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JP2000015405A - Al合金の攪拌連続鋳造法 - Google Patents

Al合金の攪拌連続鋳造法

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JP2000015405A
JP2000015405A JP10201217A JP20121798A JP2000015405A JP 2000015405 A JP2000015405 A JP 2000015405A JP 10201217 A JP10201217 A JP 10201217A JP 20121798 A JP20121798 A JP 20121798A JP 2000015405 A JP2000015405 A JP 2000015405A
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stirring
spout
alloy
magnetic flux
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Takeyoshi Nakamura
武義 中村
Nobuhiro Saito
信広 斉藤
Teruyuki Otani
輝幸 大谷
Takashi Idekago
隆 井手籠
Kiyonobu Mizogami
清信 溝上
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Honda Motor Co Ltd
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Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インゴット外周域におけるFe系金属間化合
物の凝集を抑制し、またインゴット中心域における各種
金属間化合物等の偏析を回避する。 【解決手段】 Al合金の攪拌連続鋳造法においては、
Al合金組成の溶湯mをスパウト15内で電磁攪拌しつ
つ、そのスパウト15直下に配置された筒状鋳型13に
導入する。Al合金組成の溶湯mとしては、Fe含有量
が[3/4]wt%≦Fe<[5/3]wt%であり、
またMn含有量が[Fe/5]wt%≦Mn<[−Fe
+2]wt%であるものを用いる。スパウト内周面a上
の溶湯攪拌領域形成部bにおける磁束密度B1 を100
Gs≦B1 <500Gsに、また溶湯攪拌領域Aの中心
域cにおける磁束密度B2 をB2 ≦20Gsにそれぞれ
設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はAl合金の攪拌連続
鋳造法、特に、Al合金組成の溶湯をスパウト内で電磁
攪拌しつつ、そのスパウト直下に配置された筒状鋳型に
導入する攪拌連続鋳造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、攪拌連続鋳造法によるAl合金イ
ンゴットは、例えばチクソキャスティング用鋳造材料と
して用いられている。チクソキャスティング法において
は、固相と液相とが共存する半溶融鋳造材料の流動性を
利用して成形を行うものであるから、初晶α等の高融点
晶出物の微細化は必須要件である。
【0003】しかしながら、省資源の要請からリサイク
ル材を原料とした場合、そのリサイクル材におけるC
u、Mn、Ti等の含有量が多くなると、高融点の針状
金属間化合物が粗大に晶出し、その粗大針状金属間化合
物を電磁攪拌力だけでは微細化することができない、と
いう問題を生じた。
【0004】そこで、本発明者等はAl合金組成の溶湯
として、Fe含有量がFe≧[3/4]wt%であるも
のを用いることにより初晶αの晶出温度と同一またはそ
れ以上の高温下で、1次晶出物として硬質のFe系金属
間化合物を晶出させ、そのFe系金属間化合物を電磁攪
拌力によって液相中をアトランダムに動き回らせながら
初晶αおよび粗大針状金属間化合物を破砕して微細化す
る、といった攪拌連続鋳造法を開発した(特願平10−
103893号明細書および図面参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は前記攪拌
連続鋳造法について、さらに攻究を進めた結果、溶湯中
のMn含有量によっては、前記Fe系金属間化合物がイ
ンゴット外周域で凝集して比較的大きな凝集物を形成す
るため、そのFe系金属間化合物による前記破砕微細化
効果を十分に得ることができないことがある、というこ
とを究明した。
