JP2000145992A - 逆止弁及び浴槽水水受の排水構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】逆流を確実に防止でき、また気体の流通をも遮
断することのできる逆止弁を提供する。 【解決手段】フロート室４にフロート弁体１９を配置
し、流体の下流側から上流側への逆流を防止する逆止弁
１８において、フロート弁体１９のフロート底面を流出
口８へ着座し得る構造とし、フロート底面の大きさを流
出口８の断面積よりも大きくしている。これにより、通
常の待機状態では、フロート弁体１９が流出口８の周囲
に着座してこれを閉塞するので、気体の流通が遮断され
る。また逆流に対しては、フロート弁体１９が逆流水の
侵入量に応じて上昇し、やがて流入口１２を閉塞するの
で、逆流を防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、液体の逆流を防止
すると共に、気体については上流側から又は下流側から
のいずれの流れであってもこれを遮断することのできる
逆止弁及びこれを利用した浴槽水水受の排水構造に関す
るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来において、上流側から下流側へ流れ
る水等の流体についてはこれを通過させ、下流側から上
流側へ逆流する水等の流体についてはこれを阻止する逆
止弁として、図４〜図６のそれぞれ図（Ａ）及び図
（Ｂ）に示す球型、かさ型、逆かさ型のものがある。こ
れらの各逆止弁１〜３は、いずれもフロート室４内に配
設されたフロート弁体５〜７を有し、流出口８側に環状
の着座部９が設けられている。この着座部９は、流出口
８の周囲から複数本の支持部材１０によって支持されて
おり、上流側から下流側へ水等が流れているときは、フ
ロート弁体５〜７は流体の勢いによって当該環状の着座
部９へ押し付けられて着座し、流出口８との間に所定の
間隙（流路）１１を確保している（図４〜図６の各図
（Ａ）を参照）。従って、水等の流体は、流入口１２か
らフロート室４へ入り、着座状態のフロート弁体５〜７
と流出口８との間に形成される前記流路１１を通って流
出口８へ流れ込み、下流側へと排出される。

【０００３】一方、下流側から水等の流体が逆流してき
た場合は、図４〜図６の各図（Ｂ）に示すように、この
逆流水のフロート室４への侵入によってフロート弁体５
〜７が押し上げられ、やがてフロート弁体５〜７の上部
の一部が流入口１２を閉塞し、逆流を防止している。

【０００４】また従来において、このような逆止弁１〜
３は、図７に示す、浴槽水の循環追焚き機能を備えた浴
槽装置の水受を排水する装置に利用されている。循環追
焚き機能を備えた浴槽装置は、浴槽水を循環させる系路
の途中に追焚き釜を設けており、浴槽水の温度が低下す
ると、浴槽水を循環させて追焚き釜で再加熱し、所望す
る温度に温めている。この循環系路と浴槽１３との接続
は、浴槽１３の循環口に取り付けられる金具１４によっ
て行われている。ところが、この取付金具１４は、浴槽
１３を設置した後に浴槽１３内から循環口を通じて取り
付けなければならず、その取り付けが不十分になること
があり、漏水するおそれがあった。

【０００５】そのため、従来では仮に漏水が発生した場
合であっても、これを排水できるように、循環口取付金
具１４の下方に水受１５を設置し、洗場１６の下面の排
水トラップ１７へ連通接続していた。そして、その途中
に、前述した逆止弁１〜３のいずれかを配設し、排水ト
ラップ１７側から水受１５側へ逆流が生じないようにし
ていた。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】ところが、図４及び図
５に示す従来の逆止弁１及び２の場合は、フロート弁体
５及び６の形状が球型又は円錐状であるため、同図の各
図（Ｂ）に示すように、水等の流体が逆流してきた場合
に、フロート弁体５及び６がふらつき、中心を維持する
精度に劣り、流入口１２とフロート弁体５及び６との接
合（着座姿勢）がいびつになることがあった。そのた
め、流入口１２とフロート弁体５及び６との間に、部分
的に隙間ができることがあり、逆流を完全に阻止できな
い場合があった。このことは、逆流する流体の圧力が微
圧である場合に顕著であった。

