JP2000017389A - 靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管およびその継目無鋼管用Cr−Mo系低合金鋼 - Google Patents
靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管およびその継目無鋼管用Cr−Mo系低合金鋼Info
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【課題】旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 05
51に規定される粒度番号の7番以下の粗粒にもかかわ
らず、良好な靱性を有するCr−Mo系低合金鋼継目無
鋼管とそのためのCr−Mo系低合金鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、Cr:0.05〜1.5%、M
o:0.05〜1.0%を含み、主な組織が焼戻しマル
テンサイトで、その粒界にM23C6 タイプを除く炭化物
で、主としてMC3 タイプの炭化物が析出しているCr
−Mo系低合金鋼継目無鋼管。合金成分のC、Si、M
n、P、S、soL、Al、Cr、Mo、Ti、N、B
の重量%は特定されており、下記の式で求められる有
効Bの量[B]が0〜0.0005%未満であり、かつ
CrとMoの関係が下記式を満たす合金 [B]=B+0.2259×Ti−0.7723×N・
・・ Mo×Cr≦0.55・・・
51に規定される粒度番号の7番以下の粗粒にもかかわ
らず、良好な靱性を有するCr−Mo系低合金鋼継目無
鋼管とそのためのCr−Mo系低合金鋼を提供する。 【解決手段】重量%で、Cr:0.05〜1.5%、M
o:0.05〜1.0%を含み、主な組織が焼戻しマル
テンサイトで、その粒界にM23C6 タイプを除く炭化物
で、主としてMC3 タイプの炭化物が析出しているCr
−Mo系低合金鋼継目無鋼管。合金成分のC、Si、M
n、P、S、soL、Al、Cr、Mo、Ti、N、B
の重量%は特定されており、下記の式で求められる有
効Bの量[B]が0〜0.0005%未満であり、かつ
CrとMoの関係が下記式を満たす合金 [B]=B+0.2259×Ti−0.7723×N・
・・ Mo×Cr≦0.55・・・
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、靭性に優れたCr
−Mo系低合金鋼継目無鋼管とこの継目無鋼管用のCr
−Mo系低合金鋼に関する。より詳しくは、熱間による
製管後、管をAr3変態点以下の温度に冷却せず、熱間加
工時の保有熱を有効に利用して焼入れ処理し、次いで焼
戻し処理する、いわゆるインライン熱処理プロセスによ
って製造されるCr−Mo系の低合金鋼からなる継目無
鋼管で、主な組織が焼戻しマルテンサイト、旧オーステ
ナイト結晶粒度がJIS G 0551に規定される粒
度番号の7番以下であるにもかかわらず、靱性が優れた
Cr−Mo系低合金鋼継目無鋼管とそのためのCr−M
o系低合金鋼に関する。
−Mo系低合金鋼継目無鋼管とこの継目無鋼管用のCr
−Mo系低合金鋼に関する。より詳しくは、熱間による
製管後、管をAr3変態点以下の温度に冷却せず、熱間加
工時の保有熱を有効に利用して焼入れ処理し、次いで焼
戻し処理する、いわゆるインライン熱処理プロセスによ
って製造されるCr−Mo系の低合金鋼からなる継目無
鋼管で、主な組織が焼戻しマルテンサイト、旧オーステ
ナイト結晶粒度がJIS G 0551に規定される粒
度番号の7番以下であるにもかかわらず、靱性が優れた
Cr−Mo系低合金鋼継目無鋼管とそのためのCr−M
o系低合金鋼に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管は、溶接管に比較して信頼性
が高いので、過酷な油井環境や高温環境で使用されるこ
とが多く、高強度化、靱性向上および耐サワー性の向上
が常に要求されている。これらの要求を満たすため、従
来は、1.5%までのCrと1.0%までのMoを含有
する例えば1Cr−0.5Mo鋼に代表される焼入れ性
の高いCr−Mo鋼を用い、オフラインの調質処理によ
って結晶粒の大きさがJIS G 0551に規定され
る粒度番号で8番以上の微細粒にして製造されてきた。
しかし、生産効率や省エネルギーの観点から考えると、
インラインの熱処理の方が有利である。
が高いので、過酷な油井環境や高温環境で使用されるこ
とが多く、高強度化、靱性向上および耐サワー性の向上
が常に要求されている。これらの要求を満たすため、従
来は、1.5%までのCrと1.0%までのMoを含有
する例えば1Cr−0.5Mo鋼に代表される焼入れ性
の高いCr−Mo鋼を用い、オフラインの調質処理によ
って結晶粒の大きさがJIS G 0551に規定され
る粒度番号で8番以上の微細粒にして製造されてきた。
しかし、生産効率や省エネルギーの観点から考えると、
インラインの熱処理の方が有利である。
【0003】そこで、加工熱処理をうまく活用して結晶
粒の微細化を図ることによって靭性を確保し、オフライ
ンの熱処理を省略することが検討されてきた。例えば、
特開昭61−238917号公報には、インラインで冷
却、加熱を組み合わせて組織の微細化を図った後、直接
焼入れすることによって靭性の良好な鋼材を得る方法が
示されている。
粒の微細化を図ることによって靭性を確保し、オフライ
ンの熱処理を省略することが検討されてきた。例えば、
特開昭61−238917号公報には、インラインで冷
却、加熱を組み合わせて組織の微細化を図った後、直接
焼入れすることによって靭性の良好な鋼材を得る方法が
示されている。
【0004】しかし、適切な温度での加工と冷却、再加
熱を必要とするため、省エネルギー量はそれほど大きく
ない。また、装置の制約から、すべての製造サイズに適
用することが困難であるといった問題点があった。した
がって、インラインの熱処理で得られる比較的粗粒の結
晶粒径であっても靭性が確保できる手段が必要とされて
た。
熱を必要とするため、省エネルギー量はそれほど大きく
ない。また、装置の制約から、すべての製造サイズに適
用することが困難であるといった問題点があった。した
がって、インラインの熱処理で得られる比較的粗粒の結
晶粒径であっても靭性が確保できる手段が必要とされて
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、比較
的粗粒の結晶粒径、具体的には旧オーステナイト結晶粒
度がJIS G 0551に規定される粒度番号の7番
以下の粗粒にもかかわらず、良好な靱性を有するCr−
Mo系低合金鋼継目無鋼管とそのためのCr−Mo系低
合金鋼を提供することにある。
的粗粒の結晶粒径、具体的には旧オーステナイト結晶粒
度がJIS G 0551に規定される粒度番号の7番
以下の粗粒にもかかわらず、良好な靱性を有するCr−
Mo系低合金鋼継目無鋼管とそのためのCr−Mo系低
合金鋼を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)の靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
と、下記(2)および(3)の継目無鋼管用のCr−M
o系低合金鋼にある。
(1)の靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
と、下記(2)および(3)の継目無鋼管用のCr−M
o系低合金鋼にある。
【0007】(1)重量%で、Cr:0.05〜1.5
%、Mo:0.05〜1.0%を含むCr−Mo系低合
金鋼継目無鋼管であって、主な組織が焼戻しマルテンサ
イトで、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 05
51に規定される粒度番号の7番以下であり、旧オース
テナイト粒界にM23C6 を除くタイプで、主としてM3
C タイプの炭化物が析出しているCr−Mo系低合金
鋼継目無鋼管。
%、Mo:0.05〜1.0%を含むCr−Mo系低合
金鋼継目無鋼管であって、主な組織が焼戻しマルテンサ
イトで、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 05
51に規定される粒度番号の7番以下であり、旧オース
テナイト粒界にM23C6 を除くタイプで、主としてM3
C タイプの炭化物が析出しているCr−Mo系低合金
鋼継目無鋼管。
【0008】(2)重量%で、C:0.15〜0.35
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5
%、P:0.05%以下、S:0.004%以下、so
l.Al:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜
1.5%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.
