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JP2000174109A - 基板収納装置及び基板の収納方法 - Google Patents

基板収納装置及び基板の収納方法

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Publication number
JP2000174109A
JP2000174109A JP34179398A JP34179398A JP2000174109A JP 2000174109 A JP2000174109 A JP 2000174109A JP 34179398 A JP34179398 A JP 34179398A JP 34179398 A JP34179398 A JP 34179398A JP 2000174109 A JP2000174109 A JP 2000174109A
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space
housing
atmosphere
humidity
substrate
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JP34179398A
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Nobuhiro Uozumi
宜弘 魚住
Soichi Nadahara
壮一 灘原
Makiko Katano
真希子 片野
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
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  • Container, Conveyance, Adherence, Positioning, Of Wafer (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 内部で使用されるケミカルフィルタの性能を
維持させながら、密閉空間内で半導体基板が持ち込むガ
ス状不純物が除去され、かつ高清浄度雰囲気を効率的に
維持できる収納装置及びこの収納装置を用いて半導体基
板の搬送時もしくは基板の保管時に清浄度を維持する半
導体基板収納方法を提供する。 【解決手段】 半導体基板1を収納する筐体3空間の雰
囲気(Air)を循環させる換気ファン7と、この筐体
内に配置されこの雰囲気に含まれるガス状不純物を吸着
するケミカルフィルタ6とを備えており、筐体内の相対
湿度は5乃至40%に維持されている。半導体基板を保
管している間に発生する集積回路の配線を断線してしま
う問題(コロージョン)や厚い自然酸化膜が形成されて
しまう問題を同時に解決することができる。湿度を制御
することにより、ケミカルフィルタの能力を維持させる
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体装置に使用
される半導体基板、液晶パターンを形成した基板、フォ
トマスクに用いられる基板、磁気ディスクなどの基板を
収納する基板収納装置及びこの収納装置に基板を収納す
る方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の微細化、高密度化に伴うプ
ロセスの高度化により、プロセス中に発生するガス状不
純物汚染の影響が顕在化している。例えば、ドライエッ
チングプロセスや金属配線などを形成するCVD(Chemi
cal Vapour Deposition)プロセスのように、それらが必
要とする化学反応から蒸気圧の高い塩素や弗素化合物な
どが半導体ウェハに残留し、これらのガス不純物により
半導体ウェハ上の金属配線を腐食させる。また遠紫外線
リソグラフィプロセスでは、雰囲気中や半導体ウェハに
吸着しているアンモニアなどの塩基性ガスによる化学増
幅型レジスト加工形状の異常が起こる。これらのような
ガス状不純物がプロセス特性に有害となる問題は周知で
ある。そこで、半導体ウェハを処理するクリーンルーム
内の環境の清浄度の確保・維持方法として、ケミカルフ
ィルタのようなガス状不純物捕集用フィルタを空調機な
どに搭載し、これら有害なガス状不純物を効率的に除去
することが行われている。このような方法などによりプ
ロセス中の有害なガス状不純物の汚染回避が講じられて
