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JP2000186266A - 接着剤組成物及びそれを用いて製せられた表面化粧材 - Google Patents

接着剤組成物及びそれを用いて製せられた表面化粧材

Info

Publication number
JP2000186266A
JP2000186266A JP10364812A JP36481298A JP2000186266A JP 2000186266 A JP2000186266 A JP 2000186266A JP 10364812 A JP10364812 A JP 10364812A JP 36481298 A JP36481298 A JP 36481298A JP 2000186266 A JP2000186266 A JP 2000186266A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
adhesive composition
agent
emulsion
vinyl ester
component
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP10364812A
Other languages
English (en)
Inventor
Yoshiyuki Oguchi
善之 大口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sekisui Chemical Co Ltd filed Critical Sekisui Chemical Co Ltd
Priority to JP10364812A priority Critical patent/JP2000186266A/ja
Publication of JP2000186266A publication Critical patent/JP2000186266A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Adhesives Or Adhesive Processes (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 各種被着体に対する優れた密着性や優れた接
着力、耐熱性、耐水性等の接着性能を発揮し、且つ、作
業性や貯蔵安定性等にも優れる2液混合型のエマルジョ
ン型接着剤組成物を提供することを課題とする。 【解決手段】 下記(a)成分、下記(b)成分及び下
記(c)成分が含有されているA剤とポリイソシアネー
ト化合物が含有されているB剤とから成ることを特徴と
する接着剤組成物、及び、その接着剤組成物を用いて製
せられていることを特徴とする表面化粧材。 (a)成分:ビニルエステルモノマー単独もしくはビニ
ルエステルモノマーと該ビニルエステルモノマーと共重
合可能な重合性モノマーとを乳化(共)重合して得られ
るビニルエステル(共)重合体エマルジョン (b)成分:アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン (c)成分:ポリビニルアルコール

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エマルジョン型接
着剤組成物及びそれを用いて製せられた表面化粧材に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来より、硬質もしくは半硬質の塩化ビ
ニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂等の
ようなプラスチック材料シート、木材をシート状に加工
した突き板、各種化粧印刷の施された化粧紙等のいわゆ
る表面化粧シートを、ラワン合板、中質繊維板(MD
F)、パーティクルボード、無垢材等の木質材料やセメ
ントボード、石膏ボード、ALC等の無機材料等からな
る基材の表面に接着し、意匠性を付与したいわゆる表面
化粧材が建築部材や家具部材等として広く使用されてい
る。
【0003】これらの表面化粧シートと基材との接着に
は、従来より、酢酸ビニル樹脂エマルジョン、エチレン
−酢酸ビニル共重合体エマルジョン、アクリル酸エステ
ル−酢酸ビニル共重合体エマルジョン等のような酢酸ビ
ニル系樹脂エマルジョンを主成分とする接着剤組成物が
広く用いられている。
【0004】一方、表面化粧材に対する近年の要求性能
の高度化に伴い、表面化粧材用接着剤の性能向上に関し
ても種々の試みが成されており、例えば、特公平7−2
6072号公報では、「樹脂中にエチレンを10〜25
重量%含有する酢酸ビニル−エチレン共重合体のエマル
ジョンと、樹脂中に塩化ビニルを20〜70重量%含有
し、さらにエチレンを10〜25重量%含有する塩化ビ
ニル−酢酸ビニル−エチレン共重合体またはその変性物
のエマルジョンと、芳香族もしくは脂肪族イソシアネー
ト系ポリエステル型の水溶性もしくは水分散性ウレタン
樹脂とを配合してなることを特徴とする接着剤組成物」
が開示されている。
【0005】しかし、上記開示による接着剤組成物は、
耐熱性や耐水性が必ずしも十分ではないため、上記接着
剤組成物を用いて製せられた表面化粧材を加温下で局部
的な荷重のかかる用途に使用すると、局部的な膨張や剥
離が発生し易いという問題点や、水周りの用途には適用
し難いという問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来の
問題点を解決するため、各種被着体に対する優れた密着
性や優れた接着力、耐熱性、耐水性等の接着性能を発揮
し、且つ、作業性や貯蔵安定性等にも優れる2液混合型
のエマルジョン型接着剤組成物を提供することを課題と
する。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に記載の発明
(以下、「第1発明」と記す)による接着剤組成物は、
下記(a)成分、下記(b)成分及び下記(c)成分が
含有されているA剤とポリイソシアネート化合物が含有
されているB剤とから成ることを特徴とする。 (a)成分:ビニルエステルモノマー単独もしくはビニ
ルエステルモノマーと該ビニルエステルモノマーと共重
合可能な重合性モノマーとを乳化(共)重合して得られ
るビニルエステル(共)重合体エマルジョン (b)成分:アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン (c)成分:ポリビニルアルコール
【0008】又、請求項2に記載の発明(以下、「第2
発明」と記す)による接着剤組成物は、上記第1発明に
よる接着剤組成物において、(a)成分が、エチレン−