【０００７】また図６に示す従来の逆止弁３の場合は、
同図の図（Ｂ）に示すように、フロート弁体７が逆かさ
型であるため、逆かさ部分に上流側からの汚れが付着
し、やがて流入口１２との接合に際し、その周囲の一部
に間隙が形成され、やはり逆流を阻止できない場合があ
った。

【０００８】更に、前記従来の逆止弁３はいずれの場合
も、気体の流通に対してはフロート弁体５〜７自体がフ
ロートとして機能することがなく、気体を自由に流通さ
せていた。

【０００９】そのため、このような逆流防止機能に問題
があり、また気体を自由に流通させる従来の逆止弁１〜
３を用いた図７の浴槽水水受の排水設備では、排水トラ
ップ１７からの汚水が逆止弁１〜３を通過して水受１５
へ流れ、オーバーフローして浴槽１３の背面側と建物躯
体との間の床等を腐らせる虞れがあった。しかも、入浴
使用中における排水トラップ１７からの蒸気が、前記逆
止弁１〜３を自由に通過して水受１５から浴槽１３の背
面側へ流出し、やはり建物躯体との間の床等を湿らせる
という問題があった。

【００１０】また寒冷地等の凍結の虞れがある地方で
は、排水トラップ１７等の水が溜まる部材には保温材を
巻いたりしてトラップ内の封水が凍結しないようにして
いる。ところが、建物躯体の壁面を通じて浴槽１３の背
面側へ伝わる冷気及び循環釜との浴槽１３との循環系路
からの伝熱等により伝わる冷気により、浴槽１３の背面
側と建物躯体との間の空気が冷却され、この冷気が前記
逆止弁１〜３を通過して排水トラップ１７内の封水を凍
結させ、排水トラップ１７を損壊させる虞れがあった。

【００１１】

【課題を解決するための手段】本発明は従来の前記課題
に鑑みてこれを改良除去したものであって、逆流を確実
に防止でき、また気体の流通をも遮断することのできる
逆止弁及びこれを利用した浴槽水水受の排水構造を提供
せんとするものである。

【００１２】而して、前記課題を解決するために本発明
が採用した請求項１の手段は、フロート室にフロート弁
体を配置し、流体の下流側から上流側への逆流を防止す
る弁体において、フロート弁体のフロート底面を流出口
へ着座し得る構造とし、フロート底面の大きさを流出口
の断面積よりも大きくしたことを特徴とする逆止弁であ
る。通常は、フロート弁体が流出口を閉塞しているの
で、気体の流通は遮断されている。また逆流に対して
は、フロート弁体が逆流水の侵入量に応じて上昇し、や
がて流入口を閉塞するので、逆流を防止することも可能
である。

【００１３】本発明が採用した請求項２の手段は、浴槽
外部の循環口取付金具の水受と排水トラップとを配管接
続し、その中間に請求項１に記載の逆止弁を配設したこ
とを特徴とする浴槽水水受の排水構造である。逆流防止
機能に加えて、気体の流通を遮断することができるの
で、排水トラップ側から水蒸気が浴槽背面側へ回り込ん
だり、また浴槽背面側の冷気が排水トラップ内へ入り込
んで封水を凍結させることもない。

【００１４】本発明が採用した請求項３の手段は、浴槽
外部の循環口取付金具の水受と浴室洗場とを配管接続
し、その中間に請求項１に記載の逆止弁を配設したこと
を特徴とする浴槽水水受の排水構造である。この発明に
おいては、浴室内の蒸気が浴槽背面側へ回り込むことが
なく、また浴槽背面側の冷気が浴室内へ流入することも
ない。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下に、本発明の構成を図面に示
す発明の実施の形態に基づいて説明すると次の通りであ
る。なお、従来の場合と同一符号は同一部材である。図
１は本発明の一実施の形態に係る逆止弁１８を示す概略
縦断面図であり、図（Ａ）は待機状態の時の縦断面図、
図（Ｂ）は逆流時の縦断面図である。この実施の形態に
係る逆止弁１８は、フロート弁体１９の底面の面積が流
出口８の開口面積よりも大きくなるように設定されてお
り、待機状態の時は、フロート弁体１９はその底面を流
出口８へ着座させてこれを閉塞するようにしている。フ
ロート弁体１９の周囲には、複数の翼部材２０が放射状
に取り付けられている。翼部材２０は、フロート弁体１
９が傾いたときに、フロート室４の内周面と接合して心
ズレを起こさないようにするためのものであり、自動調
心作用を有している。また流体は、翼部材２０どうしの
間を通過することが可能である。フロート弁体１９の上
面には、ゴムパッキン２１が取り付けられており、逆流
時に流入口１２の周囲天井に密着してこれを閉塞するこ
とができるようになされている。

