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JP2000001668A - 表面親水性基体 - Google Patents

表面親水性基体

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JP2000001668A
JP2000001668A JP18664398A JP18664398A JP2000001668A JP 2000001668 A JP2000001668 A JP 2000001668A JP 18664398 A JP18664398 A JP 18664398A JP 18664398 A JP18664398 A JP 18664398A JP 2000001668 A JP2000001668 A JP 2000001668A
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amorphous titanium
titanium oxide
photocatalytic
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四郎 緒方
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用する基材の種類に制限がなく、低温で造
膜することができ、紫外線照射による光励起を生じさせ
ない場合においてもその表面が優れた親水性を有し、耐
候性や透明性に優れた表面親水性基体を提供すること。 【解決手段】 親水性有機高分子樹脂、界面活性剤、親
水剤がコーティングされた基材やその表面に多孔質親水
処理が施された有機高分子樹脂基材等の親水性処理が施
された基材の表面に、光触媒能を有さないアモルファス
型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタンを
含有するコーティング層が設けられている表面親水性基
体や、この表面親水性基体の上にさらに光触媒能を有す
る光触媒体を含有する光触媒層が設けられている表面親
水性基体を調製する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、建材、ガラス、レ
ンズ、鏡、金属、タイル、冷媒、管、合成樹脂パネル、
繊維・不織布等の基材表面に親水性処理が施された、そ
の表面が親水性作用を有する防露、防曇機能を備えた表
面親水性基体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、眼鏡レンズ、浴室鏡、注射針等の
表面に親水性・防曇性等を付与するコーティング剤とし
ては、界面活性剤やポリビニールアルコール系樹脂の有
機系親水剤や、シリカ化合物に有機高分子樹脂を混合シ
リコン系樹脂がよく知られている。また、光触媒能を有
するアナターゼ型酸化チタンTiO2 とシリコン系樹脂
との混合物からなるコーティング剤をコーティングし、
紫外線照射時に親水性作用を発揮する表面親水性基体も
知られている。
【0003】例えば、特開平8−313705号公報に
は、物品表面に光触媒能を有する酸化チタンを主成分と
する層や白金を添加した光触媒能を有する酸化チタンを
主成分とする層を設け、その表面に発生した小さな水滴
を紫外線の存在下光触媒反応により分解し、曇りの原因
になる水滴が成長することをなくしたレンズ、鏡、窓、
ゴーグル等の防曇性物品が開示されている。
【0004】また、特開平8−119673号公報に
は、硬化性ケイ素樹脂溶液に、酸化錫及び酸化アンチモ
ンを主成分とする粉末、酸化亜鉛粉末、酸化チタン粉末
等からなる金属酸化物を配合したガラス用親水化処理剤
をガラス基板表面にコーティングし、次いで530〜7
00℃の温度で焼付硬化する親水化処理方法が開示され
ている。
【0005】また、特開平9−59041号公報には、
シリコーンの前駆体又は未硬化の若しくは部分的に硬化
したシリコーンからなる塗膜形成要素と半導体光触媒の
粒子とを溶媒中に均一に分散させ、基材に塗布し塗膜を
形成した後に光触媒を光励起したときに、光触媒の作用
により塗膜表面が水との接触角に換算して約10°以下
の親水性を呈する防曇性コーティング組成物が開示され
ている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】親水性有機高分子樹脂
をコーテイングすることにより得られる親水性基板は、
水による親水機能成分の流出などにより、戸外での使用
や長期にわたる使用においてはその性能を維持すること
が難しく、また、界面活性剤を中心とする防曇溶剤を用