【0006】また前記凝集物は化学的に安定しているた
め添加元素による微細化は難しく、その上、高融点であ
るため熱処理による分解微細化も難しい。このような凝
集物を含む鋳造材料を用いてチクソキャスティングを行
うと、その凝集物は、そのままの状態でAl合金部材内
に取籠められるため、その部材の靱性、伸び等が著しく
低くなる。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、Al合金より
なるインゴット外周域におけるFe系金属間化合物の凝
集を大いに抑制し、またそのインゴット中心域における
各種金属間化合物等の偏析を回避することが可能な前記
攪拌連続鋳造法を提供することを目的とする。
【0008】前記目的を達成するため本発明によれば、
Al合金組成の溶湯をスパウト内で電磁攪拌しつつ、そ
のスパウト直下に配置された筒状鋳型に導入する攪拌連
続鋳造法において、前記Al合金組成の溶湯として、F
e含有量が[3/4]wt%≦Fe<[5/3]wt%
であり、またMn含有量が[Fe/5]wt%≦Mn<
[−Fe+2]wt%であるものを用い、前記スパウト
内周面上の溶湯攪拌領域形成部における磁束密度B1
100Gs≦B1 <500Gsに、また溶湯攪拌領域の
中心域における磁束密度B2 をB2 ≦20Gsにそれぞ
れ設定するAl合金の攪拌連続鋳造法が提供される。
【0009】Al合金組成の溶湯において、Fe含有量
を前記のように特定すると、初晶αの晶出温度と同一ま
たはそれ以上の高温下で、1次晶出物として硬質のFe
系金属間化合物がスパウト内周面上の溶湯攪拌領域形成
部近傍で晶出する。この場合、Mn含有量が前記範囲に
あるとFe系金属間化合物が凝集し易くなる。
【0010】そこで、前記溶湯攪拌領域形成部における
磁束密度B1 を前記のように設定して、その形成部近傍
の溶湯に対する電磁攪拌力を強めるので、Fe系金属間
化合物の分散が積極的に行われ、その凝集が大いに抑制
される。これによりFe系金属間化合物による前記破砕
微細化効果を十分に得ることができる。ただし、磁束密
度B1 がB1 <100Gsでは電磁攪拌力が弱いためF
e系金属間化合物の凝集が発生し易くなり、一方、B1
≧500Gsでは電磁攪拌力が強過ぎるため、インゴッ
ト内部の未凝固部分が外周部の凝固部分を突破る現象、
つまりブレイクアウトが発生して鋳造不能といった事態
を招くおそれがある。
【0011】一方、溶湯攪拌領域の中心域における磁束
密度B2 を前記のように設定すると、インゴットの最終
凝固域である中心域における溶湯の流動を極力抑えて各
種金属間化合物等の偏析を回避することができる。した
がって、磁束密度B2 にはB2 =0Gsも含まれる。た
だし、磁束密度B2 がB2 >20Gsではインゴット中
心域における溶湯の流動が顕著となって金属間化合物等
の偏析が発生する。
【0012】Al合金組成の溶湯において、Fe含有量
がFe<[3/4]wt%ではFe添加の意義がなく、
一方、Fe≧[5/3]wt%ではFe系金属間化合物
の晶出量が過多となるため、チクソキャスティングによ
るAl合金部材の靱性が著しく低下する。またMn含有
量がMn<[Fe/5]wt%である場合には、Fe系
金属間化合物の凝集が発生せず、一方、Mn≧[−Fe
+2]wt%ではチクソキャスティングによるAl合金
部材の靱性が著しく低下する。
【0013】
【発明の実施の形態】図1,2に示す攪拌連続鋳造装置
1は、軸線を上下方向に向けた胴状本体2を有する。そ
の胴状本体2は、内周壁3と、その外周側に所定の間隔
をとって配置された外周壁4と、両壁3,4の上端側に
存する環状上端壁5と、両壁3,4の下端側に存する環
状下端壁6とより構成される。
【0014】内周壁3は上部筒体7と下部筒体8とより
なり、上部筒体7の下部外周面に嵌着した環状ゴムシー
ル9の内向き環状部10が両筒体7,8間に挟まれてそ
れらの間をシールする。上部筒体7において、その下半
部は、内側に環状段部11が形成されるように、上半部
12よりも厚肉に形成されて、筒状鋳型としての筒状水
冷鋳型13を構成する。この水冷鋳型13はAl合金
(例えば、A5052)よりなる。
【0015】上半部12内に、薄肉の筒体14を介して
スパウト15が、水冷鋳型13と同軸上に位置するよう
に嵌合され、その下向きの溶湯出口16を形成する環状
下端面17が環状段部11に当接する。またスパウト1
5の、上端壁5から突出する部分に環状抜止め板18が
嵌合され、その抜止め板18は上端壁5に固定される。
スパウト15は、断熱耐火性を有するケイ酸カルシウム
より構成される。スパウト構成材料としてはアルミナ、
