[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP2000005915A - ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置 - Google Patents

ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置

Info

Publication number
JP2000005915A
JP2000005915A JP17504098A JP17504098A JP2000005915A JP 2000005915 A JP2000005915 A JP 2000005915A JP 17504098 A JP17504098 A JP 17504098A JP 17504098 A JP17504098 A JP 17504098A JP 2000005915 A JP2000005915 A JP 2000005915A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
end mill
cutting
ball end
values
tool
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17504098A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazutaka Okura
和孝 大庫
Kunio Naito
国雄 内藤
Kazuki Watanabe
一樹 渡辺
泰久 ▲高▼田
Yasuhisa Takada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP17504098A priority Critical patent/JP2000005915A/ja
Publication of JP2000005915A publication Critical patent/JP2000005915A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B23MACHINE TOOLS; METAL-WORKING NOT OTHERWISE PROVIDED FOR
    • B23CMILLING
    • B23C5/00Milling-cutters
    • B23C5/02Milling-cutters characterised by the shape of the cutter
    • B23C5/10Shank-type cutters, i.e. with an integral shaft
    • B23C5/1009Ball nose end mills

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Milling Processes (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボールエンドミルによる金型等の切削におい
て、切削試験による試行錯誤なしに適正な工具傾き角度
を設定でき、仕上がり寸法の大幅な精度向上を可能とす
ること。 【解決手段】 本発明のフライス盤制御装置3は、CA
D/CAM処理装置2等からの数値入力により、工具に
作用する曲げモーメントが抑制される傾斜角度β f ,β
p の適正値を数値計算によって求め、NCフライス盤4
の工具傾斜角度を適正に設定する。上記数値計算では、
前後傾斜角度βf および左右傾斜角度βpを初期設定
し、工具にかかる前後方向および左右方向への曲げモー
メントに対応する推算値を算出して両推算値がゼロ付近
になるまで傾斜角度βf ,βp の再設定と上記推算とを
繰り返し行い、βf ,βp の適正値を算出する。切削時
に工具にかかる曲げモーメントが減り、工具が撓まない
ので精度が大幅に向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フライス盤の技術
分野に関し、より詳しくはボールエンドミルによるプラ
ンジカット(突っ込み切削)を行うフライス盤の技術分
野に属する。本発明は、硬度が高くボールエンドミルの
たわみが大きくなりがちでありながら仕上がり寸法精度
の要求が厳しい底深形状の鍛造用金型の切削に好適であ
り、特に高硬度材からなる冷間鍛造用金型の切削に最適
である。
【0002】
【従来の技術】従来技術の一例としては、特許公報第2
724583号に、ボールエンドミルを例示してはいな
いが、工具(ミリングカッタ)を傾けたフライス盤によ
る切削方法が開示されている。従来から知られているフ
ライス盤でのボールエンドミル(工具と呼ぶ)による切
削方法としては、ワークの被切削面に対して工具を垂直
に立てて行う垂直切削と、ワークの被切削面に対して工
具を傾けて行う傾斜切削とがある。傾斜切削には、図1
に示すように、工具送り方向に対して工具の先端を突き
出すように工具を傾けて行うプランジカット(突っ込み
切削、βf <0)と、その逆方向に傾けて行うリバース
カット(βf >0)とがある。傾斜切削にはまた、図2
に示すように、ピックフィード方向に対して工具の先端
を突き出すように工具を傾けて行うプランジカット(突
っ込み切削、βp <0)と、その逆方向に傾けて行うリ
バースカット(βp >0)とがある。
【0003】適正に傾斜角度を設定してプランジカット
を行うと、切削時の工具のたわみが低減されて、ボール
エンドミルによる切削仕上げ面の寸法精度が向上するこ
とが従来から知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ボール
エンドミルの傾き角度(βf ,βp )をどう設定したら
より精度の高い切削仕上げ面の寸法精度が得られるの
か、切削に先立って予め算出する手段がなかった。それ
ゆえ、もし適正な傾き角度を設定しようとすると、ボー
ルエンドミルの傾き角度を何度も変えて切削試験をし、
試行錯誤の末に適正な傾き角度を探り出す他に手段がな
かったので、適正な傾き角度を探り当てるには多大な費
用と時間とを要した。また、カンと経験とに頼ってボー
ルエンドミルの傾き角度を適当に設定したのでは、高々
数割程度しか切削寸法精度の向上は望めず、劇的な切削
寸法精度の向上は得られなかった。
【0005】そこで本発明は、切削試験による試行錯誤
なしに適正な工具傾き角度を設定でき、切削仕上がり寸
法の大幅な精度向上を可能とするボールエンドミルによ
る切削方法およびフライス盤制御装置を提供することを
解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】[発明に至る背景]前述
のようにプランジカットによる切削では仕上げ面の寸法
精度が向上する理由について、発明者らは次のように考
えている。すなわち、通常の垂直切削では、図3に示す
ように、ボールエンドミルのカッターの一方での切粉断
面積Aと、他方での切粉断面積Bとの差が大きい。それ
ゆえ、ボールエンドミルに大きな曲げモーメントが作用
してボールエンドミルのたわみが大きくなる。逆に、適
正な角度で工具傾き角が設定されたプランジカットで
は、図4に示すように、ボールエンドミルのカッターの
一方での切粉断面積Aと、他方での切粉断面積Bとがほ
ぼ等価になる。それゆえ、適正なプランジカットでは、
ボールエンドミルに作用する曲げモーメントが垂直切削
に比べて小さくなり、ボールエンドミルのたわみも抑制
されるので、切削寸法精度も向上するに至る。
【0007】そこで発明者らは、数値計算によって切削
時の工具に作用する切削抵抗等の力を推算し、ボールエ
ンドミルに作用する曲げモーメントを推算することがで
きれば、工具傾き角度を再設定して何度か推算を繰り返
すことによって、上記曲げモーメントをゼロ近くに低減
できる可能性があることを発見した。しかしながら、数
値計算によって切削時の工具に作用する切削抵抗を推算
するためには、座標変換を含み立体形状を扱う複雑な数
学的な操作が必要である。それゆえ発明者らは、切削抵
抗を推算する数式を確定して演算方法を確立し、実際の
切削試験によりその効果を確認した。以下の手段および
実施例に示される本発明は、このような開発努力の末に
発明されるに至ったものである。
【0008】[方法発明] (第1手段)本発明の第1手段は、フライス盤において
ワークの表面に対しボールエンドミルを送り方向に関し
て前後方向および左右方向に傾けてプランジカット(突
っ込み切削)を行うにあたり、切削前に、該ボールエン
ドミルの該回転軸の前後傾斜角度および左右傾斜角度の
両角度の設定値を初期設定し、該ボールエンドミルの回
転軸の前後方向にかかる前後曲げモーメントに対応する
推算値と、該回転軸の左右方向にかかる左右曲げモーメ
ントに対応する推算値とを推算して、両該推算値が所定
値以下になるまで、該設定値の再設定および該推算を繰
り返し行い、もって該両角度の適正値を算出し、該適正
値をもって該フライス盤の該ボールエンドミルの傾斜角
度を設定したうえで切削を行うことを特徴とするボール
エンドミルによる切削方法である。
【0009】本手段では、実際のボールエンドミルによ
るプランジカット切削に先だって、ボールエンドミルの
回転軸の前後傾斜角度βf (βf <0)および左右傾斜
角度βp (βp <0)の適正値を求める数値計算が行わ
れる。すなわち先ず、ボールエンドミルの回転軸の前後
傾斜角度βf および左右傾斜角度βp を適当に初期設定
し、ボールエンドミルの回転軸の前後方向にかかる前後
曲げモーメントに対応する推算値と、同回転軸の左右方
向にかかる左右曲げモーメントに対応する推算値とを推
算する。ここで、各曲げモーメントにそれぞれ対応する
各推算値とは、曲げモーメントそれ自体を推算した値で
ある必要はなく、曲げモーメントに比例した推算値であ
ればよい。しかる後、両傾斜角度βf ,βp を初期値か
らずらして再設定して両曲げモーメントに対応する各推
算値を再び推算し、両曲げモーメントに比例した各推算
値を再び求める。このように両傾斜角度βf ,βp を再
設定して両曲げモーメントに比例した各推算値を求める
演算を繰り返し行い、両曲げモーメントに比例した各推
算値の絶対値が、ゼロに十分に近いと認められる所定値
以下になるまで演算が繰り返される。
【0010】その結果、両曲げモーメントに比例した各
推算値の絶対値がゼロに十分に近くなる両傾斜角度
βf ,βp の適正値が求まるので、この適正値に合わせ
てボールエンドミルの傾斜角度を設定してフライス盤に
