僕が思うに、書籍や雑誌の本文組版*1って、大きくつかむとせいぜい2、3パターンだと思うんです。後は細かなバリエーションがありうるだけで、組版ソフトがなんであろうと、それほど難しいものではないはずなんです。
以前にも書きましたが、InDesignには14種類の「文字組みアキ量設定」が搭載されています。あれは何の役にも立ちません。なんでそんなものが入っているかというと、どうやら立場上、JIS規格をサポートしないわけにもいかないというのが理由らしいです(未確認情報)。
InDesignの文字組版は「文字組みアキ量設定」がすべてではありません。むしろ、「禁則処理セット」と「禁則調整方式」、「ぶら下がりの有無」、「ジャスティフィケーション」などの組版仕様を先に決定するべきで、「文字組みアキ量設定」は、それらの設定から演算結果に影響を与える一要素にすぎないのです。えらそうに前面に出ていますが、あれは補助的機能なのです。そう考えたほうがいいです。ただ14種類のデフォルト値があまりにダメダメなので新規に作成してやる必要があるのです。
「文字組みアキ量設定」ではあらゆる設定が変更できそうに見えますが、結局、万能ではありません。細かく設定すれば、こちらを立てればあちらが立たずといった不都合が出てくることもあります。
世の中には「文字組みアキ量設定」をいじって仮名だけちょっと詰めようとか、そんなことをやってる人もいるみたいなのですが、正直、ドツボにはまっているとしか思えないんですね。
ま、それはさておき、できるだけシンプルに考えると、以下のような設定でたいてい間に合うと思います。
行頭/行末の処理
- 縦組の本(ぶら下げあり)
- 行頭カッコは半角下げ*2、折り返し行頭行末カッコは半角固定。行末句読点はすべて全角固定(つまり二分アキ固定で半角は使用しません)。
- 縦組の本(ぶら下げなし)
- 横組の本とほぼ同様のルール。行頭カッコは全角下げで、折り返し行頭行末カッコと行末句読点はすべて半角固定。
- 横組の本
- 行頭カッコは全角下げで、折り返し行頭行末カッコと行末句読点はすべて半角固定。行中のカッコはすべて半角の場合もあり。
とりあえず、この3つのパターンでしょう。
行中の調整処理
- 縦組の本・横組の本共通
- 句読点とカッコ類は全角取り。行頭/行末の都合による半角処理はしません。
- その代わりに、仮名や漢字の字間を「最小マイナス5%」として詰め処理します。*3。
たいがいはこれでいける設定
とまあ、自分用の設定は、こういう考え方で作っています。
自社ルールにこだわりを持つ出版社もあるのかもしれませんが、単に今まで使っていたシステムのデフォルト設定が自社ルールに昇格しただけだったりしがちです。あとMS Wordの組みが正しいものだと思い込んでたりとか。
「文字組みアキ量設定」の細かなところは説明するときりがないんですけれども*4、気がついたら微調整を繰り返して今に至っています((特にCS2から「禁則調整方式」に「調整量を優先」が登場したことで、そちらにも対応させるために、だいぶ変更する必要がありました。ただし、「調整量を優先」は行末約物を全角取りにした場合にはいろいろと問題があります。行末約物半角取りであればほぼ問題ないはず。たいがいの仕事はこれでいけると思います。
設定ファイルは道具箱に。今後もまだ微調整を加える可能性があります。