シリカ等も用いられる。スパウト15の上方に、Al合
金組成の溶湯mを水平注湯するための溶湯供給樋19が
配置され、その下向きの給湯口20がスパウト15の上
向きの溶湯受入れ口21に連通する。
【0016】胴状本体2において、その内、外周壁3,
4間の筒状密閉空間22に、電磁誘導式攪拌機23が配
設され、その攪拌機23はスパウト15内の溶湯mに電
磁攪拌力を付与する。図3にも示すように、攪拌機23
は筒状をなす成層鉄心24と、その成層鉄心24に巻装
された12個のコイル25を有する。成層鉄心24は筒
状部26と、その内周面に円周上等間隔に配置されて母
線方向に延びる12個の凸条27とよりなる。各コイル
25は、1つの凸条27において2つのコイル25の一
部分が重なり合うように、相隣る両凸条27に巻装され
る。したがって電磁誘導式攪拌機23は4極コイルを備
える。この場合、攪拌機23は4極コイルを上回る多極
コイルを備えていてもよい。
【0017】成層鉄心24の内側に、各凸条27の先端
面が密着するように薄肉のコイル外止め用筒体28が嵌
合され、その筒体28は内周面の一部を環状ゴムシール
9に密着させて筒状密閉空間22内に固定される。また
成層鉄心24は、下端壁6の環状支持部材29上に載せ
られてその部材29に複数のボルト30およびナット3
1により固定される。1つのコイル25に対して2つの
割合で複数の接続具32が用意され、各接続具32は水
密手段を以て下端壁6を貫通してそれに取付けられてい
る。
【0018】外周壁4に複数の給水口33が形成され、
各給水口33を通じて密閉空間22内に冷却水wが供給
される。成層鉄心24内側の筒体28に、その上端部近
傍に位置させて複数の通孔34が形成され、これにより
環状ゴムシール9の上方に冷却水溜り35が存する。水
冷鋳型13は冷却水溜り35により冷却されると共にそ
の冷却水溜り35の冷却水wを斜め下向きに噴出する複
数の噴出孔36を有する。通孔34は筒体28の下部側
にも形成されている。
【0019】水冷鋳型13と溶湯mとの間に潤滑油を供
給すべく、スパウト15周りには次のような潤滑油通路
が存在する。内周壁3において、その上部筒体7の上端
部には上端壁5の下部板37が一体に設けられている。
上端壁5の上部板38および下部板37間に、スパウト
15を囲繞する環状路39と、その環状路39から放射
方向に延びる複数の直線路40とが設けられる。各直線
路40の端部に、上部板38に形成された入口41が連
通し、その入口41は給油ポンプに接続される。図2に
明示するように、上部筒体7の上半部12内周面と筒体
14外周面間に筒状路42が形成され、その筒状路42
および環状路39間を連通する複数の斜め下向きの通孔
43が上半部12と下部板37との連設部に形成されて
いる。また筒状路42の下端は、環状段部11およびス
パウト15の環状下端面17間に放射状に配列された複
数のV字状出口44に連通する。
【0020】スパウト15内における溶湯攪拌領域A
は、略筒状をなす一群のコイル25によって囲繞される
空間部、したがって一群のコイル25の上端面と同一高
さ位置に在るスパウト15内の中間部から溶湯出口16
までであり、またスパウト内周面a上の溶湯攪拌領域形
成部bは湾曲面をなす。さらに、スパウト15の溶湯出
口16の内半径をr1 とし、一方、水冷鋳型13の内半
径をr2 としたとき、両内半径r1 ,r2 の間に、r1
<r2 およびr2 −r1 =Δr(但し、Δrはスパウト
15の張出し量)の関係が成立する。即ち、スパウト1
5は、その溶湯出口16回りに環状張出し部15aを有
する。
【0021】Al合金組成の溶湯mとしては、Fe含有
量が[3/4]wt%≦Fe<[5/3]wt%であ
り、またMn含有量が[Fe/5]wt%≦Mn<[−
Fe+2]wt%であるものが用いられる。即ち、図4
において、Fe含有量をx軸に、またMn含有量をy軸
にそれぞれとったとき、線Fe=3/4、線Mn=Fe
/5および線Mn=−Fe+2で囲まれる三角形の領域
がAl合金の組成範囲である。ただし、線Mn=−Fe
+2上の組成は前記組成範囲には含まれない。
【0022】図1において、前記Al合金組成の溶湯m
を溶湯供給樋19の給湯口20からスパウト15内に供
給すると、その溶湯mはスパウト15内において攪拌機
23により電磁攪拌されつつ、スパウト15直下に配置
された水冷鋳型13に導入され、そこで冷却されてイン
ゴットIが得られる。この鋳造過程において、スパウト
内周面a上の溶湯攪拌領域形成部bにおける磁束密度B
1 は100Gs≦B1<500Gsに、また溶湯攪拌領
域Aの中心域cにおける磁束密度B2 はB2 ≦20Gs
