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JP2000178456A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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Publication number
JP2000178456A
JP2000178456A JP11253375A JP25337599A JP2000178456A JP 2000178456 A JP2000178456 A JP 2000178456A JP 11253375 A JP11253375 A JP 11253375A JP 25337599 A JP25337599 A JP 25337599A JP 2000178456 A JP2000178456 A JP 2000178456A
Authority
JP
Japan
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group
curable composition
polymer
composition according
vinyl polymer
Prior art date
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Granted
Application number
JP11253375A
Other languages
English (en)
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JP4391630B2 (ja
Inventor
Masayuki Fujita
雅幸 藤田
Nobuhiro Hasegawa
伸洋 長谷川
Yasuo Shimizu
康雄 清水
Yoshiki Nakagawa
佳樹 中川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
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Publication date
Application filed by Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd filed Critical Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP25337599A priority Critical patent/JP4391630B2/ja
Publication of JP2000178456A publication Critical patent/JP2000178456A/ja
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Publication of JP4391630B2 publication Critical patent/JP4391630B2/ja
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polymerization Catalysts (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 架橋性官能基を少なくとも一個有するビニル
系重合体を硬化成分とする硬化性組成物は、良好な耐熱
性、耐候性をもち、また、その上に塗料を塗布する際に
は良好な塗装性を有するが、配合物の粘度を下げるため
に従来からよく知られているフタル酸エステル等の比較
的分子量の低い可塑剤を用いると、その硬化物は、熱や
降雨により可塑剤が経時的に流出することにより、初期
の物性を長期的に維持するのは困難となる。またアルキ
ッド塗料と呼ばれる塗料を塗布した場合には、塗料が乾
燥、硬化しにくくなる。 【解決手段】 架橋性官能基を少なくとも1個有するビ
ニル系重合体(I)、高分子可塑剤(II)、を含有す
る硬化性組成物を用い、硬化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、硬化性組成物に関
する。更に詳しくは、架橋性官能基を少なくとも1個有
するビニル系重合体と高分子可塑剤を含有する硬化性組
成物に関する。
【0002】
【従来の技術】イオン重合や縮重合で得られる重合体の
一方で、ラジカル重合で得られるビニル系の重合体で官
能基、特に末端に官能基を有するものは、まだほとんど
実用化されていない。ビニル系重合体の中でも、(メ
タ)アクリル系重合体は、高い耐候性、透明性等、上記
のポリエーテル系重合体や炭化水素系重合体、あるいは
ポリエステル系重合体では得られない特性を有してお
り、アルケニル基や架橋性シリル基を側鎖に有するもの
は高耐候性の塗料等に利用されている。その一方で、ア
クリル系重合体の重合制御は、その副反応のために容易
でなく、末端への官能基の導入などは非常に困難であ
る。
【0003】アルケニル基を分子鎖末端に有するビニル
系重合体を簡便な方法で得ることができれば、側鎖に架
橋性基を有するものに比較して硬化物物性の優れた硬化
物を得ることができる。従って、これまで多くの研究者
によって、その製造法が検討されてきたが、それらを工
業的に製造することは容易ではない。例えば特開平1−
247403号公報、特開平5−255415号公報に
は連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを用
いる、末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル系
重合体の合成法が開示されている。
【0004】特開平5−262808号公報には、ヒド
ロキシル基を有するジスルフィドを用いて、両末端にヒ
ドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さらに
ヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にアルケニル
基を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示さ
れている。
【0005】特開平5−211922号公報には、ヒド
ロキシル基を有するポリスルフィドを用いて、両末端に
ヒドロキシル基を有するビニル系重合体を合成し、さら
にヒドロキシル基の反応性を利用して、末端にシリル基
を有する(メタ)アクリル系重合体の合成法が開示され
ている。
【0006】これらの方法では、両末端に確実に官能基
を導入することは困難であり、満足な特性を有する硬化
物を得ることはできない。両末端に確実に官能基を導入
するためには、連鎖移動剤を大量に使用しなければなら
ず、製造工程上問題である。また、これらの方法では通
常のラジカル重合が用いられているため、得られる重合
体の分子量、分子量分布(数平均分子量と数平均分子量
の比)のコントロ−ルは困難である。
【0007】このような従来の技術に対し、発明者ら
は、これまでに様々な架橋性官能基を末端に有するビニ
ル系重合体、その製造法、硬化性組成物、及び用途に関
して数々の発明を行ってきた(特開平11−08024
9、特開平11−080250、特開平11−0058
15、特開平11−116617、特開平11−116
606、特開平11−080571、特開平11−08
0570、特開平11−130931、特開平11−1
00433、特開平11−116763、特開平9−2
72714号、特開平9−272715号等を参照)。
【0008】例えば、ケイ素原子に結合した水酸基また
は加水分解性基を有し、シロキサン結合を形成すること
により架橋し得るケイ素含有基(以下、「架橋性シリル
基」とも言う)を有するビニル系重合体、あるいはその
組成物から得られる硬化物は、耐熱性あるいは耐候性に
優れ、建築用弾性シーラントや複層ガラス用シーリング
材、塗料、コーティング材、封止材等種々の用途に用い
られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この架橋性官能基を少
なくとも一個有するビニル系重合体を硬化成分とする硬
化物は、良好な耐熱性、耐候性をもち、また、その上に
塗料を塗布する際には良好な塗装性を有する。しかしな
がら、配合物の粘度を下げるために従来からよく知られ
ているフタル酸エステル等の比較的分子量の低い可塑剤
を用いると、その硬化物は、熱や降雨により可塑剤が経
時的に流出することにより、初期の物性を長期的に維持
するのは困難となる。またアルキッド塗料と呼ばれる塗
料を塗布した場合には、塗料が乾燥、硬化しにくいとい
う欠点をも有している。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上述の現
状に鑑み、高分子可塑剤を用いることにより、架橋性官
能基を少なくとも1個有するビニル系重合体の硬化物の
耐熱性、耐候性を長期にわたり保持し、また硬化物上へ
のアルキッド塗料の塗装性を改善できることを見出し、
本発明に到達した。
【0011】すなわち、本発明は以下の2成分;架橋性
官能基を少なくとも1個有するビニル系重合体(I)、
及び、高分子可塑剤(II)、を含有する硬化性組成物
である。ビニル系重合体(I)としては、限定はされな
いが、(メタ)アクリル系重合体であることが好まし
い。ビニル系重合体(I)の架橋性官能基としては、限
定はされないが、架橋性シリル基、アルケニル基、水酸
基、アミノ基、重合性の炭素−炭素二重結合、エポキシ
基等が好ましい。
【0012】ビニル系重合体(I)の架橋性官能基の位
置は、限定はされないが、末端が好ましい。その他に主
鎖内部に同様の官能基を有しても構わないが、架橋させ
た硬化物にゴム弾性を求める場合等には末端のみに官能
基を有することが好ましい。ビニル系重合体(I)の架
橋性官能基の数は、特に限定されないが、より架橋性の
高い硬化物を得るためには、平均して1個以上、好まし
くは1.2個以上、より好ましくは1.5個以上であ
る。
【0013】ビニル系重合体(I)は、限定はされない
が、リビングラジカル重合により製造されることが好ま
しく、原子移動ラジカル重合であることがより好まし
い。さらに、原子移動ラジカル重合は、限定はされない
が、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11
族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体
を触媒とすることが好ましく、銅、ニッケル、ルテニウ
ム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体がより好
ましく、中でも銅の錯体が特に好ましい。
【0014】高分子可塑剤(II)としては、限定はさ
れないが、数平均分子量800〜10000であること
が好ましい。高分子可塑剤(II)は、限定はされない
が、ビニル系重合体であることが好ましく、更には(メ
タ)アクリル系重合体であることが好ましい。
【0015】高分子可塑剤(II)は、限定はされない
が、リビングラジカル重合により製造されることが好ま
しく、原子移動ラジカル重合であることがより好まし
い。さらに、原子移動ラジカル重合は、限定はされない
が、周期律表第7族、8族、9族、10族、または11
族元素を中心金属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体
を触媒とすることが好ましく、銅、ニッケル、ルテニウ
ム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体がより好
ましく、中でも銅の錯体が特に好ましい。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の硬化性組成物は、上記の
ビニル系重合体(I)及び高分子可塑剤(II)を含有
してなるものである。以下に、本発明の硬化性組成物に
ついて詳述する。
【0017】<<ビニル系重合体(I)について>> <主鎖>本発明のビニル系重合体(I)の主鎖を構成す
るビニル系モノマーとしては特に限定されず、各種のも
のを用いることができる。例示するならば、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリ
ル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メ
タ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n
−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)ア
クリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸−n
−ペンチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−
n−ヘプチル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、
(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)ア
クリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)
アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、
(メタ)アクリル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベン
ジル、(メタ)アクリル酸−2−メトキシエチル、(メ
タ)アクリル酸−3−メトキシブチル、(メタ)アクリ
ル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2
−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ステアリ
ル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル
酸2−アミノエチル、γ−(メタクリロイルオキシプロ
ピル)トリメトキシシラン、(メタ)アクリル酸のエチ
レンオキサイド付加物、(メタ)アクリル酸トリフルオ
ロメチルメチル、(メタ)アクリル酸2−トリフルオロ
メチルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエ
チルエチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロエチ
ル−2−パーフルオロブチルエチル、(メタ)アクリル
酸2−パーフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフ
ルオロメチル、(メタ)アクリル酸ジパーフルオロメチ
ルメチル、(メタ)アクリル酸2−パーフルオロメチル
−2−パーフルオロエチルメチル、(メタ)アクリル酸
2−パーフルオロヘキシルエチル、(メタ)アクリル酸
2−パーフルオロデシルエチル、(メタ)アクリル酸2
−パーフルオロヘキサデシルエチル等の(メタ)アクリ
ル酸系モノマー;スチレン、ビニルトルエン、α−メチ
ルスチレン、クロルスチレン、スチレンスルホン酸及び
その塩等のスチレン系モノマー;パーフルオロエチレ
ン、パーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン等のフ
ッ素含有ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、
ビニルトリエトキシシラン等のケイ素含有ビニル系モノ
マー;無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸のモノ
アルキルエステル及びジアルキルエステル;フマル酸、
フマル酸のモノアルキルエステル及びジアルキルエステ
ル;マレイミド、メチルマレイミド、エチルマレイミ
ド、プロピルマレイミド、ブチルマレイミド、ヘキシル
マレイミド、オクチルマレイミド、ドデシルマレイミ
ド、ステアリルマレイミド、フェニルマレイミド、シク
ロヘキシルマレイミド等のマレイミド系モノマー;アク
リロニトリル、メタクリロニトリル等のニトリル基含有
ビニル系モノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド
等のアミド基含有ビニル系モノマー;酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、安息香酸ビニル、
桂皮酸ビニル等のビニルエステル類;エチレン、プロピ
レン等のアルケン類;ブタジエン、イソプレン等の共役
ジエン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、塩化アリル、
アリルアルコール等が挙げられる。これらは、単独で用
いても良いし、複数を共重合させても構わない。なかで
も、生成物の物性等から、スチレン系モノマー及び(メ
タ)アクリル酸系モノマーが好ましい。より好ましく
は、アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エス
テルモノマーであり、特に好ましくはアクリル酸エステ
ルモノマーであり、更に好ましくは、アクリル酸ブチル
である。本発明においては、これらの好ましいモノマー
を他のモノマーと共重合、更にはブロック共重合させて
も構わなく、その際は、これらの好ましいモノマーが重
量比で40%含まれていることが好ましい。なお上記表
現形式で例えば(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸お
よび/あるいはメタクリル酸を表す。
【0018】本発明の重合体(I)の分子量分布、すな
わち、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定
した重量平均分子量と数平均分子量の比は、特に限定さ
れないが、好ましくは1.8未満であり、好ましくは
1.7以下であり、より好ましくは1.6以下であり、
さらに好ましくは1.5以下であり、特に好ましくは
1.4以下であり、最も好ましくは1.3以下である。
本発明でのGPC測定においては、通常、移動相として
クロロホルムを用い、測定はポリスチレンゲルカラムに
ておこない、数平均分子量等はポリスチレン換算で求め
ることができる。本発明のビニル系重合体の数平均分子
量は特に制限はないが、500〜1,000,000の
範囲が好ましく、1000〜100,000がさらに好
ましい。
【0019】<主鎖の合成法>本発明のビニル系重合体
(I)の合成法は、限定はされないが、制御ラジカル重
合が好ましく、リビングラジカル重合がより好ましく、
原子移動ラジカル重合が特に好ましい。以下にこれらに
ついて説明する。
【0020】制御ラジカル重合 ラジカル重合法は、重合開始剤としてアゾ系化合物、過
酸化物などを用いて、特定の官能基を有するモノマーと
ビニル系モノマーとを単に共重合させる「一般的なラジ
カル重合法」と末端などの制御された位置に特定の官能
基を導入することが可能な「制御ラジカル重合法」に分
類できる。
【0021】「一般的なラジカル重合法」は簡便な方法
であるが、この方法では特定の官能基を有するモノマー
は確率的にしか重合体中に導入されないので、官能化率
の高い重合体を得ようとした場合には、このモノマーを
かなり大量に使う必要があり、逆に少量使用ではこの特
定の官能基が導入されない重合体の割合が大きくなると
いう問題点がある。またフリーラジカル重合であるた
め、分子量分布が広く粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0022】「制御ラジカル重合法」は、更に、特定の
官能基を有する連鎖移動剤を用いて重合をおこなうこと
により末端に官能基を有するビニル系重合体が得られる
「連鎖移動剤法」と重合生長末端が停止反応などを起こ
さずに生長することによりほぼ設計どおりの分子量の重
合体が得られる「リビングラジカル重合法」とに分類す
ることができる。
【0023】「連鎖移動剤法」は、官能化率の高い重合
体を得ることが可能であるが、開始剤に対してかなり大
量の特定の官能基を有する連鎖移動剤が必要であり、処
理も含めて経済面で問題がある。また上記の「一般的な
ラジカル重合法」と同様、フリーラジカル重合であるた
め分子量分布が広く、粘度の高い重合体しか得られない
という問題点もある。
【0024】これらの重合法とは異なり、「リビングラ
ジカル重合法」は、重合速度が高く、ラジカル同士のカ
ップリングなどによる停止反応が起こりやすいため制御
の難しいとされるラジカル重合でありながら、停止反応
が起こりにくく、分子量分布の狭い(Mw/Mnが1.
