JP2000044400A - 窒化ガリウム単結晶基板及びその製造方法 - Google Patents
窒化ガリウム単結晶基板及びその製造方法Info
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Abstract
の上にGaNをエピタキシャル成長させ、GaAs基板
を除去し自立膜を得る。酸素濃度に比例したn型キャリ
アをもつn型GaNとなる。
Description
化合物半導体を用いた発光ダイオードや半導体レ−ザな
どの発光デバイス用あるいは高出力電界効果トランジス
タ等の電子デバイス用のGaN単結晶基板、およびその
製造方法に関する。特にn型GaN基板の製造方法に関
する。半導体の伝導型を問題にするので、ここでは伝導
型を与える不純物をドーパントという。それ以外の不純
物は単に不純物といい、区別することにする。
られるのは、GaAs、InP、GaPなどである。こ
れらはブリッジマン法やチョコラルスキー法で大型の単
結晶を成長させることができる。単結晶インゴットを切
断して基板とする。ところがGaNはいまだ大型の単結
晶を製造する技術がない。したがって実用的なサイズを
有するGaN基板結晶は製造できない。
光素子材料として利用されている。GaN基板が存在し
ないから他の物質を基板としている。適当な基板の上に
GaNやその他の窒化物混晶の薄膜を積層して青色発光
素子とする事ができる。他物質の基板の上にGaNを成
長させるのであるからヘテロエピタキシャルになる。格
子定数も違うし格子構造も違うのでGaN薄膜には欠陥
が大量に発生する。しかし欠陥密度の高さにも拘らずG
aNの発光ダイオードは青く光る。発光ダイオードとし
ての寿命も長い。このような高密度の欠陥にもかかわら
ず効率よく発光するというのはGaNに独特のものであ
る。GaAsやInPのレ−ザでは欠陥を減らすという
ことが至上命令であったのに比べて全く違う。
NだけでなくAlNや、InN、GaNとAlNとIn
Nの混晶の薄膜を積層した発光素子を意味する。広く窒
素を含む一般の半導体という意味ではない。GaNが主
体であるがAlNも一部に含むからGaNといってしま
うと不正確である。それで窒化物系半導体というが主体
はあくまでGaNである。
は基板としてサファイヤを用いていた。サファイヤ基板
の上にGaN薄膜をMOCVD法によってエピタキシャ
ル成長させて素子を作製している。原料はGa有機金属
とアンモニアでありこれらを直接に反応させる。n型の
エピタキシャル膜とするためには、シランガスSiH4
を原料に添加している。Siがn型ドーパントとなって
いる。
基板がもっとも良いはずである。が、GaNの基板がな
いからやむを得ない。サファイヤ基板のGaN系青色発
光ダイオードやレ−ザが製作されている。サファイヤは
非常に安定な基板材料である。化学的にも安定し高温に
も良く耐える。GaNとの格子定数の違いは大きいがそ
れにもかかわらず実用レベルの特性を有したGaNエピ
タキシャル成長膜を比較的容易に得ることができる。サ
ファイヤは比較的安価である。入手しやすい材料であ
る。このようなわけでGaN発光素子の基板はサファイ
ヤが独占的に用いられる。研究室段階ではサファイヤ以
外のものの可能性が検討されるが製品化されているGa
N発光素子の基板は例外なくサファイヤである。
大の欠点は劈開面がないということである。もう一つの
難点は非常に硬いということである。半導体レ−ザを作
製する場合、共振器のミラーとして劈開面を使うのが良
い。GaAsレ−ザやInPレ−ザでは自然の劈開面が
共振器に利用される。劈開面は容易にしかも綺麗に切断
され鏡面となる。劈開面であるから反射率が高い。サフ
ァイヤは劈開面がないから強制的に刃物で適当な面を切
断する。切断が難しく手間が掛かる。さらに切断面は凹
凸があるので研磨して反射率を高めている。これを共振
器ミラーとする。研磨による面であるからなお劈開面程
でない。反射率は低く閾値電流が高く損失も多くなる。
半導体レ−ザの場合の欠点はこのようである。
共振器が不要である。しかしサファイヤは劈開面がない
ためダイシングが難しくコスト高になる。発光ダイオー
ドの場合でも切断の困難は問題である。自然の劈開面が
あれば余程楽にウエハからチップに分離できる。劈開面
の欠如がサファイヤ基板の最大の問題である。
いる事が研究されている。SiCは格子定数もGaNに
近似し硬くて耐熱性もありその上にGaNが成長する。
劈開面があるから自然劈開することもできる。しかしこ
れはなお研究室段階にとどまっている。SiCは極めて
