JP2000070923A - ヒ素除去装置 - Google Patents
ヒ素除去装置Info
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- JP2000070923A JP2000070923A JP10248290A JP24829098A JP2000070923A JP 2000070923 A JP2000070923 A JP 2000070923A JP 10248290 A JP10248290 A JP 10248290A JP 24829098 A JP24829098 A JP 24829098A JP 2000070923 A JP2000070923 A JP 2000070923A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 吸着材に由来する異物の含有率及び金属イオ
ンの濃度が低い、従って保健衛生及び環境保全の見地か
らみて安全性の高い処理液を流出するようにしたヒ素除
去装置を提供する。 【解決手段】 本ヒ素除去装置10は、ヒ素吸着材を充
填した吸着塔12を備え、被処理液中のヒ素を吸着除去
するヒ素除去装置である。本装置は、吸着塔に流入させ
る被処理液のpHを弱酸性に調整するために、吸着塔の
上流に設けられた酸添加手段14と、吸着塔から流出し
た処理液を中和するために吸着塔の下流に設けられたア
ルカリ添加手段16と、吸着材及び吸着材の砕片を捕捉
するために、アルカリ添加手段の下流に設けられた、フ
ィルタ18とを備えている。
ンの濃度が低い、従って保健衛生及び環境保全の見地か
らみて安全性の高い処理液を流出するようにしたヒ素除
去装置を提供する。 【解決手段】 本ヒ素除去装置10は、ヒ素吸着材を充
填した吸着塔12を備え、被処理液中のヒ素を吸着除去
するヒ素除去装置である。本装置は、吸着塔に流入させ
る被処理液のpHを弱酸性に調整するために、吸着塔の
上流に設けられた酸添加手段14と、吸着塔から流出し
た処理液を中和するために吸着塔の下流に設けられたア
ルカリ添加手段16と、吸着材及び吸着材の砕片を捕捉
するために、アルカリ添加手段の下流に設けられた、フ
ィルタ18とを備えている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、吸着塔式ヒ素除去
装置に関し、更に詳細には、吸着材の砕片の混入がな
く、吸着材の金属成分の溶出濃度が低く、保健衛生及び
環境保全上から安全性の高い処理液を流出させるように
したヒ素除去装置に関するものである。
装置に関し、更に詳細には、吸着材の砕片の混入がな
く、吸着材の金属成分の溶出濃度が低く、保健衛生及び
環境保全上から安全性の高い処理液を流出させるように
したヒ素除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】上水等の水中に含まれるヒ素について
は、平成5年に水質基準値が10μg-As/リットル
以下という厳しい値に改定された。そのため、水中のヒ
素を高度に除去することのできる技術の確立が求められ
ている。ヒ素含有水中において、無機系のヒ素は、通
常、V価のヒ素であるAsO4 3-(ヒ酸イオン)あるい
はIII価のヒ素であるAsO2 -(亜ヒ酸イオン)の形で
溶存しているが、このような水中に含まれる無機系のヒ
素を除去するために、従来、吸着材を使って、ヒ素含有
水中のヒ素酸化物を吸着、除去している。
は、平成5年に水質基準値が10μg-As/リットル
以下という厳しい値に改定された。そのため、水中のヒ
素を高度に除去することのできる技術の確立が求められ
ている。ヒ素含有水中において、無機系のヒ素は、通
常、V価のヒ素であるAsO4 3-(ヒ酸イオン)あるい
はIII価のヒ素であるAsO2 -(亜ヒ酸イオン)の形で
溶存しているが、このような水中に含まれる無機系のヒ
素を除去するために、従来、吸着材を使って、ヒ素含有