いた親水性基板は、水中バブリング等に対しては成分が
流出し、機能維持ができないという問題点があった。ま
た、シリコン系樹脂を親水性コーティング剤として用い
た場合、シリコン系樹脂面に生じる静電気により、大気
中の塵埃等が着塵し、その表面を黒く汚すという問題点
があった。
【0007】さらに、現在、光触媒を担持させる基材と
して多用されている、プラスチック板やプラスチックレ
ンズなどの有機高分子樹脂基板に対して、光触媒能を有
するアナターゼ型酸化チタンTiO2 とシリコン系樹脂
とからなる上記親水性コーティング剤を適用すると、酸
化チタンによる静電気放電防止作用により大気中の塵埃
等の着塵は防止しうるが、光触媒機能により有機高分子
樹脂からなるプラスチック材の劣化が著しいという問題
点があった。また、この光触媒能を有するアナターゼ型
酸化チタンTiO2 とシリコン系樹脂とからなる親水性
コーティング剤は、親水機能を発揮するためには紫外線
照射が必要とされており、紫外線が照射されない場所に
設置された場合には親水性機能が発揮できないという実
用上の不都合があった。
【0008】また、シリカ化合物を主体として光触媒機
能が付加された親水性基板は、コロイダルシリカをはじ
めとしたシリカを主体とするところから、実質的な膜強
度を得るためにはシリカ溶融温度の500℃以上に加熱
を行わなければならず、この温度に耐えられない例えば
軟化点の低い合成樹脂板等は使用することができず、使
用できる基材が制限されるという問題があった。また、
シリカ溶融温度以下での加熱では実質的な膜強度が得ら
れないため、特に戸外での使用性に問題があった。ま
た、光触媒能を有するアナターゼ型酸化チタンを使用す
るものは、造膜性能とともに親水性能の均質性に問題が
ある上に、上記のように合成樹脂板等は光触媒作用によ
って分解されることから、この場合もまた使用できる基
材が制限されるという問題があった。
【0009】本発明の課題は、使用する基材の種類に制
限がなく、低温で造膜することができ、紫外線照射によ
る光励起を生じさせない場合においてもその表面が優れ
た親水性を有し、耐候性や透明性に優れた表面親水性基
体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、鋭意研究したところ、親水性処理が施された基材の
表面に、アモルファス型過酸化チタンゾル等の光触媒能
を有さないアモルファス型チタン酸化物からなるコーテ
ィング層を設けた親水性基体が、極めて優れた親水性を
有するのみならず、かつ常温で成膜し得るばかりか強い
膜強度を有するなど成膜性にも優れ、加えて静電気放帯
電防止作用を有し汚れを静電付着させることがなく、か
つ基材としての有機高分子樹脂材が劣化しないばかり
か、紫外線照射がないところでも親水機能を充分発揮し
うることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0011】すなわち本発明は、親水性有機高分子樹脂
がコーティングされた基材や、界面活性剤及び/又は親
水剤がコーティングされた基材や、その表面に多孔質親
水処理が施された有機高分子樹脂基材等の親水性処理が
施された基材の表面に、光触媒能を有さないアモルファ
ス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタン
を含有するコーティング層が設けられている表面親水性
基体や、この表面親水性基体の上にさらに光触媒能を有
する光触媒体を含有する光触媒層が設けられている表面
親水性基体や、上記親水性処理が施された基材の表面
に、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン及
び/又はアモルファス型酸化チタンと、光触媒能を有す
る光触媒体とを含有するコーティング層が設けられてい
る表面親水性基体に関する。
【0012】また本発明は、基材の表面に、親水性有機
高分子樹脂や、界面活性剤及び/又は親水剤と、光触媒
能を有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又はア
モルファス型酸化チタンとの混合物を含有するコーティ
ング層が設けられている表面親水性基体や、基材の表面
に、親水性有機高分子樹脂や、界面活性剤及び/又は親
水剤と、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタ
ン及び/又はアモルファス型酸化チタンとの混合物を含
有するコーティング層が設けられ、その上にさらに光触
媒能を有する光触媒体を含有する光触媒層が設けられて
いる表面親水性基体や、基材の表面に、親水性有機高分