05%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、
Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050
%、REM:0〜0.0050%、N:0.01%以
下、B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避
的不純物からなり、下記の式または式で求められる
有効Bの量〔B〕が0〜0.0005%未満であり、か
つCrとMoの関係が下記の式を満たす化学組成を有
する継目無鋼管用のCr−Mo系低合金鋼。
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5
%、P:0.05%以下、S:0.004%以下、so
l.Al:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜
1.5%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.
05%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、
Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050
%、REM:0〜0.0050%、N:0.01%以
下、B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避
的不純物からなり、下記の式または式で求められる
有効Bの量〔B〕が0〜0.0005%未満であり、か
つCrとMoの関係が下記の式を満たす化学組成を有
する継目無鋼管用のCr−Mo系低合金鋼。
【0009】 Ti<3.419×Nの場合 〔B〕=B+0.2259×Ti−0.7723×N ・・・ Ti≧3.419×Nの場合 〔B〕=B ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Mo×Cr≦0.55 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここで、各式中の元素記号は、鋼中のそれぞれの元素の
含有量(重量%)である。
含有量(重量%)である。
【0010】(3)重量%で、C:0.15〜0.35
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5
%、P:0.05%以下、S:0.004%以下、so
l.Al:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜
1.5%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.
05%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、
Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050
%、REM:0〜0.0050%、N:0.01%以
下、B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避
的不純物であり、下記の式または式で求められる有
効Bの量〔B〕が0.0005〜0.0015%であ
り、かつCrとMoの関係が下記の式を満たす化学組
成を有する継目無鋼管用のCr−Mo系低合金鋼。
%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5
%、P:0.05%以下、S:0.004%以下、so
l.Al:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜
1.5%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.
05%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、
Ca:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050
%、REM:0〜0.0050%、N:0.01%以
下、B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避
的不純物であり、下記の式または式で求められる有
効Bの量〔B〕が0.0005〜0.0015%であ
り、かつCrとMoの関係が下記の式を満たす化学組
成を有する継目無鋼管用のCr−Mo系低合金鋼。
【0011】 Ti<3.419×Nの場合 〔B〕=B+0.2259×Ti−0.7723×N ・・・ Ti≧3.419×Nの場合 〔B〕=B ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Mo×Cr≦0.16 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここで、元素記号は、鋼中のそれぞれの含有量(重量
%)である。
%)である。
【0012】上記の(2)と(3)に記載の本発明合金
鋼は、Pの含有量が0.015%以下であることが好ま
しい。
鋼は、Pの含有量が0.015%以下であることが好ま
しい。
【0013】上記の本発明は、下記の知見に基づいて完
成された。すなわち、本発明者らは、生産効率や省エネ
ルギーの観点からインライン熱処理プロセスによって製
造された結晶粒径が粗大なCr−Mo系低合金鋼継目無
鋼管の靱性を向上させる方法について鋭意検討した結
果、次のことが判明した。
成された。すなわち、本発明者らは、生産効率や省エネ
ルギーの観点からインライン熱処理プロセスによって製
造された結晶粒径が粗大なCr−Mo系低合金鋼継目無
鋼管の靱性を向上させる方法について鋭意検討した結
果、次のことが判明した。
【0014】熱間での加工後、室温付近にまで一旦冷却
された鋼材をAC3変態点以上に再加熱して焼入れ焼戻し
処理を行う、いわゆるオフライン熱処理プロセスで製造
される鋼材では、旧オーステナイト粒界に析出するM23
C6 タイプの炭化物が粗大になると靭性が低下する。そ
こで、焼入れ時に炭化物の粗大化を助長するB含有量を
適正化すれば、M23C6 タイプの炭化物が微細となり、
十分な靭性の確保が可能なことが知られている(鉄と
鋼、vol.72、No. 2、233頁(1986)参
照)。
された鋼材をAC3変態点以上に再加熱して焼入れ焼戻し
処理を行う、いわゆるオフライン熱処理プロセスで製造
される鋼材では、旧オーステナイト粒界に析出するM23
C6 タイプの炭化物が粗大になると靭性が低下する。そ
こで、焼入れ時に炭化物の粗大化を助長するB含有量を
適正化すれば、M23C6 タイプの炭化物が微細となり、
十分な靭性の確保が可能なことが知られている(鉄と
鋼、vol.72、No. 2、233頁(1986)参
照)。