高価な材料である。大量に製造できず供給に難がある。
SiCを基板とするとコスト高になる。SiC基板のG
aN発光素子を量産することはできない。既に流布して
いるサファイヤ基板GaN素子に打ち勝つ可能性は低
い。
ァイヤの格子定数が違うので、エピタキシャル層中に多
数の転位が生ずるという問題がある。現に現在市販され
ているGaNデバイスのGaNエピタキシャル層には1
09cm−2程度の高密度の転位が含まれる。GaAs
基板の場合例えば引き上げ法で作った基板には104c
m−2程度の転位がありエピタキシャル層ではもっと転
位密度が小さい。それでも欠陥密度が高すぎるとして無
転位化が図られた。GaNは109cm−2もの驚くべ
き高密度の欠陥密度があっても発光ダイオードとして機
能する。不思議な材料だといえる。しかしGaNレ−ザ
の場合はそのような高密度の欠陥が寿命を強く制限して
いるのではないかと考えられている。レ−ザの場合駆動
電流密度が高くて発熱も著しいからである。
タキシャル層での欠陥密度は109cm−2にも達する
のは一つには基板がサファイヤだからである。基板がサ
ファイヤで薄膜がGaNであるというへテロエピタキシ
ャル成長をおこなっている。結晶構造も違うし、格子定
数も違う。このような高密度の欠陥は発光ダイオードの
場合はあまり差し支えない。寿命も十分に長いからであ
る。しかしレ−ザダイオードの場合は、電流が大きいの
で発熱も激しく欠陥での発熱の不均一によって欠陥が拡
大する可能性がある。サファイヤ上に後述のELO(Ep
itaxial Lateral Overgrowth)により低欠陥のGaN層
を形成し、その上にレ−ザ素子構造を作る事により、レ
−ザ寿命が延びることが確認されている。
ないGaNをつくる、これが一つの方向である。そのよ
うな指針にそって、最近、サファイヤ基板上にストライ
プ状窓を有するマスクを付け、その上からGaNを成長
させるという試みがなされた。これをエピタキシャルラ
テラルオーバーグロース(ELO)という。電子情報通
信学会論文誌C−II,vol.J81−C−II、p
58〜64
低減したと言う。単結晶サファイヤ基板のある結晶軸方
向に平行な幾つもの長窓を(ストライプ窓)を有するマ
スクを介してGaNを成長させる。その方向をyとする
と、窓の長辺はx=kΔ、x=(k+ε)Δ(kは整
数、Δはx方向の周期、εΔは窓幅)によって簡単に示
す事ができる。すなわちストライプの方向がサファイヤ
の[11−2]又は[1−10]方向である。成長抑制
作用のある材料を使うのでマスクの上にはGaNは成長
しない。すると初めは長い窓に現れた下地のサファイヤ
面に孤立した核が生ずる。その核からGaNが成長す
る。その方位は下地のサファイヤの結晶方位によって決
まる。マスクの平行窓を埋め尽くすように成長するとさ
らにその上方に結晶成長は持続する。マスクより上に出
た結晶から成長面が横方向に伸びマスクの上にも結晶成
長が起こる。
角な方向に進展した隣接窓からのGaN結晶がやがて境
を接するようになる。方位は下地のサファイヤで決まる
から同一である。つまりGaNは単結晶なのである。隣
接窓同士の結晶がそれまで相合しなかったのであるから
内部応力が小さくそれまでの成長において欠陥は余り発
生していない。隣接結晶が合体したところで応力歪みが
生ずるが割合としてはわずかである。さらに厚くGaN
結晶を積んで行く事によって欠陥も減少する。
サファイヤ結晶は、欠陥密度が低下したというものの、
サファイヤは化学的、熱的に安定な物質であり、サファ
イヤのみを除去する方法がない。サファイヤを研磨除去
する方法も考えられるが後述の反りのため研磨困難であ
る。結局サファイヤをくっつけたまま使用するしかな
い。すると従来の青色発光素子と同じように劈開できな
いという問題がある。基板のサファイヤとGaN薄膜の
熱膨張率が違うから基板が反る、という問題もある。基
板が反るとリソグラフィによってパターンを正確に描出
できない。レジストに書いたパターンが歪む。デバイス
の製造工程に適さない、という難点もある。このような
問題はサファイヤに付けたままの複合基板では解決でき
ない。
が最も良い。GaN単結晶の上にGaNエピタキシャル
成長させると欠陥密度はより低減するであろう。GaN
は劈開面があるから劈開によってチップを切断できる。
ダイシングが容易になる。しかも劈開面で切るから鏡面
が得られてレ−ザとしての性能を高めることができよ
う。機械的相性からしても物性的な相性からしてもGa
N基板はサファイヤ基板に勝るであろう。