水中のヒ素酸化物を吸着、除去している。
【0003】吸着材には、活性アルミナ、二酸化マンガ
ン、セリウム系吸着材等が、例えば直径1.0mm〜
2.0mmの粒状物として使用されている。活性アルミ
ナは、処理水中の残留ヒ素が通水倍量にほぼ比例して増
加する性質を有する吸着材であって、ヒ素のリークが吸
着処理開始後比較的早く始まるものの、吸着材の破過時
期の予測が容易で、吸着材のメンテナンス(交換または
再生)を適切に行い易い。セリウム系吸着材は、処理水
中の残留ヒ素は吸着処理開始後かなりの期間は定量下限
以下で、この間に得られる水質はきわめて良い。しか
し、その期間を過ぎると、処理水中の残留ヒ素が通水倍
量に対して指数曲線的に増加するため、吸着材の破過時
期の予測が困難である。したがって、吸着材の適切なメ
ンテナンスを行うためには、処理水中のヒ素の濃度を頻
繁に測定すると同時に切り換え可能な吸着塔を設けるこ
とが望ましいと言われている。
ン、セリウム系吸着材等が、例えば直径1.0mm〜
2.0mmの粒状物として使用されている。活性アルミ
ナは、処理水中の残留ヒ素が通水倍量にほぼ比例して増
加する性質を有する吸着材であって、ヒ素のリークが吸
着処理開始後比較的早く始まるものの、吸着材の破過時
期の予測が容易で、吸着材のメンテナンス(交換または
再生)を適切に行い易い。セリウム系吸着材は、処理水
中の残留ヒ素は吸着処理開始後かなりの期間は定量下限
以下で、この間に得られる水質はきわめて良い。しか
し、その期間を過ぎると、処理水中の残留ヒ素が通水倍
量に対して指数曲線的に増加するため、吸着材の破過時
期の予測が困難である。したがって、吸着材の適切なメ
ンテナンスを行うためには、処理水中のヒ素の濃度を頻
繁に測定すると同時に切り換え可能な吸着塔を設けるこ
とが望ましいと言われている。
【0004】ところで、セリウム系吸着材は比較的高価
であることから、経済的な理由から、活性アルミナ又は
二酸化マンガンを吸着材として使った吸着塔式ヒ素除去
装置が提案されている。ここで、図2を参照して、活性
アルミナ又は二酸化マンガンを使った従来の吸着塔式ヒ
素除去装置の構成を説明する。図2は従来の吸着塔式ヒ
素除去装置の構成を示すフローシートである。尚、ヒ素
除去処理は、主として、河川水、井戸水等の原水から飲
料水等の上水を得る際に原水に施す処理であるものの、
本明細書では、広く、一般の水、水溶液、工場廃水、工
場廃液等を含む被処理水又は被処理液として原水を捉
え、ヒ素除去処理を施す被処理水又は被処理液を纏めて
被処理液と総称している。また、被処理液にヒ素除去処
理を施して得たものを処理液と言う。従来の吸着塔式ヒ
素除去装置30は、活性アルミナ又は二酸化マンガンを
吸着材として充填した吸着塔32と、吸着塔32に流入
させる被処理液のpHを弱酸性に調整するために、吸着
塔32の上流に設けられたpH調整手段としての攪拌槽
式又はライン注入式の酸添加手段34と、吸着塔32か
ら流出した処理液を中和するために吸着塔32の下流に
設けられた中和手段としての攪拌槽式のアルカリ添加手
段36とを備えている。被処理液が弱酸性、例えば被処
理液のpHが5〜6であると、ヒ素吸着能力が高くな
り、しかも吸着材の寿命が延びて、吸着材単位量当たり
の被処理液の処理量が増えるので、被処理液のpHを5
〜6に調整するために、酸添加手段14が設けられてい
る。該pH調整手段14としては、被処理液のpHが中
性ないしアルカリ性の場合は硫酸、塩酸等の酸を注入す
る手段が採用され、被処理液がもともとpH5以下の酸
性である場合は、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を注
入する手段が採用される。また、アルカリ添加手段16
はpH5〜6の弱酸性になった処理液を中和するために
設けられている。アルカリとしては、通常、NaOH水
溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を使用している。