【0015】オフライン熱処理プロセスで製造され、そ
の旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 0551に
規定される粒度番号の8番以上である微細粒組織の鋼材
の場合には、確かに上記の方法で十分である。しかし、
インライン熱処理プロセスで製造され、その旧オーステ
ナイト結晶粒度がJIS G 0551に規定される粒
度番号の7番以下の粗粒組織の鋼材の場合、B含有量を
制御するだけでは、靱性は全く向上しない。
の旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 0551に
規定される粒度番号の8番以上である微細粒組織の鋼材
の場合には、確かに上記の方法で十分である。しかし、
インライン熱処理プロセスで製造され、その旧オーステ
ナイト結晶粒度がJIS G 0551に規定される粒
度番号の7番以下の粗粒組織の鋼材の場合、B含有量を
制御するだけでは、靱性は全く向上しない。
【0016】そこで、上記の課題を達成するために、旧
オーステナイト結晶粒度がJISG 0551に規定さ
れる粒度番号の7番以下の粗粒組織のCr−Mo系低合
金鋼材の靭性を支配する因子を見いだす調査を行った。
その結果、旧オーステナイト粒界に析出する炭化物をM
23C6 タイプからM3C タイプに変化させると、粗粒組
織であるにもかかわらず、靱性が飛躍的に向上する。ま
た、M3C タイプの炭化物は、B、CrおよびMoの含
有量を次のように制御すれば、M23C6 タイプの炭化物
に変わって確実に粒界に析出する。
オーステナイト結晶粒度がJISG 0551に規定さ
れる粒度番号の7番以下の粗粒組織のCr−Mo系低合
金鋼材の靭性を支配する因子を見いだす調査を行った。
その結果、旧オーステナイト粒界に析出する炭化物をM
23C6 タイプからM3C タイプに変化させると、粗粒組
織であるにもかかわらず、靱性が飛躍的に向上する。ま
た、M3C タイプの炭化物は、B、CrおよびMoの含
有量を次のように制御すれば、M23C6 タイプの炭化物
に変わって確実に粒界に析出する。
【0017】先ず第1に、鋼に含まれるBの含有量を
0.0030%以下に制限する。そのうえで、焼入れ前
においてNと結合していないフリーなB(本明細書にお
いてはこれを有効Bという)であって、上記の式また
は式で求められる有効B量〔B〕を0〜0.0005
%未満にするとともに、CrとMoの含有量を前記の
式を満たす値にする。または、有効B量〔B〕を0.0
005〜0.0015%にするとともに、CrとMoの
含有量を前記の式を満たす値にする。
0.0030%以下に制限する。そのうえで、焼入れ前
においてNと結合していないフリーなB(本明細書にお
いてはこれを有効Bという)であって、上記の式また
は式で求められる有効B量〔B〕を0〜0.0005
%未満にするとともに、CrとMoの含有量を前記の
式を満たす値にする。または、有効B量〔B〕を0.0
005〜0.0015%にするとともに、CrとMoの
含有量を前記の式を満たす値にする。
【0018】図1と図2は、CrとMoの含有量および
上記の有効B量〔B〕がM3C タイプの炭化物析出に及
ぼす影響と、靱性との関係を示す図の一例で、図1は有
効B量〔B〕が0〜0.0005%未満、図2は有効B
量〔B〕が0.0005〜0.0015%で、いずれも
TiとNの含有量がそれぞれ0〜0.03%、0.00
30〜0.0070%の場合である。
上記の有効B量〔B〕がM3C タイプの炭化物析出に及
ぼす影響と、靱性との関係を示す図の一例で、図1は有
効B量〔B〕が0〜0.0005%未満、図2は有効B
量〔B〕が0.0005〜0.0015%で、いずれも
TiとNの含有量がそれぞれ0〜0.03%、0.00
30〜0.0070%の場合である。
【0019】なお、図中の「○」印は、粒界にM23C6
タイプの炭化物が全く析出しておらず、M3C タイプの
炭化物のみで靱性が良好なことを示し、「●」印は、粒
界にM3C タイプの炭化物に加えてM23C6 タイプの炭
化物が析出していて靱性が良好でないことを示してい
る。
タイプの炭化物が全く析出しておらず、M3C タイプの
炭化物のみで靱性が良好なことを示し、「●」印は、粒
界にM3C タイプの炭化物に加えてM23C6 タイプの炭
化物が析出していて靱性が良好でないことを示してい
る。
【0020】ここで、上記のM23C6 またはM3C にお
けるMは、Crが主で、そのほかFe、Mo、Mnなど
である。
けるMは、Crが主で、そのほかFe、Mo、Mnなど
である。
【0021】上記の各条件のもとに、不純物中のPの含
有量を0.015%以下にすると、靭性が一段と向上す
る。
有量を0.015%以下にすると、靭性が一段と向上す
る。
【0022】
【発明の実施の形態】最初に、本発明の靭性に優れたC
r−Mo系低合金鋼継目無鋼管を得るのに用いて最も好
適な本発明になるCr−Mo系低合金鋼について説明す
る。なお、以下において、「%」は「重量%」を意味す
る。
r−Mo系低合金鋼継目無鋼管を得るのに用いて最も好
適な本発明になるCr−Mo系低合金鋼について説明す
る。なお、以下において、「%」は「重量%」を意味す
る。
【0023】《鋼の化学組成について》 C:Cは、強度を確保する目的で添加する。しかし、そ
の含有量が0.15%未満であると、焼入性が不足し、
焼戻温度を低下させても必要とする強度を確保すること
が難しい。一方、0.35%を超えて含有させると、C
rとMoの含有量を後述するように抑制しても、M23C
6 タイプの炭化物が粒界に析出するのを抑制できず、靭
性が低下する。また、焼き割れが発生しやすくなり、大
量生産が困難になる。このため、C含有量は0.15〜
0.35%とした。好ましい範囲は0.20〜0.28
%、より好ましい範囲は0.22〜0.25%である。
の含有量が0.15%未満であると、焼入性が不足し、
焼戻温度を低下させても必要とする強度を確保すること
が難しい。一方、0.35%を超えて含有させると、C
rとMoの含有量を後述するように抑制しても、M23C
6 タイプの炭化物が粒界に析出するのを抑制できず、靭
性が低下する。また、焼き割れが発生しやすくなり、大
量生産が困難になる。このため、C含有量は0.15〜
0.35%とした。好ましい範囲は0.20〜0.28
%、より好ましい範囲は0.22〜0.25%である。
【0024】Si:Siは、通常、鋼の脱酸を目的に添
加され、焼戻し軟化抵抗を高めて強度上昇に寄与する元
素である。脱酸の効果は、0.1%以上の含有量で得ら
れる。しかし、1.5%を超えて含有させると、熱間加
工性が著しく乏しくなる。このため、Si含有量は0.
1〜1.5%とした。好ましい範囲は0.3〜0.8%
である。
加され、焼戻し軟化抵抗を高めて強度上昇に寄与する元
素である。脱酸の効果は、0.1%以上の含有量で得ら
れる。しかし、1.5%を超えて含有させると、熱間加
工性が著しく乏しくなる。このため、Si含有量は0.
