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アベノミクスは調査兵団!? アニメで学ぶオタクのための「株」入門

あらすじ

難しい話も「アニメ」や「マンガ」に例えるとわかりやすくなる!?株の初心者社領エミが、アニメに詳しいサンキュータツオ氏の翻訳を通して、株式投資の基本を一から勉強しました。

こんにちは!株式会社人間の社領です。

突然ですが、私はアホです。

アホなのに、「株の記事書いて」という仕事がきてしまいました……。

無理 〜〜〜〜〜〜〜〜〜 !!!!!!!!!

株の記事を書くには、まず株のことを理解しなければなりません……が!

私にとって、アニメ&マンガ以外は専門外!!

一番本を読むべき社会人になりたての頃、腐った同人誌執筆にハマっていた私。文字だらけの本を読むと2秒で寝る体質なのに、株の記事など書けるわけがありません!

マンガしか読みたくないよぉ……アニメ見たいよぉ……!

 

株なんか知らないよぉ……!

マンガとアニメの話してよぉ……!!!!

 

あれ?もしかして、
超難しい話でも、私の好きな「マンガ」に例えると超理解できるのでは?

超名案では?

この授業を記事にすれば、
私も株を学べるし、
アニメファンの人も株を知ることができる……!?

ということで、強力な助っ人をお呼びしました〜!

たのもしい助っ人登場!

今回、「株を教えてくれる人」と「アニメに翻訳してくれる人」をご紹介します!

 

株に超詳しい経済専門家、川口一晃さんです!

サンキュータツオ

川口 一晃(かわぐち・かずあき)

1960年北海道生まれ。
1986年に銀行系証券会社(現・三菱UFJ証券)入社、その後、銀行系投資顧問会社(現・三菱UFJ投信)、国内投信会社(三洋投信)にて11年間ファンドマネージャーを務める。1996年にブルームバーグL.P、 2000年外資系証券会社を経て、2004年にオフィスKAZ代表取締役に就任。
高知大学非常勤講師、日本FP協会社会教育委員会委員などを歴任。 テレビ・ラジオなどメディアでも活躍。投資教育の分野でも活躍。2009年投資教育を主体の劇団「コレモナニカノ円」を主宰。

また、アニメに超詳しい知識人、サンキュータツオさんです!

川口 一晃

サンキュータツオ

1976年生まれ。学者芸人。
漫才お笑いコンビ『米粒写経(こめつぶしゃきょう)』のツッコミ担当。早稲田大学第一文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了、同研究科博士後期課程修了(単位取得満期退学)。早稲田大学には学部から通算14年通った。文学修士。
お笑いの学術的研究をするとともに、アニメなどのユースカルチャーにも造詣が深い。
落語関係の執筆・編集協力などのほか、学術論文なども執筆。

川口さんは、経済学のコメンテーターとしてニュースにも出演する、株に超詳しいお方!

サンキュータツオさんは、アニメを週に30本以上観る生粋のアニメオタク、そして喋りの達人……!

これで、アホな私も株が学べるぞ〜!

社領エミ
というわけで、よろしくお願いします!
川口一晃
株の基本をお教えしましょう、よろしくお願いします!
サンキュータツオ
よろしくお願いします。株は専門外ですが、アニメなら任せてください!

*文中の例え話は、正確に株を表現するものとは限りません。あくまでも「例え話」としてお楽しみください。

アニメに例えて株を学ぼう

株は「ラブライブ!」だった!?

社領エミ
そもそも、株って何なのか全くわかってません!
川口一晃
では、簡単にご説明しましょう。
企業が大きな事業をするためには沢山のお金が必要ですが、社内だけでお金を用意するには限界がありますよね。
ということで、いろんな人たちからお金を集めます。お金を出してくれる人たちを「投資家」、集まったお金を「資本金」といいます。
川口一晃
そして「お金を出してくれた」という証明で発行するのが「株券」です。「あなたは株を持っている人=株主ですよ」と保証する、保険証みたいなものですね。株主は、会社が儲かれば儲かるほど、株券の保有株数に応じた「配当金」を貰えたりします。この仕組みで成り立っている会社を「株式会社」と呼ぶわけです。
また、株主は「議決権」という株主総会での投票権を持ちます。「役員を誰にするか」「今後の重要な方針」について、保有株数に応じて口出しすることができるんですね。
社領エミ
えっ待ってもうついていけてない
川口一晃
今、かなりわかりやすく言ったつもりだったんですが!
社領エミ
なんで他人の会社にお金を出す人がいるの…!? ていうかこれ、会社の行く末を株主に任せるってこと!? そんなのあり!? あとそんなに漢字を使わないでください!!!
川口一晃
普通レベルですよ、これ!
サンキュータツオ
なるほどね……だいたいわかりました。僕から説明しましょう!
まず、「株式会社=μ's(ミューズ)」だと思ってください。