ッジマン法によってもGaN結晶を製造できない。これ
らは液相と固相の平衡状態を維持しつつ結晶成長させる
ので大型結晶ができる。これら大型単結晶を製造するに
適した方法が使えないのでGaN基板が製造できない。
超高圧を掛けると平衡状態を維持しつつ成長させること
ができるといわれている。超高圧で高温にしなければな
らないから容器が限られ極極小さい結晶しかできない。
GaNは平衡状態から大型結晶ができない材料なのであ
る。しかしそれにも拘らず本発明者は、やはりGaN基
板を作るべきだと考える。
s基板上にELOによりGaNを成長した後にGaAs
基板をエッチング除去するという新しいGaN基板の作
製法を編みだした。適当な方位のGaAs基板にマスク
材料を付け、リソグラフィによってストライプ状、ある
いはドット状に窓を設ける。ストライプ状の窓を設けた
場合は、反りが発生しやすいという欠点があるものの成
長速度は速いという長所がある。千鳥ドット状の窓を開
けたものは反りが小さいという長所がある。したがっ
て、本発明の窒化ガリウム単結晶基板は上記いずれの方
法を用いても得る事ができる。ここではドット状窓を千
鳥に設ける場合について説明する。ある方位に1辺を有
する正三角形群の頂点の位置に窓を開ける。窓自体の形
状は任意である。正三角形の1辺の大きさdも任意であ
って数μm程度であってよい。ある方位yに1辺を有す
る正三角形によって面を埋め尽くし、その正三角形の頂
点に窓を開けることが重要である。
分布する点状の窓群である。そのような窓を通してGa
As面にGaNを気相成長させる。気相成長法は薄膜を
エピタキシャル成長させる技術である。この技術を利用
する事によりGaN大型基板を容易に得る事ができる。
−298300号、特願平10−9008号に説明して
ある。GaAs(111)A面またはB面にマスクを付
け[11−2]方向に1辺を持つ正三角形群を想定しそ
の正三角形頂点に窓を設ける。図1はマスクの窓の配置
を示している。(111)A面というのは、Ga原子が
面上に並んでいる面である。結晶方位のマイナス量につ
いては数字の上に−を付す事によって表すが特許明細書
ではそのような表現ができないから、数字の前に−をつ
ける。GaAs(111)A面に直交する2軸は[11
−2]と[1−10]である。そこでy=[11−
2]、x=[1−10]というふうに(111)面上に
座標をとる。三角形の1辺をdとすると、窓は
つの最近接窓を持つ。その方向の単位ベクトルは、(±
31/2/2,±1/2)、(0,±1)である。
s面からGaNを成長させると、窓で孤立した核発生を
して、c軸を上として、GaAs[1−10]方向とG
aN[1−210]方向とを平行にして成長する。Ga
Asの結晶方位と同じ向きの結晶が成長する。マスクに
は成長しない。窓の厚みだけ成長すると窓の上に回り込
み横向きにGaNが結晶成長する。ある窓の廻りには6
つの最近接窓がある。最近接窓に向かって等速で結晶成
長するので正六角形状に結晶が広がって行く。図2はそ
の途中の状態をしめす。窓からGaNが正六角形で成長
してゆく。つまり結晶の最先端の面は、最近接原子間に
引いた線分の垂直二等分線に平行になる。全ての窓から
正六角形状に結晶が肥大してくるから、同時に全周にお
いて結晶が接触する。図3にこれをしめす。ほぼ同時接
触ということが重要である。その後は上向きに厚みを増
やすように結晶は成長する。
基板面を覆った場合正六角形の中心に当たる位置を窓と
する。GaAs(111)A面においてGaNが核発生
して六角形に広がるときその1辺はy軸に直角である。
残りの辺はy軸に対して30゜をなす。(111)A面
で正六角形成長するがその1辺が[11−2]に直角だ
ということである。残りの辺は[2−1−1]、[−1
2−1]である。この方位は全てGaAs結晶の方位で
ある。
方位は、これとは違う。GaAsは閃亜鉛鉱型(zinc b
lende)立方晶系である。GaNは六方晶系であるから
4つのパラメータ(klmn)によって方位を表現す
る。このうちk、l、mは一平面でのパラメータであり
独立でない。これは互いに120゜をなす主軸(a、
b、dとする)を面が切るときその軸を切断した値の逆
数がk、l、mである。k+l+m=0という規則があ
る。nはc軸を切る値の逆数である。c軸はこれらの面
(a、b、d面)に垂直であり、c軸廻りに6回対称性
がある。GaAsの[111]軸とGaNのc軸を平行
にするような結晶成長が行われる。GaAs(111)
面は3回対称性があるから、その上に6回対称性の方位