1〜1.5%とした。好ましい範囲は0.3〜0.8%
である。
【0025】Mn:Mnは、鋼の焼入性を増し、継目無
鋼管の強度を確保するのに有効な元素である。しかし、
その含有量が0.1%未満では、焼入性が不足し、強度
および靱性がともに低下する。一方、2.5%を超えて
含有させると偏析を増し、かえって靱性を低下させる。
このため、Mn含有量は0.1〜2.5%とした。
鋼管の強度を確保するのに有効な元素である。しかし、
その含有量が0.1%未満では、焼入性が不足し、強度
および靱性がともに低下する。一方、2.5%を超えて
含有させると偏析を増し、かえって靱性を低下させる。
このため、Mn含有量は0.1〜2.5%とした。
【0026】なお、Mnは、後述するCr、Moに比べ
ると小さいものの、M23C6 タイプの炭化物を析出させ
る作用を有している。したがって、その含有量は、高靭
性を確保する観点からはできるだけ少ない方が好まし
く、高くても0.8%程度まで、より好ましくは0.5
%までとするのが望ましい。
ると小さいものの、M23C6 タイプの炭化物を析出させ
る作用を有している。したがって、その含有量は、高靭
性を確保する観点からはできるだけ少ない方が好まし
く、高くても0.8%程度まで、より好ましくは0.5
%までとするのが望ましい。
【0027】P:Pは、不純物として鋼中に不可避的に
存在する。その含有量が0.05%を超えると、粒界に
偏析して靱性を低下させるので0.05%以下とした。
なお、より一層の靭性向上を図る観点からはその含有量
を低減するのが好ましく、0.015%以下にすると良
好な靭性が得られ、さらに0.008%以下にすると靭
性がより一層良好になる。
存在する。その含有量が0.05%を超えると、粒界に
偏析して靱性を低下させるので0.05%以下とした。
なお、より一層の靭性向上を図る観点からはその含有量
を低減するのが好ましく、0.015%以下にすると良
好な靭性が得られ、さらに0.008%以下にすると靭
性がより一層良好になる。
【0028】S:Sは、上記のPと同様に、不純物とし
て鋼中に不可避的に存在する。その含有量が0.004
%を超えると、上記のMnまたは後述の添加する場合の
CaやREMと結合して介在物を形成し、靱性を低下さ
せるので、0.004%以下とした。なお、より一層の
靭性向上を図る観点からはその含有量を低減するのが好
ましく、0.0015%以下にすると良好な靭性が得ら
れ、さらに0.0008%以下にすると靭性がより一層
良好になる。
て鋼中に不可避的に存在する。その含有量が0.004
%を超えると、上記のMnまたは後述の添加する場合の
CaやREMと結合して介在物を形成し、靱性を低下さ
せるので、0.004%以下とした。なお、より一層の
靭性向上を図る観点からはその含有量を低減するのが好
ましく、0.0015%以下にすると良好な靭性が得ら
れ、さらに0.0008%以下にすると靭性がより一層
良好になる。
【0029】sol.Al:Alは、鋼の脱酸のために
必要な元素である。しかし、その含有量がsol.Al
で0.001%未満であると脱酸不足によって鋼質が劣
化し、靱性が低下する。一方、sol.Alで0.1%
を超えて含有させると、かえって靱性の低下を招くため
好ましくない。このため、sol.Al含有量は0.0
01%〜0.1%とした。好ましい範囲は0.01〜
0.04%である。
必要な元素である。しかし、その含有量がsol.Al
で0.001%未満であると脱酸不足によって鋼質が劣
化し、靱性が低下する。一方、sol.Alで0.1%
を超えて含有させると、かえって靱性の低下を招くため
好ましくない。このため、sol.Al含有量は0.0
01%〜0.1%とした。好ましい範囲は0.01〜
0.04%である。
【0030】Cr、Mo:Crは、焼入性を高めるのに
有用な元素である。しかし、その含有量が0.05%未
満であると焼入性に劣るので、必要な強度が得られな
い。一方、1.5%を超えて含有させると、靱性の低下
が大きい。このため、Cr含有量は0.05〜1.5%
とした。
有用な元素である。しかし、その含有量が0.05%未
満であると焼入性に劣るので、必要な強度が得られな
い。一方、1.5%を超えて含有させると、靱性の低下
が大きい。このため、Cr含有量は0.05〜1.5%
とした。
【0031】Moは、焼入性および焼戻軟化抵抗を高め
るために添加する。また、耐サワー性能を向上させる効
果もある。しかし、その含有量が0.05%未満では上
記の効果が得られない。一方、1.0%を超えて含有さ
せると、靱性が悪化する。このため、Mo含有量は0.
05〜1.0%とした。
るために添加する。また、耐サワー性能を向上させる効
果もある。しかし、その含有量が0.05%未満では上
記の効果が得られない。一方、1.0%を超えて含有さ
せると、靱性が悪化する。このため、Mo含有量は0.
05〜1.0%とした。
【0032】ただし、CrとMoの含有量は、両者のバ
ランスが重要で、M23C6 タイプの炭化物が粒界に析出
するのを抑制し、M3C タイプの他に靱性に悪影響を及
ぼさないMCタイプやM6CタイプさらにはM7C3タイ
プなどの炭化物が若干含まれることもあるが、主として
M3C タイプの炭化物を粒界に析出させるためには、後
に詳述する有効B量〔B〕に応じて下記の式または
式を満たす量でなければならない。すなわち、有効B量
〔B〕が0〜0.0005%未満の場合には式を満た
す量、有効B量〔B〕が0.0005〜0.0015%
の場合には式を満たす量とする必要がある。
ランスが重要で、M23C6 タイプの炭化物が粒界に析出
するのを抑制し、M3C タイプの他に靱性に悪影響を及
ぼさないMCタイプやM6CタイプさらにはM7C3タイ
プなどの炭化物が若干含まれることもあるが、主として
M3C タイプの炭化物を粒界に析出させるためには、後
に詳述する有効B量〔B〕に応じて下記の式または
式を満たす量でなければならない。すなわち、有効B量
〔B〕が0〜0.0005%未満の場合には式を満た
す量、有効B量〔B〕が0.0005〜0.0015%
の場合には式を満たす量とする必要がある。
【0033】Mo×Cr≦0.55 ・・・ Mo×Cr≦0.16 ・・・ ここで、元素記号は、鋼中のそれぞれの元素の含有量
(重量%)である。
(重量%)である。
【0034】Nb:Nbは、インライン熱処理プロセス
で製造された継目無鋼管の強度バラツキを大きくする作
用を有するので、強度バラツキを抑制する観点からは添
加しない方がよい。しかし、Nbは、二次析出によって
鋼を大幅に強化し、強度の向上に大きく寄与する元素で
ある。したがって、その効果を得たい場合には、Nbを
添加することができる。しかし、0.005%未満の含
有量では上記の効果が得られない。一方、0.05%を
超えて含有させると、強度バラツキおよび靭性低下が大
きくなる。このため、添加する場合のNb含有量は0.
005〜0.05%とするのが望ましく、より好ましく
は0.005〜0.02%とするのが望ましい。
で製造された継目無鋼管の強度バラツキを大きくする作
用を有するので、強度バラツキを抑制する観点からは添
加しない方がよい。しかし、Nbは、二次析出によって
鋼を大幅に強化し、強度の向上に大きく寄与する元素で
ある。したがって、その効果を得たい場合には、Nbを
添加することができる。しかし、0.005%未満の含
有量では上記の効果が得られない。一方、0.05%を
超えて含有させると、強度バラツキおよび靭性低下が大
きくなる。このため、添加する場合のNb含有量は0.