【００１６】このように構成された逆止弁１８は、待機
状態の時は、同図の図（Ａ）に示すように、フロート弁
体１９の底面が流出口８に着座してこれを閉塞してい
る。そのため、気体の流通を遮断することが可能であ
る。なお、流出口８からフロート室４へ流入しようとす
る気体に対しては、フロート弁体１９の重量がその流入
を遮断する錘としての役目を有しているので、気体の圧
力等を勘案してその重量を決定すればよい。流入口１２
からフロート室４へ流入する気体の場合は、その圧力は
フロート弁体４の底面を流出口８へ押し付けるように作
用するので、その重量を特に考慮する必要はない。

【００１７】このような待機状態から水等の液体が流入
口１２からフロート室４へ流入すると、フロート弁体１
９はフロート室４へ溜まった水の量に応じて浮力が生じ
て浮き上がり、流出口８を開放する。そのため、フロー
ト室４から流出口８を通じて水が排出される。以後は、
フロート弁体１９が上昇を繰り返し、同様にして水の排
出を行う。

【００１８】また水等の逆流時には、同図の図（Ｂ）に
示すように、流出口８からフロート室４へ逆流して侵入
してきた水の水位の上昇によってフロート弁体１９が浮
き上がり、やがてゴムパッキン２１が流入口１２の周囲
に密着してこれを閉塞するようになる。そのため、水は
行き場を失い、逆流が阻止される。

【００１９】図２は、本発明の別の実施の形態に係る逆
止弁２２を示すものである。この逆止弁２２は、フロー
ト弁体１９の底面にもゴムパッキン２１を配設したもの
である。従って、待機状態の時はフロート弁体１９の自
重によってゴムパッキン２１が流出口８の周囲に密着
し、これを閉塞している。その他の構成並びに作用効果
は、前記図１に示す場合と同じであり、ここでの説明は
省略する。

【００２０】図３は、本発明の図１及び図２に示す逆止
弁１８又は２２を浴槽水水受の排水構造に適用した場合
を示すものであり、図（Ａ）は水受１５の排水系路２３
が排水トラップ１７へ連通接続された場合、図（Ｂ）は
水受１５の排水系路２３が浴室洗場１６へ連通接続され
た場合の概略縦断面図である。図（Ａ）に示すように、
逆止弁機能に優れ、気体の流通を遮断することのできる
逆止弁１８又は２２を排水系路２３の途中に配設するこ
とにより、排水トラップ１７からの汚水が逆止弁１８又
は２２を通過して水受１５へ逆流することがなくなる。
そのため、浴槽１３の背面側と建物躯体との間の床等が
逆流水によって腐敗する等の問題は起こり得ない。ま
た、入浴中における排水トラップ１７からの蒸気が、逆
止弁１８又は２２を通過して水受１５側へ抜け出ること
もなく、浴槽１３の背面側を湿らす等の問題もない。こ
のことは、寒冷地等の凍結の虞れがある地方の場合であ
っても、建物躯体の壁面を通じて浴槽１３の背面側へ伝
わる冷気等により、浴槽１３の背面側と建物躯体との間
の空気が冷却されても、この冷気の流通が前記逆止弁１
８又は２２によって遮断されるので、排水トラップ１７
側へ流入することがなく、排水トラップ１７内の封水の
凍結による損壊等も起こり得ない。