酢酸ビニル共重合体エマルジョンであることを特徴とす
る。
【0009】さらに、請求項3に記載の発明(以下、
「第3発明」と記す)による表面化粧材は、上記第1発
明又は第2発明による接着剤組成物を用いて製せられて
いることを特徴とする。
【0010】第1発明による接着剤組成物のA剤には、
(a)成分として、ビニルエステルモノマー単独もしく
はビニルエステルモノマーと該ビニルエステルモノマー
と共重合可能な重合性モノマーとを乳化(共)重合して
得られるビニルエステル(共)重合体エマルジョンが含
有される。尚、ここで言う「(共)重合」とは「重合」
又は「共重合」を意味する。
【0011】上記ビニルエステルモノマーとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、酢酸ビニル、プ
ロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、イソノナン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニル等が挙げられ、好適に用い
られるが、なかでも性能とコストのバランスが良好な酢
酸ビニルがより好適に用いられる。
【0012】上記ビニルエステルモノマーは、単独で用
いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0013】又、上記ビニルエステルモノマーと共重合
可能な重合性モノマーとしては、従来公知の重合性二重
結合を有する各種モノマーが挙げられる。具体的には、
特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アク
リル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)
アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチ
ルヘキシル(メタ)アクリレート、エチレングリコール
モノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アク
リレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒド
ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート等のアクリル系モノマーや、エチ
レン、プロピレン、スチレン、ブタジエン、アクリロニ
トリル、塩化ビニル、クロロプレン、イソプレン、平均
炭素数10の第3級カルボン酸ビニル等のモノマー等が
挙げられ、好適に用いられる。尚、ここで言う「(メ
タ)アクリル」とは「アクリル」又は「メタクリル」を
意味する。
【0014】上記ビニルエステルモノマーと共重合可能
な重合性モノマーは、単独で用いられても良いし、2種
類以上が併用されても良い。
【0015】第1発明による接着剤組成物のA剤中に
(a)成分として含有されるビニルエステル(共)重合
体エマルジョンの製造方法は、特別なものではなく、例
えば、ポリビニルアルコール(PVA)やカルボキシル
基変性PVAのような変性PVA等の1種もしくは2種
以上を保護コロイドとして、ビニルエステルモノマー単
独もしくはビニルエステルモノマーと該ビニルエステル
モノマーと共重合可能な重合性モノマーとを重合触媒の
存在下で常法により乳化(共)重合すれば良い。
【0016】保護コロイドとして用いられるPVAもし
くは変性PVAは、特に限定されるものではないが、鹸
化度が70〜99.5モル%であるものが好ましく、重
合度が200〜3000であるものが好ましい。又、必
要に応じて、界面活性剤やセルロース系誘導体等の乳化
分散剤の1種もしくは2種以上が上記PVAもしくは変
性PVA等と併用されても良い。
【0017】乳化(共)重合時に用いられる重合触媒と
しては、特に限定されるものではないが、例えば、過酸
化水素水、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫
酸ナトリウム等の過硫酸塩、酒石酸、蟻酸、蓚酸等の還
元剤等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好
適に用いられる。
【0018】第1発明による接着剤組成物のA剤には、
(b)成分として、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョ
ンが含有される。
【0019】上記A剤中に(b)成分としてのアニオン
性ウレタン樹脂エマルジョンを含有させることにより、
得られる接着剤組成物の各種被着体に対する密着性や接
着力、耐熱性、耐水性等の接着性能が著しく向上する。
【0020】上記アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン
は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオー
ル化合物とポリイソシアネート化合物との反応生成物
と、分子内に活性水素を1個以上有する官能基を含有
し、且つ、アニオン性の官能基を含有する官能性化合物
とを反応させて合成されるポリウレタン樹脂を水に分散
させてエマルジョン化することにより得ることが出来
る。
【0021】上記ポリウレタン樹脂の合成に用いられる
ポリオール化合物としては、分子内に2個以上の水酸基
を有する化合物が好適に用いられ、特に限定されるもの
ではないが、例えば、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジ
オール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリ
コール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価
アルコール;ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等
のポリエーテルポリオール;アジピン酸、セバシン酸、
イタコン酸、無水マレイン酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、フマル酸、琥珀酸、蓚酸、マロン酸、グルタル
酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸等のジカル
ボン酸とエチレングリコール、ジエチレングリコール、
プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、
1,9−ノナンジオール、3−メチル−1,5−ペンタ
ンジオール、トリプロピレングリコール、トリメチロー