よる切削が行われる。こうして行われたボールエンドミ
ルによる切削では、ボールエンドミルに作用する曲げモ
ーメントが大幅に抑制されているので、ボールエンドミ
ルのたわみ変形が大幅に抑制され、切削仕上がり寸法精
度が大幅に向上する。
【0011】したがって、本手段のボールエンドミルに
よる切削方法によれば、切削試験による試行錯誤なしに
適正な工具傾き角度βf ,βp を設定することができ、
切削仕上がり寸法の大幅な精度向上が可能になるという
効果がある。なお、両曲げモーメントに比例する各推算
値の推算方法については、以下の第2手段ないし第4手
段に例示するが、他の推算方法の使用も可能である。た
とえば、カッターの旋回面の接線方向に作用する切削抵
抗だけではなしに、カッターをその旋回半径方向に押し
たり引いたりする力の作用や、切り込み時に生じる反力
の作用などをも考慮して、上記各推算値をより精密に推
算することも可能である。
【0012】また本手段では、ボールエンドミルに作用
する曲げモーメントを、前後方向と左右方向との二つに
分けてそれぞれをゼロに近づけることとしたが、曲げモ
ーメントの方向は前後方向と左右方向とに限定されてい
る必要はない。なぜならば、互いに平行でない任意の二
つの方向でそれぞれ曲げモーメントがゼロであれば、全
方向での曲げモーメントがゼロであり、左右方向および
前後方向の曲げモーメントがゼロであることと等価だか
らである。
【0013】(第2手段)本発明の第2手段は、上記第
1手段において、前記前後曲げモーメントに対応する推
算値は、前記ボールエンドミルの前記回転軸の右方での
切粉断面積と左方での切粉断面積との差をもって推算さ
れ、前記左右曲げモーメントに対応する推算値は、該ボ
ールエンドミルの該回転軸の前方での切粉断面積と後方
での切粉断面積との差をもって推算されるボールエンド
ミルによる切削方法である。
【0014】本手段では、所定の方向に作用する曲げモ
ーメントに対応する推算値は、所定の方向と直交する両
方向での切粉断面積の差に比例するものとの仮定に立っ
ている。それゆえ、積分を行うだけで切粉断面積が求ま
るので、二重積分を行う必要がなく、演算量が少なくて
済む。したがって本手段によれば、比較的少ない演算量
で、前述の第1手段の効果をほぼ達成することができる
という効果がある。
【0015】なお、切粉断面積が工具回転軸からどれだ
け離れているかを各微小面積を積分する際に算入し、切
粉断面積が工具回転軸の周りに形成する面積モーメント
を算出することができる。このようにして算出された面
積モーメントをもって単なる切粉断面積に代えれば、あ
まり演算量を増やすことなしに、本手段の曲げモーメン
ト演算精度をずっと向上させることができる。
【0016】(第3手段)本発明の第3手段は、上記第
1手段において、前記前後曲げモーメントに対応する推
算値は、前記ボールエンドミルの前記回転軸の右半面で
の切粉体積と左半面での切粉体積との差をもって推算さ
れ、前記左右曲げモーメントに対応する推算値は、該ボ
ールエンドミルの該回転軸の前半面での切粉体積と後半
面での切粉体積との差をもって推算されるボールエンド
ミルによる切削方法である。
【0017】本手段では、所定の方向に作用する曲げモ
ーメントに対応する推算値は、所定の方向から右半面で
の切粉体積と左半面での切粉体積との差に比例するもの
との仮定に立っている。それゆえ、切粉体積を求めるた
めに二重積分を行う必要があるが、現在の計算機の演算
処理能力からすればさほどの演算量にはならないで済
む。
【0018】したがって本手段によれば、中程度の演算
量で、前述の第1手段の効果をほぼ達成することができ
るという効果がある。 (第4手段)本発明の第4手段は、上記第1手段におい
て、前記前後曲げモーメントおよび前記左右曲げモーメ
ントに対応する両前記推算値は、それぞれ、前記ボール
エンドミルによって生じ切粉断面積と直交して作用する
切削抵抗の前後方向分力および左右方向分力の前記回転
軸の全周に関する積分値として推算されるボールエンド
ミルによる切削方法である。
【0019】本手段では、ワークからボールエンドミル
に作用する反力のうち支配的な成分は切削抵抗であり、
切削抵抗は切粉断面積と直交してカッターの外周面の接
線方向に作用し、切削抵抗の大きさは切粉断面積に比例
するものと仮定している。そのうえで、切削抵抗の前後
方向分力および左右方向分力の前記回転軸の全周に関す
る積分値として、前後曲げモーメントおよび左右曲げモ
ーメントに対応する両推算値が推算される。すなわち本
手段は、第2手段から第4手段までのうちで最も精密に
モデリングがなされており、前後曲げモーメントおよび
左右曲げモーメントに対応する両推算値が緻密に推算さ
れる。
【0020】したがって本手段によれば、工具に作用す
る曲げモーメントをゼロ近くに抑制する両傾斜角度
βf ,βp を最も精密に求めることができるので、前述
の第1手段の効果が前述の第2手段や第3手段よりもさ
らに良く発揮されるという効果がある。 [装置発明] (第5手段)本発明の第5手段は、ワークの表面に対し
ボールエンドミルを送り方向に関して前後方向および左
右方向にそれぞれ所定の傾斜角度をもって傾けてプラン
ジカット(突っ込み切削)を行うことが可能なフライス
盤に対し、該ボールエンドミルの回転軸の傾斜角度を適
正な値に設定するフライス盤制御装置である。本手段の
特徴は、少なくとも、前記ボールエンドミルの工具半径
およびカッター刃数と、所望のピックフィード、切り込
み深さ、送り速度および工具回転速度とに相当する入力
値を入力する入力手段と、該入力値と、適当に設定され
た該ボールエンドミルの両該傾斜角度の初期値と、適当
に設定された積分刻み幅とに基づいて、該ボールエンド
ミルの回転軸の前後方向にかかる前後曲げモーメントに
対応する推算値と、該回転軸の左右方向にかかる左右曲
げモーメントに対応する推算値とを推算する推算手段
と、該推算手段による両該推算値の絶対値が所定値以下
になるまで、該ボールエンドミルの該回転軸の前後傾斜
角度および左右傾斜角度の両角度の設定値を調整して該
推算を繰り返し行い、もって該両角度の適正値を算出す
る収束手段と、該収束手段によって算出された両該角度
の該適正値を、前記フライス盤の工具傾斜角度設定手段
に適合した形式で該フライス盤に出力する出力手段とを
有することである。
【0021】本手段では、先ず、入力手段により、少な
くとも、ボールエンドミルの工具半径およびカッター刃
数と、所望のピックフィード、切り込み深さ、送り速度
および工具回転速度とに相当する入力値が、本手段のフ
ライス盤制御装置に入力される。次に推算手段により、
これらの入力値と、適当に設定された該ボールエンドミ
ルの両傾斜角度βf ,βp の初期値と、適当に設定され
た積分刻み幅とに基づいて、ボールエンドミルの回転軸
の前後方向にかかる前後曲げモーメントに対応する推算
値と、同回転軸の左右方向にかかる左右曲げモーメント
に対応する推算値とが推算される。
【0022】さらに収束手段により、上記推算手段によ
る両推算値の絶対値が所定値以下になるまで、ボールエ
ンドミルの回転軸の前後傾斜角度および左右傾斜角度の
両角度の設定値βf ,βp を調整して上記推算を繰り返
し行い、もって両角度βf ,βp の適正値が算出され
る。最後に、収束手段により、上記収束手段によって算
出された両角度の適正値β f ,βp が、フライス盤の工
具傾斜角度設定手段に適合した形式でフライス盤に出力
される。すると、ボールエンドミルの回転軸の傾斜角度
が最も適正な値βf,βp に設定されるので、プランジ
カットを行う際にボールエンドミルに生じる曲げモーメ
ントが小さくなり、ボールエンドミルのたわみが抑制さ
れるに至る。その結果、切削試験による試行錯誤を繰り
返さなくても、ボールエンドミルによる切削仕上がり寸
法の精度が大幅に向上するという効果が得られる。
【0023】したがって、本手段のフライス盤制御装置
によれば、切削試験による試行錯誤なしに適正なボール
エンドミルの傾き角度βf ,βp を設定でき、切削仕上
がり寸法の精度が大幅に向上するという効果がある。な
お、本手段のフライス盤制御装置において、入出力等に
人手が介入しても本手段が実施されているものとする。
すなわち、極論すれば、本手段のフライス盤制御装置
は、上記各手段に相当するプログラムが内蔵されたスタ
ンドアロンのパソコンないしワークステーションであっ
ても構わない。もちろん、入力値が上位の制御用コンピ
ュータに内蔵されているCAD/CAMのデータベース
から助動的に本手段に入力され、本手段からの出力であ
る傾き角度の適正値βf ,βp が自動的にフライス盤の
制御盤に授受されるようになっていることが最も望まし
い。そうすれば、自動化が進んで省力化されるので、本
手段のもつ切削仕上がり寸法の精度向上効果に加えて、
本手段の省力化効果もさらに向上する。
【0024】(第6手段)本発明の第6手段は、上記第
5手段において、前記収束手段は、両該角度の前記設定
値βf ,βp を調整する際に、傾斜法に基づく数値解法
によって自動的に調整を行うフライス盤制御装置であ
る。本手段では、ボールエンドミルの傾斜角度の設定値
βf ,βp が、傾斜法を内蔵した収束手段によって自動
的に調整されるので、少なくとも収束手段が作用する段
階では全く人手を要することなく、傾斜角度の適正値β
f ,βp が速やかにかつ精密に求められる。
【0025】したがって本手段によれば、前述の第5手
段の効果に加えて、傾斜角度の調整および収束に人手を
要することなく、傾斜角度の適正値βf ,βp が速やか
にかつ精密に求められるという効果がある。なお、入出
力や初期値設定、ならびに刻み幅および収束条件の設定
なども自動化されていれば、本手段のフライス盤制御装
置は全く人手を要することなく自動的に作用するので、
さらなる省力化が可能になる。
【0026】
【発明の実施の形態】本発明のボールエンドミルによる
切削方法およびフライス盤制御装置の実施の形態につい
ては、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の
実施例で明確かつ十分に説明する。なお、実施例を説明
する前に、数式中で使用される各記号の意味や座標系の
定義を図面を参照しつつ明らかにし、各数式の導き出し
を行って各数式を使用できるようにしておく。
【0027】[数式の導出] (工具座標系の定義)ボールエンドミルに固定された工
具座標系は、図5(a)に示すように、ボールエンドミ
ルの先端のカッターの形成する半径Rの半球面の中心点
に座標原点をおき、ボールエンドミルと共に移動する右