子樹脂や、界面活性剤及び/又は親水剤と、光触媒能を
有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモル
ファス型酸化チタンとの混合物を含有するコーティング
層が設けられ、その上に光触媒能を有さないアモルファ
ス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタン
を含有するコーティング層が設けられ、その上にさらに
光触媒能を有する光触媒体を含有する光触媒層が設けら
れているている表面親水性基体や、親水性有機高分子樹
脂が、親水剤としてケイ素酸化物を含有する有機高分子
樹脂である上記表面親水性基体に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の表面親水性基体において
使用される基材としては、セラミックス、ガラスなどの
無機材、有機高分子樹脂、ゴム、木、紙などの有機材、
並びにアルミニウム、鋼などの金属材等その種類に制限
なく用いることができ、また、その大きさや形には制限
されず板状、針状、ハニカム状、ファイバー状、濾過シ
ート状、ビーズ状、発泡状やそれらが集積したものでも
よい。そして、基材が有機高分子材からなるものであっ
ても、本発明の表面親水性基体においては該有機高分子
材を劣化させることなく使用することができ、従来の親
水性基板に比べて有機高分子樹脂系基材の使用が制限さ
れるということがない。
【0014】基材表面に親水性や防曇機能をもたせる方
法としては、表面を多孔質にして水の表面張力を拡散さ
せる方法や、表面に親水基(−OH)を生じさせ、空気
中の水分と結合させる方法が知られているが、本発明に
おいて、上記基材の表面に親水処理を施す方法として
は、光触媒を用いない従来公知の親水化処理方法であれ
ばどのようなものでも使用することができ、例えば、親
水性の有機高分子樹脂をコーティングする方法や、界面
活性剤及び/又は親水剤をコーティングする方法の他、
基材が有機高分子樹脂基材である場合には表面に多孔質
親水処理を施す方法を例示することができる。
【0015】親水性の有機高分子樹脂としては、有機高
分子樹脂そのものをコーティングした場合に親水性を有
するものや、界面活性剤及び/又は親水剤を有機高分子
樹脂に混合したものを例示することができ、例えば上記
従来技術に開示された親水性の有機高分子樹脂など、従
来公知のものであればどのようなものでも使用すること
ができる。そして、界面活性剤としては、具体的に、ノ
ニオン系界面活性剤(花王株式会社製「クリンスルー7
10M」)、アニオン系界面活性剤(ライオン株式会社
製「サンノールNP−1030」)等を例示することが
でき、親水剤としては、n−メチルピロリドンやコロイ
ダルシリカ等の二酸化珪素の他、シリコーン、オルガノ
ポリシロキサン等のシロキサン類化合物、水ガラス等の
ケイ素酸化物を含有する親水剤を例示することができ
る。また、上記親水性有機高分子樹脂や親水剤や界面活
性剤を含む機能性素材や、親水作用を有する機能性素材
を用いて基材に親水性処理を施すこともでき、親水作用
を有する機能性素材として、例えば帯電防止剤(コルコ
ート株式会社製「コルコートN−103X」、「コルコ
ートR」等)を具体的に挙げることができる。
【0016】有機高分子樹脂基材の表面に多孔質親水処
理を施す方法としては、プラズマ、電磁波、近紫外線以
下の波長の光を照射し、それらが有するエネルギーによ
り、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リカーボネート、アクリル系等の有機高分子樹脂基材の
表面をナノスケールレベルでの多孔質マット状に加工す
る方法を挙げることができ、この方法によると表面積が
著しく増大する結果、水の表面張力が拡散し、親水性を
呈することとなる。
【0017】本発明におけるアモルファス型の過酸化チ
タンTiO3 やアモルファス型酸化チタンTiO2 は、
上記従来の親水性基板材料に使用されている紫外線によ
って光励起して光触媒能を有するアナターゼ型酸化チタ
ンTiO2 やルチル型酸化チタンTiO2 と異なり、光
触媒機能は実質上殆どない。これら光触媒能を有さない
アモルファス型チタン酸化物の中でも、特開平9−71
418号公報や特開平9−262481号公報に記載さ
れているアモルファス型過酸化チタンゾルが成膜性等の
点から特に好ましく使用される。
【0018】このアモルファス型過酸化チタンゾルは、
例えば次のようにして製造することができる。四塩化チ
タンTiCl4 のようなチタン塩水溶液に、アンモニア
水ないし水酸化ナトリウムのような水酸化アルカリを加
える。生じる淡青味白色、無定形の水酸化チタンTi