ルプロパン、グリセリン等のポリオール化合物とを反応
させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラ
クトンポリオール、ポリ−β−メチル−δ−バレロラク
トン等のポリラクトン系ポリエステルポリオール;ポリ
ブタジエンポリオールもしくはその水添物、ポリカーボ
ネートポリオール、ポリチオエーテルポリオール、ポリ
アクリル酸エステルポリオール等が挙げられ、これらの
1種もしくは2種以上が好適に用いられるが、なかでも
ポリエステルポリオールがより好適に用いられる。
【0022】一般的に、ポリエステル骨格は広範囲の材
料に対する密着性向上に寄与するので、ポリオール化合
物としてポリエステルポリオールを用いることにより、
得られる接着剤組成物の各種被着体、特に各種プラスチ
ック材料に対する密着性が著しく向上する。
【0023】上記ポリオール化合物は、単独で用いられ
ても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0024】上記ポリオール化合物の分子量は、特に限
定されるものではないが、数平均分子量で1000〜5
000であることが好ましい。ポリオール化合物の数平
均分子量が1000未満であると、得られるアニオン性
ウレタン樹脂エマルジョンの乾燥皮膜が硬くなり過ぎ
て、接着剤組成物の初期接着力が低下することがあり、
逆に5000を超えると、得られるアニオン性ウレタン
樹脂エマルジョンの乾燥皮膜が柔らかくなり過ぎて、接
着剤組成物の耐熱性が低下することがある。
【0025】又、ポリウレタン樹脂の合成に用いられる
ポリイソシアネート化合物としては、分子内に2個以上
のイソシアネート基を有する有機ポリイソシアネート化
合物が好適に用いられ、特に限定されるものではない
が、例えば、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチ
ルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシ
アネート)、1,4−テトラメチレンジイソシアネー
ト、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイ
ソシアネート、メチルシクロヘキシル−2,4−ジイソ
シアネート、メチルシクロヘキシル−2,6−ジイソシ
アネート、キシリレンジイソシアネート、1,3−ビス
(イソシアネート)メチルシクロヘキサン、テトラメチ
ルキシリレンジイソシアネート、トランスシクロヘキサ
ン−1,4−ジイソシアネート、リジンジイソシアネー
ト等の脂肪族ジイソシアネート化合物;2,4−トルイ
レンジイソシアネート、2,6−トルイレンジイソシア
ネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネー
ト、1,5’−ナフテンジイソシアネート、トリジンジ
イソシアネート、ジフェニルメチルメタンジイソシアネ
ート、テトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネー
ト、4,4’−ジベンジルジイソシアネート、1,3−
フェニレンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネー
ト化合物;リジンエステルトリイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、1,6,11−ウン
デカントリイソシアネート、1,8−イソシアネート−
4,4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−
ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタン
トリイソシアネート、トリメチロールプロパンと2,4
−トルイレンジイソシアネートとのアダクト体、トリメ
チロールプロパンと1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネートとのアダクト体等のトリイソシアネート化合物等
が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用
いられる。
【0026】さらに、ポリウレタン樹脂の合成に用いら
れる分子内に活性水素を1個以上有する官能基を含有
し、且つ、アニオン性の官能基を含有する官能性化合物
としては、分子内に水酸基や1級もしくは2級アミノ基
等のようなイソシアネート基と反応し得る活性水素を1
個以上有する官能基を含有し、且つ、カルボキシル基や
スルホニル基等のようなアニオン性の官能基を含有する
官能性化合物(以下、単に「官能性化合物」と記す)が
好適に用いられ、特に限定されるものではないが、例え
ば、3,4−ジアミノブタンスルホン酸、3,6−ジア
ミノ−2−トルエンスルホン酸、2,6−ジアミノベン
ゼンスルホン酸、N−(2−アミノエチル)−2−アミ
ノエチルスルホン酸等のスルホン酸基含有化合物;2,
2−ジメチロール乳酸、2,2−ジメチロールプロピオ
ン酸、2,2−ジメチロール吉草酸等のカルボン酸基含
有化合物等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上
が好適に用いられる。
【0027】上記官能性化合物は、アニオン性の官能基
を含有するので、得られるポリウレタン樹脂の親水性が
向上し、ポリウレタン樹脂を水中に分散させる時の安定
性を向上させる効果を発揮する。
【0028】分子内にアニオン性の官能基が導入された
ポリウレタン樹脂はアイオノマー構造と呼称され、それ
自体が界面活性能力を具備し、優れた自己乳化性を有す
るので、乳化剤や界面活性剤等のような低分子の親水性
化合物を用いることなく、水中に安定的に分散させるこ
とが出来る。従って、このポリウレタン樹脂を乳化して
得られるアニオン性ウレタン樹脂エマルジョンを含有し
てなる接着剤組成物は耐水性の優れたものとなる。
【0029】上記ポリウレタン樹脂の界面活性能力をよ
り向上させるために、通常、カルボキシル基やスルホニ
ル基等のようなアニオン性の官能基は、中和剤によって
中和された形で用いられることが好ましい。
【0030】上記中和剤としては、特に限定されるもの
ではないが、例えば、トリエチルアミン、トリエタノー
ルアミン等の3級アミン化合物や水酸化カリウム、水酸
化ナトリウム等の無機アルカリ化合物等が挙げられ、こ
れらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0031】ポリウレタン樹脂に親水性を付与するため
の別の方法として、上記アニオン性の官能基を分子内に
導入する方法以外に、ポリエチレングリコールのような