手系の非回転座標系である。工具座標系のz軸は、ボー
ルエンドミルの中心軸に一致して主軸方向を指して設定
されている。工具座標系のy軸は、ボールエンドミルが
直立した状態(βf =βp =0)で、送り方向と一致す
る方向に設定されている。また、工具座標系のx軸は、
同じくボールエンドミルが直立した状態で、ピックフィ
ード方向に一致する方向に設定されている。ただし、前
述のように工具座標系が非回転座標系であるのは、ボー
ルエンドミルの傾斜角度βf ,βp が一定である範囲に
おいてのことであり、何らかの理由で同傾斜角度が変化
すれば、工具座標系もボールエンドミルにならって回転
移動する。
【0028】切刃角度位置kは、図5(b)に示すよう
に、工具座標系のz軸の負の方向、すなわちボールエン
ドミルの先端方向からの角度位置である。一方、ボール
エンドミルの切刃稜の回転角度位置φは、図5(c)に
示すように、工具座標系のx軸の負の方向から、z軸か
ら見下ろして時計回り(工具回転方向)にz軸周りの角
度位置を測ったものとする。ただし、後述の実施例中で
は、工具座標系のx軸の正の方向から回転角度位置φを
測ることになっているので、回転角度位置φの始点(φ
=0)の取り決めは一応のものと理解されたい。
【0029】それゆえ、半径Rのところにある任意の切
刃位置Pは、再び図5(a)に示すように、回転角度位
置φ(0≦φ≦2π)によって定められるz軸を含む平
面内で、z軸の負の方向から切刃角度位置k(0≦k≦
π/2)だけ上昇した位置として、回転角度位置φと切
刃角度位置kとの組み合わせとして定義される。次に、
ボールエンドミルによる切削時に切刃(カッター)一枚
当たりが生じる切粉の形状は、図6(a)〜(b)に示
すように、切刃一枚当たりの送り量fzだけ送り方向に
ずれつつある二つの球体の間に形成される略三角形の形
状をしている。切粉の上面は、ワークの被切削面の上面
の一部であり、切粉の左端面は前回の切削時に形成され
た溝状の被削面の一部である。
【0030】ここで、図6(c)に示すように、回転角
度位置φにおける切粉の上端部にあたる切刃角度位置k
a と切粉の下端部にあたる切刃角度位置ke とは、工具
傾斜角度β=[βf ,βp T と回転角度位置φとの関
数として定義される。さらに、実際に切粉を削りだして
いる切刃の角度範囲である実効切刃角度kc は、ka
e との差として定義される(kc =ka−ke)。ここ
で、ボールエンドミルはプランジカットに傾斜角度を設
定されている(βf <0,βp <0)ので、切粉の下端
部にあたる切刃角度位置ke は常にゼロであり、実効切
刃角度kc はk a と等しい。なお、切刃角度位置kに沿
っている実効切刃長さsは、傾斜角度β f ,βp におい
て回転角度位置φの関数である実効切刃角度kc が求ま
っていれば、s=R・kc で容易に求められる。
【0031】また、図6(d)に示すように、所定の切
刃角度位置k(ke≦k≦ka)にある切粉の回転角度位
置φの範囲は、切り込み時の回転角度位置φe から切削
終了時の回転角度位置φa までの範囲(φe≦φ≦φa
である。この間に切削される実切削中の回転角度φ
c (0≦φc )は、φc =φa−φeによって求められ
る。なお、回転角度位置φに沿っている実効切削長さl
c は、傾斜角度βf ,βp において切刃角度位置kの関
数である実切削中の回転角度φc が求まっていれば、l
c =R・sin(k)・φc で容易に求められる。
【0032】(切削面の定義)被削材であるワークから
ボールエンドミルの各切刃点に作用する反力の三軸成分
の方向を定義する実効切削ベクトルKは、ke =0であ
るのでkc=kaとなり、工具座標系での表現で次の数1
でベクトル表記される。
【0033】
【数1】
【0034】ここで、上記数1での工具座標系でのx軸
成分およびy軸成分は、切刃が切削する切粉断面積に垂
直な反力としての切削抵抗による反力に対応する成分で
ある。一方、上記数1でのz軸成分は、切刃がプランジ
カットによりワークに押し付けられることによって生じ
る反力に対応する成分を示している。x軸成分およびy
軸成分の切削抵抗のベクトル和はsin(kc )に比例
し、z軸成分はcos(kc )に比例することについて
は、理論的に明解な説明が与えられるものではないが、
経験上おおむねこのような数値を取ることが分かった。
なお、z軸方向の成分はボールエンドミルに曲げモーメ
ントを生じないので、x軸成分とy軸成分との関係さえ
正確に把握されていれば、爾後の数式展開においてz軸
方向の成分については誤差が許容される。余談ではある
が、当業者の間では、上記z軸成分をも含めて切削抵抗
と言い慣わされている。
【0035】プランジカットを含む傾斜切削時の工具送
り方向への傾斜角度βf は、ワーク表面の垂直方向へ伸
びる法線方向と工具送り方向との二方向を含む面内の傾
きとして定義されるものとする。また、ピックフィード
方向への傾斜角度βp は、傾斜角度βp に沿った方向と
ピックフィード方向とを含む面内での傾きとして定義さ
れるものとする。すなわち、工具座標系は、ワーク座標
系から工具送り方向への傾斜角度βf だけの回転を行っ
た後、傾斜角度βf だけ傾いた座標系からさらにピック
フィード方向へ傾斜角度βp だけ傾けたものである。す
ると、その際の回転マトリックスDは、次の数2に示す
要素をもつ行列として表記される。
【0036】
【数2】
【0037】ゆえに、工具座標系で表記された実効切削
ベクトルKは、ワーク座標系での傾斜切削時のボールエ
ンドミルの切削作用ベクトルKc に、次の数3によって
変換される。
【0038】
【数3】
【0039】次に、切削時の各種パラメータを確定する
目的で、ワークの非削部分の幾何学的ベクトル表記を行
う。この際、切削時の工具回転角度φc を求めるため
に、扇形状の切削面を包絡面の一種として扱うものとす
る。すると、この切削面は、図7(a)〜(c)のうち
特に図7(b)に示すように、曲面および曲線分で定義
される。また、三つの扇状の線分のうち二本が互いに交
差する角〜の間に形成された湾曲面は、ボールエン
ドミルの切刃により生成される創成面であり、球面に近
いが切刃の一刃当たりの送り量fz の分があるので球面
から少し外れた二次曲面をしている。
【0040】ここで、工具送り方向のベクトルをワーク
座標系でのy軸上の単位ベクトルをfとし、ワークの切
削される平面に垂直な方向の単位ベクトルをnとして、
送り方向が被削面に平行であるとすると、次の数4が成
り立つ。
【0041】
【数4】
【0042】この三元連立偏微分方程式を解くと、ワー
クの被削面形形状を決定する実効切刃角度kc は、任意
の回転角度位置φ(φe≦φ≦φa)関数として、次の数
5から求めることができる。
【0043】
【数5】
【0044】また、逆に実切削中の回転角度φc は、任
意の切刃角度位置k(ke =0≦k≦ka )の関数とし
て数値的に求めることもできる。このような関係は、図
8に示すように、ボールエンドミルによる切削の固有挙
動を示すグラフとして図示することができるので、例え
ば上記数5に基づいて同グラフを作成しておけば、逆に
実切削中の回転角度φc を切刃角度位置kの関数として
求めることもできる。ただし、図8は、理解を容易にす
る目的で、傾斜切削ではあるがプランジカットではない
リバースカットのものについて図示している。それゆ
え、実切削の最低位置での切刃角度位置ke や切り込み
時に生じるk e の最低値であるkmin がゼロでない点と
か、実切削中の回転角度φc =360°でない点など
で、図8はプランジカットと異なる固有挙動を示すグラ
フになっている。
【0045】先ず、図7および図8の境界曲線−
(扇形状2)を生成する切刃角度k12は、扇形状F(φ
c )および実切削中の回転角度φc を用いて、図7
(b)中のA矢視での(x,z)曲線として、次の数6
によって表現される。
【0046】
【数6】
【0047】ただし、ベクトルKc (k12)は切刃角度
12=kmax−kminでの切削作用ベクトルであり、pは
ピックフィード[mm]である。次に、図7および図8
の境界曲線−を生成する切刃角度k23も同様に、図
7(b)中のA矢視でのz軸での値が一定の線分とし
て、次の数7によって表現される。
【0048】
【数7】
【0049】ただし、ベクトルKc (k23)は切刃角度
k23での切削作用ベクトルであり、tはワーク表面から
のボールエンドミルの切り込み深さ[mm]であり、R
はボールエンドミルの切刃部の半径[mm]である。
【0050】最後に、図7および図8の境界曲線−
(扇形状1)を生成する切刃角度k 13は、三次元曲線と
して、次の数8によって表現される。
【0051】
【数8】
【0052】ただし、ベクトルKc (k13)は切刃角度
k13での切削作用ベクトルであり、ベクトルK
c (φc,kc)は実効切刃角度kc =ka−ke=ka
0=ka、実切削中の回転角度φc =φa−φe=360
°での切削作用ベクトルである。また、f z は切刃一枚
当たりの送り量[mm/tooth]である。
【0053】以上をもって算出される各パラメータは、
ボールエンドミルの切刃の切り込み開始時から切削終了
時までに得られる(プランジカットであるのでより正確
には切刃が一周する間に形成される)切粉の生成過程で
の挙動を示している。この固有挙動は、プランジカット
でなくリバースカットの場合には、再び図8に示すよう
に比較的単純な形状をしているが、プランジカットの場
合には連続して切粉が切り出されるので、図9に示すよ
うに、螺旋形状に形成される。切粉の厚さは、ボールエ
ンドミルの二つの回転角度(切り込み開始時の回転角度
位置φe および空切削開始時の回転角度位置φa )と、
二つの切刃角度位置(実切削時の切刃最低位置での切刃
角度位置ke および実切削時の切刃最高位置での切刃角
度位置k a )との範囲内で計算される。なお、プランジ
カットでは通常φe=0°, φa=360°であるか
ら、実切削中の回転角度φc はφc =φa−φe=360
°である。
【0054】上記数8と同様にして、図7の境界曲線
−−−で囲まれた切削による創成面の三次元曲面
は、実効切刃角度kcおよび実切削中の回転角度φc
パラメータ(媒介変数)として次の数9によって表現さ
れる。
【0055】
【数9】
【0056】(切粉断面積)所定の回転角度位置φ(φ
e ≦φ≦φa )および切刃角度位置k(ke ≦k≦
a )における切粉厚さhは、工具傾斜角度βf ,βp
と回転角度位置φおよび切刃角度位置kとの関数として
数値的に算出される。回転角度位置φ=φe で切刃が切