(OH)4はオルトチタン酸H4TiO4とも呼ばれ、こ
の水酸化チタンを洗浄・分離後、過酸化水素水で処理す
ると、本発明のアモルファス形態の過酸化チタン液が得
られる。このアモルファス型過酸化チタンゾルは、pH
6.0〜7.0、粒子径8〜20nmであり、その外観
は黄色透明の液体であり、常温で長期間保存しても安定
である。また、ゾル濃度は通常1.40〜1.60%に
調整されているが、必要に応じてその濃度を調整するこ
とができ、低濃度で使用する場合は、蒸留水等で希釈し
て使用する。
【0019】また、このアモルファス型過酸化チタンゾ
ルは、常温ではアモルファスの状態で未だアナターゼ型
酸化チタンには結晶化しておらず、密着性に優れ、成膜
性が高く、均一でフラットな薄膜を作成することがで
き、かつ、乾燥被膜は水に溶けないという性質の他に、
光触媒に対して安定であるという特性を有している。な
お、アモルファス型の過酸化チタンのゾルを100℃以
上で加熱すると、アナターゼ型酸化チタンゾルに変化し
始め、アモルファス型過酸化チタンゾルを基材にコーテ
ィング後乾燥固定したものは、250℃以上の加熱によ
りアナターゼ型酸化チタンになる。
【0020】本発明において用いられるアモルファス型
酸化チタンとしては微粉末状のものやこの微粉末状のも
のを硝酸等の溶媒に懸濁分散させたゾル状のものが知ら
れている。この光触媒機能を有さないアモルファス型酸
化チタンの内、微粉末状のものを用いる場合には、熱硬
化水溶性樹脂などのバインダーと混合してコーティング
することになる。
【0021】本発明の表面親水性基体は、親水性処理が
施された基材の表面に、光触媒能を有さないアモルファ
ス型過酸化チタン、光触媒能を有さないアモルファス型
酸化チタン又はそれらの混合物からなるコーティング層
を設けることによって調製することができる。また、本
発明の表面親水性基体は、基材の表面に、親水性有機高
分子樹脂や、界面活性剤や、親水剤や、界面活性剤と親
水剤の混合物や、これら親水性有機高分子樹脂、界面活
性剤、親水剤、又は界面活性剤と親水剤の混合物を含む
機能性素材や、親水作用を有する帯電防止剤等の機能性
素材と、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタ
ン及び/又はアモルファス型酸化チタンとの混合物とか
らなるコーティング層を設けることによっても調製する
ことができる。
【0022】光触媒能を有さないアモルファス型過酸化
チタン、光触媒能を有さないアモルファス型酸化チタン
又はそれらの混合物からなる膜は、疎水性能を有してお
り、親水性処理が施された基材の表面に疎水性のこれら
アモルファス型過酸化チタン等をコーティングした場合
の造膜表面や、親水性有機高分子樹脂と疎水性のこれら
アモルファス型過酸化チタン等の混合物からなるコーテ
ィング膜表面が、親水性能を発揮するのかそのメカニズ
ムは必ずしも明らかではないが、本発明の表面親水性基
体は紫外線の非照射時においても優れた親水機能を発揮
する。また、アモルファス型過酸化チタン等は、耐薬品
性や耐摩耗性に優れていることから、この本発明の表面
親水性基体は戸外での使用や、水中バブリングにも充分
耐えることができ、その親水性能を長期にわたって維持
することができる。また、本発明の表面親水性基体の造
膜成分として、上記アモルファス型過酸化チタン等とと
もに、紫外線遮断機能や静電気放電防止機能を有する誘
電体セラミックス材料や導電性セラミックス材料を、必
要に応じて含有せしめることができる。
【0023】また、アモルファス型過酸化チタン等のコ
ーティング層を設ける方法としては、スプレーコート、
ディッピング、スピンコートなどの工法で薄膜を作る方
法が挙げられる。また、コーティング薄膜(層)の厚み
としては、親水性付与という目的が達成しうる厚みやバ
インダー等の造膜性能により決定されるが、例えばバイ
ンダー機能をも兼ね備えているアモルファス型過酸化チ
タンゾルと、コロイダルシリカとの混合物からなるコー
ティング剤を用いる場合、通常0.5μm〜5.0μm
の厚みにコーティングされる。コーティング後は通常乾
燥することにより造膜工程が終了する。
【0024】これら本発明の表面親水性基体の模式図を
図1〜3に示す。図1には、基材1の表面に親水性有機
高分子樹脂層2が設けられ、該親水性有機高分子樹脂層
2の表面に光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チ
タン及び/又はアモルファス型酸化チタンからなるコー
ティング層3が設けられている本発明の表面親水性基体
が示されている。図2には、プラズマ、電磁波等を用い