ノニオン性の親水性化合物を使用する方法も挙げられ
る。
【0032】例えば、ポリウレタン樹脂を合成する時の
原料として、イソシアネート基と反応し得る活性水素を
1個以上有する水酸基や1級もしくは2級アミノ基等の
官能基を分子内に含有し、且つ、ポリエチレングリコー
ルのようなノニオン性の親水性骨格を有する化合物を使
用することにより上記方法は達成される。
【0033】但し、第1発明による接着剤組成物のA剤
に(b)成分として含有されるウレタン樹脂エマルジョ
ンはアニオン性であることが必要であるので、ポリウレ
タン樹脂に親水性を付与する方法としては、前記アニオ
ン性の官能基を導入する方法、又は、アニオン性の官能
基を導入する方法と上記ノニオン性の親水性骨格を有す
る化合物を使用する方法とを併用する方法のいずれかの
方法を採用する必要がある。
【0034】又、上記ポリウレタン樹脂を合成する時の
原料として、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要
に応じて、鎖延長や分子量調節等の目的で種々の活性水
素含有化合物が使用されても良い。
【0035】上記活性水素含有化合物としては、特に限
定されるものではないが、例えば、エチレンジアミン、
1,4−ブタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン等
の多価アミン類;トリエタノールアミン等の3級アミン
含有多価アルコール類;メタノール、エタノール、ブタ
ノール等のモノアルコール類等が挙げられ、これらの1
種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0036】上述した方法で得られるポリウレタン樹脂
は、優れた自己乳化性を有するので、乳化剤や界面活性
剤等を用いることなく、アセトン法、プレポリマーミキ
シング法、ケチミン法、ホットメルトディスパージョン
法等の従来公知の方法によって安定なアニオン性ウレタ
ン樹脂エマルジョンとすることが出来る。
【0037】こうして得られるアニオン性ウレタン樹脂
エマルジョンの固形分は、特に限定されるものではない
が、30〜70重量%であることが好ましく、40〜6
0重量%であることがより好ましい。
【0038】第1発明による接着剤組成物のA剤中に
(b)成分として含有される上記アニオン性ウレタン樹
脂エマルジョンの含有量は、特に限定されるものではな
いが、(a)成分として含有される前記ビニルエステル
(共)重合体エマルジョンの固形分100重量部に対
し、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョンの固形分3〜
150重量部であることが好ましい。
【0039】(a)成分としてのビニルエステル(共)
重合体エマルジョンの固形分100重量部に対する
(b)成分としてのアニオン性ウレタン樹脂エマルジョ
ンの固形分の含有量が3重量部未満であると、アニオン
性ウレタン樹脂エマルジョンを含有させることによる密
着性向上効果を十分に得られないことがあり、逆にビニ
ルエステル(共)重合体エマルジョンの固形分100重
量部に対するアニオン性ウレタン樹脂エマルジョンの固
形分の含有量が150重量部を超えると、コストが高く
なるため実用性が乏しくなることがある。
【0040】(a)成分としてのビニルエステル(共)
重合体エマルジョンと(b)成分としてのアニオン性ウ
レタン樹脂エマルジョンとの混合方法は、特に限定され
るものではないが、A剤の貯蔵安定性や接着剤組成物を
例えばロール塗布する時の機械的安定性等を向上させる
ためには、ビニルエステル(共)重合体エマルジョンの
pHをアニオン性ウレタン樹脂エマルジョンのpHに近
い値に調整した後に混合することが好ましい。
【0041】一般に、アニオン性ウレタン樹脂エマルジ
ョンはアルカリ性を呈し、ビニルエステル(共)重合体
エマルジョンは酸性を呈するが、アニオン性ウレタン樹
脂エマルジョンのpHを酸性側に調整すると、アニオン
性ウレタン樹脂エマルジョンの安定性が著しく低下する
ので、ビニルエステル(共)重合体エマルジョンのpH
をアルカリ側に調整した後に混合する方法を採ることが
好ましい。
【0042】上記ビニルエステル(共)重合体エマルジ
ョンのpHをアルカリ側に調整する方法は、特に限定さ
れるものではないが、例えば、ビニルエステル(共)重
合体エマルジョンを攪拌しながら、適量のアンモニア
水、トリエタノールアミン、トリエチルアミン等の有機
アミン化合物や塩化ナトリウム、重曹等の無機塩基等を
添加し、均一に攪拌混合することにより、アルカリ側に
pH調整されたビニルエステル(共)重合体エマルジョ
ンを得ることが出来る。
【0043】第1発明による接着剤組成物のA剤には、
(c)成分として、ポリビニルアルコール(PVA)が
含有される。
【0044】ここで言うPVAとは、通常のPVAのみ
ならず、カルボキシル基変性PVA、スルホニル基変性
PVA、シラノール基変性PVA、アルキル基変性PV
A等の各種変性PVA等も包含する。
【0045】上記PVAは、単独で用いられても良い
し、2種類以上が併用されても良い。
【0046】上記PVAは、鹸化度95モル%以上の完
全鹸化PVA、鹸化度90〜95モル%の中間鹸化PV
A、鹸化度90モル%以下の部分鹸化PVAのいずれで
あっても良いし、これらが併用されても良い。
【0047】又、上記PVAは、鹸化度の如何にかかわ
らず、重合度100〜3000であるものが好ましい。
【0048】上記PVAの鹸化度や重合度は、接着剤組
成物のA剤に求められる流動特性に対応して適宜選択さ
れれば良く、例えば接着剤組成物のA剤にニュートニア
ンな流動特性を付与したい場合には低鹸化度の部分鹸化
PVAを用いれば良く、又、例えば接着剤組成物のA剤
に増粘効果を付与したい場合には高重合度のPVAを用
いれば良い。
【0049】上記PVAは、前記ビニルエステル(共)
重合体エマルジョンに後添加されるので、ビニルエステ
ル(共)重合体エマルジョンの重合時に保護コロイドと
して用いられる場合のPVAとは異なる機能を発揮す
る。
【0050】一般に、保護コロイドとして用いられたP
VAはモノマー重合時に成長ラジカルの攻撃を受け、そ
の一部がビニルエステル(共)重合体とのグラフト体を
構成する。従って、グラフト体の一部となったPVA成
分は接着剤組成物のA剤中でビニルエステル(共)重合
体エマルジョンの粒子表面近傍に局存化して自由度が小
さい。これに対し、ビニルエステル(共)重合体エマル
ジョンに後添加されたPVAはエマルジョン粒子間(水
相中)で高い自由度を有するため、その鹸化度や重合度
を適宜選択することにより、接着剤組成物のA剤にニュ
ートニアンな流動特性や増粘効果を自在に付与すること