005〜0.05%とするのが望ましく、より好ましく
は0.005〜0.02%とするのが望ましい。
【0035】Ti:Tiは、添加しなくてもよい。添加
すれば、Nとの結合力が強いので、高温から安定なTi
Nを形成してNを固定し、焼入れ時に鋼中のBがBNに
なるのを阻止して焼入性に有効なフリーなBにする作用
がある。また、二次析出効果によって鋼を強化し、強度
を向上させる作用もある。したがって、その効果を得た
い場合には、Tiを添加することができる。しかし、
0.005%未満の含有量では上記の効果が得られな
い。一方、0.05%を超えて含有させると、TiNや
TiCが多量に析出して靭性が低下する。このため、添
加する場合のTi含有量は0.005〜0.05%とす
るのが望ましく、より好ましくは0.005〜0.03
%とするのが望ましい。
すれば、Nとの結合力が強いので、高温から安定なTi
Nを形成してNを固定し、焼入れ時に鋼中のBがBNに
なるのを阻止して焼入性に有効なフリーなBにする作用
がある。また、二次析出効果によって鋼を強化し、強度
を向上させる作用もある。したがって、その効果を得た
い場合には、Tiを添加することができる。しかし、
0.005%未満の含有量では上記の効果が得られな
い。一方、0.05%を超えて含有させると、TiNや
TiCが多量に析出して靭性が低下する。このため、添
加する場合のTi含有量は0.005〜0.05%とす
るのが望ましく、より好ましくは0.005〜0.03
%とするのが望ましい。
【0036】V:Vは、添加しなくてもよい。添加すれ
ば、上記のNbやTiと同様に、二次析出効果によって
鋼を強化し、強度を向上させる作用がある。また、V
は、熱間加工時のVCの溶解度が大きいため、インライ
ンでの焼入時に全て固溶しており、強度バラツキの原因
にはならない。したがって、その効果を得たい場合に
は、Vを添加することができる。しかし、0.01%未
満の含有量では上記の効果が得られない。一方、0.3
0%を超えて含有させると靱性が大きく劣化する。この
ため、添加する場合のV含有量は0.01〜0.30%
とするのが望ましく、より好ましくは0.05〜0.2
5%とするのが望ましい。
ば、上記のNbやTiと同様に、二次析出効果によって
鋼を強化し、強度を向上させる作用がある。また、V
は、熱間加工時のVCの溶解度が大きいため、インライ
ンでの焼入時に全て固溶しており、強度バラツキの原因
にはならない。したがって、その効果を得たい場合に
は、Vを添加することができる。しかし、0.01%未
満の含有量では上記の効果が得られない。一方、0.3
0%を超えて含有させると靱性が大きく劣化する。この
ため、添加する場合のV含有量は0.01〜0.30%
とするのが望ましく、より好ましくは0.05〜0.2
5%とするのが望ましい。
【0037】Ca、Mg、REM これらの元素は、添加しなくてもよい。添加すれば、こ
れらの元素は鋼中のSと反応して溶鋼中で硫酸化物を生
成する。この硫酸化物は、圧延加工後も球状であり、圧
延方向に伸びることがない。このため、圧延直角方向の
衝撃性質を向上させ、さらには水素誘起割れを抑制する
作用もある。したがって、その効果を得たい場合には、
Ca、MgおよびREM(Ce、La、Yなど)のうち
から選ばれた1種または2種以上を添加することができ
る。
れらの元素は鋼中のSと反応して溶鋼中で硫酸化物を生
成する。この硫酸化物は、圧延加工後も球状であり、圧
延方向に伸びることがない。このため、圧延直角方向の
衝撃性質を向上させ、さらには水素誘起割れを抑制する
作用もある。したがって、その効果を得たい場合には、
Ca、MgおよびREM(Ce、La、Yなど)のうち
から選ばれた1種または2種以上を添加することができ
る。
【0038】しかし、いずれの元素も、その含有量が
0.0005%未満では、上記の効果が得られない。一
方、いずれの元素も、0.0050%を超えて含有させ
ると鋼中の介在物量が増え、清浄度が低下し、種々の性
能が低下する。このため、添加する場合のこれらの元素
の含有量は、いずれの元素も、0.0005〜0.00
50%とするのが望ましく、より好ましくは0.000
05〜0.0025%とするのが望ましい。
0.0005%未満では、上記の効果が得られない。一
方、いずれの元素も、0.0050%を超えて含有させ
ると鋼中の介在物量が増え、清浄度が低下し、種々の性
能が低下する。このため、添加する場合のこれらの元素
の含有量は、いずれの元素も、0.0005〜0.00
50%とするのが望ましく、より好ましくは0.000
05〜0.0025%とするのが望ましい。
【0039】N:Nは、上記のS、Pと同様に、不純物
として鋼中に不可避的に存在し、Al、TiおよびNb
と結合して窒化物を形成する。特に、その含有量が0.
01%を超えると、AlNやTiNが多量に析出し、靱
性、耐SSC性および耐HIC性に悪影響を及ぼす。こ
のため、N含有量は0.01%以下とした。好ましい上
限は、0.007%である。
として鋼中に不可避的に存在し、Al、TiおよびNb
と結合して窒化物を形成する。特に、その含有量が0.
01%を超えると、AlNやTiNが多量に析出し、靱
性、耐SSC性および耐HIC性に悪影響を及ぼす。こ
のため、N含有量は0.01%以下とした。好ましい上
限は、0.007%である。
【0040】B:Bは添加しなくてもよい。添加すれば
焼入れ性が向上し、特に厚肉の鋼管を製造する場合に有
効である。したがって、この効果を得たい場合には、B
を添加することができる。ただし、焼入れ性の向上に寄
与するBは、Nと結合していないフリーなB(有効B)
である。しかし、その有効B量〔B〕は、Nと添加する
場合のTiの影響を大きく受け、両者の関係が「Ti<
3.419×N」の場合には下記の式、「Ti≧3.
419×N」の場合には下記の式で求められる値にな
る。
焼入れ性が向上し、特に厚肉の鋼管を製造する場合に有
効である。したがって、この効果を得たい場合には、B
を添加することができる。ただし、焼入れ性の向上に寄
与するBは、Nと結合していないフリーなB(有効B)
である。しかし、その有効B量〔B〕は、Nと添加する
場合のTiの影響を大きく受け、両者の関係が「Ti<
3.419×N」の場合には下記の式、「Ti≧3.