いる。
【0003】また、クリーンルーム間で半導体ウェハを
搬送する場合、クリーンルーム外の汚染された空間から
半導体ウェハを清浄に維持する方法として、クリーンル
ームと同じ環境にしたボックスに半導体ウェハを収納
し、このボックスを搬送する方法がある(特願平6−8
7964号参照)。この方法は、内部が外気と流通する
ように構成したボックス内に、粒子を除去するHEPA
(High Efficiency Particle Air)フィルタ又はULPA
(Ultra Low Penetration Air) フィルタと不純物ガスを
除去するケミカルフィルタを配置し、このボックスに被
処理物である半導体ウェハなどの半導体基板を収納して
搬送などを行うというものである。しかし、この従来方
法では、ケミカルフィルタは、つねに不純物を含んだ外
気をフィルタリングしてボックス内に供給しているので
寿命が著しく短くなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来、半導体装置の製
造工程において、半導体基板を収納・保管する際には、
(a)工場内の雰囲気から微粒子が収納・保管装置内へ
進入しないように密閉された容器が用いられている。一
般に、この容器は、重金属やアルカリ金属の汚染のない
ポリプロピレンによって作られている。このような容器
の気密性は、従来微粒子レベルの汚染を考慮していた
が、半導体工場の空気中に存在するフッ酸、塩酸、硫
酸、アンモニアといったガス状の不純物に対しては不十
分であった。最近の研究によれば、これら非金属イオン
が半導体集積回路における金属配線部分に存在すると、
配線を腐食し、最悪の場合には断線させてしまうという
問題(コロージョン)があることがわかってきた。ま
た、ポリプロピレン製の装置自身から発生するガスによ
って基板が有機物汚染されることもわかっている。半導
体基板表面に有機物が存在すると、酸化膜の耐圧を低下
させる原因となるため、これも大きな問題となってい
る。
【0005】これらコロージョンの問題や有機物の存在
による酸化膜耐圧の低下の問題を解決しようとする提案
に、(b)装置内の雰囲気から有機物や非金属イオンを
除去する機構のみを持ったもの(特開平8−14855
1号公報等)がある。これは、雰囲気中の有機物を除去
するためには繊維状活性炭織布等を、酸性ガスを除去す
るためにはこのような活性炭に水酸化カリウムのような
アルカリを付着させたもの又はアンモニウム基やアミノ
基を持った化学繊維等を、アルカリ性ガスを除去するた
めには活性炭に塩化亜鉛を付着させたもの又はスルホン
酸基やカルボン酸基を持った繊維等をそれぞれ用いてい
る。しかし、これらを用いてもコロージョンの発生を完
全に制御することはできない。また、前記(a)装置や
(b)装置を含めて、シリコン等の半導体基板を空気中
に保管しておくと自然酸化膜が形成されるため、通常そ
れを除去するためにフッ化水素酸系の薬剤による処理を
行わなければならない。しかし、これによって次工程ま
での時間的な制限があったり、集積回路上の他の部分に
悪影響を与えたり、残留するフッ素イオンによるコロー
ジョンが発生するという問題が新たに生じている。そこ
で、自然酸化膜の成長を抑制するために、(c)装置内
の湿度を除去するような機構を持った装置(特開平4−
45333号公報等)や(d)乾燥させた不活性ガスな
どで装置内を密閉したもの(実用新案第2573205
号明細書等)などが提案されている。しかしながら、
(c)装置や(d)装置を用いた場合にもコロージョン
の発生を完全に制御することはできないという問題が残
った。
【0006】また、クリーンルーム内のプロセス装置間
もしくはクリーンルーム間にまたがったプロセス装置間
で半導体基板の搬送及び保管を行うに際して半導体ウェ
ーハなどの基板の清浄度を維持する方法であり、クリー
ンルーム内もしくはクリーンルーム外の空間とは隔離さ
れた清浄空間がケミカルフィルタを含むフィルタと換気
ファンにより生成された循環する空気からなる清浄な空
間を有するボックスを用い、この清浄空間に半導体ウェ
ーハなどの基板を収納し、搬送及び保管を行う方法が提
案されている(特願平9−347226号)。この方法
は、半導体ウェーハを処理するなどの高清浄度を要求さ
れる工程間で任意のガス不純物についてケミカルフィル
タなどのガス不純物捕集用フィルタと換気ファンによる
内部空気の循環により効率的に密閉されたボックス内を