1〜1.5程度)重合体が得られるとともに、モノマー
と開始剤の仕込み比によって分子量は自由にコントロー
ルすることができる。
【0025】従って「リビングラジカル重合法」は、分
子量分布が狭く、粘度が低い重合体を得ることができる
上に、特定の官能基を有するモノマーを重合体のほぼ任
意の位置に導入することができるため、上記特定の官能
基を有するビニル系重合体の製造方法としてはより好ま
しいものである。
【0026】なお、リビング重合とは狭義においては、
末端が常に活性を持ち続けて分子鎖が生長していく重合
のことをいうが、一般には、末端が不活性化されたもの
と活性化されたものが平衡状態にありながら生長してい
く擬リビング重合も含まれる。本発明における定義も後
者である。
【0027】「リビングラジカル重合法」は近年様々な
グループで積極的に研究がなされている。その例として
は、たとえばジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル
ソサエティー(J.Am.Chem.Soc.)、19
94年、116巻、7943頁に示されるようなコバル
トポルフィリン錯体を用いるもの、マクロモレキュール
ズ(Macromolecules)、1994年、2
7巻、7228頁に示されるようなニトロキシド化合物
などのラジカル捕捉剤を用いるもの、有機ハロゲン化物
等を開始剤とし遷移金属錯体を触媒とする「原子移動ラ
ジカル重合」(Atom Transfer Radi
cal Polymerization:ATRP)な
どがあげられる。
【0028】「リビングラジカル重合法」の中でも、有
機ハロゲン化物あるいはハロゲン化スルホニル化合物等
を開始剤、遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマー
を重合する「原子移動ラジカル重合法」は、上記の「リ
ビングラジカル重合法」の特徴に加えて、官能基変換反
応に比較的有利なハロゲン等を末端に有し、開始剤や触
媒の設計の自由度が大きいことから、特定の官能基を有
するビニル系重合体の製造方法としてはさらに好まし
い。この原子移動ラジカル重合法としては例えばMat
yjaszewskiら、ジャーナル・オブ・アメリカ
ン・ケミカルソサエティー(J.Am.Chem.So
c.)1995年、117巻、5614頁、マクロモレ
キュールズ(Macromolecules)1995
年、28巻、7901頁,サイエンス(Scienc
e)1996年、272巻、866頁、WO96/30
421号公報,WO97/18247号公報、WO98
/01480号公報,WO98/40415号公報、あ
るいはSawamotoら、マクロモレキュールズ(M
acromolecules)1995年、28巻、1
721頁、特開平9−208616号公報、特開平8−
41117号公報などが挙げられる。本発明において、
これらのリビングラジカル重合のうちどの方法を使用す
るかは特に制約はないが、原子移動ラジカル重合法が好
ましい。
【0029】以下にリビングラジカル重合について詳細
に説明していくが、その前に、後に説明する重合体
(I)の製造に用いることができる制御ラジカル重合の
うちの一つ、連鎖移動剤を用いた重合について説明す
る。連鎖移動剤(テロマー)を用いたラジカル重合とし
ては、特に限定されないが、本発明に適した末端構造を
有したビニル系重合体を得る方法としては、次の2つの
方法が例示される。
【0030】特開平4−132706号公報に示されて
いるようなハロゲン化炭化水素を連鎖移動剤として用い
てハロゲン末端の重合体を得る方法と、特開昭61−2
71306号公報、特許2594402号公報、特開昭
54−47782号公報に示されているような水酸基含
有メルカプタンあるいは水酸基含有ポリスルフィド等を
連鎖移動剤として用いて水酸基末端の重合体を得る方法
である。
【0031】以下に、リビングラジカル重合について説
明する。そのうち、まず、ニトロキシド化合物などのラ
ジカル捕捉剤を用いる方法について説明する。この重合
では一般に安定なニトロキシフリーラジカル(=N−O
・)をラジカルキャッピング剤として用いる。このよう
な化合物類としては、限定はされないが、2,2,6,
6−置換−1−ピペリジニルオキシラジカルや2,2,
5,5−置換−1−ピロリジニルオキシラジカル等、環
状ヒドロキシアミンからのニトロキシフリーラジカルが
好ましい。置換基としてはメチル基やエチル基等の炭素
数4以下のアルキル基が適当である。具体的なニトロキ
シフリーラジカル化合物としては、限定はされないが、
2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキ
シラジカル(TEMPO)、2,2,6,6−テトラエ
チル−1−ピペリジニルオキシラジカル、2,2,6,
6−テトラメチル−4−オキソ−1−ピペリジニルオキ
シラジカル、2,2,5,5−テトラメチル−1−ピロ
リジニルオキシラジカル、1,1,3,3−テトラメチ
ル−2−イソインドリニルオキシラジカル、N,N−ジ
−t−ブチルアミンオキシラジカル等が挙げられる。ニ
トロキシフリーラジカルの代わりに、ガルビノキシル
(galvinoxyl)フリーラジカル等の安定なフ
リーラジカルを用いても構わない。
【0032】上記ラジカルキャッピング剤はラジカル発
生剤と併用される。ラジカルキャッピング剤とラジカル
発生剤との反応生成物が重合開始剤となって付加重合性
モノマーの重合が進行すると考えられる。両者の併用割
合は特に限定されるものではないが、ラジカルキャッピ
ング剤1モルに対し、ラジカル開始剤0.1〜10モル
が適当である。
【0033】ラジカル発生剤としては、種々の化合物を
使用することができるが、重合温度条件下で、ラジカル
を発生しうるパーオキシドが好ましい。このパーオキシ
ドとしては、限定はされないが、ベンゾイルパーオキシ
ド、ラウロイルパーオキシド等のジアシルパーオキシド
類、ジクミルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシ
ド等のジアルキルパーオキシド類、ジイソプロピルパー
オキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート等のパーオキシカー
ボネート類、t−ブチルパーオキシオクトエート、t−
ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステ
ル類等がある。特にベンゾイルパーオキシドが好まし
い。さらに、パーオキシドの代わりにアゾビスイソブチ
ロニトリルのようなラジカル発生性アゾ化合物等のラジ
カル発生剤も使用しうる。
【0034】Macromolecules 199
5,28,2993で報告されているように、ラジカル
キャッピング剤とラジカル発生剤を併用する代わりに、
下図のようなアルコキシアミン化合物を開始剤として用
いても構わない。
【0035】
【化1】
【0036】アルコキシアミン化合物を開始剤として用
いる場合、それが上図で示されているような水酸基等の
官能基を有するものを用いると末端に官能基を有する重
合体が得られる。これを本発明の方法に利用すると、末
端に官能基を有する重合体が得られる。
【0037】上記のニトロキシド化合物などのラジカル
捕捉剤を用いる重合で用いられるモノマー、溶媒、重合
温度等の重合条件は、限定されないが、次に説明する原
子移動ラジカル重合について用いるものと同様で構わな
い。
【0038】原子移動ラジカル重合 次に、本発明のリビングラジカル重合としてより好まし
い原子移動ラジカル重合法について説明する。この原子
移動ラジカル重合では、有機ハロゲン化物、特に反応性
の高い炭素−ハロゲン結合を有する有機ハロゲン化物
(例えば、α位にハロゲンを有するカルボニル化合物
や、ベンジル位にハロゲンを有する化合物)、あるいは
ハロゲン化スルホニル化合物等が開始剤として用いられ
る。
【0039】具体的に例示するならば、 C−CHX、C−C(H)(X)C
、C−C(X)(CH (ただし、上の化学式中、Cはフェニル基、Xは
塩素、臭素、またはヨウ素) R−C(H)(X)−CO、R−C(C
)(X)−CO、R−C(H)(X) −C(O)R、R−C(CH)(X)−C(O)
、 (式中、R、Rは水素原子または炭素数1〜20の
アルキル基、アリール基、またはアラルキル基、Xは塩
素、臭素、またはヨウ素) R−C−SOX (上記の各式において、Rは水素原子または炭素数1
〜20のアルキル基、アリール基、またはアラルキル
基、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)等が挙げられる。
【0040】原子移動ラジカル重合の開始剤として、重
合を開始する官能基以外の官能基を有する有機ハロゲン
化物又はハロゲン化スルホニル化合物を用いることもで
きる。このような場合、一方の主鎖末端に官能基を、他
方の主鎖末端に原子移動ラジカル重合の生長末端構造を
有するビニル系重合体が製造される。このような官能基
としては、アルケニル基、架橋性シリル基、ヒドロキシ
ル基、エポキシ基、アミノ基、アミド基等が挙げられ
る。
【0041】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
しては限定されず、例えば、一般式1に示す構造を有す
るものが例示される。 RC(X)−R−R−C(R)=CH (1) (式中、Rは水素、またはメチル基、R、Rは水
素、または、炭素数1〜20の1価のアルキル基、アリ
ール基、またはアラルキル、または他端において相互に
連結したもの、Rは、−C(O)O−(エステル
基)、−C(O)−(ケト基)、またはo−,m−,p
−フェニレン基、Rは直接結合、または炭素数1〜2
0の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含んでい
ても良い、Xは塩素、臭素、またはヨウ素)置換基
、Rの具体例としては、水素、メチル基、エチル
基、n−プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペン
チル基、ヘキシル基等が挙げられる。RとRは他端
において連結して環状骨格を形成していてもよい。
【0042】一般式1で示される、アルケニル基を有す
る有機ハロゲン化物の具体例としては、 XCHC(O)O(CHCH=CH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHCH=C
、 (HC)C(X)C(O)O(CHCH=C
、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
H=CH
【0043】
【化2】
【0044】(上記の各式において、Xは塩素、臭素、
またはヨウ素、nは0〜20の整数) XCHC(O)O(CHO(CHCH=
CH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
CH=CH、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
CH=CH、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CHCH=CH
【0045】
【化3】
【0046】(上記の各式において、Xは塩素、臭素、
またはヨウ素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整
数) o,m,p−XCH−C−(CH−CH
=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−(CH−O−
(CH−CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−O−(CH−CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−O−(CHCH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−O−(CH
CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−CH=CH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−O−(CH
O−(CH−CH=CH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−O−(CH−CH=CH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−O−(CH−CH=CH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは1〜20の整数、mは0〜20の整数)
【0047】アルケニル基を有する有機ハロゲン化物と
してはさらに一般式2で示される化合物が挙げられる。 HC=C(R)−R−C(R)(X)−R−R (2) (式中、R、R、R、R、Xは上記に同じ、R
は、直接結合、−C(O)O−(エステル基)、−C
(O)−(ケト基)、または、o−,m−,p−フェニ
レン基を表す)
【0048】Rは直接結合、または炭素数1〜20の
2価の有機基(1個以上のエーテル結合を含んでいても
良い)であるが、直接結合である場合は、ハロゲンの結
合している炭素にビニル基が結合しており、ハロゲン化
アリル化物である。この場合は、隣接ビニル基によって
炭素−ハロゲン結合が活性化されているので、Rとし
てC(O)O基やフェニレン基等を有する必要は必ずし
もなく、直接結合であってもよい。Rが直接結合でな
い場合は、炭素−ハロゲン結合を活性化するために、R
としてはC(O)O基、C(O)基、フェニレン基が
好ましい。
【0049】一般式2の化合物を具体的に例示するなら
ば、 CH=CHCHX、CH=C(CH)CH
X、 CH=CHC(H)(X)CH、CH=C(CH
)C(H)(X)CH 、 CH=CHC(X)(CH、CH=CHC
(H)(X)C、 CH=CHC(H)(X)CH(CH、 CH=CHC(H)(X)C、CH=CHC
(H)(X)CH、 CH=CHCHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CH(CHC(H)(X)−COR、 CH=CHCHC(H)(X)−C、 CH=CH(CHC(H)(X)−C、 CH=CH(CHC(H)(X)−C、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等を挙げることができる。
【0050】アルケニル基を有するハロゲン化スルホニ
ル化合物の具体例を挙げるならば、 o−,m−,p−CH=CH−(CH−C
−SOX、 o−,m−,p−CH=CH−(CH−O−C
−SOX、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、nは0〜20の整数)等である。
【0051】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としては特に限定されず、例えば一般式3に示す構
造を有するものが例示される。 RC(X)−R−R−C(H)(R)CH
− [Si(R2−b(Y)O]−Si(R103−a(Y) (3) (式中、R、R、R、R、R、Xは上記に同
じ、R、R10は、いずれも炭素数1〜20のアルキ
ル基、アリール基、アラルキル基、または(R’)
iO−(R’は炭素数1〜20の1価の炭化水素基であ
って、3個のR’は同一であってもよく、異なっていて
もよい)で示されるトリオルガノシロキシ基を示し、R
またはR10が2個以上存在するとき、それらは同一
であってもよく、異なっていてもよい。Yは水酸基また
は加水分解性基を示し、Yが2個以上存在するときそれ
らは同一であってもよく、異なっていてもよい。aは
0,1,2,または3を、また、bは0,1,または2
を示す。mは0〜19の整数である。ただし、a+mb
≧1であることを満足するものとする)
【0052】一般式3の化合物を具体的に例示するなら
ば、 XCHC(O)O(CHSi(OCH、 CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(O
CH、 (CHC(X)C(O)O(CHSi(O
CH、 XCHC(O)O(CHSi(CH)(OC
、 CHC(H)(X)C(O)O(CHSi(C
)(OCH、 (CHC(X)C(O)O(CHSi(C
)(OCH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
0〜20の整数、) XCHC(O)O(CHO(CHSi
(OCH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
Si(OCH 、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
Si(OCH 、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CHSi(OCH、 XCHC(O)O(CHO(CHSi
(CH)(OCH、 HCC(H)(X)C(O)O(CHO(CH
−Si(CH)(OCH、 (HC)C(X)C(O)O(CHO(CH
−Si(CH)(OCH、 CHCHC(H)(X)C(O)O(CH
(CH−Si(CH)(OCH、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、ヨウ素、nは
1〜20の整数、mは0〜20の整数) o,m,p−XCH−C−(CHSi
(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
Si(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−(CHSi
(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
Si(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−(CH−O−
(CHSi(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−(CH
−O−(CHSi(OCH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
(CH−O−(CHSi(OCH、 o,m,p−XCH−C−O−(CH
i(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CHSi(OCH 、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−Si(OCH、 o,m,p−XCH−C−O−(CH
O−(CH−Si(OCH、 o,m,p−CHC(H)(X)−C−O−
(CH−O−(CHSi(OCH、 o,m,p−CHCHC(H)(X)−C
O−(CH−O−(CHSi(OCH
、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素)等が挙げられる。
【0053】上記架橋性シリル基を有する有機ハロゲン
化物としてはさらに、一般式4で示される構造を有する
ものが例示される。 (R103−a(Y)Si−[OSi(R2−b(Y)− CH−C(H)(R)−R−C(R)(X)−R−R (4) (式中、R、R、R、R、R、R
10、a、b、m、X、Yは上記に同じ)