た親水性処理によってその表面が多孔質4となった有機
高分子樹脂基材1の表面に光触媒能を有さないアモルフ
ァス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタ
ンからなるコーティング層3が設けられている本発明の
表面親水性基体が示されている。図3には、基材1の表
面に親水性有機高分子樹脂と、光触媒能を有さないアモ
ルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化
チタンとの混合物からなるコーティング層5が設けられ
ている本発明の表面親水性基体が示されている。
【0025】上記の本発明の表面親水性基体に、親水機
能に加えて防汚機能を相乗させるため、さらにその上に
光触媒層を設けることもできる。この光触媒層を有する
本発明の表面親水性基体は、親水性処理が施された基材
の表面に、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チ
タン、光触媒能を有さないアモルファス型酸化チタン又
はそれらの混合物からなるコーティング層が設けられた
上記表面親水性基体や、基材の表面に、親水性有機高分
子樹脂や、界面活性剤や、親水剤や、界面活性剤と親水
剤の混合物や、これら親水性有機高分子樹脂、界面活性
剤、親水剤、又は界面活性剤と親水剤の混合物を含む機
能性素材や、親水作用を有する帯電防止剤等の機能性素
材と、光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン
及び/又はアモルファス型酸化チタンとの混合物からな
るコーティング層が設けられた上記表面親水性基体や、
基材の表面に、親水性有機高分子樹脂や、界面活性剤
や、親水剤や、界面活性剤と親水剤の混合物や、これら
親水性有機高分子樹脂、界面活性剤、親水剤、又は界面
活性剤と親水剤の混合物を含む機能性素材や、親水作用
を有する帯電防止剤等の機能性素材と、光触媒能を有さ
ないアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファ
ス型酸化チタンとの混合物からなるコーティング層が設
けられ、その上に光触媒能を有さないアモルファス型過
酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタンを含有
するコーティング層が設けられた表面親水性基体の上
に、さらに、光触媒能を有する光触媒体を含有するコー
ティング層や、あるいは光触媒能を有さないアモルファ
ス型過酸化チタンゾル等と光触媒能を有する光触媒体と
の混合物を含有するコーティング層を設けることによっ
て得られる。
【0026】この光触媒能を有する光触媒体を含有する
コーティング層、すなわち光触媒層を有する本発明の表
面親水性基体は、紫外線照射時には優れた親水機能と光
触媒による防汚機能とを有し、紫外線非照射時には光触
媒による防汚機能は発揮し得ないが優れた親水機能を有
するという特徴をもつ。そして、この本発明の表面親水
性基体の場合、光触媒能を有する光触媒体を含有するコ
ーティング層と親水性樹脂層との間には、光触媒機能に
よる劣化をブロッキングする機能も併せもつアモルファ
ス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタン
を含有する層があるので、親水作用が劣化することな
く、優れた親水機能と防汚機能が長期にわたって維持さ
れる。
【0027】この光触媒層を有する本発明の表面親水性
基体の模式図を図4〜7に示す。図4には、基材1の表
面に親水性有機高分子樹脂層2がコーティングされ、該
コーティング層の表面に光触媒能を有さないアモルファ
ス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタン
からなるコーティング層3が設けられ、さらにその上に
光触媒層6が設けられている本発明の表面親水性基体が
示されている。図5には、プラズマ、電磁波、又は近紫
外線以下の波長を用いた親水性処理によってその表面に
多孔質4となった有機高分子樹脂基材1の表面に光触媒
能を有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又はア
モルファス型酸化チタンからなるコーティング層3が設
けられ、さらにその上に光触媒層6が設けられている本
発明の表面親水性基体が示されている。図6には、基材
1の表面に親水性有機高分子樹脂と、光触媒能を有さな
いアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス
型酸化チタンとの混合物からなるコーティング層5が設