であることから、経済的な理由から、活性アルミナ又は
二酸化マンガンを吸着材として使った吸着塔式ヒ素除去
装置が提案されている。ここで、図2を参照して、活性
アルミナ又は二酸化マンガンを使った従来の吸着塔式ヒ
素除去装置の構成を説明する。図2は従来の吸着塔式ヒ
素除去装置の構成を示すフローシートである。尚、ヒ素
除去処理は、主として、河川水、井戸水等の原水から飲
料水等の上水を得る際に原水に施す処理であるものの、
本明細書では、広く、一般の水、水溶液、工場廃水、工
場廃液等を含む被処理水又は被処理液として原水を捉
え、ヒ素除去処理を施す被処理水又は被処理液を纏めて
被処理液と総称している。また、被処理液にヒ素除去処
理を施して得たものを処理液と言う。従来の吸着塔式ヒ
素除去装置30は、活性アルミナ又は二酸化マンガンを
吸着材として充填した吸着塔32と、吸着塔32に流入
させる被処理液のpHを弱酸性に調整するために、吸着
塔32の上流に設けられたpH調整手段としての攪拌槽
式又はライン注入式の酸添加手段34と、吸着塔32か
ら流出した処理液を中和するために吸着塔32の下流に
設けられた中和手段としての攪拌槽式のアルカリ添加手
段36とを備えている。被処理液が弱酸性、例えば被処
理液のpHが5〜6であると、ヒ素吸着能力が高くな
り、しかも吸着材の寿命が延びて、吸着材単位量当たり
の被処理液の処理量が増えるので、被処理液のpHを5
〜6に調整するために、酸添加手段14が設けられてい
る。該pH調整手段14としては、被処理液のpHが中
性ないしアルカリ性の場合は硫酸、塩酸等の酸を注入す
る手段が採用され、被処理液がもともとpH5以下の酸
性である場合は、水酸化ナトリウム等のアルカリ剤を注
入する手段が採用される。また、アルカリ添加手段16
はpH5〜6の弱酸性になった処理液を中和するために
設けられている。アルカリとしては、通常、NaOH水
溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を使用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の吸着塔式ヒ素除去装置には、微細な粒子状の異物が処
理液中に混入していて、保健衛生上から処理液を後処理
無しに上水としてそのまま使用することができないとい
う問題があった。また、吸着材の砕片がアルカリ添加手
段の攪拌槽に堆積し、堆積した吸着材の砕片から吸着材
の金属成分が処理液中に溶出し、金属イオン濃度が高い
という問題もあった。また、排水中のヒ素を除去して河
川に放流する場合でも、微細な粒子状の異物が混入して
おり、また金属イオン濃度が高いために、環境保全上か
ら処理液をそのまま放流することができないという問題
があった。そこで、本発明の目的は、吸着材に由来する
異物の含有率及び金属イオンの濃度が低い、従って保健
衛生及び環境保全の見地からみて安全性の高い処理液を
流出するようにしたヒ素除去装置を提供することであ
る。
の吸着塔式ヒ素除去装置には、微細な粒子状の異物が処
理液中に混入していて、保健衛生上から処理液を後処理
無しに上水としてそのまま使用することができないとい
う問題があった。また、吸着材の砕片がアルカリ添加手
段の攪拌槽に堆積し、堆積した吸着材の砕片から吸着材
の金属成分が処理液中に溶出し、金属イオン濃度が高い
という問題もあった。また、排水中のヒ素を除去して河
川に放流する場合でも、微細な粒子状の異物が混入して
おり、また金属イオン濃度が高いために、環境保全上か
ら処理液をそのまま放流することができないという問題
があった。そこで、本発明の目的は、吸着材に由来する
異物の含有率及び金属イオンの濃度が低い、従って保健
衛生及び環境保全の見地からみて安全性の高い処理液を
流出するようにしたヒ素除去装置を提供することであ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、微細な粒子