【0054】このような化合物を具体的に例示するなら
ば、 (CHO)SiCHCHC(H)(X)C
、 (CHO)(CH)SiCHCHC(H)
(X)C、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−CO
R、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−COR、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−C
、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−C、 (CHO)Si(CHC(H)(X)−C
、 (CHO)(CH)Si(CHC(H)
(X)−C、 (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは炭素数1〜20のアルキル基、アリール基、ア
ラルキル基)等が挙げられる。
【0055】上記ヒドロキシル基を持つ有機ハロゲン化
物、またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限
定されず、下記のようなものが例示される。 HO−(CH−OC(O)C(H)(R)(X) (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
【0056】上記アミノ基を持つ有機ハロゲン化物、ま
たはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定され
ず、下記のようなものが例示される。 HN−(CH−OC(O)C(H)(R)
(X) (上記の各式において、Xは塩素、臭素、またはヨウ
素、Rは水素原子または炭素数1〜20のアルキル基、
アリール基、アラルキル基、nは1〜20の整数)
【0057】上記エポキシ基を持つ有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物としては特に限定さ
れず、下記のようなものが例示される。
【0058】
【化4】
【0059】(上記の各式において、Xは塩素、臭素、
またはヨウ素、Rは水素原子または炭素数1〜20のア
ルキル基、アリール基、アラルキル基、nは1〜20の
整数)本発明の末端構造を1分子内に2つ以上有する重
合体を得るためには、2つ以上の開始点を持つ有機ハロ
ゲン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物が開始剤
として用いるのが好ましい。具体的に例示するならば、
【0060】
【化5】
【0061】
【化6】
【0062】等があげられる。この重合において用いら
れるビニル系モノマーとしては特に制約はなく、既に例
示したものをすべて好適に用いることができる。
【0063】重合触媒として用いられる遷移金属錯体と
しては特に限定されないが、好ましくは周期律表第7
族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金属
とする金属錯体錯体である。更に好ましいものとして、
0価の銅、1価の銅、2価のルテニウム、2価の鉄又は
2価のニッケルの錯体が挙げられる。なかでも、銅の錯
体が好ましい。1価の銅化合物を具体的に例示するなら
ば、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、シアン化
第一銅、酸化第一銅、過塩素酸第一銅等である。銅化合
物を用いる場合、触媒活性を高めるために2,2′−ビ
ピリジル及びその誘導体、1,10−フェナントロリン
及びその誘導体、テトラメチルエチレンジアミン、ペン
タメチルジエチレントリアミン、ヘキサメチルトリス
(2−アミノエチル)アミン等のポリアミン等の配位子
が添加される。また、2価の塩化ルテニウムのトリスト
リフェニルホスフィン錯体(RuCl(PP
)も触媒として好適である。ルテニウム化合物
を触媒として用いる場合は、活性化剤としてアルミニウ
ムアルコキシド類が添加される。更に、2価の鉄のビス
トリフェニルホスフィン錯体(FeCl(PPh
)、2価のニッケルのビストリフェニルホスフィン錯
体(NiCl(PPh)、及び、2価のニッケ
ルのビストリブチルホスフィン錯体(NiBr(PB
)も、触媒として好適である。
【0064】重合は無溶剤または各種の溶剤中で行うこ
とができる。溶剤の種類としては、ベンゼン、トルエン
等の炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロ
フラン等のエーテル系溶媒、塩化メチレン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエ
チルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶
媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルア
ルコール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロ
ピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒、酢
酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒、エチレンカ
ーボネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート
系溶媒等が挙げられ、単独または2種以上を混合して用
いることができる。また、限定はされないが、重合は0
℃〜200℃の範囲で行うことができ、好ましくは50
〜150℃である。
【0065】<官能基>ビニル系重合体(I)の架橋性
官能基としては、限定はされないが、架橋性シリル基、
アルケニル基、水酸基、アミノ基、重合性の炭素−炭素
二重結合、エポキシ基等が好ましい。これら架橋性官能
基は全てその用途/目的に応じ、使い分けることができ
る。
【0066】架橋性官能基の位置 本発明の硬化性組成物を発泡、硬化させてなる発泡体に
ゴム的な性質が特に要求される場合には、ゴム弾性に大
きな影響を与える架橋点間分子量が大きくとれるため、
架橋性官能基の少なくとも1個は分子鎖の末端にあるこ
とが好ましい。より好ましくは、全ての架橋性官能基が
分子鎖末端に有するものである。
【0067】上記架橋性官能基を分子末端に少なくとも
1個有するビニル系重合体、中でも(メタ)アクリル系
重合体を製造する方法は、特公平3−14068号公
報、特公平4−55444号公報、特開平6−2119
22号公報等に開示されている。しかしながらこれらの
方法は上記「連鎖移動剤法」を用いたフリーラジカル重
合法であるので、得られる重合体は、架橋性官能基を比
較的高い割合で分子鎖末端に有する一方で、Mw/Mn
で表される分子量分布の値が一般に2以上と大きく、粘
度が高くなるという問題を有している。従って、分子量
分布が狭く、粘度の低いビニル系重合体であって、高い
割合で分子鎖末端に架橋性官能基を有するビニル系重合
体を得るためには、上記「リビングラジカル重合法」を
用いることが好ましい。
【0068】以下にこれらの官能基について説明する。架橋性シリル基 本発明の架橋性シリル基としては、一般式5; −[Si(R2−b(Y)O]−Si(R103−a(Y) (5 ) {式中、R、R10は、いずれも炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜2
0のアラルキル基、または(R’)SiO−(R’は
炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個の
R’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示
されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはR
10が2個以上存在するとき、それらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解
性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,
または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは
0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であるこ
とを満足するものとする。}で表される基があげられ
る。
【0069】加水分解性基としては、たとえば、水素原
子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート
基、アミノ基、アミド基、アミノオキシ基、メルカプト
基、アルケニルオキシ基などの一般に使用されている基
があげられる。これらのうちでは、アルコキシ基、アミ
ド基、アミノオキシ基が好ましいが、加水分解性がマイ
ルドで取り扱い易いという点から、アルコキシ基がとく
に好ましい。
【0070】加水分解性基や水酸基は、1個のケイ素原
子に1〜3個の範囲で結合することができ、(a+Σ
b)は1〜5個の範囲が好ましい。加水分解性基や水酸
基が架橋性シリル基中に2個以上結合する場合には、そ
れらは同じであってもよいし、異なってもよい。架橋性
シリル基を形成するケイ素原子は1個以上であるが、シ
ロキサン結合などにより連結されたケイ素原子の場合に
は、20個以下であることが好ましい。とくに、一般式
6 −Si(R103−a(Y) (6) (式中、R10、Y、aは前記と同じ。)で表される架
橋性シリル基が、入手が容易であるので好ましい。
【0071】アルケニル基 本発明におけるアルケニル基は、限定はされないが、一
般式7で表されるものであることが好ましい。 HC=C(R11)− (7) (式中、R11は水素原子あるいは炭素数1〜20の炭
化水素基である)
【0072】一般式7において、R11は水素原子ある
いは炭素数1〜20の炭化水素基であり、具体的には以
下のような基が例示される。−(CH−CH
−CH(CH)−(CH−CH、−CH(C
CH)−(CH−CH、−CH(CH
CH、−C(CH−(CH−C
、−C(CH)(CHCH)−(CH
−CH、−C、−C(CH)、−C
(CH、−(CH−C、−(C
−C(CH)、−(CH−C
(CH (nは0以上の整数で、各基の合計炭
素数は20以下)これらの内では、水素原子が好まし
い。
【0073】さらに、限定はされないが、重合体(I)
のアルケニル基が、その炭素−炭素二重結合と共役する
カルボニル基、アルケニル基、芳香族環により活性化さ
れていないことが好ましい。アルケニル基と重合体の主
鎖の結合形式は、特に限定されないが、炭素−炭素結
合、エステル結合、エステル結合、カーボネート結合、
アミド結合、ウレタン結合等を介して結合されているこ
とが好ましい。
【0074】アミノ基 本発明におけるアミノ基としては、限定はされないが、 −NR12 (R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基で
あり、2個のR12は互いに同一でもよく異なっていて
もよく、また、他端において相互に連結し、環状構造を
形成していてもよい。)が挙げられるが、 −(NR12 (R12は上記と同じ。Xは対アニオン。)に示され
るアンモニウム塩であっても何ら問題はない。
【0075】上記式中、R12は水素または炭素数1〜
20の1価の有機基であり、例えば、水素、炭素数1〜
20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素
数7〜20のアラルキル基等が挙げられる。2個のR
12は互いに同一でもよく、異なっていてもよい。ま
た、他端において相互に連結し、環状構造を形成してい
てもよい。
【0076】重合性の炭素−炭素二重結合 重合性の炭素−炭素二重結合を有する基は、好ましく
は、一般式8: −OC(O)C(R13)=CH (8) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の一価
の有機基を表す。)で表される基であり、更に好ましく
は、R13が、水素、または、メチル基である基であ
る。
【0077】一般式8において、R13の具体例として
は特に限定されず、例えば、−H、−CH、−CH
CH、−(CHCH(nは2〜19の整数を
表す)、−C、−CHOH、−CN等が挙げら
れるが、好ましくは−H、−CHである。
【0078】<官能基導入法>以下に、本発明のビニル
系重合体(I)への官能基導入法について説明するが、
これに限定されるものではない。まず、末端官能基変換
により架橋性シリル基、アルケニル基、水酸基を導入す
る方法について記述する。これらの官能基はお互いに前
駆体となりうるので、架橋性シリル基から溯る順序で記
述していく。
【0079】架橋性シリル基を少なくとも1個有するビ
ニル系重合体の合成方法としては、(A)アルケニル基
を少なくとも1個有するビニル系重合体に架橋性シリル
基を有するヒドロシラン化合物を、ヒドロシリル化触媒
存在下に付加させる方法(B)水酸基を少なくとも1個
有するビニル系重合体に一分子中に架橋性シリル基とイ
ソシアネート基のような水酸基と反応し得る基を有する
化合物を反応させる方法(C)ラジカル重合によりビニ
ル系重合体を合成する際に、1分子中に重合性のアルケ
ニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物を反応させる
方法(D)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成す
る際に、架橋性シリル基を有する連鎖移動剤を用いる方
法(E)反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも
1個有するビニル系重合体に1分子中に架橋性シリル基
と安定なカルバニオンを有する化合物を反応させる方
法;などがあげられる。
【0080】(A)の方法で用いるアルケニル基を少な
くとも1個有するビニル系重合体は種々の方法で得られ
る。以下に合成方法を例示するが、これらに限定される
わけではない。
【0081】(A−a)ラジカル重合によりビニル系重
合体を合成する際に、例えば下記の一般式9に挙げられ
るような一分子中に重合性のアルケニル基と重合性の低
いアルケニル基を併せ持つ化合物を第2のモノマーとし
て反応させる方法。 HC=C(R14)−R15−R16−C(R17)=CH (9) (式中、R14は水素またはメチル基を示し、R15
−C(O)O−、またはo−,m−,p−フェニレン基
を示し、R16は直接結合、または炭素数1〜20の2
価の有機基を示し、1個以上のエーテル結合を含んでい
てもよい。R17は水素、または炭素数1〜20のアル
キル基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜
20のアラルキル基を示す)
【0082】なお、一分子中に重合性のアルケニル基と
重合性の低いアルケニル基を併せ持つ化合物を反応させ
る時期に制限はないが、特にリビングラジカル重合で、
ゴム的な性質を期待する場合には重合反応の終期あるい
は所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て反応させるのが好ましい。
【0083】(A−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、例えば1,5−ヘキサ
ジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエンな
どのような重合性の低いアルケニル基を少なくとも2個
有する化合物を反応させる方法。
【0084】(A−c)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えばア
リルトリブチル錫、アリルトリオクチル錫などの有機錫
のようなアルケニル基を有する各種の有機金属化合物を
反応させてハロゲンを置換する方法。
【0085】(A−d)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式1
0に挙げられるようなアルケニル基を有する安定化カル
バニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M(R18)(R19)−R20−C(R17)=CH (10) (式中、R17は上記に同じ、R18、R19はともに
カルバニオンCを安定化する電子吸引基であるか、ま
たは一方が前記電子吸引基で他方が水素または炭素数1
〜10のアルキル基、またはフェニル基を示す。R20
は直接結合、または炭素数1〜10の2価の有機基を示
し、1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい。M
はアルカリ金属イオン、または4級アンモニウムイオン
を示す)R18、R19の電子吸引基としては、−CO
R、−C(O)Rおよび−CNの構造を有するものが
特に好ましい。
【0086】(A−e)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜
鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させ
てエノレートアニオンを調製し、しかる後にハロゲンや
アセチル基のような脱離基を有するアルケニル基含有化
合物、アルケニル基を有するカルボニル化合物、アルケ
ニル基を有するイソシアネート化合物、アルケニル基を
有する酸ハロゲン化物等の、アルケニル基を有する求電
子化合物と反応させる方法。
【0087】(A−f)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一
般式(11)あるいは(12)に示されるようなアルケ
ニル基を有するオキシアニオンあるいはカルボキシレー
トアニオンを反応させてハロゲンを置換する方法。 HC=C(R17)−R21−O (11) (式中、R17、Mは上記に同じ。R21は炭素数1
〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含ん
でいてもよい) HC=C(R17)−R22−C(O)O (12) (式中、R17、Mは上記に同じ。R22は直接結
合、または炭素数1〜20の2価の有機基で1個以上の
エーテル結合を含んでいてもよい)などが挙げられる。
【0088】上述の反応性の高い炭素−ハロゲン結合を
少なくとも1個有するビニル系重合体の合成法は、前述
のような有機ハロゲン化物等を開始剤とし、遷移金属錯
体を触媒とする原子移動ラジカル重合法が挙げられるが
これらに限定されるわけではない。
【0089】またアルケニル基を少なくとも1個有する
ビニル系重合体は、水酸基を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体から得ることも可能であり、以下に例示する
方法が利用できるがこれらに限定されるわけではない。
水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合体の水酸基
に、 (A−g)ナトリウムメトキシドのような塩基を作用さ
せ、塩化アリルのようなアルケニル基含有ハロゲン化物
と反応させる方法。 (A−h)アリルイソシアネート等のアルケニル基含有
イソシアネート化合物を反応させる方法。 (A−i)(メタ)アクリル酸クロリドのようなアルケ