けられ、さらにその上に光触媒層6が設けられている本
発明の表面親水性基体が示されている。
【0028】本発明において使用しうる光触媒体として
は、Ti02、ZnO、SrTiO3、CdS、Cd0、
CaP、InP、In23、CaAs、BaTiO3
2NbO3、Fe23、Ta25、WO3、SaO2、B
23、NiO、Cu2O、SiC、SiO2、Mo
2、MoS3、InPb、RuO2、CeO2などを挙げ
ることができるが、これらの中でも粉末状又はゾル状の
アナターゼ型酸化チタンTi02 が好ましい。
【0029】ゾル状のアナターゼ型酸化チタン、すなわ
ちアナターゼ型酸化チタンゾルは、上記のように、アモ
ルファス型過酸化チタンゾルを100℃以上の温度で加
熱することにより製造できるが、アナターゼ型酸化チタ
ンゾルの性状は加熱温度と加熱時間とにより多少変化
し、例えば100℃で6時間処理により生成するアナタ
ーゼ型の酸化チタンゾルは、pH7.5〜9.5、粒子
径8〜20nmであり、その外観は黄色懸濁の液体であ
る。このアナターゼ型酸化チタンゾルのゾル濃度は通常
2.70〜2.90重量%に調整されているが、必要に
応じてその濃度を調整して使用することもできる。
【0030】酸化チタンとしては、上記のアナターゼ型
酸化チタンゾルの他、粉末状の二酸化チタンとして、例
えば市販の「ST−01」(石原産業株式会社製)や
「ST−31」(石原産業株式会社製)をも使用しう
る。この場合、バインダーとしては、光触媒作用により
劣化を受けないもので、かつ、光触媒機能を低下させな
いものであればどのようなものでも使用できるが、常温
での優れた接着性を有する上記アモルファス型過酸化チ
タンゾルをバインダーとして用いることが望ましい。
【0031】光触媒体には、光触媒反応を促進補完する
ものとして、その製造過程で、光触媒機能補助添加金属
(Pt,Ag,Rh,RuO,Nb,Cu,Sn,Ni
Oなど)を添加しておくこともできる。また、成形前
に、光触媒と共に、自発型紫外線放射剤又は蓄光型紫外
線放射剤の粒子あるいはこれらの放射剤を混入した粒子
を混合しておくこともできる。
【0032】本発明の表面親水性基体は、ショウケース
ガラス、浴室鏡、眼鏡レンズ、自動車のウインドウガラ
スやボディーに用いられ、それらの曇り防止、注射針の
体内注入時の刺激痛軽減、窓ガラス、天窓の結露防止、
浴室とユニットバスとの間や外壁と窓枠との間やタイル
とタイルとの間等のシリコン系シーリング材や油性コー
キング材等建材の汚れ防止などの優れた機能を発揮す
る。また、光触媒体がコーティングされた表面親水性基
体の場合は、ガラスやタイル等の無機材からなる基材表
面に付着した塵、油、垢等の汚染有機物が光触媒作用に
よって分解されるので、外装建築材等に用いると特に有
利である。
【0033】
【実施例】以下に、実施例を掲げてこの発明をさらに具
体的に説明するが、この発明の技術的範囲はこれらの例
示に限定されるものではない。 参考例1(アモルファス型過酸化チタンゾルの製造) 四塩化チタンTiCl4の50%溶液(住友シティクス
株式会社)を蒸留水で70倍に希釈したものと、水酸化
アンモニウムNH4OHの25%溶液(高杉製薬株式会
社)を蒸留水で10倍に希釈したものとを、容量比7:
1に混合し、中和反応を行う。中和反応後pHを6.5
〜6.8に調整し、しばらく放置後上澄液を捨てる。残
ったTi(OH)4のゲル量の約4倍の蒸留水を加え十
分に攪拌し放置する。塩化銀でチェックし上澄液中の塩
素イオンが検出されなくなるまで水洗を繰り返し、最後
に上澄液を捨ててゲルのみを残す。場合によっては遠心
分離により脱水処理を行うことができる。この淡青味白
色のTi(OH)43600mlに、35%過酸化水素
水210mlを30分毎2回に分けて添加し、約5℃で
一晩攪拌すると黄色透明のアモルファス型過酸化チタン
ゾル約2500mlが得られる。なお、上記の工程にお
いて、発熱を抑えないとメタチタン酸等の水に不溶な物
質が析出する可能性があるので、すべての工程は発熱を
抑えて行うのが望ましい。
【0034】参考例2(アモルファス型過酸化チタンゾ
ルからの酸化チタンゾルの製造) 上記アモルファス型過酸化チタンゾルを100℃で加熱
すると、3時間程度経過後にアナターゼ型酸化チタンが
生じ、6時間程度加熱するとアナターゼ型酸化チタンゾ
ルが得られる。また、100℃で8時間加熱すると、淡
黄色やや懸濁蛍光を帯び、濃縮すると、黄色不透明のも
のが得られ、100℃で16時間加熱すると極淡黄色の
ものが得られるが、これらは上記100℃、6時間加熱
のものに比べて乾燥密着度が多少低下する。この酸化チ
タンゾルは、アモルファス型過酸化チタンに比べ粘性が