419×N」の場合には下記の式で求められる値にな
る。
【0041】 〔B〕=B+0.2259×Ti−0.7723×N ・・・ 〔B〕=B ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ すなわち、Nと添加する場合のTiの関係が「Ti<
3.419×N」の場合には、添加したTiによってす
べてのNがTiNとして固定されず、過剰のNがBと結
合してBNを生成する。このため、有効B量〔B〕は添
加B量よりも減少し、上記の式で求められる値にな
る。なお、式で求められる値が「負」になる場合に
は、添加B量のすべてがNと結合し、BNとして固定さ
れることを意味するので、有効B量〔B〕は0となる。
3.419×N」の場合には、添加したTiによってす
べてのNがTiNとして固定されず、過剰のNがBと結
合してBNを生成する。このため、有効B量〔B〕は添
加B量よりも減少し、上記の式で求められる値にな
る。なお、式で求められる値が「負」になる場合に
は、添加B量のすべてがNと結合し、BNとして固定さ
れることを意味するので、有効B量〔B〕は0となる。
【0042】これに対し、Nと添加する場合のTiの関
係が「Ti≧3.419×N」の場合には、添加したT
iによってすべてのNがTiNとして固定され、BNは
生成しない。このため、この場合の有効B量〔B〕は添
加B量と等しので、式で表される値になる。
係が「Ti≧3.419×N」の場合には、添加したT
iによってすべてのNがTiNとして固定され、BNは
生成しない。このため、この場合の有効B量〔B〕は添
加B量と等しので、式で表される値になる。
【0043】焼入れ性向上効果は、有効B量〔B〕が
0.0001%以上で得られる。しかし、過剰な有効B
は、靱性を低下させるM23C6 タイプの炭化物の粒界析
出を助長し、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G
0551に規定される粒度番号の7番以下の粗粒組織の
Cr−Mo系低合金鋼材の靱性を低下させる。
0.0001%以上で得られる。しかし、過剰な有効B
は、靱性を低下させるM23C6 タイプの炭化物の粒界析
出を助長し、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G
0551に規定される粒度番号の7番以下の粗粒組織の
Cr−Mo系低合金鋼材の靱性を低下させる。
【0044】ところが、上記の有効Bを全く存在させな
いか、存在させてもその有効B量〔B〕を0.0005
%未満にするとともに、CrとMoの含有量を前述した
式を満たすように調整すれば、M23C6 タイプの炭化
物に代わって主としてM3Cタイプの炭化物が粒界に析
出し、靱性が飛躍的に向上する。
いか、存在させてもその有効B量〔B〕を0.0005
%未満にするとともに、CrとMoの含有量を前述した
式を満たすように調整すれば、M23C6 タイプの炭化
物に代わって主としてM3Cタイプの炭化物が粒界に析
出し、靱性が飛躍的に向上する。
【0045】また、有効B量〔B〕が0.0005%以
上の領域では、その上限を0.0015%に制限したう
えで、CrとMoの含有量を前述したの関係を満たす
ように調整すれば、上記の場合と同様に、M23C6 タイ
プの炭化物に代わって主としてM3C タイプの炭化物が
粒界に析出し、靱性が飛躍的に向上する。
上の領域では、その上限を0.0015%に制限したう
えで、CrとMoの含有量を前述したの関係を満たす
ように調整すれば、上記の場合と同様に、M23C6 タイ
プの炭化物に代わって主としてM3C タイプの炭化物が
粒界に析出し、靱性が飛躍的に向上する。
【0046】すなわち、CrとMoの関係が前述した
式を満たす鋼では、有効B量〔B〕が0.0005%以
上であると、粒界にM23C6 タイプの炭化物が析出し、
靱性が著しく低下する。また、CrとMoの関係が前述
した式を満たす鋼では、有効B量〔B〕が0.001
5%を超えると、粒界にM23C6 タイプの炭化物が析出
し、靱性が著しく低下する。
式を満たす鋼では、有効B量〔B〕が0.0005%以
上であると、粒界にM23C6 タイプの炭化物が析出し、
靱性が著しく低下する。また、CrとMoの関係が前述
した式を満たす鋼では、有効B量〔B〕が0.001
5%を超えると、粒界にM23C6 タイプの炭化物が析出
し、靱性が著しく低下する。
【0047】このため、本発明においては、前述した
式または式で求められる有効B量〔B〕を、CrとM
oの関係が前述した式を満たす鋼については0〜0.
0005%未満、式を満たす鋼については0.000
5〜0.0015%と定めた。
式または式で求められる有効B量〔B〕を、CrとM
oの関係が前述した式を満たす鋼については0〜0.
0005%未満、式を満たす鋼については0.000
5〜0.0015%と定めた。
【0048】なお、鋼中のB含有量が0.0030%を
超えると、炭硼化物の析出が多くなって耐硫化物応力割
れ性が低下する。また、冷却速度によってはかえって焼
入れ性が低下することもある。このため、B含有量の上
限は0.0030%とした。
超えると、炭硼化物の析出が多くなって耐硫化物応力割
れ性が低下する。また、冷却速度によってはかえって焼
入れ性が低下することもある。このため、B含有量の上
限は0.0030%とした。
【0049】《本発明のCr−Mo系低合金鋼継目無鋼
管について》本発明のCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
は、重量%で、Cr:0.05〜1.5%、Mo:0.
05〜1.0%を含むCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
であって、主な組織が焼戻しマルテンサイトで、旧オー
ステナイト結晶粒度がJISG 0551に規定される
粒度番号の7番以下であり、旧オーステナイト粒界にM
23C6 を除くタイプで、主としてM3C タイプの炭化物
が析出している継目無鋼管である。この継目無鋼管は、
上記の化学組成を有するCr−Mo系低合金鋼のビレッ
トを素材とし、常法、例えばマンネスマン−マンドレル
ミル製管法によって熱間仕上げ成形された鋼管を、Ar3
変態点以上の温度に維持した状態で、仕上げ圧延機の後
段に設けられた熱処理設備に供給して焼入れ処理し、そ
の後例えば600〜750℃で焼戻し処理することによ
って製造される。
管について》本発明のCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
は、重量%で、Cr:0.05〜1.5%、Mo:0.
