フジテレビ騒動で立場逆転…大誤報&お詫びの週刊文春はどこで間違ったのか?(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)
2025年02月02日 09時26分日刊ゲンダイDIGITAL
(質疑がカミ合わないのも納得(C)日刊ゲンダイ)
【週刊誌からみた「ニッポンの後退」】
週刊文春が「中居正広9000万円SEXスキャンダル」で大誤報&お詫び!
それも10時間半に及ぶフジテレビの出直し会見が世の耳目を集めていた1月27日、有料会員向けの電子版にひっそりと掲載していたのである。しかし、「それはおかしい」と指摘した人物がいた。
「『文春』のインタビューを受けていた橋下徹弁護士は、この件を『大きな前提事実の変更があったことなので、しっかりと事実訂正を大きく報じて謝罪しないといけないと文春に伝えました』」(FNNプライムオンライン1月28日=火、午後7時39分)
そういう経緯があったためだろう、その後、文春オンラインにも載せた。「中居正広・フジテレビ問題について」として、「昨年12月26日発売号では、事件当日の会食について『X子さんはフジ編成幹部A氏に誘われた』としていました。しかし、その後の取材により『X子さんは中居氏に誘われた』『A氏がセッティングしている会の“延長”と認識していた』ということが判明したため、1月8日発売号以降は、その後の取材成果を踏まえた内容を報じています」。その上で、「A氏が件のトラブルに関与した事実は変わらないと考えています」としている。だが、本当にそうだろうか?
文春は1月2.9日号(12月26日発売)で、X子の知人の話として、その日、中居を含めた大人数で食事をしようとフジテレビの編成幹部のAから誘われ、「Aさんに言われたからには断れないよね」と渋々参加した。だが、直前になって「彼女と中居さんを除く全員が、なんとドタキャン」して、密室で2人きりにされ、「意に沿わない性的行為を受けた」と報じていた。
それが続く1月16日号では、やはり知人の話として、「あの日、X子は中居さんからA氏を含めた大人数で食事をしようと誘われていました」と変わり、直前になって中居から、「みんな来られなくなってしまったけど二人でもいい?」というメッセージが届いたと報じているのだ。これほど重大な変更なのに記事中、なぜ、Aではなく中居から誘われたと記述を変えたのかの説明はまったくない。
当時、フジテレビ側は文春の取材に対して、「食事会に関しては、当該社員は会の設定を含め一切関与していない」と回答し、27日の出直し会見の中でも記者の質問にしどろもどろになっていた港浩一社長が、唯一何度も断言したのは、「当日の食事会にAは関与していない」ということだった。
これに関してはフジ側が正しいとしても、フジの「人権意識の低さ」「女子アナは有名人たちの接待要員」「性的トラブルを知りながら中居を使い続けた」「日枝久の独裁体制が続きガバナンスが欠如」などの深刻な問題が解決されたわけではないことは言うまでもない。
文春で話している「X子の知人」というのはX子本人だと私は推測しているが、なぜ、取材力に定評のある文春が彼女の発言の裏を取らなかったのだろう。最初に報じた号で、直撃されたAが「(自分が誘ったというのは=筆者注)間違ってる」と言っているのだ。文春砲の信用を著しく傷つけたと言わざるを得ない。事件を起こした芸能人に文春がいつも言っているように、会見を開き、なぜ間違ったのかを竹田聖編集長が丁寧に説明する必要があるはずである。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」元編集長)