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JP2000086368A - 窒化物セラミックス基板 - Google Patents

窒化物セラミックス基板

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JP2000086368A
JP2000086368A JP10261177A JP26117798A JP2000086368A JP 2000086368 A JP2000086368 A JP 2000086368A JP 10261177 A JP10261177 A JP 10261177A JP 26117798 A JP26117798 A JP 26117798A JP 2000086368 A JP2000086368 A JP 2000086368A
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copper
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真治 内田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】窒化物セラミックス板と銅板とを強固に接合
し、しかも接合による残留応力を極力抑えて、信頼性の
高い窒化物セラミックス基板を提供する。 【解決手段】AlN板1の上に活性ロウ材層4を設
け、その上に銅板2をはんだ層3で接合する。AlN
板1の上に活性ロウ材層4で薄い下地銅板5を接合し、
その下地銅板5の上に銅板2をはんだ層3で接合する。
AlN板1の上に直接接合法により薄い下地銅板5を
接合し、その下地銅板5の上に銅板2をはんだ層3で接
合する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パワートランジス
タモジュールなどの半導体装置用として主に使用され
る、セラミックス板と銅板とを接合したセラミックス基
板、特にそのセラミックス板が窒化物焼結体である窒化
物セラミックス基板に関する。
【0002】
【従来の技術】大容量のパワートランジスタ、絶縁ゲー
トバイポーラトランジスタ(以下IGBTと記す)等を
モジュール化したパワーモジュールには、絶縁と放熱と
の機能をもつ基板としてセラミックス基板が使われてい
る。セラミックスとしては、絶縁性が良好であり熱伝導
率が比較的大きく、強度も高いことから、従来は酸化ア
ルミニウム(以下Al2 3 と記す)が広く使用されて
きた。近年、パワーモジュールの小型化、高機能化に向
けて放熱性改善のために、さらに熱伝導率が高い絶縁材
料として窒化アルミニウム(以下AlNと記す)や窒化
けい素(以下Si 3 4 と記す)などの窒化物セラミッ
クスが使用されてきている。
【0003】セラミックス板を半導体用の基板として用
いる場合、セラミックス板に回路導体や冷却体としての
金属板を接合する必要がある。接合する金属材料として
は電気伝導性、熱伝導性、価格の点から一般に銅が使用
されている。AlN板と金属板との接合方法としては、
チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどの活性金属を
含む銀−銅系ロウ材を使って銅板を接合する活性金属
法、あらかじめAlN表面を酸化させ銅と酸素の共晶
反応を利用して直接銅板を接合する直接接合法、銀、
銀―パラジウム、銀―白金、銅などの粉末を含むペース
トを印刷し加熱して付ける厚膜法、高融点金属である
タングステンやモリブデンとAlNとを同時焼結して接
合する同時焼結法などが知られている。
【0004】一般には、窒化物セラミックス板と銅板と
を接合する時には、の活性金属法、の直接接合法が
多く用いられている。の活性金属法では、熱処理によ
りAlN表面付近の窒素原子がロウ材のチタン、ジルコ
ニウム、ハフニウムなどの活性金属と反応して、界面に
窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハフニウムができ
る。そのためAlN板と銅板とが強固に接合される。
【0005】図4は、活性化金属法で作製した銅貼りA
lN基板の断面図である。AlN板1の上に活性ロウ材