にGaNを載せている。GaAs(111)面にGaN
のc軸が直交する。GaAs(111)面に、GaN
(0001)面が平行である。GaAsの[11−2]
方向(y軸)に、GaN[10−10]が平行である。
GaAsの[−110]方向(x軸)にGaNの[1−
210]が平行である。
造プロセスを本発明者が開発し、かなり厚いGaN単結
晶をGaAs基板上に成長させる事に成功した。さらに
GaAs基板をエッチング除去し、GaNの自立膜を得
た。
を示す。図4(1)はGaAs基板にマスクを付け窓を
開けた状態である。図4(2)はマスクの窓の部分に低
温でGaNバッファ層を成長させた状態を示す。図4
(3)はさらにGaNを堆積させ、厚みを増やしたもの
を表す。低温で成長させたバッファ層は微結晶のGaN
であるが、高温でGaNを成長させる過程で積層欠陥の
多い結晶となるのでバッファ層を明示していない。時間
をかけてエピタキシャル成長し厚い結晶を作製する。そ
の後、GaAsをエッチング除去する。マスクの部分は
研磨によって除く。そうするとGaNの自立結晶ができ
る。十分な厚みがあるからGaN基板となる。これまで
大型GaN単結晶が存在しないから基板にできなかった
のであるが、この発明によってGaN基板の可能性が現
実性を帯びてきたのである。しかし、自立膜が得られた
といっても未だ厚み、強度、大きさ、反り等の克服すべ
き問題がある。
伝導型である。従来GaN薄膜はMOCVD法でつくら
れた。GaNエピタキシャル層をn型にするためSiを
ドープしていた。Siを含む気体化合物でもっとも入手
しやすいものはシランガス(SiH4)である。しかし
シランガスは爆発しやすい危険なガスである。できれば
使用したくない。より安全でしかも活性化率が高いn型
ドーパントが望まれる。
ドープでn型の伝導型を示す。ここでラテラル成長法に
よって作製したGaNもノンドープであってもn型の電
子伝導型を示す。
?ノンドープGaNの伝導型を決めるものはいったいな
にか?一歩進んでキャリア濃度を増減するにはどうすれ
ばよいのか?これが本発明の課題である。n型伝導の原
因はなにか?さまざまの可能性がある。空格子なのか?
水素が混入したからか?炭素原子のせいなのか?そのほ
かの元素が不純物として混入しているからか?
ず真性半導体(n=p)になるかというとそうではな
い。ノンドープであっても何れかの伝導型になるものが
多い。ノンドープSiはn型になる。GaAsは意図的
に不純物を入れないとn型を呈する。GaNはノンドー
プであるとn型半導体である。どうしてドーパントを入
れないのにn型になるか?これが未だに不明である。ノ
ンドープであるのにn型になるGaNの伝導機構を明か
にし伝導制御する方法を提供することが本発明の第1の
目的である。さらにn型キャリア濃度を制御したGaN
単結晶を提供することが本発明の第2の目的である。
ているのは酸素である。酸素をドープしなくてもガス中
に不純物として酸素が含まれる。この酸素がGaN結晶
の中で電子を供出するn型ドーパントとして機能するこ
とを本発明者は突き止めた。
でGaNをエピタキシャル成長させる場合、原料はGa
金属、塩化水素HCl、アンモニアNH3である。酸素
は原料中に含まれないはずである。それにも拘らず、G
aNエピタキシャル層はn型である。原料ガスに不純物
として含まれる酸素がGaNをn型にするのである。
であり、意図的に酸素を付加しなくてもn型の伝導性を
示す。という事はGaNの伝導型を自在に与えるには原
料ガスなどに含まれる酸素不純物を厳密に制御しなけれ
ばならない、ということである。原料ガスには思いの他
大量の酸素が不純物として含まれているのである。酸素
が別段GaNに於いて何の役割もないのであれば酸素の
混入は差し支えない事である。ところが本発明者の実験
によれば酸素がGaNのn型ドーパントとして機能して
いるという事があきらかになった。
として酸素を採用する。これが本発明の骨子である。酸
素は後に述べるようにn型ドーパントとして殆ど100
%の活性化率を示す。これは酸素がn型ドーパントとし
て優れていると言う事である。浅いドナー準位を形成す
るのであろう。
す。1×1016cm−3〜1×10 20cm−3の範
囲で酸素はn型ドーパントであり、活性化率が高い。こ
れによって得られるn型基板のキャリア濃度は、1×1
016cm−3〜1×1020cm−3となる。
具体的にはMOCVDや、有機金属気相成長法などがあ
るが、この場合、メチル基の分解により炭素が結晶中に
取り込まれ、炭素不純物として存在する事が知られてい