低下しているのでディッピングしやすいように2.5重
量%まで濃縮して使用する。
【0035】(表面親水性基体の調製) 実施例1 100×100×5mmのPETフィルムの表面に親水
性有機高分子樹脂(株式会社タバックス製「水溶性防曇
剤TV74−4」)0.08gを均一に塗布し、150
℃で乾燥後、その上に参考例により作製したアモルファ
ス型過酸化チタンゾル(TiO3 として1.7重量%含
有)を2倍希釈したもの0.24gを均一に塗布し、1
50℃で乾燥し、本発明の表面親水性基体を調製した。
なお塗布には、明治機械社製の直径0.54mmの丸型
吹き出しノズルを有するスプレーガンFS−G05R−
1を2Kg/cm3 のエアー圧で用いた(以下同じ)。
【0036】実施例2 上記PETフィルムの表面に上記親水性有機高分子樹脂
0.08gを均一に塗布し、150℃で乾燥後、その上
に上記アモルファス型過酸化チタンゾル(TiO3 とし
て1.7重量%含有)を2倍希釈したもの0.08gを
均一に塗布し、150℃で乾燥し、さらにその上に上記
アモルファス型過酸化チタンゾル(TiO3 として1.
7重量%含有)とアナターゼ型酸化チタンの1:1混合
物0.24gを均一に塗布し、100℃で乾燥し、本発
明の表面親水性基体を調製した。
【0037】実施例3 上記のPETフィルムの表面に親水性有機高分子樹脂
と、上記アモルファス型過酸化チタンゾル(TiO3
して1.7重量%含有)との1:1混合物0.24gを
均一に塗布し、150℃で乾燥し、本発明の表面親水性
基体を調製した。
【0038】実施例4 上記のPETフィルムの表面に親水性有機高分子樹脂
と、上記アモルファス型過酸化チタンゾル(TiO3
して1.7重量%含有)との1:1混合物0.24gを
均一に塗布し、150℃で乾燥し、その上に上記アモル
ファス型過酸化チタンゾル(TiO3 として1.7重量
%含有)とアナターゼ型酸化チタンの1:1混合物0.
24gを均一に塗布し、150℃で乾燥し、本発明の表
面親水性基体を調製した。
【0039】実施例5〜8 PETフィルムに代えて、あらかじめ界面活性剤(花王
株式会社製「クリン・スルー」)を0.1g/100c
2 となるように用いてその表面をプライマー処理した
100×100×5mmのフロートガラスを用いる他
は、それぞれ実施例1〜4と同様にして実施例5〜8の
本発明の表面親水性基体(実施例5〜8)を調製した。
【0040】実施例9〜12 100×100×5mmのPETフィルムに代えて10
0×100×5mmのポリカーボネート板(三菱ガス化
学株式会社製「コーピロンガラス」)を用い、親水性処
理として、表面に親水性有機高分子樹脂層を設ける代わ
りに、波長253.7nmをピークとする殺菌ランプ1
5W(東芝ライテック株式会社製)を20cmの距離か
ら、70時間照射する以外は、それぞれ実施例1〜4と
同様にして実施例9〜12の本発明の表面親水性基体
(実施例9〜12)を調製した。
【0041】比較例1 親水性有機高分子樹脂層を設けない他は実施例1と同様
にして得られた基体を比較例1とし、アモルファス型過
酸化チタンゾルからなるコーティング層を設けない他は
実施例1と同様にして得られた基体を比較例2とした。
【0042】(親水機能試験)実施例1〜12及び比較
例1及び2で調製された親水性基体上に、水道水0.1
mlをスポイトにて1cmの高さから滴下し、紫外線を
照射せずに約10分間放置後、基板上の水滴の広がりを
調べる実験を4回繰り返したところ、実施例1〜12及
び比較例2のものは優れた親水性を示したが、比較例1
のものは疎水性を示した。次に、実施例1〜12及び比
較例2のものを30分間水中でバブリング処理に付した
後に、上記親水機能試験を再度実施したところ、実施例
1〜12の本発明の親水性基体は優れた親水性を維持し
ていたが、比較例2のものは成分が流出し、もはや親水
性を示さなかった。
【0043】
【発明の効果】本発明の親水性コーティング剤組成物
は、極めて優れた親水性を付与しうるばかりでなく、か
つ成膜性に優れ、加えて静電防止作用を有し汚れを静電
付着させることがなく、かつ有機高分子樹脂基板を劣化
させることがないばかりか、紫外線を吸収し紫外線照射
がないところでも親水機能を充分発揮しうる。また、最
外側に光触媒層を設けることにより、紫外線非照射下で
は親水機能を、紫外線照射下では親水機能に加えて光分
解作用をも有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の表面親水性基体を表す模式図である。
【図2】本発明の異なる態様の表面親水性基体を表す模
式図である。
【図3】本発明の異なる態様の表面親水性基体を表す模
式図である。