が可能となる。又、接着剤組成物にPVAを含有させる
ことにより、耐熱性や耐水性が向上する。
【0051】第1発明による接着剤組成物のA剤中に
(c)成分として含有される上記PVAの含有量は、特
に限定されるものではないが、(a)成分として含有さ
れる前記ビニルエステル(共)重合体エマルジョンと
(b)成分として含有される前記アニオン性ウレタン樹
脂エマルジョンとの合計固形分100重量部に対し、P
VA0.5〜10重量部であることが好ましく、より好
ましくは0.8〜5重量部である。
【0052】(a)成分と(b)成分との合計固形分1
00重量部に対するPVAの含有量が0.5重量部未満
であると、耐熱性や耐水性の向上効果を十分に得られな
いことがあり、逆に(a)成分と(b)成分との合計固
形分100重量部に対するPVAの含有量が10重量部
を超えると、接着剤組成物のA剤の粘度が高くなり過ぎ
て作業性が悪くなったり、接着剤組成物の親水性が高く
なり過ぎて却って耐水性が低下することがある。
【0053】上記PVAの混合方法は、特に限定される
ものではなく、PVAをそのままの状態で(a)成分中
もしくは(a)成分及び(b)成分中に添加し溶解させ
ても良いが、より均一な溶解状態を得るためには、PV
Aを水及び/又は有機溶剤等の溶媒中に予め溶解させた
状態で(a)成分中もしくは(a)成分及び(b)成分
中に添加し、均一に攪拌混合する方法を採ることが好ま
しい。
【0054】第1発明による接着剤組成物のA剤の製造
方法は、特別なものではなく、上述した(a)成分、
(b)成分及び(c)成分の各所定量を秤量し、例え
ば、万能ミキサー、ホモミキサー、ホモディスパー、デ
ィゾルバー、佐竹式攪拌機等の従来公知の攪拌混合機を
用いて均一に攪拌混合することにより、所望の接着剤組
成物のA剤を得ることが出来る。尚、この場合、(a)
成分、(b)成分及び(c)成分の混合順序は特に限定
されるものではない。
【0055】第1発明による接着剤組成物のB剤には、
上記A剤中に含有される(a)成分、(b)成分及び
(c)成分の硬化剤として、ポリイソシアネート化合物
が含有される。
【0056】上記ポリイソシアネート化合物は、硬化剤
としての機能を発揮するものであり、前記A剤中に
(c)成分として含有されるPVAが有する水酸基や、
(a)成分として含有されるビニルエステル(共)重合
体エマルジョン及び/又は(b)成分として含有される
アニオン性ウレタン樹脂エマルジョンが活性水素を含む
官能基を有する場合には、その官能基と反応し得る。そ
の結果、接着剤組成物は架橋構造を形成し、接着剤皮膜
の凝集力が向上するので、接着力、耐熱性、耐水性等の
接着性能を向上させる効果を発揮する。特に、エマルジ
ョン粒子間(水相中)に大きな自由度を持って存在する
PVAを架橋させることにより、接着剤組成物全体に均
一な架橋構造が形成され、上記効果はより著しいものと
なる。
【0057】上記ポリイソシアネート化合物としては、
分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物で
あれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、
2,4もしくは2,6−トルイレンジイソシアネート
(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシア
ネート(MDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシア
ネート(HDI)等のジイソシアネート化合物;ジイソ
シアネート化合物の2量体、3量体、4量体以上の多量
体等のポリイソシアネート化合物;ポリイソシアネート
化合物とトリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタ
エリスリトール等の多価アルコールとを反応させて得ら
れる変性ポリイソシアネート化合物;ポリイソシアネー
ト化合物に例えばポリエチレングリコール等のようなノ
ニオン性の親水性基を導入して水分散性を付与した変性
ポリイソシアネート化合物等が挙げられ、好適に用いら
れるが、なかでも水分散性の変性ポリイソシアネート化
合物が所謂「水性硬化剤」としてより好適に用いられ
る。
【0058】上記ポリイソシアネート化合物は、単独で
用いられても良いし、2種類以上が併用されても良い。
【0059】第1発明による接着剤組成物のB剤は、前
記A剤との混合作業の簡便性を考慮すると、常温で液体
の状態であることが好ましい。従って、常温で固形もし
くは半固形のポリイソシアネート化合物を使用する場合
には、有機溶剤で溶解希釈した状態で用いることが好ま
しく、又、常温で液体であっても粘度の高いポリイソシ
アネート化合物を使用する場合にも有機溶剤で希釈した
状態で用いることが好ましい。
【0060】上記有機溶剤としては、分子中に活性水素
を有しない有機溶剤が好ましく、特に限定されるもので
はないが、例えば、トルエン、キシレン、酢酸エチル、
酢酸ブチル、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用
いられる。
【0061】第1発明による接着剤組成物のA剤とB剤
との混合割合は、特に限定されるものではないが、A剤
の固形分100重量部に対し、B剤の固形分0.5〜1
0重量部となるような割合であることが好ましく、より
好ましくはB剤の固形分1〜8重量部となるような割合
である。
【0062】A剤の固形分100重量部に対するB剤の
固形分が0.5重量部未満となるような割合であると、
架橋構造の形成による接着性能向上効果を十分に得られ
ないことがあり、逆にA剤の固形分100重量部に対す
るB剤の固形分が10重量部を超えるような割合である
と、A剤とB剤を混合した後の可使時間(ポットライ
フ)が短くなって作業性が低下することがある。
【0063】次に、第2発明による接着剤組成物は、上
述した第1発明による接着剤組成物において、A剤中に
(a)成分として含有されるビニルエステル(共)重合
体エマルジョンが、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマ
ルジョン(以下、「EVAエマルジョン」と記す)であ
ることを特徴とする。
【0064】A剤中に含有される(a)成分としてEV
Aエマルジョンを用いることにより、各種被着体に対す
る密着性、接着力、耐熱性、耐水性等の接着性能のバラ
ンスに一段と優れ、且つ、コスト的にも有利な接着剤組
成物を得ることが出来る。
【0065】上記EVAエマルジョンは、酢酸ビニルモ
ノマーとエチレンとを加圧下で常法により乳化共重合し
て得られる。
【0066】上記EVA中のエチレン含有量は、特に限