る。発明者らの研究によれば、炭素は電気特性において
キャリアの発生に対しては不安定で、成長条件によって
はn型キャリアが発生しドナーとなることがわかってい
る。また、発明者らの研究によれば炭素濃度が高く1×
1018cm−3以上になると、フォトルミネッセンス
強度が低下する事も明らかになっている。これらの状況
において、酸素キャリアを有効に機能させるためには、
炭素濃度を1×1018cm−3以下、好ましくは10
17cm−3以下に制御するのが望ましい。GaAs基
板上に成長させる場合、この制御が可能である事がわか
った。
としては、4つの方法が知られている。 1.HVPE(Halide Vapor Phase Epitaxy)塩化物気
相成長法 2.MOC(Metallorganic Chloride Vapor Phase Ep
itaxy)有機金属塩化物気相成長法 3.MOCVD(Metallorganic Chemical Vapor Phase
Deposition)有機金属CVD法 4.昇華法
る。Ga+HCl→GaClという反応で一旦GaCl
を作り、アンモニアNH3とGaClの反応によって、
GaNを生成する。GaClを作るので塩化物というの
である。MOCはGaの有機金属Ga(CH3)3を原
料とする。Ga(CH3)3+HCl→GaClと言う
反応で一旦GaClを作る。アンモニアNH3とGaC
lの反応によってGaNを合成する。これによってGa
As基板上に900℃以上の高温で、高品質のGaNを
エピタキシャル成長させているのは本出願人だけであ
る。
3)3を原料とする。NH3と直接に反応させて、Ga
(CH3)3+NH3→GaNと言う反応を起こさせ
る。GaNのエピタキシャル成長は現在殆どこの方法に
よって行われている。
最も普通に行われている3のMOCVD法には不適であ
ることが分かった。この方法は有機金属Gaを原料に使
う。しかも一旦GaClを作るという工程がない。その
ために、有機金属の構成元素である炭素がGaNエピタ
キシャル層に混入する。言い換えると、炭素濃度を10
18cm−3以下に保ち且つ高品質のGaNを得ようと
するとき、MOCVD法では成長速度が遅すぎて、経済
的にHVPE法、MOC法に対抗できない。炭素もn型
或いはp型の不純物として作用するらしい。炭素が含ま
れると電子数(n型キャリア)と酸素数の間に正比例関
係が成り立たない場合がある。酸素がn型ドーパントと
して機能し、電子と酸素数が比例するのは炭素がほとん
ど存在しない(1018cm−3以下)場合である。炭
素がGaN中で酸素といかなる関係にあるのかは未だは
っきりしない。しかし炭素がきわめて少ないことが酸素
によるn型キャリア制御の条件になる。
GaNを生成するHVPE法かMOC法が適する。いず
れも炭素がGaNにまったく含まれないか極ごく僅かし
か含まれず、酸素ドーパントとキャリアの数が比例す
る。意図的に酸素ドープ量によりn型キャリアを制御す
るには、原料中の酸素の量を正確に規定できることが必
要である。原料は精製して酸素、水を除く。酸素、水が
検出限界以下になるまで精製してから原料に所望のキャ
リア数になるよう酸素を含ませる。
どを利用できる。酸素ガス、水を原料ガスのいずれに含
ませても良いはずであるが、おのずと原料ガスにも適不
適がある。MOCもHVPEもHClガスを用いる。実
際には水素+HClとして用いる。アンモニアNH3も
気体である。この3種類の気体原料のうちHClに酸
素、水を含ませるのが最も有効である。酸素、水は、H
Clに含まれるとGa金属、Ga有機金属と反応してG
a2Oを形成し、ためにGaN結晶中に有効に取り込ま
れる、と考えられる。
法として、NH3ガス中に酸素及び水を含ませることも
効果があることを確認した。NH3ガスは、NH3+水
素ガスとして、水素ガスで希釈して用いる。このガス中
に、酸素、あるいは水を気体として加える。この方法の
実施にあたっては、酸素、水を含んだ水素ガスを、アン
モニアガスと混合することが容易であり効果がある。
度に電気伝導性の制御を行う事が可能になる。酸素濃度
が1×1016cm−3〜1×1020cm−3の範囲
でって、n型キャリア濃度が1×1016cm−3〜1
×1020cm−3の範囲のGaN結晶を作る事ができ
る。酸素濃度、キャリア濃度は好ましくは5×1017
cm−3〜5×1019cm−3である。より好ましく
は1×1018cm−3〜1×1019cm−3であ
る。キャリア濃度が高いと抵抗率が下がり良好である。