※μ's(ミューズ)とは、メディアミックス作品「ラブライブ!」に登場する架空のスクールアイドルグループ、およびそのキャラクターの声を演じる声優達による実在の女性声優ユニットの名称。

社領エミ
なんだって……?
サンキュータツオ
μ'sは活動するためのお金が必要なので、ファンクラブを作って会費をつのります。
ファンクラブに入った人は、お金を払うかわりに会報や限定チケットなどの特典がもらえる。ここまではわかる?
社領エミ
はい
サンキュータツオ
そして、会員たちはお金を払った分だけμ'sに口出しできる権利を持っている。「センター(社長)を誰にするか」「どういう売り出し方にしていくか」会員同士で話し合えるってこと。

つまり……こういうこと!
社領エミ
な、なるほど〜!!
川口一晃
だいたい合ってます…!
社領エミ
私の一票で凛ちゃんをセンターにできるかもってことか〜!?!
でもこれ、変なヤツばっかり集まったら運営方針荒れまくりそうで心配……下着でPV撮るぞ!とか……
サンキュータツオ
いやあくまで例えだから。株主は会社に下心持ってないからね。
川口一晃
あとこの場合、ファンクラブの会員証は決まった枚数しかありません。
会員証一枚一枚が投票権になっているので、もし変な奴に乗っ取られたくない場合は、μ's側で会員証の過半数を保有しておけばいいんです。
サンキュータツオ
よく耳にする「一族経営」もまさにそれ。創業者一族で株半分以上を保有して、実質自分たちが舵をとるという運営方針のことだよ。
社領エミ
まさか、μ'sに例えるだけでこんなにすんなり入ってくるとは……!!

「まんだらけ」は証券会社と同じ

社領エミ
じゃあ、株ってどうやって買えばいいんですか?
川口一晃
では次は、株と証券取引所の関係についてお話しましょう。
社領エミ
あ、証券取引所! きいたことあるぞ!
川口一晃
株は、証券取引所で「いくらで売りたい」「いくらで買いたい」という株主同士をマッチングして売買されます。また、投資家は証券取引所と直接取引をするわけでなく、取引を代行する「証券会社」を通して株のやりとりをします。
社領エミ
どうして急に眠くなるんだろう
サンキュータツオ
……なるほどね。わかりました!
では次は、株=中古同人誌として考えてみましょう!
サンキュータツオ
コミケで売られた同人誌は、一度出版されたあとは中古同人誌ショップで売買されるよね?
株も一緒。一度発行されたら、あとは投資家同士のやり取りで売買されるんだよ。

つまり……こういうことです!
社領エミ
あーなるほど! 株って、需要によって値段がかわるのか!
サンキュータツオ
その通り! 「株価変動」は、「中古同人誌が、旬ジャンルや作家さんの人気度によって値段が変わる」ってのと一緒。

※同人誌の中でも有名作家のものは部数も限られ手に入りにくく、「まんだらけ」などの漫画ファン向けの古書店で定価以上の価格で販売されているものもあります。

川口一晃
よく「株で儲けた!」と言ってる人は、中古同人誌を時期を見計らって高値で売るといったような原理で儲けているんですよ。
社領エミ
な、なんて作家さんに愛のないオタクなんだ……
川口一晃
また、証券会社はひとつではありません。SMBC日興証券SBI証券など、取り扱い株や手数料などの違いでいくつもあります。
サンキュータツオ
これも、まんだらけの他にメロンブックスとらのあながあるのと一緒だね。取り扱いジャンルの違いでいくつもお店があるってこと。

上場は「漫画家デビュー」に通ず!

