気が、空気通路１１０、空気制御弁２
０、インシュレータ３０内の空気通路１０ｂ、シリンダ
２内の空気供給通路１０、及び掃気通路１０ｅを経て掃
気ポート１０９ａから燃焼室２５内に供給される。

【００４１】即ち、エンジン負荷が増大し、絞り弁１４
の開度が大きくなるＺ点以上の負荷では、前記空気制御
弁２０は、絞り弁１４とスウィベル１２５、突起部１２
６、空気弁作動レバー１１４を介して連動され、該絞り
弁１４の開度に比例した開度で以て運転され、空気流量
が多くなってかかる高負荷運転時に要求される薄目の混
合比での運転がなされる。

【００４２】図４は本発明の第２実施形態を示す図１対
応図である。この実施形態においては、シリンダ２に設
けられた掃気通路１０９ｅ（左右の掃気ポート１０９
ａ，１０９ａに連通される掃気通路）に連通される空気
供給通路１０を、クランクケース５の側部に外方に設け
られた外部掃気通路１０ａに連通させている。これによ
って、前記空気供給通路１０の上端部は下向きに開口す
るとともに、インシュレータ３０内の空気通路１０ｂ
は、入口部から下方に曲げられた後、水平に曲げられて
前記外側空気通路１０ａに接続されることとなる。その
他の構成は図１〜図２に示す第１実施形態と同一であ
り、これと同一の部材は同一の符号で示す。

【００４３】この実施形態においては、インシュレータ
３０に設けられた混合気供給通路１５ｂ及び空気通路１
０ｂが、クランクケース５の側部に設けられた混合気供
給通路１５及び外部空気通路１０ａに、インシュレータ
３０とクランクケース５との間の１つの接合面によって
連通されるので、混合気及び空気のシール面が１つで済
み、また１つの面でのシールであるので、シール性も上
昇し、空気や混合気の漏洩が抑制される。また、シール
面の機械加工も容易になり、加工精度も向上する。

【００４４】図５〜図６は本発明の第３実施形態を示
し、図５はインシュレータ部近傍の側面を示す一部断面
図、図６は図５のＢ−Ｂ線に沿って視たる図である。

【００４５】この実施形態においては、空気制御弁２０
をインシュレータ３０内に設けている。即ち、図５〜図
６において、前記インシュレータ３０内には、その下部
に前記第２実施形態と同様な混合気供給通路１５ｂが設
けられている。１０ｂは前記インシュレータ３０の内部
の上部側に設けられた空気通路で、該インシュレータ３
０の上面から下方に延びた後、水平方向に曲げられて図
４に示す外部空気通路１０ａに接続されている。

【００４６】１５０は前記エアクリーナ１１とインシュ
レータ３０とを連結する空気ダクトで、エアクリーナ１
１側が水平に形成されるとともに、前記インシュレータ
３０の上方で曲げられてインシュレータ３０の上面の嵌
合部に嵌合され、内部にはエアクリーナ１１とインシュ
レータ３０内の空気通路１０ｂとを接続する空気通路１
１０が形成されている。

【００４７】２０は空気制御弁で、前記インシュレータ
３０内の空気通路１０ｂ中に設けられ、該空気通路１０
ｂの面積を制御するようになっている。１１３は該空気
制御弁２０の弁軸で、該空気通路１０ｂを横断するよう
に設けられ、前記第１、第２実施形態と同様に、空気弁
作動レバー１１４、突起部１２６、スウィベル１２５等
を介して絞り弁１４に連結されている。従って、この実
施形態では絞り弁１４（図１、図４参照）と空気制御弁
２０の弁軸１１３とは、ほぼ９０°の配置となる。

【００４８】この実施形態においては、インシュレータ
３０の空気通路１０ｂの入口を上方に開口させているた
め、インシュレータ３０内における曲がり部が１箇所で
済み、空気流路抵抗が低減されるとともに、インシュレ
ータ３０の厚さも小さくなる。さらに、空気制御弁２０
をインシュレータ３０内に設けたので、エアクリーナ１
１の出口側に該空気制御弁２０を設けるためのスペース
が不要となり、エンジン側面からエアクリーナ１１まで
の長さが短くなる。

【００４９】

【発明の効果】以上記載のごとく、本発明によれば、エ
ンジンの掃気ポートを経て燃焼室に供給される空気の流
量を制御する空気制御弁を設け、該空気制御弁を混合気
流量制御用の絞り弁と連結機構を介して連結することに
より、該空気制御弁を絞り弁と関連させて開閉制御する
ことが可能となる。

【００５０】これによって、エンジンの低負荷運転時に
は空気制御弁の開度を全閉あるいは小開度として、エン
ジンを濃混合比で運転して、燃焼の安定を図ることがで
き、また前記負荷以上の高負荷運転時には、前記空気制
御弁を絞り弁とほぼ比例させて開閉することにより、薄
目の混合比での運転が可能となり、全体の混合気濃度を
一定に保持でき、燃料消費率の低減及び排気ガス中の有
害な排出物の低減がなされた層状掃気２サイクルエンジ
ンを提供することができる。

【００５１】また、請求項３及び５記載の発明によれ
ば、クランクケースに空気供給口及び混合気の供給口の
開口部を同一面にて設けるとともに、これをインシュレ
ータに設けた空気通路及び混合気供給通路の同一開口面
に流体密に当接させているので、空気及び混合気のシー
ル面１つで済み、空気や混合気の漏洩が防止され、また
シール面の加工が容易となって加工精度も向上する。