状の異物を分析した結果、吸着材の砕片であることが判
った。吸着材を充填した吸着材充填層を保持し、かつ吸
着材の流出を防止するために、比較的目の細かいメッシ
ュ状又は目板状の支持板が、吸着材充填層の下側に設け
てあるものの、吸着材の一部が、ヒ素の吸着処理を行う
うちに被処理液の弱酸性条件下において徐々に崩壊して
砕片化し、保持板を通り抜けて流出することが判った。
そして、本発明者は、吸着材の砕片を捕捉するためには
フィルタを設けるべきであると結論したが、フィルタを
設けるに当たり、更に、中和手段との前後関係を検討し
た。
状の異物を分析した結果、吸着材の砕片であることが判
った。吸着材を充填した吸着材充填層を保持し、かつ吸
着材の流出を防止するために、比較的目の細かいメッシ
ュ状又は目板状の支持板が、吸着材充填層の下側に設け
てあるものの、吸着材の一部が、ヒ素の吸着処理を行う
うちに被処理液の弱酸性条件下において徐々に崩壊して
砕片化し、保持板を通り抜けて流出することが判った。
そして、本発明者は、吸着材の砕片を捕捉するためには
フィルタを設けるべきであると結論したが、フィルタを
設けるに当たり、更に、中和手段との前後関係を検討し
た。
【0007】即ち、中和手段が、攪拌式中和槽を備え、
処理液を収容した中和槽に中和剤としてアルカリを添加
して中和する攪拌槽式添加手段である場合には、フィル
タを中和手段の上流に設けると、吸着材の砕片が中和タ
ンクに流入、堆積しないので、この点は好ましい。しか
し、このようにすると、フィルタに捕捉された吸着材及
び吸着材の砕片が弱酸性の処理液と反応して更に微細化
してフィルタから流出したり、或いは吸着材中の金属成
分、例えばアルミニウム、マンガン等が処理液に溶出し
たりする問題が生じる。即ち、フィルタに捕捉された吸
着材に由来する問題が派生する。以上の知見に基づいて
実験を行い、その実験結果から、本発明者は、中和手段
の下流にフィルタを設けるべきであることを確認し、本
発明を完成するに到った。
処理液を収容した中和槽に中和剤としてアルカリを添加
して中和する攪拌槽式添加手段である場合には、フィル
タを中和手段の上流に設けると、吸着材の砕片が中和タ
ンクに流入、堆積しないので、この点は好ましい。しか
し、このようにすると、フィルタに捕捉された吸着材及
び吸着材の砕片が弱酸性の処理液と反応して更に微細化
してフィルタから流出したり、或いは吸着材中の金属成
分、例えばアルミニウム、マンガン等が処理液に溶出し
たりする問題が生じる。即ち、フィルタに捕捉された吸
着材に由来する問題が派生する。以上の知見に基づいて
実験を行い、その実験結果から、本発明者は、中和手段
の下流にフィルタを設けるべきであることを確認し、本
発明を完成するに到った。
【0008】上記目的を達成するために、上述の知見に
基づいて、本発明に係るヒ素除去装置は、ヒ素吸着材を
充填した吸着塔を備え、被処理液中のヒ素を弱酸性条件
下において吸着除去するヒ素除去装置であって、吸着塔
から流出した弱酸性の処理液を中和するために吸着塔の
下流に設けられた中和手段と、吸着材及び吸着材の砕片
を捕捉するために、中和手段の下流に設けられた、フィ
ルタとを備えていることを特徴としている。
基づいて、本発明に係るヒ素除去装置は、ヒ素吸着材を
充填した吸着塔を備え、被処理液中のヒ素を弱酸性条件
下において吸着除去するヒ素除去装置であって、吸着塔
から流出した弱酸性の処理液を中和するために吸着塔の
下流に設けられた中和手段と、吸着材及び吸着材の砕片
を捕捉するために、中和手段の下流に設けられた、フィ
ルタとを備えていることを特徴としている。
【0009】本発明においては、ヒ素吸着材を充填した
吸着塔に、弱酸性の被処理液を通液してヒ素の吸着、除
去を行う。したがって、被処理液がもともとpH5〜6
程度の弱酸性である場合は、pH調整を行うことなく、
そのまま吸着塔に通液すれば良いが、それ以外の場合
は、予じめ被処理液のpH調整を行う必要がある。pH