層4で銅板2が接合されている。の直接接合法におい
ては、あらかじめ表面を熱酸化させたAlN板を用い
る。そして、銅板との界面に銅と亜酸化銅との共晶相の
溶融層が形成されてAlN板と銅板とが強固に接合され
るものである。
【0006】図5は、直接接合法で作製したAlN基板
の断面図である。AlN板1の上に銅板2が共晶層6に
より直接接合されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
従来の接合方法による窒化物セラミックス板と銅板との
接合方法にはそれぞれ欠点があった。そもそも、銅の熱
膨張率は17×10-6/Kであるのに対し、AlNやS
34 などの窒化物セラミックスでは4×10-6/K
であり両者に大きな差がある。そして、の活性金属法
の接合温度は、780℃以上、の直接接合法では10
50℃以上の高温が必要である。このような高温で窒化
物セラミックス板と銅板とを接合すると、その熱膨張差
により大きな接合応力が発生して、室温付近で使用する
場合には大きな残留歪みや残留応力が残る。
【0008】そのため、接合物が大きく反ったり、ま
た、低強度で破壊してしまったりして、その信頼性に問
題があった。詳細は、発明の実施の形態の項の比較実験
で記載したのでそちらを参照されたい。の厚膜法で接
合した場合には、窒化物セラミックス板と厚膜導体との
接合力が弱く、厚膜導体に半導体をはんだ接合した時に
窒化物セラミックスと厚膜導体間で剥離してしまうとい
う問題があった。
【0009】の同時焼結法は、窒化物セラミックスと
高融点金属との熱膨張係数の差による残留応力、また、
それによるセラミックスの割れや接合体の反りがあり、
その信頼性に問題があった。このような状況に鑑み本発
明は、窒化物セラミックス板と銅板とを強固に接合し、
しかも接合による残留応力を極力抑えて、信頼性の高い
窒化物セラミックス基板を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に本発明は、窒化物セラミックス板と銅板とを接合した
窒化物セラミックス基板において、窒化物セラミックス
板と銅板との間にはんだ層を有するものとする。具体的
には、窒化物セラミックス板に活性金属を含む銅系、銀
系、または銅―銀系のろう材層を形成し、ろう材層と銅
板とをはんだにより接合するものとする。
【0011】窒化物セラミックス板と下地銅板とを、活
性金属を含む銅系、銀系、または銅―銀系のろう材層に
より接合し、その下地銅板と下地銅板より厚い銅板とを
はんだにより接合してもよい。窒化物セラミックス板と
銅板とを活性金属を含む銅系、銀系、または銅―銀系の
ろう材により接合すると、両者の熱膨張の差により大き
な残留応力を生じたが、間にはんだを挟み、あるいは薄
い下地銅板とはんだを挟むことにより、応力が緩和され
たと考えられる。回路導体として必要な厚さの銅は、は
んだにより例えば350℃以下の低温で接合するので、
熱膨張による差が小さく、発生する応力は小さい。
【0012】特に、下地銅板の厚さが0.03〜0.1
5mmの範囲にあることが重要である。そのような範囲
であれば、クラックの発生が見られなかった。また、ろ
う材層中の活性金属が チタン、ジルコニウム、ハフニ
ウムのいずれかであるものとする。
【0013】そのような金属であれば、窒化物セラミッ
クスと反応して窒化チタン、窒化ジルコニウム、窒化ハ
フニウムを生じて、強固な接合が得られる。窒化物セラ
ミックス板と下地銅板とを、直接接合法により接合し、
その下地銅板と下地銅板より厚い銅板とをはんだにより
接合してもよいこの場合も、薄い下地銅板を挟むことに
より、応力が緩和される。
【0014】特に、下地銅板の厚さが0.03〜0.1
5mmの範囲にあれば、クラックの発生が抑えられる。
窒化物セラミックス板が窒化アルミニウムまたは窒化け
い素を主成分とする焼結体であるものとする。窒化アル
ミニウムまたは窒化けい素を主成分とする焼結体は、熱
伝導率が大きく、入手も容易であり、窒化物セラミック
ス基板の材料として適当である。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明にいたるまでの実験
およびその結果、ならびに比較のための従来法による実