ニル基含有酸ハロゲン化物をピリジン等の塩基存在下に
反応させる方法。 (A−j)アクリル酸等のアルケニル基含有カルボン酸
を酸触媒の存在下に反応させる方法;等が挙げられる。
【0090】本発明では(A−a)(A−b)のような
アルケニル基を導入する方法にハロゲンが直接関与しな
い場合には、リビングラジカル重合法を用いてビニル系
重合体を合成することが好ましい。制御がより容易であ
る点から(A−b)の方法がさらに好ましい。
【0091】反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なく
とも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換するこ
とによりアルケニル基を導入する場合は、反応性の高い
炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する有機ハロゲ
ン化物、またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、
遷移金属錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル
重合すること(原子移動ラジカル重合法)により得る、
末端に反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1
個有するビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御が
より容易である点から(A−f)の方法がさらに好まし
い。
【0092】また、架橋性シリル基を有するヒドロシラ
ン化合物としては特に制限はないが、代表的なものを示
すと、一般式13で示される化合物が例示される。 H−[Si(R2−b(Y)O]−Si(R103−a(Y) (13) {式中、R、R10は、いずれも炭素数1〜20のア
ルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜2
0のアラルキル基、または(R’)SiO−(R’は
炭素数1〜20の1価の炭化水素基であって、3個の
R’は同一であってもよく、異なっていてもよい)で示
されるトリオルガノシロキシ基を示し、RまたはR
10が2個以上存在するとき、それらは同一であっても
よく、異なっていてもよい。Yは水酸基または加水分解
性基を示し、Yが2個以上存在するときそれらは同一で
あってもよく、異なっていてもよい。aは0,1,2,
または3を、また、bは0,1,または2を示す。mは
0〜19の整数である。ただし、a+mb≧1であるこ
とを満足するものとする。}
【0093】これらヒドロシラン化合物の中でも、特に
一般式14 H−Si(R103−a(Y) (14) (式中、R10、Y、aは前記に同じ)で示される架橋
性基を有する化合物が入手容易な点から好ましい。
【0094】上記の架橋性シリル基を有するヒドロシラ
ン化合物をアルケニル基に付加させる際には、遷移金属
触媒が通常用いられる。 遷移金属触媒としては、例え
ば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブラック等
の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金酸、塩化
白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等との錯体、
白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニルテトラメ
チルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合物以外の
触媒の例としては、RhCl(PPh,RhCl
,RuCl,IrCl,FeCl,AlC
,PdCl・H O,NiCl,TiCl
が挙げられる。
【0095】(B)および(A−g)〜(A−j)の方
法で用いる水酸基を少なくとも1個有するビニル系重合
体の製造方法は以下のような方法が例示されるが、これ
らの方法に限定されるものではない。 (B−a)ラジカル重合によりビニル系重合体を合成す
る際に、例えば下記の一般式15に挙げられるような一
分子中に重合性のアルケニル基と水酸基を併せ持つ化合
物を第2のモノマーとして反応させる方法。 HC=C(R14)−R15−R16−OH (15) (式中、R14、R15、R16は上記に同じ)
【0096】なお、一分子中に重合性のアルケニル基と
水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限はない
が、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質を期待
する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノマーの
反応終了後に、第2のモノマーとして反応させるのが好
ましい。
【0097】(B−b)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、例えば10−ウンデセ
ノール、5−ヘキセノール、アリルアルコールのような
アルケニルアルコールを反応させる方法。
【0098】(B−c)例えば特開平5−262808
に示される水酸基含有ポリスルフィドのような水酸基含
有連鎖移動剤を多量に用いてビニル系モノマーをラジカ
ル重合させる方法。
【0099】(B−d)例えば特開平6−23991
2、特開平8−283310に示されるような過酸化水
素あるいは水酸基含有開始剤を用いてビニル系モノマー
をラジカル重合させる方法。
【0100】(B−e)例えば特開平6−116312
に示されるようなアルコール類を過剰に用いてビニル系
モノマーをラジカル重合させる方法。
【0101】(B−f)例えば特開平4−132706
などに示されるような方法で、反応性の高い炭素−ハロ
ゲン結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハ
ロゲンを加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させ
ることにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0102】(B−g)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式1
6に挙げられるような水酸基を有する安定化カルバニオ
ンを反応させてハロゲンを置換する方法。 M(R18)(R19)−R20−OH (16) (式中、R18、R19、R20、は上記に同じ)R
18、R19の電子吸引基としては、−COR、−C
(O)Rおよび−CNの構造を有するものが特に好まし
い。
【0103】(B−h)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば亜
鉛のような金属単体あるいは有機金属化合物を作用させ
てエノレートアニオンを調製し、しかる後にアルデヒド
類、又はケトン類を反応させる方法。
【0104】(B−i)反応性の高い炭素−ハロゲン結
合を少なくとも1個有するビニル系重合体に、例えば一
般式17あるいは18に示されるような水酸基を有する
オキシアニオンあるいはカルボキシレートアニオンを反
応させてハロゲンを置換する方法。 HO−R21−O (17) (式中、R21およびMは前記に同じ) HO−R22−C(O)O (18) (式中、R22およびMは前記に同じ)
【0105】(B−j)リビングラジカル重合によりビ
ニル系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは
所定のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとし
て、一分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基
を有する化合物を反応させる方法。
【0106】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式19に示される化合物等が挙げられる。 HC=C(R14)−R21−OH (19) (式中、R14およびR21は上述したものと同様であ
る。)
【0107】上記一般式19に示される化合物としては
特に限定されないが、入手が容易であるということか
ら、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリル
アルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
等が挙げられる。
【0108】本発明では(B−a)〜(B−e)及び
(B−j)のような水酸基を導入する方法にハロゲンが
直接関与しない場合には、リビングラジカル重合法を用
いてビニル系重合体を合成することが好ましい。制御が
より容易である点から(B−b)の方法がさらに好まし
い。
【0109】反応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なく
とも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換するこ
とにより水酸基を導入する場合は、有機ハロゲン化物、
またはハロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属
錯体を触媒としてビニル系モノマーをラジカル重合する
こと(原子移動ラジカル重合法)により得る、末端に反
応性の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有する
ビニル系重合体を用いるのが好ましい。制御がより容易
である点から(B−i)の方法がさらに好ましい。
【0110】また、一分子中に架橋性シリル基とイソシ
アネート基のような水酸基と反応し得る基を有する化合
物としては、例えばγ−イソシアナートプロピルトリメ
トキシシラン、γ−イソシアナートプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−イソシアナートプロピルトリエトキ
シシラン等が挙げられ、必要により一般に知られている
ウレタン化反応の触媒を使用できる。
【0111】(C)の方法で用いる一分子中に重合性の
アルケニル基と架橋性シリル基を併せ持つ化合物として
は、例えばトリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリ
レート、メチルジメトキシシリルプロピル(メタ)アク
リレートなどのような、下記一般式20で示すものが挙
げられる。 HC=C(R14)−R15−R23−[Si(R2−b(Y)O] −Si(R103−a(Y) (20) (式中、R、R10、R14、R15、Y、a、b、
mは上記に同じ。R23は、直接結合、または炭素数1
〜20の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含ん
でいてもよい。)
【0112】一分子中に重合性のアルケニル基と架橋性
シリル基を併せ持つ化合物を反応させる時期に特に制限
はないが、特にリビングラジカル重合で、ゴム的な性質
を期待する場合には重合反応の終期あるいは所定のモノ
マーの反応終了後に、第2のモノマーとして反応させる
のが好ましい。
【0113】(D)の連鎖移動剤法で用いられる、架橋
性シリル基を有する連鎖移動剤としては例えば特公平3
−14068、特公平4−55444に示される、架橋
性シリル基を有するメルカプタン、架橋性シリル基を有
するヒドロシランなどが挙げられる。
【0114】(E)の方法で用いられる、上述の反応性
の高い炭素−ハロゲン結合を少なくとも1個有するビニ
ル系重合体の合成法は、前述のような有機ハロゲン化物
等を開始剤とし、遷移金属錯体を触媒とする原子移動ラ
ジカル重合法が挙げられるがこれらに限定されるわけで
はない。一分子中に架橋性シリル基と安定化カルバニオ
ンを併せ持つ化合物としては一般式21で示すものが挙
げられる。 M(R18)(R19)−R24−C(H)(R25)−CH−[Si (R2−b(Y)O]−Si(R103−a(Y) (21) (式中、R、R10、R18、R19、Y、a、b、
m、は前記に同じ。R は直接結合、または炭素数1
〜10の2価の有機基で1個以上のエーテル結合を含ん
でいてもよい、R25は水素、または炭素数1〜10の
アルキル基、炭素数6〜10のアリール基または炭素数
7〜10のアラルキル基を示す。)R18、R19の電
子吸引基としては、−COR、−C(O)Rおよび−
CNの構造を有するものが特に好ましい。
【0115】エポキシ基 本発明において反応性官能基を末端に有するビニル系重
合体は、限定はされないが、以下の工程: (1)ビニル系モノマーをリビングラジカル重合法によ
り重合することによってビニル系重合体を製造し; (2)続いて反応性官能基とエチレン性不飽和基を併せ
持つ化合物を反応させる;ことにより製造される。ま
た、原子移動ラジカル重合において、重合終期にアリル
アルコールを反応させ、その後、水酸基とハロゲン基で
エポキシ環化させる方法も挙げられる。
【0116】アミノ基 アミノ基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビニル系重
合体を製造する方法としては、以下の工程が挙げられ
る。 (1)ハロゲン基を少なくとも1つ主鎖末端に有するビ
ニル系重合体を製造し、(2)末端ハロゲンを、アミノ
基含有化合物を用いてアミノ基を有する置換基に変換す
る。
【0117】アミノ基を有する置換基としては、特に限
定されないが、一般式22に示される基が例示される。 −O−R26−NR12 (22) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステ
ル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機
基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の
有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異な
っていてもよく、また、他端において相互に連結し、環
状構造を形成していてもよい。)
【0118】上記一般式22において、R26は1個以
上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい
炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1
〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン
基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられる
が、 −C−R27− (式中、Cはフェニレン基、R27は、直接結合
または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含ん
でいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す。)
または、 −C(O)−R28− (式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル
結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜1
9の2価の有機基を表す。)が好ましい。
【0119】ビニル系重合体の末端ハロゲンを変換する
ことにより、重合体末端にアミノ基を導入することがで
きる。置換方法としては特に限定されないが、反応を制
御しやすいという点からアミノ基含有化合物を求核剤と
する求核置換反応が好ましい。このような求核剤として
例えば、一般式23に示される水酸基とアミノ基を併せ
持つ化合物が挙げられる。 HO−R26−NR12 (23) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステ
ル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機
基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の
有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異な
っていてもよく、また、他端において相互に連結し、環
状構造を形成していてもよい。)
【0120】上記一般式23において、R26は1個以
上のエーテル結合又はエステル結合を含んでいてもよい
炭素数1〜20の2価の有機基であり、例えば炭素数1
〜20のアルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン
基、炭素数7〜20のアラルキレン基などが挙げられ
る。これらの水酸基とアミノ基を併せ持つ化合物の中
で、R 26が、 −C−R27− (式中、Cはフェニレン基、R27は、直接結合
または1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含ん
でいてもよい炭素数1〜14の2価の有機基を表す)で
表されるアミノフェノール類; −C(O)−R28− (式中、R28は、直接結合または1個以上のエーテル
結合又はエステル結合を含んでいてもよい炭素数1〜1
9の2価の有機基を表す)で表されるアミノ酸類;が好
ましい。
【0121】具体的な化合物として、例えばエタノール
アミン;o,m,p−アミノフェノール;o,m,p−
NH−C−COH;グリシン、アラニン、ア
ミノブタン酸等が挙げられる。
【0122】アミノ基とオキシアニオンを併せ持つ化合
物を求核剤として用いることもできる。このような化合
物としては特に限定されないが、例えば、一般式24に
示される化合物が挙げられる。 M−R26−NR12 (24) (式中、R26は、1個以上のエーテル結合又はエステ
ル結合を含んでいてもよい炭素数1〜20の2価の有機
基を表す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の
有機基であり、2個のR12は互いに同一でもよく異な
っていてもよく、また、他端において相互に連結し、環
状構造を形成していてもよい。Mはアルカリ金属イオ
ンまたは4級アンモニウムイオンを表す。)
【0123】上記一般式24において、Mは、オキシ
アニオンの対カチオンであり、アルカリ金属イオン又は
4級アンモニウムイオンを表す。上記アルカリ金属イオ
ンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリ
ウムイオン等が挙げられ、好ましくは、ナトリウムイオ
ン又はカリウムイオンである。上記4級アンモニウムイ
オンとしては、テトラメチルアンモニウムイオン、テト
ラエチルアンモニウムイオン、トリメチルベンジルアン
モニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウムイオ
ン、テトラブチルアンモニウムイオン、ジメチルピペリ
ジニウムイオン等が挙げられる。
【0124】上記のアミノ基とオキシアニオンを併せ持
つ化合物のうち、置換反応のコントロールがし易い、入
手が容易であるという点から、一般式25に示すアミノ
フェノール類の塩、または一般式26に示すアミノ酸類