高清浄雰囲気に保ちながら半導体ウェーハなどの基板を
搬送及び保管することができる。しかし、この方法で
は、コロージョンの発生を制御するとともに自然酸化膜
の成長を抑制することが十分ではなかった。本発明は、
この様な事情によりなされたものであり、内部で使用さ
れるケミカルフィルタの性能を維持させながら、密閉空
間内で半導体基板などの基板が持ち込むガス状不純物が
除去され、かつ高清浄度雰囲気を効率的に維持できる収
納装置及びこの収納装置を用いて半導体基板などの基板
の搬送時もしくは基板の保管時に清浄度を維持する基板
収納方法を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、半導体基板な
どの基板を収納する筐体空間の雰囲気を循環させる雰囲
気循環装置と、この筐体内に配置されこの雰囲気に含ま
れる不純物を吸着するケミカルフィルタとを備えた搬送
・保管用基板収納装置の前記空間の相対湿度を5乃至4
0%に維持することを特徴としている。本発明は、この
ような構成により、半導体基板などの基板を保管してい
る間に発生する集積回路の配線を断線してしまう問題
(コロージョン)や厚い自然酸化膜が形成されてしまう
問題を同時に解決することができる。このような問題を
解決するためには装置内の雰囲気中から陰イオンや陽イ
オン、有機物といったガス状の不純物を除外し、かつ雰
囲気中の湿度を相対湿度5から40%の範囲内に制御す
る。このように湿度を制御することにより、相対湿度を
5%以上にすればケミカルフィルタの能力を維持させる
ことができ、且つ相対湿度を40%以下にするとコロー
ジョンの発生を十分制御できるとともに自然酸化膜の成
長を抑制することが可能になる。
【0008】また、装置内部の雰囲気を循環させるよう
な換気ファンを有していると、装置内部の湿度の低下が
速く有効であり、金属配線が断線するというコロージョ
ンは配線金属の腐食が原因と考えられるので、湿度の速
い低下はこの原因を軽減させること対して有効である。
また、換気ファンは、間欠運転を行っても良い。このよ
うな換気ファンの間欠運転により収納装置の不純物濃度
のむらがなく効率良く短時間で空気の置換が行えるよう
になる。すなわち、本発明の基板収納装置は、基板を収
納する空間を蓋により密閉する筐体と、前記空間の雰囲
気を循環させる雰囲気循環装置と、前記筐体内に配置さ
れ、前記雰囲気に含まれる不純物を吸着するケミカルフ
ィルタと、携帯用電源とを備え、前記空間は相対湿度が
5乃至40%にあることを特徴としている。前記空間に
は乾燥剤をさらに配置することによって前記空間の湿度
を維持するようにしても良い。前記乾燥剤は、前記ケミ
カルフィルタに近接して配置しても良い。前記空間には
相対湿度が5乃至40%の乾燥したガスを封入すること
によって前記空間の湿度を維持するようにしても良い。
前記空間には、湿度検出器及び湿度を調整する装置をさ
らに配置することによって前記空間の湿度を維持するよ
うにしても良い。
【0009】また、本発明の基板収納方法は、筐体内部
の空間にケミカルフィルタを配置する段階と、前記空間
に乾燥剤を配置するかもしくは乾燥されたガスを封入す
る段階と、前記空間の雰囲気を循環させる段階と、前記
筐体内部に基板を収納する段階と、前記基板が収納され
た筐体に蓋をして密閉する段階とを備え、前記空間は、
相対湿度を5乃至40%にすることを特徴としている。
前記基板が収納され、且つ密閉された筐体は、半導体装
置の製造工程における工程間の搬送に用いるようにして
も良い。前記空間の雰囲気を循環させる段階は、間欠的
に行うようにしても良い。前記空間の雰囲気を循環させ
る段階において、内部空気は、換気ファンを駆動させる
ことにより、前記乾燥剤、前記ケミカルフィルタ及び前
記基板の順序で循環するようにしても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して発明の実施
の形態を説明する。まず、図1及び図2を参照して第1
の実施例を説明する。図1は、半導体基板収納装置の概
略断面図、図2は、相対湿度の時間的変化を説明する特
性図である。ウェーハ、例えば、シリコンなどからなる
複数の半導体基板1は、それを保持するキャリア2ごと
収納装置を構成する筐体3内に仕切り板13に沿うよう
に収納され、蓋4をすることによって筐体3の内部に密
閉される。筐体3内部の空気(Air)は、筐体底部に