験の経過およびその結果を詳細に説明する。 [実験1]図1は本発明の第1の方法によりAlN板に
銅板を接合したAlN基板の断面図である。
【0016】AlN板1の上に活性ロウ材層4が設けら
れ、その上に銅板2がはんだ層3で接合されている。図
1のAlN基板は、次のような工程で作製した。まず、
寸法が30mm×60mmで厚さ0.635mmのAl
N板1の表面に、チタンを2重量%含み銀が70重量
%、銅が28重量%である銀−銅−チタン系ロウ材のペ
ーストをAlN板1の周囲1mmを除く28mm×58
mmの範囲にスクリーン印刷により、厚さ30μm塗布
した。それを大気中で120℃で10分間乾燥し、1×
10-2Paより低圧の真空中で450℃で30分間加熱
脱脂し、さらにそのまま1×10-2Paより低圧の真空
中で850℃で10分間熱処理した。そうしてAlN板
1の上に強固に接合したロウ材層4を形成した。なお、
この時点でロウ材層4の厚さは約10μm、反りは10
μm以下であった。
【0017】このロウ材層4の上に、寸法が28mm×
58mmで厚さ0.1mmの鉛/錫(Pb95%、Sn
5%)はんだシートを周囲1mmを除く所定の位置に設
置し、さらに寸法が28mm×58mmで厚さが0.2
〜5.0mmである銅板2をその上に積層した。そし
て、窒素対水素が1:1の雰囲気中で350℃で5分間
熱処理して接合し、AlN基板を作製した。
【0018】こうして得られたAlN基板をカラーチェ
ックし、また顕微鏡でクラックおよび剥離を観察した。
次に、接触式の反り測定装置で表面の反りを測定した。
さらに、剥離強度を調べるためにエッチングで2mm×
2mmのパッドを作製し、各パッドに直径0.6mmの
はんだめっき銅線を200℃ではんだ付けし、90度ピ
ールテストをおこなった。その結果を表1に示す。
【0019】
【表1】
【0020】厚さが0.2〜5.0mmの銅板2をはん
だ接合したいずれのサンプルにおいても、クラック、剥
離ともに観察されなかった。また反りは、銅板2の厚さ
が0.2mmから5.0mmまで増すに従って12μm
から40μmまで増大したが、半導体の接合に差し支え
る程大きくはならなかった。 剥離強度は、いずれのサ
ンプルについても40N/mm2 以上であり、はんだめ
っき銅線の接合部で剥がれた。
【0021】表1の結果から、AlN板に活性金属を含
んだ銅−銀系のろう材層を形成した窒化物板と銅板とを
はんだで接合したAlN基板は、クラック、剥離等の欠
陥がなく、接合強度も大きい窒化物セラミックス基板と
なると考えられる。この場合、活性金属を含むロウ材は
窒化物系セラミックスと強固な接合をするが、銅板2を
接合しないため、780℃以上の高温を経ても発生する
応力は小さい。一方、回路導体/冷却体として必要な銅
板2は、はんだ付けにより350℃以下の低温で接合す
る。そのために熱膨張による差が小さく発生する応力は
小さい。よって、残留応力が小さくなるのである。
【0022】[実験2]図2は本発明の第2の方法によ
る窒化物セラミックス基板の部分断面図である。AlN
板1の上に活性ロウ材層4で下地銅板5が接合され、そ
の上に銅板2がはんだ層3で接合されている。
【0023】図2のAlN基板は、次のような工程で作
製した。実験1と同様にして、AlN板1に銀−銅−チ
タン系ロウ材のペーストを塗布し、大気中で120℃で
10分間乾燥した後、ロウ材層4の上に寸法が28mm
×58mmで厚さが0.05、0.1、0.2mmの下
地銅板5を積み重ねた。次に、実施例1と同じ条件すな
わち、1×10-2Paより低圧の真空中で450℃で3
0分間加熱脱脂し、さらにそのまま1×10-2Paより
低圧の真空中で850℃で10分間熱処理した。そうし
てAlN板1の上に強固に薄い下地銅板5を接合した。
なお、この時点での反りは、厚さ0.05mmの下地銅
板で7μm、厚さ0.1mmのもので12μm、厚さ
0.2mmのもので65μmであった。
【0024】この下地銅板5の上に、実験1と同様に鉛
/錫はんだシートを所定の位置に置き、さらに厚さが
0.2〜5.0mmである銅板2をその上に積み重ね
た。そして、窒素対水素が1:1の雰囲気中で350℃
で5分間熱処理しサンプルを作製した。こうして得られ
た厚さ0.05mmと0.1mmの下地銅板5を持つサ
ンプルを実験1と同様にクラック・剥離観察、反り測