05〜1.0%を含むCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管
であって、主な組織が焼戻しマルテンサイトで、旧オー
ステナイト結晶粒度がJISG 0551に規定される
粒度番号の7番以下であり、旧オーステナイト粒界にM
23C6 を除くタイプで、主としてM3C タイプの炭化物
が析出している継目無鋼管である。この継目無鋼管は、
上記の化学組成を有するCr−Mo系低合金鋼のビレッ
トを素材とし、常法、例えばマンネスマン−マンドレル
ミル製管法によって熱間仕上げ成形された鋼管を、Ar3
変態点以上の温度に維持した状態で、仕上げ圧延機の後
段に設けられた熱処理設備に供給して焼入れ処理し、そ
の後例えば600〜750℃で焼戻し処理することによ
って製造される。
【0050】
【実施例】表1と表2に示す化学組成を有する26種類
の鋼を準備した。なお、表中のNo. 1〜20は本発明
鋼、No. 21〜25は比較例鋼である。
の鋼を準備した。なお、表中のNo. 1〜20は本発明
鋼、No. 21〜25は比較例鋼である。
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】上記の各鋼からなる外径276mmのビレ
ットを作製し、1250℃に加熱した後、マンネスマン
−マンドレルミル製管法に供して外径244.5mm、
肉厚13.8mmの継目無鋼管に成形した。成形後の継
目無鋼管は、その温度がAr3変態点以上である間に、仕
上げ圧延機の後段に設けられた熱処理設備を構成する炉
内温度が950℃の補加熱炉に装入して5分間在炉させ
て均一に補加熱した後に水焼入れした。次いで、水焼入
れ後の継目無鋼管は、上記の熱処理設備を構成する焼戻
し炉に装入し、表3に示す各条件で焼戻し処理するイン
ライン熱処理プロセスで製品管に仕上げた。
ットを作製し、1250℃に加熱した後、マンネスマン
−マンドレルミル製管法に供して外径244.5mm、
肉厚13.8mmの継目無鋼管に成形した。成形後の継
目無鋼管は、その温度がAr3変態点以上である間に、仕
上げ圧延機の後段に設けられた熱処理設備を構成する炉
内温度が950℃の補加熱炉に装入して5分間在炉させ
て均一に補加熱した後に水焼入れした。次いで、水焼入
れ後の継目無鋼管は、上記の熱処理設備を構成する焼戻
し炉に装入し、表3に示す各条件で焼戻し処理するイン
ライン熱処理プロセスで製品管に仕上げた。
【0054】得られた各製品管の長手方向から、API
(アメリカ石油協会)規格の5CTに規定される弧状引
張り試験片とJIS Z 2202に規定されるフルサ
イズの4号試験片とを採取して引張試験とシャルピー衝
撃試に供し、降伏強度(MPa)と破面遷移温度(℃)
を調べた。また、同様に、粒度測定試験片とミクロ観察
試験片を採取し、旧オーステナイトの結晶粒度の大きさ
(JIS G 0551に規定される粒度番号)と旧オ
ーステナイト粒界に析出した炭化物のタイプを抽出レプ
リカ法を用いて調べた。これらの調査結果を、表3に併
せて示した。
(アメリカ石油協会)規格の5CTに規定される弧状引
張り試験片とJIS Z 2202に規定されるフルサ
イズの4号試験片とを採取して引張試験とシャルピー衝
撃試に供し、降伏強度(MPa)と破面遷移温度(℃)
を調べた。また、同様に、粒度測定試験片とミクロ観察
試験片を採取し、旧オーステナイトの結晶粒度の大きさ
(JIS G 0551に規定される粒度番号)と旧オ
ーステナイト粒界に析出した炭化物のタイプを抽出レプ
リカ法を用いて調べた。これらの調査結果を、表3に併
せて示した。
【0055】
【表3】
【0056】表3に示す結果から明らかなように、本発
明鋼のうち、有効B量〔B〕(表1と表2中の「※2」
欄に示す)が0〜0.0005%未満で、かつ式「Mo
×Cr≦0.55」を満たすNo. 1〜10の本発明鋼で
製造された継目無鋼管(No.1〜10)は、すべて結晶
粒度番号が7番以下で、その粒界にはM23C6 タイプの
炭化物は析出しておらず、主としてM3C タイプの炭化
物が析出していた。そのため、降伏強度が821MPa
以上と高強度にもかかわらず、破面遷移温度が−21℃
以下で良好な靭性を有していた。なかでも、Pの含有量
を低減したNo.6〜10の本発明鋼で製造された継目無
鋼管(No. 6〜10)の靱性は、破面遷移温度が−44
℃以下で一段と良好であった。
明鋼のうち、有効B量〔B〕(表1と表2中の「※2」
欄に示す)が0〜0.0005%未満で、かつ式「Mo
×Cr≦0.55」を満たすNo. 1〜10の本発明鋼で
製造された継目無鋼管(No.1〜10)は、すべて結晶
粒度番号が7番以下で、その粒界にはM23C6 タイプの
炭化物は析出しておらず、主としてM3C タイプの炭化
物が析出していた。そのため、降伏強度が821MPa
以上と高強度にもかかわらず、破面遷移温度が−21℃
以下で良好な靭性を有していた。なかでも、Pの含有量
を低減したNo.6〜10の本発明鋼で製造された継目無
鋼管(No. 6〜10)の靱性は、破面遷移温度が−44
℃以下で一段と良好であった。
【0057】また、Bの含有量が0.0005〜0.0
030%で、かつ式「Mo×Cr≦0.16」を満たす
No. 11〜20の本発明鋼で製造された継目無鋼管(N
o. 11〜20)も、すべて結晶粒度番号が7番以下
で、その粒界にはM23C6 タイプの炭化物は析出してお
らず、主としてM3C タイプの炭化物が析出していた。
そのため、降伏強度が823MPa以上と高強度にもか
かわらず、破面遷移温度が−20℃以下で良好な靭性を
有していた。なかでも、Pの含有量を低減したNo.16
〜20の本発明鋼で製造された継目無鋼管(No. 16〜
20)の靱性は、破面遷移温度が−45℃以下で一段と
良好であった。
030%で、かつ式「Mo×Cr≦0.16」を満たす
No. 11〜20の本発明鋼で製造された継目無鋼管(N
o. 11〜20)も、すべて結晶粒度番号が7番以下
で、その粒界にはM23C6 タイプの炭化物は析出してお
らず、主としてM3C タイプの炭化物が析出していた。
そのため、降伏強度が823MPa以上と高強度にもか
かわらず、破面遷移温度が−20℃以下で良好な靭性を
有していた。なかでも、Pの含有量を低減したNo.16
〜20の本発明鋼で製造された継目無鋼管(No. 16〜
20)の靱性は、破面遷移温度が−45℃以下で一段と
良好であった。
【0058】これに対し、比較鋼のうち、各元素の含有
量は本発明で規定する範囲内ではあるが、CrとMoの
関係が本発明で規定する上記の式「Mo×Cr≦0.5
5」または「Mo×Cr≦0.16」を満たさないNo.
21〜24の比較鋼で製造された継目無鋼管(No. 21
〜24)は、すべて結晶粒度番号が7番以下で、しかも
その粒界にはM23C6 タイプの炭化物のみが析出してい
た。そのため、降伏強度は828MPa以上と高強度で
はあるが、破面遷移温度が20℃以上で靭性が劣ってい
た。
量は本発明で規定する範囲内ではあるが、CrとMoの
関係が本発明で規定する上記の式「Mo×Cr≦0.5
5」または「Mo×Cr≦0.16」を満たさないNo.