り込んでから切刃が一周するまでの間に、切刃の数×切
刃一枚当たりの工具送り量fz だけ、ボールエンドミル
が送られるので、解析的に数式で切粉厚さh(k,φ)
を求めるのは困難であった。それゆえ、切粉厚さh
(k,φ)は、立体モデルをもった数値解析ツールによ
り数値的に求められるが、その際に含まれるパラメータ
は、傾斜角度βf ,βp 、ボールエンドミルの切刃半径
Rおよび切刃枚数i、切刃一枚当たりの工具送り量
z 、切り込み深さtおよびピックフィードpである。
【0057】こうして切粉厚さh(k,φ)が、再び図
6(c)に示すように、傾斜角度β f ,βp 等をパラメ
ータとして求まるものとすると、図6(c)に示す任意
の回転角度位置φでの切粉断面積A(φ)は、次の数1
0によって算出される。
【0058】
【数10】
【0059】ここで、上記数10の値は、コンピュータ
により数値積分を含む数値計算によって算出される。ま
た、ke の値はプランジカットの場合は(切刃の開口角
を考慮しなければ)常にゼロであり、ka の値は回転角
度位置φの関数であって図8の切削固有挙動を示すグラ
フから求めることができる。さらに、h(k,φ)は傾
斜角度βf ,βp によっても変化するので、傾斜角度β
f ,βp をも独立変数として加えてh(k,φ,βf
βp )と表記しても良い。切粉厚さhの独立変数に関し
ては、以下の数式でも同様である。
【0060】また、切粉断面積A(φ)が工具回転軸周
りに形成する一次モーメントである面積モーメントMA
(φ)は、次の数11に従う数値計算によって算出され
る。
【0061】
【数11】
【0062】ここで、切削時に切刃に作用する切削抵抗
による工具回転軸周りの曲げモーメントは、上記数11
で表記される面積モーメントに比例して発生すると考え
られるので、上記面積モーメントMA(φ)がもつ意義
は大きい。
【0063】(切粉体積)切粉断面積A(φ)をφに関
して積分することにより、次の数12に従って、切刃一
枚が一周する間に切り出す切粉体積Vを求めることがで
きる。
【0064】
【数12】
【0065】また、切粉体積Vが工具回転軸周りに形成
する一次モーメントである体積モーメントMVは、次の
数13に従う数値計算によって求められる。
【0066】
【数13】
【0067】ここで、切削時に作用する切削抵抗によっ
て工具回転軸周りに生じる反トルクは、上記数13で表
記される体積モーメントに比例するものと考えられる。 (切削抵抗の分力)前述のように、切削時に切刃に作用
する切削抵抗による工具回転軸周りの曲げモーメント
は、上記数11で表記される面積モーメントMA(φ)
に比例すると考えられる。それゆえ、面積モーメントM
A(φ)にsinφまたはcosφをかけて回転角度位
置φに関して積分することにより、送り方向に対してそ
れぞれボールエンドミルの左右方向または前後方向の曲
げモーメントに比例する値を算出することができる。す
なわち、左右方向の曲げモーメントに比例する値Fp
は、面積モーメントMA(φ)にsinφをかけて回転
角度位置φに関して積分することにより、次の数14に
よって求めることができる。同様に、前後方向の曲げモ
ーメントに比例する値Ffは、面積モーメントMA
(φ)にcosφをかけて回転角度位置φに関して積分
することにより、次の数15によって求めることができ
る。
【0068】
【数14】
【0069】
【数15】
【0070】(傾斜角度の制限)以上の説明では、切刃
がボールエンドミルの先端部の中心(k=0)あるかの
ようにして説明してきたが、実際のボールエンドミルの
切刃には、先端の中心部に切刃が形成されていない開孔
部が形成されている。すなわち、図10に示すように、
直径L、半頂角αの開孔部がボールエンドミルの先端部
にはあり、同開孔部には切刃が形成されていないので、
切刃が一周する間には開孔部に相当する部分では切削が
行われない。それゆえ、再び図9に示すように、切粉の
中央部には工具開孔部に相当する略円孔状の欠損部が形
成される。ただし、切粉の中央部で切り残された部分
は、その後送られてきた切刃の開孔部の内周側で切削さ
れるので、ワークにそのまま残るようなことはない。
【0071】さて、図10では開孔部が大きく誇張され
て描かれているが、切削部Bに対応して曲げモーメント
を相殺する切削部Aを確保するために、開口部がワーク
の表面から突出するまでボールエンドミルを傾けてはい
けないという制約を設ける。すると、ボールエンドミル
の切削底部から開口部の上端部までの垂直距離abは、
切り込み深さtよりも小さくなくてはならないので、次
の数16に表現される制約を受ける。
【0072】
【数16】 t>ab=R{1−cos(−βf
α)} ただし、開孔部の半頂角α=sin-1(L/2R)であ
る。その結果、送り方向への傾斜角度βf は、プランジ
カットであることの制約と併せて次の数17に示す制約
を受ける。
【0073】
【数17】 0<−βf <cos-1(1−t/R)−α 同様に、ピックフィード方向への傾斜角度βp は、−β
f が比較的小さい範囲では近似的に、プランジカットで
あることの制約と併せて次の数18に示す制約を受け
る。
【0074】
【数18】 0<−βp <cos-1(1−t/R)−α したがって、ボールエンドミルの傾斜角度βf ,β
p は、初期値から適正値に至るまで、上記数17および
上記数18を両方とも満足させる制約の範囲内で設定さ
れる必要がある。 [実施例1] (実施例1のボールエンドミルによる切削方法)本発明
の実施例1としてのボールエンドミルによる切削方法
は、フライス盤においてワークの表面に対しボールエン
ドミルを送り方向に関して前後方向および左右方向に傾
けてプランジカット(突っ込み切削)を行うにあたって
使用される。すなわち、本実施例のボールエンドミルに
よる切削方法では、切削前に、ボールエンドミルの傾斜
角度βf ,βp の適正値が数値演算によって算出され、
同適正値をもってフライス盤のボールエンドミルの傾斜
角度を設定したうえで切削が行われる。
【0075】上記傾斜角度βf ,βp の適正値の算出に
あたっては、先ず、ボールエンドミルの回転軸の前後傾
斜角度βf および左右傾斜角度βp の両角度の設定値が
初期設定される。そして、ボールエンドミルの回転軸の
前後方向にかかる前後曲げモーメントに対応する推算値
と、該回転軸の左右方向にかかる左右曲げモーメントに
対応する推算値とが数値計算により推算される。次に、
両曲げモーメントに対応する推算値の絶対値が所定値以
下になるまで、設定値βf ,βp の再設定と同様の数値
計算による両モーメントに対応する推算値の推算とが繰
り返して行われる。その結果、両モーメントに対応する
推算値の絶対値を所定値以下に抑制する傾斜角度βf
βp が割り出されるので、この傾斜角度βf ,βp をも
って適正値とする。
【0076】以上の本実施例のボールエンドミルによる
切削方法について、以下、より具体的に説明する。前述
の説明とは異なって、図11に示すように、工具座標系
のピックフィード方向のx軸の正方向を実切削中の回転
角度φc の始点(φc =0)とし、φc を工具の回転方
向と同一の時計回りに増大する角度と定義しておく。同
様に、回転角度位置φも工具座標系のピックフィード方
向のx軸の正方向を始点とし、φを工具の回転方向と同
一の時計回りに増大する角度と定義しておく。そして、
図12および図13に示すフローチャートに従って具体
的な演算が行われる。
【0077】先ず、図12の冒頭で演算が開始される際
には、各入力値(R,fz ,t,p;定義済みであるが
「符号の説明」の項を参照のこと)と、傾斜角度βf
βpの初期値とは、すでに入力ないし設定されているも
のとする。実行ステップ(a)では、前述の数17およ
び数18によって、傾斜角度βf ,βp の取りうる範囲
が設定される。次に実行ステップ(b)では、前述のよ
うに実切削中の回転角度φc を定義しておく(演算の開
始前に定義されていても良い)。
【0078】そして実行ステップ(c)では、傾斜角度
の初期値βf ,βp に対し、前述の数6に従って、境界
曲線−を生成する切刃角度k12が算出される。同様
に、実行ステップ(d)では、前述の数7に従って、境
界曲線−を生成する切刃角度k12が算出され、実行
ステップ(e)では、前述の数8に従って、境界曲線
−を生成する切刃角度k13が算出される。
【0079】しかる後、実行ステップ(f)では、実切
削時の最高位置での切刃角度位置kaと最低位置での切
刃角度位置ke とが、所定の区分で細分化されたφ(0
≦φ≦2π)に対してそれぞれ求められる。以上をもっ
て、図8のグラフに相当する固有挙動モデルまたは立体
数値モデルが、コンピュータにより自動的に生成され
る。
【0080】そして図13に示すフローチャートの後半
部に進み、工具送り方向の傾斜角度βf を求めるため
に、次の数19に従って適当な積分間隔で数値積分を行
い、工具送り方向に関して後部の疑似体積A(f)0→
π と前部の疑似体積A(f)π→2π とを求めてお
く。
【0081】
【数19】
【0082】ここで、かっこ内のfは、送り方向(フィ
ード方向)を示す添え字である。また、疑似体積と呼ん
で体積または断面積と呼ばなかった理由は、切刃角度位
置kおよび回転角度位置φで二重積分されているものの
前述の数12で算出される正規の体積とは異なってお
り、さらに面積の次元を持っているものの断面積とは異
なるからである。ただし、上記数12の体積に対し、被
積分関数にRsinkが欠落しているだけであるから、
本質的には擬似的な体積であるものと考え、疑似体積と
呼ぶことにした。
【0083】工具送り方向に対して後部の疑似体積A
(f)0→πと前部の疑似体積A(f)π→2π との差
は、ボールエンドミルを送り方向と直交する左右方向
(ピックフィード方向)に曲げる曲げモーメントに概略
比例する値である。それゆえ、前部の疑似体積A(f)
0→πと後部の疑似体積A(f)π→2πとの差の絶対値
Abs(f)=|A(f)0→π−A(f)π→2π|
が、十分に小さいと判定されれば、左右方向の曲げモー
メントはおおむねゼロ付近に抑制されていることにな
る。
【0084】この判定は、次の判定ステップ(h)で行
われる。同ステップで判定されるのは、Abs(f)≡
|A(f)0→π−A(f)π→2π|≦ε(十分に小さ
い正の判定値)であるか否かである。判定ステップ
(h)でNoと判定されれば、左右方向の曲げモーメン
トはまだ十分に抑制されていないことになるので、左右
方向の曲げモーメントに支配的な影響を及ぼす送り方向
の傾斜角度βf が適当に再設定されて、再び実行ステッ