の塩が好ましい。 M−C−R27−NR12 (25) M−C(O)−R28−NR12 (26) (式中、Cはフェニレン基、Rは、直接結合ま
たは1個以上のエーテル結合又はエステル結合を含んで
いてもよい炭素数1〜14の2価の有機基、Rは、直
接結合または1個以上のエーテル結合又はエステル結合
を含んでいてもよい炭素数1〜19の2価の有機基を表
す。R12は水素または炭素数1〜20の1価の有機基
であり、2個のR12は互いに同一でもよく異なってい
てもよく、また、他端において相互に連結し、環状構造
を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)一般式2
4〜26に示されるオキシアニオンを有する化合物は、
一般式23に示される化合物を塩基性化合物と作用させ
ることにより容易に得られる。
【0125】塩基性化合物としては各種のものを使用で
きる。例示すると、ナトリウムメトキシド、カリウムメ
トキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムエトキシ
ド、カリウムエトキシド、リチウムエトキシド、ナトリ
ウム−tert−ブトキシド、カリウム−tert−ブ
トキシド、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウ
ム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、メチルリ
チウム、エチルリチウム、n−ブチルリチウム、ter
t−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、
リチウムヘキサメチルジシラジド等が挙げられる。上記
塩基の使用量は、特に制限はないが、上記前駆体に対し
て、0.5〜5当量、好ましくは0.8〜1.2当量で
ある。
【0126】上記前駆体と上記塩基を反応させる際に用
いられる溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン等
の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレン、クロロホルム
等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセトン、メチルエチ
ルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒;
メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノ
ール、n−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコ
ール等のアルコール系溶媒;アセトニトリル、プロピオ
ニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル系溶媒;酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;エチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート等のカーボネート系溶
媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等の
アミド系溶媒;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド
系溶媒等が挙げられる。これらは、単独又は2種以上を
混合して用いることができる。
【0127】Mが4級アンモニウムイオンであるオキ
シアニオンを有する化合物は、Mがアルカリ金属イオ
ンであるものを調製し、これに4級アンモニウムハライ
ドを作用させることによって得られる。上記4級アンモ
ニウムハライドとしては、テトラメチルアンモニウムハ
ライド、テトラエチルアンモニウムハライド、トリメチ
ルベンジルアンモニウムハライド、トリメチルドデシル
アンモニウムハライド、テトラブチルアンモニウムハラ
イド等が例示される。
【0128】重合体末端ハロゲンの置換反応に用いられ
る溶媒は各種のものが使用されてよい。例えば、ベンゼ
ン、トルエン等の炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、
テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;塩化メチレ
ン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶媒;アセ
トン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等
のケトン系溶媒;メタノール、エタノール、プロパノー
ル、イソプロパノール、n−ブチルアルコール、ter
t−ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;アセトニ
トリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリ
ル系溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶
媒;エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等
のカーボネート系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチ
ルアセトアミド等のアミド系溶媒;ジメチルスルホキシ
ド等のスルホキシド系溶媒等が挙げられる。これらは、
単独又は2種以上を混合して用いることができる。
【0129】反応温度は0〜150℃で行うことができ
る。また、アミノ基含有化合物の使用量は、特に制限さ
れないが、重合体末端ハロゲンに対して、1〜5当量で
あり、好ましくは1〜1.2当量である。
【0130】求核置換反応を加速するために、反応混合
物中に塩基性化合物を添加してもよい。このような塩基
性化合物としては既に例示したもののほかに、トリメチ
ルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のア
ルキルアミン;テトラメチルエチレンジアミン、ペンタ
メチルジエチレントリアミン等のポリアミン;ピリジ
ン、ピコリン等のピリジン系化合物等が挙げられる。
【0131】求核置換反応に用いられるアミノ基含有化
合物のアミノ基が、求核置換反応に影響を及ぼす場合に
は、適当な置換基により保護することが好ましい。この
ような置換基としては、ベンジルオキシカルボニル基、
tert−ブトキシカルボニル基、9−フルオレニルメ
トキシカルボニル基等が例示される。また、アジドアニ
オンによりビニル系重合体のハロゲン末端を置換した
後、LAH等により還元する方法が挙げられる。
【0132】重合性の炭素−炭素二重結合 本発明の重合体(I)に重合性の炭素−炭素二重結合を
導入する方法としては、限定はされないが、以下のよう
な方法が挙げられる。 ビニル系重合体のハロゲン基を、ラジカル重合性の炭
素−炭素二重結合を有する化合物で置換することにより
製造する方法。具体例としては、一般式27で表される
構造を有するビニル系重合体と、一般式28で示される
化合物との反応による方法。 −CR2930X (27) (式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレ
ン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、
ヨウ素を表す。) M+−OC(O)C(R13)=CH (28) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウ
ムイオンを表す。)
【0133】水酸基を有するビニル系重合体と、一般
式29で示される化合物との反応による方法。 XC(O)C(R13)=CH (29) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
【0134】水酸基を有するビニル系重合体に、ジイ
ソシアネート化合物を反応させ、残存イソシアネート基
と一般式30で示される化合物との反応による方法。 HO−R31 OC(O)C(R13)=CH (30) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表
す。)
【0135】以下にこれらの各方法について詳細に説明
する。上記の方法について説明する。 一般式27で表される末端構造を有するビニル系重合
体と、一般式28で示される化合物との反応による方
法。 −CR2930X (27) (式中、R29、R30は、ビニル系モノマーのエチレ
ン性不飽和基に結合した基。Xは、塩素、臭素、又は、
ヨウ素を表す。) M+−OC(O)C(R13)=CH (28) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。Mはアルカリ金属、または4級アンモニウ
ムイオンを表す。)
【0136】一般式27で表される末端構造を有するビ
ニル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハ
ロゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触
媒としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、
ハロゲン化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマーを
重合する方法により製造されるが、好ましくは前者であ
る。
【0137】一般式28で表される化合物としては特に
限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−
H、−CH、−CHCH、−(CHCH
(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CH
OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH
である。Mはオキシアニオンの対カチオンであり、
の種類としてはアルカリ金属イオン、具体的にはリ
チウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、お
よび4級アンモニウムイオンが挙げられる。4級アンモ
ニウムイオンとしてはテトラメチルアンモニウムイオ
ン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラベンジル
アンモニウムイオン、トリメチルドデシルアンモニウム
イオン、テトラブチルアンモニウムイオンおよびジメチ
ルピペリジニウムイオン等が挙げられ、好ましくはナト
リウムイオン、カリウムイオンである。一般式28のオ
キシアニオンの使用量は、一般式27のハロゲン基に対
して、好ましくは1〜5当量、更に好ましくは1.0〜
1.2当量である。
【0138】この反応を実施する溶媒としては特に限定
はされないが、求核置換反応であるため極性溶媒が好ま
しく、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエ
チルエーテル、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメ
チルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチ
ルホスホリックトリアミド、アセトニトリル、等が用い
られる。反応を行う温度は限定されないが、一般に0〜
150℃で、重合性の末端基を保持するために好ましく
は室温〜100℃で行う。
【0139】上記の方法について説明する。 水酸基を有するビニル系重合体と、一般式29で示さ
れる化合物との反応による方法。 XC(O)C(R13)=CH (29) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。Xは塩素、臭素、または水酸基を表す。)
【0140】一般式29で表される化合物としては特に
限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−
H、−CH、−CHCH、−(CHCH
(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CH
OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH
である。
【0141】水酸基を、好ましくは末端に、有するビニ
ル系重合体は、上述した有機ハロゲン化物、またはハロ
ゲン化スルホニル化合物を開始剤、遷移金属錯体を触媒
としてビニル系モノマーを重合する方法、あるいは、水
酸基を持つ化合物を連鎖移動剤としてビニル系モノマー
を重合する方法により製造されるが、好ましくは前者で
ある。これらの方法により水酸基を有するビニル系重合
体を製造する方法は限定されないが、以下のような方法
が例示される。
【0142】(a)リビングラジカル重合によりビニル
系重合体を合成する際に、下記一般式31等で表される
一分子中に重合性のアルケニル基および水酸基を併せ持
つ化合物を第2のモノマーとして反応させる方法。 HC=C(R32)−R33−R34−OH (31) (式中、R32は炭素数1〜20の有機基で水素または
メチル基が好ましく、互いに同一であっても異なってい
てもよい。R33は−C(O)O−(エステル基)、ま
たはo−,m−もしくはp−フェニレン基を表す。R
34は直接結合、または1個以上のエーテル結合を有し
ていてもよい炭素数1〜20の2価の有機基を表す。R
33がエステル基のものは(メタ)アクリレート系化合
物、R33がフェニレン基のものはスチレン系の化合物
である。)
【0143】なお、一分子中に重合性のアルケニル基お
よび水酸基を併せ持つ化合物を反応させる時期に制限は
ないが、特にゴム的な性質を期待する場合には重合反応
の終期あるいは所定のモノマーの反応終了後に、第2の
モノマーとして反応させるのが好ましい。
【0144】(b)リビングラジカル重合によりビニル
系重合体を合成する際に、重合反応の終期あるいは所定
のモノマーの反応終了後に、第2のモノマーとして、一
分子中に重合性の低いアルケニル基および水酸基を有す
る化合物を反応させる方法。
【0145】このような化合物としては特に限定されな
いが、一般式32に示される化合物等が挙げられる。 HC=C(R32)−R35−OH (32) (式中、R32は上述したものと同様である。R35
1個以上のエーテル結合を含んでいてもよい炭素数1〜
20の2価の有機基を表す。)
【0146】上記一般式32に示される化合物としては
特に限定されないが、入手が容易であるということか
ら、10−ウンデセノール、5−ヘキセノール、アリル
アルコールのようなアルケニルアルコールが好ましい。
【0147】(c)特開平4−132706号公報など
に開示されるような方法で、原子移動ラジカル重合によ
り得られる一般式27で表されるような炭素−ハロゲン
結合を少なくとも1個に有するビニル系重合体のハロゲ
ンを、加水分解あるいは水酸基含有化合物と反応させる
ことにより、末端に水酸基を導入する方法。
【0148】(d)原子移動ラジカル重合により得られ
る一般式27で表されるような炭素−ハロゲン結合を少
なくとも1個有するビニル系重合体に、一般式33に挙
げられるような水酸基を有する安定化カルバニオンを反
応させてハロゲンを置換する方法。 M(R36)(R37)−R35−OH (33) (式中、R35は上述したものと同様である。R36
よびR37はともにカルバニオンCを安定化する電子
吸引基、または一方が上記電子吸引基で他方が水素また
は炭素数1〜10のアルキル基もしくはフェニル基を表
す。R36およびR37の電子吸引基としては、−CO
R(エステル基)、−C(O)R(ケト基)、−CO
N(R)(アミド基)、−COSR(チオエステル
基)、−CN(ニトリル基)、−NO(ニトロ基)等
が挙げられる。置換基Rは炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数6〜20のアリール基または炭素数7〜20
のアラルキル基であり、好ましくは炭素数1〜10のア
ルキル基もしくはフェニル基である。R36およびR
37としては、−COR、−C(O)Rおよび−CN
が特に好ましい。)
【0149】(e)原子移動ラジカル重合により得られ
る一般式27で表される炭素−ハロゲン結合を少なくと
も1個有するビニル系重合体に、例えば亜鉛のような金
属単体あるいは有機金属化合物を作用させてエノレート
アニオンを調製し、しかる後にアルデヒド類、又はケト
ン類を反応させる方法。
【0150】(f)重合体末端のハロゲン、好ましくは
一般式27で表されるハロゲンを少なくとも1個有する
ビニル系重合体に、下記一般式34等で表される水酸基
含有オキシアニオン又は下記一般式35等で表される水
酸基含有カルボキシレートアニオンを反応させて、上記
ハロゲンを水酸基含有置換基に置換する方法。 HO−R35−O (34) (式中、R35およびMは上述したものと同様であ
る。) HO−R35−C(O)O (35) (式中、R35およびMは上述したものと同様であ
る。)
【0151】本発明では(a)〜(b)のような水酸基
を導入する方法にハロゲンが直接関与しない場合、制御
がより容易である点から(b)の方法がさらに好まし
い。また(c)〜(f)のような炭素−ハロゲン結合を
少なくとも1個有するビニル系重合体のハロゲンを変換
することにより水酸基を導入する場合は、制御がより容
易である点から(f)の方法がさらに好ましい。
【0152】上記の方法について説明する。 水酸基を有するビニル系重合体に、ジイソシアネート
化合物を反応させ、残存イソシアネート基と一般式36
で示される化合物との反応による方法。 HO−R31 OC(O)C(R13)=CH (36) (式中、R13は水素、または、炭素数1〜20の有機
基を表す。R31は炭素数2〜20の2価の有機基を表
す。)
【0153】一般式36で表される化合物としては特に
限定されないが、R13の具体例としては、例えば、−
H、−CH、−CHCH、−(CHCH
(nは2〜19の整数を表す)、−C、−CH
OH、−CN、等が挙げられ、好ましくは−H、−CH
である。具体的な化合物としては、メタクリル酸2−
ヒドロキシプロピルが挙げられる。
【0154】末端に水酸基を有するビニル系重合体は、
上記の通り。ジイソシアネート化合物は、特に限定され
ないが、従来公知のものをいずれも使用することがで
き、例えば、トルイレンジイソシアネート、4,4’−
ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチルジイ
ソシアネート、キシリレンジイソシアネート、メタキシ
リレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシ
アネート、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、
水素化トルイレンジイソシアネート、水素化キシリレン
ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等のイ
ソシアネート化合物;等を挙げることができる。これら
は、単独で使用しうるほか、2種以上を併用することも
できる。またブロックイソシアネートを使用しても構わ
ない。
【0155】よりすぐれた耐候性を生かすためには、多