調整手段としては、被処理液を弱酸性、好適には被処理
液のpHを5以上6以下の範囲に調整するために、硫
酸、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリを被
処理液に添加する手段であって、機械攪拌式又は流動攪
拌式酸添加槽を備え、pH調整槽内の被処理液に酸又は
アルカリを添加してpHを調整する槽添加式でも、被処
理液管を流れる被処理液に酸又はアルカリを注入するラ
イン注入式でも良い。中和手段は、弱酸性の処理液を中
和する手段であって、一般的には処理液にアルカリを添
加して中和する方式が採用される。該中和手段は、機械
攪拌式又は流動攪拌式中和槽を備え、処理液を収容した
中和槽にアルカリを添加して中和する中和槽式でも、処
理液管を流れる処理液にアルカリを注入するライン注入
式でも良いが、中和槽式では槽内に吸着材又は吸着材の
砕片が堆積するおそれがあるので、好適には、ライン注
入式アルカリ添加手段を使用する。好適には、処理液が
吸着塔を出た直後にアルカリ添加手段を設けて、吸着塔
から流出した処理液を直ちに中和することが望ましい。
ここで、中和とは、pHで7及び7近傍の所定のpHに
することである。なお、処理液が炭酸成分(炭酸及び重
炭酸)を多く含有する液の場合は、該処理液を単に空気
で曝気するだけで、炭酸成分の一部ないし大部分が除去
されてほぼ中性となるので、このような場合は、処理液
にアルカリを添加しなくても曝気するだけで中和するこ
とができる。本発明で使用する中和手段には、このよう
な処理液の曝気も含まれる。本発明で使用するフィルタ
は、吸着塔から処理液に同伴して流出する吸着材及び吸
着材の砕片を捕捉できる限り、フィルタの種類、材質、
形状に制約は無いが、粒径0.1μm以上の粒子を捕捉
できるものが好ましく、好適には膜濾過式フィルタであ
る。膜濾過式フィルタは、限外濾過膜、精密濾過膜等を
フィルタ面とするフィルタエレメントを備えたフィルタ
であり、使用する濾過膜としては、平均孔径が少なくと
も0.45μm以下のものが好ましい。
吸着塔に、弱酸性の被処理液を通液してヒ素の吸着、除
去を行う。したがって、被処理液がもともとpH5〜6
程度の弱酸性である場合は、pH調整を行うことなく、
そのまま吸着塔に通液すれば良いが、それ以外の場合
は、予じめ被処理液のpH調整を行う必要がある。pH
調整手段としては、被処理液を弱酸性、好適には被処理
液のpHを5以上6以下の範囲に調整するために、硫
酸、塩酸等の酸又は水酸化ナトリウム等のアルカリを被
処理液に添加する手段であって、機械攪拌式又は流動攪
拌式酸添加槽を備え、pH調整槽内の被処理液に酸又は
アルカリを添加してpHを調整する槽添加式でも、被処
理液管を流れる被処理液に酸又はアルカリを注入するラ
イン注入式でも良い。中和手段は、弱酸性の処理液を中
和する手段であって、一般的には処理液にアルカリを添
加して中和する方式が採用される。該中和手段は、機械
攪拌式又は流動攪拌式中和槽を備え、処理液を収容した
中和槽にアルカリを添加して中和する中和槽式でも、処
理液管を流れる処理液にアルカリを注入するライン注入
式でも良いが、中和槽式では槽内に吸着材又は吸着材の
砕片が堆積するおそれがあるので、好適には、ライン注
入式アルカリ添加手段を使用する。好適には、処理液が
吸着塔を出た直後にアルカリ添加手段を設けて、吸着塔
から流出した処理液を直ちに中和することが望ましい。
ここで、中和とは、pHで7及び7近傍の所定のpHに
することである。なお、処理液が炭酸成分(炭酸及び重
炭酸)を多く含有する液の場合は、該処理液を単に空気
で曝気するだけで、炭酸成分の一部ないし大部分が除去
されてほぼ中性となるので、このような場合は、処理液
にアルカリを添加しなくても曝気するだけで中和するこ
とができる。本発明で使用する中和手段には、このよう
な処理液の曝気も含まれる。本発明で使用するフィルタ
は、吸着塔から処理液に同伴して流出する吸着材及び吸