【００２１】このことは、同図の図（Ｂ）に示す浴槽水
水受の排水構造の場合でも同じである。即ち、浴室洗場
１６からの水の逆流を確実に防止でき、また浴室洗場１
６からの蒸気の逆流及び浴槽背面側からの浴室洗場１６
への冷気の侵入を確実に阻止することが可能である。

【００２２】

【発明の効果】以上説明したように本発明にあっては、
フロート室にフロート弁体を配置し、流体の下流側から
上流側への逆流を防止する弁体において、フロート弁体
のフロート底面を流出口へ着座し得る構造とし、フロー
ト底面の大きさを流出口の断面積よりも大きくしたか
ら、通常の待機状態では、フロート弁体が流出口の周囲
に着座してこれを閉塞することになる。そのため、気体
の流通が遮断される。また逆流に対しては、フロート弁
体が逆流水の侵入量に応じて上昇し、やがて流入口を閉
塞するので、逆流を防止することも可能である。

【００２３】また本発明にあっては、浴槽外部の循環口
取付金具の水受と排水トラップとを配管接続し、その中
間に前記の逆止弁を配設している。これにより、逆流防
止機能に加えて、気体の流通を遮断することができるの
で、排水トラップ側から水蒸気が浴槽背面側へ回り込ん
だり、また浴槽背面側の冷気が排水トラップ内へ入り込
んで封水を凍結させることもない。

【００２４】更に、本発明にあっては、浴槽外部の循環
口取付金具の水受と浴室洗場とを配管接続し、その中間
に前記の逆止弁を配設している。この発明の場合は、逆
流防止機能に加えて、浴室内の蒸気が浴槽背面側へ回り
込むことがなく、また浴槽背面側の冷気が浴室内へ流入
することもない。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施の形態に係る逆止弁を示す概略
縦断面図であり、図（Ａ）は待機状態の時の縦断面図、
図（Ｂ）は逆流時の縦断面図である。

【図２】本発明の別の実施の形態に係る逆止弁の概略縦
断面図である。

【図３】本発明に係る逆止弁を適用した浴槽水水受の排
水構造を示す縦断面図であり、図（Ａ）は水受と排水ト
ラップとを結ぶ排水系路の途中へ配設した場合、図
（Ｂ）は水受と浴室洗場とを結ぶ排水系路の途中へ配設
した場合である。

【図４】従来の球型の逆止弁を示すものであり、図
（Ａ）は通常時の縦断面図、図（Ｂ）は逆流時の縦断面
図である。

【図５】従来のかさ型の逆止弁を示すものであり、図
（Ａ）は通常時の縦断面図、図（Ｂ）は逆流時の縦断面
図である。

【図６】従来の逆かさ型の逆止弁を示すものであり、図
（Ａ）は通常時の縦断面図、図（Ｂ）は逆流時の縦断面
図である。

【図７】従来の浴槽水水受の排水構造を示す概略縦断面
図である。

【符号の説明】

４…フロート室 ８…流出口 １２…流入口 １３…浴槽 １４…循環口取付金具 １５…水受 １６…浴室洗場 １７…排水トラッ
プ １８…逆止弁 １９…フロート弁
体 ２０…翼部材 ２１…ゴムパッキ
ン ２２…逆止弁 ２３…排水系路

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】フロート室にフロート弁体を配置し、流体
   の下流側から上流側への逆流を防止する弁体において、
   フロート弁体のフロート底面を流出口へ着座し得る構造
   とし、フロート底面の大きさを流出口の断面積よりも大
   きくしたことを特徴とする逆止弁。
2. 【請求項２】浴槽外部の循環口取付金具の水受と排水ト
   ラップとを配管接続し、その中間に請求項１に記載の逆
   止弁を配設したことを特徴とする浴槽水水受の排水構
   造。
3. 【請求項３】浴槽外部の循環口取付金具の水受と浴室洗
   場とを配管接続し、その中間に請求項１に記載の逆止弁
   を配設したことを特徴とする浴槽水水受の排水構造。