官能イソシアネート化合物(b)としては、例えば、ヘ
キサメチレンジイソシアネート、水素化ジフェニルメタ
ンジイソシアネート等の芳香環を有しないジイソシアネ
ート化合物を用いるのが好ましい。
【0156】<<高分子可塑剤(II)について>>本
発明で用いる高分子可塑剤(II)は、数平均分子量5
00〜15000の重合体であり、この高分子可塑剤の
添加により、該硬化性組成物の粘度やスランプ性および
該組成物を硬化して得られる硬化物の引張強度、伸びな
どの機械特性が調整できるとともに、重合体成分を分子
中に含まない可塑剤である低分子可塑剤を使用した場合
に比較して、初期の物性を長期にわたり維持し、該硬化
物にアルキッド塗料を塗布した場合の乾燥性を改良でき
る。
【0157】上記高分子可塑剤の数平均分子量は、50
0〜15000の重合体であるが、好ましくは800〜
10000であり、より好ましくは1000〜8000
である。分子量が低すぎると熱や降雨により可塑剤が経
時的に流出し、初期の物性を長期にわたり維持できず、
アルキド塗装性も改善できない。また、分子量が高すぎ
ると粘度が高くなり、作業性が悪くなる。
【0158】このような高分子可塑剤の具体例として
は、例えば、前述のビニル系モノマーを種々の方法で重
合して得られるビニル系重合体;セバシン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、フタル酸等の2塩基酸とエチレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコ
ール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール
等の2価アルコールから得られるポリエステル系可塑
剤;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポ
リオールとこれらポリエーテルポリオールの水酸基をエ
ステル基、エーテル基などに変換した誘導体等のポリエ
ーテル類;ポリスチレンやポリ−α−メチルスチレン等
のポリスチレン類;ポリブタジエン、ポリブテン、ポリ
イソブチレン、ブタジエン−アクリロニトリル、ポリク
ロロプレン、塩化パラフィン等が挙げられるが、これら
に限定されるものではない。
【0159】これらの高分子可塑剤のうちで、ビニル系
重合体(I)と相溶するものが好ましい。中でも相溶性
および耐候性、耐熱性の点からビニル系重合体が好まし
い。ビニル系重合体の中でも(メタ)アクリル系重合体
が好ましく、アクリル系重合体がさらに好ましい。前記
重合体の合成法は、分子量分布が狭く、低粘度化が可能
なことからリビングラジカル重合法が好ましく、原子移
動ラジカル重合法がさらに好ましい。上記高分子可塑剤
は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよ
い。また必要によっては物性に悪影響を与えない範囲で
低分子可塑剤と併用してもよい。
【0160】前記高分子可塑剤(II)の使用量は、架
橋性官能基を少なくとも1個有するビニル系重合体
(I)100重量部に対して5〜150重量部、好まし
くは10〜120重量部、さらに好ましくは20〜10
0重量部である。5重量部未満では可塑剤としての効果
が発現しなくなり、150重量部を越えると硬化物の機
械強度が不足する。なおこれら可塑剤は、重合体製造時
に配合することも可能である。
【0161】<<硬化性組成物>>本発明の硬化性組成
物においては、各架橋性官能基に応じて、硬化触媒や硬
化剤が必要になるものがある。また、目的とする物性に
応じて、各種の配合剤を添加しても構わない。
【0162】<硬化触媒・硬化剤>架橋性シリル基の場合 架橋性シリル基を有する重合体は、従来公知の各種縮合
触媒の存在下、あるいは非存在下にシロキサン結合を形
成することにより架橋、硬化する。硬化物の性状として
は、重合体の分子量と主鎖骨格に応じて、ゴム状のもの
から樹脂状のものまで幅広く作成することができる。
【0163】このような縮合触媒としては、例えば、ジ
ブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブ
チル錫ジエチルヘキサノレート、ジブチル錫ジオクテー
ト、ジブチル錫ジメチルマレート、ジブチル錫ジエチル
マレート、ジブチル錫ジブチルマレート、ジブチル錫ジ
イソオクチルマレート、ジブチル錫ジトリデシルマレー
ト、ジブチル錫ジベンジルマレート、ジブチル錫マレエ
ート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジステ
アレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジ
エチルマレート、ジオクチル錫ジイソオクチルマレート
等の4価のスズ化合物類;テトラブチルチタネート、テ
トラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類;アル
ミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムト
リスエチルアセトアセテート、ジイソプロポキシアルミ
ニウムエチルアセトアセテート等の有機アルミニウム化
合物類;ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、チ
タンテトラアセチルアセトナート等のキレート化合物
類;オクチル酸鉛;ブチルアミン、オクチルアミン、ラ
ウリルアミン、ジブチルアミン、モノエタノールアミ
ン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエ
チレントリアミン、トリエチレンテトラミン、オレイル
アミン、シクロヘキシルアミン、ベンジルアミン、ジエ
チルアミノプロピルアミン、キシリレンジアミン、トリ
エチレンジアミン、グアニジン、ジフェニルグアニジ
ン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェ
ノール、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−エチ
ル−4−メチルイミダゾール、1,8−ジアザビシクロ
(5,4,0)ウンデセン−7(DBU)等のアミン系
化合物、あるいはこれらのアミン系化合物のカルボン酸
等との塩;過剰のポリアミンと多塩基酸とから得られる
低分子量ポリアミド樹脂;過剰のポリアミンとエポキシ
化合物との反応生成物;γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン等のアミノ基を有するシランカッ
プリング剤;等のシラノール縮合触媒、さらには他の酸
性触媒、塩基性触媒等の公知のシラノール縮合触媒等が
例示できる。
【0164】これらの触媒は、単独で使用してもよく、
2種以上併用してもよい。この縮合触媒の配合量は、架
橋性シリル基を少なくとも1個有するビニル系重合体
(I)100部(重量部、以下同じ)に対して0.1〜
20部程度が好ましく、1〜10部が更に好ましい。シ
ラノール縮合触媒の配合量がこの範囲を下回ると硬化速
度が遅くなることがあり、また硬化反応が十分に進行し
難くなる場合がある。一方、シラノール縮合触媒の配合
量がこの範囲を上回ると硬化時に局部的な発熱や発泡が
生じ、良好な硬化物が得られ難くなるほか、ポットライ
フが短くなり過ぎ、作業性の点からも好ましくない。
【0165】本発明の硬化性組成物においては、縮合触
媒の活性をより高めるために、一般式37 R49 Si(OR504−a (37) (式中、R49およびR50は、それぞれ独立に、炭素
数1〜20の置換あるいは非置換の炭化水素基である。
さらに、aは0、1、2、3のいずれかである。)で示
されるシラノール基をもたないケイ素化合物を添加して
も構わない。
【0166】前記ケイ素化合物としては、限定はされな
いが、フェニルトリメトキシシラン、フェニルメチルジ
メトキシシラン、フェニルジメチルメトキシシラン、ジ
フェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラ
ン、トリフェニルメトキシシラン等の一般式(1)中の
49が、炭素数6〜20のアリール基であるものが、
組成物の硬化反応を加速する効果が大きいために好まし
い。特に、ジフェニルジメトキシシランやジフェニルジ
エトキシシランは、低コストであり、入手が容易である
ために最も好ましい。
【0167】このケイ素化合物の配合量は、架橋性シリ
ル基を少なくとも1個有するビニル系重合体(I)10
0部に対して0.01〜20部程度が好ましく、0.1
〜10部が更に好ましい。ケイ素化合物の配合量がこの
範囲を下回ると硬化反応を加速する効果が小さくなる場
合がある。一方、ケイ素化合物の配合量がこの範囲を上
回ると、硬化物の硬度や引張強度が低下することがあ
る。
【0168】アルケニル基の場合 アルケニル基を用いて架橋させる場合は、限定はされな
いが、ヒドロシリル基含有化合物を硬化剤とし、ヒドロ
シリル化触媒を用いてヒドロシリル化反応により架橋さ
せることが好ましい。
【0169】ヒドロシリル基含有化合物としては、アル
ケニル基を有する重合体と架橋により硬化できるヒドロ
シリル基含有化合物であれば特に制限はなく、各種のも
のを用いることができる。例えば、一般式38または3
9で表される鎖状ポリシロキサン; R51 SiO−[Si(R51O]−[Si(H)(R52)O]− [Si(R52)(R53)O]−SiR51 (38) HR51 SiO−[Si(R51O]−[Si(H)(R52)O] −[Si(R52)(R53)O]−SiR51 H (39) (式中、R51およびR52は炭素数1〜6のアルキル
基、または、フェニル基、R53は炭素数1〜10のア
ルキル基またはアラルキル基を示す。aは0≦a≦10
0、bは2≦b≦100、cは0≦c≦100を満たす
整数を示す。)一般式40で表される環状シロキサン;
【0170】
【化7】
【0171】(式中、R54およびR55は炭素数1〜
6のアルキル基、または、フェニル基、R56は炭素数
1〜10のアルキル基またはアラルキル基を示す。dは
0≦d≦8、eは2≦e≦10、fは0≦f≦8の整数
を表し、かつ3≦d+e+f≦10を満たす。)等の化
合物を用いることができる。
【0172】これらは単独で用いても2種以上を混合し
て用いてもかまわない。これらのシロキサンの中でも
(メタ)アクリル系重合体との相溶性の観点から、フェ
ニル基を有する下記一般式41、42で表される鎖状シ
ロキサンや、一般式43、44で表される環状シロキサ
ンが好ましい。 (CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CO ]−Si(CH (41) (CHSiO−[Si(H)(CH)O]−[Si(CH){CH C(H)(R57)C}O]−Si(CH (42) (式中、R57は水素またはメチル基を示す。gは2≦
g≦100、hは0≦h≦100の整数を示す。C
はフェニル基を示す。)
【0173】
【化8】
【0174】(式中、R57は水素、またはメチル基を
示す。iは2≦i≦10、jは0≦j≦8、かつ3≦i
+j≦10を満たす整数を示す。Cはフェニル基
を示す。)
【0175】ヒドロシリル基含有化合物としてはさら
に、分子中に2個以上のアルケニル基を有する低分子化
合物に対し、一般式38から44に表されるヒドロシリ
ル基含有化合物を、反応後にも一部のヒドロシリル基が
残るようにして付加反応させて得られる化合物を用いる
こともできる。分子中に2個以上のアルケニル基を有す
る化合物としては、各種のものを用いることができる。
例示するならば、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキ
サジエン、1,6−ヘプタジエン、1,7−オクタジエ
ン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン等の炭化
水素系化合物、O,O’−ジアリルビスフェノールA、
3,3’−ジアリルビスフェノールA等のエーテル系化
合物、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、
トリアリルトリメリテート、テトラアリルピロメリテー
ト等のエステル系化合物、ジエチレングリコールジアリ
ルカーボネート等のカーボネート系化合物が挙げられ
る。
【0176】上記一般式38から44に示した過剰量の
ヒドロシリル基含有化合物に対し、ヒドロシリル化触媒
の存在下、上に挙げたアルケニル基含有化合物をゆっく
り滴下することにより該化合物を得ることができる。こ
のような化合物のうち、原料の入手容易性、過剰に用い
たシロキサンの除去のしやすさ、さらには(A)成分の
重合体への相溶性を考慮して、下記のものが好ましい。
【0177】
【化9】
【0178】重合体と硬化剤は任意の割合で混合するこ
とができるが、硬化性の面から、アルケニル基とヒドロ
シリル基のモル比が5〜0.2の範囲にあることが好ま
しく、さらに、2.5〜0.4であることが特に好まし
い。モル比が5以上になると硬化が不十分でべとつきの
ある強度の小さい硬化物しか得られず、また、0.2よ
り小さいと、硬化後も硬化物中に活性なヒドロシリル基
が大量に残るので、クラック、ボイドが発生し、均一で
強度のある硬化物が得られない。
【0179】重合体と硬化剤との硬化反応は、2成分を
混合して加熱することにより進行するが、反応をより迅
速に進めるために、ヒドロシリル化触媒を添加すること
ができる。このようなヒドロシリル化触媒としては特に
限定されず、例えば、有機過酸化物やアゾ化合物等のラ
ジカル開始剤、および遷移金属触媒が挙げられる。
【0180】ラジカル開始剤としては特に限定されず、
例えば、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチ
ル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキ
シ)−3−ヘキシン、ジクミルペルオキシド、t−ブチ
ルクミルペルオキシド、α,α’−ビス(t−ブチルペ
ルオキシ)イソプロピルベンゼンのようなジアルキルペ
ルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベン
ゾイルペルオキシド、m−クロロベンゾイルペルオキシ
ド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロ
イルペルオキシドのようなジアシルペルオキシド、過安
息香酸−t−ブチルのような過酸エステル、過ジ炭酸ジ
イソプロピル、過ジ炭酸ジ−2−エチルヘキシルのよう
なペルオキシジカーボネート、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)シクロヘキサン、1,1−ジ(t−ブチル
ペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン
のようなペルオキシケタール等を挙げることができる。
【0181】また、遷移金属触媒としても特に限定され
ず、例えば、白金単体、アルミナ、シリカ、カーボンブ
ラック等の担体に白金固体を分散させたもの、塩化白金
酸、塩化白金酸とアルコール、アルデヒド、ケトン等と
の錯体、白金−オレフィン錯体、白金(0)−ジビニル
テトラメチルジシロキサン錯体が挙げられる。白金化合
物以外の触媒の例としては、RhCl(PPh
RhCl,RuCl,IrCl,FeCl,A
lCl,PdCl・HO,NiCl,TiCl
等が挙げられる。これらの触媒は単独で用いてもよ
く、2種類以上を併用してもかまわない。触媒量として
は特に制限はないが、ビニル系重合体(I)のアルケニ
ル基1molに対し、10−1〜10−8molの範囲
で用いるのが良く、好ましくは10−3〜10−6
olの範囲で用いるのがよい。10 molより少な
いと硬化が十分に進行しない。またヒドロシリル化触媒
は高価であるので10−1mol以上用いないのが好ま
しい。
【0182】硬化温度については特に制限はないが、一
般に0℃〜200℃、好ましくは30℃〜150℃、さ
らに好ましくは80℃〜150℃で硬化させるのがよ
い。
【0183】水酸基の場合 本発明の水酸基を有する重合体は、水酸基と反応し得る
官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用いるこ
とにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例としては、
例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を有す
る多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミンお
よびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等のア
ミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハロゲ
ン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して硬化
物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使用す
ることができる。
【0184】アミノ基の場合 本発明のアミノ基を有する重合体は、アミノ基と反応し
得る官能基を2個以上有する化合物を硬化剤として用い
ることにより、均一に硬化する。硬化剤の具体例として
は、例えば、1分子中に2個以上のイソシアネート基を
有する多価イソシアネート化合物、メチロール化メラミ
ンおよびそのアルキルエーテル化物または低縮合化物等
のアミノプラスト樹脂、多官能カルボン酸およびそのハ
ロゲン化物等が挙げられる。これらの硬化剤を使用して
硬化物を作成する際には、それぞれ適当な硬化触媒を使
用することができる。
【0185】エポキシ基の場合 本発明のエポキシ基を有する重合体の硬化剤としては特
に限定されないが、例えば、脂肪族アミン類、脂環族ア
ミン類、芳香族アミン類;酸無水物;ポリアミド;イミ
ダゾール類;アミンイミド;ユリア;メラミンとその誘
導体;ポリアミンの塩;フェノール樹脂;ポリメルカプ
タン、ポリスルフィド;芳香族ジアゾニウム塩、ジアリ
ルヨードニウム塩、トリアリルスルホニウム塩、トリア
リルセレニウム塩等の光・紫外線硬化剤等が用いられ
る。
【0186】重合性の炭素−炭素二重結合の場合 重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体は、その重
合性の炭素−炭素二重結合の重合反応により架橋させる
ことができる。 架橋の方法としては、活性エネルギー
線で硬化するもの、あるいは、熱で硬化するものが挙げ
られる。活性エネルギー線硬化性組成物においては、光
重合開始剤が光ラジカル開始剤、あるいは、光アニオン
開始剤であることが好ましい。熱硬化性組成物において
は、熱重合開始剤が、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸
物、及びレドックス開始剤からなる群より選択されるも
のであるが好ましい。
【0187】以下に詳細にこれらの架橋反応について説
明する。重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合体を
架橋させる場合には、その目的に応じて、重合性のモノ
マー及び/又はオリゴマーや各種添加剤を併用しても構