定されるものではないが、5〜40重量%であることが
好ましく、より好ましくは10〜25重量%である。
【0067】EVA中のエチレン含有量が5重量%未満
であると、接着剤組成物の造膜温度が高くなって、造膜
性や低温接着性が低下することがあり、逆にEVA中の
エチレン含有量が40重量%を超えると、接着剤組成物
の各種被着体に対する密着性や耐熱性が低下することが
ある。
【0068】又、上記EVAエマルジョンは、酢酸ビニ
ルモノマーとエチレンとの二元共重合体エマルジョンに
限定されるものではなく、本発明の課題達成を阻害しな
い範囲で必要に応じて、酢酸ビニルモノマーとエチレン
及び前記ビニルエステルモノマーと共重合可能な重合性
モノマーとして例示したような重合性二重結合を有する
各種モノマーの1種もしくは2種以上とを共重合して得
られる三元以上の共重合体エマルジョンであっても良
い。
【0069】第1発明及び第2発明による接着剤組成物
のA剤中及び/又はB剤中には、本発明の課題達成を阻
害しない範囲で必要に応じて、粘度調整や造膜性向上の
ための有機溶剤、粘度調整や揺変性調整のための増粘剤
もしくは揺変性付与剤、充填剤もしくは増量剤、粘着性
付与剤、カップリング剤、可塑剤、軟化剤、界面活性
剤、乳化剤、着色剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤、消泡剤
等の各種添加剤の1種もしくは2種以上が含有されてい
ても良い。
【0070】有機溶剤としては、特に限定されるもので
はないが、例えば、トルエン、キシレン、シクロヘキサ
ン、n−ヘキサン、メチルエチルケトン、メチルイソブ
チルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられ、こ
れらの1種もしくは2種以上が好適に用いられる。
【0071】上記有機溶剤の添加量は、特に限定される
ものではないが、A剤とB剤を混合した後の接着剤組成
物の固形分100重量部に対し、有機溶剤2〜20重量
部であることが好ましい。尚、B剤中に有機溶剤が含有
されている場合には、その有機溶剤量も上記添加量中に
包含される。
【0072】A剤とB剤を混合した後の接着剤組成物の
固形分100重量部に対する有機溶剤の添加量が2重量
部未満であると、粘度調整効果や造膜性向上効果を十分
に得られないことがあり、逆に上記接着剤組成物の固形
分100重量部に対する有機溶剤の添加量が20重量部
を超えると、貯蔵中に有機溶剤が分離したり、接着剤組
成物の粘度が高くなり過ぎたりすることがあり、又、火
災の危険性や環境汚染上の問題が発生するので好ましく
ない。
【0073】増粘剤もしくは揺変性付与剤としては、特
に限定されるものではないが、例えば、ウレタン系のノ
ニオン性増粘剤もしくは揺変性付与剤、アルカリ増粘型
のアニオン性増粘剤もしくは揺変性付与剤、各種水溶性
高分子等、従来公知の増粘剤もしくは揺変性付与剤が挙
げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いら
れる。
【0074】充填剤もしくは増量剤としては、特に限定
されるものではないが、例えば、重質炭酸カルシウム、
コロイド軽質炭酸カルシウム、表面処理微粉炭酸カルシ
ウム等の炭酸カルシウム;タルク、クレー、雲母粉末、
珪砂等のシリカ系充填剤;炭酸マグネシウム、酸化アル
ミニウム等の無機系材料;木粉、小麦粉、澱粉等の有機
系材料等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が
好適に用いられる。
【0075】粘着性付与剤としては、特に限定されるも
のではないが、例えば、重合ロジン樹脂、ロジンエステ
ル樹脂、水添ロジン樹脂等のロジン系樹脂;テルペン樹
脂、テルペンフェノール樹脂等のテルペン系樹脂;クマ
ロンインデン樹脂、C5系石油樹脂、C9系石油樹脂等
の石油系樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、ケトン
樹脂等が挙げられ、これらの1種もしくは2種以上が好
適に用いられる。
【0076】カップリング剤としては、特に限定される
ものではないが、例えば、シランカップリング剤、チタ
ンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等が挙
げられ、これらの1種もしくは2種以上が好適に用いら
れる。
【0077】第1発明及び第2発明による接着剤組成物
のA剤とB剤を所定の割合で混合した後の粘度は、用途
や塗布方法等に応じて適宜設定すれば良く、特に限定さ
れるものではないが、例えば表面化粧材等の建材の製造
に一般的に用いられるロールスプレッダー塗布の場合、
一般的には20℃で8000〜80000cpsである
ことが好ましく、より好ましくは12000〜6000
0cpsである。
【0078】上記接着剤組成物の20℃における粘度が
8000cps未満であると、接着剤組成物が流動し易
くなり過ぎるため、ロールスプレッダーによる塗布時に
塗布機から流出して作業性が低下することがあり、逆に
上記接着剤組成物の20℃における粘度が80000c
psを超えると、接着剤組成物の流動性が乏しくなるた
め、塗布機への供給や均一な塗布量でのロールスプレッ
ダー塗布が困難となることがある。
【0079】又、例えば櫛目ゴテのようなもので塗布す
る場合、上記粘度より高い粘度に設定することが好まし
く、例えばフローコーターやスプレー塗布機等で塗布す
る場合、上記粘度より低い粘度に設定することが好まし
い。
【0080】第1発明及び第2発明による接着剤組成物
のA剤とB剤を所定の割合で混合した後の固形分は、特
に限定されるものではないが、一般的には30〜70重
量%であることが好ましく、より好ましくは40〜60
重量%である。
【0081】上記接着剤組成物の固形分が30重量%未
満であると、水分の含有量が多くなり過ぎるため、塗布
後の乾燥に多大の時間やエネルギーを要し、作業性が低
下したりコスト高となることがあり、輸送コスト面でも
不利となることがある。
【0082】逆に上記接着剤組成物の固形分が70重量
%を超えると、接着剤組成物中の樹脂分の含有量が多く
なり過ぎるため、貯蔵安定性や例えばロールスプレッダ
ー塗布時の機械的安定性等が低下することがある。
【0083】第1発明及び第2発明による接着剤組成物
を使用する時の塗布装置としては、用途や作業性等を考
慮して適宜選択すれば良く、特に限定されるものではな
いが、例えば、ロールスプレッダー(ロールコータ
ー)、フローコーター、ナイフコーター、スプレー塗布
機、櫛目ゴテ、刷毛等の従来公知の各種塗布装置が挙げ
られ、好適に採用される。
【0084】第1発明及び第2発明による接着剤組成物
は、主として表面化粧材のような建材用として好適に用