プ(c)に戻る。逆に判定ステップ(h)でYesと判
定されれば、左右方向の曲げモーメントは十分に抑制さ
れていることになるので、左右方向の曲げモーメントに
支配的な影響を及ぼす送り方向の傾斜角度β f の設定値
は、一応適正な値であると判定される。
【0085】このようにして傾斜角度βf の適正値が仮
設定されると、次に実行ステップ(i)で、ピックフィ
ード方向の傾斜角度βp を求めるために、次の数20に
従って適当な積分間隔で数値積分が行われる。
【0086】
【数20】
【0087】上記数20の数値計算により、ピックフィ
ード方向に関して後部の疑似体積A(p)π/2→3π/2
と前部の疑似体積A(p)3π/2→π/2とが求められ
る。上記数20において、かっこ内のpは、ピックフィ
ード方向を示す添え字であり、積分範囲3π/2→π/
2は、3π/2→5π/2と等価である。
【0088】ここで、ピックフィード方向に関して後部
の疑似体積A(p)π/2→3π/2と前部の疑似体積A
(p)3π/2→π/2との差は、ボールエンドミルをピッ
クフィード方向と直交する工具送り方向に曲げる前後方
向の曲げモーメントに概略比例する値である。それゆ
え、ピックフィード方向に関して後部の疑似体積A
(p)π/2→3π/2と前部の疑似体積A(p)3π/2→π
/2との差の絶対値Abs(p)=|A(p)π/2→3π/
2−A(p)3π/2→π/2|が、十分に小さいと判定され
れば、前後方向の曲げモーメントはおおむねゼロ付近に
抑制されていることになる。
【0089】この判定は、次の判定ステップ(j)で行
われる。同ステップで判定されるのは、Abs(p)=
|A(p)π/2→3π/2−A(p)3π/2→π/2|≦ε
(十分に小さい正の判定値)であるか否かである。判定
ステップ(j)でNoと判定されれば、前後方向の曲げ
モーメントはまだ十分に抑制されていないことになるの
で、前後方向の曲げモーメントに支配的な影響を及ぼす
ピックフィード方向の傾斜角度βp が適当に再設定され
て、再び実行ステップ(c)に戻る。逆に判定ステップ
(j)でYesと判定されれば、前後方向の曲げモーメ
ントは十分に抑制されていることになるので、前後方向
の曲げモーメントに支配的な影響を及ぼすピックフィー
ド方向の傾斜角度βp の設定値は、適正な値であると判
定される。
【0090】この段階では、すでに送り方向の傾斜角度
βf も前述のステップ(h)で適正値であると判定され
ているので、両傾斜角度βf ,βp の適正値(最適な
値)が得られている。それゆえ、上記判定ステップ
(j)でYesと判定されれば、その段階での両傾斜角
度βf ,βp の設定値が適正値として出力され、フライ
ス盤のボールエンドミルの傾斜角度が設定されて、実際
の切削が開始されることになる。
【0091】(実施例1の数値例および効果)以上のフ
ローチャート(図12および図13を参照)に沿って実
際に演算を行ったうえで、フライス盤でボールエンドミ
ルによる切削を試験的に行ってみたので、その結果を報
告する。その際に使用したボールエンドミルは、切刃部
分の半径がR=5mmであり、先端の回転中心部に直径
L=0.3mmの開口部をもつ二枚刃のものであった。
フライス盤の設定は、ピックフィードがp=0.3m
m、同じく切り込み深さがt=0.3mm、切刃一枚当
たりの工具送り量がfz =0.135mm/toothであ
り、工具突き出し長さは工具径の10倍であった。
【0092】はじめに、実行ステップ(a)では、前述
の数17および数18から、ボールエンドミルの両傾斜
角度βf ,βp に関して、−18°<βf <0°と−1
8°<βp <0°との制限が得られた。そこで、両傾斜
角度βf ,βp の初期値として、適当にβf =−5°,
βp =−10°と設定された。続いて実行ステップ
(b)では、実切削中の回転角度φc の定義が行われ
た。
【0093】そして、以上の条件に基づいて、実行ステ
ップ(c)〜(e)では切粉の三辺の境界曲線が求めら
れ、続いて実行ステップ(f)では最高位置での切刃角
度位置ka および最低位置での切刃角度位置ke が求め
られた。次に、実行ステップ(g)で工具送り方向に関
する後部疑似体積A(f)0→πおよび前部疑似体積A
(f)π→2πが、前述の数19に従って次のように求
められた。 ・後部疑似体積A(f)0→π=0.063mm2 ・前部疑似体積A(f)π→2π=0.101mm2 続く判定ステップ(h)で、上記後部疑似体積と上記前
部疑似体積との差の絶対値が0.05mm2 以下である
ことを収束条件(ε=0.05mm2 )としているもの
とすると、収束判定はNoとでる。この状態では前部疑
似体積が後部疑似体積よりもずっと大きいので、前部疑
似体積を減らし後部疑似体積を増やして両者の差を抑制
するように、送り方向の傾斜角度βf を深くし、βf
−7°として再設定する。
【0094】そして再び実行ステップ(c)から繰り返
して実行ステップ(g)では、後部疑似体積および前部
疑似体積は次のように算出された。 ・後部疑似体積A(f)0→π=0.083mm2 ・前部疑似体積A(f)π→2π=0.081mm2 続く判定ステップ(h)で、上記後部疑似体積と上記前
部疑似体積との差の絶対値が0.05mm2 以下である
から、収束判定はYesとでたので、送り方向の傾斜角
度βf は一応適正に収束したものと見なされ、次の実行
ステップ(i)に進む。
【0095】次に、実行ステップ(i)でピックフィー
ド方向に関する後部疑似体積A(p)π/2→3π/2と前
部疑似体積A(p)3π/2→π/2が、前述の数20に従
って次のように求められた。 ・後部疑似体積A(p)π/2→3π/2=0.054mm2 ・前部疑似体積A(p)3π/2→π/2=0.109mm2 続く判定ステップ(j)で、上記後部疑似体積と上記前
部疑似体積との差の絶対値が0.05mm2 以下である
ことを収束条件(ε=0.05mm2 )としているもの
とすると、収束判定はNoとでる。この状態では前部疑
似体積が後部疑似体積よりもずっと大きいので、前部疑
似体積を減らし後部疑似体積を増やして両者の差を抑制
するように、ピックフィード方向の傾斜角度βp を深く
し、βp=−13°として再設定する。
【0096】そして再び実行ステップ(c)から繰り返
すと、判定ステップ(h)でもYesと判定されるので
実行ステップ(i)に進んだ。実行ステップ(i)で
は、ピックフィード方向に関する後部疑似体積および前
部疑似体積が、次のように算出された。 ・後部疑似体積A(p)π/2→3π/2=0.077mm2 ・前部疑似体積A(p)3π/2→π/2=0.092mm2 この値では判定ステップ(j)で再びNoと判定される
ので、ピックフィード方向の傾斜角度βp をさらに深く
し、βp =−14°と再設定した。そのうえで再度ステ
ップ(c)から再計算すると、実行ステップ(i)では
次のように算出された。 ・後部疑似体積A(p)π/2→3π/2=0.087mm2 ・前部疑似体積A(p)3π/2→π/2=0.082mm2 続く判定ステップ(j)で、上記後部疑似体積と上記前
部疑似体積との差の絶対値が0.05mm2 であるか
ら、収束判定はYesとでたので、ピックフィード方向
への傾斜角度βp も適正に収束したものとされた。その
結果、最適な傾斜角度として、βf =−7°,βp =−
14°が求められた。
【0097】以上の計算結果の効果を実証するために、
実際に切削試験が行われて寸法精度が測定され、比較例
の寸法精度と比較された。この際のワーク(被削材)の
材質は、SKD11であり、その硬度はHRC60であ
った。加工面の寸法誤差をまとめ、次の表1に示す。
【0098】
【表1】 寸法誤差 上記表1から明らかなように、本実施例でのボールエン
ドミルによる切削方法によれば、比較例1の垂直切削に
対しては一桁強の寸法精度の向上が得られ、比較例2の
適当に設定した初期値に対しても一桁弱の寸法精度の向
上が得られた。すなわち、比較例1の垂直切削と比較し
て、比較例2の適当に傾斜角度を設定したプランジカッ
トでは数割程度の寸法誤差の低減しか期待できないのに
対して、本実施例によるプランジカットでは一桁程度の
寸法誤差の低減が可能になるという効果がある。
【0099】切削等の加工を行う当業者の常識として、
寸法精度を一桁向上させようとすると、工作機械にかか
る費用や工作に費やす工数は数倍程度に膨らみ、多大な
コストアップに耐えなければならないとされている。と
ころが本発明によれば、最低限の設備としては、本実施
例の計算方法(図12,13参照)を実行するプログラ
ムと同プログラムを演算することができるパソコン一台
とがあれば足りる。
【0100】したがって、本実施例のボールエンドミル
による切削方法によれば、極めてわずかなコスト増大で
切削精度を一桁程度向上させることができるという効果
がある。また、本実施例のボールエンドミルによる切削
方法は、硬度が高くボールエンドミルのたわみが大きく
なりがちでありながら仕上がり寸法精度の要求が厳しい
底深形状の鍛造用金型の切削に好適である。わけても、
高硬度材からなる冷間鍛造用金型の切削加工に最適であ
る。
【0101】(実施例1のフライス盤制御装置)ここま
では、本発明を方法発明としての観点から説明してきた
が、ここからは装置発明として説明する。本発明の実施
例1としてのフライス盤制御装置は、図14に示すよう
に、CAD/CAM処理装置2によって生成された数値
データから入力を受け、NCフライス盤4の制御盤4に
ボールエンドミルの傾斜角度の適正値を出力する装置で
ある。本実施例のフライス盤制御装置3は、前述の数値
例を実験するのに使用された実在する試作レベルのもの
を示しており、フライス盤制御装置3の入出力は操作員
による手動操作で行われている。
【0102】CAD/CAM処理装置2は、製品図面の
記憶装置1に基づいて加工条件等を設定するので、工具
半径R、切刃一枚当たりの送り量fz 、ピックフィード
p、切り込み深さtなどの入力値がCAD/CAM処理
装置2によって設定される。これらの入力値は、本実施
例では操作員によってCAD/CAM処理装置2の出力
から読みとられ、キーボードから本実施例のフライス盤
制御装置3に入力される。フライス盤制御装置3は、前
述の数値計算アルゴリズムを具体化したプログラムを格
納したコンピュータであって、ボールエンドミルの最適
な傾斜角度βf,βp を算出する機能を有する。フライ
ス盤制御装置3によって求められた両傾斜角度の適正値
βf ,βp は、ディスプレイの表示から操作員によって
読みとられ、NCフライス盤4の制御盤5にキーボード