21〜24の比較鋼で製造された継目無鋼管(No. 21
〜24)は、すべて結晶粒度番号が7番以下で、しかも
その粒界にはM23C6 タイプの炭化物のみが析出してい
た。そのため、降伏強度は828MPa以上と高強度で
はあるが、破面遷移温度が20℃以上で靭性が劣ってい
た。
【0059】また、各元素の含有量は本発明で規定する
範囲内で、かつCrとMoの関係も本発明で規定する上
記の式「Mo×Cr≦0.16」を満たすものの、有効
B量〔B〕が本発明で規定する値を満たさないNo. 25
の比較鋼で製造された継目無鋼管(No. 25)は、結晶
粒度番号が5.5番で、しかもその粒界にはM23C6タ
イプの炭化物のみが析出していた。そのため、降伏強度
は828MPaと高強度ではあるが、破面遷移温度が4
1℃で靭性が著しく劣っていた。
範囲内で、かつCrとMoの関係も本発明で規定する上
記の式「Mo×Cr≦0.16」を満たすものの、有効
B量〔B〕が本発明で規定する値を満たさないNo. 25
の比較鋼で製造された継目無鋼管(No. 25)は、結晶
粒度番号が5.5番で、しかもその粒界にはM23C6タ
イプの炭化物のみが析出していた。そのため、降伏強度
は828MPaと高強度ではあるが、破面遷移温度が4
1℃で靭性が著しく劣っていた。
【0060】さらに、CrとMoの関係、N、TiとB
の関係は本発明で規定する条件を満たすものの、Pの含
有量が0.061%と高いNo. 26の比較鋼で製造され
た継目無鋼管(No. 26)は、結晶粒度番号が7番以下
で、その粒界にはM23C6 タイプの炭化物は析出してお
らず、主としてM3C タイプの炭化物が析出していた。
しかし、Pの含有量が高すぎるために、降伏強度は83
1MPaと高強度ではあるが、破面遷移温度が19℃で
靭性が劣っていた。
の関係は本発明で規定する条件を満たすものの、Pの含
有量が0.061%と高いNo. 26の比較鋼で製造され
た継目無鋼管(No. 26)は、結晶粒度番号が7番以下
で、その粒界にはM23C6 タイプの炭化物は析出してお
らず、主としてM3C タイプの炭化物が析出していた。
しかし、Pの含有量が高すぎるために、降伏強度は83
1MPaと高強度ではあるが、破面遷移温度が19℃で
靭性が劣っていた。
【0061】
【発明の効果】本発明のCr−Mo系低合金鋼継目無鋼
管は、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 055
1に規定される粒度番号で7番以下の粗粒であるにもか
かわらず、破面遷移温度が−20℃以下という優れた靱
性を有している。このため、過酷な油井環境や高温環境
で使用する場合の信頼性が高い。
管は、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 055
1に規定される粒度番号で7番以下の粗粒であるにもか
かわらず、破面遷移温度が−20℃以下という優れた靱
性を有している。このため、過酷な油井環境や高温環境
で使用する場合の信頼性が高い。
【0062】また、本発明の継目無鋼管用Cr−Mo系
低合金鋼は、熱間加工時の保有熱を有効に利用して焼入
れ処理した後焼戻し処理する、いわゆるインライン熱処
理プロセスによって製造すると、結晶粒度が7番以下の
粒界にM23C6 タイプを除く炭化物で、主としてM3C
タイプの炭化物が析出する。このため、上記本発明の靱
性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管を安価に製
造することができる。
低合金鋼は、熱間加工時の保有熱を有効に利用して焼入
れ処理した後焼戻し処理する、いわゆるインライン熱処
理プロセスによって製造すると、結晶粒度が7番以下の
粒界にM23C6 タイプを除く炭化物で、主としてM3C
タイプの炭化物が析出する。このため、上記本発明の靱
性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管を安価に製
造することができる。
【図1】CrおよびMoの含有量と有効B量〔B〕がM
3C タイプの炭化物析出に及ぼす影響と、靱性との関係
を示す図の一例で、有効B量〔B〕が0〜0.0005
%未満の場合の図である。
3C タイプの炭化物析出に及ぼす影響と、靱性との関係
を示す図の一例で、有効B量〔B〕が0〜0.0005
%未満の場合の図である。
【図2】CrおよびMoの含有量と有効B量〔B〕がM
3C タイプの炭化物析出に及ぼす影響と、靱性との関係
を示す図の一例で、有効B量〔B〕が0.0005〜
0.0015%の場合の図である。
3C タイプの炭化物析出に及ぼす影響と、靱性との関係
を示す図の一例で、有効B量〔B〕が0.0005〜
0.0015%の場合の図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 櫛田 隆弘 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内 (72)発明者 一ノ瀬 威 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号住 友金属工業株式会社内
Claims (4)
- 【請求項1】重量%で、Cr:0.05〜1.5%、M
o:0.05〜1.0%を含むCr−Mo系低合金鋼継
目無鋼管であって、主な組織が焼戻しマルテンサイト
で、旧オーステナイト結晶粒度がJIS G 0551
に規定される粒度番号の7番以下であり、旧オーステナ
イト粒界にM23C6 を除くタイプで、主としてM3C タ
イプの炭化物が析出していることを特徴とする靭性に優
れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管。 - 【請求項2】重量%で、C:0.15〜0.35%、S
i:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:
0.05%以下、S:0.004%以下、sol.A
l:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜1.5
%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.05
%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、C
a:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050%、
REM:0〜0.0050%、N:0.01%以下、
B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避的不
純物からなり、下記の式または式で求められる有効
Bの量〔B〕が0〜0.0005%未満であり、かつC
rとMoの関係が下記の式を満たす化学組成を有する
ことを特徴とする継目無鋼管用のCr−Mo系低合金
鋼。 Ti<3.419×Nの場合 〔B〕=B+0.2259×Ti−0.7723×N ・・・ Ti≧3.419×Nの場合 〔B〕=B ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Mo×Cr≦0.55 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここで、各式中の元素記号は、鋼中のそれぞれの元素の
含有量(重量%)である。 - 【請求項3】重量%で、C:0.15〜0.35%、S
i:0.1〜1.5%、Mn:0.1〜2.5%、P:
0.05%以下、S:0.004%以下、sol.A
l:0.001〜0.1%、Cr:0.05〜1.5
%、Mo:0.05〜1.0%、Nb:0〜0.05
%、Ti:0〜0.05%、V:0〜0.15%、C
a:0〜0.0050%、Mg:0〜0.0050%、
REM:0〜0.0050%、N:0.01%以下、
B:0〜0.0030%、残部はFeおよび不可避的不
純物からなり、下記の式または式で求められる有効
Bの量〔B〕が0.0005〜0.0015%であり、
かつCrとMoの関係が下記の式を満たす化学組成を
有することを特徴とする継目無鋼管用のCr−Mo系低
合金鋼。 Ti<3.419×Nの場合 〔B〕=B+0.2259×Ti−0.7723×N ・・・ Ti≧3.419×Nの場合 〔B〕=B ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Mo×Cr≦0.16 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ここで、各式中の元素記号は、鋼中のそれぞれの元素の
含有量(重量%)である。 - 【請求項4】Pの含有量が0.015重量%以下である
ことを特徴とする請求項2または請求項3に記載の継目
無鋼管用のCr−Mo系低合金鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10182172A JP2000017389A (ja) | 1998-06-29 | 1998-06-29 | 靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管およびその継目無鋼管用Cr−Mo系低合金鋼 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000017389A true JP2000017389A (ja) | 2000-01-18 |
Family
ID=16113613
Family Applications (1)
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JP10182172A Pending JP2000017389A (ja) | 1998-06-29 | 1998-06-29 | 靭性に優れたCr−Mo系低合金鋼継目無鋼管およびその継目無鋼管用Cr−Mo系低合金鋼 |
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-
1998
- 1998-06-29 JP JP10182172A patent/JP2000017389A/ja active Pending
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