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岩谷産業が実証開始へ、バイオ燃料で合成する「グリーンLPG」とは?

岩谷産業が実証開始へ、バイオ燃料で合成する「グリーンLPG」とは?

約10キログラム合成できる装置を設置する(中央研究所・岩谷水素技術研究所)

岩谷産業は二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロとみなす「グリーン液化石油ガス(LPG)」の実証実験を2025年度にも始める。バイオエタノールなどを原料にしてLPGを合成し、1日当たり約10キログラム合成できる装置を中央研究所・岩谷水素技術研究所(兵庫県尼崎市)に設置する。国は50年にLPG需要の全量をグリーンLPGで代替する目標を掲げる。同社は実証を通じて高純度のLPG合成を目指し、業界をリードする考えだ。

グリーンLPGとは大気中などから回収したCO2と、再生可能エネルギー由来の水素から合成して作り出したプロパンやブタンのことを指す。足元では、家畜ふん尿などを炭素源として合成する「バイオLPG」の研究が先行している。

岩谷産業はトウモロコシやサトウキビなどで作ったバイオエタノールなどを原料に、LPGの主成分であるプロパンを合成する。液化した上で、10キログラムボンベや50キログラムボンベに充填して貯蔵。施設内のガスヒートポンプの燃料として利用する。社外へのサンプル出荷も検討する。実証を踏まえ、年間1000トン規模のプロパン合成が可能なプラントの設計開発につなげる。

現在、プロパン合成時にメタンやエタンなども同時に合成されてしまうことが課題となっている。実証を通じて触媒研究を進め、メタンやエタンなどの合成反応を抑え、プロパン収率を高めて低コスト化につなげる。また、ブタン合成の研究も進める。標準型のカセットガスボンベは主成分がブタンであり、将来はカセットガスボンベのグリーン化も視野に入れる。

グリーンLPG実証をめぐっては、古河電気工業が家畜ふん尿を使った実証を北海道鹿追町で進めており、岩谷産業も製品流通業者として関与する。岩谷水素技術研究所の小池国彦所長は「まずは高コストでも良いので、実際にボンベを作り、研究所の設備で使えることを示す」としている。

日刊工業新聞 2024年02月16日

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