等の入力手段で入力される。その際、両傾斜角度の適正
値βf ,βp は、制御盤5のab二軸制御部52に適合
した値に換算されて入力される。ただし、ab二軸が傾
斜角度βf ,βp の座標軸系と同一の軸系であれば、上
記換算は必要ない。NCフライス盤4は、前述のように
CAD/CAM処理装置2およびフライス盤制御装置3
から入力された制御盤5に制御されて、駆動部6を制御
し、ボールエンドミルによるプランジカットを行う。
【0103】すなわち、本実施例のフライス盤制御装置
3は、ワークの表面に対しボールエンドミルを送り方向
に関して前後方向および左右方向にそれぞれ所定の傾斜
角度をもって傾けてプランジカット(突っ込み切削)を
行うことが可能なNCフライス盤4に対し、ボールエン
ドミルの回転軸の傾斜角度βf ,βp を適正な値に設定
する装置である。
【0104】本装置は、少なくとも、入力手段、推算手
段、収束手段および出力手段を有する。入力手段は、具
体的にはキーボードと入力用のプログラムであるが、少
なくとも、ボールエンドミルの工具半径Rおよびカッタ
ー刃数と、所望のピックフィードp、切り込み深さt、
送り速度および工具回転速度とに相当する入力値を入力
する機能を有する。
【0105】推算手段は、具体的には演算装置である
が、入力値と、適当に設定されたボールエンドミルの両
傾斜角度βf ,βp の初期値と、適当に設定された積分
刻み幅とに基づいて、ボールエンドミルの回転軸の前後
方向にかかる前後曲げモーメントに対応する推算値と、
回転軸の左右方向にかかる左右曲げモーメントに対応す
る推算値とを推算する機能を有する。推算手段は、前述
のフローチャート(図13参照)の実行ステップ(g)
および実行ステップ(i)に相当する。
【0106】収束手段は、具体的には同じく演算装置で
あるが、上記推算手段による上記両推算値が所定値以下
になるまで、ボールエンドミルの回転軸の前後傾斜角度
βfおよび左右傾斜角度βp の両角度の設定値を調整し
て上記推算を繰り返し行い、もって両角度βf ,βp
適正値を算出する機能を有する。収束手段は、前述のフ
ローチャート(図13参照)の判断ステップ(h)およ
び判断ステップ(j)と、傾斜角度βf ,βp を適正に
再設定する機能とに相当する。すなわち、収束手段は、
傾斜角度βf ,βp の収束判定まで行い、収束するまで
傾斜角度βf ,βp を再設定して上記演算手段に演算を
繰り返させる機能を有する。試作レベルでの本手段で
は、傾斜角度βf ,βp を適正に再設定する機能は、初
期の状態では操作員の判断力に頼っていたが、本来は後
述するように傾斜法に基づく数値解法によって自動的に
傾斜角度βf ,βp が再設定されるようにプログラムさ
れるべきものである。
【0107】出力手段は、試作段階の本手段ではディス
プレイであるが、上記収束手段によって算出された両傾
斜角度の適正値βf ,βp を、NCフライス盤4の制御
盤5の工具傾斜角度設定手段であるab二軸制御部52
に適合した形式で、NCフライス盤4の制御盤5に出力
する機能を有する。本実施例のフライス盤制御装置3
は、以上のように構成されているので、前述の本実施例
のボールエンドミルによる切削方法に相当する作用を発
揮し、その結果、前述の効果と同様の効果を発揮するこ
とができる。
【0108】すなわち、本実施例のフライス盤制御装置
3によれば、比較的わずかな費用で切削精度を一桁程度
向上させることができるという効果がある。また、本実
施例のフライス盤制御装置3は、硬度が高くボールエン
ドミルのたわみが大きくなりがちでありながら仕上がり
寸法精度の要求が厳しい底深形状の鍛造用金型の切削に
好適であり、特に高硬度材からなる冷間鍛造用金型の切
削加工に最適である。
【0109】(実施例1の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、入出力操作の自動化と収束手段の操作の
自動化とを行ったフライス盤制御装置3の実施が可能で
ある。本変形態様では、CAD/CAM処理装置2から
適正に設定された入力値が、フライス盤制御装置3にオ
ンラインで自動的に入力され、不足する入力があればデ
ィスプレイから入力を促す表示がなされて、キーボード
から適正な入力値が補充される。また、数値計算の結果
得られた傾斜角度の適正値βf ,βp は、NCフライス
盤4のボールエンドミルを傾けるa軸およびb軸に適合
した数値データに換算され、フライス盤制御装置3から
NCフライス盤4の制御盤5にオンラインで自動的に出
力される。
【0110】さらに、本変形態様では、収束手段は、傾
斜角度βf ,βp の設定値を調整する際に、傾斜法に基
づく数値解法によって自動的に調整を行う機能がプログ
ラムに内蔵されている。すなわち、適度な微小角度(た
とえば0.1°)だけ傾斜角度βf またはβp をずらし
て曲げモーメントに相当する値が演算され、傾斜角度に
よる曲げモーメントに相当する値の偏微分値に相当する
傾斜が算出されて、適正な修正が傾斜角度に加えられて
傾斜角度が自動的に再設定される。それゆえ、収束手段
の運用に際して操作員が必要とされないので、収束計算
がより速やかに行われる。また、曲げモーメントに相当
する値の許容範囲(すなわちε)をより狭く設定するこ
とにより、より精密に傾斜角度の適正値βf ,βp を求
めることが可能になる。
【0111】発明者らは、このような収束手段を持った
フライス盤制御装置3をすでに開発して試験的に運用し
ている。このフライス盤制御装置3は、ハードウェアで
言えば高機能のパソコンであり、ソフトウェアとして三
次元モデリングの機能をもつCADツールを内蔵してい
る。それゆえ、このフライス盤制御装置3によれば、立
体的な数値モデルの図形ディスプレイを伴って数値演算
を行う機能が得られ、仮想切削状況や切削による創成面
および切粉形状などの立体的な把握が操作員にとって容
易になるという効果がある。
【0112】したがって本変形態様によれば、前述の実
施例1の効果に加えて、傾斜角度β f ,βp の適正値を
算出するまでの工数を含めて省力化が進むので、人為的
なミスが防止されるうえに人件費を低減することができ
るという効果がある。 (実施例1の変形態様2)本実施例の変形態様2とし
て、前述の数19および数20による疑似体積に代わっ
て、前述の数12に基づいた正しい意味での体積によっ
て曲げモーメントの相殺計算を行う方法の実施が可能で
ある。
【0113】すなわち、本変形態様では、送り方向に関
する左右曲げモーメントに対応する推算値は、ボールエ
ンドミルの回転軸の前半面での切粉体積と後半面での切
粉体積との差をもって推算され、その差に基づいて送り
方向の傾斜角度βf が再設定される。また、前後曲げモ
ーメントに対応する推算値は、ボールエンドミルの回転
軸の右半面での切粉体積と左半面での切粉体積との差を
もって推算され、その差に基づいてピックフィード方向
の傾斜角度βp が再設定される。
【0114】したがって本変形態様によれば、前述の実
施例1よりもより実際に即した切粉の体積計算に基づい
て傾斜角度βf ,βp が調整されるので、より高い仕上
がり寸法精度が得られるという効果がある。 (実施例1の変形態様3)本実施例の変形態様3とし
て、前述の実施例1の疑似体積または上記変形態様2の
体積を無次元化して収束判定を行うボールエンドミルに
よる切削方法の実施が可能である。
【0115】本変形態様では、切粉の疑似体積または体
積に含まれる工具半径Rは、同じ工具半径Rによって除
算されて無次元化され(当初からRをかけなければよ
い)、切粉厚さh(k,φ)は、切刃一枚当たりの送り
量fz によって除算されて無次元化される。切粉の疑似
体積または体積が無次元化されていれば、工具半径Rや
切刃一枚当たりの送り量fz などの切削条件が変化して
も、無次元化された疑似体積または体積に関する等価判
定の範囲を定める判定値εを調整する必要があまりなく
なる。
【0116】したがって本変形態様によれば、前述の実
施例1やその変形態様1,2の実施にあたって操作員の
設定入力が減るので、よりいっそう省力化できるという
効果がある。 [実施例2] (実施例2のボールエンドミルによる切削方法)本発明
の実施例2としてのボールエンドミルによる切削方法
は、前述の実施例1の疑似体積に代えて、互いに反対側
にある切粉断面積の差を抑制することによって曲げモー
メントを抑制する簡易的な方法である。任意の回転角度
位置φにある切粉断面積は、前述の数10によって切刃
角度位置kに関する単一の積分を行うだけで容易に求め
ることができる。
【0117】すなわち、本実施例のボールエンドミルに
よる切削方法では、送り方向に関して前後方向の曲げモ
ーメントに対応する推算値は、ボールエンドミルの回転
軸の右方での切粉断面積A(0°)と左方での切粉断面
積A(180°)との差をもって推算される。また、送
り方向に対して左右方向の曲げモーメントに対応する推
算値は、ボールエンドミルの回転軸の前方での切粉断面
積A(270°)と後方での切粉断面積A(90°)と
の差をもって推算される。
【0118】それゆえ、送り方向に関して左右方向の傾
斜角度βp は、送り方向の左右の切粉断面積の差がゼロ
に収束すれば、前後方向の曲げモーメントが十分に抑制
されるものとして適正値を判定される。同様に、送り方
向に関して前後方向の傾斜角度βf は、送り方向の前後
の切粉断面積の差がゼロに収束すれば、左右方向の曲げ
モーメントが十分に抑制されるものとして適正値を判定
される。
【0119】したがって、本実施例のボールエンドミル
による切削方法によれば、前述の実施例1に準ずる仕上
げ寸法精度の向上効果が得られながら、演算量が激減す
る。それゆえ、本実施例はより安価なハード/ソフトの
組み合わせで実施可能であるので、実施例1よりもコス
トダウンできるという効果がある。なお、本実施例につ
いても、実施例1と同様に対応するフライス盤制御装置
3の実施が可能である。
【0120】(実施例2の変形態様1)本実施例の変形
態様1として、数10によって算出される切粉断面積A
(φ)の差を取る代わりに、前述の数11によって算出
される切粉断面積の面積モーメントMA(φ)の差を取
って、傾斜角度βf ,βp を適正値に収束させる方法の
実施が可能である。ボールエンドミルに作用する切削抵
抗は、切粉断面積A(φ)よりもむしろ切粉断面積の面
積モーメントMA(φ)によって支配されるので、本変
形態様では曲げモーメントの推算が実施例2よりも正確
になり、傾斜角度βf ,βp の収束値もより正確にな
る。
【0121】したがって本変形態様によれば、収束判定
された傾斜角度βf ,βp の適正値はより正確になり、
