真水だけで現像…旭化成、「水現像フレキソ樹脂版」4月投入
旭化成は包装材の印刷などに使われる、真水だけで現像する水現像フレキソ樹脂版を4月にも市場投入する。国内のパッケージ印刷ではグラビア印刷が主流だが、近年は環境負荷の低いフレキソ印刷への関心が高まっているという。現像時に使った廃液を最大約9割リサイクルする装置を含めて提案し、水性フレキソ印刷の需要を開拓する。
旭化成は現在、軟包装やラベル向けなどに水現像フレキソ樹脂版「AWP」を手がけている。水をベースにした現像液を使用し、高精細な印刷が実現できる点などが特徴だ。溶剤インクを多く使うグラビア印刷に比べ、有機溶剤の使用を削減することで環境負荷を低減できる。
同社はさらに、真水だけで現像できるAWPの実用化に向けた最終調整を進める。現像時に使った廃液のリサイクルシステム「AWP―LOOP」の提供も始めた。両製品を合わせて提案し、より環境負荷の低減に貢献する水性フレキソ印刷の採用拡大につなげる。
AWPの採用に向けては、印刷会社などと水性フレキソ印刷の提案を推進。スーパーマーケット「マルエツ」などを傘下に持つユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(USMH)やサントリー食品インターナショナル(東京都港区)、伊藤園の商品向け製版に採用された。低い環境負荷に加えて、優れた品質も評価されているという。
旭化成の加藤昭博理事は「国内顧客の反応も良く、手応えを感じている。2030年までに生産全てをAWPにしたい」と語る。
日刊工業新聞 2025年01月20日