配置された塩化マグネシウムを主成分とする乾燥剤5
と、乾燥剤5の上方に近接して配置され、有機物を除去
する繊維状活性炭と陰イオン・陽イオンを除去するアン
モニウム基、アミノ基、スルホン基、カルボン基を有す
る化学繊維による織布で形成されたケミカルフィルタ6
により清浄化される。ケミカルフィルタ6で除去される
ガス状不純物としては、プラスチック等から排出される
ような有機物ガスやHCl、HF、NOx 、SOx に代
表されるような酸性ガス、アンモニアやアミンなどとい
ったアルカリ性ガス、NH4 に代表されるような陽イ
オン、Cl、Fなどといった陰イオンなどがある。
乾燥剤5やケミカルフィルタ6から発生した微粒子は、
ULPAフィルタ8により除去される。
【0011】この清浄化された空気(Air)は、収納
装置に取り付けられた携帯用電源(図示しない)により
駆動される換気ファン7によって筐体3内を循環され
る。ファン7の上方にもケミカルフィルタ6が配置され
ている。これら内部部品の配置は、空気の流れに対し
て、上流から乾燥剤5、ケミカルフィルタ6、ULPA
フィルタ8、半導体基板(ウェーハ)1の順になってい
る。筐体3内部の空気(Air)は、換気ファン(以
下、ファンという)7によりケミカルフィルタ6を通過
してガス不純物が除去される。ケミカルフィルタ6を通
過した空気(Air)は、さらにULPAフィルタ8を
通過して微粒子(パーティクル)が除去される。そし
て、これらのフィルタを通過して清浄化された空気(A
ir)は、半導体基板1へ送られる。半導体基板1を通
過した空気(Air)は、ケミカルフィルタ6を介して
再びファン7に送られる。
【0012】ファン7を0.2m3 /minの流量で3
0秒間作動、10秒間停止という間欠運転をさせること
により、約200gの乾燥剤を入れた内容積約35リッ
トルの筐体3内部の雰囲気を循環させると、図2に示す
ように蓋4を閉めた直後に約50%であった相対湿度
は、1分も経たないうちに10%以下まで低下し、約3
分で安定する(−◆−曲線)。図2の縦軸は、相対湿度
(%)を表わし、横軸は、経過時間(min)を表わし
ている。これに対しファン7を作動させない場合(−■
−曲線)には50分を経ても安定せず15%程度までし
か低下しない。したがって、ファンを動作させることに
より蓋の開閉の際に外部より進入する水分の影響を少な
くできることがわかる。また、使用する乾燥剤の量を5
0gにすると、安定した相対湿度は、約25%であっ
た。このように乾燥剤の量を調整することで内部の湿度
を制御することが可能である。また、乾燥剤には、酸化
マグネシウムや水酸化マグネシウム、ゼオライト、塩化
カルシウム、シリカゲルなどを用いることにより相対湿
度を所定の値に制御することもできる。以上、内部で使
用されるケミカルフィルタの性能を維持させながら、密
閉空間内で半導体基板が持ち込むガス状不純物が除去さ
れ、且つ高清浄度雰囲気を効率的に維持できるとともに
湿度を効率的に制御できる半導体基板などの基板収納装
置が得られる。
【0013】次に、図3を参照して第2の実施例を説明
する。図3は、半導体基板収納装置の概略断面図であ
る。シリコンなどからなる複数の半導体基板1は、それ
を保持するキャリア2ごと収納装置を構成する筐体3内
に仕切り板13に沿うように収納され、蓋4をすること
によって筐体3の内部に密閉される。筐体3内部には乾
燥された窒素(N2 )が封入されている。封入された乾
燥された窒素(N2 )は、筐体3の下方に配置され、有
機物を除去する繊維状活性炭と陰イオン・陽イオンを除
去するアンモニウム基、アミノ基、スルホン基、カルボ
ン基を有する化学繊維による織布で形成されたケミカル
フィルタ6により清浄化される。ケミカルフィルタ6か
ら発生した微粒子は、ULPAフィルタ8により除去さ
れる。この清浄化された乾燥窒素(N2 )は、収納装置
に取り付けられた携帯用電源(図示しない)により駆動
されるファン7によって筐体3内を循環される。ファン
7の上にもケミカルフィルタ6が配置されている。これ
ら内部部品の配置は、乾燥窒素(N2 )の流れに対し
て、上流からケミカルフィルタ6、ULPAフィルタ
8、半導体基板(ウェーハ)1の順になっている。
【0014】以上、図3に示すような相対湿度が5〜4
0%の乾燥した空気や乾燥ガスを封入することにより相
対湿度を5〜40%に制御することもできる。さらに、
筐体の底部に液体窒素などの液化ガスを流し、雰囲気中