実施例2よりもわずかに演算量が増大するだけで実施例
2よりも仕上がり寸法精度が向上するという効果があ
る。 (実施例2のその他の変形態様)本実施例に対しても、
前述の実施例1の変形態様1,3に対応する変形態様の
実施が可能であり、同様の作用効果が得られる。
【0122】[実施例3] (実施例3のボールエンドミルによる切削方法)本発明
の実施例3としてのボールエンドミルによる切削方法
は、前述の数14および数15によって、送り方向に関
して左右方向の分力に比例する値Fpと、前後方向への
分力に比例する値Ffとを算出する本格的な方法であ
る。
【0123】すなわち、本実施例のボールエンドミルに
よる切削方法では、送り方向に関して左右曲げモーメン
トおよび前後曲げモーメントに対応する両推算値は、数
14および数15によって推算される。つまり両推算値
は、それぞれ、ボールエンドミルによって生じ切粉断面
積と直交して作用する切削抵抗の左右方向分力および前
後方向分力の回転軸の全周に関する積分値Fp,Ffと
して、数14および数15によって推算される。切削抵
抗の左右方向分力および前後方向分力は、数14および
数15によって算出される積分値Fp,Ffに最も正確
に反映されるから、積分値Fp,Ffがゼロ付近に抑制
されれば、左右方向および前後方向の曲げモーメントも
かなり精密にゼロ付近に抑制される。
【0124】それゆえ、数14および数15によって算
出される積分値Fp,Ffをそれぞれゼロ付近に抑制す
る傾斜角度βf ,βp の収束値は、かなり精密に左右方
向および前後方向の曲げモーメントをゼロ付近に抑制す
る適正値である。したがって、本実施例のボールエンド
ミルによる切削方法によれば、実施例1の演算量の数倍
程度に演算量が増えるだけで、実施例1よりもよりいっ
そう仕上げ寸法精度が向上した切削加工が可能になると
いう効果がある。
【0125】なお、本実施例についても、実施例1と同
様に対応するフライス盤制御装置3の実施が可能であ
る。 (実施例3の変形態様1)本実施例の変形態様1とし
て、両傾斜角度βf ,βp を同時に再設定することによ
り、両曲げモーメントに対応する値Ff,Fpを同時に
抑制して、両傾斜角度βf ,βp を適正値に速やかに収
束させる方法の実施が可能である。
【0126】すなわち、曲げモーメントに対応する値F
f,Fpの両方を同時に低減させる目的では、評価関数
PとしてFfとFpとの二乗和P≡Ff2+Fp2を採用
し、最急降下法で両傾斜角度βf ,βp を収束させるこ
とができる。その際、傾斜角度βf ,βp をそれぞれ微
小角度だけ変化させて算出した評価関数Pに基づいて、
∂P/∂βf ,∂P/∂βp に相当する互いに直交した
傾斜を算出し、両変数βf ,βp を最急降下法によって
並行して適正値に収束させる。それゆえ、繰り返し演算
の回数を低減させることができ、実施例3よりも演算量
を低減させることが可能になる。
【0127】したがって本変形態様によれば、前述の実
施例3の優れた効果をそのまま保ちながら、実施例3よ
りも演算量を低減させて演算時間を短縮させることがで
きるという効果がある。それゆえ、切削抵抗のモデリン
グをする上での仮定が十分に正しければ、おそらく本変
形態様が本発明のベストモードであるとするのが妥当で
あろう。
【0128】(実施例3の各種変形態様)本実施例に対
しても、前述の実施例1の変形態様1,3に対応する変
形態様の実施が可能であり、同様の作用効果が得られ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プランジカットの一典型例を示す斜視図
【図2】 プランジカットの他の典型例を示す斜視図
【図3】 垂直切削での切粉断面積を示す模式図
【図4】 プランジカットでの切粉断面積を示す模式図
【図5】 工具座標系での角度の定義を示す組図 (a)回転角度位置φおよび切刃角度位置kを示す斜視
図 (b)切刃角度位置kの定義を示す斜視図 (c)回転角度位置φの定義を示す斜視図
【図6】 切粉の体積等を算出するために切粉の形状を
示す組図 (a)ボールエンドミルとワークとを示す斜視図 (b)切粉の形状を模式的に示す斜視図 (c)切粉断面積の一例を示す模式図 (d)切粉断面積の他の一例を示す模式図
【図7】 切削による創成面の形状等を示す組図 (a)切り込み深さtとピックフィードpとを示す斜視
図 (b)切削による創成面の形状を示す斜視図 (c)視点Aからの創成面の形状を示す断面図
【図8】 ボールエンドミルによる切削の固有挙動を示
すグラフ
【図9】 一枚の切刃による一周分の切粉の形状を示す
斜視図
【図10】ボールエンドミルの刃先開孔部を模式的に示
す断面図
【図11】実施例1での工具回転角度φc の定義を示す
模式図
【図12】実施例1の傾斜角度設定ロジックの前半部を
示すフローチャート
【図13】実施例1の傾斜角度設定ロジックの後半部を
示すフローチャート
【図14】実施例1としてのフライス盤制御装置の配置
を示すブロック図
【符号の説明】
βf :ボールエンドミルの送り方向への傾斜角度(βf
<0) βp :ボールエンドミルのピックフィード方向への傾斜
角度(βp <0) β:ボールエンドミルの傾斜角度ベクトル(β=[β
f ,βpT ) R:ボールエンドミルのカッター半径[mm] fz:カッター(切刃)一枚当たりの工具送り量[mm/
tooth] t:切り込み深さ[mm] p:ピックフィード[m
m] k:切り刃角度位置 kc:実効切刃角度(kc=ka−ke) ka:実切削時の最高位置での切刃角度位置 ke:実切削時の最低位置での切刃角度位置 φ:ボールエンドミルの切刃稜の回転角度位置 φc:実切削中の回転角度(φc=φa−φe) φa:切削終了時の回転角度位置 φe:切り込み時の回転角度位置 h,h(k,φ):切粉厚さ lc:実効切削長さ s:実効切り刃長さ α:開孔角度(半頂角) L:開孔直径 1:製品図面の記憶装置(CADによる数値データの記
憶装置) 2:CAD/CAM処理装置 3:フライス盤制御装置(本発明の装置) 4:NCフライス盤 5:NCフライス盤の制御盤 51:xyz三軸制御部 52:ab二軸制御部 6:NCフライス盤の駆動部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 内藤 国雄 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 (72)発明者 渡辺 一樹 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 ▲高▼田 泰久 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 3C022 AA09 AA10 KK02 KK06 QQ00

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フライス盤においてワークの表面に対しボ
    ールエンドミルを送り方向に関して前後方向および左右
    方向に傾けてプランジカット(突っ込み切削)を行うに
    あたり、 切削前に、該ボールエンドミルの該回転軸の前後傾斜角
    度および左右傾斜角度の両角度の設定値を初期設定し、
    該ボールエンドミルの回転軸の前後方向にかかる前後曲
    げモーメントに対応する推算値と、該回転軸の左右方向
    にかかる左右曲げモーメントに対応する推算値とを推算
    して、両該推算値が所定値以下になるまで、該設定値の
    再設定および該推算を繰り返し行い、もって該両角度の
    適正値を算出し、 該適正値をもって該フライス盤の該ボールエンドミルの
    傾斜角度を設定したうえで切削を行うことを特徴とする
    ボールエンドミルによる切削方法。
  2. 【請求項2】前記前後曲げモーメントに対応する推算値
    は、前記ボールエンドミルの前記回転軸の右方での切粉
    断面積と左方での切粉断面積との差をもって推算され、 前記左右曲げモーメントに対応する推算値は、該ボール
    エンドミルの該回転軸の前方での切粉断面積と後方での
    切粉断面積との差をもって推算される、 請求項1記載のボールエンドミルによる切削方法。
  3. 【請求項3】前記前後曲げモーメントに対応する推算値
    は、前記ボールエンドミルの前記回転軸の右半面での切
    粉体積と左半面での切粉体積との差をもって推算され、 前記左右曲げモーメントに対応する推算値は、該ボール
    エンドミルの該回転軸の前半面での切粉体積と後半面で
    の切粉体積との差をもって推算される、 請求項1記載のボールエンドミルによる切削方法。
  4. 【請求項4】前記前後曲げモーメントおよび前記左右曲
    げモーメントに対応する両前記推算値は、それぞれ、前
    記ボールエンドミルによって生じ切粉断面積と直交して
    作用する切削抵抗の前後方向分力および左右方向分力の
    前記回転軸の全周に関する積分値として推算される、 請求項1記載のボールエンドミルによる切削方法。
  5. 【請求項5】ワークの表面に対しボールエンドミルを送
    り方向に関して前後方向および左右方向にそれぞれ所定
    の傾斜角度をもって傾けてプランジカット(突っ込み切
    削)を行うことが可能なフライス盤に対し、該ボールエ
    ンドミルの回転軸の傾斜角度を適正な値に設定するフラ
    イス盤制御装置であって、 少なくとも、前記ボールエンドミルの工具半径およびカ
    ッター刃数と、所望のピックフィード、切り込み深さ、
    送り速度および工具回転速度とに相当する入力値を入力
    する入力手段と、 該入力値と、適当に設定された該ボールエンドミルの両
    該傾斜角度の初期値と、適当に設定された積分刻み幅と
    に基づいて、該ボールエンドミルの回転軸の前後方向に
    かかる前後曲げモーメントに対応する推算値と、該回転
    軸の左右方向にかかる左右曲げモーメントに対応する推
    算値とを推算する推算手段と、 該推算手段による両該推算値が所定値以下になるまで、
    該ボールエンドミルの該回転軸の前後傾斜角度および左
    右傾斜角度の両角度の設定値を調整して該推算を繰り返
    し行い、もって該両角度の適正値を算出する収束手段
    と、 該収束手段によって算出された両該角度の該適正値を、
    前記フライス盤の工具傾斜角度設定手段に適合した形式
    で該フライス盤に出力する出力手段と、を有することを
    特徴とするフライス盤制御装置。
  6. 【請求項6】前記収束手段は、両該角度の前記設定値を
