2024年も仕事納めの時期。つい、年末年始の予定に思いを巡らせてしまいますよね。冬のボーナスが支給された方は、その使い道をあれこれ考えているところかもしれません。

では、民間企業の冬ボーナスはどのくらい支給されたのでしょうか。今回は、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのデータをもとに、民間企業の2024年冬ボーナス平均支給額について解説します。

■2024年冬ボーナス、平均支給額は?

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「2024年冬のボーナス見通し」によると、民間企業(調査産業計・事業所規模5人以上)の一人当たりのボーナス支給額は、前年比+2.5%の40万5,573円となり、4年連続で増加する見込みです。

なお、製造業は前年比+1.9%の53万3,901円で4年連続の増加、非製造業は前年比+3.0%の38万895円で3年連続の増加と予想されています。

支給労働者割合も前年差+3.9%ポイントの85.8%と前年から大幅に上昇するとみられますが、これはコロナ前2019年の水準を大幅に上回る高水準です。中でも、これまでボーナスの支給に消極的だった中小企業での上昇が目立っています。

また、雇用者数の増加が続く中、ボーナスが支給される事業所で働く労働者の数は前年比+5.9%の4,409万人と3年連続で過去最多を更新する見通しです。

冬ボーナスが増加する要因について本レポートでは、「企業業績の改善と人手不足の深刻化」が背景にあると分析しています。

企業の経常利益(※1)は直近2024年4〜6月期には過去最高を記録、それにともない、企業の内部留保(利益余剰金)も大企業を中心に増加が続き、2024年6月末時点で588兆円とこちらも過去最高となっています(※2)。

一方、経済活動の回復によって人手不足は深刻さを増しています。この人手不足は当面続き、来年以降も人員確保のためのボーナス増加は継続するとみられています。

ただし、特に人手不足が深刻な中小企業の中には、毎年のようにボーナスを引き上げる体力がないところも多く、大企業と比べるとボーナスの引き上げ幅は限定的となりそうです。さらに、今後はボーナス引き上げを充分に行えない中小企業も増えてくる可能性があり、企業規模間での格差が広がることが指摘されています。

なお、冬ボーナスの一人当たり支給額と支給労働者数が増加したことから、ボーナスの支給総額は物価上昇率を上回るとみられます。家計の可処分所得を実質的に押し上げることに加え、今冬のボーナスが予想通りアップすることで「ボーナスが持続的に上がる」との確信が人々に広まれば、消費者マインドが上向き、消費の回復が期待できそうです。

(※1)全規模、金融保険業を除く全産業、季節調整値
(※2)全規模、金融保険業を除く全産業、財務省「法人企業統計」より

■ボーナスを有意義に使うための3つのポイント

4年連続で増加が見込まれる民間企業の冬ボーナス。しかし、支給額以上に重要なのは、「ボーナスの使い方」です。いくらボーナスが増えても、無計画に消費してしまえば良い使い方とは言えません。せっかく支給されたボーナスを有意義に使うためには、以下の3つのポイントを意識しましょう。

1.はじめから計画的に使う

「ボーナスはまず旅行や好きなものに使い、余ったら貯金する」という人も多いでしょう。しかし、これではボーナスから計画的に貯めることはできません。ボーナスは、どのように使うのかはじめから計画を立てておきましょう。

ボーナスには「黄金比率」があり、「貯蓄: 消費: 自己投資: 金融資産への投資=4: 3: 2: 1」の割合で使うのが理想的とされています。たとえば、ボーナスが40万円支給されたなら、「貯蓄: 消費: 自己投資: 金融資産への投資=16万円: 12万円: 8万円: 4万円」のように使うのです。

これなら、しっかり貯めつつ好きなことにも使え、なおかつ自己投資や金融資産への投資にもお金を回せます。

ただし、この黄金比率はあくまで目安ですので、普段あまり貯蓄ができていない人は貯蓄に多く回すなどして調整しましょう。また、家族構成によっては内容や割合を変えた方が良い使い方になるケースもありますので、黄金比率を参考にしつつ、自分や家族にとってベストな使い方を考えてみましょう。

2.赤字の補てんは限定的に

物価が高騰する中、ボーナスを食費など普段の生活費に充てざるを得ない人も増えています。毎月の給料だけでやりくりするのは大変という場合も多いですが、ボーナスはあくまで臨時的な収入であるため、不足する生活費の補てんとして頼り過ぎるのは考えものです。

ボーナスからの赤字の補てんは限定的にし、これを機に、できるだけ毎月の給料の範囲内で生活できる家計を目指してみましょう。

3.ボーナス払いは慎重に検討する

高額な買い物をしたい時、「ボーナス払い」は便利な支払い方法です。しかし、安易にボーナス払いを選択すると、いざボーナスが支給されても買い物の支払いであっという間になくなってしまうという事態にもなりかねません。それに、万が一ボーナスが減額されたりカットされたりした場合には、返済に窮してしまうことも考えられます。

高額な買い物はあらかじめ計画を立て、毎月お金を積み立てる、ボーナスからの支出額を決めておくなどしましょう。そのうえで、ボーナス払いは慎重に検討することが大切です。

■今後も増加傾向が続きそうなボーナス

今年の民間企業の冬ボーナスは増加が見込まれ、また、この流れは来年以降も続くことが予想されています。「すでに冬ボーナスを使った」という人も、有意義なボーナスの使い方について改めて考えてみてはいかがでしょうか。