第一次選考委員を務めさせて頂いたTAAF2017短編コンペティションのノミネート作品について、粗筋等を元に簡単な紹介を書いてみます。まっさらな状態で作品と向き合いたい方はスルーして下さい。
写真は公式サイトからのものです。
[スロット1]
「飼い馴らされていない」英題「Untamed」Juliette Viger デンマーク、7分。
内向的な15歳の少女サリーと狼の姿に変わってしまった父親。狼は何のメタファーか。サスペンスフルな演出も見どころ。原題を直訳すると他に、抑制されていない、荒れている、等。
「てのひらのにわ」英題「first hand memories」梅村晴香(はるか)、日本、5分。
紙の筒を通して周囲の世界を見る女の子。誰しも覚えのある幼い日の遊びを柔らかな描線で描く。画材は色鉛筆、コピック、パステル等。作者は芸大の学生。
「翼と影を」英題「Of Shadows and Wings…」Elice Meng and Eleonora Marinoni フランス、12分。
閉ざされた世界に生きる鳥のチオベック(Ciobeck)は愛するモアン(Moann)を守ろうとするが。絵画のようなテクスチャを持つ鳥たちの描写が独特。様々な暗喩が読み取れる作品。
「アフロ クラブ」英題「Afro Crab」Liang-Yu Chen 台湾、4分。
アフロ蟹のクラビー(Crabby)は友人の魚を救う為にシェフとカンフーで戦う。荒唐無稽な楽しさ。爆発等に日本アニメの影響も窺える。
「私の望まない私の人生」英題「MY LIFE I DON’T WANT」NYAN KYAL SAY ミャンマー、11分。
真実の話に触発されて作られた、ミャンマーの少女の生活についての短編。ミャンマーからのコンペ応募は珍しく、その点も評価された。アニメならではの表現にも注目。
「贈り物」英題「THE GIFT」加治佐興平(かじさ こうへい)日本、5分。
サラとおもちゃの親友ポーターはパパとママの記念日に贈り物をしようと粘土で家族の人形を作るが。日本ではまだ一般的とはいえない3DCGによる作品。世界に伍する技術と心温まるお話の融合。キャラクターの可愛らしさは日本ならでは。
「長い休暇」英題「A Long Holiday」Caroline Nugues-Bourchat ベルギー、15分。
両親と海辺のキャンピングカーで夏を過ごす少女ルイーズ。移ろう季節の中で、ルイーズは失業中の父から、宝物を集めている人魚の話を聞く。波の表現にも注目。
「橇(そり)」英題「The Sled 」Olesya Shchukina ロシア、4分。
お母さんリスと暮らす小さなリスが初めて見つけたものは。鮮やかな色彩と明快なデザイン。
「端(はし)」英題「THE EDGE 」 ALEXANDRA AVERYANOVA ロシア、11分。
広野の小さな駅にたった一人で住む年嵩の女性は何年もの間、線路の点検の仕事をしている。彼女の人生における唯一の輝かしい出来事は月に一度広野を走り抜ける列車に合図を送ることだった。ロシアならではの風景描写と人生の機微。
「ベネの地平線」英題「Bene’s Horizon」 Jumi Yoon, Eloic Gimenez フランス、13分。
アフリカの熱帯雨林で、密猟者の支配下に暮らす少年べネ。ある日、彼は赤ちゃんゴリラと出会うが。少年の孤独な心を圧倒的なカットアウト(切り抜き)で描き出す。
「ポムポン氏の香水工房」英題「Mr Pompone’s perfume factory」 Axel de Lafforest, Camille Ferrari,Florian Ratte,Yoann Demettre,Tanguy Weyland フランス、6分。
香水師ポムポン氏と彼の秘密を盗みに工房に侵入したポフィーヌ夫人。デジタルアニメならではの二人の攻防。
スロット2に続く。
ログインしてコメントを確認・投稿する