「検索」から「対話」、「選択」から「承認」への新しい行動モデル「DREAM」とは
博報堂のシンクタンクである博報堂買物研究所は、生活者の仕事や日常生活をサポートするために設計されたAIエージェントと共に進化する新しい購買行動モデル「DREAM」を発表した。
商品の探し方は、情報を探す「検索」から「対話を通じてニーズを引き出す」に変化。選択の仕方は、自分で選ぶ負担が軽減され、好みや行動データを基にAIエージェントが提案する商品を「承認」する購買行動に変化していくと予測している。
「どんな商品が欲しいか」だけでなく、「どんなAIエージェントからの提案が欲しいか」が今後、購買プロセスにおける重要な要素になると見ている。
「DREAM」はリアルタイムでパーソナライズされた新しい購買体験を体系化したもの。生活者とAIエージェントが協働する新しい購買体験は、「DREAM」の5つのプロセスを通じて理解できるという。
5つのプロセスは、次の通り。
- 生活者とAIエージェントとの「Dialogue(対話)」
- 生活者がAIエージェントから自分に最適な選択肢を受け取る「Recommended(推奨される)」
- バーチャルリアリティや拡張現実を含めて、商品の質感や操作性を確認できる「Experience(体験)」
- リアルとバーチャルが融合した体験プロセスが、購入前の安心感を高める「Assurance(確信/承認)」
- AIエージェントを通じて商品の使い方を確認したり、メンテナンスを依頼したりすることができる「Management(管理)」
博報堂買物研究所は「DREAM」モデルによって導かれる、近未来における4つの変化を予測している。
1、商品の探し方は「検索」から「対話」へ
購買プロセスの出発点が「情報を探す」から「対話を通じてニーズを引き出す」へと変化する。AIエージェントとの対話を通じて、生活者の顕在的なニーズだけでなく潜在的なニーズまで拾い上げることが可能になり、生活者自身が気づいていない新たな発見や満足感を提供すると予測している。
2、選択の仕方は「自分で決める」から「AIエージェントと決める」へ
膨大な情報を自分で比較・選択する負担が軽減され、AIエージェントが好みや行動データをもとに的確な提案を行う。これにより、商品選びの効率が格段に向上し、特に高額商品においても短期間で購入決定が可能になると予測している。
3、商品試用は「リアル」+「バーチャル」での体験へ
商品体験が、実店舗での試用に加えVRやARを活用した仮想体験へと拡大。視覚や触覚だけでなく、嗅覚なども仮想的に体験できるため、購入前に商品の適合性をより深く確認できるようになると見ている。
4、 顧客の声は「一部」から「みんな」へ
購入後の感想は一部の口コミ投稿者の意見が中心となっているが、AIエージェントへのフィードバックを通じて、多くの顧客の意見が反映される仕組みへと変化する。
顧客が意見をフィードバックすることでAIエージェントが学習・蓄積し、好みや傾向をより深く理解できるようになる。その結果、自分の意見が反映される価値を感じた人々が積極的にフィードバックを行い、提案精度がさらに向上していくと予測している。