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三笘薫“奇跡の1ミリ”、あの“証拠写真”を撮影した外国人カメラマンに直撃取材「なぜ撮れた?」「地上50mからニッポンのゴールを待っていた」

posted2022/12/05 06:03

 
三笘薫“奇跡の1ミリ”、あの“証拠写真”を撮影した外国人カメラマンに直撃取材「なぜ撮れた?」「地上50mからニッポンのゴールを待っていた」<Number Web> photograph by Petr David Josek/AP=AFLO

VARでの判定が議論を呼ぶ中、ライン上にボールが残っていた決定的瞬間をとらえた1枚。この写真を撮影した本人に話を聞くと…

text by

齋藤裕

齋藤裕Yu Saito

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photograph by

Petr David Josek/AP=AFLO

 強豪スペインに2-1で逆転勝利を果たし、世界に衝撃を与えたサッカー日本代表。その逆転劇で話題となったのが三笘薫のライン上ギリギリのアシスト写真だ。ボールの表面わずか1ミリほどが線上に残っていた瞬間を示すこの1枚。日本のメディアでも多く使われたこの“証拠写真”を撮影したのがAP通信のフォトグラファー、ペトル・ダビド・ヨセクさんだ。開会式翌日の11月21日に43歳となったチェコ出身のヨセクさんに「あの瞬間をどのように撮ったか」を聞いた。

試合を象徴するようなシーンを捉えることができたのかな

――ライン上に残っていたか世界的にも議論となったプレーについて、ヨセクさんの写真は、その決定的瞬間を捉えており、日本でもとても話題となっています。率直にどう感じていますか?

ヨセク 多くの人に注目いただいていて、光栄に思います。あの瞬間をしっかり写真に収めることができて、幸せに感じますね。あの写真があったからこそ、こうやってインタビューして頂いているわけですし。振り返ると、日本がスペインに勝つという衝撃的な結果となった試合を象徴するようなシーンを写真として捉えることができたのかなと思っています。

本人は「人間VAR」とインスタグラムに投稿(本人のインスタグラムより)本人は「人間VAR」とインスタグラムに投稿(本人のインスタグラムより)

――ヨセクさんはAP通信のフォトグラファーとしてあの写真を撮ったわけですが、そもそもサッカーの写真を専門に撮られてきたのでしょうか?

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ヨセク AP通信はさまざまなジャンルを扱っているので、僕はチェコとスロバキアを中心に政治、スポーツ、事件といろんなフィールドで撮影を行っています。イラクなど戦地に行くこともありました。写真の仕事をしてから20年近く経ちますが、ワールドカップは2006年ドイツ大会からですね。日本の選手だとホンダ(本田圭佑)を覚えていますよ。すごいフリーキックを放つ選手ですよね。オリンピックも2008年北京大会から撮っていて、昨年は陸上と競泳の2競技を撮りに東京にも行きました。

――そうだったんですね。そんな経歴のヨセクさんは今大会、スペイン戦の前も日本対ドイツ戦を撮りに行っていたんですよね?

ヨセク そうです。APの撮影チームではグループステージの試合を撮るにあたって、フォトグラファーは最低5人のチームで臨んでいました。4人がピッチ上それぞれのコーナーに行って、あとのもう1人は別の角度からのポジションにつく、というような配置になります。配置は取材班を束ねる“デスク”と“ボス”が割り振ります。なので、どの試合にいくかも含めて、基本的に自分では決められません。その中で僕は日本のドイツ戦とスペイン戦を撮影する機会を得て、どちらもハリファスタジアムの“キャットウォーク”というエリアで撮っていました。

高さは50m近く、幅1.5mほどの足場

――“キャットウォーク”ってどんなエリアなんでしょうか?

ヨセク スタジアムの天井から吊り下がった作業用の通路ですね。なので、ものすごく高く、そして狭い。実は、ロイター、AFP、ゲッティイメージズ、APの4社のフォトグラファーのみ上がれるエリアなんです。僕自身、サッカーの試合で初めてこういった「真上」のポジションで撮りました。

――結構な高さがありますよね(写真参照)。怖くなかったですか?

ヨセク 正直言えば、怖かったです(笑)。ハーネスとヘルメットを着けているとはいえ、高さはおそらく50m近くありますし、幅1.5mほどの足場からは遥か真下にあるピッチが見えます。しかも、ハリファスタジアムのキャットウォークはなだらかなカーブを描いていて、足元もフラットではない。プレーが行われるピッチに物を落とすわけにはいきませんから、落下防止のため12kgくらいあるカメラや機材などの持ち物を自分の身に固定していました。しかも撮影用にカメラを固定する一脚や三脚なども使えないので、重たい400ミリのレンズをその手で持ち続けなきゃいけない。それも2時間も。いや、大変でしたね。とはいえ、ここだからこそ撮れる写真もあるわけですから、ただ嘆いていてもしょうがない。撮っていく中で、慣れていきました。

【次ページ】 モラタのゴールを撮った前半に感じていたこと

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