の水分を結露、凍結させることにより相対湿度を制御す
るなどの何らかの方法で筐体内の相対湿度を5〜40%
に制御することができる。また、ケミカルフィルタ6に
は、陰イオンを除去するために、水酸化カリウムなどの
物質を用いたり、さらに陽イオンを除去するために塩化
亜鉛などを用いてもよい。また、有機物を除去するため
にUVランプ照射などの方法を用いることもできる。何
らかの方法で有機物、陰イオン・陽イオンなどのガス状
不純物を除去する機構を少なくとも1つ備えていればよ
いが、全てについて備えるようにするのが望ましい。
【0015】次に、図4を参照して第3の実施例を説明
する。図4は、半導体基板収納装置の概略断面図であ
る。複数の半導体基板(ウェーハ)1は、それを保持す
るキャリア2ごと収納装置を構成する筐体3内に仕切り
板13に沿うように収納され、蓋4をすることによって
筐体3の内部に密閉される。筐体3内部の空気(Ai
r)は、筐体底部に配置された、例えば、塩化マグネシ
ウムを主成分とする乾燥剤5及び加湿器9と、乾燥剤5
及び加湿器9の上方に近接して配置され、有機物を除去
する繊維状活性炭と陰イオン・陽イオンを除去するアン
モニウム基、アミノ基、スルホン基、カルボン基を有す
る化学繊維による織布で形成されたケミカルフィルタ6
により清浄化される。乾燥剤5、加湿器9やケミカルフ
ィルタ6から発生した微粒子は、ULPAフィルタ8に
より除去される。この清浄化された空気(Air)は、
収納装置に取り付けられた携帯用電源(図示しない)に
より駆動されるファン7によって筐体3内を循環され
る。ファン7の上方にもケミカルフィルタ6が配置され
ている。筐体3の上部には湿度センサ12が取り付けら
れている。乾燥剤5と加湿器9とはそれぞれ筐体内部で
密閉されており、バルブ11、10の開閉によって筐体
内部の雰囲気と断続するようになっている。これら内部
部品の配置は、空気の流れに対して、上流から乾燥剤5
又は加湿器9、ケミカルフィルタ6、ULPAフィルタ
8、半導体基板(ウェーハ)1の順になっている。
【0016】ケミカルフィルタに水和物が含まれるよう
な場合や吸着水を利用する場合、湿度を下げすぎるとそ
の水和物中の水分や吸着水まで除去されてしまい、本来
のフィルタの役目を果たさなくなってしまうかもしくは
その能力が低下してしまうことがある。したがって、こ
の実施例では湿度センサ12により内部湿度をモニタリ
ングし、筐体3内の相対湿度が設定湿度の上限を越えた
場合にはバルブ11を開けることにより、乾燥剤5によ
り湿度を低下させ、逆に湿度が下限を下回った場合には
バルブ10を開けて筐体3内を加湿する。このように雰
囲気を制御することで効率よくケミカルフィルタを作用
させながら同時に自然酸化膜の成長を抑えることができ
る。以上、内部で使用されるケミカルフィルタの性能を
維持させながら、密閉空間内で半導体基板が持ち込むガ
ス状不純物が除去され、且つ高清浄度雰囲気を効率的に
維持できるとともに湿度を効率的に制御できる半導体基
板などの基板収納装置が得られる。
【0017】次に、図7を参照して第4の実施例を説明
する。図7は、半導体基板収納装置の概略断面図であ
る。半導体基板(ウェーハ)1は、それを保持するキャ
リア2ごと収納装置を構成する筐体3内に仕切り板13
に沿うように収納され、蓋4をすることによって筐体3
の内部に密閉される。筐体3内部の空気(Air)は、
筐体底部の側壁近傍に配置された塩化マグネシウムを主
成分とする1対の乾燥剤5と、乾燥剤5に近接して配置
され、有機物を除去する繊維状活性炭と陰イオン・陽イ
オンを除去するアンモニウム基、アミノ基、スルホン
基、カルボン基を有する化学繊維による織布で形成され
たケミカルフィルタ6により清浄化される。乾燥剤5や
ケミカルフィルタ6から発生した微粒子は、ULPAフ
ィルタ8により除去される。この清浄化された空気(A
ir)は、収納装置に取り付けられた携帯用電源(図示
しない)により駆動されるファン7によって筐体3内を
循環される。ファン7は、ケミカルフィルタ6の直下に
これに近接して配置されている。これら内部部品の配置
は、空気の流れに対して、上流から乾燥剤5、ケミカル
フィルタ6、ULPAフィルタ8、半導体基板(ウェー
ハ)1の順になっている。
【0018】また、ファン7を0.2m3 /minの流
量で30秒間作動、10秒間停止という間欠運転をさせ
ることにより、約200gの乾燥剤を入れた内容積約3
5リットルの筐体3内部の雰囲気を循環させると、蓋4
