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住友金属・JX金属・三菱マテリアル…現場DXに弾み、中核人材の育成進む

住友金属・JX金属・三菱マテリアル…現場DXに弾み、中核人材の育成進む

JX金属は大学との連携を強化し、DX教育のレベル向上に取り組む(本社が入るオークラプレステージタワー)

3段階教育・研修拡充 社員派遣、大学とも連携

非鉄金属各社は現場レベルでのデジタル変革(DX)を推進するため、中核となる人材の育成に力を注ぐ。住友金属鉱山は習熟度別に3段階に分けた人材育成計画を策定、JX金属は研修プログラムを拡充するなど、それぞれ独自の戦略に基づいた教育プログラムを打ち出した。各社はDXに向けた取り組みを着実に進捗(しんちょく)させており、非鉄業界全体のデジタル化にも弾みが付きそうだ。(岡紗由美)

住友金属鉱山は2025年度から始まる3カ年の次期中期経営計画において、3段階で設定したデジタルスキルの習熟度のうち、上位レベルの人材を育成する。最上位となるレベル3の「デジタル活用人材」を約350人、レベル2の「デジタル運用人材」を約3150人育成する計画だ。いずれも各業務で共通で利活用できるデジタルツールスキルのほか、ネットワークやデータ活用などの知識を習得してもらう。

全従業員約7500人を対象とした基本的なスキルや、DXの概念などを習得するレベル1の「デジタル利用人材」の教育は次期中計の初年度に達成する見込み。「デジタル活用人材やデジタル運用人材の育成により、事業部ごとにDXを推進してもらう」(松本伸弘社長)方針だ。

一方、JX金属は19年度からデジタル人材のリソース増強と育成強化を継続。データサイエンティスト教育として社員のレベルに応じた研修プログラムを拡充したほか、新卒社員には初級教育として入門編のプログラムを提供。毎年100人程度が受講しているという。また中級教育として、中堅社員の希望者数十人が同プログラムの基礎編を受けた。

22年度には全社員を対象とするリテラシー教育を、23年度には事業所でのワークショップを実施。24年度には選択制のDX教育を追加したほか、新入社員向けに必須のeラーニングを拡充するなど、デジタル人材の育成に磨きをかける。東北大学との共同研究や滋賀大学大学院データサイエンス研究科への社員派遣など教育機関との連携も強化しており、DX教育のレベル向上に取り組む意向だ。 

また、三菱マテリアルは研究開発や生産などの各業務で、DXをけん引するデジタル専門人材を25年度までに23年度比で約3倍となる1000人程度育成する目標を掲げる。この取り組みは順調で、24年度末から25年度前半には前倒しで目標を達成できる見込みだ。教育を受ける側と実施する側の双方でニーズが高まっており、30年度には2500人の育成を目指す。

小野直樹社長は「デジタル専門人材を各現場に配置することで、より効果的なDX推進が可能になる」とみる。大手3社をけん引役に、非鉄業界全体でデジタル化の加速が期待される。

日刊工業新聞 2025年01月29日

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