いられるが、これら用途に限定されるものではなく、木
工用、紙加工用、繊維加工用、一般用等として用いられ
ても良いことは言うまでもない。
【0085】次に、第3発明による表面化粧材は、上述
の第1発明又は第2発明による接着剤組成物を用いて、
基材の表面に表面化粧シートをラミネートすることに製
造される。
【0086】基材としては、特に限定されるものではな
いが、例えば、ラワン合板、中質繊維板(MDF)、パ
ーティクルボード、無垢材等の木質系材料;セメントボ
ード、石膏ボード、ALC等の無機系材料等が挙げら
れ、好適に用いられる。
【0087】又、表面化粧シートとしては、特に限定さ
れるものではないが、例えば、硬質もしくは半硬質の塩
化ビニル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリエステル樹脂
等のプラスチック材料シート;木材をシート状に加工し
た突き板;各種化粧印刷の施された化粧紙等が挙げら
れ、好適に用いられる。
【0088】上記表面化粧材の製造において、接着剤組
成物の塗布は基材側であっても良いし、表面化粧シート
側であっても良い。
【0089】
【作用】第1発明による接着剤組成物のA剤は、ビニル
エステルモノマー単独もしくはビニルエステルモノマー
と該ビニルエステルモノマーと共重合可能な重合性モノ
マーとを乳化(共)重合して得られるビニルエステル
(共)重合体エマルジョンを主成分とし、これにアニオ
ン性ウレタン樹脂エマルジョン及びポリビニルアルコー
ルが含有されているので、各種被着体に対する優れた密
着性や優れた接着力耐熱性、耐水性等の接着性能を発揮
し、且つ、作業性や貯蔵安定性等にも優れる。又、上記
A剤中の成分の1種もしくは2種以上は、B剤中に主成
分として含有されているポリイソシアネート化合物によ
り架橋されるので、上記接着性能はより優れたものとな
る。
【0090】又、第2発明による接着剤組成物は、上記
第1発明による接着剤組成物において、A剤中に主成分
として含有されるビニルエステル(共)重合体エマルジ
ョンとしてエチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン
を用いるので、一段と優れた接着性能のバランスを発揮
し、且つ、コスト的にも有利なものとなる。
【0091】さらに、第3発明による表面化粧材は、上
記第1発明又は第2発明による接着剤組成物を用いて製
造されるので、優れた密着性、接着力、耐熱性、耐水性
等の諸性能を有する。
【0092】
【発明の実施の形態】本発明をさらに詳しく説明するた
め、以下に実施例を挙げるが、本発明はこれら実施例の
みに限定されるものではない。尚、実施例中の「部」は
「重量部」を意味し、「%」は、特に記載の無い限り、
「重量%」を意味する。又、A剤とB剤の混合量はwe
tの混合量である。
【0093】(実施例1)
【0094】1.接着剤組成物の製造 (1)A剤の製造 ビニルエステル(共)重合体エマルジョンとしてエチレ
ン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン(商品名「クラレ
OM−4000」、固形分55%、クラレ社製)100
部にアンモニア水(25%)を添加してpHを7に調整
した後、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン(商品名
「ユープレンUX−306」、固形分45%、三洋化成
工業社製)30部を加えて均一に攪拌混合した。得られ
た混合物をホモディスパーで攪拌しながら、ポリビニル
アルコール(商品名「クラレPVA−CST」、鹸化度
約96モル%、重合度1700、クラレ社製)の10%
水溶液10部をゆっくり添加して均一に攪拌混合した。
次いで、トルエン5部を添加して均一に攪拌混合し、接
着剤組成物のA剤を得た。
【0095】(2)B剤の製造 水分散性のイソシアネート系硬化剤(商品名「UX−
W」、固形分100%、積水化学工業社製)をそのまま
接着剤組成物のB剤として用いた。
【0096】(3)接着剤組成物の調製 上記で得られたA剤100部に対し、上記で得られたB
剤2部を添加し、均一に攪拌混合して接着剤組成物を調
製した。
【0097】2.評価 上記で得られた接着剤組成物の性能(常態剥離強度、
耐水剥離強度、耐熱クリープ性)を以下の方法で評
価した。その結果は表1に示すとおりであった。
【0098】常態剥離強度 ゴムローラーを用いて、厚み2.5mmのMDF(商品
名「スターウッドL」、尿素樹脂系、ホクシン社製)に
接着剤組成物を塗布量が100g/m2 となるように均
一に塗布した。次いで、直ちに、表面に木目調の印刷が
施された厚み0.2mmの半硬質塩化ビニル製化粧シー
トの裏面を貼り合わせ、圧力:40Kg/m2 、温度:
常温、時間:24時間の圧締条件で圧締した。さらに、
圧締開放後、常温で1週間放置して養生を行い、塩化ビ
ニル化粧板を得た。
【0099】得られた塩化ビニル化粧板を幅25mmに
切断して測定用試験片を作成し、テンシロン型引張試験
機を用いて、剥離速度200mm/分で同試験片の18
0度角剥離試験を行い、常態剥離強度(Kg/25m
m)を測定した。尚、測定は20℃−65%RHの雰囲
気下で行った。
【0100】耐水剥離強度 の場合と同様にして作成した幅25mmの測定用試験
片を20℃の水中に24時間浸漬した後、取り出して直
ちに、の場合と同様の条件で180度角剥離試験を行
い、耐水剥離強度(Kg/25mm)を測定した。
【0101】耐熱クリープ性 得られた塩化ビニル化粧板を幅25mm、長さ150m
mに切断して測定用試験片を作成した。次に、半硬質塩
化ビニル製化粧シート側を端部から縦方向に50mm剥
離し、剥離した化粧シートを垂下した状態で試験片を7
0℃の送風乾燥オーブン中に1時間水平に静置した。次
いで、同オーブン中で、垂下した状態にある化粧シート
の先端に500gの静荷重を掛けて24時間放置し、2
4時間後の剥離の進行長さ(mm)を測定した。この場
合、剥離の進行長さが短いほど耐熱クリープ性に優れて
いることを示す。
【0102】(実施例2)エチレン−酢酸ビニル共重合
体エマルジョン「クラレOM−4000」100部にア
ンモニア水(25%)を添加してpHを7に調整した
後、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン「ユープレン
UX−306」30部を加えて均一に攪拌混合した。得
られた混合物をホモディスパーで攪拌しながら、ポリビ
ニルアルコール(商品名「クラレPVA−203」、鹸
化度約88モル%、重合度300、クラレ社製)の20
%水溶液5部をゆっくり添加して均一に攪拌混合した。
次いで、トルエン5部中に増粘剤(商品名「Visca