一方、酸素濃度が高すぎると結晶性が低下する。
VD法によってつくられていた。その場合n型ドーパン
トはSiであり、シランガス(SiH4)がドーピング
ガスとして使われる。しかしシランガスは危険なガスで
ある。本発明はそのような危険なガスを使う事なくn型
GaN結晶をつくることができる。ただしガラス容器か
らSiがGaN単結晶中に混入する。あるいは原料ガス
中不純物としてGaN結晶中に混入する。この量は制御
困難である。GaN中のSi含有量を低減することが重
要である。1×1017cm−3以下であることが必要
である。
法、3種類のHClガス]GaAs(111)A面基板
上に、SiO2絶縁膜を一様に形成した。フォトリソグ
ラフィによって点状の窓を規則的に多数設けたマスクを
形成した(図1)。点状の窓一つは2μm角である。G
aAs基板の<11−2>方向に4μmピッチ(=d)
で1列に並べる。その列から3.5μm(=31/2d/
2)離れた位置に半ピッチずらせて、同じピッチで別の
点状窓を1列に並べる。以下同様の繰り返しの点状窓を
配置したマスクを作製する。つまり点状窓の中心を結ぶ
と<11−2>方向に一辺をもつ一辺4μmの正三角形
の群になる。
低温において、マスク/GaAsの上にGaNからなる
バッファ層を80nm形成した。さらに昇温し920℃
〜1050℃の高温において、GaNエピタキシャル層
を約200μmの厚みに形成した。
m角)の中のGaAs表面上に孤立したGaN結晶の核
ができる。核から次第にGaN結晶がマスク上を表面方
向に広がって行くが核と方位は一致するので下地のGa
Asと所定の方位関係となる(図2)。結晶の対称性に
したがって六角形状に広がって行く。結晶の方位は窓内
の結晶方位に一致するはずである。やがて隣接した窓か
ら孤立して成長したGaN結晶が接触するようになる
(図3)。正三角形の配列の窓から六角形状に等速度に
広がって来たものが接触するので接触面は蜂の巣のよう
な六角形の繰り返しになる。こうしてさらに厚膜化して
ゆく。
SE EPITAXY)法というのは、常圧の反応炉内部にGaメ
タルを入れたボートを収容し、Gaボートを800℃以
上に加熱しておき、HClガスを流して、GaClを合
成し、基板付近に流されているNH3と反応させ、基板
上にGaNを成長させるものである。キャリアガスは全
て水素である。
炉1の廻りには円筒状のヒ−タ2が設けられる。反応炉
1の上方には原料ガス入口管3、4が差し込まれてい
る。短い方の原料ガス入口管3の直下にGa溜5があ
る。ここにはGa6が溶融状態で収容される。反応炉1
の下方には、サセプタ7がシャフト8によって昇降回転
自在に支持される。サセプタ7の上にGaAs基板9が
戴置してある。反応炉1の下方には排気口10があり真
空排気装置によって真空に引かれている。原料ガス入口
3から、HCl+H2ガスが導入される。これが溶融状
態のGa6と反応する。原料ガス入口4から、アンモニ
アNH3+H2ガスが導入される。
+H2である。金属Gaを原料とする。金属であって気
体にはならないから塩化水素によって一旦Gaの塩化物
GaClを作る。これは高温では蒸気になり水素によっ
て運ぶことができる。塩化物のGa原料を使うからハラ
イドVPEというのである。Ga→GaClとなり、有
機金属を使わない。エピタキシャル法の違いはGaを与
える形態の違いにある。窒素の原料としては気体である
アンモニアNH3を用いる。その他の方法でもアンモニ
アを使う点は同じである。
使用した。 (a)不純物として水を約2000ppm含んだHCl
ガス (b)不純物として水を約150ppm含んだHClガ
ス (c)精製を繰り返した高純度のHClガス
常酸素、水を含んでおり酸素、水を除くためには何度も
精製を繰り返さなければならない。
鏡面状にGaN膜が連続膜を形成してしていた。これは
GaN/GaAs構造であるから、王水に入れて、Ga
As基板を溶解除去した。残ったのはGaN膜である。
これは厚さが約200μmあるので自立膜である。Ga
N自立膜が得られたのである。単結晶であり、結晶成長
等のGaN基板とすることができる。
数枚のGaN基板を作製し、酸素濃度Oとキャリア濃度
nを測定した。酸素濃度はSIMS(Secondary Ion-Ma
ss Spectrography)によって測定した。これは不活性ガ
スのイオンを出力に当てて二次イオンを発生させ質量別
に発生量を調べて表面に存在する元素の比率を求めるも
のである。キャリア濃度はHall測定によっている。
ている。またキャリアガスの水素にも酸素、水が幾分含