【図4】本発明の光触媒機能も有する表面親水性基体を
表す模式図である。
【図5】本発明の異なる態様の光触媒機能も有する表面
親水性基体を表す模式図である。
【図6】本発明の異なる態様の光触媒機能も有する表面
親水性基体を表す模式図である。
【符号の簡単な説明】
1 基材 2 親水性有機高分子樹脂層 3 光触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン及
び/又はアモルファス型酸化チタンからなるコーティン
グ層 4 有機高分子樹脂基材表面の多孔質構造 5 親水性有機高分子樹脂と光触媒能を有さないアモル
ファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チ
タンとの混合物からなるコーティング層 6 光触媒層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性処理が施された基材の表面に、光
    触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又
    はアモルファス型酸化チタンを含有するコーティング層
    が設けられていることを特徴とする表面親水性基体。
  2. 【請求項2】 親水性処理が施された基材の表面に、光
    触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又
    はアモルファス型酸化チタンを含有するコーティング層
    が設けられ、その上にさらに光触媒能を有する光触媒体
    を含有する光触媒層が設けられていることを特徴とする
    表面親水性基体。
  3. 【請求項3】 親水性処理が施された基材の表面に、光
    触媒能を有さないアモルファス型過酸化チタン及び/又
    はアモルファス型酸化チタンと、光触媒能を有する光触
    媒体とを含有するコーティング層が設けられていること
    を特徴とする表面親水性基体。
  4. 【請求項4】 親水性処理が施された基材が、親水性有
    機高分子樹脂がコーティングされた基材であることを特
    徴とする請求項1〜3のいずれか記載の表面親水性基
    体。
  5. 【請求項5】 親水性処理が施された基材が、界面活性
    剤及び/又は親水剤がコーティングされた基材であるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の表面親水
    性基体。
  6. 【請求項6】 親水性処理が施された基材が、その表面
    に多孔質親水処理が施された有機高分子樹脂基材である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか記載の表面親
    水性基体。
  7. 【請求項7】 基材の表面に、親水性有機高分子樹脂
    や、界面活性剤及び/又は親水剤と、光触媒能を有さな
    いアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス
    型酸化チタンとの混合物を含有するコーティング層が設
    けられていることを特徴とする表面親水性基体。
  8. 【請求項8】 基材の表面に、親水性有機高分子樹脂
    や、界面活性剤及び/又は親水剤と、光触媒能を有さな
    いアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス
    型酸化チタンとの混合物を含有するコーティング層が設
    けられ、その上にさらに光触媒能を有する光触媒体を含
    有する光触媒層が設けられていることを特徴とする表面
    親水性基体。
  9. 【請求項9】 基材の表面に、親水性有機高分子樹脂
    や、界面活性剤及び/又は親水剤と、光触媒能を有さな
    いアモルファス型過酸化チタン及び/又はアモルファス
    型酸化チタンとの混合物を含有するコーティング層が設
    けられ、その上に光触媒能を有さないアモルファス型過
    酸化チタン及び/又はアモルファス型酸化チタンを含有
    するコーティング層が設けられ、その上にさらに光触媒
    能を有する光触媒体を含有する光触媒層が設けられてい
    るていることを特徴とする表面親水性基体。
  10. 【請求項10】 親水性有機高分子樹脂が、親水剤とし
    てケイ素酸化物を含有する有機高分子樹脂であることを
    特徴とする請求項4、7、8又は9記載の表面親水性基
    体。
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