を閉めた直後に約50%であった相対湿度は、1分も経
たないうちに10%以下まで低下し、約3分で安定す
る。これに対しファン7を作動させない場合には50分
を経ても安定せず15%程度までしか低下しない。した
がって、ファンを動作させることにより蓋の開閉の際に
外部より進入する水分の影響を少なくできることがわか
る。また、使用する乾燥剤の量を50gにすると、安定
した相対湿度は、約25%であった。このように乾燥剤
の量を調整することで内部の湿度を制御することが可能
である。また、乾燥剤には、酸化マグネシウムや水酸化
マグネシウム、ゼオライト、塩化カルシウム、シリカゲ
ルなどを用いることにより相対湿度を所定の値に制御す
ることもできる。以上、内部で使用されるケミカルフィ
ルタの性能を維持させながら、密閉空間内で半導体基板
が持ち込むガス状不純物が除去され、かつ高清浄度雰囲
気を効率的に維持できるとともに湿度の制御を効率的に
行うことができる基板収納装置が得られる。
【0019】以上述べたように、筐体に配置されたケミ
カルフィルタは、空気や乾燥ガスに含まれる不純物ガ
ス、例えば、HF、NH3 、HCl、SOx ガス等を除
去する。さらに、空気中の不純物ガスが取り除かれた空
気もしくは乾燥ガスは、次のHEPAフィルタ又はUL
PAフィルタにより粒子が除去される。ULPAフィル
タに代えてHEPAフィルタを用いることができる。ケ
ミカルフィルタは、酸やアルカリ、有機物などのガス状
不純物を除去するものであり、酸やアルカリを除去する
フィルタには、イオン交換不織布あるいは織布を用いた
フィルタ、添着剤を付加した活性炭フィルタなどがあ
り、さらに、有機物を除去するフィルタには、セラミッ
クフィルタや添着剤を付加しない活性炭フィルタなどが
ある。イオン交換不織布あるいは織布におけるイオン交
換基部分は、普通水和した形になっていて、周りの湿度
によって水和の数が変わる。この水和水は不純物を除去
するイオン交換反応に必要なものであり、湿度の低い環
境で使用するとフィルタ寿命が低下する。
【0020】活性炭フィルタにはセルローズ系、アクリ
ル系、リグニン系繊維を炭化賦活した活性炭素繊維があ
り、このフィルタは表面に酸やアルカリなどの添着剤を
付加してアルカリ又は酸を除去する。活性炭表面にはあ
る程度の吸着水が存在し、ガス不純物はまず吸着水にト
ラップされ、吸着水のある環境下で中和反応を起こす。
したがって、活性炭フィルタは湿度が低いとフィルタ寿
命が短くなる。アルミナタイプのケミカルフィルタは、
アルミナ粒子に酸やアルカリなどの添着剤をつけてアル
カリ又は酸を除去する。活性炭の場合と同様に水がない
と性能が落ちるものとおもわれる。以上のようにケミカ
ルフィルタは、水和水もしくは吸着水を有している。し
たがって、本発明のようにケミカルフィルタを用いるに
あたって、その性能を維持するためには、湿度を所定の
範囲に制御する必要がある。
【0021】HEPAフィルタは、定格風量で流径0.
3μmの粒子に対して99.97%以上の粒子補集効率
をもつエアフィルタである。ULPAフィルタは、HE
PAフィルタよりも更に高い粒子補集効率を目的に開発
されたものであり、流径0.1μmの粒子に対して9
9.9995%以上の粒子補集効率をもつエアフィルタ
である。ULPAフィルタは、濾材にガラス繊維を用い
るが、ボロンや金属等の不純物がなく、酸、アルカリ、
有機溶剤等に侵されないポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)を濾材に使用することもできる。また、筐
体の材質にはアウトガス発生の少ない材料、例えば、ポ
リカーボネート(PC)やポリブチレンテレフタレート
(PBT)を用いる。
【0022】次に、図5、図6及び図8を参照して本発
明の効果を説明する。比較する従来のものとして、
(a)とくに筐体内部の雰囲気を制御する機構を持たな
い、相対湿度(RH)を42%に保持したポリプロピレ
ン製の密閉された半導体基板収納装置、(b)ポリプロ
ピレン製の密閉された筐体に塩化マグネシウムを主成分
とする乾燥剤を同封することにより相対湿度(RH)を
17%に制御した半導体基板収納装置、(c)繊維状活
性炭及びスルホン基、カルボン基、アミノ基、アンモニ
ウム基を有する化学繊維で作ったケミカルフィルタ(C
F)により筐体内雰囲気中から有機物及び陰・陽イオン
を削減し、相対湿度(RH)を42%に保持した半導体