まれる。窒素源であるアンモニアにも酸素、水がわずか
に含まれる。そういう訳で(c)のHClを用いたGa
Nでも、やはり僅かな酸素が含まれる。
法、水添加HClガス]実施例1と同じ方法によってG
aAs基板の上にGaN結晶を作製した。つまりマスク
を使ってHVPE法によりGaNバッファ層とGaNエ
ピタキシャル層を生成するという点は同じである。HC
lガスが少し違う。HClガスはキャリアとしての水素
ガスとともにGaに供給するのであるが、キャリアガス
に水を含ませる。水をガスに添加する事によって意図的
に酸素をGaClに含ませることができる。
ングした湿潤水素
たガス(d+e)を、HClガスとして利用する。HC
lに対する水の比率を3000ppm以下の範囲で変え
た。つまり、H2O/HCl=0〜3000ppmの範
囲で連続的に変化させた。初めの2Ga+2HCl→2
GaCl+H2の反応において水があるから、酸素がG
aClの一部に混入する。酸素をドーパントとして利用
するため、水を用いても良いという事が分かった。
法、酸素添加HClガス]実施例1と同じ方法によって
GaAs基板の上にGaN結晶を作製した。正三角形分
布窓を有するマスクを使ってHVPE法によりGaNバ
ッファ層とGaNエピタキシャル層を生成するという点
は同じである。塩化水素(HCl)ガスが少し違う。H
Clガスに意図的に酸素ガスを混合する。HClガスに
水を含ませる事によって酸素を意図的にGaClに含ま
せることができる。
たガス(f+g)を、HClガスとして利用する。HC
lに対する酸素の比率を3000ppm以下の範囲で変
えた。つまり、O2/HCl=0〜3000ppmの範
囲で連続的に変化させた。初めの2Ga+2HCl→2
GaCl+H2の反応において酸素があるから、酸素が
GaClの一部に混入する。
法、水添加NH3ガス]実施例1と同じ方法によってG
aAs基板の上にGaN結晶を作製した。つまり、マス
クを使ってHVPE法によりGaNバッファ層とGaN
エピタキシャル層を生成するという点では同じである。
NH3ガスが違う。NH3ガスは、キャリアガスとして
水素ガスを使用する。この水素ガスに水を添加すること
によって、意図的に酸素をNH3ガスに含ませることが
できる。
ングした湿潤水素
たガス(h+i)をアンモニアガスとして使用する。ま
た、必ずしもすべての水素キャリアガスはバブラを通す
必要はなく、その一部についてバブラを通せばよい。バ
ブラの温度を変化させ、アンモニアガス中に含まれる水
の量を変化させた。その結果、アンモニアガス中の水の
量を5ppmから、50ppmまで変化させた。NH3
ガスはこれまでのHClガスに比べ大量に使用するた
め、アンモニアガス中に含ませる水の量は少なくでき
る。少なくしても比較的効率的に、GaN中に取り込ま
れることがわかった。
法、酸素添加NH3ガス]実施例1と同じ方法によって
GaAs基板の上にGaN結晶を作製した。つまり、マ
スクを使ってHVPE法によりGaNバッファ層とGa
Nエピタキシャル層を生成するという点では同じであ
る。NH3ガスが違う。NH3ガス中に微量酸素を混入
させたNH3ガスを使用した。アンモニアガス中の酸素
の量が10ppmのもの、100ppmのものを使用し
た。NH3ガスは、これまでのHClガスに比べ大量に
使用するため、アンモニアガス中の酸素の量は少なくで
きる。
の試料についての酸素濃度/キャリア濃度の測定結果を
示す。ここでキャリアというのは電子である。横軸が酸
素濃度O(cm−3)である。縦軸がキャリア濃度n
(cm−3)である。斜め対角線はO=nの直線であ
る。この直線の少し上に測定点群が並ぶ。O=n直線の
上にも2つの点がある。下には4点がある。O=n直線
の上には32の点がある。測定点が大体O=n直線に平
行に並ぶということは、つまり酸素がn型ドーパントで
あるということを意味する。さらに大体にO=nである
から、酸素ドーパントは殆ど全部が電子を放出し活性率
が100%であることを意味する。それだけでなく、O
<nの測定点の方が多いので酸素活性率は見かけ上10
0%を越える。
ない。SIMS分析位置とHall測定位置の差に起因
する分布による差などが考え得る。しかし図6の測定結
果からキャリア濃度nが酸素濃度Oに比例するというこ
とは言える。つまり酸素濃度によってキャリア濃度を制
御できるという事である。1×1016〜1×102 0
cm−3の広い範囲においてキャリア濃度を制御するこ
とができるのである。
測定される対象であるが酸素濃度はそうでない。だから