わない。重合性のモノマー及び/又はオリゴマーとして
は、ラジカル重合性の基を持つモノマー及び/又はオリ
ゴマー、あるいはアニオン重合性の基を持つモノマー及
び/又はオリゴマーが好ましい。ラジカル重合性の基と
しては、(メタ)アクリル基等のアクリル官能性基、ス
チレン基、アクリロニトリル基、ビニルエステル基、N
−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役ジエン
基、ビニルケトン基、塩化ビニル基等が挙げられる。な
かでも、本発明の重合体と類似する(メタ)アクリル基
を持つものが好ましい。アニオン重合性の基としては、
(メタ)アクリル基、スチレン基、アクリロニトリル
基、N−ビニルピロリドン基、アクリルアミド基、共役
ジエン基、ビニルケトン基、等が挙げられる。なかで
も、アクリル官能性基を持つものが好ましい。
【0188】上記のモノマーの具体例としては、(メ
タ)アクリレート系モノマー、環状アクリレート、N−
ビニルピロリドン、スチレン系モノマー、アクリロニト
リル、N−ビニルピロリドン、アクリルアミド系モノマ
ー、共役ジエン系モノマー、ビニルケトン系モノマーな
どが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとし
ては、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオク
チル、(メタ)アクリル酸イソノニルや下式の化合物な
どを挙げることができる。
【0189】
【化10】
【0190】
【化11】
【0191】
【化12】
【0192】
【化13】
【0193】
【化14】
【0194】スチレン系モノマーとしてはスチレン、α
−メチルスチレン等が、アクリルアミド系モノマーとし
てはアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド
等が、共役ジエン系モノマーとしてはブタジエン、イソ
プレン等が、ビニルケトン系モノマーとしてはメチルビ
ニルケトン等が挙げられる。
【0195】多官能モノマーとしては、ネオペンチルグ
リコールポリプロポキシジアクリレート、トリメチロー
ルプロパンポリエトキシトリアクリレート、ビスフェノ
ールFポリエトキシジアクリレート、ビスフェノールA
ポリエトキシジアクリレート、ジペンタエリスリトール
ポリヘキサノリドヘキサクリレート、トリス(ヒドロキ
シエチル)イソシアヌレートポリヘキサノリドトリアク
リレート、トリシクロデカンジメチロールジアクリレー
ト2−(2−アクリロイルオキシ−1,1−ジメチル)
−5−エチル−5−アクリロイルオキシメチル−1,3
−ジオキサン、テトラブロモビスフェノールAジエトキ
シジアクリレート、4,4−ジメルカプトジフェニルサ
ルファイドジメタクリレート、ポリテトラエチレングリ
コールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアク
リレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレー
ト等が挙げられる。
【0196】オリゴマーとしては、ビスフェノールA型
エポキシアクリレート樹脂、フェノールノボラック型エ
ポキシアクリレート樹脂、クレゾールノボラック型エポ
キシアクリレート樹脂等のエポキシアクリレート系樹
脂、COOH基変性エポキシアクリレート系樹脂、ポリ
オール(ポリテトラメチレングリコール、エチレングリ
コールとアジピン酸のポリエステルジオール、ε−カプ
ロラクトン変性ポリエステルジオール、ポリプロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリカーボネー
トジオール、水酸基末端水添ポリイソプレン、水酸基末
端ポリブタジエン、水酸基末端ポリイソブチレン等)と
有機イソシアネート(トリレンジイソシアネート、イソ
ホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレン
ジイソシアネート等)から得られたウレタン樹脂を水酸
基含有(メタ)アクリレート{ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート等}を反応させて得
られたウレタンアクリレート系樹脂、上記ポリオールに
エステル結合を介して(メタ)アクリル基を導入した樹
脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等が挙げられる。
【0197】これらのモノマー及びオリゴマーは、用い
られる開始剤及び硬化条件により選択される。また、ア
クリル官能性基を有するモノマー及び/又はオリゴマー
の数平均分子量は、2000以下であることが好まし
く、1000以下であることが、相溶性が良好であると
いう理由からさらに好ましい。
【0198】重合性の炭素−炭素二重結合を有する重合
体の架橋の方法としては、UVや電子線などの活性エネ
ルギー線によることが好ましい。活性エネルギー線によ
り架橋させる場合には、光重合開始剤を含有することが
好ましい。
【0199】本発明に用いられる光重合開始剤としては
特に制限はないが、光ラジカル開始剤と光アニオン開始
剤が好ましく、特に光ラジカル開始剤が好ましい。例え
ば、アセトフェノン、プロピオフェノン、ベンゾフェノ
ン、キサントール、フルオレイン、ベンズアルデヒド、
アンスラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、
3−メチルアセトフェノン、4−メチルアセトフェノ
ン、3−ペンチルアセトフェノン、4−メトキシアセト
フェン、3−ブロモアセトフェノン、4−アリルアセト
フェノン、p−ジアセチルベンゼン、3−メトキシベン
ゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−クロロベ
ンゾフェノン、4,4‘−ジメトキシベンゾフェノン、
4−クロロ−4’−ベンジルベンゾフェノン、3−クロ
ロキサントーン、3,9−ジクロロキサントーン、3−
クロロ−8−ノニルキサントーン、ベンゾイル、ベンゾ
インメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ビス
(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、ベンジルメト
キシケタール、2−クロロチオキサントーン等が挙げら
れる。これらの開始剤は単独でも、他の化合物と組み合
わせても良い。具体的には、ジエタノールメチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン
などのアミンとの組み合わせ、更にこれにジフェニルヨ
ードニウムクロリドなどのヨードニウム塩と組み合わせ
たもの、メチレンブルーなどの色素及びアミンと組み合
わせたものが挙げられる。
【0200】また、近赤外光重合開始剤として、近赤外
光吸収性陽イオン染料を使用しても構わない。近赤外光
吸収性陽イオン染料としては、650〜1500nmの
領域の光エネルギーで励起する、例えば特開平3−11
1402号、特開平5−194619号公報等に開示さ
れている近赤外光吸収性陽イオン染料−ボレート陰イオ
ン錯体などを用いるのが好ましく、ホウ素系増感剤を併
用することがさらに好ましい。
【0201】光重合開始剤の添加量は系をわずかに光官
能化するだけでよいので、特に制限はないが、この組成
物の重合体100部に対して、0.001〜10重量部
が好ましい。
【0202】本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を
硬化させる方法は特に限定されないが、その光重合開始
剤開始剤の性質に応じて、高圧水銀灯、低圧水銀灯、電
子線照射装置、ハロゲンランプ、発光ダイオード、半導
体レーザー等による光及び電子線の照射が挙げられる。
【0203】また、重合性の炭素−炭素二重結合を有す
る重合体の架橋の方法としては、熱によることが好まし
い。活性エネルギー線により架橋させる場合には、熱重
合開始剤を含有することが好ましい。
【0204】本発明に用いられる熱重合開始剤としては
特に制限はないが、アゾ系開始剤、過酸化物、過硫酸
酸、及びレドックス開始剤が含まれる。適切なアゾ系開
始剤としては、限定されるわけではないが、2,2′−
アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニト
リル)(VAZO 33)、2,2′−アゾビス(2−
アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,
2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)
(VAZO 52)、2,2′−アゾビス(イソブチロ
ニトリル)(VAZO 64)、2,2′−アゾビス−
2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1
−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(V
AZO 88)(全てDuPont Chemical
から入手可能)、2,2′−アゾビス(2−シクロプロ
ピルプロピオニトリル)、及び2,2′−アゾビス(メ
チルイソブチレ−ト)(V−601)(和光純薬より入
手可能)等が挙げられる。
【0205】適切な過酸化物開始剤としては、限定され
るわけではないが、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチ
ル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパ
ーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘ
キシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox
16S)(Akzo Nobelから入手可能)、ジ
(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t
−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 1
1)(Elf Atochemから入手可能)、t−ブ
チルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trig
onox 21−C50)(Akzo Nobelから
入手可能)、及び過酸化ジクミル等が挙げられる。
【0206】適切な過硫酸塩開始剤としては、限定され
るわけではないが、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウ
ム、及び過硫酸アンモニウムが挙げられる。適切なレド
ックス(酸化還元)開始剤としては、限定されるわけで
はないが、上記過硫酸塩開始剤のメタ亜硫酸水素ナトリ
ウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み
合わせ;有機過酸化物と第3級アミンに基づく系、例え
ば過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系;並
びに有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系、例
えばクメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに
基づく系等が挙げられる。
【0207】他の開始剤としては、限定されるわけでは
ないが、テトラフェニル1,1,2,2−エタンジオー
ルのようなピナコール等が挙げられる。好ましい熱ラジ
カル開始剤としては、アゾ系開始剤及び過酸化物系開始
剤からなる群から選ばれる。更に好ましいものは、2,
2′−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)、t−ブチル
パーオキシピバレート、及びジ(4−t−ブチルシクロ
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、並びにこれらの
混合物である。
【0208】本発明に用いられる熱開始剤は触媒的に有
効な量で存在し、このような量は、限定はされないが、
典型的には、本発明の少なくとも一つの末端にアクリル
官能性基を有する重合体及び他に添加されるモノマー及
びオリゴマー混合物の合計量を100重量部とした場合
に約0.01〜5重量部、より好ましくは約0.025
〜2重量部である。開始剤の混合物が使用される場合に
は、開始剤の混合物の合計量は、あたかもただ1種の開
始剤が使用されるかのような量である。
【0209】本発明の熱硬化性組成物を硬化させる方法
は特に限定されないが、その温度は、使用する熱開始
剤、重合体(I)及び添加される化合物等の種類により
異なるが、通常50℃〜250℃の範囲内が好ましく、
70℃〜200℃の範囲内がより好ましい。硬化時間
は、使用する重合開始剤、単量体、溶媒、反応温度等に
より異なるが、通常1分〜10時間の範囲内である。
【0210】<接着性付与剤>本発明の組成物には、シ
ランカップリング剤や、シランカップリング剤以外の接
着性付与剤を添加することができる。シランカップリン
グ剤の具体例としては、γ−イソシアネートプロピルト
リメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエ
トキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジエ
トキシシラン、γ−イソシアネートプロピルメチルジメ
トキシシラン等のイソシアネート基含有シラン類;γ−
アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピ
ルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシ
ラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメ
トキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)
アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−(2−アミノ
エチル)アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ−
ウレイドプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル
−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビニル
ベンジル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等の
アミノ基含有シラン類;γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシ
ラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン等
のメルカプト基含有シラン類;γ−グリシドキシプロピ
ルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
エトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシ
ル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキ
シシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポ
キシ基含有シラン類;β−カルボキシエチルトリエトキ
シシラン、β−カルボキシエチルフェニルビス(2−メ
トキシエトキシ)シラン、N−β−(カルボキシメチ
ル)アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシ
ラン等のカルボキシシラン類;ビニルトリメトキシシラ
ン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルオ
キシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクロイル
オキシプロピルメチルトリエトキシシラン等のビニル型
不飽和基含有シラン類;γ−クロロプロピルトリメトキ
シシラン等のハロゲン含有シラン類;トリス(トリメト
キシシリル)イソシアヌレート等のイソシアヌレートシ
ラン類等を挙げることができる。また、これらを変性し
た誘導体である、アミノ変性シリルポリマー、シリル化
アミノポリマー、不飽和アミノシラン錯体、フェニルア
ミノ長鎖アルキルシラン、アミノシリル化シリコーン、
シリル化ポリエステル等もシランカップリング剤として
用いることができる。
【0211】本発明に用いるシランカップリング剤は、
通常、架橋性官能基含有重合体100部に対し、0.1
〜20部の範囲で使用される。特に、0.5〜10部の
範囲で使用するのが好ましい。本発明の硬化性組成物に
添加されるシランカップリング剤の効果は、各種被着
体、すなわち、ガラス、アルミニウム、ステンレス、亜
鉛、銅、モルタルなどの無機基材や、塩ビ、アクリル、
ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリカ
ーボネートなどの有機基材に用いた場合、ノンプライマ
ー条件またはプライマー処理条件下で、著しい接着性改
善効果を示す。ノンプライマー条件下で使用した場合に
は、各種被着体に対する接着性を改善する効果が特に顕
著である。
【0212】シランカップリング剤以外の具体例として
は、特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂、硫黄、アルキルチタネート類、芳香族ポリ
イソシアネート等が挙げられる。上記接着性付与剤は1
種類のみで使用しても良いし、2種類以上混合使用して
も良い。これら接着性付与剤は添加することにより被着
体に対する接着性を改善することができる。
【0213】<充填剤>本発明の硬化性組成物には、各
種充填材が必要に応じて用いられる。前記充填材の具体
例としては、たとえば、木粉、パルブ、木綿チップ、ア
スベスト、ガラス繊維、炭素繊維、マイカ、クルミ殻
粉、もみ殻粉、グラファイト、ケイソウ土、白土、フュ
ームドシリカ、沈降性シリカ、結晶性シリカ、溶融シリ
カ、ドロマイト、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブ
ラックのような補強性充填材;炭酸カルシウム、炭酸マ
グネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タル
ク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸
化第二鉄、アルミニウム微粉末、フリント粉末、酸化亜
鉛、活性亜鉛華、亜鉛末およびシラスバルーンなどのよ
うな充填材;石綿、ガラス繊維およびフィラメントのよ
うな繊維状充填材などがあげられる。これら充填材のう
ちでは沈降性シリカ、フュームドシリカ、結晶性シリ
カ、溶融シリカ、ドロマイト、カーボンブラック、炭酸
カルシウム、酸化チタン、タルクなどが好ましい。特
に、これら充填材で強度の高い硬化物を得たい場合に
は、主にヒュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ
酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、表面処理微細炭酸
カルシウム、結晶性シリカ、溶融シリカ、焼成クレー、
クレーおよび活性亜鉛華などから選ばれる充填材を添加
できる。また、低強度で伸びが大である硬化物を得たい
場合には、主に酸化チタン、炭酸カルシウム、タルク、
酸化第二鉄、酸化亜鉛およびシラスバルーンなどから選
ばれる充填材を添加できる。これらの充填材は単独で用
いてもよく、2種以上併用してもよい。充填材を用いる
場合の使用量は、限定はされないが、ビニル系重合体
(I)100部に対して10〜1000部が好ましく、
50〜300部がさらに好ましい。
【0214】<物性調整剤>本発明の硬化性組成物に
は、必要に応じて生成する硬化物の引張特性を調整する
物性調整剤を添加しても良い。物性調整剤としては特に
限定されないが、例えば、メチルトリメトキシシラン、
ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラ
ン、n−プロピルトリメトキシシラン等のアルキルアル
コキシシラン類;ジメチルジイソプロペノキシシラン、
メチルトリイソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシ
プロピルメチルジイソプロペノキシシラン等のアルキル
イソプロペノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリ
メトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルジ
メチルメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキ
シシラン、N−(β−アミノエチル)アミノプロピルメ
チルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメ
トキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキ
シシラン等の官能基を有するアルコキシシラン類;シリ
コーンワニス類;ポリシロキサン類等が挙げられる。前
記物性調整剤を用いることにより、本発明の組成物を硬
化させた時の硬度を上げたり、硬度を下げ、伸びを出し
たりし得る。上記物性調整剤は単独で用いてもよく、2
種以上併用してもよい。
【0215】<チクソ性付与剤(垂れ防止剤)>本発明
の硬化性組成物には、必要に応じて垂れを防止し、作業
性を良くするためにチクソ性付与剤(垂れ防止剤)を添
加しても良い。また、垂れ防止剤としては特に限定され
ないが、例えば、ポリアミドワックス類、水添ヒマシ油
誘導体類;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アル
ミニウム、ステアリン酸バリウム等の金属石鹸類等が挙
げられる。これらチクソ性付与剤(垂れ防止剤)は単独
で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
【0216】その他の添加剤 本発明の硬化性組成物には、硬化性組成物又は硬化物の
諸物性の調整を目的として、必要に応じて各種添加剤が
添加してもよい。このような添加物の例としては、たと
えば、難燃剤、硬化性調整剤、老化防止剤、ラジカル禁
止剤、紫外線吸収剤、金属不活性化剤、オゾン劣化防止
剤、光安定剤、リン系過酸化物分解剤、滑剤、顔料、発
泡剤、光硬化性樹脂などがあげられる。これらの各種添
加剤は単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよ
い。このような添加物の具体例は、たとえば、特公平4
−69659号、特公平7−108928号、特開昭6
3−254149号、特開昭64−22904号の各明
細書などに記載されている。
【0217】本発明の硬化性組成物は、すべての配合成
分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬
化する1成分型として調製することも可能であり、硬化
剤として別途硬化触媒、充填材、可塑剤、水等の成分を
配合しておき、該配合材と重合体組成物を使用前に混合
する2成分型として調整することもできる。
【0218】<用途>本発明の硬化性組成物は、限定は
されないが、建築用弾性シーリング材や複層ガラス用シ
ーリング材等のシーリング材、太陽電池裏面封止材など
の電気・電子部品材料、電線・ケーブル用絶縁被覆材な
どの電気絶縁材料、粘着剤、接着剤、弾性接着剤、塗
料、粉体塗料、コーティング材、発泡体、電気電子用ポ
ッティング剤、フィルム、ガスケット、注型材料、各種
成形材料、および、網入りガラスや合わせガラス端面
(切断部)の防錆・防水用封止材等の様々な用途に利用
可能である。
【0219】
【実施例】以下に、この発明の具体的な実施例を比較例
と併せて説明するが、この発明は、下記実施例に限定さ
れない。下記実施例および比較例中「部」および「%」
は、それぞれ「重量部」および「重量%」を表す。下記
実施例中、「数平均分子量」および「分子量分布(重量
平均分子量と数平均分子量の比)」は、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリ
スチレン換算法により算出した。ただし、GPCカラム
としてポリスチレン架橋ゲルを充填したもの、GPC溶
媒としてクロロホルムを用いた。
【0220】(製造例1)還流管および攪拌機付きの1
0Lのセパラブルフラスコに、CuBr(42.0g、
0.293mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換し
た。アセトニトリル(559mL)を加え、オイルバス
中70℃で45分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル
(1.00kg)、2、5−ジブロモアジピン酸ジエチ
ル(176g、0.488mol)、ペンタメチルジエ
チレントリアミン(4.00mL、3.32g、19.
2mmol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反
応を開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸
ブチル(4.00kg)を190分かけて連続的に滴下
した。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(4.
00mL、3.32g、0.0192mol)を追加し
た。反応開始より310分経過後に1,7−オクタジエ
ン(1.44L、1.07kg、9.75mol)、ト
リアミン(20.5mL、17.0g、98.1mo
l)を加え、引き続き70℃で210分加熱攪拌した。
反応混合物をヘキサンで希釈し、活性アルミナカラムを
通した後、揮発分を減圧留去することによりアルケニル
基末端重合体(重合体[1])を得た。重合体[1]の
数平均分子量は14000、分子量分布は1.3であっ
た。
【0221】還流管付10Lセパラブルフラスコに、重
合体[1](2.7kg)、安息香酸カリウム(142
g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(2.7L)を仕込
み、窒素気流下70℃で25時間加熱攪拌した。加熱減
圧下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トル
エンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよ
び余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過
した。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体
[2]を得た。
【0222】還流管付2L丸底フラスコに、重合体
[2](2.7kg)、珪酸アルミ(540g、協和化
学製、キョーワード700PEL)、トルエン(2.7
L)を仕込み、窒素気流下100℃で5時間加熱攪拌し
た。珪酸アルミを濾過により除去した後、ろ液のトルエ
ンを減圧留去することにより重合体[3]を得た。
【0223】1L耐圧反応容器に重合体[3](760
g)、ジメトキシメチルヒドロシラン(46.3mL、
0.38mol)、オルトぎ酸メチル(13.7mL、
0.13mmol)、および0価白金の1,1,3,3
−テトラメチル−1,3−ジビニルジシロキサン錯体を
仕込んだ。ただし、白金触媒の使用量は、重合体のアル
ケニル基に対してモル比で10−3当量とした。反応混
合物を100℃で1時間加熱した。混合物の揮発分を減
圧留去することにより、シリル基末端重合体(重合体
[4])を得た。得られた重合体の数平均分子量はGP
C測定(ポリスチレン換算)により15000、分子量
分布は1.4であった。重合体1分子当たりに導入され
た平均のシリル基の数をH NMR分析により求めた
ところ、2.0個であった。
【0224】(製造例2)還流管および攪拌機付きの2
Lのセパラブルフラスコに、CuBr(22.4g、
0.156mol)を仕込み、反応容器内を窒素置換し
た。アセトニトリル(112mL)を加え、オイルバス
中70℃で30分間攪拌した。これにアクリル酸ブチル
(0.20kg)、2−ブロモプロピオン酸メチル(8
6.9g、0.520mol)、ペンタメチルジエチレ
ントリアミン(0.19mL、0.18g、1.04m
mol)(これ以降トリアミンと表す)を加え、反応を
開始した。70℃で加熱攪拌しながら、アクリル酸ブチ
ル(0.80kg)を150分かけて連続的に滴下し
た。アクリル酸ブチルの滴下途中にトリアミン(1.8
1mL、1.71g、9.88mmol)を追加した。
引き続き70℃で230分加熱攪拌した。反応混合物を
トルエンで希釈し、活性アルミナカラムを通した後、揮
発分を減圧留去することによりアルケニル基末端重合体
(重合体[5])を得た。重合体[5]の数平均分子量
は2600、分子量分布は1.18であった。
【0225】還流管付2Lセパラブルフラスコに、重合
体[5](0.937kg)、酢酸カリウム(73.5
g)、N,N−ジメチル酢酸アミド(0.8L)を仕込
み、窒素気流下70℃で5時間加熱攪拌した。加熱減圧
下でN,N−ジメチル酢酸アミドを除去した後、トルエ
ンで希釈した。トルエンに不溶な固体分(KBrおよび
余剰な安息香酸カリウムを活性アルミナカラムで濾過し
た。ろ液の揮発分を減圧留去することにより重合体
[6]を得た。
【0226】(実施例1)製造例1で得られた重合体
[4]100部に、各種高分子可塑剤を50部混合し、
4価Sn触媒(ジブチル錫ジアセチルアセトナート)1
部を用い撹拌混合した後、減圧脱泡し、2mm厚のシー
ト状硬化物を作製した。硬化養生は室内で2日、その後
50℃で3日静置した。硬化後のシート状硬化物から2
(1/3)号形ダンベル試験片を打ち抜き、島津製オー
トグラフを用いて引張試験を行なった(測定条件:23
℃、200mm/min)。結果を表1に示した。
【0227】(比較例1)実施例1の高分子可塑剤を低
分子の可塑剤に置き換えその他については実施例1と同
様にして硬化物を作製。同様に引張試験を行なった。結
果を表1に示した。
【0228】
【表1】
【0229】(実施例2)実施例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、15
0℃の乾燥機に静置した。一定期間後に取出して、実施
例1と同様に引張試験を行なった。結果を表2に示し
た。
【0230】(比較例2)比較例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、実施
例2と同様に150℃の乾燥機に静置した。一定期間後
に取出して、実施例2と同様に引張試験を行なった。結
果を表2に示した。
【0231】
【表2】
【0232】(実施例3)実施例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、サン
シャインウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SU
N−DC型、ブラックパネル温度63℃、照射2時間
中、降雨時間18分)に設置した。一定期間後に取出し
て、実施例1と同様に引張試験を行なった。結果を表3
に示した。
【0233】(比較例3)比較例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、サン
シャインウェザーメーター(スガ試験機製WEL−SU
N−DC型、ブラックパネル温度63℃、照射2時間
中、降雨時間18分)に設置した。一定期間後に取出し
て、実施例3と同様に引張試験を行なった。結果を表3
に示した。
【0234】
【表3】
【0235】(実施例4)実施例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、各種
アルキッド塗料を塗装し室内で静置した。一定期間後に
塗装した表面を指触し、硬化具合を判定した。結果を表
4に示した。
【0236】(比較例4)比較例1で得られたシート状
硬化物(ダンベル試験片)の中から数種について、各種
アルキッド塗料を塗装し室内で静置した。実施例4と同
様に一定期間後に塗装した表面を指触し、硬化具合を判
定した。結果を表4に示した。
【0237】
【表4】
【0238】
【発明の効果】本発明は以下の2成分; (A)架橋性官能基を少なくとも1個有するビニル系重
合体(I)、及び(B)高分子可塑剤(II)、を含有
する硬化性組成物からなり、架橋性官能基含有ビニル系
重合体の硬化物の耐熱性、耐候性を長期にわたり保持
し、また、硬化物上へのアルキッド系塗料の塗装が容易
になった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 清水 康雄 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80鐘淵 化学工業株式会社機能性材料RDセンター 神戸研究所内 (72)発明者 中川 佳樹 兵庫県神戸市兵庫区吉田町1−2−80鐘淵 化学工業株式会社機能性材料RDセンター 神戸研究所内

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の二成分:架橋性官能基を少なくと
    も1個有するビニル系重合体(I)、及び、高分子可塑
    剤(II)、を含有する硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 ビニル系重合体(I)の分子量分布が
    1.8未満である請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 ビニル系重合体(I)が、(メタ)アク
    リル系重合体であることを特徴とする請求項1または2
    記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、架橋性シリル基であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 【請求項5】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、アルケニル基であることを特徴とする請求項1〜3
    のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、水酸基であることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の硬化性組成物。
  7. 【請求項7】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、アミノ基であることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 【請求項8】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、重合性の炭素−炭素二重結合を有する基であること
    を特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組
    成物。
  9. 【請求項9】 ビニル系重合体(I)の架橋性官能基
    が、エポキシ基であることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 【請求項10】 ビニル系重合体(I)がリビングラジ
    カル重合により製造されることを特徴とする請求項1〜
    9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 【請求項11】 リビングラジカル重合が、原子移動ラ
    ジカル重合であることを特徴とする請求項10記載の硬
    化性組成物。
  12. 【請求項12】 原子移動ラジカル重合が、周期律表第
    7族、8族、9族、10族、または11族元素を中心金
    属とする遷移金属錯体より選ばれる錯体を触媒とするこ
    とを特徴とする請求項11記載の硬化性組成物。
  13. 【請求項13】 触媒とする金属錯体が銅、ニッケル、
    ルテニウム、又は鉄の錯体からなる群より選ばれる錯体
    であることを特徴とする請求項12記載の硬化性組成
    物。
  14. 【請求項14】 触媒とする金属錯体が銅の錯体である
    ことを特徴とする請求項13記載の硬化性組成物。
  15. 【請求項15】 高分子可塑剤(II)の数平均分子量
    が500〜15000である請求項1項に記載の硬化性
    組成物。
  16. 【請求項16】 高分子可塑剤(II)の数平均分子量
    が800〜10000である請求項1項に記載の硬化性
    組成物。
  17. 【請求項17】 高分子可塑剤(II)の数平均分子量
    が1000〜8000である請求項1項に記載の硬化性
    組成物。
  18. 【請求項18】 高分子可塑剤(II)がビニル系重合
    体である請求項1あるいは15〜17のうちいずれか1
    項に記載の硬化性組成物。
  19. 【請求項19】 高分子可塑剤(II)の分子量分布が
    1.8未満である請求項1あるいは15〜18のうちい
    ずれか1項に記載の硬化性組成物。
  20. 【請求項20】 高分子可塑剤(II)が、(メタ)ア
    クリル系重合体であることを特徴とする請求項1あるい
    は15〜19のうちいずれか1項に記載の硬化性組成
    物。
  21. 【請求項21】 高分子可塑剤(II)の製造法がリビ
    ングラジカル重合法であることを特徴とする請求項1あ
    るいは15〜20のうちいずれか1項に記載の硬化性組
    成物。
  22. 【請求項22】 高分子可塑剤(II)の製造法が原子
    移動ラジカル重合法であることを特徴とする請求項1あ
    るいは15〜21のうちいずれか1項に記載の硬化性組
    成物。
  23. 【請求項23】 高分子可塑剤(II)の使用量が、架
    橋性官能基を少なくとも1個有するビニル系重合体
    (I)100重量部に対して5〜150重量部であるこ
    とを特徴とする請求項1あるいは15〜22記載の硬化
    性組成物。
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