(B2 =0Gsを含む)にそれぞれ設定される。
【0023】Al合金組成の溶湯mにおいて、Fe含有
量を前記のように特定すると、初晶αの晶出温度と同一
またはそれ以上の高温下で、1次晶出物として硬質のF
e系金属間化合物が、スパウト内周面a上の溶湯攪拌領
域形成部b近傍で晶出する。この場合、Mn含有量が前
記範囲にあると、Fe系金属間化合物が凝集し易くな
る。
【0024】そこで、前記溶湯攪拌領域形成部bにおけ
る磁束密度B1 を前記のように設定して、その形成部b
近傍の溶湯mに対する電磁攪拌力を強めるので、Fe系
金属間化合物の分散が積極的に行われ、その凝集が大い
に抑制される。これにより、Fe系金属間化合物による
前記破砕微細化効果を十分に得ることができる。
【0025】一方、溶湯攪拌領域Aの中心域cにおける
磁束密度B2 を前記のように設定すると、インゴットI
の最終凝固域である中心域dにおける溶湯mの流動を極
力抑えて各種金属間化合物等の偏析を回避することがで
きる。
【0026】前記のような磁束密度B1 ,B2 の制御は
4極コイルを備えた電磁誘導式攪拌機23によれば容易
に達成される。
【0027】即ち、図5は、3相電源(U,V,W)に
接続された4極コイル(コイル数:12個)による或瞬
間の磁束分布を示す。この磁束分布の場合、各磁力線e
は溶湯攪拌領域Aの外周域fには存在するが、中心域c
には殆ど存在しない。したがってスパウト内周面a上の
溶湯攪拌領域形成部bでは磁束密度が高くなるが、中心
域cでは磁束密度が極めて低いか、またはゼロとなる。
【0028】図6は、3相電源(U,V,W)に接続さ
れた2極コイル(コイル数:6個)による或瞬間の磁束
分布を示す。この磁束分布の場合、磁力線eが溶湯攪拌
領域Aの中心域cに必ず存在するため、そこの高い磁束
密度により溶湯mが流動して金属間化合物の偏析が発生
する。
【0029】このような4極コイルおよび2極コイルの
特性差は次のような実験から確認された。即ち、Al合
金製短柱体として、電気抵抗ρが1.38×10-7Ω・
mであり、且つ直径が152mmであるものを用意し、そ
の短柱体の外周側に、4極コイルを持つ電磁誘導式攪拌
機を設置して各コイルに3相電源より30A、50Hz
の電流を流し、短柱体の半径上において、外周面から或
距離に在る位置と、その位置における磁束密度との関係
を求めた。また2極コイルを持つ電磁誘導式攪拌機を用
いて、前記同様の実験を行い、前記位置と、その位置に
おける磁束密度との関係を求めた。
【0030】図7は実験結果を示す。図7から明らかな
ように、4極コイルを用いた場合には、短柱体におい
て、その外周面から約69mm位置に向って磁束密度が比
例的に減少し、その約69mm位置で磁束密度がゼロとな
り、これは中心の76mm位置でも同じである。したがっ
て4極コイルを用いると、磁束密度がゼロである中心域
cが現出する。一方、2極コイルを用いた場合には、外
周面から離れても磁束密度は殆ど減少せず、したがって
中心域cにおいても高い磁束密度が存在することが明ら
かである。 〔実施例1〕表1はAl合金の例(1)の組成を示す。
【0031】
【表1】
【0032】この例(1)は図4に点(1)で示すよう
に三角形の領域内に収まる。
【0033】Al合金の例(1)を用いて前記攪拌連続
鋳造装置1によりインゴットIを鋳造した。鋳造条件
は、溶解温度:730℃;スパウト15直上の溶湯温
度:650℃;鋳造引出し速度:150mm/min ;スパ
ウト15の張出し量Δr:2mm;インゴットIの直径:
152.4mm;溶湯攪拌領域形成部bにおける磁束密
度:360Gs(4極コイル、50Hz);溶湯攪拌領
域形成部bにおける溶湯mの平均冷却速度:10℃/
s;に設定された。
【0034】比較のため、4極コイルの代りに2極コイ
ルを持つ、ということ以外は前記と同一構造の攪拌連続
鋳造装置を用い、前記と同一条件でインゴットIを鋳造
した。
【0035】両インゴットIに関し、その半径上におい
て、外周面から或距離に在る位置と、その位置における
Fe含有量との関係を求めたところ、図8の結果を得
た。図8より、4極コイルを用いた場合は、2極コイル
を用いた場合に比べ、インゴット半径上におけるFeの
分布が均一であることが判る。2極コイルを用いた場合
には中心域においてFeを含む金属間化合物の偏析が生
じていることが明らかである。
【0036】次に、Al合金の例(1)を用い、4極コ
イルを持つ攪拌連続鋳造装置1において、各コイル25
への電流を変化させることにより溶湯攪拌領域形成部b
の磁束密度B1 を変化させる、ということ以外は前記と
同一条件でインゴットIの例(1)〜(11)を鋳造し