    調整する際に、傾斜法に基づく数値解法によって自動的
    に調整を行う、 請求項5記載のフライス盤制御装置。
JP17504098A 1998-06-22 1998-06-22 ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置 Pending JP2000005915A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17504098A JP2000005915A (ja) 1998-06-22 1998-06-22 ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP17504098A JP2000005915A (ja) 1998-06-22 1998-06-22 ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2000005915A true JP2000005915A (ja) 2000-01-11

Family

ID=15989173

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17504098A Pending JP2000005915A (ja) 1998-06-22 1998-06-22 ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2000005915A (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100466806B1 (ko) * 2001-07-26 2005-01-24 학교법인 포항공과대학교 가상 가공 시뮬레이션용 정밀 절삭력 및 가공 표면 오차예측 방법
WO2005023474A1 (ja) * 2003-09-02 2005-03-17 Tokyo Denki University 硬脆性材のエンドミル切削加工方法
WO2005023473A1 (ja) 2003-09-05 2005-03-17 Shinjo Metal Industries, Ltd. 回転切削工具およびこれを用いた切削方法
US7021873B2 (en) * 2002-06-21 2006-04-04 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Radius end mill and manufacturing method of bevel gear forging die
JP2008075864A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Ntn Corp 密封型転がり軸受およびその製造方法
JP2011073140A (ja) * 2003-12-17 2011-04-14 Showa Denko Kk 鍛造用金型の製造方法
JP2013099829A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Ihi Corp 溝加工方法
CN103406576A (zh) * 2013-05-30 2013-11-27 无锡富盛阀业有限公司 一种闸阀密封面加工机床
WO2021172065A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 国立大学法人東海国立大学機構 加工方法、加工装置、加工プログラムおよびエンドミル

Cited By (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100466806B1 (ko) * 2001-07-26 2005-01-24 학교법인 포항공과대학교 가상 가공 시뮬레이션용 정밀 절삭력 및 가공 표면 오차예측 방법
US7021873B2 (en) * 2002-06-21 2006-04-04 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Radius end mill and manufacturing method of bevel gear forging die
WO2005023474A1 (ja) * 2003-09-02 2005-03-17 Tokyo Denki University 硬脆性材のエンドミル切削加工方法
WO2005023473A1 (ja) 2003-09-05 2005-03-17 Shinjo Metal Industries, Ltd. 回転切削工具およびこれを用いた切削方法
US7306412B2 (en) 2003-09-05 2007-12-11 Shinjo Metal Industries, Ltd. Rotary milling cutter and milling method using the same technical field
JP2011073140A (ja) * 2003-12-17 2011-04-14 Showa Denko Kk 鍛造用金型の製造方法
JP2011073139A (ja) * 2003-12-17 2011-04-14 Showa Denko Kk 鍛造用金型の製造方法
JP2008075864A (ja) * 2006-09-25 2008-04-03 Ntn Corp 密封型転がり軸受およびその製造方法
JP2013099829A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Ihi Corp 溝加工方法
CN103406576A (zh) * 2013-05-30 2013-11-27 无锡富盛阀业有限公司 一种闸阀密封面加工机床
WO2021172065A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02 国立大学法人東海国立大学機構 加工方法、加工装置、加工プログラムおよびエンドミル
JPWO2021172065A1 (ja) * 2020-02-28 2021-09-02
JP7161254B2 (ja) 2020-02-28 2022-10-26 国立大学法人東海国立大学機構 加工方法、加工装置およびプログラム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10987774B2 (en) High performance multi-axis milling
Antoniadis et al. Prediction of surface topomorphy and roughness in ball-end milling
KR102445605B1 (ko) 궤도 산출 프로그램, 가공 장치, 궤도 산출 방법, 공구 및 가공물품
Huang et al. Decoupled chip thickness calculation model for cutting force prediction in five-axis ball-end milling
Zhang et al. Feedrate scheduling strategy for free-form surface machining through an integrated geometric and mechanistic model
JP2007196331A (ja) 切削自励振動における最大切込み量算出方法及びプログラム
WO2021174518A1 (zh) 一种无颤振铣削加工表面形貌仿真方法
Warkentin et al. Computer aided 5-axis machining
Ren et al. Research on tool path planning method of four-axis high-efficiency slot plunge milling for open blisk
CN108415374A (zh) 基于机床旋转进给轴运动学特性的刀轴矢量光顺方法
CN113962105B (zh) 一种无颤振精加工铣削过程的高效参数优化方法
JP2000005915A (ja) ボールエンドミルによる切削方法およびフライス盤制御装置
JP4517156B2 (ja) フライス加工における切削加工面の凹凸形状の算出方法及び凹凸形状の加工制御方法
Rivière-Lorphèvre et al. Cutting force prediction in robotic machining
CN111299668B (zh) 一种不等齿距铣刀的齿间角确定方法
Ozturk et al. Analytical methods for increased productivity in five-axis ball-end milling
CN108255133B (zh) 一种圆刀片式环形刀五轴加工的材料去除率计算方法
CN112347585A (zh) 一种球头铣刀与工件接触区域解析计算方法
Shaw et al. Reducing X, Y and Z axes movement of a 5-axis AC type milling machine by changing the location of the work-piece
Inoue et al. Rapid 5-axis control tool path Generation by Means of Interference-free Space Concept
CN108241764A (zh) 准双曲面齿轮的三维建模方法及装置
Shan et al. Four-axis tool orientation smoothing for spiral machining of blades based on step length
Budak IMPROVING 5-AXIS MILLING OPERATIONS USING PROCESS MODELS.
Ozturk et al. Tool orientation effects on the geometry of 5-axis ball-end milling
JPH10113846A (ja) 切削加工方法、切削加工データ作成方法、および切削加工データ作成用プログラム記録媒体

Legal Events

Date Code Title Description
A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20040409