lexAT−77」、Allied Colloids
Limited製)0.1部を均一に攪拌分散させた
分散液5.1部を添加して均一に攪拌混合し、接着剤組
成物のA剤を得た。又、ポリイソシアネート化合物とし
て商品名「コロネートHL」(ヘキサメチレンジイソシ
アネートとトリメチロールプロパンを主成分とするポリ
イソシアネート化合物の75%酢酸エチル溶液、日本ポ
リウレタン工業社製)をそのまま接着剤組成物のB剤と
して用いた。上記で得られたA剤100部に対し、上記
で得られたB剤3部を添加し、均一に攪拌混合して接着
剤組成物を調製した。
【0103】(実施例3)接着剤組成物のA剤の製造に
おいて、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジとし
て、「クラレOM−4000」100部の代わりに、商
品名「スミカフレックス455」(住友化学工業社製)
100部を用い、ポリビニルアルコールとして、「クラ
レPVA−CST」の10%水溶液10部の代わりに、
商品名「クラレPVA−217」(鹸化度約88モル
%、重合度1700、クラレ社製)の10%水溶液10
部を用いたこと以外は実施例1と同様にして、接着剤組
成物のA剤を得た。次いで、上記で得られたA剤100
部に対し、B剤として「UX−W」2部を添加し、均一
に攪拌混合して接着剤組成物を調製した。
【0104】(実施例4)接着剤組成物のA剤の製造に
おいて、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョンとして、
「ユープレンUX−306」30部の代わりに、商品名
「ハイドランHW333」(固形分40%、大日本イン
キ化学工業社製)30部を用いたこと以外は実施例3と
同様にして、接着剤組成物のA剤を得た。次いで、上記
で得られたA剤100部に対し、B剤として「UX−
W」2部を添加し、均一に攪拌混合して接着剤組成物を
調製した。
【0105】(実施例5)接着剤組成物のA剤の製造に
おいて、ポリビニルアルコールとして、「クラレPVA
−217」の10%水溶液10部の代わりに、商品名
「クラレPVA−117」(鹸化度約98.5モル%、
重合度1700、クラレ社製)の10%水溶液10部を
用いたこと以外は実施例4と同様にして、接着剤組成物
のA剤を得た。次いで、上記で得られたA剤100部に
対し、B剤として「コロネートHL」3部を添加し、均
一に攪拌混合して接着剤組成物を調製した。
【0106】(比較例1)接着剤組成物のA剤を表1に
示す配合組成とし、ポリビニルアルコールを含有させな
かったこと以外は実施例1と同様にして、接着剤組成物
のA剤を得た。次いで、上記で得られたA剤100部に
対し、B剤として「UX−W」2部を添加し、均一に攪
拌混合して接着剤組成物を調製した。
【0107】(比較例2)接着剤組成物のA剤を表1に
示す配合組成とし、アニオン性ウレタン樹脂エマルジョ
ンを含有させなかったこと以外は実施例1と同様にし
て、接着剤組成物のA剤を得た。次いで、上記で得られ
たA剤100部に対し、B剤として「UX−W」2部を
添加し、均一に攪拌混合して接着剤組成物を調製した。
【0108】(比較例3)表1に示すように、実施例1
で得られた接着剤組成物のA剤をそのまま用い、B剤を
添加しなかったこと以外は実施例1と同様にして、接着
剤組成物を調製した。
【0109】実施例2〜5、及び、比較例1〜3で得ら
れた7種類の接着剤組成物の性能(常態剥離強度、
耐水剥離強度、耐熱クリープ)を実施例1の場合と同
様にして評価した。その結果は表1に示すとおりであっ
た。
【0110】
【表1】
【0111】表1から明らかなように、本発明による実
施例1〜5の接着剤組成物は、常態剥離強度、耐水剥離
強度及び耐熱クリープ性のいずれにも優れており、優れ
たバランスの接着性能を発揮した。
【0112】これに対し、ポリビニルアルコールを含有
させなかった比較例1の接着剤組成物は、耐水剥離強度
及び耐熱クリープ性が劣っていた。又、アニオン性ウレ
タン樹脂エマルジョンを含有させなかった比較例2の接
着剤組成物は、耐水剥離強度及び耐熱クリープ性が極端
に悪く、常態剥離強度も劣っていた。さらに、ポリイソ
シアネート化合物(硬化剤)を添加しなかった比較例3
の接着剤組成物は、耐水剥離強度及び耐熱クリープ性が
かなり悪かった。
【0113】
【発明の効果】以上述べたように、本発明による接着剤
組成物は、各種被着体に対する優れた密着性や優れた接
着力、耐熱性、耐水性等の接着性能を発揮し、且つ、作
業性や貯蔵安定性等にも優れるので、表面化粧材のよう
な建材用を始め、各種工業用や一般用接着剤として好適
に用いられる。
【0114】又、本発明による表面化粧材は、上記接着
剤組成物を用いて製せられるので、密着性、接着力、耐
熱性、耐水性等の接着性能のバランスに優れる。従っ
て、苛酷な条件下で使用される用途にも好適に用いられ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AE01 AE06 AK03 AK15 AK21A AK41 AK51A AK68A AK68H AL01A AP01 AP02 AP03 AR00A AT00B BA01 BA02 BA03 CB00 GB08 JB07 JJ03 JK06 JL11 JL11A JM01A 4J040 EF101 EF102 EF181 EF182 JA03 JA13 KA25 LA01 LA05 LA06 LA07 LA08 MA01 MA06 MA08 MA10 MA11 NA13

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記(a)成分、下記(b)成分及び下
    記(c)成分が含有されているA剤とポリイソシアネー
    ト化合物が含有されているB剤とから成ることを特徴と
    する接着剤組成物。 (a)成分:ビニルエステルモノマー単独もしくはビニ
    ルエステルモノマーと該ビニルエステルモノマーと共重
    合可能な重合性モノマーとを乳化(共)重合して得られ
    るビニルエステル(共)重合体エマルジョン (b)成分:アニオン性ウレタン樹脂エマルジョン (c)成分:ポリビニルアルコール
  2. 【請求項2】 上記(a)成分が、エチレン−酢酸ビニ
    ル共重合体エマルジョンであることを特徴とする請求項
    1に記載の接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は請求項2に記載の接着剤組
    成物を用いて製せられていることを特徴とする表面化粧
    材。
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