定、剥離強度測定を行った。その結果を表2に示す。
【0025】なお、厚さ0.2mmの下地銅板5を用い
たサンプルにおいては、下地銅板5をろう付けした段階
では、クラックの発生が見られなかったが、銅板2をは
んだづけしたところ全てのサンプルでAlN板1にクラ
ックが発生し、接合することができなかったので、表2
には記載しなかった。
【0026】
【表2】
【0027】厚さが0.2〜5.0mmの銅板2をはん
だ接合したいずれのサンプルにおいても、クラック、剥
離ともに観察されなかった。また反りは、0.2mmか
ら5.0mmまで厚さを増すに従って下地銅板が0.0
5mmのものでは14μmから44μmまで、下地銅板
が0.1mmのものでは16μmから45μmまで増大
したが、半導体の接合に差し支える程大きくはならなか
った。
【0028】剥離強度は、いずれのサンプルについても
40N/mm2 以上であり、はんだめっき銅線の接合部
で剥がれた。活性金属を含むロウ材は窒化物系セラミッ
クスと強固な接合をするが、下地銅板5の厚さが薄いた
め、780℃以上の高温で接合しても発生する応力は小
さく、下地銅板5で吸収される。一方回路導体/冷却体
として必要な銅板2は、はんだ付けにより350℃以下
の低温で接合する。そのために熱膨張による差が小さく
発生する応力は小さい。よって、残留応力が小さくなる
のである。
【0029】厚さ0.2mmの下地銅板5を用いると、
780℃以上の高温で接合したときの応力が大きくて下
地銅板5で吸収しきれず、AlN板1にクラックが発生
すると考えられる。 [実験3]図3は本発明の第3の方法による銅貼り窒化
物セラミックス基板に銅板をはんだ接合した半導体装置
の部分断面図である。
【0030】AlN板1の上に下地銅板5が直接接合さ
れ、その上に銅板2がはんだ層3で接合されている。6
は銅と亜酸化銅との共晶層である。図3のAlN基板
は、次のような工程で作製した。寸法が30mm×60
mmで厚さ0.635mmのAlN板1を大気中で12
00℃で10分間熱処理した。これにより、AlN板1
の表面に約5μmの厚さの酸化物層が生成した。
【0031】この表面酸化させたAlN板1の上の周囲
1mmを除く所定の位置に寸法が28mm×58mmで
厚さが0.05、0.1、0.2mmの200〜300
ppmの酸素を含有するタフピッチ銅からなる下地銅板
5を積層し、窒素雰囲気中で1070℃で10分間熱処
理した。そうしてAlN板1の上に薄い下地銅板5を接
合した。なお、この時点での反りは、厚さ0.05の下
地銅板で5μm、厚さ0.1mmのもので10μm、厚
さ0.2mmのもので60μmであった。
【0032】この薄い下地銅板5上に、実験1、2と同
様にして鉛/錫はんだシートを用いて厚さが0.2〜
5.0mmの銅板2を積層し、窒素対水素の流量比が
1:1の雰囲気中で350℃で5分間熱処理し、実験3
のサンプルを作製した。こうして得られたサンプルにつ
いて、実験1と同様にクラック・剥離観察、反り測定、
剥離強度測定をおこなった。厚さ0.05mmと0.1
mmの下地銅板を持つサンプルについての結果を表3に
示す。
【0033】なお、この実験3においても厚さ0.2m
mの下地銅板をもつサンプルでは、はんだ付け後の全て
のサンプルでAlN板にクラックが発生し、接合するこ
とができなかったので、表3には記載していない。
【0034】
【表3】
【0035】厚さが0.2〜5.0mmの銅板2をはん
だ接合したいずれのサンプルにおいても、クラック、剥
離ともに観察されなかった。また反りは、0.2mmか
ら5.0mmまで厚さを増すに従って下地銅板が0.0
5mmのものでは10μmから42μmまで、下地銅板
が0.1mmのものでは15μmから42μmまで増大
したが、半導体の接合に差し支える程大きくはならなか
った。
【0036】剥離強度は、いずれのサンプルについても
40N/mm2 以上であり、はんだめっき銅線の接合部
で剥がれた。直接接合法においてAlN板1と下地銅板
5とは強固に接合される。また下地銅板5が薄いため、
直接接合法で1050℃以上の高温で接合しても発生す
る応力は小さく、下地銅板5で吸収される。そして、回
路導体/冷却体となる厚い銅板2は下地銅板5にはんだ
付けにより低温で接合される。そのために熱膨張による
差が小さく発生する応力は小さい。よって、本発明の方