着材の砕片を捕捉できる限り、フィルタの種類、材質、
形状に制約は無いが、粒径0.1μm以上の粒子を捕捉
できるものが好ましく、好適には膜濾過式フィルタであ
る。膜濾過式フィルタは、限外濾過膜、精密濾過膜等を
フィルタ面とするフィルタエレメントを備えたフィルタ
であり、使用する濾過膜としては、平均孔径が少なくと
も0.45μm以下のものが好ましい。
【0010】本発明では、吸着材及び吸着材の微細な砕
片がフィルタにより捕捉されるので、フィルタの下流の
処理液に異物が混入するようなことは生じない。また、
アルカリ添加手段がフィルタの上流に設けられていて、
フィルタを通過する処理液は中性であるから、吸着塔か
ら流出してフィルタに捕捉された吸着材又は吸着材の砕
片が酸性条件下において更に微細化したり、吸着材中の
金属が溶出したりするようなことが生じない。従って、
本発明に係るヒ素除去装置の処理液は、吸着材に由来す
る異物の含有率及び金属イオン濃度が極めて低い。ま
た、本発明は、吸着材の種類、被処理液の性状に制約無
く、適用できる。
片がフィルタにより捕捉されるので、フィルタの下流の
処理液に異物が混入するようなことは生じない。また、
アルカリ添加手段がフィルタの上流に設けられていて、
フィルタを通過する処理液は中性であるから、吸着塔か
ら流出してフィルタに捕捉された吸着材又は吸着材の砕
片が酸性条件下において更に微細化したり、吸着材中の
金属が溶出したりするようなことが生じない。従って、
本発明に係るヒ素除去装置の処理液は、吸着材に由来す
る異物の含有率及び金属イオン濃度が極めて低い。ま
た、本発明は、吸着材の種類、被処理液の性状に制約無
く、適用できる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、添付図面を参照し、実施
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例 本実施形態例は本発明に係るヒ素除去装置の実施形態の
一例であって、図1は本実施形態例のヒ素除去装置の構
成を示すフローシートである。本実施形態例のヒ素除去
装置10は、例えば直径1.0mm〜2.0mmの粒状
の活性アルミナ又は二酸化マンガンを吸着材としてを充
填した吸着塔12と、吸着塔12に流入する被処理液の
pHを弱酸性に調整するために、吸着塔12の上流に設
けられたpH調整手段としてのライン注入式の酸添加手
段14と、吸着塔12から流出した処理液を中和するた
めに吸着塔12を出た直後の処理液管20に設けられた
中和手段としてのアルカリ添加手段16と、アルカリ添
加手段16の下流に設けられたフィルタ18とを備えて
いる。
形態例を挙げて本発明の実施の形態を具体的かつ詳細に
説明する。実施形態例 本実施形態例は本発明に係るヒ素除去装置の実施形態の
一例であって、図1は本実施形態例のヒ素除去装置の構
成を示すフローシートである。本実施形態例のヒ素除去
装置10は、例えば直径1.0mm〜2.0mmの粒状
の活性アルミナ又は二酸化マンガンを吸着材としてを充
填した吸着塔12と、吸着塔12に流入する被処理液の
pHを弱酸性に調整するために、吸着塔12の上流に設
けられたpH調整手段としてのライン注入式の酸添加手
段14と、吸着塔12から流出した処理液を中和するた
めに吸着塔12を出た直後の処理液管20に設けられた
中和手段としてのアルカリ添加手段16と、アルカリ添
加手段16の下流に設けられたフィルタ18とを備えて
いる。
【0012】アルカリ添加手段16は、ライン注入式の
添加手段であって、吸着塔12の出口に接続された処理
液管20に直接アルカリ添加管22が接続され、アルカ
リ、例えばNaOH水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を
注入し、次いでディスク&ドーナツ型ライン混合器等の
混合器24により混合するようになっている。混合器2
4の下流にpH計26を備え、処理液のpHが所定のp