た。比較のため2極コイルを持つ攪拌連続鋳造装置を用
い、前記と同様の鋳造作業を行ってインゴットIの例
(12)を鋳造した。各インゴットIの例(1)〜(1
2)について、その外周域における凝集物(Fe系金属
間化合物)の最長部の長さLを測定し、また中心域にお
ける偏析の有無を調べたところ、表2の結果を得た。
【0037】
【表2】
【0038】表2における鋳造例1,2は、4極コイル
を持つ攪拌連続鋳造装置1による鋳造作業に当り、溶湯
攪拌領域形成部bの磁束密度B1 をそれぞれB1 =50
0Gsに設定したもので、これらの場合にはブレイクア
ウトが発生して鋳造不能となった。
【0039】図9および10、図11および12ならび
に図13および14は、それぞれインゴットIの例
(1),(2),(7)の金属組織および凝集物の最長
部の長さLを示す。
【0040】次に、Al合金の例(1)よりなり、且つ
異なる大きさの凝集物を持つ複数のインゴットより得ら
れた鋳造材料を用い、チクソキャスティングを行ってA
l合金部材を得た。鋳造条件は、鋳造材料の温度565
℃、射出速度2.0m/s、金型温度250℃に設定さ
れた。
【0041】図15は、Al合金部材における凝集物の
最長部の長さLとシャルピー衝撃値(ノッチあり)との
関係を示す。図中、点(1)〜(11)は表2のインゴ
ットIの例(1)〜(11)を鋳造材料として用いた場
合に該当する。
【0042】図15より、凝集物の最長部の長さLがL
≧600μmになると、Al合金部材のシャルピー衝撃
値が低下することが判る。したがって、前記長さLをL
<600μmにするためには、表2に示すように溶湯攪
拌領域形成部bの磁束密度B1 をB1 ≧100Gsに設
定することが必要である。またブレイクアウト発生回避
のためにはB1 <500Gsとなる。
【0043】なお、スパウト15の張出し量Δrを加減
することによって、溶湯攪拌領域形成部bの磁束密度B
1 を変化させることができる。 〔実施例2〕表3はAl合金の例(2)〜(12)の組
成を示す。
【0044】
【表3】
【0045】これらの例(2)〜(12)において、例
(2)〜(7)は図4に点(2)〜(7)で示すように
三角形の領域内に収まるが、例(8)〜(12)は図4
に点(8)〜(12)で示すように三角形の領域外に在
る。
【0046】各Al合金の例(2)〜(12)を用いて
前記攪拌連続鋳造装置1によりインゴットIの例(2
a)〜(12a)を鋳造した。これらの例(2a)〜
(12a)はAl合金の例(2)〜(12)にそれぞれ
対応する。鋳造条件は、溶解温度:730℃;スパウト
15直上の溶湯温度:650℃;鋳造引出し速度:15
0mm/min ;スパウト15の張出し量Δr:2mm;イン
ゴットIの直径:152.4mm;溶湯攪拌領域形成部b
における磁束密度:300Gs(4極コイル、50H
z);溶湯攪拌領域形成部bにおける溶湯mの平均冷却
速度:10℃/s;に設定された。
【0047】各インゴットIの例(2a)〜(12a)
について、その外周域における凝集物の有無を検鏡し、
その凝集物が存在する場合にはその最長部の長さLを測
定した。
【0048】比較のため、各Al合金の例(2)〜(1
2)を用い、2極コイルを持つ前記攪拌連続鋳造装置に
より前記と同一条件でインゴットIの例(2b)〜(1
2b)を鋳造した。これらの例(2b)〜(12)bは
Al合金の例(2)〜(12)にそれぞれ対応する。
【0049】各インゴットIの例(2b)〜(12b)
について、その外周域における凝集物の有無を検鏡し、
その凝集物が存在する場合にはその最長部の長さLを測
定した。
【0050】表4は検鏡および測定結果を示す。
【0051】
【表4】
【0052】表4から明らかなように、インゴットIの
例(2a),(2b)〜(7a),(7b)において凝
集物が現出することから、Al合金の例(2)〜
(7)、したがって、図4の三角形の領域内に収まる組
成のAl合金が本発明の対象となる。また表4から、4
極コイルを用いると、凝集物の最長部の長さLをL<6
00μmに抑えることが可能であることが判る。
【0053】図16および17ならびに図18および1
9は、インゴットIの例(6a)および(6b)の金属
組織および凝集物の最長部の長さLをそれぞれ示す。
【0054】図20は、チクソキャスティングによるA
l合金部材において、Fe含有量およびMn含有量の和
Fe+Mnとシャルピー衝撃値(ノッチあり)との関係
を示す。図中、点(2)〜(7)で示すAl合金部材
は、表4のインゴットの例(2a)〜(7a)より得ら
れた鋳造材料を用いた場合に該当する。
【0055】図20より、Fe+MnがFe+Mn≧2