法により残留応力が小さくなるのである。
【0037】直接接合法によって厚さ0.2mmの下地
銅板5を用いたときも、1050℃の高温で接合したと
きの応力が大きくて下地銅板5で吸収しきれず、銅板2
のハンダ付け時にAlN板1にクラックが発生したと考
えられる。 [比較実験1]比較実験1として従来の活性化金属法で
AlN板に銅板を接合した。
【0038】実験1と同様にして寸法が30mm×60
mm、厚さ0.635mmのAlN板1の表面に、銀−
銅−チタン系ロウ材のペーストをスクリーン印刷により
厚さ30μm塗布し、大気中で乾燥した。その上に寸法
が28mm×58mm、厚さが0.2〜5.0mmであ
る銅板2を積層した。そして、実験1と同様の条件で、
真空加熱脱脂し、さらにそのまま真空中で850℃10
分間熱処理してAlN板1と銅板2とを接合した。接合
したAlN基板の断面は、図4に示すようになる。
【0039】こうして得られた比較実験サンプルを実験
1〜3のサンプルと同様にクラック・剥離観察、反り測
定、剥離強度測定をおこなった。その結果を表4に示
す。
【0040】
【表4】
【0041】厚さ0.2mmと0.5mmの銅板の場合
は、クラック、剥離とも認められなかったが、厚さ0.
2mmのもので反りが70μm、0.5mmのもので2
00μmあり、シリコンチップなどを接合することが困
難であった。剥離強度試験においても、0.2mmのも
のでは20N/mm2 、0.5mmの銅板のものでは1
0N/mm2 でAlN板1にクラックが発生し、AlN
基板としては使えない。この原因は、接合時の残留応力
のためと考えられる。
【0042】厚さ1mmの銅板の場合は、接合後にクラ
ックの発生があったし、厚さ2mmの銅板の場合は、ク
ラックと剥離が認められた。そのためこれらでは、剥離
強度試験をおこなえなかった。反りも250μm以上と
大きかった。 [比較実験2]比較実験2として従来の直接接合法でA
lN板1に銅板2を接合した。
【0043】実験3と同様にして寸法が30mm×60
mm、厚さ0.635mmのAlN板1を大気中で熱処
理し、表面酸化させたAlN板1の上に寸法が28mm
×58mm、厚さが0.2〜5.0mmで、200〜3
00ppmの酸素を含有するタフピッチ銅板2を積層
し、窒素雰囲気中で1070℃で10分間熱処理して直
接接合した。接合したAlN基板の断面は、図5に示す
ようになる。
【0044】こうして得られたサンプルを実験1〜3の
サンプルと同様にクラック・剥離観察、反り測定、剥離
強度測定をおこなった。その結果を表5に示す。
【0045】
【表5】
【0046】厚さ0.2mmと0.5mmの銅板の場合
は、クラック、剥離とも認められなかったが、反りが厚
さ0.2mmのもので60μm、0.5mmのものでは
170μmあり、シリコンチップなどを接合することが
困難であった。剥離強度試験においても、0.2mmの
ものでは20N/mm2 、0.5mmの銅板のものでは
10N/mm2 でAlN板1にクラックが発生し、半導
体用基板としては使えない。この原因は、接合時の残留
応力のためと考えられる。
【0047】厚さ1mmの銅板の場合は、接合後にクラ
ックの発生があったし、厚さ2mmの銅板の場合は、ク
ラックと剥離が認められた。そのためこれらでは、剥離
強度試験をおこなえなかった。反りも250μm以上と
大きかった。以上の実験を総合すると、本発明のいずれ
の例でも、厚い銅板を接合したAlN板にクラックの発
生がなく、また銅板の剥離がないのものが得られた。反
り量も45μm以下と小さく、半導体チップの搭載に支
障となることは無かった。これらは、はんだ層または下
地銅板で応力が緩和され、接合による残留応力が小さく
なったためと考えられる。さらに、剥離強度も40N/
mm2 以上と高く、半導体装置用基板として適当な、信
頼性の高いセラミックス基板ができたと考えられる。
【0048】特に、5mmと厚い銅板に対しても信頼性
があることは驚異的であり、反り量もほぼ飽和する傾向
にあることから、更に厚い銅板にも適用できると考えら
れ、特に大電力用のパワーデバイスにとって極めて有望
な基板となると思われる。上記の実験では、窒化物セラ
ミックスとしてAlNを例示したが、AlNに限ること
はなく窒化けい素、或いはAlNと窒化ほう素との混合