H、例えば7になるように、pH計26の測定値に基づ
いてアルカリ添加管22に設けた流量制御弁28の弁開
度を調整し、処理液のpHを制御している。フィルタ1
8は、濾過膜型フィルタであって、例えば限外濾過膜、
精密濾過膜等の濾過膜エレメントを有するフィルタであ
る。
添加手段であって、吸着塔12の出口に接続された処理
液管20に直接アルカリ添加管22が接続され、アルカ
リ、例えばNaOH水溶液、炭酸ナトリウム水溶液等を
注入し、次いでディスク&ドーナツ型ライン混合器等の
混合器24により混合するようになっている。混合器2
4の下流にpH計26を備え、処理液のpHが所定のp
H、例えば7になるように、pH計26の測定値に基づ
いてアルカリ添加管22に設けた流量制御弁28の弁開
度を調整し、処理液のpHを制御している。フィルタ1
8は、濾過膜型フィルタであって、例えば限外濾過膜、
精密濾過膜等の濾過膜エレメントを有するフィルタであ
る。
【0013】本実施形態例では、吸着塔12の下流にア
ルカリ添加手段16、次いでフィルタ18の順で、それ
らが設けてあって、処理液はフィルタ18に流入する前
に中和されているので、フィルタ18に捕捉された吸着
材中の金属が処理液に溶出したり、吸着材が酸によって
崩壊して更に微粉化するようなことが生じない。また、
アルカリ添加手段16は、ライン注入式であるから、中
和槽を備えた攪拌槽式添加手段のように、吸着材が中和
槽内に蓄積するようなこともない。
ルカリ添加手段16、次いでフィルタ18の順で、それ
らが設けてあって、処理液はフィルタ18に流入する前
に中和されているので、フィルタ18に捕捉された吸着
材中の金属が処理液に溶出したり、吸着材が酸によって
崩壊して更に微粉化するようなことが生じない。また、
アルカリ添加手段16は、ライン注入式であるから、中
和槽を備えた攪拌槽式添加手段のように、吸着材が中和
槽内に蓄積するようなこともない。
【0014】本実施形態例のヒ素除去装置10を評価す
るために、本実施形態例のヒ素除去装置10と同じ構成
の実験装置を作製し、以下の条件で実験を行った。 吸着材 :ヒ素吸着用活性アルミナ(粒状0.5〜2.5mm) フィルタ :0.45μm孔径のメンブランフィルタ 被処理液のpH:5〜6 処理液のpH :7 以上の条件で、河川水を被処理液として実験装置を使っ
てヒ素除去実験を行ったところ、処理液の全アルミニウ
ム濃度(mg/リットル)は、フィルタ18の下流で0.
013であった。フィルタ18を取り付けなかった場合
には、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)は
0.103の高濃度であった。これから判る通り、フィ
ルタ18を通過した後の処理液の全アルミニウム濃度
(mg/リットル)は極めて小さいので、本実施形態例の
ヒ素除去装置10は、確実に吸着材を捕捉し、しかも捕
捉した吸着材から金属、即ちアルミニウムが溶出してい
ないことが判る。一方、フィルタ18をアルカリ添加手
段16の上流に設けると、仮にフィルタ18で吸着材を
捕捉したとしても、吸着材中のアルミニウムが処理液に
溶出し、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)
は0.103に近い数値であると推測できる。即ち、フ
ィルタ18で吸着材を捕捉しても、捕捉された吸着材中
の金属が溶出するので、溶出する金属イオン量を低減す
るためには、効果がないことが判る。
るために、本実施形態例のヒ素除去装置10と同じ構成
の実験装置を作製し、以下の条件で実験を行った。 吸着材 :ヒ素吸着用活性アルミナ(粒状0.5〜2.5mm) フィルタ :0.45μm孔径のメンブランフィルタ 被処理液のpH:5〜6 処理液のpH :7 以上の条件で、河川水を被処理液として実験装置を使っ
てヒ素除去実験を行ったところ、処理液の全アルミニウ
ム濃度(mg/リットル)は、フィルタ18の下流で0.