社領エミ
じゃあ、証券取引所に行けば私の会社「株式会社人間」の株も買えるんですか?
川口一晃
いいえ、株式会社人間は「上場」をしていないので買えません。
証券取引所では、上場をした企業だけが株式を売ることができるのです。
社領エミ
あー! たまに「上場しました!」「おめでとう!」ってやり取りを見るんですが、それって「株を売ってお金が手に入るんだね!おめでとう!」ってことか?
川口一晃
うーん、それも違いますね。
川口一晃
まず上場するには、証券取引所の定めた厳しい基準をクリアしなければなりせん。
すなわち上場とは、「証券取引所に『信用がある会社だ』と認められた」ということ。銀行からお金を借りやすくなりますし、上場企業は「経営状態を公開せねばならない=悪いことができない」ので、社会的な信用度も上がります。
また、株を売ってお金を集めるということは、より事業の拡大をするという意味でもあります。会社としての大きなステップアップが「上場」なのです。
社領エミ
な、なるほど…?
川口一晃
そして、証券取引所はランク違いで数種類あります。まず代表的なのが「東京証券取引所一部」、いわゆる東証一部です。東証一部は一番上場が難しく、かなりの大企業でないと上場することはできません。次に続くのが「東証二部」、「東証マザーズ」、「JASDAQ」……ドラマとかでよく聞く「東証一部の上場企業勤め」っていうのは実はすごいことでして……
社領エミ
タツオさーーーん!!!キャパオーバーです!!!助けてください!!!
サンキュータツオ
よしわかった!! 次は上場=プロ漫画家デビューに例えてみよう!
「うちのお父さん東証一部の上場企業にいる」=「うちのお父さん週刊少年ジャンプで連載してる」と考えてみて
社領エミ
上場ってプロ漫画家デビューだったのかー!!!
サンキュータツオ
そう。かつ、上場する証券取引所によって漫画家の信用度が変わると思ってみて。
東証一部っていうのは「ある程度連載をこなしたことがあって、締め切りも守るしクオリティも高い」っていう「世間的な信用がある」企業が集まってるんだよ。
社領エミ
なるほど。デビュー前のチェックがもっとも厳しいのが東証一部ってわけですね!
サンキュータツオ
あと、デビューするとお金も作れる。作家が自分の連載をアニメ化したくなったとするじゃん。個人のお金じゃきついけど、東証に上場すれば多くの人からお金が集まるから実現しやすい。
川口一晃
でも逆に、サントリーみたいにあえて上場しない会社もありますよ。
サンキュータツオ
サントリーは上の例でいうと、編集者(株主)をつけず、個人のwebサイトや同人誌で漫画を書き続けてる「同人作家」ってニュアンスかな?
社領エミ
えっ!? ということは、ずっと一人で会社やってきた私のお父さん、30年間Web漫画を書いてたってことか……
サンキュータツオ
そういうことになるね。

30年一人でWeb漫画を描いていた社領の父

川口一晃
ちなみに、東証一部に上場している2000社ほどの企業の中から、選ばれた225社の株価の平均値を日経平均株価と呼びます。日本の経済の力強さを表す数値ですね。
サンキュータツオ
つまり、週刊少年ジャンプ・サンデー・マガジンなどの主要な連載陣の平均売り上げ部数ってこと。高橋留美子先生とか、青山剛昌先生とか。
社領エミ
わっかりやっすぅ……
サンキュータツオ
まさに、「日本の漫画界の力強さがわかる」数値。漫画が面白い・面白くないに関わらず、漫画を買う層がどれくらいいるかとか、出版業界の鏡のような数値だね。
社領エミ
じゃあ、日経平均株価がやばい=日本の経済がやばい! ってことですか?
川口一晃
その通り! 日経平均株価は、日本の経済における、もっとも信用度の高い数値なのです。

アベノミクスは、巨大な不況に立ち向かう「調査兵団」!

社領エミ
ちなみに、今の日本の経済ってどうなってるんですか? 「アベノミクス」とかよく聞きますけど。
川口一晃
アベノミクスは、安倍内閣が掲げる経済政策のことです。端的に言うと、「日本の経済を強くしていこう!」という目標を持った政策なんですが、未だに達成されてないのが現状ですね。株価も良いところまで来てはいるけど、そこまでという感じです。
サンキュータツオ
ですね。アベノミクス=調査兵団だと考えたらわかりやすいよ。巨人=不況だと思ってみて。

※「進撃の巨人」に登場する兵団。人を食らう巨人が生息する「壁外」への遠征調査を主な任務としている。

サンキュータツオ
頑張って巨人一体くらいは倒せてるけど、こっちの損害もけっこう出てるって感じかな。
社領エミ
め、めっちゃイメージできるーー!
サンキュータツオ
もっと言うと、戦後の不景気から勝ちまくって活動できるエリアをものすごく広げてたのが高度経済成長期、田中角栄内閣
そのあとみるみるうちに条件が悪くなって、かなり内側まで巨人の侵入を許してる中での戦いが小泉内閣
がっつり壁もできて、だいたい巨人の特性も掴めてるし、もしかすると一網打尽にできるかも? エルヴィン、いや、安倍さん頼む! ってのがアベノミクスだね。
社領エミ
ヤバい、進撃の巨人に例えるだけで経済の話がめちゃめちゃわかるぞ……!!今、アベノミクスは進撃でいう何話くらいなんですか?
サンキュータツオ
アニメでいう2期の最初くらいだね。
社領エミ
ネタバレになるので詳しく言えないですが、あのワケわからんヤツが出てきて今後どうなるか全くわからない感じ、ってことですね!
川口一晃
アベノミクスが本当に不況をやっつける処方薬なのか、疑問を持ってる国民は大勢いますよ。
社領エミ
まんまだ……調査兵団に対する民衆の反応、まんまだわ……