物などの窒化物セラミックスで同様の効果が得られた。
また、活性金属ロウ材としてチタンを2重量%含み銀が
70質量%、銅が28質量%である銀−銅−チタン系ロ
ウ材を例示したが、チタンの代わりにジルコニウムやハ
フニウムなどの活性金属でもよく、また、重量比もこれ
に限ることはなくチタンであれば0.5〜5質量%でほ
ぼ同様の効果が得られる。銅板2をAlN板1の片側だ
けに接合した例だけを示したが、両側に接合しても良
い。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、窒
化物セラミックス板に活性金属を含むろう材層を形成
し、そのろう材層と銅板とをはんだにより接合し、また
は、窒化物セラミックス板と、薄い下地銅板とを活性金
属を含む銅系、銀系、または銅―銀系のろう材層により
接合し、その下地銅板と下地銅板より厚い銅板とをはん
だにより接合することによって、従来銅板との接合が困
難で問題の多かった、窒化物セラミックスを用いた窒化
物セラミックス基板の問題が解決され、高信頼性の基板
を実現できた。窒化物セラミックス板と薄い下地銅板と
を直接接合法により接合し、その下地銅板と下地銅板よ
り厚い銅板とをはんだにより接合しても良い。
【0050】よって、伝導率の大きい窒化アルミニウ
ム、窒化けい素等を用いて低い熱抵抗と共に、熱衝撃や
熱履歴に対する優れた耐久性をもつトランジスタモジュ
ール等の半導体装置が実現できることとなった。厚い銅
板に対しても適用できるため、特に電力用のパワーモジ
ュール等の普及、発展に貢献するものであり、工業的、
経済的な効果は大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験1の方法により銅板を接合したAlN基板
の断面図
【図2】実験2の方法により銅板を接合したAlN基板
の断面図
【図3】実験3の方法により銅板を接合したAlN基板
の断面図
【図4】活性金属法により銅板を接合したAlN基板の
断面図
【図5】直接接合法により銅板を接合したAlN基板の
断面図
【符号の説明】
1 AlN板 2 銅板 3 はんだ層 4 ロウ材層 5 下地銅板 6 共晶層

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】窒化物セラミックス板と銅板とを接合した
    窒化物セラミックス基板において、窒化物セラミックス
    板と銅板との間にはんだ層を有することを特徴とする窒
    化物セラミックス基板。
  2. 【請求項2】窒化物セラミックス板に活性金属を含む銅
    系、銀系、または銅―銀系のろう材層を形成し、ろう材
    層と銅板とをはんだにより接合したことを特徴とする窒
    化物セラミックス基板。
  3. 【請求項3】窒化物セラミックス板と、下地銅板とを活
    性金属を含む銅系、銀系、または銅―銀系のろう材層に
    より接合し、その下地銅板と下地銅板より厚い銅板とを
    はんだにより接合したことを特徴とする窒化物セラミッ
    クス基板。
  4. 【請求項4】下地銅板の厚さが0.03〜0.15mm
    の範囲にあることを特長とする請求項3記載の窒化物セ
    ラミックス基板。
  5. 【請求項5】ろう材層中の活性金属が チタン、ジルコ
    ニウム、ハフニウムのいずれかであることを特徴とする
    請求項2ないし4のいずれかに記載の窒化物セラミック
    ス基板。
  6. 【請求項6】窒化物セラミックス板と、下地銅板とを直
    接接合法により接合し、その下地銅板と下地銅板より厚
    い銅板とをはんだにより接合したことを特徴とする窒化
    物セラミックス基板。
  7. 【請求項7】下地銅板の厚さが0.03〜0.15mm
    の範囲にあることを特長とする請求項6記載の窒化物セ
    ラミックス基板。
  8. 【請求項8】窒化物セラミックス板が窒化アルミニウム
    または窒化けい素を主成分とする焼結体であることを特
    徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の窒化物セ
    ラミックス基板。
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