基板収納装置を用意し、これらと本発明の(d)筐体内
に乾燥剤とケミカルフィルタ(CF)とを同時に含み、
雰囲気中から有機物、陰・陽イオン及び水分を削減し、
相対湿度(RH)を27%に保持した半導体基板収納装
置の4種類それぞれにアルミニウムの0.3μmのライ
ン/スペース配線パターンを形成した6インチ径(6″
φ)のシリコンウェーハ(Wf)を96時間保管した場
合のコロージョン発生評価を行った結果を図5に示す。
図5に示す特性図は、縦軸がコロージョン発生数(個/
6″φWf)、横軸が上記(a)乃至(d)を表わして
いる。コロージョン評価にはKLA(商品名)と呼ばれ
る回路パターン評価装置を用いた。この結果より、6イ
ンチのシリコン半導体基板面内に従来のポリプロピレン
製の密閉筐体(a)では約6万個、湿度のみを制御した
場合(b)でも約3万個のコロージョンが発生した。ま
た、従来のケミカルフィルタのみによる方法(c)でも
効果は見られるものの、発生個数は約400個と完全に
制御することができなかった。こられに対し、本発明で
は((d)の場合)コロージョンの発生を完全に制御で
きていることが分かる。
【0023】図8は、8インチウェーハの特性図であ
り、縦軸がコロージョン発生数(個/8″φWf)、横
軸が(a)とくに筐体内部の雰囲気を制御する機構を持
たない、相対湿度(RH)を42%に保持したポリプロ
ピレン製の密閉された半導体基板収納装置、(b)ポリ
プロピレン製の密閉された筐体に乾燥された窒素
(N2)を同封することにより相対湿度(RH)を10
%に制御した半導体基板収納装置、(c)繊維状活性炭
及びスルホン基、カルボン基、アミノ基、アンモニウム
基を有する化学繊維で作ったケミカルフィルタ(CF)
により筐体内雰囲気中から有機物及び陰・陽イオンを削
減し、相対湿度(RH)を42%に保持した半導体基板
収納装置、本発明の(d)筐体内に乾燥剤とケミカルフ
ィルタ(CF)とを同時に含み、雰囲気中から有機物、
陰・陽イオン及び水分を削減し、相対湿度(RH)を1
2%に保持した半導体基板収納装置(本発明)を示す。
図8ではこれらの4種類それぞれにアルミニウムの0.
3μmのライン/スペース配線パターンを形成した8イ
ンチ径(8″φ)のシリコンウェーハ(Wf)を96時
間保管した場合のコロージョン発生評価を行った結果を
示す。図8のように、本発明では((d)の場合)相対
湿度12%においてコロージョンの発生を完全に制御で
きていることがわかる。
【0024】図6に3分間の希フッ酸(約0.5重量
%)処理により自然酸化膜を除去し、シリコン表面を露
出させた半導体基板を、本発明の半導体基板収納装置内
で1週間保管した際に成長した自然酸化膜の膜厚と相対
湿度との関係を示す。図の縦軸は、自然酸化膜厚(n
m)、横軸は、相対湿度(%)を表わしている。成長し
た酸化膜の膜厚は、エリプソメトリー法により測定す
る。これより相対湿度を40%以下に制御することによ
り、コロージョンの発生を抑制すると同時に、自然酸化
膜の成長を抑制する効果も得られることがわかる。
【0025】コロージョンは配線金属の腐食が原因と考
えられ、これは徐々に進行するものである。つまり、前
工程の処理後に本発明の収納装置にウェーハをセットす
るまでの間や本発明の収納装置にセットしてから湿度を
低下させるまでの間にもコロージョンの発生は始まって
いると考えられる。したがって、処理後に本発明の収納
装置にセットするまでの時間やセットした後に収納装置
内の湿度を低下させる時間はできるだけ短い方がよい。
今後配線幅が縮小されて行くと今まで測定できなかった
ような微小なコロージョンも問題となってくると思わ
れ、制御する湿度も40%よりも低い方が良い。しかし
ながら、水和物を含むようなケミカルフィルタを用いる
場合にはあまり湿度を下げすぎると、その能力を発揮す
ることができなくなるため、5%を限度とするのが適当
である。しかし、相対湿度が15%以下ではガス不純物
に対する除去性能が短い期間で低下し(つまり寿命が短
くなる)、20%を越えると安定にガス不純物を除去す
ることができる。したがって、寿命を考慮するなら筐体
内の相対湿度は、15〜40%が適当であり、さらに好
ましくは20〜40%が適当である。また、ケミカルフ
ィルタの寿命短縮をそれほど考慮しないならケミカルフ
ィルタの作用を十分維持することができる相対湿度5〜
20%が適当である。
【0026】
【発明の効果】本発明は、以上のように、密閉された筐