wt%になるとAl合金部材のシャルピー衝撃値が低下
することが判る。したがって、本発明の対象となるAl
合金の組成には図4の線Mn=−Fe+2上の組成は含
まれない。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、前記のような手段を採
用することによって、外周域におけるFe系金属間化合
物の凝集を大いに抑制されると共に中心域における各種
金属間化合物等の偏析を回避された鋳造品質の良好なA
l合金製インゴットを得ることが可能な、Al合金の攪
拌連続鋳造法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】攪拌連続鋳造装置の縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大図である。
【図3】成層鉄心とコイルの関係を示す平面図である。
【図4】各種Al合金をFe含有量およびMn含有量で
表したグラフである。
【図5】4極コイルによる磁束の形成を示す説明図であ
る。
【図6】2極コイルによる磁束の形成を示す説明図であ
る。
【図7】短柱体外周面からの距離と磁束密度との関係を
示すグラフである。
【図8】インゴット外周面からの距離とFe含有量との
関係を示すグラフである。
【図9】インゴットの例(1)の金属組織を示す顕微鏡
写真である。
【図10】インゴットの例(1)における凝集物の最長
部の長さLを示す説明図である。
【図11】インゴットの例(2)の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図12】インゴットの例(2)における凝集物の最長
部の長さLを示す説明図である。
【図13】インゴットの例(7)の金属組織を示す顕微
鏡写真である。
【図14】インゴットの例(7)における凝集物の最長
部の長さLを示す説明図である。
【図15】Al合金部材における凝集物の最長部の長さ
Lとシャルピー衝撃値との関係を示すグラフである。
【図16】インゴットの例(6a)の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図17】インゴットの例(6a)における凝集物の最
長部の長さLを示す説明図である。
【図18】インゴットの例(6b)の金属組織を示す顕
微鏡写真である。
【図19】インゴットの例(6b)における凝集物の最
長部の長さLを示す説明図である。
【図20】Al合金部材におけるFe含有量およびMn
含有量の和Fe+Mnとシャルピー衝撃値との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
1 攪拌連続鋳造装置 13 筒状水冷鋳型(筒状鋳型) 15 スパウト 23 電磁誘導式攪拌機 A 溶湯攪拌領域 a スパウト内周面 b 溶湯攪拌領域形成部 c 中心域 m 溶湯
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大谷 輝幸 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内 (72)発明者 井手籠 隆 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内 (72)発明者 溝上 清信 埼玉県狭山市新狭山1丁目10番地1 ホン ダエンジニアリング株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Al合金組成の溶湯(m)をスパウト
    (15)内で電磁攪拌しつつ、そのスパウト(15)直
    下に配置された筒状鋳型(13)に導入する攪拌連続鋳
    造法において、前記Al合金組成の溶湯(m)として、
    Fe含有量が[3/4]wt%≦Fe<[5/3]wt
    %であり、またMn含有量が[Fe/5]wt%≦Mn
    <[−Fe+2]wt%であるものを用い、前記スパウ
    ト内周面(a)上の溶湯攪拌領域形成部(b)における
    磁束密度B1 を100Gs≦B1<500Gsに、また
    溶湯攪拌領域(A)の中心域(c)における磁束密度B
    2をB2 ≦20Gsにそれぞれ設定することを特徴とす
    るAl合金の攪拌連続鋳造法。
  2. 【請求項2】 前記溶湯(m)を電磁攪拌するための電
    磁誘導式攪拌機(23)は4極コイル以上の多極コイル
    を備えている、請求項1記載のAl合金の攪拌連続鋳造
    法。
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