キャリアを供出するドーパントがなにであるかはっきり
しないのであるが、酸素濃度を測定してみて分かったこ
とがいくつかある。酸素の比率が一定であるa〜cのい
ずれかのHClガスを使っても、GaN基板の内部に取
り込まれる酸素量は一様でない。原料のHCl中酸素量
以外にも、結晶中に混入する酸素を決めるパラメータが
存在する。GaNの成長温度T、成長速度vが、酸素濃
度に強い影響を持つ。さらに同じ条件で成長させたとし
ても、面内で酸素濃度はばらつく。しかしながら、酸素
濃度を上げるためには水や酸素の投入量を増加させ、酸
素濃度を下げるためには水や酸素の投入量を減少させれ
ばよいことは明らかである。
成長法)によるものである。それ以外にも有機金属塩化
物気相成長法(MOC法:MetallOrganic Chloride)に
よってGaAs基板上にGaN結晶を成長させ自立膜と
したものであっても同様の相関が見られた。これはGa
(CH3)3にHClガスを当てて、GaClを一旦生
成し、これにアンモニアNH3を作用させて、GaNを
つくるものである。炭素はGaClを作る段階で排除さ
れ、GaN結晶には取り込まれる量は極めて少ない。
ドーパントとして働き活性化率が100%近いというこ
とを始めて明らかにしている。GaN結晶に取り込まれ
る酸素量を制御することによって、任意のキャリア濃度
のn型GaN基板を作製することができる。Siをドー
パントとしないから危険なシランガスを使う必要がな
い。安全性が高い。
付けるマスクの窓の配置を示すマスク一部平面図。
るとマスク厚みを越えて成長したときGaNが正六角形
状にマスクの上にまで広がることを示すマスク平面図。
結晶が隣接する窓から成長した正六角形のGaNと接触
して隙間なくマスクを埋め尽くすことを示す平面図。
た図。(1)はGaAs基板にマスクをつけた図。
(2)はマスクの窓の部分にGaNバッファ層を成長さ
せた図。(3)はさらにGaNを堆積させた図。(4)
はエッチングを除去した図。
構成図。
ア濃度(cm−3)の関係を表すグラフ。
Claims (6)
- 【請求項1】n型の電子伝導を示すドーパントとして酸
素を添加してあり他材料の基板部分を持たないことを特
徴とする窒化ガリウム単結晶基板。 - 【請求項2】 n型のキャリア濃度が1×1016cm
−3〜1×1020cm−3であることを特徴とする請
求項1に記載の窒化ガリウム単結晶基板。 - 【請求項3】 酸素濃度が1×1016cm−3〜1 ×
1020cm−3の範囲内であってかつ炭素の不純物濃度
が1×1018cm−3以下である事を特徴とする請求
項1に記載の窒化ガリウム単結晶基板。 - 【請求項4】 Si濃度が1×1017cm−3以下で
あることを特徴とする請求項1に記載の窒化ガリウム単
結晶基板。 - 【請求項5】 GaAs(111)基板の上に、マスク
を付け、[11−2]方向に一辺を持つ正三角形の頂点
に位置する窓をマスクに設け、キャリアガスとしてH2
を用いGa金属とHClによりGaClを作りアンモニ
アによってGaNを生成するHVPE法又はキャリアガ
スとしてH2を用いGa有機金属とHClによってGa
Clを作りアンモニアによってGaNを生成するMOC
法によってGaNバッファ層を成長させ、さらに酸素又
は水を含むHCl、NH3ガス、H2ガスを原料及びキ
ャリアガスとして用いHVPE法またはMOC法によっ
てマスク厚みを越えてGaNエピタキシャル層を厚く生
成し、GaAs基板とマスクを除去してn型GaNの自
立膜とすることを特徴とする窒化ガリウム単結晶基板の
製造方法。 - 【請求項6】 GaAs(111)基板の上に、マスク
を付け、[11−2]方向または[1−10]方向に平
行な複数の窓を設けて[11−2]方向または[1−1
0]方向に平行なストライプ状のマスクとし、キャリア
ガスとしてH 2を用いGa金属とHClによりGaCl
を作りアンモニアによってGaNを生成するHVPE法
又はキャリアガスとしてH2を用いGa有機金属とHC
lによってGaClを作りアンモニアによってGaNを
生成するMOC法によってGaNバッファ層を成長さ
せ、さらに酸素又は水を含むHCl、NH3ガス、H2
ガスを原料及びキャリアガスとして用いHVPE法また
はMOC法によってマスク厚みを越えてGaNエピタキ
シャル層を厚く生成し、GaAs基板とマスクを除去し
てn型GaNの自立膜とすることを特徴とする窒化ガリ
ウム単結晶基板の製造方法。
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