体内部の相対湿度を5〜40%に調整するという特徴を
有し、とくに5%以上では、内部に配置されるケミカル
フィルタの性能を維持することができ、さらに40%以
下では、コロージョンの発生を十分に制御できるととも
に自然酸化膜の成長を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例の半導体基板収納装置の概略断面
図。
【図2】半導体基板収納装置内の相対湿度の時間的変化
を説明する特性図。
【図3】第2の実施例の半導体基板収納装置の概略断面
図。
【図4】第3の実施例半導体基板収納装置の概略断面
図。
【図5】半導体基板収納装置内部の条件の変化に伴うコ
ロージョン発生数の変化を説明する特性図。
【図6】半導体基板収納装置内部における半導体基板表
面の自然酸化膜厚の相対湿度依存性を示す特性図。
【図7】第4の実施例半導体基板収納装置の概略断面
図。
【図8】半導体基板収納装置内部の条件の変化に伴うコ
ロージョン発生数の変化を説明する特性図。
【符号の説明】
1・・・半導体基板(ウェーハ)、 2・・・キャリ
ア、 3・・・筐体、4・・・蓋、 5・・・乾燥
剤、 6・・・ケミカルフィルタ、7、14・・・フ
ァン(換気ファン)、 8・・・ULPAフィルタ、
9・・・加湿器、 10、11・・・バルブ、 1
2・・・湿度センサ、13・・・仕切り板。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片野 真希子 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8 株式会 社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 5F031 CA02 CA05 DA01 DA09 EA02 MA28 NA02 NA04 NA15 NA20

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板を収納する空間を蓋により密閉する
    筐体と、前記空間の雰囲気を循環させる雰囲気循環装置
    と、前記筐体内に配置され、前記雰囲気に含まれる不純
    物を吸着するケミカルフィルタと、携帯用電源とを備
    え、前記空間は相対湿度が5乃至40%にあることを特
    徴とする基板収納装置。
  2. 【請求項2】 前記空間には乾燥剤をさらに配置するこ
    とによって前記空間の湿度を維持することを特徴とする
    請求項1に記載の基板収納装置。
  3. 【請求項3】 前記乾燥剤は前記ケミカルフィルタに近
    接して配置されていることを特徴とする請求項2に記載
    の基板収納装置。
  4. 【請求項4】 前記空間には相対湿度が5乃至40%の
    乾燥したガスを封入することによって前記空間の湿度を
    維持することを特徴とする請求項1に記載の基板収納装
    置。
  5. 【請求項5】 前記空間には、湿度検出器及び湿度を調
    整する装置をさらに配置することによって前記空間の湿
    度を維持することを特徴とする請求項1乃至請求項4の
    いずれかに記載の基板収納装置。
  6. 【請求項6】 筐体内部の空間にケミカルフィルタを配
    置する段階と、前記空間に乾燥剤を配置するかもしくは
    乾燥されたガスを封入する段階と、前記空間の雰囲気を
    循環させる段階と、前記筐体内部に基板を収納する段階
    と、前記基板が収納された筐体に蓋をして密閉する段階
    とを備え、前記空間は相対湿度を5乃至40%にするこ
    とを特徴とする基板収納方法。
  7. 【請求項7】 前記基板が収納され、且つ密閉された筐
    体は、半導体装置の製造工程における工程間の搬送に用
    いることを特徴とする請求項6に記載の基板収納方法。
  8. 【請求項8】 前記空間の雰囲気を循環させる段階は、
    間欠的に行うことを特徴とする請求項6又は請求項7に
    記載の基板収納方法。
  9. 【請求項9】 前記空間の雰囲気を循環させる段階にお
    いて、内部空気は、換気ファンを駆動させることによ
    り、前記乾燥剤、前記ケミカルフィルタ及び前記基板の
    順序で循環することを特徴とする請求項6乃至請求項8
    のいずれかに記載の基板収納方法。
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