【００５２】さらに請求項４及び６記載の発明によれ
ば、インシュレータの上面に空気通路の入口を開口して
いるので、インシュレータ内における空気通路の曲がり
部が１箇所で済み、空気通路抵抗が低減される。また、
上記により、インシュレータの厚さが小さくなり、さら
に空気制御弁をインシュレータ内に設けたことにより、
エアクリーナの出口側に空気制御弁を設けるためのスペ
ースが不要となる。これにより、エンジン側面からエア
クリーナまでの長さが短縮され、小型コンパクトなエン
ジンを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施形態に係る層状掃気２サイ
クルガソリンエンジンのシリンダ中心を含みクランク軸
芯に直角な断面図である。

【図２】上記第１実施形態における絞り弁を空気制御
弁との連結態様を示す要部断面図である。

【図３】上記第１実施形態における絞り弁と空気制御
弁との開度関係線図である。

【図４】本発明の第２実施形態を示す図１対応図であ
る。

【図５】本発明の第３実施形態を示すインシュレータ
部近傍の側面を示す一部断面図である。

【図６】図５のＢ−Ｂ矢視図である。

【符号の説明】

２シリンダ３コネクティングロッド４ピストン５クランクケース６クランク軸７シリンダヘッド８点火プラグ９掃気通路９ａ掃気ポート１０空気供給通路１０ｂ，１０ｅ空気通路１１エアクリーナ１２気化器１３排気通路１３ａ排気ポート１４絞り弁１５混合気供給通路１５ａクランク室１５ｂ混合気通路１６逆止弁２０空気制御弁２５燃焼室３０インシュレータ１０９ｂ掃気連通路１０９ｃ，１０９ｄ，１０９ｅ掃気通路１１０空気通路１１３弁軸１１４空気弁作動レバー１１５係合穴１１６捩りばね１２４コントロールレバー１２５スウィベル１２６突起部１４２コントロール索１５０空気ダクト

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁷ 識別記号ＦＩテーマコート゛(参考）Ｆ０２Ｂ 33/44 Ｆ０２Ｂ 33/44 ＣＦ０２Ｄ 9/02 Ｆ０２Ｄ 9/02 Ｇ３６１３６１Ｊ (72)発明者小林芳雄名古屋市中村区岩塚町字高道１番地三菱重工業株式会社名古屋機器製作所内Ｆターム(参考） 3G005 DA04 EA02 FA00 GA03 GB01 GC10 GD11 HA19 JA06 3G023 AA02 AA03 AA18 AB01 AC01 AD03 AD05 AD07 AF02 AG01 3G065 AA02 AA07 CA12 EA07 HA03 KA13

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】シリンダに排気ポートと掃気ポートとを
設けて該掃気ポートとクランク室とを連通し、該クラン
ク室には絞り弁によって流量を制御された混合気の供給
口が設けられ、さらに該掃気ポートへの掃気通路に空気
を供給する空気供給口を備えてなる層状掃気２サイクル
エンジンにおいて、前記空気供給口とエアクリーナとを接続する空気通路
に、該空気通路の通路面積を調整する空気制御弁を設け
るとともに、該空気制御弁と前記絞り弁との間に両者を
連動させる連結機構を設け、前記連結機構は、前記絞り弁の所定開度までは前記空気
制御弁を全閉となし、所定開度以上の開度では該絞り弁
と空気制御弁とが、ほぼ比例して動くように構成されて
なることを特徴とする層状掃気２サイクルエンジン。
【請求項２】前記連結機構は、前記絞り弁を作動させ
るコントロールレバーに取付けられたスウィベルと、該
スウィベルに突設された突起部と、前記空気制御弁に連
結され、一端に前記突起部が嵌合されて該突起部の移動
により該空気制御弁の開度を変化させる空気弁作動レバ
ーとを備えてなる請求項１記載の層状掃気２サイクルエ
ンジン。
【請求項３】前記空気供給口と前記混合気の供給口と
を同方向に向けてクランクケースに設けるとともに、該
クランクケースの側部に固着されるインシュレータに
は、前記空気供給口に連通される空気通路、及び前記混
合気の供給口に連通される混合気供給口とが同方向に向
けて並設されてなる請求項１乃至２の何れか１つに記載
の層状掃気２サイクルエンジン。
【請求項４】前記空気供給口と前記混合気の供給口と
を同方向に向けてクランクケースに設けるとともに、該
クランクケースの側部に固着されるインシュレータには
前記空気供給口に連通され、前記空気制御弁が設けられ
た空気通路、並びに前記混合気の供給口に連通される混
合気供給通路が同方向に向けて並設されてなる請求項１
乃至２の何れか１つに記載の層状掃気２サイクルエンジ
ン。
【請求項５】前記クランクケースの前記空気供給口の
開口面、及び混合気供給口の開口面を同一面上に形成す
るとともに、前記インシュレータの空気通路の開口面及
び混合気供給通路の開口面を同一面上に形成し、前記イ
ンシュレータは、前記２つの面を流体密に当接させてク
ランクケースに固着されてなる請求項３または４記載の
層状掃気２サイクルエンジン。
【請求項６】前記インシュレータは、前記空気制御弁
を有する空気通路の入口が上面に開口され、該空気通路
の出口が前記クランクケースの空気供給口と同方向に開
口されてなる請求項４記載の層状掃気２サイクルエンジ
ン。