「一話を観る前のアニメファン」の心理は投資家と一緒

社領エミ
じゃあ最後に、一番聞きたいこと! 株で儲けるにはどうすればいいんでしょうか……!!
川口一晃
単純に、安く買って高く売ればいいんです。基本的には、時代の流れ・時代のニーズ・発展性・資本金などをみて、安く買えそうな株を探す感じですね。
サンキュータツオ
それ、アニメファンと似てますね!
いま1シーズンに60本以上の新作アニメがあるんだけど、一話が始まる前のアニメファンって、原作のあるなし、メーカー、放送局、監督、声優さんなどなど……。まずいろいろな尺度から考えて、どのアニメを観るか選ぶんですよ。
川口一晃
タツオさんの仰っていることは、まさしく「グロース投資」ですね。投資のパターンには、「グロース投資」と「バリュー投資」の2種類がありまして……
サンキュータツオ
なるほど。じゃあ、情報さえあれば面白さが予測できた「まどか☆マギカ」はグロース投資、逆に2期目だから面白さを容易に予測できる「進撃の巨人 season2」はバリュー投資ってことですね。
社領エミ
じゃあ、例えば何十年も安定している「サザエさん」みたいなアニメってどっちに入るんですか?
川口一晃
どちらでもないですね。サザエさんは薬品会社に似ていると思います。
経済の事情がどうなろうと、人間って病気になるし薬は必要じゃないですか。だから、薬品会社っていつの世もめちゃめちゃ安定してるんです。なのでサザエさんは薬品会社ですね。
社領エミ
じゃあ、昔の流行から一旦ブームが去って、最近また人気が出た!っていう「おそ松さん」みたいな企業ってありますか?
川口一晃
三菱重工ですね。
昔からある造船会社ですが、最近はまた航空機やロケットで評価されています。おそ松さんは三菱重工です。
社領エミ
今、脳内で猛烈にシュールな図ができました。

ファンが一転してアンチになる「最終回」の株価暴落

サンキュータツオ
なるほどなぁ。いやーやっぱり、投資家とアニメファンって似てるね!
社領エミ
でもアニメファンって何を投資してるんですか? 最近のアニメって無料でも見れたりするし
サンキュータツオ
それは「時間」だよ。投資家にとってのお金は、アニメファンにとっての「時間」なんだよ!
いま1シーズンに60本新作アニメがあるけど、見られるのは有限。アニメファンは時間と労力を投資して、「幸せ」という儲けを得るんじゃないかな。
社領エミ
うわー納得!
サンキュータツオ
アニメを見てる人たちがみんなプロデューサーみたいになっちゃうのって、投資家っぽくなってるからだろうな。「これだけ話の風呂敷ひろげといてまとめられるか心配」とか「このクオリティで最後までもつのか?」とか言うけど、お前が心配することじゃねえ!っていう。
社領エミ
「投資したのに幸せを得られない」ってパターンもあるんですかね?
サンキュータツオ
最終回が物議を醸して、ファンが一転してアンチになるみたいなことはあるよ。最近だと「くまみこ」とか。
社領エミ
マンガだと「アイアムアヒーロー」とかですね。
サンキュータツオ
だいたいの人は「時間を投資して1クール観たんだから裏切ってくれるなよ、最終回!」と思って見てるからね。俺はわりと、最終回はどうでもいいけど。
社領エミ
えー!
サンキュータツオ
それまでの12話を楽しませてくれたら十分。伏線が回収されたからって何が気持ちいいの?くらいに思ってる。
社領エミ
いやいや、どうせなら投資した時間が最終回まで「幸せ」になって戻ってきてほしいですよ! ね、川口さん。
川口一晃
僕も最終回まで面白いのが好きですね。株なんて、最後に大暴落したら誰も得しませんよ。
社領エミ
確かに……

私が考えた「株」! まとめると…!?

川口一晃
というわけで、株の基礎知識はこんな感じです。
どうですか? なんとなくわかりました?
社領エミ
はい! おかげさまで、とっても解りやすく学ぶことができました。
経済なんて1mmもわからなかった私ですが、今日は大人の階段を一段のぼれた気分です……!
今日は本当にありがとうございました!
社領エミ
ということで最後に、今日学んだ株の知識を一枚のイラストにまとめてみました!
社領エミ
株って、こういうことだったんですね〜!
川口一晃・サンキュータツオ
まとめるとワケがわからん!

ライター:社領エミ  
イラスト:北村ヂン