013であった。フィルタ18を取り付けなかった場合
には、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)は
0.103の高濃度であった。これから判る通り、フィ
ルタ18を通過した後の処理液の全アルミニウム濃度
(mg/リットル)は極めて小さいので、本実施形態例の
ヒ素除去装置10は、確実に吸着材を捕捉し、しかも捕
捉した吸着材から金属、即ちアルミニウムが溶出してい
ないことが判る。一方、フィルタ18をアルカリ添加手
段16の上流に設けると、仮にフィルタ18で吸着材を
捕捉したとしても、吸着材中のアルミニウムが処理液に
溶出し、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)
は0.103に近い数値であると推測できる。即ち、フ
ィルタ18で吸着材を捕捉しても、捕捉された吸着材中
の金属が溶出するので、溶出する金属イオン量を低減す
るためには、効果がないことが判る。
【0015】また、被処理液のpHを7としたことを除
いて同じ条件で参考例としてヒ素除去実験を行ったとこ
ろ、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)は、
フィルタ18の上流で0.015、フィルタ18の下流
で0.015であった。これから判る通り、被処理液の
pHを7にした場合には、吸着材中の金属、即ちアルミ
ニウムが殆ど溶出しない。これは、、アルカリ添加手段
16の後にフィルタ18を付けた本実施形態例では、フ
ィルタ18に捕捉された吸着材から金属成分が溶出しな
いことの実証になる。
いて同じ条件で参考例としてヒ素除去実験を行ったとこ
ろ、処理液の全アルミニウム濃度(mg/リットル)は、
フィルタ18の上流で0.015、フィルタ18の下流
で0.015であった。これから判る通り、被処理液の
pHを7にした場合には、吸着材中の金属、即ちアルミ
ニウムが殆ど溶出しない。これは、、アルカリ添加手段
16の後にフィルタ18を付けた本実施形態例では、フ
ィルタ18に捕捉された吸着材から金属成分が溶出しな
いことの実証になる。
【0016】
【発明の効果】本発明によれば、中和手段の下流にフィ
ルタを設けることにより、処理液中の吸着材を捕捉する
共に捕捉した吸着材中の金属が処理液に溶出しないよう
にした吸着塔式ヒ素除去装置を実現することができる。
ルタを設けることにより、処理液中の吸着材を捕捉する
共に捕捉した吸着材中の金属が処理液に溶出しないよう
にした吸着塔式ヒ素除去装置を実現することができる。
【図1】実施形態例のヒ素除去装置の構成を示すフロー
シートである。
シートである。
【図2】従来のヒ素除去装置の構成を示すフローシート
である。
である。
10 実施形態例のヒ素除去装置 12、32 吸着塔 14、34 酸添加手段(pH調整手段) 16、36 アルカリ添加手段(中和手段) 18 フィルタ 20 処理液管 22 アルカリ添加管 24 混合器 26 pH計 28 流量制御弁 30 従来のヒ素除去装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D024 AA02 AB17 BA13 BA14 BB01 CA01 DA03 DA04 DB05 4D038 AA02 AB70 BA06 BB06 BB13 BB17
Claims (1)
- 【請求項1】 ヒ素吸着材を充填した吸着塔を備え、被
処理液中のヒ素を弱酸性条件下において吸着除去するヒ
素除去装置であって、 吸着塔から流出した弱酸性の処理液を中和するために吸
着塔の下流に設けられた中和手段と、 吸着材及び吸着材の砕片を捕捉するために、中和手段の
下流に設けられた、フィルタとを備えていることを特徴
とするヒ素除去装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10248290A JP2000070923A (ja) | 1998-09-02 | 1998-09-02 | ヒ素除去装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP10248290A JP2000070923A (ja) | 1998-09-02 | 1998-09-02 | ヒ素除去装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000070923A true JP2000070923A (ja) | 2000-03-07 |
Family
ID=17175900
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP10248290A Pending JP2000070923A (ja) | 1998-09-02 | 1998-09-02 | ヒ素除去装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000070923A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002254012A (ja) * | 2000-12-26 | 2002-09-10 | Taikisha Ltd | 塗装品製造方法、及び、その方法に使用する塗装乾燥炉 |
-
1998
- 1998-09-02 JP JP10248290A patent/JP2000070923A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2002254012A (ja) * | 2000-12-26 | 2002-09-10 | Taikisha Ltd | 塗装品製造方法、及び、その方法に使用する塗装乾燥炉 |
JP4605624B2 (ja) * | 2000-12-26 | 2011-01-05 | 株式会社大気社 | 塗装品製造方法、及び、その方法に使用する塗装乾燥炉 |
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